No.12191 術後の薬物療法について

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2019.03.23 まお (匿名) 0 Comments

54歳女性です。よろしくお願いいたします。硬癌、左乳房全摘しました。その後の病理組織診検査報告では、pT14mm, pT1c,pN0,Ly0,V0,HG3,ER40%,PgR<1%, Ki67 40%, HER2 1+ ルミナルB です。化学療法を勧められましたが、腫瘍径も小さいので自分で決めてくださいと言われました。自分なりに乳がんの化学療法を読んでみて、一般的なことはなんとなく理解出来ましたが、病状や人によっても違うものなのだなあという感想で、自分と似た数値の方がどう選択し、どうなっていくのかということはわからず、なにを選択の決め手にしていいのか迷っています。抗がん剤を使用することで生存率が上がるのなら使用した方がいいと思うのですが、使用しないという選択は、なぜあるのでしょうか。以前の抗がん剤のイメージは、投与中は入院をして、経時的な負担もかなり大きいように思っていましたが、私の場合は、1年間の通院での投与ということでした。脱毛やうつ症状、嘔吐などの副作用はあるようですが、1年間耐えれば、その後はこういった副作用はなくなるのでしょうか。それとも続くのでしょうか(①)。 また、何かの資料では、抗がん剤を使用することで、免疫力が低下し、かえって癌になる…といった記述もありましたが、どういうことでしょうか(②)

長くなって申し訳ありません。上記①②について、また、私の場合の抗がん剤使用の是非のご意見をお聞かせください。

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2019.03.23 清水 0 コメント

 

  1. 脱毛、うつ症状、嘔吐などの副作用は、治療後に残ることはありません。大部分の副作用は治療中のみと考えてください。ただし、パクリタキセルを使った時の手足のシビレは治療後も長く続くことがあるので、シビレがひどくなる前に投与を中止する必要があります。副作用のうち、”脱毛”を許容できるのであるならば、それ以外の副作用は治療を中止すれば無くなるので、耐えられない副作用が出たら、抗がん剤投与を中止すればよいと思います。
  2. そういう説もありますが、それを証明した人はいません。私たちが抗がん剤を投与する根拠は、術後に抗がん剤を投与した群と投与しない群を比較した臨床試験で、抗がん剤を投与した群の方が転移再発が減り、生存率が高くなるというデータがあるからです。抗がん剤を使って、免疫が下がって、他のがんになって死んでしまうのであれば、抗がん剤を投与した群の方が生存率が下がってしまうことになりますよね。抗がん剤投与で免疫力が下がらないとも断言できません。しかし、もし免疫力が下がったとしても、最終的に転移が減って生存率が向上する(他の病気で亡くなった場合も含めて)ことの方が大事だとは思えませんか。
  3. 貴女の治療について:

近年の治療の考え方は、腫瘤径やリンパ節転移の程度などのがんの進み具合より、がんの性質に応じて治療を考えるというのが主流です。そうなると、貴女の場合は、腫瘤径は小さいのですが、ホルモン感受性は低く、グレードは3でKi67も40%と高い方です。ですから、内分泌療法だけで転移再発が抑えきれるかどうかは疑問です。私が主治医であれば、抗がん剤投与をお勧めします。もう一点補足すると、”抗がん剤を使用することで生存率が上がるのなら使用した方がいいと思うのですが、使用しないという選択は、なぜあるのでしょうか?”という貴女の疑問については、長い目でみた生存率より、今の生活を大事にしたいから強い副作用は避けたいと考える方がいらっしゃるのです。生存率の改善の程度と副作用の程度という、難しい比較をしなければいけないのです。生存率の改善といっても、あくまでも過去の臨床試験に参加した人のデータであって、この結果が貴女の生死を分けるわけではありません。あくまでまでも生存の確率を高めるという事実のみです。一方、副作用についても、抗がん剤を投与してみなければ、貴女にとってどの程度辛い副作用なのかはわからないのです。ですから、貴女が多少の副作用なら我慢するので1%でも生存率が向上するならば抗がん剤治療を受けたいと考えるか、将来どうなるかわからないのだから、今現在、脱毛や吐き気などの副作用のある治療は避けたいと考えるかで決めてはいかがでしょうか。(文責 清水)

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