No.12242 BRCA1変異陽性の術後治療について(HPNo.10756-2)

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2019.09.09 W.T. (匿名) 0 Comments

お世話になります。以前、【No.10756】「抗がん剤と早期閉経、髄様がん」にてお世話になりました。おかげさまで、納得して術後抗がん剤治療に取り組むことができ、その後2人の子供を出産することができました。7年経って、新たに癌がみつかりました。現在わかっている情報は下記の通りです。(前回:2012年33歳で浸潤性乳管癌を発症。左乳房温存術+TC療法(4クール)、放射線療法実施。病理診断結果は【No.10756】に記載。)

<状況>
2019年7月(40歳)、左側乳房乳癌、局所再発(ただし、2012年7月初回はトリプルネガティブで、髄様癌で異なる。再発までに7年経過のため新生癌と考えられるとのこと)

<組織診結果>
浸潤性乳管癌、硬癌(Invasive ductal carcinoma, scirrhous type)、腫瘍サイズ(術前エコー):7.6×7.0×5.3mm、ER:0%(-)、A-S:0、Her2:0、トリプルネガティブ、Ki67:38%、Histological GradeⅡ

<術前検査>
造影CT:エコーで見つかった腫瘤以外の広がりはなし
MRI:8×7×7mm大の類円形腫瘤あり、広範囲な乳管内進展やリンパ節腫大は認められない、右乳房に悪性を疑う所見は指摘なし
PET-CT:No evidence of metastasis (左乳癌原発巣集積もsizeや組織型の影響か、不明瞭)

<遺伝子検査>
術前にBRCA1遺伝子変異を有することが判明(BRCA2は変異なし)
本結果を受けて、左乳房全摘を進められたが、主治医と相談の上、最終的に温存手術を選択
左予防的卵巣・卵管切除は、今後術後療法が決まり次第、早急に検討予定

<手術>(現在、病理結果待ち)手術:乳房温存術、断端:陰性(4箇所)、センチネルリンパ節:陰性(検査はN=1のみ。過去に同側手術ありのため、センチネルは1個しか染色しなかった)

以下質問2点です。

質問① 術後補助療法として、やはり抗がん剤治療の省略は不可能でしょうか。

今回は腫瘍サイズも小さく、これから出る病理組織から、もしも癌の局在が認められなかった場合、そもそも全身に転移していないかもしれないのではないでしょうか(それは誰にもわからないのは承知しています)。抗がん剤の投薬により、かえって寿命を縮めることにはならないのでしょうか(2次癌の発生率の増加や免疫力の低下による新生癌の発生の可能性はないでしょうか)。

術後の生存率予測を「Predict」を用いて行った結果、「手術のみ」 or 「手術+抗がん剤」それぞれの15年生存率は、Surgery only:80%、Surgery+第2世代の抗がん剤(FECなど):83%、Surgery+第3世代の抗がん剤(タキサン系):85%であり、抗がん剤によるBenefitは最大でも+5%しかありません。統計的には、手術だけで同じだけ生き延びられる人もいます。
BRCA陽性の場合、対側乳房や温存乳房での再発リスクは高いと思います。やるに越したことはないのは重々承知していますが、また再発する可能性があるのに、現時点で必須でしょうか。やらないという選択肢をとることもできるのでしょうか。

質問② BRCA1陽性のトリプルネガティブ乳癌、局所再発の場合、術後補助療法としての第一選択は何になるのでしょうか?
新生癌と考えられる局所再発の場合、前回同様のTC療法ではなく、薬を変えてFEC(EC療法)などの方がいいのでしょうか? BRCA1に由来する乳がんはトリプルネガティブタイプが6割で、ホルモン療法やタキサン系の抗がん剤が効きにくいのが特徴という記事を読んだことがありますが、そのようなエビデンスがあるのでしょうか。BRCA1変異陽性にはPERP阻害剤など、別な薬剤を使用する方が良いなどのエビデンスはありますでしょうか。

先生方に可能な限り状況をお伝えした上で、ご意見いただけたらと思い、長文となりましてすみません。どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

 

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2019.09.11 久保内 0 コメント

まずご質問の2点についての答えです

1)今回の乳癌はトリプルネガティブタイプの硬癌で、MRI径で8mm大のものですから、ガイドラインから言えば抗がん剤での補助療法をお勧めすることになります。その目的は、今回治療なさった乳癌の(PET-CT等の検査で診断し切れない)microの転移を叩いて再発させないためです。「BRCA陽性の場合、対側乳房や温存乳房での再発リスクは高いと思います。(中略)また再発する可能性が有るのに、現時点で必須でしょうか。やらないという選択肢をとることもできるのでしょうか。」⇒対側乳房や温存乳房に出来るのは別の新規発生の癌で厳密な意味での再発では有りません。『いま治療した癌』の遠隔転移による再発を来さないように術後の治療をするのであって、大きな誤解があるようです。BRCA陽性での次の癌の発生を抑えるには、病側乳房は温存ではなく全摘で取られるべきですし、対側乳房なら卵巣卵管と同様に予防切除を考えられるべきです。また『やらないという選択肢』は『今回の乳癌の再発の可能性が有りうることを理解した上での自己責任』の範囲内であれば、認容されるのではないかと考えます。

2)BRCA乳癌にはPERP阻害剤を使えますが、再発治療においてだけですので、現時点では使用しません。BRCA乳癌だからと言って、術後補助療法に特別なレジメンが有るわけでは無く、トリプルネガティブ乳癌ならば全身療法には化学療法だけになりますし、アンスラサイクリンとタキサンの標準治療を行うのが通常でしょう。また「局所再発」と言っておられますが、7年前の乳癌とは組織型が異なり新規発生の乳癌と考えられるのですから、通常のトリプルネガティブ乳癌に対する術後治療で良いと考えます。アンスラを回避してTCで施行される場合も、タキサンを回避してアンスラだけで行われることもあります。このmodifyは、エビデンスから行うというより、医師の好みでと患者様の同意でされていることが多いようです。(文責 久保内)

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