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相談室(No.1301〜1400)

このページは乳がんに関 する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。

ご相談メールの投稿はこちらからお願いします。

なお治療法は、患者さんと主治医がご相談されて決定されるものであり、この相談室でお答えできるのは、一般的な参考意見であることをご了解下さい。

当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。

 

目 次

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No

日 付

名 前

件  名

担 当

1400 03/02/26 M.O.  乳頭からの分泌物 千島
1399 03/02/26 R.K. 石灰化について 千島
1398 03/02/26 TK   抗がん剤のみの治療について 千島
1397 03/02/26 I.I. 乳首のしこり 千島
1396 03/02/24 NAKA   左の乳首の横のしこり 千島
1395-1
1395-2
03/02/23
03/03/26
M.M.  骨転移の治療について
骨転移の治療について(2)
千島
川本
1394 03/02/23 I.T. 胸にある固いしこりのようなものについて 千島
1393 03/02/22 eri 手術後の治療について 千島
1392 03/02/22 Y.Y. 乳癌でしょうか? 千島
1391 03/02/22 T.K. 手術はすべきですか? 千島
1390 03/02/22 S.N.  乳頭腫についての相談です 千島
1389 03/02/22 R.K.  マンモトーム後に乳首から出血が・・・ 千島
1388 03/02/19 H.T. 生理がきません 千島
1387-1
1387-2

1387-3
03/02/19
03/04/11
03/04/24
いちご 細胞診のやりかたについて
術後補助療法「抗ガン剤」について
抗ガン剤以外の薬について
千島
福間
須田
1386 03/02/19 C.O. 乳ガンの再発と膵臓腫瘍の関連について教えて下さい 千島
1385 03/02/19 S.K. 鎖骨下のしこりについて 千島
1384 03/02/19 O.S. 術後の治療について 千島
1383-1
1383-2
03/02/19
03/03/04
F.W. 乳癌と診断されました
手術の選択について
千島
徳田
1382 03/02/18 kuni 温存術後放射線療法による皮膚の瘢痕化 千島
1381 03/02/18 M.M. 乳首にできた吹き出物について 千島
1380-1
1380-2
03/02/18
03/03/26
youko   母の乳がんについての相談です
母の乳がんについての相談です(2)
千島
緒方
1379 03/02/18 tets PETについて 千島
1378 03/02/18 S.N. 乳癌術後治療について 千島
1377 03/02/18 S.K. 転移したリンパ節が鶏卵大、手術は有効ですか? 千島
1376 03/02/16 oha  非浸潤癌について 須田
1375 03/02/16 I..T.   抗ガン剤点滴方法について 須田
1374 03/02/16 R.W. ゾラデックス終了後の月経回復について 須田
1373 03/02/16 H.O.  乳腺のう胞症の疑い 須田
1372 03/02/16 N.M. 胸の痛み 須田
1371 03/02/16 M.K. 左腋下の腫れについて 須田
1370 03/02/16 R.A. 切開摘出生検に関するご相談 須田
1369-1
1369-2
03/02/16
04/01/30

みや 

細胞診結果クラスVについて
充実腺管がんの転移について
須田
石川
1368 03/02/10

S.O. 

しこりについて 須田
1367-1
1367-2
03/02/10
03/02/16

H.T. 

しこりの悪性化は?
超音波断層撮影での判定について
須田
須田
1366-1
1366-2
03/02/10
03/03/14

H.I.

右胸のしこり
右胸のしこり(2)
須田
清水
1365 03/02/10

M.A. 

乳がんの診断結果について 須田
1364 03/02/10

miya 

腫瘍マーカーの上昇について 須田
1363 03/02/07

T.N.

小児の胸の痛みについて 須田
1362 03/02/07

S.M.

胸の痛み 須田
1361 03/02/07

mina

右胸下(真ん中、みぞおち近く)の痛みについて 須田
1360 03/02/07

O.K.

乳房温存療法での放射線照射 須田
1359 03/02/05

C.C.

抗癌剤治療中の職業活動について 須田
1358 03/02/05

hiroko  

抗癌剤後の化学療法について 須田
1357 03/02/03

K.N. 

黄色透明な分泌液 須田
1356 03/02/03

mayu

放射線治療について 須田
1355 03/02/03

みっちゃん 

左右の乳房のしこりと乳輪のいぼ(?)について 須田
1354 03/02/03

M.N.

左胸のしこりについて 須田
1353-1
1353-2
03/02/01
03/02/10

S.I.

セカンドオピニオンは必要でしょうか
細胞診について
清水
須田
1352-1
1352-2
03/02/01
03/02/18

Y.Y.

乳がん検査について
手術を受けるべきでしょうか?
清水
千島
1351-1
1351-2
03/02/01
03/02/10

S.T.

ノルバデックスについて
大豆と乳癌の関係について

清水
須田
1350 03/01/30

C.S.

細胞診と組織診について

清水
1349-1
1349-2
03/01/29
03/02/05

N.O.

検査結果待ちです
検査結果待ちです(2)

清水
須田
1348 03/01/28

C.I.

術後の補助療法について

清水
1347-1
1347-2

1347-3
03/01/28
03/02/03
03/02/07

N.K.

右胸の痛みと断乳
石灰化がありました
生検について

清水
須田
須田
1346-1
1346-2
03/01/28
03/11/14

こっこちゃん  

転移の治療についておたずねします
イソフラボンについて

清水
浜口
1345-1
1345-2

1345-3
03/01/27
03/09/23
03/10/13

O.M.

フェアストン錠40はどんな薬?
ホルモン療法の薬の選択
ホルモン療法の薬の選択(2)

清水
須田
千島
1344 03/01/27

rin

乳腺から分泌液

清水
1343-1
1343-2

1343-3
03/01/26
03/01/27
03/01/27

A.O.

子供の副乳について
子供の副乳について(2)
子供の副乳について(3)

清水
清水
清水
1342 03/01/26

M.K.

腫瘍マーカーについて

清水
1341 03/01/26

oka

細胞診について

清水
1340 03/01/26

H.O. 

両胸のしこり

清水
1339 03/01/26

A.K. 

右胸にしこりがあります

清水
1338 03/01/26

S.Y.

検査ばかりなのですが…

清水
1337 03/01/26

Y.Y.

乳首の痒み、かぶれについて

清水
1336-1
1336-2

1336-3
03/01/26
03/04/10
03/10/19

H.K.

胸の痛みについて
胸の痛みについて(2)
しこりについて

清水
福間
徳田
1335 03/01/23

Y.N. 

肺、胸膜ほかの転移について

清水
1334 03/01/23

wata

小さなしこりについて

清水
1333 03/01/23

T.T.

時間のかかる検査

清水
1332 03/01/22

Y.K.

バストのサイズと乳がんの関係

清水
1331 03/01/20

Y.S.

左脇の腫れ

清水
1330 03/01/18

iwa

腋の下のしこりと生理の関係

加藤
1329-1
1329-2

1329-3
03/01/18
03/01/29
03/02/05

ゆうS

骨転移
胸骨転移の局所治療について
PET検査後の治療について

加藤
清水
須田
1328 03/01/18

H.T.

乳輪部分のしこりについて

加藤
1327 03/01/16

Y.K.

旭硝子製超音波気泡浴装置について

加藤
1326-1
1326-2
03/01/16
03/01/22

M.M.

乳房のしこりについて 
石灰化について

加藤
清水
1325 03/01/16

N.H.

癌を疑ったほうがよいのでしょうか?

加藤
1324-1
1324-2

1324-3
03/01/16
03/05/02
03/08/12

Y.S.

術後の治療とシコリニついて
術後の上腕部に痛み
ノルバテックスについて

加藤
吉田
加藤
1323 03/01/14

K.K.

生検から手術までの時間

加藤
1322 03/01/14

T.S.

右鎖骨上リンパ節腫瘍の切除について

加藤
1321 03/01/14

A.M.

加味しょう遥散と健側のしこり

加藤
1320 03/01/11

sekko

術後リンパ節転移の治療について

加藤
1319 03/01/09

K.Y.

腋のしこり

加藤
1318 03/01/09

K.N.

乳癌手術後の妊娠について

加藤
1317 03/01/05

E.U.

乳癌術後療法について

加藤
1316 03/01/01

TTN 

細胞診 クラスV

加藤
1315 02/12/30

R.Y.

再発について

片山
1314 02/12/30

E.H.

副乳も癌になるとのこと

片山
1313 02/12/29

M.M.

転移について

片山
1312 02/12/28

N.O.

ホルモン療法をするべきでしょうか?

片山
1311 02/12/28

BEAR

しこりと妊娠について

片山
1310 02/12/26

Y.O.

乳輪下の色の変化について

片山
1309 02/12/25

N.K.

ホルモン療法は必要ですか

片山
1308 02/12/25

Y.M.

追加手術についてご相談

片山
1307 02/12/23

tola

しこりについて

片山
1306-1
1306-2
02/12/23
02/12/26

O.T.

放射線照射後の肺炎について
放射線照射後の肺炎について(2)

片山
片山
1305 02/12/23

S

再び大きくなったしこりについて

片山
1304-1
1304-2
02/12/23
02/12/26

T.C.

妊婦の乳がんについて
妊婦の乳がんについて(2)

片山
片山
1303 02/12/23

N.M.

乳頭分泌物について

片山
1302 02/12/21

A.O.

エコーでわかること

片山
1301 02/12/21

未知子

胸のしこりと痛み

片山

 

 

No.1400】 03年02月26日 M.O.
乳頭からの分泌物

私は、現在21歳で、未婚、出産経験無しです。右の乳頭の壁面といいますか、根元の部分がただれて下着が黄色くなるような分泌物が出て下着が汚れてガビガビになり、かゆみも伴うので、婦人科にて診察を受けました。先生に診てもらったところ、(患部を見てもらった)唇が荒れるように乾燥でしょう・・・とのことで、レスタミンコーワ軟膏を処方してもらいました。
それから一週間とちょっと、薬をお風呂上りに塗ったりしているのですが、まだ、分泌物も収まらなくて下着も汚れる毎日です・・・。中学生の頃から時々こういう症状が出ていました。いつも右側ばかりなのですが、やはり乾燥してこのようにただれたりするのでしょうか? 地道に薬を塗り続けるとこのような症状は治るのでしょうか? 乳がんとか何か別の病気ということはないのでしょうか? 婦人科で診察を受けたもののやはり心配です。お手数おかけ致しますがお答えいただけると幸いです。どうぞよろしくお願いします。

この分泌物が乳頭から出てきているのか、乳輪部からでてきているのかで、検査や治療法が異なってきます。文面から推測する限りでは、乳腺の疾患というよりは、皮膚に関する疾患のような気もします。乳頭のただれの中には、Paget(パジェット)病という特殊な乳癌もありますが、年齢要素や、中学生時代からあったことなどを考慮すると、まずPaget病は考えられません。いずれにしても、症状をこじらせてしまうと、瘢痕変形や色素沈着等の原因にもなりますので、分泌物が治まらないようならば、一度皮膚科の先生に診察していただくことをお勧めします。(文責 千島)

 

No.1399】 03年02月26日 R.K.  
石灰化について

先月マンモグラフィーで集族する微細石灰化像がみつかり、カテゴリー4と診断されました。その後マンモトーム生検を行い、その結果癌細胞は見つからず良性という結果がでて1年後との検診になったのですが、乳がんの初期にみられる集族、微細という症状がでているのでこのままでいいのかと不安です。いずれは癌になるのでしょうか?癌になる可能性があるのであれば今のうちその部分を取ったほうが安全なのでしょうか?良性なのにすっきりしない気分です。。。ご回答宜しくお願いします。

専門医が読影して、マンモグラフィでカテゴリー4と診断された場合、60%前後で癌が隠されていると言われています。つまりカテゴリー4、もしくは5と判定された場合は、組織を取って良・悪性を診断しなければなりません。組織をとる手段には、貴女のようにマンモトームで細長い組織を数本採取して検査する場合と、外科的に乳腺の一部を切除して検査する場合があり、それぞれの方法で「利点」と「欠点」が言われています。例えばマンモトームでは、切開は5mm程度の大きさですみますが、石灰化の範囲が比較的広い場合には、石灰化部分の一部を検査するにとどまるので、残った石灰化部分に乳癌が無いという保証はありません。外科的切除では、マンモトームより広い範囲で乳腺を切除できますが、その代わり2〜3cmの傷が残ってしまいます。もう一つの問題としては、貴女の組織検査の結果がどのようであったかと言うことです。良性(乳腺症)の診断でも、嚢胞症やアポクリン化生などは悪性化の可能性が低いのですが、異型乳管過形成という組織所見の場合は、同年齢の女性と比べて4〜5倍で浸潤性乳癌になりやすいと言われています。その場合、乳癌発症の予防策として、欧米では「ホルモン治療剤を飲んでガン化を防ぐ」という臨床研究も行われており、50%前後でガン化が予防できるという報告もありますが、まだ完全な結論は得られていません。確かに、あらかじめ病変部を切除して置くことも予防法の一つと考えられますが、どこまでの乳腺を切除すればよいかが問題となってきます。もちろん、究極の予防は乳房切除で、遺伝的乳癌家系で、乳癌発病率が極めて高い人たちの中には、乳房、卵巣を予防的に切除する人がいることも確かです。そこで、予防は難しいということになれば、次の段階は早期発見ということになります。たとえ病変が残っていたとしても、定期的にマンモグラフィを受けていれば、仮に癌が発症しても早期治療が可能であり、この場合は自分でシコリを発見してくる患者さんに比べて、治癒率も高いといわれています。貴女に特別な乳癌発症リスクが無いのならば、マンモグラフィによる定期検診を繰り返すようにすればよいのではないでしょうか。検診の期間、頻度については主治医と相談して決めるようにしてください。(文責 千島)

 

No.1398】 03年02月26日 TK
抗がん剤のみの治療について

はじめまして、よろしくお願いします。妹が乳がんと診断されました。詳しいことは聞けてないのですが、リンパ節への転移が疑われるとのことです。取敢えず、抗がん剤のみの治療で様子をみるとの事ですが、インターネットでいろいろ調べても、あまり始めから抗がん剤のみの治療例は見当たらないように思われます。先生を信じてない訳ではありませんが、このような場合はセカンドオピニオンをもらったほうが良いのでしょうか。妹は36歳3児の母です。

貴方の妹さんの乳癌が、どの程度進行しているかによって、「手術治療が先か?抗癌剤治療が先か?」が決まってきます。乳癌の進行度は、腫瘍の大きさや広がり、リンパ節転移の程度、他臓器への転移の有無によって、0、T、UA、UB、VA、VB、W期の7段階に分類されています。主治医の乳癌治療に対する考え方によっても異なりますが、乳癌の進行度が病期VBもしくはWの場合は、抗癌剤治療を先に行う場合が多いようです。特に最近は、癌の大きさが3cmを越えるような場合で、乳房温存手術(癌の周囲だけを摘出する)が難しい症例でも、手術に先行して抗癌剤治療を行うことで、乳房温存手術が可能となる場合があります。乳癌の治療方針には数多くのオプションがあり、それらの治療法ごに良い部分もあれば、悪い部分もあります。主治医から、この「利点」と「欠点」を十分に説明していただき、自分に適した治療法を、自分自身で選択していく必要があると思います。もし、主治医の説明で十分な理解が得られないときや、疑問が残るようであれば、主治医に経過説明書を作成してもらって、他の乳腺専門医の意見を聞いてみるのも一つの方法だと思います。(文責 千島)

 

No.1397】 03年02月26日 I.I. 
乳首のしこり

僕は高校生の男なんですがよろしいでしょうか?、最近乳首のしこりで悩んでいます、少し腫れているので、着替える時、人の目を気にします。小学校高学年の時にもなった事があったのですが、半年くらいで消えました。思春期の男によくある症状らしいですが、どうすればいいのですか?放っておいて大丈夫でしょうか?

君の場合は、乳頭が大きくなっているというよりは、乳輪(乳首周囲の皮膚が茶色の部分)全体が盛り上がるようになっているのではないですか?その場合は、思春期乳腺肥大症(女性化乳房症)といいます。乳腺組織(母乳を作る器官)は、ご存知のとおり女性ではよく発達しているのですが、男性ではあまり目立ちません。でも、男性にもしっかりとした乳腺組織はあるので、思春期などに男性ホルモンと女性ホルモン(男性の体でも女性ホルモンを産生しているのです)のバランスが崩れてくると、乳輪直下にシコリを触れたり、押すと痛みを感じたりすることがあります。片方の乳房だけではなく、両側の乳房で起こってくることもあります。小学生の時にも同じような症状があったようなので、今回もしばらく様子を見ていても良いと思います。今後も片方だけがグングン大きくなってくるようならば、一度外科の先生に診察してもらってください。(文責 千島)
 

 

No.1396】 03年02月24日 NAKA
左の乳首の横のしこり

こんにちは。35歳の主婦です。今年の1月末に痛いなあと思ってお乳を触ってみたら、乳首の横の乳輪のすぐ下あたりにしこりをみつけました。(1月中旬頃に自己検診した時はそういうしこりはなかったと思います) その時は痛かったのであまり触れなかったのですが、4,5日すると痛みが治まったのでさわってみると、こりこりした平べったいものでした。2月になって市民検診へいき、マンモグラフィーと超音波をしたところ、先生より脂肪腫と言われました。「7mmくらいのものなのではっきりとはわからないが、超音波の映り方からして脂肪腫でしょう。」ということですが、まだ現在でもしこりはあるので、悪いものかどうかが心配です。今でもたまにちくちくします。また先生はしこりは無くなりますと言っていたのですが、どれくらいでなくなるものなのでしょうか? よろしくご回答お願い致します。

文面から推察しますと、貴女のシコリは、「超音波所見では乳輪皮膚直下にあって、脂肪と同じような特徴を示すシコリ」として認められているようですね。脂肪腫の場合、痛みがきっかけとなって発見されることは比較的稀です。また、そのシコリが本当の「脂肪腫」ならば、「自然に消えてなくなる」ことはまずありません。通常、4〜5日間の痛みを伴った後に、シコリが小さくなってくるような場合は、何かしらの炎症(細菌の感染等)病変を考えます。乳輪をよく観察すると、いくつかの小さなデコボコがあるのに気づきます。これはモントゴメリー腺と呼ばれる汗腺(汗を分泌する器官)の一つで、時々細菌の進入による炎症を起こし、痛みを伴って腫れ上がることがあります。ひどくなると、赤く腫れた部分の先端から、薄黄色い膿のような汁を排出して痛みが軽快します(No. 1381の質問を参照してください)。このような炎症性の腫瘤も、超音波では皮膚直下にある脂肪腫と同じような所見を示すので、もし貴女のシコリが、痛みの消失と共に小さくなっているようならば、脂肪腫というよりは、前述のような炎症性腫瘤である可能性が高いと思います。炎症性のシコリならば、1〜数週間で消失していくことが多いのですが、人によってはこれらの症状を繰り返しながら、慢性的にシコリを触れるようになる場合もあります。いずれにしても、この病変が癌になることは無いので安心してください。もし、そのシコリが徐々に大きく、硬くなるようであれば、脂肪腫でも炎症性の腫瘤でもない可能性があるので、もう一度検査を受けなおすようにしてください。(文責 千島)
 

 

No.1395-1】 03年02月23日 M.M.
骨転移の治療について

初めてお便りいたします。宜しく御願い致します。現在、第十二胸椎が、転移によって骨折していて、激痛がしていたので、放射線治療、ホルモン療法、骨を強くする点滴の治療をやっています。骨には、あと何か所かに転移していて、内臓には転移していません。痛みは随分緩和されました。たとえば、この治療であまり効き目がない場合は、抗癌剤の治療になるのでしょうか?使うとしたら、どのような抗癌剤が考えられますか?宜しくお願いします。

貴方が初めに手術をした時の病理学所見(特にホルモンレセプター所見や、HER2遺伝子発現の有無)と、骨転移までの間にどのような治療を受けてきたかによって、今後の治療法が決まってきます。通常、ホルモンレセプター検査が陽性である乳癌の場合、重症な肝転移や多量の胸水貯留等の「命に関わる危険性」がない限りは、副作用が比較的少なくて長期間服用可能なホルモン療法剤の治療から開始します。特に初めの手術から期間(2〜3年以上)を置いてから始まった乳癌転移は、進行が比較的緩やかであると考えられています。最近は、 作用機序の異なった数種類のホルモン療法剤が開発されているので、一種類のホルモン療法剤に効果が無くなっても、他の種類のホルモン療法剤を使用しながら、経過を観察していきます。もし、使用可能なホルモン療法剤がなくなった場合や、前述の「命に関わる危険な転移」が発見されるような場合には、化学療法に切り替えて治療を継続します。今まで貴方が抗癌剤の治療を受けていない場合は、アンソラサイクリン系(エピルビシン、アドリアマイシン等)抗癌剤を含む多剤併用化学療法、もしくはタキサン系(パクリタキセル、ドセタキセル)抗癌剤による化学療法から開始します。もし、貴方の乳癌細胞がHER2という特殊な遺伝子発現をしている場合は、トラスツズマブという変わった名前の抗癌剤に、タキサン系の抗癌剤を合わせて使用する場合もあります。再発・転移乳癌の治療の原則は、早い時期から強い抗癌剤を使って、無理に体中の癌を「全滅」させようとする必要はないのです。無理に癌を「全滅」させようとすると、癌自体も反発して抗癌剤に対する耐性を獲得し、かえって癌が進行してしまう場合もあるからです。まずは貴方のように、緩やかに作用するホルモン療法剤などを用いて、癌の進行を抑えることが重要なのです。別に癌細胞自身が毒素を発生するわけではありません。体の中に乳癌細胞があること自体が悪いのではなく、癌が進行して肝臓や肺などの臓器に影響を及ぼしてくることが問題になるのです。貴方の場合は骨転移の勢いや痛みが抑えられているようなので、現在の治療法がうまくいっている証拠だと思います。ホルモン療法剤などの適切な治療を受けていれば、症例によっては20年以上もがんの進行を抑えながら、何ら問題もなく日常生活を送ることが可能なのです。大切なのは、癌との「全面戦争」を選択するのではなく、「平和共存」を試みることが、乳癌と長く付き合っていく秘訣だと言えます。貴方の場合も、しばらくは乳癌との「お付き合い」が続くことと思いますので、どの段階でどの治療薬を選択するかにつぃては、主治医と相談しながら、焦らずゆっくりと治療を続けていくようにしてください。(文責 千島)

 

No.1395-2】 03年03月26日 M.M.
骨転移の治療について(2)

以前、相談室でご回答いただいたものですが、今回もよろしくお願い致します。私は、骨転移で、第12胸椎が骨折していて、リハビリで、歩行器て゛やっと歩けるようになりました。あと、首、肩、腰板の骨にも、転移しています。治療は、放射線とホルモン治療とビスフォナールの点滴をしています。痛みは緩和されました。骨が固まるまで3か月くらいかかると言われましたが、その前に、コルセットをはめてリハビリしていますが、いいのでしょうか? 普通の生活ができるようになるのかが、とても心配です。右肩も少し痛くなっていますが、あまり動かさないようにしたほうがいいのでしょうか? とても不安です。よろしくお願いします。

骨硬化する前にコルセットをはめてリハビリをすることが心配のようですが、やはり、リハビリは続けた方が良いと考えます。骨硬化までリハビリもしないで、そのまま安静を保っていては、徐々に体の動きが悪くなり、ますます行動に制限が出てしまいます。リハビリもあまりハードなものは、他の転移箇所に負担をかけますから、担当の先生によくご相談の上、無理のないリハビリ計画を立てて下さい。(文責 川本)

 

No.1394】 03年02月23日 I.T.
胸にある固いしこりのようなものについて

初めてメールさせていただきます。19歳です。少し前から、生理がくる前になると右胸に張る様な感覚があり、実際に触ってみると固いしこりのようなものがあることに気づきました。生理が終わってからも、このしこりのようなものの感覚は残ったままです。左胸にはそのようなものがなく、もしかしたら何らかの病気と関連があるのではないかと不安になり、メールさせていただきました。病院に行こうかと考えたのですが、産婦人科に行くのには少々抵抗がありまして、不安を抱えたまま生活をしています。何か助言等ございましたら、お返事いただきたく思います。それでは、よろしくお願いします。

年齢的に考えて、月経前に両側の乳房、特に外側の上の方に張った感じが出てくるのは、生理的な変化であり、正常範囲内と考えられます。多くの女性では、乳腺の大きさ(量)が左右で異なっているので、月経前に片方の乳房(貴女の場合は右側)で張りが強くなっても不思議ではありません。ただ、右胸に触る「固いシコリ」が月経終了後にも残っているような場合は、良性のシコリ(線維腺腫)がある可能性もあります。このシコリをよく触ってみると、表面が滑らかでチョコボールを乳房内に埋め込んだような触り心地なのですが、自分で触ってもなかなか判断が難しいことと思います。年齢的に考えて、母親もしくは姉妹で乳癌患者様がいない限りは、貴女のシコリが乳癌である可能性は低いと考えられますが、一度専門医に診察してもらう方が安心だと思います。産婦人科の先生の中にも、乳腺の診察を熱心に行われている方もいるのですが、精密検査が必要な場合は、外科でもう一度診察を受け直すことになります。比較的大きな、地域基幹病院であれば、乳腺専門の外科医がいると思いますので、診察日を電話などで問い合わせてから受診してみるようにしてください。(文責 千島)

 

No.1393】 03年02月22日 eri
手術後の治療について

59歳の母が今月10日に両乳房の乳がん手術を受けました。まず初めに「両方と言うのは極まれで、しかも他への転移や他からの転移の可能性がある」と言われ、手術前に肝臓、肺、胃、腸の検査をしましたが、幸い異常無しという事でした。腫瘍自体は1センチほどでリンパへの転移も9割方無いだろうと言われ手術をしたのですが、病理の結果、腫瘍は両方とも1.5センチ程で、当初もしかすると良性かもと言われていた左側がリンパへ1個転移していたそうです。(何個中1個なのかは説明がなかったとのことです。)今後は弱めの抗がん剤の服用とホルモン療法を行うと言われたようなのですが、例え1個でもリンパへ転移していて、副作用の無い位弱い抗がん剤で大丈夫なのでしょうか?「軽いほうだ」と何度も言われながら、結果がリンパへの転移有りだったので、今後のことが不安になり、参考にさせていただこうといろいろなサイトを観てみたものの、そもそも両方と言う時点でどこにも載っていなくて・・・。是非ご意見をお聞かせ頂けたらと思いメールを送らせていただきました。よろしくおねがいします。

両側性乳癌には、その発見時期によって同時性と異時性に分けられます。両側性乳癌の平均発生頻度は、同時性で全乳癌の1%程度、異時性では2〜3%程度と考えられているので、「極めてまれ」という事ではありません。治療方法は、基本的に片側乳癌と同じと考え、左右の癌で、病期が進んでいる方に合わせて術後治療を行います。貴方のお母様の場合は、左側のリンパ節へ転移があったようなので、左の乳癌(病期UA)に合わせた治療を行うことになります。1〜3個のリンパ節転移がある乳癌患者様は、術後10年間での乳癌再発率が35%前後と考えられており、再発危険グループに属するため、術後は何かしらの補助療法を受けることが望ましいと考えられています。アメリカであれば、おそらく抗癌剤の点滴治療を行った後、ホルモンレセプターが陽性である乳癌に対してはホルモン療法剤の投与を5年間続けるというのが平均的な治療法だと思います。多くの日本人医師も、この方法を参考にしながら治療を行っています。日本の場合、お母様のように、リンパ節転移の数が少ないような患者様では、点滴の抗癌剤を使用するか、経口の抗癌剤を使用するかは主治医によって意見の分かれるところだと思います。リンパ節転移の数と並んで重要と考えられている所見は、乳癌細胞でホルモンレセプターが発現しているか否かと言うことになります。前述のように乳癌細胞でのホルモンレセプターの発現がなければ、ホルモン療法剤による治療効果は期待できないので、術後すぐに点滴の抗癌剤を使っておくほうが、再発してから抗癌剤を使用するよりも有効だと考えられています。もちろん強い抗癌剤を使えば、再発する可能性は低くなりますが、その分、吐き気や脱毛など副作用も強くなり、医療費も余計にかかります。一番気になるのは、「他の人ではなく、貴方のお母様にとってどの補助療法が適しているのか」ということだと思います。それについては、抗癌剤やホルモン療法剤使用による再発予防効果と副作用のバランスについて、主治医から十分な説明をしてもらい、お母様が納得できる治療法を、お母様自身に選択していただくのが一番だと思います。(文責 千島)

 

No.1392】 03年02月22日 Y.Y. 
乳癌でしょうか?

はじめまして。私は現在40才の女性(出産経験あり)です。乳がんを検索していましたら、ここへたどりつきました。実は3日前、穿刺細胞疹の結果を聞きに病院に行ってきました。結果は今回の穿刺の場所では、がん細胞は見あたらなかったようですが、クラスVで、3ヵ月後にまた調べに来てくださいとのことでした。先月の生理後の20日頃から時折鈍痛が左胸にあり、触ってみるとしこりが(触ると痛い)・・・、乳がん検診なんてしたこともなく、はじめはおそるおそる検診をやっている個人病院のところへ行くと、触診でのしこり、エコーでのぼんやりしている影があり、「すぐ紹介状を書きますから」ということで大きな病院へ行きました。ひととおりの検査(マンモ、エコー)のあと、医者曰く、「これはそう悪いものではないだろうけど、(穿刺したところも柔らかかったし)痛いのはがんじゃないだろうし・・、20年間のうち一人だけこういうケース(乳腺症の経過を見てた人で)でがんだったので、念のためにも細胞疹をやってみましょう。」との経過にいたりました。私は以前から生理前症候群?というのか、生理の2週間前くらいから精神状態が超不安定になり、いらいらや落ち込みがひどく、この状態をなんとかせねばとも思っていたので、医者にこういう状況もあるので、婦人科へ行ってホルモン治療をするべきか、心療内科へ行って(少し鬱の気もあるようなので)安定剤など処方してもらうのと、どちらがよいか尋ねたところ、「ホルモン 治療なんかしたら腫瘍がぐちゃぐちゃになる(からいかないほうがいい)・・・。診療内科としこりは関係ない。」と怒られてしまいました。(乳腺症の場合、ストレスなどでホルモン過剰気味になるとかなり影響するとあったので、薬でいらいらが減ったら痛みも状況もかなり変わってくるのでは?とも考えたからです。それよりも、ここ最近、いらいらが増す一方で(更年期?)楽になりたかったので)。帰り際、もしがんだった場合、3ヶ月たってこなければ随分損をすると言われ、がんだったら3ヶ月も放っておいて大丈夫なのだろうか・・・と不安がよぎり、もうひとつ別の病院の乳腺外来のあるところへ行ってもう一度調べたほうがとも考えたりします。 今回の検査時にちょうど生理と重なったこともあり、「これ自体(検査結果)あてにならないので、今度は生理後一週間してきてください」と言われました。痛みは検査日より現在はほとんどありません。しこり(平べったかった)も小さくなり、うみがたまって炎症をおこしていたような感じは今のところおさまった気もします。今まで健康体で病院とは無縁だったので、この先どうすれば・・?と思い悩んでいます。お忙しいでしょうが、何かひとつでもアドバイスいただければとてもありがたいです。どうかよろしくお願いします。

「うみがたまって炎症をおこしていたような感じ」という記載がありますが、細胞診の時に「うみ」が引けたのであるとすれば、乳腺炎(もしくは感染した乳腺嚢胞)であった可能性があります。その場合、炎症で細胞の形が変化していることがあるので、細胞診でクラスVが出ても不思議ではありません。少なくともシコリが小さくなってしまったというのは、乳癌としての所見とは一致しません。基本的に乳癌は増殖病変なので、生理の時期によって大きさや硬さに変化は起こりませんし、大きくなることはあっても、小さくなることは少ないと考えられます。しかし、細胞診での結果がクラスVである以上、何かしらの経過観察は必要だと思います。もし、現在の検査結果に不安があるようならば、生理が終了した時期を見計らって、他の乳腺外来のある病院を受診してみるのも良いと思います。乳房の腫瘤とは別問題ですが、更年期障害や精神的不安が続くようならば、婦人科や心療内科を受診することも良いことだと思います。更年期障害の治療法はホルモン補充療法だけではなく、漢方薬などの治療もありますし、もし乳房腫瘤が乳癌でなければ、ホルモン補充療法も不可能ではありません。また、更年期障害に対する精神症状に対しても、一部の抗うつ薬で効果があると言われているようなので、心療内科の先生に相談すればいらいら感などの症状も軽快するかもしれません。乳腺腫瘤にしても、更年期障害にしても、あまり焦って治療する必要はないと思いますので、気持ちを楽に持ってゆっくりと、順番に治療していくようにしてください。(文責 千島)

 

No.1391】 03年02月22日 T.K.
手術はすべきですか?

妊娠4ヶ月、42才の妻ですが、妊娠が分かる前、胸にしこりをみつけ、外科の病院で、マンモグラフィ、超音波、針を刺し細胞を取る検査をしたところ、クラスUの良性の腫瘍であるが、葉状腫瘍であるか乳腺線維線腫であるかは分からないとのことでした。妊娠が分かったため、摘出しての検査ではなく、さらに太い針で細胞を取る検査をしたのですが、確定にはいたりませんでした。この為経過を観察することになったのですが、一月後超音波で確認したところ軽度増大していました。(27ミリ×21ミリ×14ミリが33ミリ×26ミリ×14ミリ)
1) この検査では病名の確定は難しいですか?
2) さらに大きくなるようならば摘出したほうが良いですか? するとすればいつごろが良いでしょうか?
3) 摘出手術による母子への影響(麻酔とか)はありますか?
4) 摘出手術は専門の乳腺外科のが良いと思うのですが、セカンドオピニオンで今までのデーターとかはいただけるものなのでしょうか?

乳腺線維腺腫であっても、徐々に増大して3cm以上になった場合は、手術適応の一つと考えられています。通常、針生検を行えば線維腺腫か葉状腫瘍かの診断はつきますが、それでも確定診断がつかないような病変ならば、やはり腫瘤切除の適応だと考えられます。しかし、問題は奥様が妊娠状態にあることです。摘出は局所麻酔で行いますので、胎児への影響はほとんどないと考えられますが、「絶対にありえないない」とは言い切れないので、我々外科医としては、極力妊娠中の手術は避けるようにしています。通常は、妊娠が安定期に入れば手術の危険性は少なくなるので、摘出をするのならば妊娠4〜5ヶ月頃から出産までの期間ということになります。しかし手術の適応、時期については、外科と産科の主治医によく相談し、手術による利益と副作用による弊害のバランスを十分に考慮した上で決定するようにしてください。もし必要であれば、主治医にセカンドオピニオンのための依頼状作成と、検査所見の貸し出しをお願いすることも可能です。(文責 千島)

 

No.1390】 03年02月22日 S.N.
乳頭腫についての相談です

はじめまして。26歳、未婚です。乳腺外科で検査をしたら、良性の乳頭腫といわれました。「良性なので、そのままでいい、大きくなったらまた来てください。」と言われたのですが、大きくなったら何かあるのでしょうか? 悪性になる危険もあるのでしょうか? 最初は気にならなかったのですが、色々読んでいたらすごく気になってきました。それと、婦人科で、プロラクチンという乳汁分泌ホルモンが高くて治療していました。このこととも関係あるのでしょうか? できれば、小さいうちにしこりをとってもらいたいです。この場合は形成外科にかかればよいのでしょうか?

乳管内乳頭腫は、線維腺腫などの良性疾患とは違い、癌化の可能性がある病変と考えられています。特に異型性(形が不揃いな細胞)を示すものでは、癌の発生リスクが通常の4〜10倍近くになると考えられています。どのような方法で「乳頭腫」の診断を受けたのかはわかりませんが、定期的な検査を続ける必要があると思います。さらに増大傾向がある場合は、治療的診断を兼ねて腫瘤を切除するほうが良いのではないでしょうか。切除に際しては、乳腺専門医(外科医)にお願いするのが良いと思います。ちなみに高プロラクチン血症の治療と乳管内乳頭腫の発生に関しては、明らかな関係はないと思います。(文責 千島)

 

No.1389】 03年02月22日 R.K. 
マンモトーム後に乳首から出血が・・・

左胸に石灰化が見つかり、3日前にマンモトームを行いましたが、今日になって乳首からどんどん出血したので検査した病院に行ったところ、「内出血したものが出てきているのだろう。」との事で、血がとまるまで搾り出してもらったのですが・・・。不安です。今も乳首をつまむと血が出てきます。大丈夫なのでしょうか? 癌細胞に影響は出ないのでしょうか? ちなみに出産したばかりで、検査の為2週間ほど母乳を止める薬を飲んでいました。

文面から察するに、出産後の授乳中に乳房撮影で石灰化病変が見つかったようですね。授乳中は乳腺も発達、増殖しており乳管も拡張しています。マンモトームなどによる組織採取を行った場合、乳腺内での出血が乳管を通じて乳頭から出血しても不思議ではないので、持続的に出血し続けなければ心配ないと思います。出血した血液が乳腺内に溜まってしまうほうが、細菌などによる感染を併発しやすいので、主治医の言うように、できる限りの出血を搾り出して経過観察をして良いと思います。仮に石灰化病変内に癌が存在していたとしても、乳頭からの出血がもとで、癌細胞が乳頭方向へ拡散する可能性は、極めて低いと考えられるので安心してください。(文責 千島)

 

No.1388】 03年02月19日 H.T.
生理がきません

3年半前に温存療法で手術し、その後放射線療法、ホルモン療法(2年間リュープリン注射、5年間の予定でノルバテックス服用中)です。35才、既婚、1児あり、初潮9才です。リュ‐プリン終了後5ヶ月で生理が戻りましたが、昨年11月からまた生理が止まってしまいました。(生理再到来期間1年間) 閉経してしまったのでしょうか? 婦人科で診て頂いた方が良いか、もう少し様子を見た方が良いかご相談させて下さい。お忙しいところ申し訳ございませんが宜しくお願いします。

通常、40歳未満でリュープリンを2年間使用した場合、6ヶ月くらいで生理が再開することが多いのですが、卵巣機能自体が低下している場合もあるので、再開した生理が不順であったり、貴女のように生理が再停止してしまう場合も少なくありません。血液中の女性ホルモン量を測定して低値を示しているようならば、閉経となった可能性が高いと思います。もうしばらく経過観察をしていても良いと思いますが、もし気になるようならば、婦人科もしくは主治医に精査してもらうことをお勧めします。(文責 千島)

 

No.1387-1】 03年02月19日 いちご
細胞診のやりかたについて

はじめまして、こんにちは。私は35歳の独身です。個人病院(外科)で、マンモ、エコー、分泌物(黄色・透明・糸を引く)の検査と細胞診(細い注射針2本)の結果、乳ガンと診断されました。紹介状を書いてもらい、地元で有名な総合病院の乳腺外科で、エコー、細胞診(太め、ガチャンというもので少し痛い)をやったのですが、注射針の跡を見たらしこりよりも1cm程離れていましたが、届いていたのでしょうか?先生がしこりをペンで囲わず、皮膚には先日の検査の絆創膏跡があり、それがまるでしこりを囲ったように見えるため、もしや勘違いされたのでは等と心配になってしまいました。また同じ場所から3本採取したのですが、3本取る理由は何でしょうか? またそれによってどんな結果が得られるのですか? 色々な場所に刺せば広がりも一緒に見られるのでは?と素人考えで思ったのですが、同一場所にする理由があるのですか? 私のしこりは硬めで、10年位前からあり、今は3cm位です。2年半前にも同総合病院で検査をしましたが、その時の画像検査(細胞診はやらず)では特に異常がなく、三ヶ月後くらいにまた来てくださいと言われました。しかし特に変化もなかったので検診にも行かず気にしないようにしていましたら、今回初めて分泌物が出たので慌てて検査をしました。では、ご多忙中恐れ入りますが、ご回答、よろしくお願いします。このような相談室を作って頂き、ありがとうございます。

貴女が受けた検査は、針生検と呼ばれる検査で、ばね仕掛けの太い針で、シコリの一部を塊(組織)で採取し、顕微鏡診断を行うものです。細い針の細胞診では診断が難しい場合や、細胞所見と画像所見の間で見解が一致しないような場合に行います。一回の穿刺では十分な組織が採れなかったり、うまくシコリを直撃していないことがあるので、数回にわたって同じ場所を集中的に検査します。針は少し斜めにして刺すために、シコリの真上ではなく、少しはなれた場所にキズが残ります。10年位前からあったシコリのようなので、ガンの可能性は低いと思いますが、今回の針検査で白黒がはっきり判ると思いますので、今後の治療法については主治医の先生とよく相談して決めるようにしてください。(文責 千島)

 

No.1387-2】 03年04月11日 いちご
術後補助療法「抗ガン剤」について

2003年3月に左胸温存手術を受けました(35歳、未婚、閉経前)。病理結果は、「乳頭腺管癌>硬癌、浸潤経3.3×3.0×1.9cm(cut end-*)、f、石灰化なし、pT2、ly1、v1、リンパ1n1(レベルI3/16)、ER2+、PgR3+、Herseptest1+、HER2/neu蛋白は過剰発現なし」とのことで、主治医からは エピルビシン+エンドキサンを3〜4回し(5FUは必要ないと思うとの事でした)、その後、タキソール3回×3クールの予定と言われましたが、やはりリンパに転移が有る場合はこれが標準治療ということで良いのでしょうか? また他に考えられる処方がありましたらお教えください。(以前No.1387で相談させていただきました(→結果クロでした)。 今回2度目のご相談です。)

30歳代女性でリンパ節転移がある乳癌であれば、ER陽性ですので内分泌療法を受けるのは当然として、化学療法を受けるのがおそらくは安全な治療と思われます。その場合の化学療法としては主治医の先生のいわれるような治療法(AC→T)が最近よく行われている治療法です。内分泌療法のみという選択もありますが、長い人生のことを考えれば、私であれば化学療法を受けることをおすすめします。内分泌療法と化学療法をそれぞれどの順番で行うかは施設により施行方法は異なります。(文責 福間)

 

No.1387-3】 03年04月24日 いちご
抗ガン剤以外の薬について

お世話になっております。
抗ガン剤CEの投与前に、吐き気止めの「カイトリル」と一緒に「デカドロン」という薬も点滴されたのですが、この「デカドロン」は何故投与するのでしょうか? ご多忙中恐れ入りますが、この薬の役割、必要性をお教えください。

悪心、嘔吐は、化学療法を受ける患者さんが、最も高頻度に訴える副作用です。化学療法後24時間以内に発現する急性嘔吐に対して、最も治療効果の高い薬剤は、@セロトニン受容体拮抗薬「カイトリル」 A副腎皮質ステロイド剤「デカドロン」です。従って、急性嘔吐の予防として、「カイトリル」及び「デカドロン」の投与となったわけです。(文責 須田)

 

No.1386】 03年02月19日 C.O.
乳ガンの再発と膵臓腫瘍の関連について教えて下さい

はじめまして、こんにちは。初めて投稿させていただきます。現在44歳、身長156cm、体重58kgの主婦です。2000年11月に乳ガンで左全摘、左脇下リンパ全切除手術をうけ、リンパ節転移は4でした。ホルモン受容体は高かったということで、術後補助療法はホルモン療法(リュープリン注射、ノルバデックスD内服)をしてきました。元気にすごしておりましたが、手術前51kgだった体重が一時60kg以上にはねあがりました。2月の検診において腹部エコーで膵臓に影が見られ、また血液検査で肝機能の悪さを指摘され、先日腹部CTスキャンを撮りました。結果、肝臓の方は重篤な脂肪肝ということで、早急な生活改善を申し渡されました。また、薬の影響も考えられるということでアリミデックスという薬に変更されました。GOP、GPTはともに60位だそうです。膵臓には間違いなく中身の充実したしこりが、尾部に(エコーでは膿胞を疑われた)存在するそうです。「CTの画像は比較的明るく写っており、このように血管性に富んだもので、あまり悪性度の高くない膵臓の腫瘍もあったと思いますから、いたずらにおびえる必要はありません、ただ専門外なので消化器外科へ回って下さい。」と言われ、来週受診いたします。「乳ガンの再発でしょうか。」と尋ねたところ、「今の段階では何とも言えません。」とのことでした。なお、乳ガンの腫瘍マーカーに変化は無いそうです。そこでお尋ねいたしますが、乳ガンの転移、再発で膵臓にこのような症状が出現することがあるものでしょうか。また、転移でないとしたら、どのような病気が考えられるでしょうか。その治療法はありますか。この状況をどのように理解したら良いのでしょうか。乳ガン手術以後、20年来あった左足の腫瘍(血管平滑筋腫・良性)、右肘にできたしこり(病理悪性所見なし)の切除も行いました。子宮筋腫もありましたが、治療のためか自然に消滅しました。このような体質とも何か関係があるでしょうか。かなり追いつめられた気分で書かせていただいております。乱文をお許しください。どうぞよろしくお願いいたします。

肝機能障害と脂肪肝の原因は、ホルモン療法剤(ノルバデックスD)の可能性が高いので、ノルバデックスDは中止するのが良いと思います。ただ、現在44歳とのことなので、リュープリンまで中止すると、時々卵巣機能が回復して生理が再開する場合があります。このような症例ではアリミデクスは適応にならないので、完全に閉経(卵巣機能が廃絶)しているかどうかを確認してから、ホルモン療法剤の適応を決めることをお勧めします。膵臓の腫瘍についてですが、血流が豊富な腫瘍性病変(CTで造影されてくる)はあまり多くありません。乳癌の膵臓転移は比較的稀で、全身転移に起こしている高度再発進行乳癌患者様でも、20%前後の転移率と考えられています。貴女の場合は、リンパ節転移が4個のみで、他の臓器への転移は見つかっていないことを考えると、今回発見された膵臓腫瘍と乳癌との関係は少ないものと考えます。それでは、「膵臓の影」は何かということになりますが、通常の膵癌であれば、CT所見での血流は少なくなっています。考えられる診断としては、膵島細胞腫瘍、膵腺房細胞癌などがありますが、前者では難治性の胃潰瘍や糖尿病、肥満、低血糖発作(めまいや意識消失)などの症状が伴うことが多く、後者は極めて稀な腫瘍です。しかし、貴女のコメントのなかで体重についての記載がありましたが、「最近、過食になって急激に体重が増加している」ようなことがあるようならば、インシュリン産生性膵島腫瘍も考えられますので、早めに精密検査を受けることをお勧めします。いずれにしても、消化器(外)科の診断を待って、主治医と相談しながら治療を進めるようにしてください。(文責 千島)

 

No.1385】 03年02月19日 S.K.
鎖骨下のしこりについて

はじめまして、45歳主婦です。2年前乳がんの手術をしました。しこり6.5cm、リンパ転移12個、鎖骨上、下にも転移していました。今不安に思ってることがあります。鎖骨上、下のリンパにしこりが出来ることがありますか? 鎖骨下にしこりを感じます。転移なのでしょうか? よろしくお願い致します。

術後の補助療法(点滴治療、放射線治療、ホルモン療法)について、手術・病理組織学的所見についての情報が、あまりにも少ないので判断に難しいところですが、6.5cmの乳癌でリンパ節転移が12個あったのであれば、鎖骨下、もしくは鎖骨上のリンパ節に転移再発があっても不思議ではありません。CT、超音波検査などでシコリの存在が確認できれば、針細胞診などで乳癌の転移かどうかの判定がつけられると思います。できるだけ早く主治医に相談して、検査を進めるようにしてください。(文責 千島)

 

No.1384】 03年02月19日 O.S.
術後の治療について

私の妻は、現在47歳です。14年11月に右乳房の全摘手術を受けました。浸潤がん2.0x2.5と、腋下リンパ摘出後の病理検査の結果、「非常におとなしいがんなので、リンパの転移も認められないし、デメリット、メリットを考えたら抗がん剤は必要ないと思われる。ホルモン療法も、あなたの場合しなくても良いでしょう。」との医師の意見でしたが、よかったと胸をなでおろす反面、最近、ほんとにそれで再発の危険がないのか(100%ではないといわれました)心配になってきました。がんだったのに、何も治療しないこともあるのでしょうか?教えていただきたいので、よろしくお願いします。

世界的に受け入れられている術後補助療法の基準としては、腫瘤が2cm以上のものは「何かしらの補助療法を行うことが望ましい」と考えられています。と言っても、これはあくまで世界基準であって、日本人の乳癌にそのまま当てはまるものではありません。リンパ節転移が陽性の場合は再発リスクが高いので、 ほぼ抗癌剤もしくはホルモン療法剤による補助療法が適応となります。リンパ節転移が陰性の場合は、発病年齢、腫瘍の大きさ、細胞の異型度(顔つきの悪さ)、ホルモン感受性の有無を考慮しながら、主治医と患者様の相談で追加治療の適応を決定します。貴方の奥様の場合は、主治医によっても術後補助療法について意見が分かれやすい病状なので(早期でも高度進行でもない状態)、もし疑問が残るようならば、主治医の作成した紹介状(詳しい病理所見が必要)を持って、他の乳腺専門医にセカンドオピニオンを求めてみるのも良いのではないでしょうか?(文責 千島)

 

No.1383-1】 03年02月19日 F.W.
乳癌と診断されました

初めて相談します。セカンド・オピニオン的にご相談お願いします。1999年秋に左側の乳房と脇の下が何か張った様な、熱感の様な、気になる痛み?的な不快感と伴に、(乳房に)シコリが出来ました。県立ガンセンターにて受診。その時、「年とったんだよ。良性。」という見立てでした。その後、経過観察(半年に1回)で2003年まで来ました。その間ずっと、前述した脇の下の不快感は続いています。その不快感は、無論先生に相談しましたが、しょうがないんだよ・・というニュアンスでした。逆にその乳腺症特有の不快感があったからこそ・・癌ではないだろうと思っていました。ところが、2003年1月に、マンモ(カテゴリー4)、細胞診(クラス5)で癌と確定しました。質問です。
1) 乳腺症特有の、腫れぼったい感じや痛みを伴った乳癌というのは有るのですか?
2) マンモ、細胞診の結果だけで(エコー、触診の感じは良性だと先生は思ってきた)癌と確定できるのですか?
3) 左の乳房は、初めから癌だったのか?それとも変化したのか?
以上3点です。私は医療技師ですので専門的説明でも何とか理解可能と思います。ともかく、この脇の下の不快感は、今となっては、なおの事不気味です。お返事お待ちしています。 

1) 乳癌の発見のきっかけとなる症状の中で、圧倒的に多いのが「痛みのない腫瘤」であり、全体の90%を超えています。つまり、通常の乳癌は痛みを伴わないことが多いのですが、たまたま乳癌の発生母地となった乳腺が、乳腺症を合併しているような場合は、乳癌周囲の乳腺からの「腫れぼったい感じや痛み」を伴っても不思議ではありません。
2) 乳癌専門医が、マンモグラフィでカテゴリー4と診断すると、乳癌である確率はおおよそ60%位といわれています。専門の病理医が、細胞診でクラスXと診断した時は、98%以上の確率で乳癌といえます。さらに診断を確実にするため、通常は同じ細胞の標本を、2人が別々に診断する「ダブルチェック機構」を採用しています。最終的には組織診断(癌の一部を塊で取ってきて顕微鏡で診断する方法)が判定するまでは、「100%確実」とはいいかねますが、検鏡した2人がともにクラスXと診断していれば、やはり乳癌の可能性が高いものと考えます。
3) 今となってはなんとも言えませんが、3年前のシコリと同じ部分の細胞診からクラスXが出たのならば、初めのシコリが癌であった可能性は否定できません。乳腺症の中にも、「前癌病変」と考えるものと、癌とは 全く関係のない「生理的変化の一部」と考えるものとがあります。乳腺症の中でも、異型乳管過形成と呼ばれる病変は前癌病変の一型と考えられており、この病変が10〜20年以内に浸潤性乳癌まで変化する確率は、全く乳腺症のない同年代の女性と比べて4〜5倍といわれています。現在、日本女性人口10万人当たりで、35人程度の新規乳癌患者様が見つかります。言い方を替えると、日本人の女性は75歳まで生きると30人に1人の割合で乳癌に罹患します。そのことを考えれば、乳腺症の周囲に、この3年間でたまたま乳癌が発生してきたとしても不思議ではありません。真実は「神のみぞ知る」といわざるを得ないのが実状です。(文責 千島)

 

No.1383-2】 03年03月04日 F.W.
手術の選択について

前回はありがとうございました。再びお願いします。左乳房に3年前から経過観察していた(乳腺症特有の熱感と腫れぼったさと一緒に存在していた)シコリが今年2月にABC穿刺でクラス5となり、3月中旬に手術となりました。それは決定なのですが、その左乳房のシコリとちょうど対象の位置に(つまり右乳房にも)、1年前ぐらいからシコリが出来ました。その右乳房は、今年の2月でのABC穿刺でクラス2です。主治医から、この様な鏡に映ったように左右対象に出来るシコリは、将来、左と同じように癌化する可能性大なので、今回の手術でついでに摘出するのも一つの方法だと言われました。判断は任されました。そのまま様子見で、癌化したら、再び手術か? どうせ左乳房を手術するので、ついでに右にシコリも取るか?どちらの選択が、良いと思われますか? 御回答よろしくお願いします。

画像診断にもよりますが、腫瘍性のものであれば左側の手術の全身麻酔の際に摘出して診断をつけておいた方が安心と思います。(文責 徳田)

 

No.1382】 03年02月18日 kuni
温存術後放射線療法による皮膚の瘢痕化

初めてメールします。私は乳がんで温存術後放射線療法を受け、あと二回で終了する予定です。直接の放射線による副作用ではないのですが、放射線を受けるために付けたマーキングの液にかぶれてしまい、強いかゆみと発赤・膨りゅう・水泡形成してしまいました。今の私の胸は線が縦横斜めに入ったまま、薄茶色に瘢痕化してしまいました。あと一ヶ月で結婚式なのですが、ドレス選びに苦労しています。この創はどうすればきれいになるのでしょうか?少しでもきれいになりたいと思って、メールしました。放射線技師さんにも「こんなにキズが残る人はみたことない」といわれました。手術後、ガーゼをとめるテープでもかぶれ、手術創よりも目立っています。そのキズたちをみるたびに落ち込みます。ご助言よろしくお願いします。ちなみに油性マジックではなんとか大丈夫でした。
もうひとつ、ホルモン感受性があるので、ホルモン療法を受けなければいけないのですが、結婚・31歳年齢的なことを考慮して出産直後から治療開始の予定です。放射線治療終了後しばらくしてから妊娠を考えていますが、それで大丈夫でしょうか?

皮膚がかぶれた後の色素沈着は、通常は時間と共に薄くなっていきます。貴女の場合は特に瘢痕が残りやすい体質のようですね。一般的な注意としては、日光などの強い紫外線にあたると色素沈着が強くなるので、キズが落ち着くまでは胸あきの服などを着るのは避けて、出来る限りキズが隠れるような服装をするように心がけてください。また、機械刺激によっても色素沈着が増悪する可能性があるので、痒みを伴ってもあまり掻き壊すことのないようにしてください。瘢痕の問題は、外科医よりも皮膚科医のほうが詳しいと思いますので、あまり気になるようならば、皮膚または形成外科等を受診するようにしてください。もう一つの質問についてですが、若い乳癌患者様で一番問題になるのが妊娠、出産の時期だと思います。手術時の病期、病理学所見にもよりますが、妊娠自体が乳癌細胞に影響することもあるので、通常は術後補助療法(特にリンパ節転移があるような場合)が終了して、1〜2年経ってから妊娠するようにお勧めしています。ただし、患者様によって社会的立場、考え方が異なっているので、最終的には乳癌に対する治療の必要性と再発リスク、挙児希望のバランスによって、主治医と十分相談してから決めることをお勧めします。(文責 千島)

 

No.1381】 03年02月18日 M.M.
乳首にできた吹き出物について

こんにちは。初めて投稿させていただきます。私は31歳で独身ですが、数日前から右胸が痛むと思っていたら、乳首のすぐ横(乳リン)に吹き出物ができていました。少し抑えると白い膿みがでてきました。それから数日後、まだ痛むので今度は触ってみるとその吹き出物を中心に小さなシコリをみつけました。少し触れるだけで痛いです。左胸と比べると明らかにシコリとわかる大きさのものです。乳がんと何か関係があるのでしょうか? 不安になったのでメールしました。お返事お待ちしております。

女性の乳輪には、モントゴメリー腺というタンパク質や糖分などを含んだ乳様物質を分泌するボツボツが存在します。おそらくその中の一つに細菌感染が起こり、膿がたまった状態になっているのだと思います。癌との関係はありませんが、悪化すると切開が必要になる可能性があるので、シコリが大きくなる、もしくは痛みがひどくなるようならば、乳腺外科、もしくは皮膚科を受診して適切な治療を受けてください。(文責 千島)

 

No.1380-1】 03年02月18日 youko
母の乳がんについての相談です

はじめまして。母が乳がんになり不安でいっぱいで相談させていただきたいと思います。よろしくお願いします。母(56歳)は年末に乳がんを宣告され、1/20に手術を受けました。ステージはU、硬がんといわれました。しこりはなく石灰化したものがあり、最初は早期ですから大丈夫ですよと言われていましたが、手術をしてみたらリンパに10個以上の転移があるとのこと。大学病院に転院してタキソールの投与と放射線を5週間、その後もとの病院に戻って抗がん剤を受けることになりました。今週大学病院に移ったのですが、そこの担当医から、「あなたのがんはタチが悪く転移の可能性が50%あります。」と言われ、母はかなりショックを受けています。病理の結果もまだ出ていないと言われていますが、その段階でタチが悪いとかどうかわかるものなのでしょうか? リンパへの転移が10個以上だとかなり危険な癌なのですか? 来週には病理検査の結果を聞きにいきますが、これだけは確認しておいた方がいいことはありますか? 入院してから1ヵ月は母のそばにいたのですが、私は実家から離れたところに住んでいて、今後のことが不安です。アドバイスお願いします。

おそらく主治医は、「リンパ節転移の数が多い」と考えたために、「タチが悪い」とおっしゃったのだと思います。実際、これから先、治療を進めていく上では、乳房内にあった腫瘤の大きさ、癌細胞の異型度(細胞の形や分裂速度で決まる)、ホルモン療法剤への感受性の有無、組織学的リンパ節転移の数、乳癌が持っている特殊な遺伝子(HER2遺伝子)の発現強度などの病理学的所見が重要となってきます。最終的な治療法の決定は、病理結果が揃ってから決定することになると思います。乳癌ではリンパ節転移の数によって、ある程度の再発率が統計学的にわかっています。しかし、適切な術後補助療法を受けることで、再発率を1/3から1/2位まで減らすことも可能なので、これから使用する抗癌剤の効果とその副作用について、主治医から十分に説明をうけて、適切な補助療法を受けることをお勧めします。(文責 千島)

 

No.1380-2】 03年03月26日 youko
母の乳がんについての相談です(2)

回答ありがとうございました。その後(手術後)、放射線治療をしながらハーセプチンとタキソールを週1回投与しています。そこで度々で申しわけありませんが、幾つか質問させてください。
1) ハーセプチンはHER2が陽性で転移性がんに使うとインターネットで見たのですが、そんなタチの悪そうなものは完治するのでしょうか?転移性というのが気になるのですが・・・。
2) 放射線は5週の予定でしたが、先生が「最後のチャンスだから6週にしましょう」と言われたそうです。最後のチャンスということは、再発した場合はもう使えないということでしょうか?
3) 放射線と抗がん剤治療は今月末には終わり、後は通院で抗がん剤ということになっています。こんなにいろんな治療をして、完治すればいいのですが、もし再発したら治療法はどうなるのでしょう? 再発率は50%といわれているので不安です。(完治する可能性が50%と考え方を変えたほうがいいのかな・・・)
4) 乳がんは遺伝すると聞いたことがありますが、やはり娘の私も乳がん検診はした方がいいのでしょうか? 私は33歳、既婚ですが、まだ子供はいません。子宮だけはがん検診していましたが・・・。他の検診も受けた方がいいのでしょうか?

たくさんの質問をしてすみません。毎日、母のことばかり考えてしまって、少しでも不安が解消できたらと思い再度メールさせていただきました。実家が遠く直接母の主治医に聞くこともしなかったので、たくさんの質問ですが、よろしくお願いします。

1)おっしゃる通り、ハーセプチンは、転移性乳がんに使われるお薬です。ですが、前回の質問も読ませていただきましたが、お母様の主治医の先生は再発予防の術後補助化学療法で使われているようです。脇の下のリンパ節以外の転移があるようではなさそうなので、一般的な使われ方ではありません。遠隔転移があるのかどうか、主治医の先生にお聞きになる方がよろしいと思います。
2)温存術後の残った乳腺に放射線をかけるわけですが、残った乳腺に再発した場合、基本的に放射線はもうかけられません。切除したしこりの周囲ぎりぎりにがんが迫っている場合、その近くの乳腺に10グレイ追加照射します。約1週間になります。期間を置いてかけることはないので、最後といえば最後ですが、誤解を招く言い方のように思います。
3)一口に再発といっても、局所再発(残った乳腺や、脇の下のリンパ節〜取り残しのようなものがあった場合)と遠隔転移による再発(肺、骨、肝など)では、治療の選択肢が異なります。一般的には、化学療法(抗がん剤)や放射線療法を組み合わせた治療を行うことになります。
4)乳がん検診はした方がいいです。早期発見、早期治療です。

おそらく、この答えを読んでまたいくつかの不安点が出てくると思います。お母様の治療が一段落したところで、主治医の先生と直接お話されることをお勧めします。(文責 緒方)

 

No.1379】 03年02月18日 tets  
PETについて

去年の4月に乳がんの摘出手術を受けた29歳です。リンパ節転移は無く、乳房の4分の1を切除し、術後に CMF療法と放射線治療を受け、現在は2ヶ月に一度の通院で様子を見ている状態です。といっても、約1年近くの間、血液検査もレントゲン撮影もしていません。他の患者さんの例などを見ると、もっと頻繁に血液検査やレントゲン撮影をされているようなので、この状態でいいのか心配です。先日、母が TVで PETという検査装置について知ったらしく、私にもその検査を受けてみてはどうかと言うのですが、私はその番組を見ておらず、 PETがどういうものかもよくわかりません。しかし、もしそれで癌の再発が早期に発見でき、早いうちに治療を始められるのならば、是非受けてみたいとは思うのですが、その装置がどんな癌にも有効なのかどうか、また、検査を受ける時期はいつ頃が効果的なのかなど、お教えいただけたらと思います。どうぞよろしくお願い致します。

乳癌の術後検査については、賛否両論があるのでコメントするのが難しいところです。しかし、乳房温存術後の温存乳房と、対側乳房のマンモグラフィに関しては、有効な検査であることが証明されているので、温存手術を受けた人は、1年に一回をめどに、マンモグラフィ検査を受けることをお勧めします。再発病巣に対する検査には、血液検査、CT検査、超音波検査、骨シンチグラムなどの方法がありますが、どれをとっても決定的に有効な検査法はありません 確かにPETも全身の微小再発巣を発見するのには優れてはいますが、限られた範囲でしか保険は適応とならないし、1回の検査料だけで7万5千円なので、付随する検査等も含めれば10万円以上かかりますし、決して日常的に行う検査ではありません。通常は、血液検査等で再発の可能性が強く疑われるにも関わらず、CT、シンチ等の通常検査手段でどうしても再発部位が発見できない場合に、最終手段として選択される検査です。また、PETだけでは偽陽性になる場合もあるので、確定診断のためにはPET単独ではなく、必ずCT等の補助検査とあわせて診断を行うべきであるとされています。往々にしてマスコミは光の部分だけを報道し、影の部分はカットしてしまうことが多いので、むやみにマスコミ報道に振り回されないようにしてください。現代のように情報が氾濫する中で、いかにして適切な情報を、必要な分だけ吸収するかは、とても難しい事だと思いますが、最も効率よく知識を吸収する方法は、正確な専門知識を十分に備えている、貴女の主治医に相談するのが一番だと思います。(文責 千島)

 

No.1378】 03年02月18日 S.N.
乳癌術後治療について

37歳、クラス5で右乳房切除、リンパ節郭清を昨年11月に受けています。病理組織診断はInvasivie ductal carcinoma of the right breast、核異形の中等度ある類円形の腫瘍細胞が小胞巣を作って索状に密に増殖する局面が、境界不明瞭に拇指頭大ほどの範囲で認められ、周囲の乳腺組織内には、多数のリンパ管浸襲による広範な広がりを示しており、乳腺のほぼ全体を占める。Invasive duct carcinoma  scirrhous carcinomaです。乳腺直下で皮膚のリンパ管浸襲あり(s).margin(-)。 リンパ節転移ありn1(2/11)#1(2/7)#2(0/2)#4(0/2)。 免疫組織化学的検索ではER(+) PgR(-) cerbB-U(-)。12月9日より 5FU(ユウエフティE顆粒」1日1.5g)内服しています。ホルモン治療はされずにいます。この治療に最近疑問をもっているにですが、好ましい治療でしょうか?

貴女の病理所見をまとめてみましょう。組織型は浸潤性乳管癌(硬癌タイプ)、リンパ管侵襲は高度で乳腺全体に及んでいる。乳頭直下の皮膚にはリンパ管侵襲(真皮リンパ管浸潤?)と皮膚浸潤がある(s)。核異型度は中等度で、リンパ節転移は4/22個。ER(+)、PgR(−)、HER2(−)ということになるようです。さらに手術前に乳房が炎症のように赤く、やや熱をおびていたとなると、炎症性乳癌であった可能性もあります。この病理・臨床所見に加え、37歳という年齢を考えると、UFT−E 1.5gの内服だけでは不十分といわざるを得ません。通常であれば、抗癌剤の点滴治療を3〜6ヶ月行って、その後にホルモン療法剤を加えるか否かということになると思います。ERのみが陽性なので、ホルモン療法剤は30%位で効果が期待できます。貴女が受けている治療は、あまり一般的な治療とはいえないようなので、もう一度術後補助療法について主治医とよく相談することをお勧めします。もし、その説明に納得がいかないようならば、他の乳腺外科医宛に紹介状を書いてもらい、セカンドオピニオンとして相談に行くのも良いと思います。(文責 千島)

 

No.1377】 03年02月18日 S.K.
転移したリンパ節が鶏卵大、手術は有効ですか?

40歳の妻が乳癌と診断されました。触診、マンモグラフィー、エコー検査の結果です。5年位前に左腋の胸寄りの所に、小豆粒大の盛り上がったしこりが出来ました。その後そのしこりは大きくなることもなく現在に至っています。しかし、2年位前にそのすぐ横に同じようなしこりが出来ました。後から出来たしこりは徐々に大きくなり、現在ではゆで卵を縦長に切ったような大きさで、瘤になって突出しています。表面は赤みを帯びてきています。かなり硬い瘤です。触っても痛みはありません。はじめに出来たしこりが大きくならなかったので、油断していました。一週間前に病院に行き、触診で「まず癌に間違いない」と言われ、マンモグラフィーをとり、数日後エコーの検査を受けました。「左乳房の左上に癌がある。腋の瘤は乳癌のリンパ節転移。原発病巣よりも、リンパ節に転移した癌の方が大きくなっている。転移リンパ節もひとつではないようだ。すぐに入院して手術しなければならない」と言われました。腋の瘤と乳房の原発病巣は、触った感じでは筋状のしこりでつながっているように思います。左下乳房にも筋状の大きなしこりがあるのですが、これについては癌ではないようです。医師が断言するのですから、誤診は考えられないのでしょうが、最初のしこりが出来た時期や、あとから出来たしこりの方が大きくなっていることなどをどう考えればよいのでしょう? 5年前にすでにリンパ節に転移し、その数年後に別のリンパ節に転移したものが成長したということなのでしょうか? 細胞診や組織検査をしなくても、乳癌・リンパ節転移と断定できるのですか? なお、5年位前から妻はピルの服用をはじめました。
医師の立場からは「手術が必要」と言うのは当然のことだとは思います。しかし、親しい人が5センチの乳癌を手術して、その後何度も手術を繰り返し、衰弱しきって2年足らずで他界しました。手術するまでは非常にお元気な方でした。また、別の親しい方が、かなり進んだ肝臓ガンを民間療法で治し、5年後の今もお元気に暮らしておられます。民間療法で癌を治した人を、他にも知っています。今の妻の状態で手術を受けた場合の、予後の見通しについてご意見を伺いたいのです。もちろん、確率的なことになるとは思うのですが、それで結構ですし、今後のことを決める参考にさせていただく情報が欲しいのです。例えば、2〜3ヶ月間民間療法を試みたあと、全く効果がなければ手術を受けるのは決定的に危険度が増すでしょうか? お忙しいところ申し訳ありませんが、どうかご経験に基づいたご意見をお聞かせください。

頻度は少ないのですが、乳房の原発病巣よりも、腋の下(腋窩)にある転移リンパ節のほうが早く大きくなる乳癌があります。極端な場合は、乳房には癌が発見できないにもかかわらず、腋窩のリンパ節だけで乳癌が発見される場合もあります。貴方の奥様の乳癌についての質問内容をまとめてみます。まず、「左乳房の左上の癌」が、5年前から認めている小豆大のしこりと同一のものであるのかが問題となりますが、文面から推察しますと、乳房内のしこりと小豆大のしこりは別のもののようですね。そう考えると、今回は5年前からあったリンパ節転移が拡がってきたというよりは、気がつかない所にあった乳癌が、2年位前から腋窩に転移して徐々に大きくなり、最近は皮膚に顔を出しつつある状況であると考えられます。しかし、一番大切な病理学的確定診断がないので、乳癌以外の悪性疾患(悪性リンパ腫等)も完全には否定できません。手術を含め、治療を開始する前には必ず細胞診、もしくは組織診で確定診断をつけるべきでしょう。実際には確定診断はついていないのですが、ここから先は診断が乳癌であったと仮定して回答します。乳癌の進行度(病期という)は、原発腫瘍の大きさや状態、リンパ節転移状況、肺、肝臓、骨などの遠隔転移の有無で決定します。この文面だけでは、乳腺内に原発腫瘍があり、腋窩のリンパ節は鶏卵大であるという情報しか分かりません。問題になるのは「原発腫瘤の大きさが何cmあるのか?」、「皮膚へ癌が顔を出していないか?」、「胸骨の後にあるリンパ節は腫れていないか?」、「肺、肝臓、骨には転移がないのか?」であり、残念ながら、これらの状況が分からないと十分な病期診断が出来ません。乳癌の病期は0期からW期まで7段階に分類されていますが、治療法はVA期とVB期で大きく変わってきます。一般的にVA期までは手術療法を先行させる場合が多いのですが、VB期になると抗癌剤による化学療法を先行させることが多くなります。ただし、乳房温存手術を希望するような場合では、VA期より下の病期でも化学療法を先行させる場合があります。貴方の奥様について考えてみると、乳房左上の皮膚に顔を出しているしこりが原発腫瘤の一部と考えるならば、病期はVB期になるので、抗癌剤の投与が先になる可能性もあります。さらに詳しい治療法のオプションについては、主治医とよく相談して決めるべきでしょう。現在の時点では、一般的に行われている乳癌治療法に比べて、民間療法の方が治療経過が良いという事実(エビデンス)はないので、私個人の意見としては、2〜3ヶ月もの長い間、民間療法で病気を進行させてから通常の治療を開始するのは、得策とは思えません。(文責 千島)
 

 

No.1376】 03年02月16日 oha
非浸潤癌について

43才主婦です。手術以来、思い悩んでいる事がありまして、相談させていただきます。8ヶ月前、左胸に2cm弱のしこりがあり、ある大学病院で温存手術し、リンパ節廓清もしました。術後の病理検査の結果、非浸潤性乳管癌でした。手術前の説明では、「癌が転移しているか調べるためにリンパ節を廓清する」と聞いていたので、「非浸潤性乳管癌だったのに、なぜリンパ節廓清が必要だったのですか」と尋ねると、「術中の検査の時も非浸潤性乳管癌だったんだけれども、術中検査で非浸潤性乳管癌でも、浸潤性乳管癌の人が多いので、あなたもそうだと思い込んでいた。」「体内にガーゼを残したようなミスではない。」「あなたが、最初からこの病院に来ていたなら、僕はもっと太い針で吸引し、細胞の並びまで調べて、非浸潤癌かもしれないと思って手術しただろう。僕はA病院の細胞診の結果に振り回された。こうなったのは、あなたが最初からこの病院に来なかったからだ。」(私は最初A病院にいき、乳癌を告知され、細胞診4という結果を持って、この大学病院を訪れたのです。)と主治医に言われ、ショックを受けました。放射線は30回照射しました。薬は飲んでいません。2ヶ月に1度の経過観察のみです。手術してもらった病院で、ずっと診ていただくのが一番いいと思って通院していますが、この主治医に命を預けていて大丈夫なのだろうか、という不安感がぬぐえません。転院したほうが気持ちも切り替わっていいのでは、と思いますが、転院したときのマイナス面というのはありますか。マイナス面があまりないようなら、転院しようかと思っています。そのほうが、自然治癒力も高まりそうな気がします。ただ、もう後悔する選択はしたくないと思っています。よろしくお願いします。

非浸潤癌かどうかについては、摘除した乳腺を全割(標本を作るために全部切ること)して調べ、浸潤している部分が無いことが確認されて、結果的に非浸潤癌であったと解るのです。生検で非浸潤癌といわれていた患者さんの手術をしたところ、近接した場所にごく一部浸潤していることが乳腺の全割によりわかったことを経験しております。大筋ではあなたの主治医の手順は間違っていないと思います
日常診療では乳癌とわかった場合、いろいろ話をすることになります。診断、手術、放射線療法、内分泌化学療法等、話の内容はどの患者さんにも共通なこともあれば、その他の部分では人の顔が一人一人異なるのと同じように内容はさまざまです。乳がん治療に対して、医師および患者さんが、共に情報を共有する必要があるからです。現在、日本では主に外科医が乳癌の診断、手術、術後治療、再発治療をおこなっています。病状や治療方針について十分に時間をかけて詳細に説明し、患者さん自身が乳癌(の治療)を理解できるように援助する必要がありますが、時間的、人的問題から、多くの施設では体制が十分とは言えません。これを補うために、主治医、病理医、放射線医、精神科医、薬剤師、看護師、ソーシャルワーカー等からなる"チーム医療"の動きができつつあります。患者さんが乳癌(の治療)を理解できるような援助体制作りを整えようということです。診断と治療に関して、主治医とどのような行き違いがあったのかよくわかりませんが、もう一度納得がいくまで、充分ご相談なさってみてはいかがでしょうか。貴女の病状について、一番良く把握しているのは主治医なのですから・・・。それでも疑問が残る場合は、紹介状をもらいセカンドオピニオンを求めるのもひとつの選択肢かもしれません。マイナス面はあまりないはずです。(文責 須田)

 

No.1375】 03年02月16日 I.T.
抗ガン剤点滴方法について

はじめまして、私44才、昨年夏に乳房温存手術を受け、現在も術後補助療法で抗ガン剤治療を受けています。今回抗ガン剤の作用・副作用を左右する要因について質問させてください。私の場合、ACとタキソールを4週毎交互に点滴しており、残すはタキソール、AC、タキソールとなりましたが、振り返ってみてこれまでのAC点滴において副作用がの出方に違いがありました。初回は悪心、吐き気、めまい、膀胱炎、便秘などにみまわれ、回復に2週間かかりましたが、3回目は4、5日で元気になりました。それには点滴の速度と水分のとり方が関係しているように思えますが、どうでしょうか。つまりゆっくり点滴して(看護婦さんに自分からお願いしました)水分を十分補給する(飲水2リットル程度)方が、膀胱炎の程度が軽い、血管の炎症が軽い、吐き気からの回復が早い感があります。たった3回の経験かもしれませんが、他にもそのような記述をみたことがあります。しかし一方では、副作用が軽い分、血液中の薬剤濃度が低下するなどで抗ガン作用も弱まるのではとの心配もあります。あと3回ですが、しっかりがんをたたくためには副作用など二の次で、短時間に点滴を終える方がよいのかとも思います。そこで、抗ガン剤についての効果的な点滴方法や水分摂取による代謝の影響などについてどのようなことがわかっているのかお教えください。よろしくお願いします。

抗癌剤の効果と副作用に何が関与しているかと言う質問になるかと思います。抗癌剤の効果と副作用について別々に考えてみます。横軸に血中の薬物濃度、縦軸を効果の程度または副作用の程度で表します。血液中の薬物濃度が増加するにしたがって抗癌剤の効果は曲線的に上昇しますが、あるところで一定になり横ばい状態で、全体として直線的にはなりません。多くの抗癌剤を投与して血中の薬物濃度を増加させても、最大効果は一定以上あがりません。目的とするがん細胞の薬物感受性が大きく関与しているからです。副作用については抗癌剤の薬物代謝に関係しており、血液中の濃度と副作用は直線的関係にあり、抗癌剤を増量すれば副作用も強く出ます。従って、一般的には最大限の効果が得られ更に副作用が少ない量を表より求めて、投与量を決めることになります。また、効果や副作用には個人差があります。薬物の代謝速度は薬物代謝酵素により決まりますが、これが個体間で遺伝的に決定されていて差があるため、副作用の出方が個人により異なる訳です。また抗癌剤の効果についても、治療中にがん細胞内にP糖タンパクという蛋白を多く持つようになった細胞では、この蛋白が抗癌剤をがん細胞内から外へ汲みだすため、治療効果が上がらなくなってくるひとつの原因となっています。このように抗癌剤による効果と副作用の相関は認められず、個人によっても異なってきます。自分の場合はどうかというのは、なかなか難しいことですが、主治医によく伺ってください。(文責 須田)
 

 

No.1374】 03年02月16日 R.W.
ゾラデックス終了後の月経回復について

右乳がんで温存療法施行。病理で、約1cmの硬ガン・一部脂肪織浸潤・グレードU・断端陰性(術後照射無)・ホルモンレセプター共に90%以上陽性・見張りリンパ節生検で1ケの転移あり。術後療法としてゾラデックスのみを勧められ、45才2ヶ月から開始しました。24回終了後6ヶ月目から一日数回下着を換える位の多量のおりものが3週間続いた後、基礎体温で9日間の高温期の後、生理になりました。主治医から年齢的な事もあり閉経すると言われておりました。月経回復した事で何か病気に対して不利な面はあるのでしょうか。ご教示頂けたら幸いです。尚、妊娠・出産共皆無です。

LH―RH(luteinizing hormone releasing hormone)やLH-RHaは、視床下部より分泌され、下垂体門脈を経て下垂体の性腺刺激細胞に働き、luteinizing hormone(LH)や、follicle stimulating hormone(FSH)等の性腺刺激ホルモンの分泌を促します。高濃度のLH―RHやLH-RHaを連続投与するとLHとFSH、続いて性ステロイドが一過性に上昇しますが、投与の継続によりLH、FSHの分泌は抑制され血中の性ホルモン濃度も去勢時のレベルに低下します。完全な無月経となり、更に継続的な投与によって無月経が持続し、卵巣を摘出した時と同等の効果が得られます。薬物の中止により約6ヶ月で月経は再到来します。このように可逆的ではありますが、年齢によって到来率が異なり、若年者ほど高いと言われています。
貴女の場合、存在が不確実な微小転移を標的としてゾラテックスを2年間使用したわけですが、1999年のASCOでこのような術後補助療法の有用性は証明されています。しかし、何年間の投与が良いかを推奨する試験結果はありません。したがって、リンパ節転移があったことを考慮して、更に補助療法を続けるとすれば、抗エストロゲン剤のタモキシフェンを使用するかどうかということになると思います。主治医とよく相談されることをお勧めいたします。(文責 須田)

 

No.1373】 03年02月16日 H.O.  
乳腺のう胞症の疑い

初めまして、会社の婦人科検診にて、「左乳腺のう胞症の疑い、要観察3ヶ月後、再検査」との結果がでました。自分自身では違和感等の自覚症状もなく、また目で見ても良く分りませんが、近い内に病院へ行こうと思っています。婦人科、外科どちらへ受診したらよろしいのでしょうか? ガンになる事もあるのでしょうか? 溜まった水を抜くとありますが、どの様に処置するのでしょうか? 不安です。年令48歳、子供2人です。ちなみに、子宮細胞診クラス1、骨量測定 区分2でした。よろしくお願いいたします。

現在日本では手術を含めて乳癌の治療は、主として外科で行っております。従って、乳腺疾患については乳腺を扱っている外科を受診したほうがよろしいと思います。乳腺のう胞についてですが、それ自体は悪くは無いのですが、のう胞のような良性の疾患のある方と何も所見の無い方を比較すると、乳腺の疾患がある方のほうが、一生の間に乳癌が発生する確率が4倍高いと言われています。乳腺のう胞内の内溶液に含まれている細胞が癌であるかないかを調べるため、乳腺のう胞吸引細胞診を行うことになります。吸引細胞診は静注針に20mlのピストンを付け吸引しながら乳腺内溶液を採取しますが、痛みは注射と同じです。判定は病理医がしますが、正常がクラス1、癌はクラス5、癌の細胞ではなく、正常の細胞でもなく、つまり解らないがクラス3とします。クラス2はクラス1に近いもの、クラス4はクラス5に近いものと判断するのです。主治医は、この病理医のクラス判定を参考にして、次の検査や治療を含めた方針を立てることになります。
一般に細胞診のクラス判定では、クラス5であれば癌と言えますが、クラス1とかクラス2とかの場合、どこの細胞が採れてきているか解らないので、癌でない場合と癌の部分が取れていない場合の両方が考えられます。従って、この場合は癌でないとは結論付けられません。(文責 須田)

 

No.1372】 03年02月16日 N.M. 
胸の痛み

初めてご相談します。現在30歳です。そして、まだ病院に行っていないのですが、妊娠2カ月になります。妊娠検査薬で妊娠の確認をしてから、最初両胸が張ってる感じで触ると痛く、妊娠したから痛いと思い深く考えなかったのですが、ここ数日右胸だけ、触らないのに軽い痛みを感じます。私の母が昔、乳がんになっており、私にも気をつけるよう言われていたので、気になりだし、相談した次第です。これは妊娠しての痛みでしょうか? 乳がんの恐れがあるのでしょうか? 来月のあたまに病院に行こうと思っているのですが、遅いでしょうか? どうぞ、よろしくおねがいします。

妊娠に伴ったホルモン環境の変化による乳腺の変化が一番考えられます。まずは産婦人科へ行き、妊娠の診断を受けるようにしましょう。また乳癌を心配されておりますので、念のため乳腺を扱っている外科を受診して検診を受けられるとよいと思います。もちろん妊娠されていると思いますので、乳房撮影はおこなえません。視触診と超音波検査になると思います。(文責 須田)

 

No.1371】 03年02月16日 M.K. 
左腋下の腫れについて

現在30歳で、8才と6才の2児の母です。左腋の下に腫れがあり気にしていた時に地域の乳がん検診(14年8月)を受けました。腋の下の腫れの事を診察した医師に伝えると、乳腺外来に行くように紹介されました。触診では乳房には特に問題になる所はなく、マンモグラフィーと超音波検査を受けました。今の段階では、乳がんではないとのことでしたが、リンパ節が腫れているので、6ヵ月後にまた超音波を受けるように言われました。リンパ節の腫れは両腋にあります。丸い形ではなく(私の印象では)、筋張った感じで乳房に近い位置から腋下の真ん中あたりまでで、触ると痛いです。(この副乳ではと言われた所の他に、筋張った感じのがあります。)
生理近くになると、この腫れの部分も大きくなり、生理が終わってしばらく経つと小さくなります。腋の下の温度が高くなる事もないように思われます。(36.3〜36.6ぐらい) 左側の方が大きいです。気になりはじめてからですが、大きくなったり小さくなったりしています。関係あるかどうかわかりませんが、6年前に出産した時に副乳ではと言われました。両脇にありましたが、すっかり忘れていました。その他の病歴では、子供の頃から大きな病気はした事がありません。2年前に無菌性髄膜炎、昨年は骨髄炎になりました。髄膜炎は同じ時期に子供が先にかかりました。(地域で流行りました。) 骨髄炎は、左顎の骨に埋まった親知らずを抜いた時になり、入院しました。半年前にMRIで経過をみましたが、完治していないと言われています。(抜歯したのは1年半前です)
家族や親戚に乳がんの人はいないと聞いています。前回の検査から半年が経ちましたので、また検査を受けますが、今後どのような点に注意して過ごしたらよいでしょうか? 6才になる子供が障害児で全介護のため、肉体的にも精神的にも疲れが溜まっています。子供たちの事が心配で、どうしていいかわかりません。今は乳がんと診断されているわけではないのですが、もしかしたらと考えると・・・。アドバイスをよろしくお願いします。

腋の下の腫れについては、「@6年前に副乳と言われていること、A生理が近くなると腫れ、生理が終わると小さくなる。」ことを考慮すると、現在も副乳があると思われます。また、リンパ節の腫れを超音波で経過観察すると言われていることから、リンパ節腫脹と両方あると推測されます。副乳自体は放置しても心配無いと思われます。リンパ節が腫れてくる病気は乳腺疾患もありますが、頚部、腋下、鼠径部などのいろいろな場所のリンパ節が腫れてくるリンパ節自体の病気があります。悪性リンパ腫といいますが、更に調べるとすれば、リンパ節の吸引細胞診、リンパ節生検、CT等があります。今後の注意点は、リンパ節が腫大していくかどうかを定期的に見ていくことです。従って、心配なことはいつでも主治医に相談できるようにコミュニケイションをとりながら、忘れずに,嫌がらずに検診を続けることです。(文責 須田)

 

No.1370】 03年02月16日 R.A.
切開摘出生検に関するご相談

初めまして、33歳独身です。昨年10月末、右胸乳輪の1cmほど外側にしこりがある事に気づいてからこれまでに2つの病院にて検査を受けました。先週どちらからも「切開摘出生検要・・・どうするか考えてきて下さい。」といわれました。しこりを触っても痛みはありません。
1)病院A (マンモ・エコー・細胞診・生検)
“細胞診・生検”の結果はすべて「良性」でしたが、しこりの大きさが2cm程で悪性の疑いがある為、「切開摘出生検要〜部分麻酔にて3センチ切開」
2)病院B (マンモ・エコー・CT)
病院Aでの細胞診・生検の事を説明した結果、万が一悪性だった場合、むやみに針を刺す事により悪性の組織を散らしてしまうので保留、CT画像より良性とは断言できない為、「切開摘出生検要〜部分麻酔にて数センチ切開」

これ以上他の病院にて検査しても同じ結果なのでしょうか?どうしても切開してしこりを摘出し病理検査しなければ「良悪」の判断がつかないと言うのであれば仕方ないのですが、数センチでも切るという事は重大な決断で、他に手段は無いのか色々検索しておりますがあまり掲載されてなくわからないのです。早く決断した方が、万が一悪性だった場合や精神的にもいいとは思うのですが、部分麻酔での処置において、緊張しずぎ?精神的に不安定になって?かは解りませんが、気絶してしまうケースが多々あった為、正直恐いです。例えば全身麻酔での切開をお願いした場合は体へどのくらい負担になるのでしょうか? よろしくお願い致します。

A病院でもB病院でも、悪性でない事を確認するため生検を勧められていますので、サードオピニオンを求めたとしても、おそらく生検を勧められると思います。生検の方法としてはマンモトーム生検や切開生検があります。マンモトーム生検では皮膚の創は小さいけれど針を刺すことにより悪性の細胞を蒔き散らす可能性があります。この可能性がいやな場合は、切開摘出生検ということになります。私どもの病院では乳腺の腫瘤が2cm以上で年令が25歳以上の場合は、視触診、超音波検査、乳房撮影、吸引細胞診を行った後、良性の可能性であっても原則として悪くないことを確認するために生検を勧めています。麻酔に関しては一般的には局所麻酔で行います。主治医と相談の上、適切な麻酔下で生検を行うことをお勧めします。(文責 須田)
 

 

No.1369-1】 03年02月16日 みや
細胞診結果クラスVについて

35歳2児の母です。昨年10月に乳ガン検診を受けた際乳頭より分泌物があるとのこで、細胞検査に送られました。結果、左だけがクラスVaで、再検査となりました。1ヶ月後の再検査結果は同じくクラスVa。今年1月に再々検査もおなじ結果でした。受診しているのは、個人病院の産婦人科です。私自身もしこりなどの自覚症状はなく、触診もマンモグラフィーも異常はないと言われ、ドクターも結果にはっきりと結論が出せないようです。ですが、4回の結果が同じなのに、4月にまた再検査と言われました。結論が出ないなら、そろそろ他の病院に紹介をしてくれても良いのでは、思ってしまいます。クラスVとは、どのくらいの危険度があるのでしょうか?すぐにでもほかの病院を受診したほうがいいのでしょうか?エコーの検査はしていません。同じ様な質問が、過去にもあって申し訳ないかと思いますが、よろしくお願いいたします。

No.1353-2のカレーライスの話を参考にしてください。乳頭分泌の細胞診でクラス3であれば、標準的には次のような手順になります。触診、乳房撮影、超音波検査、細胞診の再チェックの上、今後の検査として分泌液中のCEA、血清プロラクチン、乳管造影、乳管内視鏡、乳管腺葉区分切除等があります。いずれこの様な検査を行うことになると思われますが、時期については主治医と相談の上、紹介を受け、乳腺疾患を扱っている外科に受診されることをお勧めします。(文責 須田)

 

No.1369-2】 04年01月30日 みや
充実腺管がんの転移について

その節はご回答有難うございました。36歳、既婚、子供2人です。ご回答を参考にさせていただいて、県立病院に移り、6ヵ月ごとに検査(マンモとエコー)を続けておりました。こちらでもはっきりした結果がでずにいたのですが、昨年12月のエコーで4月に映っていなかった「細かな小さい点々」が左乳房に映りました。細胞診をすすめられ、今年1月29日に充実腺管がんのステージTとの結果がでました。小さな点々の集まりは、エコー上 1.5×1.5×0.8cmで、しこりとしては確認できません。3月29月に部分切除の予定です。これから入院まで各種検査(MRIなど)を行います。主治医は信頼できる方ですが、「転移の可能性のあるがんですが、ほんとに初期のため、今なら大丈夫。転移は、まずないよ。」と言われました。ですが、実母を5年前に乳がんで亡くしているため、『転移したら最後だ』という気持ちがあります。何年後かにがっかりしたくないため、本当に大丈夫なのか、生存率はどのくらいなのか、ステージTからの転移率はどのくらいあるのか、お教えください。母の闘病生活を実体験しているため、不安がつのります。よろしくお願いいたします。

本当に大丈夫という100%の保証は早期癌、stage Tの癌でもありません。だから定期的にチェックが何年も必要になるのです。しこりが無くて小さな石灰化だけとしたら、非浸潤癌の可能性もあると考えます。非浸潤癌だと100%近くの確立で治ると言われています。予後については施設によって、報告者によって異なりますが、stage Tの5年生存率は90%以上、10年生存率は80%ぐらいと思います。stageTからの再発率はそれよりも若干高くなります。(文責 石川)

 

No.1368】 03年02月10日 S.O.
しこりについて

ご多忙のところ申し訳ありません。42歳。エコーでは「初期がんって、ちょうどこんな感じ」と、疑わしいものの他の検査で良性、それにエコーでの様子なら触診で触れるはずなのに触れないことから「おそらく良性」と、経過観察中の(半年前から)しこりがあります。今回、生理が終わり自分でチェックしたところ、座位だとぐりっとしたものに触り、ぎくっとしたのですが、診察いただくときのようにあお向けに寝るとほとんど触れなくなります。姿勢によってしこりは触れたり触れなくなったりするものでしょうか。あるいは、乳腺か何かの可能性が高いかしらと思っているのですが、いかがでしょう。

診察をしないとなんとも言えませんが、坐位でぐりっとしたものがあり、臥位になるとたまたま肋骨と肋骨の間に入り解らなくなる事が有り得ます。乳房が立派な人ほど坐位と臥位では位置が異なります。臥位で外側に移動します。念のため、主治医の診察をしてもらうことをお勧めいたします。

 

No.1367-1】 03年02月10日 H.T.
しこりの悪性化は?

27歳、3ヶ月の子供に授乳中です。母が乳がんで片方を全摘しています。現在、右胸の乳輪部にあずき豆程度のしこりがあり、それは乳輪部に少しポコっと浮き出ています。押すと下に下がりますが、また出てきます。つまむとツルっと逃げる感じもします。左胸の外側にはゴリゴリと乳腺がパンパンに張ったかのような丸くはないしこりがあります。しこりは授乳開始2週間目くらいからあります。既に上記の症状を母乳マッサージの助産院にて指摘を受け、近隣のクリニック(乳がん検診をしてくれるところ・超音波やマンモの機械があります)にて触診・エコーにて、左胸のしこりはのう胞、右胸の乳輪部のしこりについても乳管が広がっているんじゃないかと診断されました。マッサージを受け続け、手技や子供に吸ってもらってしこりを取るようがんばってくださいと言われました。本来ならこれで安心すべきなのでしょうが、どうも右胸の乳輪部のしこりが気になってしまいます。本当にこんなところの乳管が丸く広がったりするのかな、と。クリニックのお医者様はとても優しく尊敬すべき方です。しかし、私の父が個人病院にて食道ガンを見つけておきながら3ヶ月放置され、(様子を見たと言ってましたが)手遅れの状態で大きな病院に回されたことがあり、そのためか、何か安心しきれない気持ちがあるのです。同じお医者様である相談室の先生にこんなことをお話するのも大変申し訳ない気がしますが・・・。前置きが長くなりましたが、お伺いしたいことは、
@ 乳輪部のような場所で乳管が丸く広がり乳瘤を形成することがあるのでしょうか?
A また、このしこりが少し浮き出ているのも問題ないのでしょうか?
B 閉塞している乳管が開口すればしこりはなくなるそうですが、開口しなかった場合、しこりは自然に吸収されたりするのでしょうか?またその場合、残ったしこりが悪性に転じることはありますか?
C 大きな病院にもかかろうかとも思いましたが、必要はないと思われますか?
お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

乳輪部の乳瘤はあまり見たことはありませんが、無いとはいえません。乳瘤(しこりが乳瘤であるとして)が浮き出しているのは、皮膚表面近くに発生しているためだと思います。閉塞している乳管が開口しなければ、乳瘤はずっと残ると思います。これ自体は悪性にはなりません。授乳終了の時点で必ず乳腺を扱っている外科を受診してください。(文責 須田)

 

No.1367-2】 03年02月16日 H.T.
超音波断層撮影での判定について
 

先日はお忙しいところお返事いただき有難うございました。お返事の中に、しこりが乳瘤であると仮定した場合とありましたが、エコーをかけてもらって、中身はおそらく乳汁であると診断されましたが、授乳中は、中の性状がわかりづらいことがあるのでしょうか? エコーではあずき大の小さめのしこりは判断がつきづらいとも聞いたことがあります。
@ しこりが乳瘤ではない場合はどんなものが疑われるのでしょうか?
A また、エコーでは小さ目のしこりでも良性か悪性化の判断はつくものなのでしょうか?
申し訳ありませんがよろしくお願い致します。

超音波断層撮影は、音を上方より入れその反射像をモニター上に描出しています。従って、石のように固いものに音を当てれば、音は通過することが出来ず、すべて反射されます。水のような均一なものであれば、音は反射せずすべて通過いたします。モニターまたは写真で黒くなっているところは、音がすべて通過し、反射するような不均一なものが無いか、音がその手前ですべて反射して届いていないか、どちらかと言うことになります。従って、"中身はおそらく乳汁"と言うことは、以下の3つの条件を総合して推測した結果だと思います。@すべて音が通過するような均一な像 A現在授乳中、B以前にそのようなものが無かった。
@ABによりおそらく乳瘤と推測したものと思われますが、@のエコーの所見のみで考えれば、体液が貯まっている"のう腫"とか、特殊な粘液を産生する癌で袋の中に粘液が詰まっている"粘液癌"も同様の所見となります。
また、超音波検査で腫瘤像があった場合、良悪性の判定が可能なのは、およそ0.7cm−1cm程度以上ということになっています。描出可能な大きさは、0.3cm−0.4cmです。それでは0.3−0.6cmのものはなぜ判定できないのでしょうか。似たようなことは私ども誰でも経験しております。例えば、水平線上に小さな船の影が見えたとしましょう。船だと言うことが解っても、商船なのか軍艦なのかは、ある程度大きな船影にならなければ解りません。小さいと船の形や輪郭が解らないからです。同様に、0.3―0.6cm大のエコー上の腫瘤像は、良悪性の特徴的なものが無く、形や輪郭から判定できないためです。(文責 須田)

 

No.1366-1】 03年02月10日 H.I.
右胸のしこり

32歳の独身です。約1ヶ月前ほどから、右胸にしこりをみつけました。内側に直径2cmほどで痛みは全くなく、触るところころと動きます。乳癌ですと脇の下のしこりと聞きますが、私の場合はこのしこりは内側です。生理は特に問題はなく、予定通りにきています。去年の秋から抑鬱と診断され、精神安定剤と抗鬱剤を飲んでいます。現在の症状と、薬を含めどんな病気なのか教えてください。

触れるところころ動くことよりのう胞や線維腺腫が考えられます。さらに年令を考慮し、線維腺腫と考えるのが一般的です。悪い病気ではありませんし、薬とも関係はありません。線維腺腫である事を確認するためにも触診、超音波検査、乳房撮影、吸引細胞診を行う必要があります。その後は定期的にフォローアップと言うことになると思われます。急ぎではありませんが、乳腺を扱っている外科を受診することをお勧めします。(文責 須田)

 

No.1366-2】 03年03月13日 H.I.
右胸のしこり(2)

こんにちは。先日は回答ありがとうございました。先週外科に行き、乳腺エコーをしましたら、数カ所にもしこりが発見されました。とりあえず先日お話した場所は、注射で抜き取ったところ、黄色く濁った液体が出てきました。今日病院へ行き、検査の結果をお聞きしたところ、癌細胞は、みつからないと言うことでした。ただ、抜き取ったところは、まだ小さく残っており、医者のお話ですと、また大きくなる可能性があるので、半年か1年は検査をしたほうがいいと言われました。私としてはそのたびに病院へ行き、注射で抜き取ることが本当に良いのかどうかが不安です。乳腺症、のう胞・・・たしかこのような病名を言われましたが、この病院の処置はこれで良かったのでしょうか?他の個所は小さいので、そのまま放置でした。ホルモンのバランスだと言われ、妊娠をすれば治るとまで言われました。不安が残ります。良かったら回答お願いします。

乳房のしこりの検査としては完璧だと思います。結果として、嚢胞をつくる乳腺症と言うことで心配ないと思います。このようなタイプの乳腺症では他に小さな嚢胞をつくることはよくあることで心配ありません。また、経過観察をしていて、嚢胞があるからといって毎回針を刺して抜くとは限りません。但し、嚢胞だと思っていたら、今度はガンだったと言うこともないとは言えないので、先生は定期検診を勧めてくれたのだと思います。(文責 清水)

 

No.1365】 03年02月10日 M.A.
乳がんの診断結果について

5年ぐらい前に乳腺症と診断されました。その時先生の話で、「のう胞が多く、ガンが分かりにくいので、毎年、乳房X線とエコーの検査は受けるようにしてください。」と説明を受けました。その後毎年検査を受けていましたが、その間、特に異常は認められませんでした。
ところが、2002年11月29日、入浴の際、乳房の確認(マッサージ)をしていたところ、左の乳頭から黒に近い茶褐色(血が固まったような)の乳汁が出てきました。あわてて翌日、病院に行きました。その日を含めエコーは予約がいっぱいで、やっと12月9日の入院枠の予約の中に入れてもらいました。(入院枠じゃないともっと後の日になるところでした。)当日は、乳房X線のみ撮影しました。そして12月9日にエコーを行いました。検査結果の予約は12月14日になりました。検査結果は、「今のところは、なんともいえません。X線では何も発見できませんでした。ただ、のう胞は小さいものが多いです。それとひとつ怪しいけど、しこりかのう胞みたいな気になるものもあります。」エコーの写真は、通常の枚数の5倍くらい撮影してあったらしいのですが、(枚数の多さに先生はびっくりしていましたが・・・)特にしこり等は発見できなかったとの事で、「自分よりも乳腺を専門としている先生がいるのでその先生に説明をしておくので、再度、受診をしてください。」と言われました。その後、乳汁が出れば細胞診の検査をしてみようかとの事で、胸を搾ったところ、クリーム色に薄い茶色が混ざったような乳汁がほんの少し出ました。検査技師の方が来てプレパラートでもっていきました。1月22日に予約を入れてもらい別の先生で再度、受診しました。結果は、細胞診は異常なし。「検査結果を見ましたが、現状ではなんとも判断がつきません。また3ヵ月後にエコーをやってみましょう。もしなんらかの異常があれば、3ヶ月もたてばわかりますから。そこで何も発見できないときはさらに経過観察ということになります。」と言うことで、3ヵ月後のエコーの予約を入れました。いろいろ調べてみると、「乳腺MRI」という検査もあるようなので、やってみたいのですが、近場でどこにあるのか分かりません。さいたま市に居住しているのですが、「乳腺MRI」のある病院を教えてもらえないでしょうか。また、今受けている診断については、それを素直に受け止めてよいのでしょうか、アドバイスをお願いできないでしょうか。よろしくお願いします。  

お話をまとめると、乳房撮影では石灰化像なし、腫瘤像なし、超音波断層撮影では小さなのう胞と考えられる腫瘤像が多発している、触診は記載がありませんが、(大きなのう胞の記載は無い)乳腺症としてフォローされていた。H14年11月に、左の血性乳頭分泌があり、前回と同様な検査をし同様な所見であり、さらに乳汁の細胞診では異常所見はなく、今後3ヶ月ごとにフォローとなっています。
血性乳頭分泌がある場合、大雑把に言って70%が乳管内乳頭腫で、30%が癌と言われています。貴方の場合、細胞診で陰性ですので、おそらく乳管内乳頭腫を含む良性の病気によるものだと思われます。乳汁の細胞診では分泌液ばかりが多く細胞採取量が少ない場合がままあり、誤陰性の率が高くなります。これを補うために何回か細胞診を行う必要があるのです。また今後、フォローしていて少しでも変だということになれば、次の手順で精査を進めることとなります。分泌細胞診の再チェック、分泌物中のCEA、乳管造影、乳管内視鏡、乳管腺葉区分切除術による生検,血清プロラクチン濃度等を行うことになります。
MRマンモグラフィーについては、造影剤を静注後に1分間隔で5分間撮影し、乳房内の造影効果を評価する検査です。腫瘤像があった場合、腫瘤のダイナミック曲線と形態により評価します。ダイナミック曲線では、2分前後まで急峻に立ち上がり以後はなだらかに減弱する場合、腫瘤の辺縁が強く描出されている場合は乳癌を強く疑います。また腫瘤周辺組織の所見として娘結節、索状濃染像,主腫瘤と娘結節を結ぶ索状構造により繋がっている像等により病変の広がりの診断をします。しかし、この検査でわずかな乳管の病変まですべて検出できるわけではありません。
MRマンモグラフィーのあるさいたま市近辺の施設についてですが、大学病院、癌研付属病院、癌センター等にあります。埼玉癌センターがよいのではないでしょうか。(文責 須田)

 

No.1364】 03年02月10日 miya 
腫瘍マーカーの上昇について

58歳の主婦です。平成2年に乳癌の全摘手術(右側)を受け、その後1年、点滴治療をして薬(ノルバデックス)を服用していました。平成8年の11月頃、腰の骨に影が見つかり、転移したので放射線治療(10回)を受けました。その後3年位は何事もなく薬も飲んでいませんでした。平成13年3月、転倒して第一腰椎を圧迫骨折して近所の整形外科に通院、同年6月、癌の定期検診を受けMRIで頭と左肩に影が見つかり、3月の骨折は影が原因だと言われ、MRI、CT、骨シンチなどをとりましたが、影に対して直接の治療はしていません。腫瘍マーカーは(CA15−3)6月→35.7 8月→48.6でした。同年9月頃、腫瘍マーカーが上がりだしたので(9月→47)、ノルバデックスを1日1回服用していました(平成14年9月まで)。平成14年9月 (CA15−3)22.9(NCC−ST439)初検査280 ありました。10月よりアリミデックスを服用しています。

            NCC−ST439    CA15−3     CEA

平成14年9月      280           22.9     3.6
平成14年11月     420           29       6.5
平成15年1月      420           37.9     8.9

以前より影があるのにもかかわらず、どの辺かと聞くと「わからない」との答え、今回10月の終わりに腰が痛くなったので近所の整形外科に通院した所、前回と同じ部分を圧迫骨折していました。癌の主治医に相談したところ(どこに影があるのかわからないと言ったのに)
影があるから骨折したと言われました。影は1年前からありましたよね?と主治医に言ったところ、影はあるけど何もおきていないので治療はしなかったと言われました。アイソトープは年に3回、受けていました。3つの影は放置状態ですが本人はいたって元気にしており、とても癌患者とは思えません。自覚症状もありません。またアリミデックスの副作用で骨の融解があるそうですが、それが原因という事もあるのでしょうか? よろしくお願いします。

腫瘍マーカーの上昇が認められますので、やはり骨転移であると思います。乳癌の骨転移では、経過中に肝臓、肺に転移を伴わないものや、ホルモン治療が奏効した場合等では、癌と共にではありますが、長生きできることが多いようです。
乳癌の骨転移は、溶骨性転移が多く、部位では脊椎、肋骨、骨盤に好発します。溶骨性の変化で更に骨折がおこると、場合によっては椎体固定術、放射線治療(2回は出来ない)が必要になります。骨転移に伴う高カルシウム血症に対してビスフォスフォネート剤が使われており、この薬によって破骨細胞の機能を抑制し、病的骨折や骨の痛みをコントロールできる可能性もあります。また、骨転移のマーカーとして1型コラーゲンや尿中ピリジノリン、デオキシピリノリン等が用いられています。
現時点では症状もなく、お元気との事ですので、やはりホルモン療法(たとえば、ヒスロンH、フルツロンの組み合わせ)を中心とした治療を考えたいと思いますが、あなたの現在の状況を一番良く把握している主治医の先生を信頼して、充分ご相談し、納得のいく治療を受けてください。(文責 須田)
 

 

No.1363】 03年02月07日 T.N. 
小児の胸の痛みについて

小学校の養護教諭です。おうちの方から相談を受けました。2年生女児、2日まえより「胸が痛い」と訴えています。乳頭付近を触ると少ししこりのようなものがあるようです。がまんできる痛みのようですが、どんな原因が考えられるでしょうか?

メール内容から推測して、思春期前乳房肥大だと思われます。思春期以前に、両方、又は片方の乳房に触れたり、触ったりすると乳腺が出現します。少し痛みはありますが、悪いものではありません。思春期になれば、ちゃんとした乳房になりますので、そのまま経過観察で大丈夫だと思います。ただ直接拝見していませんので、念のため、不安を取り除く意味からも乳腺外科で診てもらってください。(文責 須田)

 

No.1362】 03年02月07日 S.M.
胸の痛み

49歳の主婦です。1週間ほど前に胸の下あたりがぼんやりと痛く、セキの強い風邪の後でもあり、内科に行ってレントゲンを撮って貰いましたが、異常ないとの事でした。今は痛みの場所が胸の横あたりに移動しています。激しい痛みではなく、しこりがあるようでもなく、指先でふれて痛いというより、手のひらで触ると痛いという感じがします。痛みの場所は乳房の周りに感じます。もし病院に行くとしたら何科で診察を受けたらよいか教えて下さい。

貴女の場合の「胸の痛み」は、内科医に受診して異常がないと言われていることもあり、心臓とか肺に起因する内臓痛ではなさそうです。従って推測の域をでませんが、体性痛であるとすれば、乳房痛、又は胸壁の痛みということになります。乳房痛ではホルモンの影響によるものが考えられますが、しこりがないとの事で、重篤な病気ではなさそうですが、それを確認するためにも、この機会に乳癌を扱っている外科を受診し、乳房の検診を受けてみることをお勧めいたします。
次に胸壁の痛みであるとすれば、肋間神経痛とか帯状疱疹が考えられます。帯状疱疹では肋間神経に沿った痛みがありますし、初期の段階では、皮膚に病変がなく、痛みのみで始まる場合もありますので、皮膚科で診ていただくことも選択肢のひとつです。(文責 須田)

 

No.1361】 03年02月07日 mina 
右胸下(真ん中、みぞおち近く)の痛みについて

はじめまして。HPを拝見させて頂きました。是非ご相談にのっていただきたくメールをさせて頂きました。29歳です。「右胸下(真ん中、みぞおち近く)に痛みがあります。相談室のNO.994さんと同じような感じで、私もワイヤーがあたる辺りです。ワイヤーのきついブラジャーをしてから、その症状が出始めた気もしますが、定かではありません。押すと打ち身のような痛みがあり、何もしないときでも、かすかに痛いときもあります。耐えられない痛みとかではありません。疲れたときは右の脇の下のリンパ(?)が腫れて、触ると痛いときがあるので、もしかしたら、脇から胸下にかけてのリンパ腫などではないかと不安になります。もし、リンパの病気の場合、何か目立った症状はありますでしょうか? 他に何か病気が考えられるとしたら、何がありますでしょうか? また、このような痛みを感じている方は多いのでしょうか? 質問が多くて申し訳ありません。よろしくお願いいたします。

1)胸痛について
以前にも書きましたが、「胸の痛み」が乳房痛であるとすれば、ホルモンの影響が考えられますが、ホルモンの影響による「乳房痛」については、「痛くて眠れない」とか、「痛みのために仕事を休まなければならない」等のように、痛みのために日常生活に支障が出るほどではありませんので、そのまま経過観察でよいと思います。また、「胸の痛み」が内臓痛(一般に手を休めるほどの痛み)であるとすれば、心臓に関する検査をする必要がありますので、循環器科を受診してください。
2)リンパ節腫脹について
腫脹のリンパ節腫脹の場合、リンパ節が腫大し、体表近くのリンパ節が触知することで気がつきます。エコー、CTによってリンパ節の腫大を確認しますが、それが悪性リンパ腫かどうかについては、腫大したリンパ節の吸引細胞診や生検によって病理学的に調べることになります。しかし、貴方のように痛みを伴う場合、悪性の可能性はむしろ少ないのですが、いずれにせよ不安を取り除く意味からも、一度外科を受診されることをお勧めいたします。(文責 須田)

 

No.1360】 03年02月07日 O.K.
乳房温存療法での放射線照射

乳房温存療法で胸骨傍リンパ節を照射野に含める場合、患側の胸骨傍リンパ節なのか反対なのかわかりません。お教えください。またなぜそうするのか、お教えください。

乳房温存療法ガイドラインでは、乳房温存療法を「乳房温存術と腋窩廓清の後の残存乳房に対して乳房照射を加えるもの」と定義しているように、乳房温存療法では乳房照射が原則です。
進行乳癌への術後照射は、非廓清範囲となる傍胸骨領域及び鎖骨上窩、鎖骨下窩の再発を予防する目的で行いますが、その適応は、@腋窩リンパ節転移多数陽性例 ACT、US等で傍胸骨リンパ節転移が明らかにされた症例です。傍胸骨領域、及び鎖骨上窩、鎖骨下窩を一塊として照射するので、逆L字照射とも言います。所属リンパ節再発の場合は、逆L字照射を行います。また、再発照射後の照射野辺縁のリンパ節再発が見られることがあり、対側鎖骨上窩、対側鎖骨下まで含めたT字照射を行うこともあります。この場合、傍胸骨リンパ節は内胸動脈領域のリンパ節ですが、内胸動脈は左右あり、従って、患側および反対側の傍胸骨リンパ節への照射となります。(文責 須田)

 

No.1359】 03年02月05日 C.C.
抗癌剤治療中の職業活動について

先週(1月末)から3週に1回のペースで点滴による抗癌剤治療が始まりました。8クールで約半年間治療に期間を要すると説明を受けています。私は年齢が23歳と比較的若年で昨年就職したばかりの新人なのですが、半年間休職するべきなのか、頑張って仕事を続けるべきなのか悩んでいます。職種は介護関係で力仕事を要する業務内容です。職場の方ではゆっくり療養するよう言われているのですが、せっかく念願の職業についたばかりで、半年も休むのは気が引けます。しかし、今後治療が続くにつれて体力が低下する一方であれば、結局仕事も無責任な結果に終わるような気がしてなりません。実際に抗癌剤治療を受けながら仕事を続けられている方もいらっしゃるという話を聞きましたが、どの程度の割合で仕事を続けられる方がいらっしゃるのか、又そういう方の体験談など聞かせていただきたいなと思っています。

私共の病院では、中学の先生が何人か患者さんにいらっしゃいますが、CMF療法を行うに際し、新学期まで休業して治療に専念しています。化学療法による副作用の程度は個人個人で異なりますので、始めてみるまで見当がつきません。何クールか抗癌剤の治療を行ってみて、その時点で仕事を続けられそうかどうか、主治医と相談なさってみてもよいかと思います。乳癌の患者さんの会がいくつかありますので、そちらの方にアクセスすれば、いろいろな体験談など、聞かせていただけるのではないでしょうか。いずれにしても、まずご自分の健康状態、精神状態を一番に考え、あまり無理をせずに、甘えるところは甘えてもいいのでは・・・と思います。(文責 須田)

 

No.1358】 03年02月05日 hiroko
抗癌剤後の化学療法について

46歳で、H14年11月20日に左乳房全摘+リンパ郭清術を受けました。細胞診の結果、粘液癌、乳腺内のみで脂肪への浸潤無し、腫瘍径(7cm×8cm)、リンパ節転移 レベルT(7/13)U(0/?)V(0/?)、HER2(−)、核異型度(gradeT)、ホルモン受容体(+)、腫瘍マーカー・CT・骨シンチにおいて転移は認められていません。現在、化学療法(CEF×6回予定)中です。この後ホルモン療法の予定ですが、抗癌剤で傷んだ体を休める為に少し間を空けたいのですが、ホルモン療法は休まず続けて行わなければいけないのでしょうか? エンドキサンで生理が止まったようなんですが、この場合でもゾラデックス(あるいはリュープリン)は必要なのでしょうか? 宜しくお願いします。

エンドキサンは卵巣機能を抑制する可能性がある薬で、(CEF療法ではありませんが)CMF療法(エンドキサン、メソトレキサート、フルオロウラシル)を施行した場合、40歳以上では約70%が閉経となりますが、化学療法後、卵巣機能が回復する場合もあります。閉経前のホルモンレセプター(+)乳癌患者さんに対しては、卵巣機能抑制が大きな治療的意味を持っていますので、血中のエストラジオールを測定し、現在の卵巣機能をcheckしながら、ゾラデックスを使用する方針だと思います。主治医に血中のエストラジオール値が十分に下がっているかどうかを聞き、今後の治療について相談なさってください。(文責 須田)

 

No.1357】 03年02月03日 K.N. 
黄色透明な分泌液

34歳、未婚です。最近気づいたのですが、右の乳首から黄色透明な分泌液が出ます。下着に付着して気づきました。乳首をつまむと出てきます。ただ、その量はその時々です。他には特に自覚症状はありませんが、乳がんではないかと心配になり、ご相談しています。関係はないかもしれませんが、以前に子宮筋腫の手術を受けています。また、月経周期の変更のため、ソフィアAを服用することがあります。

乳頭の異常分泌がみられる場合、乳管内乳頭腫(良性)、乳癌等の疾患や、薬剤性、生理的なものが考えられますが、乳癌でないことを確認する必要があります。乳癌の場合、血性の分泌物である場合が多いようですが、具体的には、細胞診、CEA濃度、潜血反応、マンモグラフィー、超音波検査、MRマンモグラフィー、乳管造影検査、乳管内視鏡、乳管腺葉区分切除(組織診)等を順序立てて行う事になります。不安を取り除く意味からも乳腺疾患を扱っている外科を受診してください。(文責 須田)

 

No.1356】 03年02月03日 mayu
放射線治療について

私は41歳で、昨年11月に乳房温存手術を受け、現在リニヤークに通っています。全25回中、19回終わりました。ところが9歳の娘がインフルエンザに感染してしまいました。もし自分にうつってしまったらと考えると、とても心配なのですが、これまで受けた放射線治療は無駄になってしまうのでしょうか? 例えば1週間休んだとして、治療は再開されるのでしょうか? ご返答、宜しくお願いします。

乳房温存療法での放射線治療について、乳房照射は継続して治療を続け終了することが望ましいことですが、やむを得ず途中で休むこともあります。全25回照射する方向で、放射線科医が、その都度診察をして、治療を継続するか休むかを決定することとなると思われます。風邪に限らず、体調不良の場合、担当して下さっている放射線科医に受診してください。(文責 須田)

 

No.1355】 03年02月03日 みっちゃん 
左右の乳房のしこりと乳輪のいぼ(?)について

はじめてご相談させていただきます。物心ついた頃から左胸にしこりがあり、その時は乳腺症と診断されて生理前に胸が痛くなっても「仕方が無いのかな」と思い、今まで過ごしてきました。去年の1月に28歳で初めての出産をし、3ヶ月程で母乳を止めたのですが、そのころから左右の胸のふくらみの下のほうにしこりを感じるようになりました。痛みはありません。大きさは1cm位でよく動きます。出産後しばらくは胸が張り、熱も出てしまうほどの乳腺症になってしまいましたが、その後は張りも痛みもありません。いまでも左胸は数滴ですが、乳白色の分泌液があります。それと、妊娠中に左乳房の乳輪(というか乳首の根元)にいぼのようなものが出来ました。だんだん大きくなり、今は横3ミリたて5ミリ程の大きさで止まっています。妊娠、出産と同時に成長したようにも感じます。近くに1ミリ程度の小さないぼも出来ています。そちらはそれより大きくなっていないようです。いぼと乳がんとは関係がありますか。また、しこりは子供の頃からの乳腺症と関係があるのでしょうか。病院で診察してもらうには産婦人科ではなく外科のほうがよいのでしょうか。長々となってしまいましたが、よろしくお願いいたします。

出産後3ヶ月の授乳を経て乳房腫瘤にきづいたとの事、妊娠、授乳と関係する乳房の腫瘤であるとすれば、「乳瘤」が考えられます。母乳が乳腺内に溜まったもので、それ自体は悪いものではなく、放置していても心配ありません。細胞の検査を行うため穿刺すると、ミルクが出てきます。また年を経ると、チーズ様の内容が引けることもあります。
ただ、年齢的に、「線維腺腫」、「のう胞」等である可能性もありますので、一度、乳腺外科を受診し、確認する必要があります。
なお、乳輪部の“いぼ状”のブツブツを心配されているようですが、"モントゴメリー氏腺"という乳輪部の汗腺の一種の皮膚開口部の隆起が目立つって来たものと推測されます。病気ではないと思われますが、ついでに外科受診の際、相談してください。 (文責 須田)

 

No.1354】 03年02月03日 M.N.
左胸のしこりについて

最近、自分の左胸の下部に触ってもわかるくらいのしこりがあることに気が付きました。特に痛みは感じないのですが、すごく心配です。親には相談しにくくて、まだ話していません。友達にうちあけてみたら、「そんな早くに乳癌なんかになるの?」と言われました。今、私は中学3年の15歳です。まだ人の体の事も余り理解できていません。私ぐらいの年の人でも、乳癌にはなるのでしょうか。一度検診に行ってみたほうがいいのでしょうか。お返事よろしくお願いします。

10代の乳癌は、私自身30年余りで、1例(19歳)しか経験していません。15歳での乳癌はまだ経験したことがなく、おそらく線維腺腫だと思います。そのまま放置していても、癌のように命取りになるような悪いものではありませんが、若年性の線維腺腫の中には、急速に大きくなるものがあり、摘除する必要がある場合があります。お母様に相談して、乳腺を扱っている外科で一度診てもらってください。(文責 須田)

 

No.1353-1】 03年02月01日 S.I.
セカンドオピニオンは必要でしょうか

はじめまして、49歳女性です。毎年受けている職場の集団検診で、左胸にしこりが見つかり再検査を指示されました。その検診施設に隣接の診療所が、毎週、乳腺の検診を行っていたので、再検査はそこで受けました。検査はレントゲンと、細胞診でした。その結果、クラス3で、現段階では良性と思われるということでした。御意見をお伺いしたいのは、もっと専門の病院であらためて検査を受けた方がよいかどうか、と言うことです。再検査の際、他の人は、レントゲンと超音波による検査だったようですが、私はなぜか超音波はありませんでした。そのことも気になっています。また、二年前に子宮頚がんの細胞診でクラス3aの状態が半年程ありました。その後はクラス1です。アドバイス、よろしくお願いします。

乳癌の診断の理想は触診とレントゲン(MMG)と超音波検査と細胞診です。しかし、施設によっては全ての機械があるとは限りはませんから、そこにある診断装置で診断することになります。しかし今回のように、触診、MMGでは良性だが細胞診がclass3というときはできれば超音波検査の結果が欲しくなります。三つの検査より超音波検査を追加して四つの検査で更にその診断精度を高くしようと考えセカンドオピニオンの適応ですと回答したくなります。しかし、よく考えてみると、主治医の先生は細胞診の結果がclass3であっても触診とMMGと細胞診の検査を総合的に判断して良性と思うと診断された訳です。“良性と思う”ということは多分90%以上の確率であると解釈できると思います。その先生の触診の診断能力(どれだけたくさんの乳癌を診断しているか)、MMGの読影能力(どれだけたくさんの乳癌のMMGを診断しているか、MMG読影試験に合格しているか)が高ければ、超音波検査を追加しても診断精度は上がりません。逆にいくらたくさんの検査を行っても
医師の診断読影能力が低ければ、診断精度はかえって低くなってしまいます。ですから、必ずしも検査をたくさんやすればよいという問題ではないということです。では初診の患者さんに医者の診断能力がわかるか?といえばわからないと思います。あとは御近所の評判、経験者の話を参考にするしかないでしょう。(文責  清水)
 

 

No.1353-2】 03年02月10日 S.I.
細胞診について

お礼を言うのが遅くなりましたが、お返事ありがとうございました。迅速な対応に深く感謝します。ところで、「その医師の判断が的確かどうか」の判断についてお伺いしたいのですが。私のかかった医師の方は、その診療所に常駐ではなく乳腺検診の為、週に一度、他から来られています。12月に良性と思うという結果を聞き、経過を見守るということで、一ヶ月後の診察を約束して、先日受診に行きました。その医師は、私のことは覚えていなかったようで、カルテを見て「クラス3なら、良性か悪性か、その中間だ。針をさそう。」といって、細胞診をしようとしました。私の方は、まずは触診で変化がないかどうかを確認するだけ、と思っていたのです。その場は、触診だけしてもらい(といってもしこりのサイズをはかっただけでしたが)終わりました。このことから、次のような疑問が起こりました。この医師は細胞診の結果だけに頼っているのではないだろうか。あるいは、前回の細胞のサンプルに自信がないのではないか。また、細胞診というのは、そんなに頻繁に行うものなのだろうか。それに伴うリスクはないのだろうか。というものですが、御回答をお願いできますでしょうか。お忙しいところ、お手数おかけして申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

吸引細胞診について、たとえ話で説明いたします。眼の見えない方でカレーライスを知らない人が居たとします。カレーライスがどのような食物か食べてみることにしました。スプーンでお皿から1杯とってきました。ライスだけかもしれません、カレーだけかもしれません。幸いにしてカレーとライスの境目から1杯のスプーンでうまく取れるとカレーライスが判る訳です。従って、ライスしか取れなかった場合再度スプーンをのばして更に1杯とります。これがまたライスしか取れていなかったら次はどうしますか。更にもう1杯のスプーンによるサンプル採取、しかしこれにより確実にカレーライスのサンプルが取れるとは限りません。確実な方法は皿全部のカレーライスを食べることですべてが解ります。この例えを置き換えると、皿1杯のカレーライスが乳腺腫瘤全体、スプーンが細胞診、皿1杯食べることが生検による組織診にあたります。
と言う訳で、クラス3は例え話に当てはめると、例えばカレーのみのサンプルであり、ライスがないと考えていただければよいと思います。次にもう1度のスプーンによるサンプル採取をするか、皿全部のカレーライスを食べるか、しきりなおしをして同様のことを別の時期にやるか、選択は3つとなります。
細胞診は直接顕微鏡で細胞を病理医が見て判定するので、クラス3以上は触診、マンモグラフィー、超音波検査、吸引細胞診を再度チェックし、組織診も含め検査を進める事をお勧めいたします。主治医とよく相談頂きたいと思います。
なお、"前回の細胞のサンプルに自信がないのではないのか"は、当てはまらないと思います。カレーライスでの例えのようにスプーンではどこの場所のサンプルが取れてきているのか誰もわかりません。従って、この場合は自信があるとか自信がないとかの問題ではなく、誰が行っても、どこの施設で行ってもカレーとライスがうまく採れているかどうかは顕微鏡で確認するまでわからないのです。また、吸引細胞診でも他の検査でもそうですが、そうせざるを得ない理由があれば、頻回に検査を行ったとしても,必要であるからおこなうのです。(文責 須田)

 

No.1352-1】 03年02月01日 Y.Y.
乳がん検査について

はじめまして。昨年6月に乳がんの定期検診を行った際、異常なしとの診断を受けたにもかからわず、8月初旬に突然右の乳房に大きなしこり(にわとりの卵大)を自分で見つけて定期検診を行った病院へ行きました。すぐに専門の病院を紹介していただき、そこで、エコー、マンモグラフィー、MRIを受けました。マンモグラフィーでは微少な石灰化が認められましたが、MRIでは良性との結果でした。最終的に細胞診を行い、結果はクラス2でした。経過観察ということで、1ヶ月半後に再度細胞診を行い、今日、クラス3の結果が出ました。その場で針での組織診をすると言われたのですが、私としてはすでに細胞診を2回も行っているのに、さらに針での組織診で結果がわからなければ、今度はメスを使ってまた組織診を行うことになると聞き、どうにも納得がいかなくて、組織診は日を改めさせていただきました。医師は、語気が少々きつくなりましたが、なぜ組織診が必要なのか詳しく説明してくれ、80〜90%良性と考えられるけれども、放っておくことはできないし、手遅れになることが心配だから検査を続けるのだとおっしゃいました。この医師を信頼してこのまま検査を続けたほうがいいのでしょうか。あるいは、セカンドオピニオンを求めたほうがいいのでしょうか。

触診の診断、MMGの診断、エコーの診断はどうだったのでしょうか?MMGの石灰化は癌を疑う石灰化だったのでしょうか?乳癌の診断は触診、MMG、エコー、細胞診の総合診断です。ですから、触診、MMG、エコーが良性で細胞診がclass3であれば原則は生検の適応かもしれませんが、経過観察も可能だと思います。主治医の先生のおっしゃることはもっともで、手順も教科書的で問題ありません。それでも納得できないのは多分何か変だなと感じていらっしゃるのではないでしょうか。それは、どんなしこりも生検せずに100%良性と言い切ることはできません。したがって、主治医の先生がおっしゃる通りであるならば、全てのしこりは生検の対象になり、MMG、エコー、細胞診の検査は不要になってしまいます。無駄な生検を少しでも減らすために、それらの検査を行う訳で、それらの検査で生検が必要かどうか判断するのが、専門医の診断能力ではないでしょうか。“全ての検査結果で80%良性と診断する”というのが、その先生の診断能力であり、80%の確率で良性であるならば手術や生検はしたくないと考えるか、20%の確率で癌であるならば生検しようと考えるかです。しかし、80%という数字が信用できないか、別の医師の診断結果を聞いてから判断しようと考えるのならばセカンドオピニオンの適応だと思います。(文責 清水)

 

No.1352-2】 03年02月18日 Y.Y.
手術を受けるべきでしょうか?

先日乳がん検査について相談した者です。現在50歳です。穿刺吸引による組織診の結果、がん細胞の浮遊が認められるとの結果が今日出ました。非常に硬い繊維質の細胞だったため、細胞診ではよくわからなかったとのこと。主治医はいろいろと詳しく説明してくださり、「うちでは標準以上の手術が行えると思います」と言われたので、主治医を信頼してその場で手術の日を決めてきたのですが、「ホームページなどで乳がんのことをよく調べてください。それでわからないことがあったら質問してください」と言われたので家に帰っていろいろと調べていると、”誤診で乳がんの全摘手術を行った”とか、”手術を決める前に必ずセカンド、サードオピニオンを求めること”などの記事を読んでいくと、来週の20日入院、24日手術と決めたのは少しはやまったのではないかと心配になってきました。というのは、先のメールにも書きましたが、昨年6月に婦人科で行った乳がん検診では異常が認められず、8月に急に4×5ぐらいの大きなしこりが見つかったため、私としては癌をほとんど疑っていなかったからです。主治医もなぜこんなに急に大きなしこりができたのか不思議だとおっしゃっていました。炎症性のものの中にがん細胞があったのかもしれませんとも言われました。そういう少し疑問が残る点があることと、全摘手術だという点で、24日に手術を受けるべきか、セカンドオピニオンを求めるべきか迷っています。ちなみに、手術前に骨シンチ注射、RI、CTを受ける予約も入れました。よろしくお願い致します。

もともとは鶏卵大のしこりで、確定診断にも苦労したような乳癌のようですね。もし主治医の説明の中で、疑問に感じることがあるようならば、手術前にセカンドオピニオンを受けることをお勧めします。治療を開始してしまってから後戻りするのは難しいので、特に手術、化学療法等の治療については、主治医と十分に相談し、自分が納得できる方法で治療を行うことをお勧めします。貴女の場合、手術方法は乳房切除術を予定しているようですが、術前に抗癌剤投与を行うことで、乳房温存が可能になる場合もありますので、もし現在の手術方法に
疑問が残るようならば、もう一度主治医から、それぞれの手術法による利点と欠点(再発リスク等)をよく説明していただき、自分の判断で手術法を選択するようにしてください。(文責 千島)

 

No.1351-1】 03年02月01日 S.T.
ノルバデックスについて

はじめまして。ノルバデックスの副作用?で毎日悩んでいます。何卒、お教え願いたく、宜しくお願い致します。昨年、42歳の5月に乳腺ガンの手術を受け、術後25回の放射線治療、半年のゾラデックス?の注射…(これは、注射後すぐ、とっても怒りっぽくなり、もう1人の人格があるようで、)主治医の先生にご相談の上、中止しました。ノルバデックスもそうですが、体重増加で体が重く、鬱状態もひどく、日中の体のだるさ、又、食欲、ふらつきを抑える為に、夜寝る前にノルバデックス10mgを服用しています。とにかく、関節が痛く、特に朝起きるとき、かがと、何故か足の裏の骨が痛く、すぐに歩けません。真冬だと言うのにホテリがあり、一日中頭にかすみがかかった状態で、エステサロンを1人で営んでいる為、お客様は勿論の事、友人達も私が乳癌である事は全く知りませんが、正直、今の状態では仕事もとても辛いです。そんな訳で相談する人もいません。主治医に相談すると、私のような症状を訴える患者は初めてだとおっしゃられます。「服用の選択権はあくまであなたにあるのですから」と言われますが、転移の患者さんの例などを話されるととても怖いです。しかし、こんな日常生活では後4年以上、このノルバデックスを服用しなければいけないかと思うと自信がありません。このお正月にひどい風邪をひき、ノルバデックスをニ週間勝手に中止し、主治医にその事を相談したら、「まだ、血液中にはあるので、タイムリミットですょ」と言われました。それで、又、飲み始めています。服用しなかった二週間は、三日目位から物凄く調子がよく、本来の自分の体だと思いました。私自身の乳腺ガンはステージも高くなく、リンパもサンプリングに一つ取っただけです。退院前日まで、先生は前癌だと言われていました。放射線の先生も、手術に立ち会って下さった若い先生も、「果たして、そこまでやる必要があるのかな〜」とおっしゃられますが、主治医の先生の「安全に、転移がないように・・・」、そのお気持ちは理解しています。しかし、このノルバデックスの服用の苦しみには耐えがたいものがあります。どうか、お忙しい中、何卒、お返事を宜しくお願い致します。今は、藁にもすがる気持ちです。

お話を聞く限り、ノルバデックスの副作用に違いないと思います。術後にノルバデックスを内服するのは、再発のriskを少しでも減少させることが目的で、決して内服しさえすれば再発しないという訳ではありません。そうなると、内服しない場合の再発のriskがどのくらいかということが問題になります。リンパ節転移があって、30〜40%の再発が予想されるのであれば、副作用に耐えて10%くらい再発のriskを減少させることに意味があるかもしれませんが、リンパ節転移がなく、再発率も10%以下という状況では、ノルバデックスを内服しても、再発のriskの減少はわずかです。また、閉経前では、閉経後よりriskの減少は小さいことが分かっています。病理の正確な情報が分かりませんが、内服を中止するという選択肢は十分考えられます。(文責  清水)

 

No.1351-2】 03年02月10日 S.T.
大豆と乳癌の関係について

お返事有難うございました。実際の所、自身何%の転移確率なのか・・・主治医から説明を受けていません。ただ閉経後より〜癌細胞の転移の確率は、数倍だと言われていましたので、正直、驚いております。従来どおりの日常生活を送るように選択したいと思います。もう一つ疑問に思うのは、エストロゲンを薬で抑えるわけであり、「癌にいいから?」と言って、豆乳等、一日多量の摂取は宜しいのでしょうか?申し訳ございません。お教え願えないでしょうか・・・。お忙しい所、本当に有難うございます。感謝しております。

NO.396の中に大豆と乳癌の関係について千島DRが詳細に書いておりますのでそれを参考にしてください。要約すると、大豆に含まれるイソフラボンは植物性のエストロゲンで,理論的にはエストロゲン受容体ではエストロゲンと競合いたしますのでノルバテックスと同様の効果がある可能性があります。閉経前の女性で、大豆の摂取による血中エストラジオールの変化は、上がる、下がる、変わらないといろいろな報告があり一定ではありません。植物性エストロゲンと乳癌の発癌リスク、予防効果に関して、臨床研究で明らかにされていません。豆乳でも豆腐でも同じだと思われますが、理論的には悪くありませんが、実際にははっきりしたことが言えないと言うのが現状です。(文責 須田)

 

No.1350】 03年01月30日 C.S.
細胞診と組織診について

はじめまして。インターネットのホームページより貴会を知り相談のメールを出させていただきます。昨年12/4 町の婦人科検診で触診エコーの結果、要精密検査と言う事になり、その病院の外科にて12/12エコー下細胞診を行い、12/26結果クラス5で、1.5センチの乳がんと告知を受けました。その翌日他市の総合病院2箇所にてセカンドオピニオンを受けましたが、「提供してもらった資料からは確実に癌で有るとは判断できないが、細胞診でクラス5ならそうなんでしょうね・・・」との見解でした。自分なりに手術方法など色々検討した結果、最初に受診した病院で1/15手術を受けることにしました。(温存+センチネルリンパ節を実施しているので)。1/13に入院し、1/15手術当日、手術二時間前に実際に執刀してくれる医師(提携先の大学病院の乳腺専門の医師)が当日手術の為に来院して私の細胞診の細胞をみて(初めて)、急遽予定していた手術を取りやめする旨言われました。理由は細胞を見たところ疑念が残るので、確実に癌であるか組織診で再度調べたいとの事でした。1/23日組織診の結果が出ました。 癌は認められなく、乳腺症と言われました。今後の為に生検でその部分のみ摘出手術を受けるよう勧められました。しかし私としてはまだ独身ですし、出来れば体には傷は付けたくないと思って、返事は保留のままです。細胞診と組織診の結果があまりにも違い、 はたして単純に「良かった」と喜んでいて良いのでしょうか?癌と告知された皆さんが同じように経験されたように、私も精神的に辛く苦しい日々を余儀なくされ、不安で夜も眠れなかったこの1ヶ月を思うとやりきれない気持ちです。癌の診断とはこんなにも曖昧でいい加減なものなのでしょうか? このまま定期的に検査を受ける経過観察で良いのでしょうか? 今後この病院で検査を受けても、またいい加減な結果により振り回されるのでしょうか? 告知された時同様、他病院で事情を説明して診察を受けたほうが良いのでしょうか? 癌で無いと言われホッとしてはいますが、同時に不安でもあります。どのように対応していったら良いのか アドバイス戴ければ幸いです。お手数ですが宜しくお願い致します。

決して癌の診断は曖昧でいい加減なものではありません。大変な病気の診断するのですから、慎重に確実に診断することが要求され、大変に難しいのです。細胞診という検査は、直接腫瘍に針を刺して中の細胞を取り出し、その細胞の顔つきが悪いかどうかをみて診断する検査で、かなり精度の高い検査です。しかし、診断率が100%かというとそうではありません(診断率が100%ならば、レントゲンやエコーの検査は必要なくなります)。その理由は、癌の病理診断は個々の細胞の顔つきの悪さ(細胞異形)と、その細胞が集まってどのような行動をしているか(構造異形)という二つの因子で診断されます。細胞異形は細胞診で診断できますが、構造異形は組織検査でないと診断できません。たまたま細胞異形の強い細胞は構造異形も強いことが多いので、細胞診だけでも診断できることが多いのですが、そうでない場合もあります。触診、マンモグラフィ(MMG)、エコー(US)、細胞診の全ての検査が癌と診断していれば問題ないのですが、触診、MMG、USは癌と診断しているのに、細胞診は良性と診断している場合、またはその逆の場合は、腫瘍を摘出して診断する必要が有ります。ですから、C.S.さんの場合も摘出することをお勧めします。しかし、どうしても切るのが嫌だと言う場合は、こまめに検診して定期的にエコー検査を行って、大きくならないかどうかみていくという方法も有ります。傷がついても確定診断がつくのが良いか、傷にはならないが心配しながら定期検査をするのがよいか、後はC.S.さんの判断次第です。今後の検診をどの病院でするかは難しい問題です。今まで行った検査の資料が全て有る今の病院が一番良いと思いますが、今回の件で信用をなくしたというのであれば転院もやむを得ないと思います。今回経験した辛い思いをpositiveに捉えて、まず、癌でなかったことを素直に喜んで、二度とこのような思いをしないように、今後病院にかかった時は、自分の体は自分で守る、検査結果は納得いくまでよく聞くことを肝に銘じて受診して下さい。(文責 清水)
 

 

No.1349-1】 03年01月29日 N.O.
検査結果待ちです

32歳未婚です。昨年夏ごろにブラジャーの右胸側に黄色いしみを見つけ、その後何度か見つけ、また乳首の先に白い塊のようなものができていたこともありました。10月末ごろ右乳首左内側に3センチほどのしこりを見つけ、バセドー氏病の治療を受けている病院の先生に紹介状をもらいましたが、(良くないこととはわかっていますが)そのまま精密検査を受けずにおりました。しこりを見つけてから急に背骨や肩甲骨あたりに違和感を覚えるようになり、現在も続いています。先日やっと意を決して病院に行き、まず触診してもらったところ、左乳首上あたりにも1センチ弱のしこりがあると言われてショックを受けました。両方のしこりに注射を打ち(細胞診ですよね)、乳汁は必死で絞りましたがじんわり滲む程度でした。本日はエコーとマンモグラフィーをとってもらいました。結果は31日ですのでそれまで待てば良いのですが、不安なのでメールさせていただきました。それぞれ注射の跡がうっ血していますが大丈夫でしょうか?両胸同時にガンができる確立はどのくらいでしょうか?また骨の違和感はガンが転移していることも考えられるのでしょうか?乳房そのものの痛みもあるにはありますが、どちらかというと背中あたりの痛み(激痛というほどではありませんが)が気になります。良性と言われている症状をHPなどで見るとどれにも当てはまっていないように思え、当てはまるのは乳がんだけのような気がしてなりません。あと3回眠ればわかることなのに、そして質問内容が漠然としていて申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

細胞診の注射の跡はうっ血ではなく、皮下出血の跡だと思います。自然に吸収されていくので心配有りません。同時性両側乳癌と言うのは乳癌100例に1例くらいだと思います。乳癌は大体1000人に1人位ですから、同時性両側乳癌は100,000人に1人位だと思います。しこりが乳癌であれば、骨の痛みは転移の可能性がありますが、そうでなければ転移と言うことはありません。しこりに気付いたり、乳癌だと診断された方の多くがあちこちが痛く感じたり、違和感を感じたりすると訴えます。ほとんどの場合が、転移ではなく、神経が過敏になっているだけで、実際は何も心配ないことが多いのです。とはいってもN.O.さんを実際に診察をした訳ではないのは断定的なことは言えません。ここはじっと我慢して31日の結果を冷静に聞くようにして下さい。最初"もし癌と言われたらどうしよう?"とうろたえるのは仕方がありませんが、いつまでもその状態に留まっていない(留まっていても何も良いことはない)で、前向きに行動しましょう。つまり、"もし、先生に癌と言われたら、こんなことをきちんと聞かなくては"と考えて、手術は乳房温存にするか?手術の前に化学療法をやろうか?等先生に聞くべきことを整理しておいて下さい。十分準備して、答えが違って良性だったとしても、そのような心の整理を一度きちんとすることは良いことだと思います。(文責 清水)

 

No.1349-2】 03年02月05日 N.O.
検査結果待ちです(2)

先生のご助言を頂き、31日の検査結果を冷静に聞く心の準備ができ、先日、検査結果を聞きに行って参りました。本当に有難うございました。その結果を受けて更にご相談に乗って頂きたくメール致します。結果は、左のしこりは良性で間違いないとのこと、そして右は、細胞診の結果はclassUで、異常は認められなかったとのことですが、写真を見ると形がかなりいびつなこと(かなりギザギザしていました)で、念のため生検したほうが安心であるという先生の言葉を受け、私もそのことには納得して生検をお願いして帰って参りました。その際、しこりの最大径は3.5センチほどあり、かなり乳頭に近い位置にあることから、全部摘出すると皮膚がへこむ可能性が高いとのことで、1/4程度の摘出で良いと思う、もちろん全部取ってもかまわないが・・・と言われました。私としても、もちろんなるべく傷や皮膚のへこみは避けたいのですが、やはり確実な結果がほしいのです。1/4程度の摘出でも確実な診断は大丈夫でしょうか? そのお話があったときは細胞診の結果がひとまず異常なしということでちょっと安心してしまい、そこまで頭がまわりませんでしたが、帰ってきてから1/4でも大丈夫なのかな?と少し不安になってしまった次第です。生検前に執刀していただく先生にお聞きしてから、やはり全部取ってくださいとお願いすれば良いかなとも思いましたが、せっかく前回ご相談にのっていただいたので今回もメールさせていただきました。残したしこりのほうにガン細胞があるということもやはりあるのでしょうか?また生検で全部取る場合の方が一般的なのでしょうか?生検は2/18です。今回もどうぞよろしくお願い致します。

ご本人の意思が整容的な配慮を重要視する場合は、できるかぎり意向に沿う方向で行いますが、目的は3.5cm大の乳腺腫瘤を検査することですから、全部摘出して検査するのが原則です。また、残したしこりの方に癌細胞が絶対にないということは言い切れません。(文責 須田)

 

No.1348】 03年01月28日 C.I.
術後の補助療法について

2002年の11月に乳ガンの手術をしました。しこりの大きさが19ミリと5ミリ、リンパ節の転移は3つ。ホルモンレセプターER(+)50%PR(+)90%で、悪性度は2。術後3つの方法を示されました。抗ガン剤(アドレアシンとエンドキサン)をするか、ホルモン療法(タモキシフェンとリュープリン)をするか、どちらも効果は同じくらい。又は抗ガン剤をした後にホルモン療法をすると言う方法もあるがデータがないので良いか悪いかわからないと言われました。それならばと、副作用の少ないホルモン療法を選んで行っています。それと放射線治療(25回)を行っています。私の先生は抗ガン剤とホルモン療法を同時に行うのはよくないとも言っておられました。質問はリンパ節に転移している人はほとんど抗ガン剤を行っている様に思えるのですが、私は抗ガン剤をしなくて本当にいいのでしょうか?それから抗ガン剤の後ホルモン療法をするのがいいと聞いたのですが、もう今からでは抗ガン剤をするのは遅いのでしょうか?よろしく御願いします。

St.Gallenのguidelineでは、閉経前、n(+)、ER(+)は"化学療法+内分泌療法"だと思います。現在私が理解しているevidenceは、(1)CMFという比較的副作用の少ない抗ガン剤療法とリュープリンもしくはゾラデックスとタモキシフェンの組み合せによるホルモン療法の効果はほぼ同じ。(但し、昨年暮れにホルモン療法の方が少し成績が良かったという報告もでましたが..) (2)CMFとAC(アドリアシンとエンドキサンの組合せ)ではACの方が再発が少ない。ここまでが2年前のguidelineのお奨めで、ここからは後はこの2年間に明らかになったevidenceです。(3)ACよりAC4コースの後にTaxolを4コース行うAC->Taxolの方が再発が少なく、ACとTaxotereを同時に投与するTACもACより再発が少ない。但し、エストロゲンレセプターが陽性の場合はACとAC->Taxolに差はない。ということで、現在あるevidennceで副作用のことを考えずに最も再発の確率の低い治療法を考えると"TAC->Tamoxifen"がbest regimenになります。しかし、副作用はかなりきついです。もちろん、ER(+)であればこれらの抗ガン剤治療の後にはタモキシフェン5年内服します。
しばらくホルモン療法を行った後に抗ガン剤に切り替えて大丈夫かという質問ですが、大丈夫という証拠はありませんが、変更せずにあとで後悔するよりは、今の時点で納得できる治療法を選んだ方が良いと思います。ホルモン療法と抗ガン剤は一緒にやらない方が良いというのは事実です。一緒にやってはいけないということではなく、抗ガン剤の治療と同時にホルモン療法を始めた場合と、抗ガン剤が終わってからホルモン療法を始めた場合では、後者の方が再発が少なかったということです。また、どの抗ガン剤治療でもかなりの頻度で閉経してしまうので、先に抗ガン剤治療を行うとリュープリンがいらなくなる場合が多いようです。(文責  清水)

 

No.1347-1】 03年01月28日 N.K. 
右胸の痛みと断乳

右の乳房の痛みについてご相談します。35歳、既婚。30歳の時第1子を出産。第2子は32歳の時出産、現在2歳2ヶ月です。2人とも母乳で育てました。第2子は1歳7ヶ月の時断乳しましたが、未だに1ヶ月に1・2回は乳を吸ったりします(なめる程度ですが)。前回の月経中(20日ほど前)に右胸の乳輪のあたりがシクシクと痛んでいたのですが、月経後も軽快することなく、その後痛みが筋肉痛のような痛みに変わりました。ひどいときは腋の下から右腕まで痛かったのですが、現在は乳房の外側が痛んでいます。自分で触ってみると、なんとなくグリグリしているようで、左よりはごつごつした感じです。一カ所特に痛いところがあり、しこりかどうかはわからないのですが固くなっている感じです。とても心配になり、乳腺外科を先日受診してきました。すると、簡単な触診(胸だけで腋とかは触られていません)後、乳首を触ったとき母乳が出たのを見て、現在の授乳の状態を訊かれたうえで、先生から「まず、しっかり断乳をしなさい。今は検査ができる状態ではありません。母乳が止まってからまた生理前に来て下さい」と言われました。また、痛みについては、胸筋の痛みであろうといわれました。この件で疑問に思うことが3点ほど出てきましたのでお尋ねします。

1) 母乳を止めないと検査ができないというのはどういうことでしょうか。また、止まるには個人差があるということですが、どのくらい経ったらまた診察を受ければよいのでしょうか?早いほうがよいでしょうか?
2) 触診を一応していただいたのですが、本当に簡単な感じだったのでこれで異常はなかったのかなぁ、と不安です。触診は一般的にどのようにされるのでしょうか?
3) 胸筋の痛みもあるようですが、乳腺も痛い気がします。こういう場合どのような病気が想像されるでしょうか?

冗長な文になりました。受診したのに不安は取り除けませんでした。よろしくお願いします。 

1) 母乳を止めなくても検査は可能だと思います。母乳は長い人では子供が小学校に上がる位まで分泌している人もいます。それは自然現象だと思います。ですから、止まるのを待っているわけにはいかないと思います。
2) 触診の仕方は医師によって個人差があると思います。但し、腋窩の触診は必ずすると思います。
3) 原則として乳癌は痛くないということがあります。N.K.さんの場合は年齢が35歳ということで、ちょうど、女性ホルモンのバランスが狂い始める年齢です。女性ホルモンのバランスの崩れによる乳房痛が最も考えられると思います。(文責 清水)

 

No.1347-2】 03年02月03日 N.K. 
石灰化がありました

お返事ありがとうございました。その後,乳がん検診を受けてきましたが,その結果について、またまた疑問が出てきたのでメールしています。
前回の質問で「母乳が止まるまで待たなくなくてよい」というアドバイスをいただいたので、本日、近くの婦人科で乳がんの検診を受けてきました。右胸の症状を伝えた上で、触診・エコー・マンモグラフィを行いました。乳頭分泌物は乳性で、しこり等はなかったとのことでしたが、マンモグラフィの結果、右は異状なしで、なんと左胸に微小の石灰化が認められたようです(見ながら説明を受けました)。先生の説明では「この白いものは(石灰化は)、多分まだ母乳が出ているためで、心配ないとは思いますが、少し気になるので、20日後に乳腺外科の先生が当院に来たとき(月1回乳腺外来があるようです)もう一度受診してください」と言われました。母乳がまだ止まっていないので、ホルモンの状態も調べようということになり、血液検査を受けました。(マンモグラフィの結果を聞く前、放射線技師の方と先生の会話が漏れ聞こえてきたのですが、「ちょっと気になるなあ」「多分大丈夫だと思うけど」と言う声に(ああ、なんかあったな)とは思ったんですが・・・)
そこでご質問です。(今回見ていただいた医療機関の先生はマンモグラフィ読影のA評価をうけているらしいです)

1)石灰化というとこの相談室でもよく出てきていると思いますが、私の写真を見ると、乳腺に沿ってポツポツと集まっていて、大変小さいもののようでした。形が丸いか、不明瞭かは私にはわかりませんでした。石灰化で微小な集まったものはガンの可能性が高いと聞いたことがありますが、次回乳腺外科の受診をすすめられたのは、やはりその辺の可能性が高いからという判断なのでしょうか。(診察のときはその辺の質問を聞き逃してしまいました。)また、そのような状態の石灰化でも良性であることはあるのでしょうか。
2)乳汁分泌がまだ続いていることによる石灰化というのはあるのでしょうか。(石灰化のように見えることというのはあるのでしょうか。)石灰乳石灰化という言葉を聞いたことがありますが、それのことでしょうか。
3)仮に乳汁分泌によるものとした場合、母乳が止まることで石灰化が消えることはありますか?
4)次回の診察で詳しい検査が必要であると言われた場合、今後どのような検査が標準的には行われるのか。また、受けておいたほうがよい検査は何か教えてください。
5)経過観察を見ることになった場合、石灰化があると妊娠はしないほうがよいと思いますが、年齢的なこともありますので、その場合はこちらから生検等をお願いすることはできますか?
6)その他、(受診の心構えとして)どのようなことを質問事項として考えておけばよいでしょうか?

今回受診した医師の話では、「20日後の受診で大丈夫です。その時に血液検査の結果もお話しましょう。」とのことでした。その時にはっきりすることで、それまで待てばよいのですが(特に4から後の質問)、ご質問させていただきました。よろしくお願いします。

マンモグラフィーの石灰化については、以下のカテゴリー分類があります。
カテゴリー1     異常なし
カテゴリー2     良性
カテゴリー3     良性しかし悪性を否定できず
カテゴリー4     悪性の疑い
カテゴリー5     悪性
マンモグラフィーをみて、明らかな石灰化に当てはまらない石灰化、つまり良悪性の鑑別を必要とする石灰化があれば、@石灰化の形態、A石灰化の分布の組み合わせでカテゴリー分類をし、カテゴリー3以上について精査することになります。
以下、ご質問順にお答えいたします。
1)その通りです。良悪性の鑑別を必要とする石灰化と判断したと思われます。
2)乳汁分泌が続いていることと石灰化は関係無いと思われます。石灰乳石灰化はのう胞内に析出沈殿したカルシュウムによる石灰化で、半月状、三日月状、曲線状を呈しています。
3)母乳が止まっても石灰化は消えません。
4)カテゴリー3以上の石灰化と判断された場合、貴方は超音波検査および視触診により異常所見が無いことが確認されていますので、マンモトーム生検、ステレオガイド下生検等での生検(組織診)を行うことになります。また、MRマンモグラフィーを行い、良悪性の鑑別を試みることも選択肢の1つです。
5)石灰化の経過観察と妊娠とは関係ありません。生検が必要な際は、こちらからお願いしなくても検査を勧められると思います。
6)20日後にはっきりするとの事ですが、何がはっきりするのでしょうか? 貴方は、良性か悪性かの診断がはっきりすると期待しているのではないでしょうか。診察の流れからみると、はっきりするのは診断ではなく、今後の経過観察を含めどのように検査を進めていくかの方針がはっきりするということを主治医が伝えたかったのだと思います。この様に、患者サイドと医療者サイドで大なり小なり温度差があることがあります。従って、受診の心構えはお互いにうまくコミュニケーションをとるように努めることだと思います。(文責 須田)

 

No.1347-3】 03年02月07日 N.K. 
生検について

くわしいご説明ありがとうございました。質問ついでにもう2点おたずねします。

1)マンモトーム生検、ステレオガイド下生検の検査の違い(方法及び検査精度等のちがい)を教えて下さい。MRマンモグラフィーについてもお願いします。
2)生検の結果がまた何段階かに分かれるのだと思いますが、この段階で良性の範疇にあるという結果が出たとしても、将来的にガンになる可能性は異常のない場合と比較した場合、リスクが高いのでしょうか。

今後の治療方針を選ぶ上での判断材料にさせてください。よろしくお願いします。

1)マンモトーム生検
診断を確定するために組織を採取する検査を生検といいますが、非触知石灰化である小さな腫瘤の場合、目的とする場所をいかにして確実にとらえるかが重要になってきます。1980年代後半には乳房撮影にもステレオ撮影を応用したマーキングのための装置が開発され、非触知病変の正確な立体的位置を把握することが可能になりました。そこで、このようなステレオガイド下に、目標とする石灰化部分に挿入したフックワイヤーを目安に乳腺を部分切除して、生検が行われるようになりました。また、1994年頃よりステレオガイド針生検(core needle biopsy)、更に1998年頃より持続吸引装置を利用した針生検(マンモトーム)が開発され、時代と共に選択肢も増えてきました。マンモトームの場合、ステレオ撮影装置やディスポーザブルの生検針が高価であることもあって、保険診療に対応していませんが、持続陰圧をかけることによって針を抜去することなく、繰り返し標本採取ができるので、病変採取が100%可能です。また、石灰化像でなく、小さな腫瘤の場合は、乳房撮影では確認できませんが、超音波検査では可能なので、超音波ガイド下で、同様にマンモトーム生検を行います。
以上を要約しますと、石灰化の生検には、石灰化が細かく描出できる乳房撮影を利用したステレオガイド下のマンモトームや、core needle biopsy、フックワイヤーを利用した乳腺切除が行われ、小さな腫瘤の生検には、超音波ガイド下のマンモトームが行われます。
2)MRマンモグラフィー
一般に乳房のX線撮影画像をマンモグラフィーといいます。MRI(磁気共鳴画像)装置は、放射線を使わず、磁力と電波を使って人体内部を写し出す画像診断装置ですが、これを利用した乳房撮影をMRマンモグラフィーといい、三次元画像を撮影することによって、癌の広がりを診断することができるようになりました。
3)貴方のおっしゃる通り、生検によって良性の範疇にあるという結果が出たとしても、将来的に絶対癌にはならないと言うことではありません。リスクは個々の事例によっても異なってきますので、主治医に実際に則した説明を受けることが重要です。(文責 須田)
 

 

No.1346-1】 03年01月28日 こっこちゃん  
転移の治療についておたずねします

現在52歳です。平成12年6月に温存手術を受けました。リンパ転移が0/4、腫瘍の大きさが2,5×2,5×2cmでした。ホルモンレセプターはエストロゲンが+++ プロゲステロンが+でした。以後タモキシフェンを服用しています。放射線治療も3×3×5Gyしました。先月の定期検診のCTで肝臓に影が認められましたが、マーカーのCA15−3が9,6 CEAが5,1で、はっきり転移とは断言できないため2月にもう一度CTの検査をすることになっています。そのときHER2の検査をしていただいたら3+でした。非常に活発なガンですと言われました。ホルモンが+だったのでおとなしい性質だとばかり思い込んでいたので、かなり驚きました。どちらも+の場合はどのように考えればいいのでしょうか?またHER2がプラスの場合は、再発の予防としてハーセプチンの使用も最近考えられるようになっている・・とも聞くのですが、今このままの状態で2月の検査まで待つ以外に方法はないのでしょうか?またほっておいていいものなのでしょうか?よろしくお願いいたします。

原則としてERとHer2は逆相関するといわれていますが、あなたのように両方(+)という方もいます。その時どう考えるかですが、現時点では答えは出ていないと思います。但し、majorな報告ではないのですが、Her2(3+)、ER(+)の方にTamoxifenを投与するとかえって再発が多くなるという報告もあります。ですから、最近ではHer2(3+)、ER(+)の例にはアリミデックス(anastrozole)を投与する例が多いようです。ハーセプチンの術後補助療法での投与はまだ保険で認められていません。また、現在補助療法での臨床試験はいくつか行われていますが、まだ終了していません。ですから、ハーセプチンの術後補助療法については全くevidenceがありません。肝臓の影が再発かどうかが問題で、それは2月のCTと腫瘍マーカーの検査結果を待つしかないと思います。そこで再発が強く疑われればハーセプチンの出番だと思います。そうでないことをお祈りします。(文責 清水)

 

No.1346-2】 03年11月14日 こっこちゃん  
イソフラボンについて

Her2(3+)、ER(+)の場合、タモよりはアリミデックスの方が良いとのお返事をいただき、主治医に相談してお薬をかえていただきました。結果CEAの値が下がりはじめました。閉経前でしたのでゾラもしております。どちらの副作用かよくわからないのですが(両方?)、更年期の症状が強くなり、節々が痛むようになりました。主治医に大豆(イソフラボン)の摂取を薦められました。いろんなHPをみますとタモに似た働きがあるとの事ですが、タモの服用を避けたほうがいい私がイソフラボンを服用していいのでしょうか?更年期症状は確かにつらいのですが、再発をするのはもっと嫌なのです。せっかく数値が下がりはじめましたので、悩んでいます。他にサメの軟骨も飲んでいますが、こちらのほうはどうでしょうか。よろしくお願いいたします。

イソフラボンやさめの軟骨については医薬品ではなく健康食品の部類にはいるものですから、我々も普段治療に用いておりませんし、データも不十分でそ、の効果についても不明な部分が大きいです。文献的にはイソフラボンは分子構造が女性ホルモンに似ているため、更年期障害に効果があると言われています。しかし、アメリカで行われたメタアナリシスでは症状の改善に効果なしと結論が出ています。乳癌に対しても実験レベルではイソフラボンが乳癌細胞の発育を抑制したとの報告がありましたが、臨床での効果は不明です。結論としては更年期障害に対しても、乳癌の再発に関してもイソフラボンの作用は不明であり、心配なのであれば服用しない方がよいのではないでしょうか。(文責 浜口) 

 

No.1345-1】 03年01月27日 O.M.
フェアストン錠40はどんな薬?

相談室で勉強させていただいている49歳です。2001年12月温存手術しました。腫瘍16ミリ、リンパ節転移ナシ、ホルモンレセプタープラス、顔つきは普通で放射線25回、2002年1月よりノルバデックスD(5年)を飲んでいます。最近ホットフラシュがひどくなってきたので、主治医に相談したところ、フェアストン錠40に変えて様子を見ますかと言われました。なにげなく薬の副作用の事などを調べていたところ、飲んではいけない人に閉経前と書いてありました。私の場合、薬を飲むまでは少し不順ながら生理はありました。微妙な年齢ですが、薬を変えて大丈夫でしょうか。まだ閉経でないのならば、何年ぐらい後に閉経になるのでしょうか。また、ノルバデックスとフェアストンとでは何が違うのでしょうか。よろしくお願いいたします。

腫瘍の大きさが2cm以下、ER(ホルモンレセプター)(+)、 n(リンパ節転移)(-)、"顔つき"というのが組織学的悪性度のことで、"普通"というのがGrade2と判断すると、術後補助療法はノルバデックス(20mg)5年間内服というのがguidelineです。閉経年齢は個人差がありますから、いつ閉経するかは閉経しなければ分かりません。ただ、ノルバデックスやフェアストン(一般名:Toremifen)を内服していると生理が不順になったり、止まったりすることがあります。49歳という年齢を考えると、自然な閉経か、薬による閉経か判断は難しいと思います。いずれにしてもER(+)の乳癌にとって閉経することは望ましいことです。フェアストンという薬はほとんどノルバデックスと同じと考えて下さい。治療効果をみた臨床試験の成績では全く効果は同等で、副作用もほぼ同じです。しかし、動物実験でノルバデックスより発ガン性が少ない(臨床では証明されていませんが)というのが一つの売りで、もう一つはノルバデックスで中性脂肪が高くなった人の薬をフェアストンに変えると中性脂肪が低くなったという報告があります。ホットフラッシュはあまり変わらないと思います。ホットフラッシュについては新しい薬のアリミデックスの方がノルバデックスよりいくらか少ないといわれています。(但し、まだguidelineで推奨される治療法ではありませんが・・・)(文責 清水)

 

No.1345-2】 03年09月23日 O.M.
ホルモン療法の薬の選択

前回はありがとうございました。相談させていただいてすぐノルバデックスからフェアストンに薬を変えて飲み始めました。ところが、一ヶ月半飲んだところで生理が始まりました。ちょうど診察日だったので主治医の先生に相談したところノルバデックスに戻されました。相変わらずホットフラッシュがひどい為、三ヶ月飲んだところでアリミデックスに変えました。ホットフラシュは相変わらずでしたが、尿意(ホットフラッシュが始まるとトイレに行きたくなり、治まると尿意も治まります)は十日目からなくなりましたので、しばらく飲むことにしました。でも、三ヶ月ちょっと飲んだところで、又生理が始まってしまいました。お薬は、まだ18錠残っています。相談室のNO1755-1.2をみて、このままアリミデックスを飲んでしまってもいいのか、すぐに違う薬に変えに病院に行った方がいいのか悩んでいます。よろしくお願いいたします。

閉経前乳がん患者にアロマターゼ阻害剤を使用すると、フィードバック調節の遮断によって性腺刺激が増大し、多数の卵巣のう胞が形成されることがあります。卵巣機能が一部維持されることがあり、閉経前の場合、アロマターゼ阻害剤は不適切ということになります。
貴女の場合、おそらく閉経後だと思いますが、もう一度、閉経前のホルモン状態か、閉経後のホルモン状態かを調べる為のエストロゲン血中濃度の測定等も含め、主治医とよく相談なさって、適切なホルモン剤の選択をしてください。(文責 須田)

 

No.1345-3】 03年10月13日 O.M.
ホルモン療法の薬の選択(2)

アドバイスしていただいたように、エストロゲン血中濃度の検査をしてもらいました。結果は、FSH−38.6 E2−10.0> でした。主治医の先生は、「E2は低いのでいいが、FSHはもう少し高ければなぁ」と言われました。血中濃度がどのぐらいの数値になれば閉経になったといえるのでしょうか。また私の場合は、どちらなのでしょうか? 検査日は、生理が始まった日から18日目でしたが、検査日によって数値が変わることがあるのでしょうか。何回も申し訳ございませんが、よろしくお願いします。

日本人女性の婦人科的な閉経の定義は、「1年間以上月経を認めなくなった女性」とされており、平均年齢は51歳となっています。貴女の場合は、不順ではあるものの、まだ月経を認めるようなので、婦人科的定義では閉経前ということになります。それでは、ここで問題になっているホルモン剤の適否についてですが、ノルバデックスは閉経前・後どちらの乳がん症例にも適応となっていますが、フェアストンとアリミデックスは閉経後乳がん症例のみの適応となっています。保険適応から考えると貴女にはノルバデックスのみが使用可能ということになります。それでは、もう少し科学的に体内の内分泌環境を考慮して考えてみましょう。卵巣で作られるエストロゲンの中ではE2(エストラジオール)が最も強力であるので、E2の低下とそれに続いて起こってくるFSH(脳から分泌される卵胞刺激ホルモン)の上昇を認めれば、内分泌学的に閉経していると考えられます。閉経時のE2レベルは18pg/ml以下となっていますが、多くの場合10pg/mlにまで低下します。閉経時のFSHレベルは26〜114mIU/mlとなっていますが、多くの場合、閉経前の10〜15倍(50mIU/ml)以上になります。通常、これらのホルモン環境が完成されるまでには婦人科的閉経から2〜3年と言われています。つまり内分泌学的に見ても、貴方のホルモン環境は「閉経期にさしかかったところ」と言うことになります。確かに検査日によってホルモン検査値は変動しますが、今後の検査でもE2が持続的に10pg/mlまで低下しているようであれば、内分泌学的閉経と考え、アリミデックスの効果が期待できると思います。(文責 千島)

 

No.1344】 03年01月27日 rin
乳腺から分泌液

私は19歳なんですが、左の胸、乳腺から分泌液が1月のはじめ頃から出るようになりました。透明で黄色なんですが、なにかあるんでしょうか?このままほって おいても大丈夫でしょうか? もし病院で見てもらう場合、何科の方で見てもらった方がいいんでしょうか?

19歳で、乳腺からの透明で黄色の分泌物はまず心配ありません。しかし念のため、乳腺専門医のいる病院で診てもらって下さい。科でいうと外科か乳腺外科です。そこで行われるのは、視触診とレントゲン(マンモグラフィ)、エコー(超音波)検査、分泌物の細胞診検査等ですが、先生が診て必要ないと判断すれば省略することもあります。(文責 清水)

 

No.1343-1】 03年01月26日 A.O. 
子供の副乳について

こんにちは。一歳になる子供のことなのですが・・・、生まれたときから乳首の下にもうひとつはっきりとした乳首があります。(乳首が3つあります。)年に一回子供病院の形成外科に行っているのですが、今はどうしようもないと言われました。副乳と呼べるかどうか・・・って言うほどはっきりしたものらしいです。乳腺の関係があるので、思春期に入るまで様子を見たほうがいいと言われましたが、女の子ですし、幼稚園に入ったら身体検査やプールが始まってしまうので、出来るだけ本人も意識してない間に治してあげたいと思っています。とにかく、そういうことを専門に扱っているお医者様に一度聞いてみたいと思いました。状況を見ないと何とも言えないのでしょうか?3歳までに手術をして乳首をとった場合、大人になってから乳腺炎になったりするのでしょうか?お答えのほう、お待ちしております。また、神戸市で副乳、乳腺などを専門に見てらっしゃる先生はいらっしゃいますか?

見ていないので何とも言えませんが、副乳である可能性はあると思います。その場合、乳頭を伴う副乳と、伴わない副乳があり、伴わない場合は成長し、妊娠しないと分からないことが多いようです。一方乳頭を伴う副乳もしくは乳頭だけの副乳というのもあり、その場合、成人では副乳の乳頭がイボのように見えます。副乳が成人して機能することはほとんどありませんし、まして1歳であればまだ乳腺組織はほとんどありませんから、現時点で切除しても将来的に問題ないと思います。手術はやはり場所が場所だけに形成外科の先生が良いと思います。副乳を専門にしている医師と言うのはあまりいないと思いますし、乳腺を専門にしている医師の多くは癌を専門にしていますから、ご期待に応えられるような医師は少ないと思います。子供病院の形成外科ならばbestだと思いますが、手術してくれないのであれば、乳腺の専門医に診てもらって、手術しても将来的に問題ないと言う御墨付きをもらってから、改めて形成外科の先生に手術をお願いしてはいかがでしょうか?(文責 清水)

 

No.1343-2】 03年01月27日 A.O. 
子供の副乳について(2)

お返事ありがとうございます。見ていないのでなんともいえないと言うことですが、そちらで見ていただいた場合、手術してもいい副乳かどうかはわかるのでしょうか? 今の状態で乳首を切除したとして、思春期になってから乳腺が発達してくるということもあるのでしょうか? 今のところ、子供病院ではお墨付きはもらえそうにないのですが・・・。とにかく、今のうちに何とかなるようであれば、神奈川にも行ってみよう・・・と思っています。お返事よろしくお願いします。

1歳の子供さんの乳頭を切除した後で、思春期になって乳腺が発達するかどうかは経験がないのでわかりません。しかし、成人の乳房をたくさん診察している経験から、副乳で乳腺と乳頭が同時に大きく育った例を見たことがありません。また、1歳の時点で乳頭を切除すれば自然にそこに付随している乳腺は一緒に切除されてしまうと思うので、思春期になって乳腺だけが発達してくる可能性は低いと思います。正常な乳腺乳頭が残るのであれば、手術できるのではないかと思います。はるばる神奈川まで来ていただくのは大変だと思います。関西にも相談できる先生はいらっしゃると思うのですが・・・。他に相談する先生がいないとなれば、このHPの縁で診せていただければ何らかのadviceはできると思います。(文責 清水)

 

No.1343-3】 03年01月29日 A.O. 
子供の副乳について(3)

お返事ありがとうございます。少し気分的に楽になりました。ただ、子供病院の形成外科で言われたのが、「副乳がどちらかわからない。」との事だったのですが、乳腺専門の先生に聞けばわかるのでしょうか? 正常な乳腺、乳頭が残るのであれば手術できる・・・との事ですが、どちらが正常でどちらが副乳かというのはすぐにわかるのでしょうか? 乳輪と乳頭がどちらもはっきりしていて、位置的にも少しずれている感じなのですが・・・。普通横一直線に乳頭が二つですが、どっちを見ても横一直線ではないような気がするのです。どちらが副
乳かはっきりしないと、手術は出来ないと言うことでしょうか?

確かに左右が対称になる乳腺、乳頭を残さないといけないと思います。どちらが正常かは位置で決めるしかないと思います。どちらもずれているとなるとその判断は難しいかもしれません。やはり、直接診察している形成の先生のおっしゃることが正しいかもしれません。(文責 清水)

 

No.1342】 03年01月26日 M.K.
腫瘍マーカーについて

腫瘍マーカーについてお伺いします。2001年7月、34歳にて粘液ガン混合型で、右乳房全摘、リンパ郭清は主治医いわく、内側、外側とごく一般的に採ったとの事。転移はなく、♯la:0/5 ♯lb0/6 です。化学療法、放射線治療はしておらず、現在ノルバデックスの治療のみです。昨年の8月にCEAが1.7、11月には2.4に上がっていました。正常範囲以内ですが、上がると言う事に不安を感じます。先日健康診断の際、近医で調べてもらった所、0.0という結果だったのですが? 有りうることでしょうか? 1週間前より右背部に痛みがあります。この腫瘍マーカーの数値で転移とかは考えられるでしょうか? 宜しくお願い致します。

CEAの基準値は5.0だと思いますが、1.7->2.4の変化は多分誤差範囲と考えます。誤差範囲かどうかを確認するには、それまでの値の変化を調べると良いと思います。健康診断での0.0という値の方が信じられません、検査方法が違うのではないでしょうか?CEAというタンパク質は癌でない人も少量持っていて、癌の人ではそれが高くなるのです。しかし、正常でも5.0以上の人もいます(有名なのはたばこを吸う人)し、癌が進行してもその値が上昇しない人もいます。ですから、腫瘍マーカーの値を見る時は絶対値ではなく、変化で見て下さい。先ほど多分誤差範囲と言いましたが、人によってはこの位の変化に意味があることもあります。できれば手術後の腫瘍マーカーの推移をグラフにしておくと、その変化が誤差範囲なのか、意味のある(再発を疑う)変化なのか分かり易くなると思います。背中の痛みは、続くようであれば診察を受け、検査をしてもらって確認してください。腫瘍マーカーはCTやRI等の検査をしなくとも、おおよそ再発があるかどうかが分かるので便利ですが、100%の感度を持っているわけではないので、それだけに頼らずに、気になるときはきちんと検査を受けることをお勧めします。(文責 清水)

 

No.1341】 03年01月26日 oka
細胞診について

はじめまして 私は41歳の主婦です。昨年末に右胸のしこりに気づき 今年明けてすぐに乳腺専門の病院で診察をうけました。1週間後の結果では マンモ・エコー・細胞診とも悪いものは見られないとの事。「細胞診クラス2で乳腺症でしょう。」ということで、「経過観察3ケ月後に診察にいらっしゃい。」との事でした。細胞診クラス2というのは経過観察ということになるのでしょうか?「取ったほうがいいのでしょうか?」とおたずねしたのですが 「今はその必要はないでしょう。」との事でした。検査結果を聞いてから2週間、少ししこりが大きくなった気もします。(今は生理1週間前くらいです) 圧痛もあります。本当にとらなくても大丈夫なものなのでしょうか? 検査時のしこりの大きさは1.5cmでした。お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いします。

細胞診の結果については、クラス1は正常な細胞、クラス2は良性細胞、クラス3は良性細胞か悪性(癌)細胞か判定できない細胞、クラス4は悪性(癌)を疑う細胞、クラス5は間違いなくガン細胞と考えて下さい。したがって、レントゲン、エコーで異常なく、細胞診がクラス2であれば通常は切除しません。乳腺症のしこりは、排卵の頃から生理前にかけて大きくなり、圧痛を伴うのが特徴で、生理が来ると小さくなり痛みも和らぎます。ですから次の生理まで待って小さくならないようでしたら、もう一度受診して下さい。(文責 清水)

 

No.1340】 03年01月26日 H.O. 
両胸のしこり

私は、27歳で、もうすぐ2歳になる子供がいます。小学生の頃から両胸にしこりがあって、体が成長すると共に、しこりも大きくなりました。今まであまり気にしていませんでしたが、断乳したあとも同じように大きなしこりが残っています。他の女性の体を触ったことがないのでよく分かりませんが、乳房は触ると何もないのが普通なのですか? 私は中心に硬い所があるのが普通だと思って過ごしてきました。最近、わきの下あたりが痛むことがあって、急に乳がんのことが心配になってきて、このサイトにたどり着きました。母乳を中途半端に止めてしまったのもいけないのでしょうか。(子供が4ヶ月の時) 色々心配になって眠れないので、教えて下さい。

小学生の頃からあって、両側で、成長と共に大きくなって、断乳した後もある"しこり"というと、それはまさしく乳腺組織そのものを触っているのではないでしょうか。乳腺組織が硬いしこりのように触れる人もいますし、柔らかく触れる人もいますが、それは個人差で心配ありません。しかし、この機会に一度専門医の診察を受け、自分の正常な乳腺はどうなのか、今後どのようなことに気を付ければよいかをよく相談しておくことをお勧めします。(文責 清水)

 

No.1339】 03年01月26日 A.K.
右胸にしこりがあります

はじめまして。私は26歳の未婚です。結構前からだと思うのですが、右胸にしこりがあります。いつからというのは覚えてないのですが、気付いたらありました。気になりつつも、ほうっておいたのですが、最近テレビで乳がんの話題を見て心配になり、近所の産婦人科で診てもらったのですが、寝た状態で触診してもらい、「どこにあるの?わからないね〜」と言われ、超音波(?)検診もしてもらったんですが、「何もうつらないね〜」と言われ、「乳腺と間違えてるんじゃないの?」で済まされてしまいました。ちょっと対応が雑だったため、なんともないと言われても不安がぬぐいきれません。乳腺とは誰にでもあるものなんでしょうか?固いものなんでしょうか?私のしこりはけっこう固くて大きめで、触ると痛いのですが…。それと、最近左胸にもしこりがあるのがわかりました。そして、生理中でも生理前でもないのに、胸がはっている感じがして、触ったりすると痛いのです。別の病院に行こうとは思っているのですが、その前にぜひ相談したいと思い、メールいたしました。返信、お待ちしております。よろしくお願い致します。

乳腺と言うのは将来あなたが結婚、妊娠、出産して赤ちゃんに母乳をあげる時、その母乳を作る細胞と、作った母乳を乳頭まで運んでくる乳管という管と、それらを支持しする組織でできています。したがって女性であれば全ての人が持っています。乳房の大きさや形が一人一人違うように、その中にある乳腺の硬さも一人一人皆違います。また、乳腺は卵巣から分泌される女性ホルモンの影響を毎月受けますから、その硬さは生理の前後や、月によっても変わってきます。乳腺が硬い時に乳房を触るとしこりがあるように感じます。その時はまず生理前かどうかを確認して下さい。生理前は硬くなることが多いので、次の生理まで待って硬さがどうなるか見て下さい。生理後でも硬いようであれば、専門医の触診を受け、レントゲン、エコー検査をして、その硬いものが、できもの(いわゆる“しこり“)なのか、乳腺が硬いだけかを鑑別してもらいます。今回の産婦人科の先生の対応は、話し方が"雑"かもしれませんが、やっていること、話していることに間違いはないように思います。セカンドオピニオンという言葉もありますから、納得できなければ別の病院で診てもらうことはいいことだと思います。(文責 清水)

 

No.1338】 03年01月26日 S.Y.
検査ばかりなのですが…

はじめまして。36歳の主婦です。2回出産しています。左胸の痛みとしこりが気になったので、12月末に実家に帰省した際、専門の病院へ行きました。細胞診の結果、炎症と診断されましたので自分の家に帰ってから市立病院へ通院することにしたのですが、再度細胞診を行い、腫瘍マーカ、MRI、と現在に至るまで検査ばかりです。検査をし、一週間後に説明があり、また検査をし、一週間後に説明があり、また……という具合で「ガンなんですか」と尋ねても「まだわからない」とおっしゃるだけです。説明といっても、「悪性だとは言い切れないし、良性だとも言い切れない。次の検査の結果をみないと」という説明で何が何だかわかりません。私はただの炎症のつもりで、抗生物質でも処方していただけるものと軽く思っていましたので、大変とまどっています。先生はちょっと取っつきにくいタイプで、質問に答えてはくださるのですが、かならず語尾に「はい、もういいですよ」がつくのです。なんだか、「忙しいからさっさと帰って」と言われているような気がして…。左胸のしこりは6センチ×4センチです。なんだか大きくなっているような気もするし、表面もごつごつしてきました。ときどき痛みもあります。先生を信頼してこのまま検査を続けていていいのでしょうか。炎症でないのであれば、このしこりは早く摘出するべきではないでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。

6x4cmのしこりが癌であれば、今までの検査のどれかで既に診断がついていると思いますので、多分癌ではないのでしょう。しかし、現在の主治医の先生の検査方法については少し疑問があります。しこりの診断に腫瘍マーカーは無力ですし、MRIも如何でしょうか? 原則は触診とマンモグラフィと超音波(エコー)検査と穿刺吸引細胞診です。それでも確定診断がつかなければ生検すべきだと思います。Mailから推察するにあなたの主治医は乳癌専門医ではないのではないでしょうか?(文責 清水)

 

No.1337】 03年01月26日 Y.Y.
乳首の痒み、かぶれについて

先日、初めてホームページを拝見させていただきました。私は22歳の女子大生です。ここ2、3ヶ月前から、両胸の乳首から乳輪のあたりに激しい痒みを感じています。なるべく、かかないように我慢していたのですが、寝ている間などに無意識にかいてしまい、膿や血がでてきて下着を汚してしまうので、最近ではティッシュなどをはさんでます。私は皮膚が弱く、アレルギーも少々あるようなので、単なるかぶれだと思い、そのうち治ると思っていたのですが、なかなか治りません。他に特に症状はなく、胸に痛みなども感じませんし、しこりなんかもありません。叔母が卵巣癌を患っています。そういったことから、私も乳がんやパジェット病の可能性などが考えられるのでしょうか。仮にもしそうだとしたら、乳房を切り落とす手術とかをしなければならないのですか。私はまだ独身で、今年の春、大学を卒業予定で、就職先も無事決まり、4月から社会人として新たなスタートをします。結婚も出産ももちろん希望しています。子どもが産めないということにもなりうるのですか。今まで大きな病気にはかかったことがないので、大きな病院の乳腺外科などに行くのは少し抵抗があるのですが、やはり一度診察してもらうべきでしょうか。また、薬をつけるとしたら、どんな薬をつけるべきでしょうか。お願いします。教えてください。22歳、学生、匿名希望。

Mailの内容から察するに、乳癌やPaget病ではなく、若い女性に見られる乳頭乳輪の湿疹で、steroid系の軟膏が有効だと思います。心配せずに専門医の診察を受けて下さい。(文責 清水)

 

No.1336-1】 03年01月26日 H.K.
胸の痛みについて

現在抗がん剤治療中なのですが、右胸の肋間から背中にかけて痛みが二週間程続いています。単純レントゲンでは異常なしとのことです。胸の痛みは風邪を引き、咳が長引き(血痰もでましたが咳の方も今は納まっています)、それによるものとは思いますが、ガンの転移かもしれないという不安も捨てきれず悩んでいます。手術の方は、左胸1/4切除、去年の9月に終わり、髄様ガンで腫瘍の大きさ2cm、リンパ節転移なし、ホルモン受容体(-)、年齢30歳。現在おでこの生え際の所に1cm弱、首のリンパ節にあずき大程のしこり(2こ)があり、医師によると、やわらかく悪い物ではなさそうだ…との事で経過観察中です。このままでいいのか不安で、良いアドバイスがあれば、宜しくお願いします。

乳癌の手術をされた方の多くは、ちょっとした症状に対してもとても過敏になり、特に手術後間もない時は、全ての症状を癌の再発に結び付けて考えてしまいがちです。神経質になるなといっても無理なことなので、気になる時は主治医の先生に相談して、検査して、その症状が再発によるものでないということをひとつひとつ確認していくしかありません。ご相談の胸の痛みもレントゲンで異常ないと言われているのであれば心配ないと思いますし、首のしこりも先生が触診して心配ないと言われているので、信じるしかないのではないでしょうか。まして、抗ガン剤の治療中ということであれば、既に治療をしているわけですから、信じて治療に専念することをお勧めします。蛇足ですが、髄様癌というのは比較的再発の少ない癌といわれています。(文責 清水)

 

No.1336-2】 03年04月10日 H.K.
胸の痛みについて(2)

またご相談したい事がありメール致しました。お忙しい中、申し訳ありませんが宜しくお願いします。
@ 二月中旬頃、骨シンチの検査をお願いして肋骨に異常が見つかり、肋骨のレントゲンを撮りました。結果は「ヒビなどで良くなった跡があるみたい…」という事でMRIなどの検査は行いませんでした。それから痛みは平行線で変わりなく、主治医に聞くと、「これ以上良くならないんじゃないかな…」との事ですが、胸に異常を感じ三ヶ月が経ちましたので、少し不安が残ります。もう一度検査をした方が良いでしょうか? 又、骨シンチの検査でヒビなどの異常がなくなるまで、どれくらい間をおいたら良いのでしょうか?
A 三週間程前に左脇の中心にポコッと腫れがあるのにきずき、一週間前から左脇の背中側の方がうっすらと赤くなり、腕を伸ばすと上腕・下腕に痛みが出て、血液検査では炎症など特に異常はなく、しばらく炎症止めの薬を飲む事になりました。首にも痛みがあり、むくみはないようですが、術後普通に生活してきただけに不安が残ります。主治医は「リンパの流れが悪くなった為だろう…」と言いましたが、他に考えられる原因はありますか?
B 髄様ガンについてですが、予後が良いと言うことで安心していますが、わずかながら再発・転移される方もいらっしゃると思うのですが、リンパ節転移、グレード、ホルモンレセプターなどが関係あるのでしょうか? 主治医に尋ねますと「髄様ガンは、数字を出すと悪い結果になるので、出してないみたい…ホルモンレセプターも陰性になるんじゃないかな〜…」と言いました。私の場合リンパ節転移は陰性でしたが、年齢的な事(30歳)、腫瘍の大きさ(2cm)ではハイリスクになってしまうのでしょうか? 髄様ガンについて調べましても、余り情報が得られません。特徴など他にありましたら教えて頂きたいのですが…。
以上、長くなりまして申し訳ありませんが、宜しくお願いします。

前回の御質問に対する回答も添付いたします。前回の回答が参考になるかと思います。手術後にいろいろなことが心配になるのは当然だと思います。主治医の先生は、いろいろ調べ、いろいろ考えています・原則としては主治医の先生に聞かれることだと思います。骨シンチで肋骨に集積があり、転移ではないかということが一番心配なことだと思います。骨シンチは鋭敏な検査で、ひどい風邪を引き、咳がずーっと続いた後でも、シンチをとれば集積が残ります。また手術した側の肋骨にはシンチで集積が認められることがあります。私の経験上、そういったシンチの集積が1年程度続くのは珍しいことではありません。シンチで肋骨単独(1カ所)の集積の場合は心配のいらないことが多いのです。しかし3ヶ月間痛みが続くとのこと、心配であれば主治医の先生と相談され、シンチ検査をされるのも1つの手だてだと思います。腋の腫れ、頚のぐりぐりに関しては、前回の回答のように実際にみている主治医以上にそのことがわかる人はいません。乳癌の再発高危険度群に関してですが、30歳、ホルモンレセプター陰性であれば、癌の組織型に関わらず、基準からいえば高危険度群ということになります。しかし癌の組織型と核異型などとは異なります。基準は髄様癌などの組織型には言及していませんが、髄様癌が予後が良いことで知られているのは確かだと思います。(文責 福間)

乳癌の手術をされた方の多くは、ちょっとした症状に対してもとても過敏になり、特に手術後間もない時は、全ての症状を癌の再発に結び付けて考えてしまいがちです。神経質になるなといっても無理なことなので、気になる時は主治医の先生に相談して、検査して、その症状が再発によるものでないということをひとつひとつ確認していくしかありません。ご相談の胸の痛みもレントゲンで異常ないと言われているのであれば心配ないと思いますし、首のしこりも先生が触診して心配ないと言われているので、信じるしかないのではないでしょうか。まして、抗ガン剤の治療中ということであれば、既に治療をしているわけですから、信じて治療に専念することをお勧めします。蛇足ですが、髄様癌というのは比較的再発の少ない癌といわれています。(文責 清水)

 

No.1336-3】 03年10月18日 H.K.
しこりについて

一年検診でしこりが確認されました。四ヶ月前の検査では異常なっかたのですが、今回、左胸術側 6ミリ、右側 7、6、5ミリがエコーで確認されました。三ヶ月様子を見て、また検査する事になりました。質問ですが、
(1) 手術の時、2cmで1/4切除し、術中迅速診断で断面に異型細胞が確認され、追加切除となりました。このような場合、再発リスクは上がりますか?
(2) 又、その時、小指大のリンパ節2つも一緒に迅速診断にだしたのですが、標準的な大きさはどれぐらいなんですか?
(3) 私はP53(+)、her2(2+)だったのですが、再発するリスクは上がりますか? 又、ガンが出来やすい体質なのでしょうか?
(4) 右側のしこりが悪性だった場合、三ヶ月でどれぐらい大きくなるのでしょうか? 乳腺症などの場合は大きさに変化がありますか?

転居により病院を変える事になり、色々と病院を周り、やっとみつけた病院で今回のような事になり、先生にも遠慮して思った事をなかなか聞けません。お忙しい中何度も恐縮ですが、宜しくお願いします。

(1) 最終的に断面に癌が残っていたのかどうかにより違います。追加切除により取り切れていたのであれば、通常の残存乳腺の再発率3%程度と考えます。残っていれば再発率は上昇します。また、追加切除をしなければならなかったことから、乳管にそって広がっていたとすれば、再発率は上昇します。
(2) 腋窩のリンパ節の大きさは、さまざまです。転移がなくても大きいものもありますし、小さくても転移があるものもあります。大事なのは、大きさではなく、顕微鏡的に癌の転移があるかどうかです。
(3) HER2 (2+) は、再発リスクを上げると考えられています。p53(+)もリスクをあげるという報告が多いようですが、コンセンサスは得られていません。癌のできやすさとの関連はあきらかではありません。
(4) 見えなかった腫瘍が4ヶ月間で7mmになったとするとかなり増殖のはやい腫瘍だと思います。画像で評価できているので、乳腺症の影響はないと思います。また、悪性であるとしても乳腺症は増殖には影響を与えないと思います。(文責 徳田)

 

No.1335】 03年01月24日 Y.N.
肺、胸膜ほかの転移について

こんにちは。47才(閉経)、出産経験なしの主婦です。よろしくお願いします。2002年5月に乳癌(T4N2M1 Stage4)と診断され、すでに骨、肝に転移していたことで手術をせず、生検でER(focally +) PR(+) Her2(+1)でホルモン剤治療を希望し、アリミデックスで治療を開始しました。皮膚に潰瘍を作っていたため7月、右乳房に2グレイずつ33回の放射線。10月に腫瘍マーカーが6月より毎月上昇、また骨盤、坐骨転移が見つかり、アロマシンに変更。11月、左肩の痺れと痛みでMRIの結果、第6頚椎と胸椎2箇所、腰椎1箇所転移を認め、頚椎に2グレイずつ20回の放射線治療を受けましたが痺れが治らず1月、頚椎と胸部のCTを取ったところです。先日の主治医との診察で、CT結果について積極的な説明がなく、とりあえず読影リポートのコピーは頂いたのですが、その場では文面を簡単に読んだだけで衝撃を受けてしまい、そのときは内容の把握ができないままでした。28日に頚椎のMRIを取り、来月早々主治医の診断があるのでそれまでに今回の結果を良く知りたいと思い、メールを差し上げました。レポートの文面から明確にお分かりになるところだけで結構ですのでお教えいただければ幸いです。現在は骨転移の痛みはボルタレンで対応でき、肺についても声の枯れ、軽い咳、深呼吸時の痛みはありますがあとは多少胸が重苦しくなるときがあるくらいで比較的元気です。今のうちに今後の治療法を良く考えたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

所見1 右胸水(+)、胸膜に造影される腫瘤(+)
疑問点 乳癌による胸膜転移と胸水貯留と考えるべきですか。あるいは別の理由が考えられますか。

所見2 全肺野に数ミリ大の辺縁比較的明瞭な結節が複数、肺構造と無関係に認められます。増大しています。
疑問点 これは原発性の肺がんではなく、乳癌による肺転移と解釈してよいでしょうか。あるいはどちらか調べる必要はありますか。

所見3 中葉には区域性に容積減少とairbronchogram を伴う consolidation(+)
疑問点 これは以前に受けた放射線治療の副作用によるものでしょうか。

所見4 中位胸椎、左肋骨、頚椎に転移と思われる造骨性変化と、溶骨性変化の混在した腫瘤(+) 骨X-P,MRIをrecommend。
疑問点 骨X-P(先日撮影済み)とMRIを撮影することで、先日受けた第6頚椎の治療結果も同時にわかりますか。

所見5 腹腔動脈、脾動脈幹リンパ節腫脹しています。
疑問点 これらの腫脹の原因は何でしょうか。またこれは肝臓も含め他の内臓に転移する可能性を示しているのでしょうか。

所見6 肝臓 S4に径3.7×3センチのlow density mass (+)リング状に造影されています。増大しています。
疑問点 2002年6月は1.5×1.5程度でした。半年でこの大きさになるのは比較的ゆっくりしたスピードといえるのでしょうか。

かなり厳しい状況であるにも関わらず、冷静に自分のことをしっかり考えている姿勢に敬服いたします。順番に質問にお答えします。(1)状況から察するに胸膜転移と癌性胸膜炎による胸水と考えられます。(2)乳癌の多発肺転移と考えます。(3)放射線治療による肺炎か、肺門部のリンパ節への転移によってリンパ節が腫れて中葉の気管支をつぶし、その結果中葉が肺炎になる中葉症候群の可能性もあります。(4)MRIである程度治療結果はわかります。(5)状況から考えると乳癌の転移によるリンパ節腫脹と考えるのが、確定ではありませんが妥当と思います。(6)ゆっくりとは言えないと思います。お節介になるかもしれませんが、一つはBisphosphonate(ビスフォスフォネート製剤:アレディア、ビスフォナール等)をお薦めします。もう一点はホルモン療法の効きがあまり良くないようなので、抗ガン剤による治療法も考えてみ
てはどうでしょうか?(文責 清水)

 

No.1334】 03年01月24日 wata
小さなしこりについて

初めて質問する34歳になる主婦です。1週間ほど前に右胸内側の下のほうに小さなしこりを見つけました。目で見ただけでそれがわかるほどぽっこりと盛り上がっており(蚊にさされた程度)、触るとコリコリとした感触で痛みが少しあります。1月初旬まで母乳をあげていたのですが、今は完全に卒乳しました。母乳をあげているときも乳腺が細いらしく、何度も詰まって乳房がパンパンにはれる症状に見舞われ、たびたび産婦人科を受診していました。母乳のせいでしこりが出来たのかとも思ったのですが、乳がんの可能性も捨てきれず、今とても不安です。やはりこのしこりは乳がんの可能性が高いのでしょうか。どうか宜しくお願いします。

年齢、授乳中止後、コリコリした感触等のkey wordを繋げてみると、線維腺腫、嚢胞腫、乳瘤などの良性腫瘍の可能性が高いと思います。しかし、診察をしたわけではないので、まずは専門の先生の診察を受けて下さい。(文責 清水)

 

No.1333】 03年01月24日 T.T.
時間のかかる検査

31歳、未婚です。昨年9月より右胸から血性分泌物があります。分泌物のある時は痒みのある事が多いです。12月16日初診、触診でしこりがありました。マンモグラフィーで何も見えず、音波で黒い物がありました。1月16日、2度目の診察、採取した分泌物の結果はクラスVです。今回造影剤を注入し、再びマンモグラフィーをしたところ、影がうつっていました。そして次回の診察は、2月13日に針を刺して細胞を調べる検査をするとの事でした。初診から検査になぜこんなに時間がかかるのかと、不安で仕方ありません。しかも本日「2月13日の検査を2月27日に変更します」と電話がありました。私はただいま求職中ですが、検査と結果の事を考えるとどうして良いものか困ってしまいます。ふつうは、どれ位の期間で結果がでるものでしょうか?このまま、同じ場所で検査を続けるべきか、それとも新しい所で初めから検査しなおす方が賢明でしょうか?クラスVと言われながら、検査にほぼ3ヶ月かかると言われて不安が続き、悩んでおります。どうぞ、ご意見をよろしくお願いいたします。

確かに少し時間がかかりすぎているように思います。しかし、専門病院であれば患者さんの数が多く、検査は立て込んでいて、一人の患者さんのためだけに優先して検査を行うわけにはいかないという事情もあるのです。心配な気持ちは理解できますが、病院側の事情にも若干のご理解をお願いします。話は変わりますが、”触診で触れるしこり”と”音波(超音波のことだと思いますが)で黒い物”と”造影剤を注入してマンモグラフィ(乳管造影といいます)で映っていた影”は全て同じ場所なのですか? そうであれば、触ってわかる”しこり”に針を刺して中の細胞を調べる穿刺吸引細胞診が良いと思います。しかし、穿刺吸引細胞診は診察時にすぐできる検査ですから2月27日まで待たなければいけない理由はわかりません。主治医の先生がその日まで診察日がないと言うのであれば仕方がないかもしれませんが・・・。心配なら他の先生に検査してもらうことはできないのですか?ここまで検査が済んでいると、一から新しい病院に変わるのはもったいない気がしますが、対応に不満があるのであれば、病院を変えることもやむを得ないと思います。参考までに、血性分泌をきたす疾患の80%は良性の乳管内乳頭腫だといわれています。また、乳管内乳頭腫のときも細胞診ではclass3とでることが多いです。(文責 清水)

 

 

No.1332】 03年01月22日 Y.K.
バストのサイズと乳がんの関係

今まで、バストのサイズが小さければ乳がんにならないと信じてきましたが、最近、男にも乳がんがあるのだからサイズは全く関係ないと聞きました。本当にバストのサイズは、乳がんになる可能性と関係していないのでしょうか?

確かに、バストのサイズと乳癌の発生との間に因果関係はありません。バストの大きい人も、小さい人もきちんと自己検診して下さい。ただ、バストが大きい人のほうが、自分で見つけるのがちょっと難しいかもしれません。(文責 清水)

 

No.1331】 03年01月20日 Y.S. 
左脇の腫れ

年末に左脇の奥に激しい痛みがおそいました。4、5年前からふくらんでいます。そのとき検査しましたが、リンパの塊があるが特に異状無しでした。1月4日に病院の外科で抗生物質で10日間様子を見ましたがいっこうに痛みが取れません。21日に超音波の予約をしていますが、寝ても左は向けず右もだめです。ここにきて薬はなにも飲んでいませんが(出来るだけ痛み止めを我慢しています)しこりは触れないといわれていますが、悪性リンパで急にその部分に刺激を与えて痛くなったとしたら、この一ヶ月の間にさらに悪化していくようで非常に不安です。食欲も全くくなく、おなかも緩んでしまいました。51才 主婦。

基本的には21日のエコー検査の結果待ちです。脇の下が痛む時は通常は炎症によることが多いので、抗生物質が有効なことが多いです。それが効かないとなると、きちんと検査が必要です(まずは超音波検査でしょう)。しかし、乳癌の転移や、悪性リンパ腫の時は通常は痛みを伴うことはないので、あまり余計な心配をせずに主治医の指示にしたがって検査を受け、その結果をよく聞いて下さい。(文責 清水)

 

No.1330】 03年01月18日 iwa 
腋の下のしこりと生理の関係

先月の生理の終わり頃、左腋の下にしこりがあるのに気がつきました。それから気にしていたのですが、一時しこりが小さくなった気がしたので安心していました。ですが、今月の生理でまた腋の下のしこりが大きくなった気がします。乳房のしこりは生理と関係があると聞きましたが、腋の下はどうなんでしょうか?まれに腋の下のしこりで乳癌のケースもあるそうですが、そのケースのしこりの特徴がありましたら教えてください。お忙しいところ申し訳ありません。お願いします。

お話を伺う限りでは、副乳の可能性があると思います。乳がんは生理によって小さくなったり大きくなったりすることはありません。乳がんのしこりは通常硬く、大きさは短期間では変わりません。(文責 加藤)

 

No.1329-1】 03年01月18日 ゆうS
骨転移

相談室をいつも見させていただいています。ありがとうございます。今日は質問をよろしくお願いします。術後5年、左全摘、リンパ節転移陽性、ホルモンレセプター陽性、術後補助療法CMF6クール、ゾラデックス5年、44歳です。8ヶ月ほど前、左肋骨一番上部分が腫れているように思って押すと多少痛みもあったように思いますが、その後痛みもなくなったのですが、ここ一週間ほど、また腫れが気になり押すと痛みもあるので、整形外科でレントゲンを撮ってもらったら、やはり一番上部の肋骨が腫れているということでした。(MRIでは胸骨に異常があるようで、骨シンチの予約中です。)
そこで質問ですが、
1.もし、今腫れている部分のみの骨転移だった場合、外科的治療は可能なのでしょうか?(手術で切除するということは、余後にメリットはないのでしょうか?)
2.今までゾラデックスをしてきましたが、再発ということだとすると卵巣摘出術を考えますが、ゾラデックスをしていての再発では卵摘するメリットは少ないのでしょうか?
3、骨の異常で、溶骨性、造骨性などの言葉を目にしますが、溶骨性と比べて造骨性の異常に特徴があるのでしたら、教えてください。(溶・造どちらでも異常があれば転移というとは聞いています。)

どうぞよろしくお願いいたします。  

1. 胸骨への転移は、局所再発としての性格をもつ場合があります。その場合には局所治療は予後に影響を及ばす可能性を秘めています。
2. 卵摘するかどうかはゾラデックスを中止して、卵巣機能を確認してから考慮すべきだと考えます。CMF6クール、ゾラデックスを5年行い、現在の御年齢からはそのまま閉経状況となる可能性があります。
3. 骨転移の際に溶骨性、造骨性の区別は特に行わないことが多く、気にされる必要はないと思います。(文責 加藤)

 

No.1329-2】 03年01月29日 ゆうS
胸骨転移の局所治療について

先日は、お答え頂きありがとうございました。お答えの(1)について、もう少し詳しく教えていただきたくメールしました。よろしくお願いします。
(1) 胸骨への転移が、局所再発としての性格を持つ場合とは、具体的にはどのような場合があてはまるのでしょうか。
(2) 胸骨への局所再発としての性格を持つ場合の局所治療とは、胸骨切除で人口骨を入れるというような治療でしょうか。また、放射線治療や術後補助療法のような強い抗がん剤投与という治療も付加されるのでしょうか。
(3) 胸骨転移は、遠隔転移ということでホルモン療法から治療を始めていくのと、胸骨転移は局所再発として局所治療をするのと場合によっては予後が違ってくる可能性はどの程度なのでしょうか。

いろいろ考えていると疑問が沸きます。厳しい状況の中で少しでも可能性があればしっかり治療したいと言う気持ちもあります。どうかお答えよろしくお願いします。

(1) 胸骨転移が見つかった時点で、全身の転移の検索をして、他の骨、肝臓、肺などに転移がない場合、胸骨転移が局所再発である可能性が出てきます。その時点で他に転移があるようならば、遠隔転移の一部と考え局所治療はしません。ただし、傍胸骨リンパ節転移はあってもかまいません。というのは、胸骨転移が局所再発である場合はほとんどが傍胸骨リンパ節転移からの浸潤だからです。くどいようですが、胸骨単独転移の場合、あくまでも局所再発の可能性がでたというだけで、局所再発だとは断言できません。私の経験では胸骨単独転移を6例ほど手術しましたが、うち2例は局所再発だったため長期生存し、あと4例は手術して間もなく他の再発が出てきました。
(2) 手術は切除するだけで、人工骨等は使いません。十分に取りきれていれば放射線治療はいらないと思います。全身への抗ガン剤治療は、先程もお話したように、他の再発が出てくる可能性があるので術後に行う場合もありますし、局所再発と決めて補助療法は行わず、もし他に再発がでてきたらその時治療すると言う考えもあります。
(3) 本当に局所再発だった場合、局所治療すれば完治します。しかし、本当に局所再発なのかどうかは、手術をしてその後にならないとわかりません。ホルモン療法は手術した後でもできますから、もし最初にお話した条件(他に再発巣がない)をクリアできているのならば、手術をして完治する可能性があるので、tryする価値はあると思います。手術、術後もそんなに大変ではありません。(文責 清水)

 

No.1329-3】 03年02月05日 ゆうS
PET検査後の治療について

事細かに教えていただき感謝しています。有難うございました。さて、CT、MRI、骨シンチと胸骨に造骨性の異常があり、骨転移が疑われてPET検査をうけました。PETには胸骨に集積がなかったため、胸骨の生検も大変なので、経過観察ではという状態です。そこで、また教えていただきたいのですが、
1)上記のような状態で、胸骨の生検というのは、あまりなされないことでしょうか。
2)患者が納得すれば、胸骨生検ということはリクエストしてもよいものでしょうか。
3)経過観察ということは、術後5年を過ぎているので、無治療でよいのでしょうか。今回のようにあやしい個所がある場合は、ホルモン療法をもう少し上乗せしながら経過を見るべきなのでしょうか。

経過観察で骨転移ではなかったようだというのなら大変ありがたいですが、リンパ節転移陽性・組織型にリスクをもっていますので、いろいろ考えます。たびたび申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。 

PETによる遠隔転移の評価については、whole body PET が施行できるようになって、従来の画像診断に比較して、遠隔転移巣の描出にすぐれています。従って胸骨に集積がないということは、転移がない確率が高いということになります。胸骨について検索したいということであれば、胸骨生検を是非なさってください。また、あやしい箇所がある場合は、貴女がおっしゃるようにホルモン療法をもう少し上乗せしながら経過をみるのも選択肢の一つです。主治医に今後の方針を充分伺い、ご相談なさってください。(文責 須田)
 

 

No.1328】 03年01月18日 H.T.
乳輪部分のしこりについて

現在27歳、母が乳がんになったことがあります。産後2ヶ月、授乳中で母乳が溜まりやすく、胸にいくつかののう胞があると言われています。(既に一度外科を受診しています。) のう胞は大きさもそれなりにあり、エコーにて中身は乳汁であると判断されましたが、乳首のすぐ横、乳輪部にあずき大のしこりがあります。これについても、多分のう胞では?と他のしこりよりははっきりしない感じでした。乳房のマッサージを受け続け、他のしこりは小さくなってきた気がするのに対し、この乳輪のしこりは何も変わらない気がします。つまむとコロコロ?すべすべ?する感じです。授乳後、残った乳汁を乳輪を乳首をまたいで親指と人差し指で挟んでしぼるのですが、その時はしこりは乳首の下に移動していきます。乳首付近にできる乳がんは触るとどのような感じなのですか?また、のう胞は乳輪部分にもできるのでしょうか?また、エコーではのう胞と線維腺腫は似たような感じに見えると聞きましたが、線維腺腫の可能性はありますか?長くなってしまい申し訳ありませんが、教えてください。よろしくお願いします。

伺う限りでは、乳がんの可能性は低いと思います。のう胞が乳輪付近にできることもあります。エコーにてのう胞と線維腺腫は通常判別が可能ですが、線維腺腫の可能性もあると思います。(文責 加藤)
 

 

No.1327】 03年01月16日 Y.K.
旭硝子製超音波気泡浴装置について

「悪性腫瘍の有る方は使用を避けて下さい。」と注意書きにありました。双方の乳房を全摘しています。主治医にメールで相談させていただいたのですが、お返事がいただけません、全摘後は定期検査を受けているだけで抗ガン剤やホルモン療法なぞいっさい受けていません。この機械を購入して肩こりから解放されればと思っているのですが、如何でしょうか。アドバイスをお願いいたします。

申し訳ございませんが、その装置がどういったものか存じ上げませんので、メーカーにお問い合わせください。 (文責 加藤)

 

No.1326-1】 03年01月16日 M.M.
乳房のしこりについて 

あと1ヶ月で25になる女性です。現在右に4個、左に2個のしこりがあります。大きさは大きいものも小さいものもさまざまです。婦人科で子宮ガン検診を受けた際、一緒に乳がんの触診もしていただきました。乳がんの専門医を紹介されたのですが、こわくて仕方ありません。解決できないのはわかっていますが、乳がんでもこのようにたくさんのしこりができることはあるのでしょうか。婦人科の先生は嚢腫だから乳がんではないと思うよと言っておられましたが、先生がみたのは1つのしこりだけなので不安です。いまではさわりすぎて胸が痛い状態です。

貴女の御年齢、症状から乳がんである可能性は低いと思います。あまり御心配なさらずに、受診してみてください。(文責 加藤)

 

No.1326-2】 03年01月22日 M.M.
石灰化について

以前乳房のしこりのことでメールしました25の未婚女性です。先週、乳腺外科で診察をうけました。先生はやわらかいことからこれはまったく問題ないと触診でおっしゃられ、これはしこりとは言わないともおっしゃられていました。一応ということでエコーとマンモグラフィーを行いました。結果が今日でたのですが、まったく問題ありませんとのこと。ただ、先生は誰におっしゃられる風でもなく、石灰化はあるねぇとおっしゃられていました。「問題ないので心配する必要はないです。また心配なことがあったら来なさい。」と言われましたが、定期診断などのことは全く言われませんでした。石灰化は癌にみられるということを聞いたことがあるのですが、このままほおっておいて大丈夫なのでしょうか。

マンモグラフィで見られる石灰化には、良性の石灰化と癌に伴う石灰化があります。なかでも、"明らかな良性の石灰化"というのがあって、これは専門の先生であれば間違えることはありません。また"明らかに癌を疑う石灰化"も専門の先生であれば間違えることはありません。しかし、なかに"ちょっと癌を疑う石灰化"というのがあって、その時は、慎重に経過観察をするか、stereotacticに細胞診を行うか、マンモトーム生検するか、外科的に生検するかの処置をします。ですから、メールの文面から推察するに、明らかな良性の石灰化だったのではないでしょうか。もし不安があるようでしたら、先生によく聞いて確認して下さい。(文責 清水)

 

No.1325】 03年01月16日 N.H.
癌を疑ったほうがよいのでしょうか?

私は25歳未婚です。1ヶ月ほど前から両方の乳輪周辺が痒く、乳頭の付け根から出血するようになりました。市販の薬(オロナイン)を塗っていると傷は治ってきているのですが、痒みがあり乳輪は赤く腫れている感じがします。パジェット病かとも思ったんですが、こんなに若い上、両側に同時に発生することもあるのでしょうか。乳腺専門医を受診したいんですが、県内の乳腺専門医は仕事上面識があるDrばかりなので、受診する勇気がありません。やはり癌を疑ったほうがよいのでしょうか?よろしくお願いいたします。

お話を伺う限りでは、Paget病ではないと思います。ただ、一度乳腺外科を受診されたほうが御安心できると思います。(文責 加藤)

 

No.1324-1】 03年01月16日 Y.S.
術後の治療とシコリニついて

40歳の既婚子供一人の主婦です。宜しくお願いします。12月3日に左乳房温存手術を受けました。癌の大きさは1センチ、リンパ節郭清レベル1、手術直後の説明の中でリンパが少し腫れているとの事でした。しかし、リンパ節の転移は無し、癌の種類は硬癌でホルモンは陽性という事で、ノルバテックスを12月13日から1日2回服用しています。服用から4日目位から体調が悪くなり、ろれつがまわらなくなって頭がボーっとする為、担当医に話した所、暫くやめましょうとの事で、止めています。そういう症状も出ることがあるのでしょうか?それと、注射による治療はしていません。大丈夫なのでしょうか?放射線治療はまだ始めていません。そして、今現在、左の脇の下のへこんでいる所に、あまり硬くはないのですが、2センチ位のシコリガあります。これは癌の再発でしょうか?手術後上記のような検査結果が出ているのにこんなに短期間で癌が又出来ると言うことはあるのでしょうか、とても不安です。分かる範囲で良いので意見をお聞かせ下さい。お願いします。

ノルバデックスでそのような症状が出現することはあります。注射による治療は、ホルモン受容体陽性でも再発の可能性の少ない方は行わないことがあります。現在の腋の下のしこりは手術後時々見られるもので、がんの再発によるものではないでしょう。おっしゃるように、通常そんなに短期間ではがんは大きくなりません。(文責 加藤)

 

No.1324-2】 03年05月02日 Y.S.
術後の上腕部に痛み

こんにちは、今年1月にも御相談させて頂き、アドバイスをして頂き有難うございました。去年12月3日に左乳房温存手術を受けました。癌の大きさは1センチ、リンパ節郭清レベル1、手術直後の説明の中でリンパが少し腫れているとの事でした。しかし、リンパ節の転移は無し、放射線は25回照射しました。癌の種類は硬癌で、ホルモンは陽性という事で、ノルバテックスを12月13日から1日2回服用しています。質問ですが、ノルバテックスを12月退院後から服用していますが、生理は止まりません。不順にもなってないようです。このまま飲み続けて効果があるのでしょうか? それから最近左上腕部の筋肉なのか、骨なのか、すじなのか、よく分からないのですが痛みます。ブラジャーをはずそうと後ろに手を回したときとか、遠い物を取ろうと手を伸ばした時とか、特に強く痛みます。担当医に、「術後痛みは多少有る。」と言われましたが、術後すぐの時より強くなっている気がします。どこかに転移しているというような可能性が有るのでしょうか?4月18日に血液検査を受けた結果は、特に異常なしと言う事でした。次の検診が5月30日です。その時担当医にどういう事を聞けばよいでしょうか? 前回アドバイスして頂いた左脇の下のしこりは、細胞を調べた結果異常ない事が分かりましたが、未だに小さくなりません。それとの関係も有りますか?アドバイス宜しくお願いいたします。

ノルバテックスを服用しても、生理が止まったり、不順にならない人は大勢います。ホルモンレセプター陽性であればノルバテックスは有効であることが多く、生理の有無とは関係ありません。痛いと再発ではないかと不安になるのはよくわかります。しかし再発の場合、場所にもよりますが、痛みを伴うことはむしろまれです。上腕部の痛みは再発ではないと思われます。定期的診察、再発の検査(血液検査、骨シンチ、CTなど)を受けて下さい。不安に思うことは何でも担当医に聞くようにしてください。再発を疑ったらキリがありませんし、1センチ大、リンパ節転移陰性、ホルモンレセプター陽性の乳癌は再発リスクは低いと考えます。(文責 吉田)

 

No.1324-3】 03年08月12日 Y.S.
ノルバテックスについて

アドバイスを頂き有難うございました。実は、さる6月末に集団検診を受け、7月末に結果を聞きました。十二指腸上部が膨らんでいるとの事で、翌日胃カメラを飲み、ポリープが確認されました。その部分の2箇所を採取して結果を聞いた所、1箇所が悪性、もう1ヵ所は不明とのことでした。大学病院で改めて検査をするように言われて、8月19日に予約してあります。それまでの間ノルバテックスを服用していても大丈夫でしょうか? また、再発と考えるのが普通でしょうか? その際担当医に乳癌との関連等どのような事を質問すればよいのでしょうか?
乳癌は2002年12月3日に左乳房温存手術を受けました。癌の大きさは1センチ、リンパ節郭清レベル1、手術直後の説明の中でリンパが少し腫れているとの事でした。しかし、リンパ節の転移は無し、癌の種類は硬癌で、ホルモンは陽性という事で、ノルバテックスを12月13日から1日2回服用しています。放射線は25回照射しました。胃癌と聞いてかなり落ち込んでいます。宜しくお願いします。

ノルバデックスは服用していても大丈夫です。おそらく乳がんとは関係のないものであると思います。乳がんの胃への転移もありますが、頻度的に稀です。胃がんも早期に見つかればほとんどはしっかり治りますので、前向きに頑張って下さい。担当医には、乳がんの手術結果と術後の検査結果、現在受けられている治療について説明されればよいでしょう。(文責 加藤)

 

No.1323】 03年01月14日 K.K. .
生検から手術までの時間

お忙しい中恐れ入りますが、ご意見お伺いいたしたく、初めてご相談させていただきます。私は37歳既婚、今月4歳になる子供が一人、平成13年4月に流産、昨年の暮れ20日に右胸に約2cmのしこりを見つけて即日受診、12月26日にエコー・マンモグラフィ・穿刺吸引細胞診をうけました。年明けて7日の結果で、エコー・マンモでは良性のように見えるそうですが(特にエコーでは辺縁がつるんとしていました)、細胞診での細胞の顔つきが少し怪しいそうで(クラス3でした)、今月16日に局所麻酔での腫瘤摘出をすることになりました。病理の結果悪性なら、仕切り直しでリンパ節も取る手術をとのお話でした。もし癌であれば生検の後にあまり時間を置かない方が良いと本などで読みましたが、結果を伺うのは28日なのです。手術の為に入院となっても、大変混んでいる病院ですので、それから更に一週間はかかると思います。生検の後にこの位日にちが経ってしまっても温存療法は可能でしょうか。それとも、医師は初めから切除を念頭にお話されていたのか、その時にはっきり質問しなかったのが悔やまれますが・・・。結果を待つ間に新生血管から癌が広がってしまわないか心配です。しこりは10時の位置で乳頭先端から4.5cmの所です。お忙しいとは存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。

生検から1-2ヶ月経ってしまったから、温存療法ができなくなるということはありません。あくまでも画像や生検された組織の病理結果などから、説明があると思います。昔は、生検からあまり日を置かないほうが良いといわれていたこともあったようですが、現在では否定されています。1-2ヶ月位は問題ないと思われますので、御安心ください。(文責 加藤)

 

No.1322】 03年01月14日 T.S.
右鎖骨上リンパ節腫瘍の切除について

妻の乳癌の今後の治療方針についてご意見を伺いたく、メールさせていただきました。よろしくお願いいたします。2001年9月、41才にて、右側乳房に癌が見つかり、胸筋温存乳房切除を行いました。腫瘍の大きさは4cm位で、ステージは T2N1bM0であり、腋窩リンパ25個中12個に転移があり、エストロゲンリセプターはマイナスでした。退院後化学療法として、アドリアシン+エンドキサンを3週間おきに4クール、ついでタキソールを3週間おきに4クール投与しました。(他の補助療法は行っていません) 手術後から現在においても、腫瘍マーカー(CEA, CA15-3)、肺、骨、肝、脳に異常は認められず、転移の兆候はありません。しかし、乳房手術時の2001年9月の入院中に、私が妻の右鎖骨上リンパに米粒大のしこりを認め、主治医に相談すると、手術によるリンパ節の腫脹であろうとのことでした。そのしこりは硬くもなく動くようでしたので、そういう物かと思っていました。術後の化学療法中もそのしこりは特に大きくなるようなことはなく、どちらかと言えば微妙に大きくなったり小さくなったりしているようでした。化学療法も終わって、しばらく経った2002年の5月か6月頃、鎖骨のところを触ってみると、まだそのしこりがありました。至急、主治医に相談してみると、右腕の使いすぎであろうとのことで、抗炎症剤をもらってきました。しかし、そのしこりは消失しませんでした。2002年11月の定期検診で、その右鎖骨上リンパ節がかなり大きくなり(私には親指の爪くらいに感じられました)、硬くなっていたため、細胞診を行ったところ陽性でした。急遽、胸部CTを撮影しても、他に病巣は認められませんでした。他の臓器に転移は認められず、そのリンパ節一カ所のみで、そこだけに飛び火したと思われると言うことで、放射線療法を行うことになりました。X線(?)2グレイ16日間+電子線2.4グレイ12日間で全60.8グレイの照射を行いました。現在照射終了後2週間経過しましたが、しこりは小さくなったものの(小豆大の大きさに思われます)消滅していません。私としては、もしこのしこりが消滅しなければ外科的に摘出してもらいたいと思っています。しかし、放射線医は、「そこは一般に手術する場所ではないし、放射線はもうこれ以上照射できないし、そう目の敵にしなくてもよい、大きくなって悪さをしなければ、そのまま様子を見ていればよい」とおっしゃいます。悪さをするようになったらもう手遅れではないでしょうか。一方、乳腺外科の主治医は、「そこだけ摘出しても根を残すかも知れない。すぐに取れそうに思われるかも知れないけど、大変な手術になる。治療方向としては、飲み薬か注射による化学療法がよい」とのことで手術には反対のようです。そこで、ご意見を伺いたいのですが、
1.右鎖骨上リンパ節の摘出手術は非常に大変な手術なのでしょうか?どのようなリスクが考えられるのでしょうか?他の方の相談回答されている中で、『通常の手術では切除できないリンパ節』との記載がありますし、一方で、『鎖骨上部リンパ節の再発だけならば、・・・治療法のオプション(再切除、放射線照射など)が多くなり、長期生存の可能性も高くなる』との記載があります。この手術は非常に難しいのでしょうか?
2.主治医は遠隔転移の可能性を考えて、そこだけ切除しても仕方がないと判断されているのではないかと私は推測しました。遠隔転移している可能性も考えられるでしょうが、逆に転移していない可能性もあると考えてはいけないのでしょうか。先ほど申し上げましたように妻の右鎖骨上リンパ節のしこりは、乳房手術入院中からすでに認められており、もしその時点で遠隔転移があったならば、その後1年以上経過し鎖骨上リンパが大きくなってきている経過を考慮すれば、現時点(術後16ヶ月)で、他の臓器でもなんらかの兆候が認められてもよいのではないでしょうか。お陰様で、現時点で右鎖骨上リンパ以外にはなんの癌の兆候もありません。乳房手術後には化学療法も行っています。良いように考えれば、乳房手術時に微小遠隔転移があったとしてもそれらは化学療法によって消滅し、現在残存しているのは鎖骨上リンパだけと判断し、この腫瘍を外科的に切除してしまえば予後がよくなるのではないでしょうか?私としては、他になんの癌の兆候も無い状態で、鎖骨上リンパの1つの腫瘍だけ残しておくのは納得がいかないのです。もし、この腫瘍が元となり他へ転移してしまうようなことがあれば悔やんでも悔やみ切れません。
3.現在放射線照射終了後2週間が経ちますが、放射線の効果は少し遅れて出てくるので、しばらく様子を見ると言うのが一般的なようですが、もし消滅すればそれに越したことはありませんが、消滅しないままいつまでも様子を見ると言うことで放置されると手遅れになってしまうのではないかと、非常に不安を感じます。時間経過による判断をどの時点で行うのが適当でしょうか?例えば、1ヶ月後にもしこりが残っていたら、その癌はもうそれ以上小さくならないだろうと言うような判断ですが・・・。もし、そういう時点で腫瘍が残っていたら
外科的に切除した方が良いのではないかと、私は考えています。どうでしょうか。
4.もし腫瘍が消滅しないままの状態にて、飲み薬或いは注射による抗癌剤投与では片手落ちのような気がするのですが、どうでしょうか? なぜなら乳房手術後抗癌剤投与を行っているにもかかわらず、結局、鎖骨上リンパの腫瘍は消滅しなかったわけですし、薬剤が効きにくい癌と考えれば、今後の抗癌剤で効く可能性はどうでしょうか。この薬剤で効かない、あの薬剤で効かないといっている間に、癌が大きくなり、薬剤耐性も持ってくるとすれば手のつけようがなくなってしまうのではないでしょうか。
5.上記のように考えつつも、もし検査では見つからない遠隔転移が現在どこかにあると考えた場合、放射線治療で鎖骨上リンパが消滅しても、飲み薬か注射による化学療法を行ったほうが良いでしょうか?
6.もし、放射線治療で鎖骨上リンパ腫瘍が消滅しない場合には、外科的切除を行った後、化学療法を行うのがベストのように考えられますが、いかがなものでしょうか?
以上、長い文章で、また多くの質問になり申し訳ありませんが、よろしくお願い申し上げます。

1. 非常に難しいといったことはないと思いますが、近傍には血管、神経が存在し注意を払う必要がある部位です。また、放射線照射後は手術が行いにくくなることがあります。
2. 予後が良くなるかどうかは難しいところです。鎖骨上リンパ節への転移は、他部位への転移を伴っていることが多いからです。しかし、おっしゃるように鎖骨上リンパ節への転移のみで、局所治療によって長期生存されている方はいらっしゃいます。乳房切除後に照射を行った方が生存率が良いというデータもあり、局所制御によって恩恵を被れる方が存在するのは事実でしょう。ただ、術後16ヶ月で遠隔臓器に転移がないと判断するにはまだ早く、もう少し時間を要すると思います。
3. 照射によってがんが消滅しても、小さなしこりが残っていることはあり得ますので、時間経過の判断は難しいでしょう。現時点から再成長した時点でと申し上げざるを得ません。
4. 補助療法として行ったAC, Tは確かに効果がなかったことになります。他の抗がん剤の効果を期待するのは難しいかもしれません。
5. AC→Tの後に放射線以外のさらなる補助療法を行った方が良いかどうかということは、わかっておりません(エビデンスがありません)。
6. 外科的切除は、2で申し上げたように意義がある可能性はわずかに存在しますが、化学療法に関してはエビデンスがありません。
(以上はあくまでも私見です。oncologistによって意見が異なると思います)(文責 加藤)

 

No.1321】 03年01月14日 A.M.
加味しょう遥散と健側のしこり

8月に温存手術した36歳の女性です。(充実腺管癌1cm大、脂肪浸潤・乳管内進展あり、センチネルリンパ節生検0/3、放射線治療済)。ゾラ+タモ療法中なのですが、ホットフラッシュと不眠がひどくなり、漢方薬を服用することにしました。「加味しょう遥散」を処方されたのですが、女性ホルモンを活発にさせる働きがあるので、ホルモン療法の効果を半減させると聞いたことがあります。飲んでも平気かどうか不安です。パキシルのほうが安心でしょうか。
また、健側にしこりを2つ発見、横になるとわかりやすいのですが、起きあがって触るとわかりにくい状態です。皮膚につっぱるような違和感があるので心配なのですが、卵巣機能をストップさせているにもかかわらず、乳腺症の可能性はありますか?ちなみに、11月におこなった腫瘍マーカーは異常なしでしたが、腫瘍マーカーで反応しなくても、癌である場合もあったりするのでしょうか。

漢方薬の中には、女性ホルモンの働きを活発にさせるといわれているものがありますが、実際どの位影響を与えるかについてはデータがありません。よって申し訳ございませんが、回答は難しいと思われます。健側のしこりは乳腺症の可能性もあると思いますが、御心配でしたら一度検査されてみてください。腫瘍マーカーはがんがあっても上昇するとは限りませんので、参考にはなりません。術後補助療法は、副作用と効果のバランスを考慮して行う必要がありますので、一度御相談されてはいかがでしょうか?(文責 加藤)

 

No.1320】 03年01月11日 sekko 
術後リンパ節転移の治療について

初めまして。52歳主婦です。2002年7月10日浸潤性乳管ガン(硬ガン)との診断で左乳房全摘、リンパ節郭清レベルT(0/11)を受けました。腫瘍径(22mm*18mm)、ER(-)PGR(-)、HER2(3+)、断端(陰性)、核異型度(gradeV)、Ly(+)v(+)、術後補助療法(タスオミンD錠)、化学療法なしでした。術後しばらくして脇の下に何か挟まっているような違和感を覚え、執刀医に尋ねたところリンパ液の滞留で、徐々に解消されるので問題ないとのことで安心していましたが、腕の静脈の腫れ、引きつれ、多少のむくみが起きるようになり、主治医に腋窩のしこりからではないでしょうかと尋ねたところ、すぐエコー検査、しこりの一つ(径1.5cm)を取っての生検となりました。その結果リンパ節に転移しているとのこと、さらに、生検後、その傷の下あたりに長さ3cm、幅1.5cm位のしこりができました。治療法として放射線照射の予定でしたが、CT検査の結果、しこり(径2cm)が大きすぎるのと他にも多数あるので放射線だけでは取りきれない、まず手術でできるだけリンパを取った後に放射線をかけるのが一番良い方法とのことで、1月15日か16日に手術の予定です。しかし、後遺症としてリンパ浮腫が確実におきるということで不安というより怖くなりメールさせて頂きました。
1)リンパ浮腫の程度はどの位と予想されるのか?
2)手術+放射線の治療が本当にBestなのか?
3)今回のCT検査では他の臓器への転移はないとのことですが、私のガンの状態から見て、転移、再発は早いと考えておいたほうが良いのか?
以上3点についてのご意見を勝手なお願いですが、なるべく早く頂けないでしょうか。あつかましいお願いですが、どうぞ宜しくお願い致します。

1) 手術はリンパ節郭清の程度、放射線はかける範囲によって浮腫の発現率は変わってきます。手術だけの方がその発現率は低いといえます。程度を予想するのは難しいでしょう。
2) 私ならまず手術を行って、その結果をみてから放射線を照射するかどうか考えます。局所治療としては、手術だけの可能性も考えられます。
3) ホルモンレセプター陰性、HER2陽性乳がんは悪性度が高い傾向にありますが、必ずしも転移、再発するとは限りません。予防の策として局所治療の後、化学療法を行うことをお勧めします。(文責 加藤)

 

No.1319】 03年01月09日 K.Y.
腋のしこり

去年の12月に腋の下(毛が生えてる)とは少し違うのですが、腋の横辺りにゴリゴリとした約1センチくらいのシコリを発見しました。気づき始めてから、首(頚椎)や肩が痛くて首を横に振れない状態です。シコリと関係あるのでしょうか?このシコリはどういったモノと考えてよいのでしょうか?お忙しいところ申し訳ありませが、宜しくお願い致します。

すみませんが、しこりがどういったものかを文面から察するのは難しいです。ただ、首や肩の痛みとは関係がないような気がしますが・・・。乳腺外科を受診されることをお勧めします。(文責 加藤)

 

No.1318】 03年01月09日 K.N.
乳癌手術後の妊娠について

はじめまして。ご質問させていただきたく、メールしました。昨年12月、乳癌手術を終えたばかりの31歳の既婚者(子供なし)です。非浸潤癌でしたが、広範囲に癌が点在していたため、乳腺を全部摘出(乳頭温存)いたしました。発癌したのは右側ですが、左側にも線維腺腫が数ヶ所存存したため、手術のときに一緒に何個かくりぬいてもらいました。病理の結果、くりぬいたものは間違いなく良性のものでしたが、多数存在するため、今後残った左側の乳房にも癌が発生する危険性があると言われました。本来ならば、残った左側の乳房と、残した右側の乳首からの発ガンを抑えるため、ホルモン剤の服用を考えていたようなのですが、医師は私の年齢を考え、妊娠を希望しているようであれば、ホルモン剤は服用せず、定期検査で様子を見ようとおっしゃってくださいました。そこで質問なのですが、このような状態で妊娠すれば、残った左側からの発ガンを促進してしまうようなことはないのでしょうか?インターネットで調べてみると、妊娠によって「癌が急成長する」ことは書いてあるのですが、「健側の乳房から発ガンする」ことは書いてないのですが、可能性はあるのでしょうか?本来ホルモン剤服用でエストロゲンを抑えるべき期間なのに妊娠によってエストロゲンを増殖させたのでは、まるで正反対のことをするようで、自殺行為のような気さえしています。妊娠してもよいと思われる時期を教えてください。

線維腺腫が存在しても乳がんが発生するリスクは特に変わりません。また、妊娠によっても健側に乳がんの発生するリスクは上昇しません。右側に乳がんが存在すれば妊娠によって発育を刺激する可能性も考えられますが、手術によって切除されていれば、妊娠は特にリスクを上昇させません。非浸潤がんで適切な切除が行われていれば、妊娠の時期については何時でも構わないと思います。乳がん細胞にホルモン感受性があればタモキシフェンを投与することがありますが、この薬は妊娠を防ぐ作用があります。よって妊娠を望まれるならば投薬は行いません。(文責 加藤)

 

No.1317】 03年01月05日 E.U.
乳癌術後療法について

初めまして。ご相談したい事がありメールを送らせて頂きました。当方の年齢は44歳です。昨年11月1日に右胸筋温存乳房切除術と腋窩リンパ節郭清を受けました。大きさは2cm位ということで、リンパ節11個の内2個に転移があり、組織検査では硬癌と充実性管癌の2種類が見つかりました。又、ホルモンレセプターはエステロゲン(+)41.9、プロゲステロン(+)13.9ということでした。治療として11月14日より、ノルバデッグス(10mg 1日2回服用)、5ーFU(100mg 1日2回服用)、リュープリン注射をして頂いています。主治医の先生は、抗癌剤の化学療法の点滴は必要ないという見解でしたが、私はリンパ節陽性と、硬癌ということもあり、再発や転移を防ぐ為に出来る事はやっておきたいと思い再度強く希望し、1月8日より化学療法をしていただくことになりました。そこでお聞きしたいのですが、私は生理中(11月13日〜18日)に1回目のリュープリン注射をし、その後生理は無く、閉経後の状態です。何かの資料で、閉経前には化学療法は有効だが、閉経後にはあまり効果がないとありましたが、私のように仮の閉経状態の体でもやはり効果は薄くなるのでしょうか。又、術後2ヶ月以上経ってからの化学療法ですが、術後間もなくの方達と比べて治療効果は変わるのでしょうか。それと、エステロゲン41.9、プロゲステロン13.9という数値は(4段階あるようですが)ホルモン治療によく効く数値なのでしょうか。宜しく御解答お願いします。

抗がん剤を使用するかどうかは、医師の考え方にもよりますが、私なら点滴でされることをお勧めします。種類も医師によって異なると思いますが、私ならFEC6サイクル施行し、その後ホルモン療法を行います(閉経していればタモキシフェン、閉経していなければLHRHアナログ+タモキシフェン)。化学療法とホルモン療法を同時に行った方が良いか、あるいは順次行った方が良いかについての発表が昨年国際学会であり、順次行う方が再発率が低い傾向にあったため、原則的に順次投与を行っています。ご質問の、1回リュープリンを注射したあとでは化学療法の効果が薄くなる?ということはありませんので、御心配ないでしょう。リュープリンを止めても、化学療法の種類によってはそのまま閉経になることも考えられます。抗がん剤によっては卵巣に影響を及ぼし、永続的な機能低下をもたらすからです。抗がん剤は理論的には術後早期に使用したほうが効果は上がりますが、2ヶ月という期間はそれほど長い期間ではないので、効果はほぼ変わらないと思います。ホルモンレセプターの値は治療によく効く数値ですから、化学療法の後にホルモン療法をされることをお勧めします。(文責 加藤)

 

No.1316】 03年01月01日 TTN
細胞診 クラスV

はじめまして。アドバイスよろしくお願いします。43歳の女性、夫、中2と小4の息子の家族4人です。しこりは左右共にいくつかあり、何年も経過観察でした。1年前に突然右胸外側に大きなしこりを見つけ受診したところ、超音波・マンモ・細胞診(クラスII)共に異常なし、乳腺症でしょうとのことでした。このまま様子をみましょうということで、1年後の今年12月に入り定期健診に行ったところ、やはり超音波異常なし、細胞診でいきなりクラスVと判定されました。急遽年明けに手術をすることになりました。多分非浸潤がんではないか、温存するか、全摘するかはすごくむずかしい判断となるといわれました。年明けに骨シンチなどいろいろな検査を受け、1月21日に手術をします。クラスVがどの程度の進行状態なのか? 首を右に回すと痛いのは転移のせいなのか? 右半身がなんとなくおかしいのは告知を受けたせいなのか、転移のためなのかと、呆然としてしまっています。わきの下などグリグリはありません。どの程度の進行かは、他の検査結果が出るまで考えないほうがいいとは思うのですが、どうかアドバイスをお願いします。

細胞の検査の結果は、あくまでもがんか、がんでないかというレベルのものです。Xはがんの可能性が高いですが、がんの悪性度を表すものではありません。同じ御質問は診療の際よくされますが、悪性度は手術の際に摘出したしこりを見てみなければわかりません。ただ細胞診は100%信頼できるものではなく、触診、マンモグラフィー、超音波と合わせ総合的に判断する必要があります。超音波で全く異常がなく、細胞診でクラスXというのは頻度的にまれですが・・・。首と右半身の違和感は、気持ちからくるものでしょう。がんと診断されてから同様の症状を訴えられる方は比較的多く、転移による症状である可能性は低いと思います。病期分類はしこりの大きさ、リンパ節転移、他臓器転移をもとにして総合的に判断しますので、もう少しお待ちください(非浸潤がんであれば適切な治療により、ほぼ100%治癒が望めます)。現在のご病状を伺う範囲では、どのような手術をお受けになるかが大切なことであるように思います。非浸潤がんではリンパ節郭清は必要ないですし、温存するか、切除するかという問題も今後のことを考えると重大なことであると思います。(文責 加藤)
 

No.1315】 02年12月30日 R.Y.
再発について

66歳の義母は今年八月に右胸リンパを全摘しました。病理の結果は以下のとおりです。
浸潤性乳管癌 U期、 腫瘍の大きさ 3.8×2.5×1.8、 リンパ節転移 なし、 ホルモン感受性 なし、 組織学的悪性度 3、  HER2 +3。
術後補助治療としてCMFを6クール 現在継続中です。おかげさまで、あまり副作用に苦しむこともなく毎日を過ごしております。しかし、病理の結果で予後因子が悪いものが多いので再発が心配です。悪性度3でHER2陽性が出ている場合、いずれは再発してしまうのでしょうか?U期といえどもひどく悪い状態なのでしょうか?CMFを終えた後、何か再発を防ぐ療法はないものでしょうか?

St.Gallenのコンセンサス カンファレンスに当てはめてみますと、リンパ節転移陰性乳癌のリスク分類でAny other riskとなり、補助療法としてはホルモン療法不反応性の閉経後で化学療法ということになります。CMF療法は1970年代からの様々なトライアルによってその有効性が証明されてきた治療法で、再発あるいは死亡までの期を20数%減少させると言われています。化学療法実施期間については6ヶ月の多剤併用化学療法の効果とそれより長期の投与の効果は同じであることがわかっています。
StageUの5年生存率は70%台と考えられ、必ずしも再発するとは限りません。患者さんのQOLも考えて、今後経過を追って万が一再発したときは2nd lineとしてAC(またはCAF,CEF)、タキサン系、ハーセプチンなどの薬剤を考えるということになると思います。(文責 片山)

 

No.1314】 02年12月30日 E.H.
副乳も癌になるとのこと

35歳で、7歳と5歳の二人の娘がいます。12月11日に右腋の下のしこり(一年前からあった)を皮膚科で切除手術(局部麻酔)をしてとっていただいたのですが、粉瘤だと思っていたら(先生が言ってたので)、実は副乳でした。腋の下を5cmくらい切って皮膚を剥ぎ、ひょうたん型の長さ3cmx幅1.5cm(一番広いところ)のしこりをはさみで切って取り除いたとのことでした。そのときリンパがしみ出してきたとのことです。最後の縫合の前に、3回ほどびりびりと神経を刺激された様な衝撃が右腕全体にありビックリしました。縫合の後に肩に腕を固定する為のテーピングをしました。三日間くらいは痛みがあり、ほとんど腕を動かせませんでした。それから、毎日消毒に通い18日にドレンを抜き、20日に抜糸しました。細胞を検査していただいて良性のものとのことでしたが、副乳も癌になる可能性があると聞きました。しかし、詳しい事は皮膚科の専門外なので分からないと言われました。なぜ副乳が硬いしこりになったのか?と尋ねたら、皮膚科の先生は乳腺組織がたくさん集まってるからじゃないかとおしゃっていました。でも、突然硬いしこりになるという事があるのでしょうか?またそれは線維腺腫というものとは違うのでしょうか?先生の話では、全て切除できたかはわからないとのことでした。残った細胞が今後悪性化するることもあるのでしょうか?さっき気付いたのですが、切開した部分に沿って長さ4cmx幅1cmくらいのしこりがあります。これは、時間が経つと無くなるものなのでしょうか?もう一つ気になることは、腕を真上に上げた時、肘が痛くてまっすぐ伸ばせない事です。先生はオペの時に神経を圧迫したからだと思うと言っていましたが、私は縫ったところのしこりが圧迫している様に思います。この痛みはいつ頃まで続くものなのでしょうか?一ヶ月後にまた診察を受ける様に言われました。その間リハビリなどしなくてもいいものでしょうか?いつまで肘の痛みが続くのかと不安です。お忙しい中、申し訳ありませんが、どうぞ宜しくお願い致します。

人間も哺乳類ですので、乳房の乳頭から腋下方向にかけて複数の副乳が存在することは時にあります。乳腺組織だけのこともありますし、小さな乳頭を伴うこともあります。小さくても乳腺組織ですから、特に生理前は乳腺の張りと同様に固いしこりとなって触れることはあります。
線維腺腫であれば、組織診断で確定しているはずですから先生にたずねてみて下さい。乳腺組織がわずかながら残ったとしたら、もちろん他の乳腺と同じように癌になることはありうるわけですが、その可能性は非常に少ないと思います。手術創に沿ったしこりや痛みは、おそらく手術の影響で1〜数ヶ月経過をみていただくと軽快してくることが多いと思います。(文責 片山)

 

No.1313】 02年12月29日 M.M.
転移について

今年6月にII期(充実腺管癌)のため左乳房切除術を受けました。大きさは2.5cm、リンパ節への転移はありませんでした。補助療法としてホルモン療法を行っています(エストロゲンレセプター陽性)。2、3日前から左腹部上を押すと、筋肉痛のような痛みがあります。押さなければ痛みはありません。骨転移の可能性はどの程度ありますか。1月半ばの診察まで様子を見ていても大丈夫でしょうか。どうぞよろしくお願い致します。

現時点で骨転移の可能性は非常に低いと思われますが、1月半ばの診察のときまで痛みが続くようならば、骨シンチグラムや肋骨のエックス線撮影などの検査を受けることを主治医の先生と相談されてみてはいかがでしょうか?(文責 片山)

 

No.1312】 02年12月28日 N.O.
ホルモン療法をするべきでしょうか?
 

11月末に温存手術を受けました。センチネル生検で転移がなく、腋下リンパは郭清していません。腫瘍の大きさは2センチ、リンパ管への浸潤はなく、ガンの性格はおとなしいということでした。ホルモンレセプターは陽性ですが、先生はホルモン療法はしてもしなくても良いということで、私の選択に任されています。それについて、ホルモンを使うメリットとしては、ガンの予防であること、デメリットは更年期障害様の症状が出ること、子宮体ガンの発生率が上がることと、説明を受けました。不正出血が出ることもあるということですが、逆にそのたびに今度は子宮ガンの心配をする事になるのではと思っています。癌としては子宮ガンの方が怖い気がします。また、5年も飲み続けることにも不安を感じます。年齢は45歳で閉経はしていません。放射線治療中です。1月終わり頃の外来時に決める事になっていますが、いかがでしょうか?

あなたの場合をSt.Gllenのコンセンサスカンファランスに当てはめてみますと、リンパ節転移陰性乳癌のリスク分類でMinimal/Low risk群になり、TAM(タモキシフェン)または無治療が推奨されることになります。
TAMの投与期間としては2年よりも5年のほうが効果が高くなることがわかっています。子宮ガンの発生率は5年以上服用すると若干高くなるので、5年を越えて投与しないほうが良いといわれています。個人的には更年期様症状などの副作用が出なければ服用されたほうが良いと考えますが、5年間毎日薬を飲み続けるのも確かにストレスかと思いますので、やはり後はご自身での選択ということになると思います。(文責 片山)

 

No.1311】 02年12月28日 BEAR
しこりと妊娠について
 

始めまして。私は37歳の者です。2年前より乳腺症を患い、1年に1度の定期健診を受けております。今年は引越した関係で今までとは別の医大で検診を受けました。やはりここでも乳腺症と診断され、(症状はひどいそうですが、治療は何もしないとのことです)、また以前からあったしこり(左胸の脇よりの上の部分に1個のしこりあり)のことでエコ−で指摘をうけ、先日MRI検診を受けました。結果は、癌の影が写っていないので、異常なしと言われました。後は1年後の受診でよいとの事でしたので安心していたところ、友人から癌の2次検診はMRIと細胞診がセットになっていると言われ、私の場合MRIのみでしたので、少し不安になっております。MRIだけの診断でも大丈夫でしょうか。こちらの病院では細胞診の事については何も言われなかったので、今更言うのも変ですので、また別の病院に行きなおした方がいいでしょうか。
これから不妊治療を再開したいと思っているのですが、(出産経験はありません)治療中は排卵誘発剤をよく投与されるのですが、これは乳腺症に悪い影響をもたらせないでしょうか。また乳腺症はホルモンの関係で妊娠中に変化しやすいと聞いた事があるのですが、それは本当ですか。癌に変化しやすいのでしょうか。そうだとすれば仮に妊娠した場合は、1年を待たずに乳腺の診察を受けておいた方がいいのでしょうか。変化しやすい時期や受けた方がよい時期がありましたら教えてください。色々とお聞きして申し訳ありませんが、高齢のため安心して不妊治療を受けたいので、どうかご解答の方を宜しくお願い致します。

MRI(磁気CT)にせよ、MMG(マモグラフィー:乳腺の圧迫による軟線撮影)にせよ、必ずしも細胞診とのセットになっているわけではなくて、触診、エコーなどとの総合診断で必要に応じて細胞診も行うことがあるということだと思います。せっかく検査を受けられたのですから、まず今の病院でよく相談されたほうが良いと思います。
乳腺症の診断基準自体が難しく、生理の周期に応じた乳腺の張りや痛みがあり、画像検査と総合して判断されると思います。乳腺症への影響が直接あるかはわかりませんが、排卵誘発剤には、乳房の腫れや痛みを伴うといった副作用を持つものもあります。
以前は乳腺症と診断された方に乳癌が多いといわれていましたが、今はそれが否定的という報告もあります。ただ万が一乳癌があった場合、妊娠はそれを悪化させるといわれています。変化を追ってみる意味で、妊娠前、妊娠後、出産後、断乳後など主治医の先生と相談されて受診なさってはいかがでしょうか?(文責 片山)

 

No.1310】 02年12月26日 Y.O.
乳輪下の色の変化について
 

32歳、女、未婚です。2〜3週間ほど前から、右胸乳輪の下縦2cm横5cmぐらいの大きさの楕円部分が少し赤くなっています。下着のせいかと思い、下着をかえてもみましたが変化はありません。かゆみ・痛み・しこりはなく、にきび・湿疹のようなできものという感じでもなく、ただうっすら赤みを帯びています。叔母が乳がんを患った時、はじめはその部分がうっすら赤くなった・・・といっていたのを思い出し、不安です。しこりができる前兆で、このように赤くなることってあるのでしょうか? もし乳がんだとしたら、このような段階で乳がんだとわかるのでしょうか? 行くとしたら乳腺外科に行ったほうがよいのでしょうか? どうすればよいでしょうか? お教えください。

発赤のみでかゆみも無いという事ですが、文面から推察するに湿疹や下着の接触によるアレルギー性の皮膚炎などが一番考えられると思います。これから痛みが出てくるようならば授乳期でなくとも乳腺炎の可能性も考えられます。いずれにしても一度乳腺外科を受診なさることをお勧めします。(文責 片山)

 

No.1309】 02年12月25日 N.K.
ホルモン療法は必要ですか

非浸潤性乳管がんで、温存療法をしました。放射線療法も65グレイしました。現在ホルモン療法3ヶ月目です。リュープリンとアリミデックスですが、非浸潤がんの場合もホルモン療法は受けたほうがいいのでしょうか。よろしくお願いします。

非浸潤性乳管癌の大多数は切除のみで治癒できるが、ごく一部の症例で局所再発、または遠隔転移してくるとされています。2001年のSt.GallenのConsensus Conferenceでは、明確な診療方針が打ち出されたわけではありませんが、再発リスクを予測するための因子を明らかにすることによって、術後放射線照射またはTamoxifen(TAM)内服の追加が必要な症例を特定することができるか、という問題についてはNSABP B17,B24 trialsなどの検討から、年齢、gradeなどを考慮することが示唆されました。まだ結論が出ていないわけですが、個人的には今のところホルモンレセプターが陽性ならば、ホルモン療法を加えるほうが良いと考えています。(文責 片山)

 

No.1308】 02年12月25日 Y.M.
追加手術についてご相談

11/11に左胸皮下乳腺全摘術&人工乳腺による同時再建をしました。診断は非浸潤乳管癌です。補助療法は何もしていません。術後の病理結果で、最終検査報告で断端陽性と出ました。追加手術と、様子をみてしこりがでた(浸潤)時点で手術の、二者択一するのに悩んでいます。術前にセカンドオピニオンとしてみていただいた先生に意見を聞きました。放置してもいいのではないか?との意見でした。手術はなるべく避けたいですが、もしかして追加手術をした結果、浸潤癌という診断になるかもしれないと不安が募ります。一般的にはどちらがStandardなのでしょうか?以上、よろしくお願い申し上げます。

実際に術前の画像や病理組織標本を拝見したわけではないので、はっきりしたことは申し上げられませんが、あくまで参考にしていただければと思います。
乳腺全摘出をされているということで、病変が全て非浸潤性乳管癌であるとすれば、手術によって完全に取りきれている可能性が高いと思います。ただ病変が乳腺の中で切除範囲ぎりぎりのところまでには広がっていたということになると思います。また全部が非浸潤性であることは少なく、もしも断端陽性という判断が脂肪織などへの浸潤部によってなされたのであれば問題かと思われます。このような場合、やはり再手術をするか、再建をしているのでケースバイケースですが放射線療法の可能性を主治医の先生と相談されてはいかがでしょうか?(文責 片山)

 

No.1307】 02年12月23日 tola
しこりについて

22歳の学生です。半年くらい前から胸に違和感を感じるようになり、一ヶ月くらい前にしこりのようなものを見つけました。両胸の脇にこりこりとしたものがあり、触ると少し痛みを感じます。下着を着けているとそんなに気にならないのですが、朝起きたときなど痛むことがあり、何か病気ではないかととても心配です。どうすればよいでしょうか。

まだお若いですし、両側にあって痛みを感じるということで、正常な生理の周期による乳腺の張りだと思われますが、拝見していないのでこれ以上は分からず、一度乳腺外科のある大きな総合病院を受診なさってみては如何でしょうか?(文責 片山)

 

No.1306-1】 02年12月23日 O.T.
放射線照射後の肺炎について

半年前に非浸潤性乳管癌で、左胸を温存手術しました。リンパ節廓清し、放射線照射を30回しました。薬は飲んでいません。2ヶ月に1度の診察です。
1)温存手術後、触診とエコーのみの診察ですが、肺炎の早期発見のために胸部レントゲンは必要ありませんか。同じ時期に放射線を受けていた人が、最近肺炎になったと聞き、不安になっています。
2)風邪などでなる肺炎と、放射線の副作用でなる肺炎とは、どんな違いがあるのですか。

よろしくお願いします。

乳房温存術後の放射線照射は食道癌や肺癌に対してのそれと違い、乳房に対して身体の接線方向にあてますので、直接肺に照射野がかかることは少ないですが、それでも個体差や乳癌の大きさ、部位等によってはある程度かかることもあるかと思います。その場合、咳、発熱、息切れなどの症状が出ることがあります。また、治療が終って1〜3ヶ月でこういった症状が出ることもあります。また、さらに晩期の副作用として肺の線維化があり、呼吸機能の低下が見られることがあります。(文責 片山)

 

No.1306-2】 02年12月26日 O.T.
放射線照射後の肺炎について(2)

早速お返事有難うございました。放射線の副作用でなる肺炎は線維化するのですね。線維化というのは、硬くなって使えなくなることですか。また、肺炎の早期発見のために胸部レントゲンは必要ないですか。必要ならば、どのくらいの時期に必要ですか。手術後半年くらいですか。放射線照射終了後半年くらいですか。咳が出始めてから受診しても遅いようで不安です。お忙しいところすみませんが、よろしくお願いします。

線維化を起こした肺は確かに固くなり、その範囲(体積)によりますが、呼吸機能(肺活量など)に影響を及ぼすことがあります。こうした副作用はかなり後になってから(晩期)のものと言われています。
現在急性期の発熱や咳、呼吸苦といった自覚症状が無いのであれば様子を見てもよろしいかと思います。前にも書きましたように、放射線照射後1〜3ヶ月くらいでこうした症状が出ることがありますので、このような兆候があったら主治医の先生と相談して検査を受けて下さい。(文責 片山)

 

No.1305】 02年12月23日 S
再び大きくなったしこりについて

はじめまして。40歳独身、出産経験なしです。しこりがあったため、病院でエコー、マンモグラフィの検査をしたところ、乳腺症でのう胞だと言われ 水を抜いてもらいました。水と聞いたので透明なものかと思ったら、うす茶色で濁っていました。その水の検査結果でマンモテックの値が高かったんですが、再エコーの結果、何もなく半年後の検査を受ければ良いと言われました。最近になってまたしこりが水を抜く前の大きさに戻ってきました。(水を抜いた時の大きさは2.4×2.6でした)。触感は前と同じです。痛みは前はなかったんですが、今は少しあります。まだ半年後の検査までには4ヶ月ほどありますが、病院に行った方がいいんでしょうか?今また水を抜いてもすぐ大きくなりそうな気がしますし、こちらのHPでマンモテックの値は気にしなくてよいということでしたが、再び「値が高くて…」と言われるのも気分の良いものではなくて、このままにしようかなとも思ったり、もし行かなくて後悔することになったらとも思ったりして迷っています。行った方がいい・行かなくていいという判断はどこでつけたらいいんでしょうか?教えてください。  

のう胞で内容物を抜いた後、軽い炎症が起こってのう胞の壁が癒着して、液が貯まりにくくなることもありますが、すぐに液体が貯まってしまって元と同じ大きさになることもまたよく経験します。痛みは再度液体が貯まって張ってきたためかと思われます。メールからは細胞診の結果がわかりませんが、御自身が気になって仕方がないという時がタイミングかと思いますので、待たずに受診されてはいかがですか?(文責 片山)

 

No.1304-1】 02年12月23日 T.C.
妊婦の乳がんについて

私の妻は現在29歳で、妊娠6ヶ月(22週)です。先週、右側の乳房にしこりがあったため、産婦人科へ行ってきました。触診の結果、乳がんの疑いがあるとの事で乳腺外科を紹介され、バイオプシー?を行った結果、悪性の乳がんが発見されました。その後、生検を行いました。その結果は4日後に出ますが、現時点では9割方間違いないと言われています。しこりの大きさは、3.5cm程度らしいのです。妊娠中なのでレントゲン検査が出来ないようで、他への転移が心配です。子供のほうは、妻との間でもほぼあきらめていますが、出来ることなら妻も子供も安全にがんを切除したいのですが、可能でしょうか。乳腺外科の先生から、妊娠中でも全身麻酔での手術も可能との話は聞いています。産科の先生との話し合いでは28週以上にならないと子供に障害が残る可能性もあると言われています。また妊娠中はがんの進行も早いと聞きました。妻は現在、生検や、急な展開でのストレス等の影響で腹痛(子宮の収縮)を起こし入院中です。腹痛の原因には子宮筋腫もあるらしいです。『何としても妻だけは・・・』の思いが強いので、1日でも早く切除したいのが本音です。

1)患者サイドから先生のほうにどういった話をすれば宜しいでしょうか?
2)一般的に妊娠中で3.5cmのしこりのある乳がんは他への転移の可能性はありますか?
3)万一転移があったとして、子供が28週になるのを待ってからの精密検査、手術で、妻は大丈夫でしょうか?

支離滅裂の文章で申し訳ありません。ご回答いただけると気持ちの上でも安心します。宜しくお願いします。

1)妊娠期の乳癌は非常に微妙なニュアンスも含み、対処に苦慮することが多いケースです。母体・胎児共に助けたいという希望を素直にぶつけて相談なさってよろしいかと存じます。
2)妊娠期に限らず3.5cmの乳癌というとT2ということになり、もちろん手術をしてみないとわかりませんが、腋下リンパ節への転移の可能性は高くなると考えます。
3)4日後に検査結果が出たら直ちに治療方針を決定すべきで、あと6週間待つというのは病気の性質上、好ましくないと思います。

妊娠は乳癌には好ましい状態ではなく、母体の安全を優先して中絶が可能な状態であれば中絶して手術を行うとされていました。しかし、そうすることが予後に差がないという報告もあり、妊娠継続にて治療するというケースもあると思います。ただ術後の化学療法やホルモン療法は胎児の催奇形性も考え、慎重であらねばならないと思います。(文責 片山)
 

 

No.1304-2】 02年12月26日 T.C.
妊婦の乳がんについて(2)

先日は早々にご回答頂きありがとうございました。とても参考になりました。
本日、先生との面談が出来ました。その結果、「32週位(お腹の子供が障害なく産める時期)で帝王切開で出産。同時に、卵巣の細胞をとり転移が無いか検査する。帝王切開後1週間おいてから乳房切除手術を行う。」と言われました。全身麻酔での手術は切迫早産の恐れがあり、もし早産になってしまうと障害の残る可能性が非常に高いので勧められないともいってます。生検の結果はご指摘の通り2期でした。がんの細胞が硬い細胞らしく、がんの中では比較的転移しにくいものらしいです。(本当ですか?)今後は転移を調べるため、胸部のレントゲン検査を行う予定です。万一転移があった場合は再度治療方針を検討するといわれました。32週というとあと9週も何も出来ないことになりますが、今は待つしかないのでしょうね。他によい方法があればご返答お願いします。宜しくお願いします。

胸部のレントゲン検査やCTスキャン、肝臓エコー検査、腫瘍マーカー検査など胎児に影響の少ない検査をできるだけ行って、遠隔転移が無いことを確認して(もちろんこれらの検査だけで全てが判るわけではありませんが・・・)お話のような方針ということになるのだと思います。
乳癌は確かに個性があり、悪性度もそれぞれ違うわけですが、それは手術をして病理検体を検索してみないと分かりません。さらに最終的には術後の経過を追ってみないとわからないということにもなるのです。
前にも書きましたように、以前は母体(生まれてくる子供を育てるべき母親)の安全を優先して、中絶して乳癌の治療を行うとされていました。しかし、中絶をしても妊娠継続でも予後に差がないのならば、やはり子供を残したいという考えもあると思います。一人の患者さんに対して二つの治療方針を試みるわけにはいきません。このようにある意味哲学的なニュアンスも入ってくる微妙な問題をはらんでいます。お二人にとっても苦渋の決断かと思われますが、主治医の先生とよく相談して今の段階で一番良いと思われる方法を決めてください。(文責 片山)

 

No.1303】 02年12月23日 N.M.
乳頭分泌物について

はじめまして。私は22歳未婚なのですが、ここ2・3ヶ月くらい前から乳首をつまむと乳頭からちょっと白っぽく濁った分泌物が出てきます。茶色とまではいかないので、おそらく血が混ざっているとは思えないのですが、乳がんではないかととても心配です。しこりに関しては、私は胸が小さいのでこりこりしてるかもと感じても、骨なのか乳腺なのか、あるいはがんなのか判断できないので、分泌物が一体なんなのか不安です。病院で見てもらえばはっきりするとは思うのですが、私くらいの若さでも乳がんの疑いをもって検診を受けたほうがいいのでしょうか?分泌物は一体なんなのでしょうか?

白っぽく濁った分泌物とのことで、まず心配は要らないと思いますが、茶色がかっているとすると古くなった血液の可能性もあるので一応専門医を受診なさることをお勧めします。血液であった場合でも8割がたは良性ですので、あまりナーバスにならないで下さい。(文責 片山)

 

No.1302】 02年12月21日 A.O.
エコーでわかること

28才の会社員です。先日職場の乳ガン検診を受けたところ、「左乳房に腫瘤の疑いがある」「精密検査が必要」との結果が出ました。数年前より、乳房の痛みや、液状でない白いカスのような分泌物が左右の乳頭のあちこちから常にほんの少しずつ出ていたので、気にはなっていたのですが、乳腺症かと思っていました。検診では、エコーで左側を調べているうちにしこりが見つかった様子で、触診をしたあと、写真を撮りました。その時検査を担当した方の様子がどこか不自然だったので、悪性だと判断がついたのではないかと気になっています。実際のところ、エコーではどの程度のことがわかるのでしょうか?一概には言えないと思いますが、参考までに教えてください。よろしくお願いします。

乳房の痛みは個人差はありますが、生理前の乳腺の張りに伴って起こることが多く、また白いカスのような分泌物は、乳頭が陥没気味の方で分泌物が溜まって起こることが多いと思われます。ともに直接悪性を示唆するものではありません。
エコー検査はある程度の大きさのしこりがある場合は非常に有効な検査で、その形、辺縁のエコー像、内部エコー像、後方エコー像などにより良悪性の判断がつくこともあります。ただこれが全てではなく、触診、レントゲン(マンモグラフィー)、細胞診などによる総合的な診断が必要ですので、主治医の先生に良くたずねて下さい。(文責 片山)

 

No.1301】 02年12月21日 未知子 
胸のしこりと痛み

私は今19歳です。前から胸にしこりがあるような気がして、ずっと気になっていました。ぎゅっとつまむと痛みを感じます。昨日も気になって何度もそれを触っていたら、今日はその部分が1日中軽く痛みます。ズキッまではいきませんが、そんな痛みです。「もしかして乳癌?」と思うと不安でたまりません。でも勇気がなくて病院にも行っていません。ただ単に胸が硬いだけという事もあるんでしょうか?それと私は胸がとても小さいんです。生理も不順です。母も3ヶ月に1度しかこない人です。なにかホルモンの異常とかもあるんでしょうか?お願いします。

19歳で乳癌というのは非常に稀ですし、少なくとも私自身の診療では経験はありません。また、乳癌は痛みを伴うことは少なく、生理の周期による痛みであることがほとんどです。若い方の場合、しこりがあるとしても良性の線維腺腫であることが多いと思われますが、一度専門医に診ていただくことをお勧めします。(文責 片山)