No.11913 今後の治療について

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2016.06.24 S 0 Comments

今後の治療について悩んでおり、投稿させていただきました。現在40才、先月左乳房の乳がんに対して、皮下乳腺全摘、センチネルリンパ節生検、自家組織で同時再建しました。術中迅速で乳頭直下断端に乳管内伸展がありましたので、乳輪乳頭は切除しています。病理の結果は下記のとおりです。

Ductal carcinoma in situ,It. breast, pTisNX
D領域 g, ly0,v0
切除断端positive(外側断端 exposed)
Van Nuys classification:High grade DCIS(solid,cribriform,flat,comed,clear cell type)
免疫染色結果:ER(Score3b:50%以上) PgR(Score3b:50%以上)
HER2(score1:参考所見)
背景の乳腺組織:sclerosing adenosis,cyst,apocrine adenosis,usual epithelial hyperplasia,FA-like hyperplasia,columnar cell change/hyperplasia

D領域に広範にhigh grade DCISが広がっています。迅速時の乳頭直下組織にはDCISの進展がありますが、追加切除された乳頭部には明らかな悪性所見は認めませんでした。

主治医からは、非浸潤癌でホルモンは陽性。乳管内の広がりは5CM程度。ホルモン療法をするか、しないか、検討するようにとだけ言われました。手術前は浸潤癌と聞いていたので、予想外の結果に頭が真っ白になり、聞きたい事も聞けませんでした。次の予約までに時間が空いてしまうので、自分で病理結果を解読しようと調べているのですが、理解できない部分が多く、困っています。

1) わたくしの場合の所見をわかりやすく教えていただけないでしょうか。
2) 癌は取りきれたのか、High grade DCISとはどういう状況なのでしょうか。
3) 上記を踏まえて、無治療の場合と、ホルモン療法をする場合のメリット、デメリットを教えていただけませんか。

長文、乱文で申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

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2019.01.12 清水 0 コメント

お答えの前に、是非主治医の先生に確認した方が良いと思われることがあります。切除標本がDCISだったことを受けて、針生検の標本を見直してもらうことです。その結果、針生検の病理所見は見直しても浸潤癌だったのか?それとも、見直したら非浸潤癌だったのかということです。それが浸潤癌であれば、TisN0ではなく、T1aN0ということになります。
1)D領域:がんがあった場所は左乳房の外下1/4の範囲
G:がんの広がりが乳腺組織内に留まっていない(脂肪組織、皮膚、筋肉には及んでいない
Ly0,v0:標本上ではリンパ管、血管の中にがんはありません。
切除断端positive:切除した標本の外側の端にがんがありました。(残っている組織にがんがある可能性があります)
Van Nuys classification: 非浸潤がんが浸潤がんになりやすさををあらわす分類
High:非浸潤がんの中では悪性度が高く、浸潤がんになりやすい
免疫染色結果:参考の結果で、非浸潤がんでは関係ありません。
背景組織:様々な良性の変化が見られます。

2)“外側断端がpositive”とありますから、外側に残存している可能性はあります。しかし、乳頭側断端が陽性で、追加切除した乳頭乳輪にはガンがなかったということもあるので、絶対に残っているとも断言できません。断端陽性の部位が同定できれば追加切除するか、経過を見るかどちらかになります。”High Grade DCIS”について:DCISについては、基本的に遠隔転移のリスクが非常に低い乳がんです。そして、中には一生浸潤癌にならないでDCISのままでいる顔もあるのではないかと言われています。そこで、Van Nuys分類と言って、DCISが浸潤癌になりやすさを表しています。言い換えるとHigh Grade DCISとは浸潤癌になりやすい非浸潤がんということです。ということは、切除標本の検査は5mmの厚さに切った面を検査していますから、その5mmのければ中に浸潤がんがある可能性について、確率は低いのですが、考えないといけません。
3)非浸潤がんの術後治療は原則として無治療です。治療する場合、その目的は二度目のがんの発生を予防することです。しかし、閉経前の場合に使うお薬はTamoxifenですので、内服することで子宮体癌が増えるというデメリットがあります。(文責 清水)

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