No.12001 局所再発乳癌の術後薬物治療について

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2017.01.02 Y 0 Comments

乳房温存手術8年後に局所再発となり、乳房全摘手術を受けました。今後の薬物治療につきましてご教示いただければ幸いです。初発時(8年前)と今回の比較は下記になります。 (※8年前→今回で記載しております。)

術式:左乳房温存手術→左乳房全摘(+エキスパンダー)
リンパ節:陰性(センチネル生検、摘出リンパ数2)→陰性(センチネル生検、摘出リンパ数8)
組織型:浸潤性乳管癌、非浸潤癌主体→浸潤性乳管癌
大きさ(浸潤型):0.1cm以下→1.3cm
範囲:1.3cm→3.2cm
核異型度・組織異型度:3+→2
リンパ管・脈管侵襲:陰性→なし
Ki67:初発時の結果説明なし→15.8%
ホルモン感受性:なし→なし
HER2/meu:あり→あり
断端:陰性→陰性
術後治療:放射線25回→AC+(T)+ハーセプチン ※治療検討中
術前治療:なし→なし

質問
1) 2回目のセンチネルリンパ節生検の診断について
主治医より、初発時に放射線治療を受けている影響なのか、アイソトープが一部途切れていたと言われました。幸いなことに、再発時もリンパ節転移は陰性との診断ですが、それが本当に正しい診断であるのか不安に思っております。2回目も1回目同様の正確性は立証されているのでしょうか。

2) 術後薬物療法について
局所再発治療の場合、以下②を行うことにより、①より再発率をどれ位抑えることが出来るのでしょうか。
①AC療法(3週毎4回)+ハーセプチン(1年間)
②AC療法(3週毎4回)+パクリタキセル(毎週12回)+ハーセプチン(1年間)

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2018.04.10 須田 0 コメント

1) 腋窩リンパ節郭清とは、腋窩リンパ節を取り残しのないように脂肪と共に塊として切除することです。郭清をすることにより、骨・肝・肺等への遠隔転移を防ぐことができます。これらのリンパ節に乳癌の転移があるかどうかは顕微鏡で調べることになりますが、リンパ節転移が多くあるほど、再発の危険が高くなります。
乳房内の乳癌細胞が最初にたどり着くリンパ節をセンチネルリンパ節といいます。①センチネルリンパ節転移があった場合、腋窩リンパ節を郭清し、センチネルリンパ節に転移がない場合、腋窩リンパ節郭清を省略する患者さん群、②すべて患者さんに腋窩リンパ節郭清をした群 を比較した場合の試験結果では、生存率に差がなかったと報告されています。これがセンチネルリンパ節生検の信頼性の根拠であり、センチネルリンパ節に転移のない場合には腋窩リンパ節郭清を行わなくてもよいと考えられています。貴女の場合も、8年前の乳癌の時、センチネルリンパ節2個を調べた結果、転移が認められなかったので、腋窩リンパ節郭清は行っていません。今回も8個採取し、すべてが陰性だったと確認されているので、腋窩リンパ節郭清は行っていません。つまり、前回の手術、放射線治療、化学療法等によってリンパの流れが変わり、前回と別ルートで、今回放射線同位元素が最初にたどり着いたリンパ節が8個あり、検査の結果、すべて陰性であったということです。

2)パクリタキセルを追加することによって、およそ17%再発率を抑えることになると考えられています。ただし、貴女の場合、8年前の乳癌手術時、断端は陰性だったので、今回の乳癌は、新しく発生した可能性もあります。主治医の先生に、再発か、新しい癌か、どちらの可能性が高いかを確認した上で、術後の薬物療法も検討して頂くことをお勧めいたします。納得のいく治療法を選択して、前向きに頑張っていただきたいと思います

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