No.12422 術後抗がん剤治療について

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2020.05.07 じゅん 0 Comments

先日、乳房切除手術を受けました。病理検査の結果、しこりの大きさ3センチ、浸潤径7ミリ、HER2 3+、ホルモンマイナス、グレード2の硬がんという事です。浸潤径が1センチ未満なので、必ずしも抗がん剤治療は必要ないが、治療するならタキサン系抗がん剤とハーセプチンを3ヶ月すれば良いと言われています。再発が怖いので、治療する方向で考えたいと思いますが、1センチ未満の浸潤がんなら、抗がん剤の治療の必要はないと記載されているサイトもあり、受けるメリットがある治療なのか悩んでいます。

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2020.05.07 久保内 0 コメント

HER typeの乳癌は本来悪性度が高く、再発・転移を来しやすいので、ガイドラインではHER typeの患者さんに対しては、10mm以上の浸潤癌径(浸潤癌とは『癌のうちで転移する能力のある部分』)で、化学療法と抗HER-2療法を行うことを推奨しています。元々、化学療法はアンスラサイクリンのあとタキサン系抗癌剤使用時にハーセプチンを併用して、ハーセプチンは総計1年使用が原則(半年では効果なし)でしたが、1年半位前からは抗HER-2薬としてハーセプチンとパージェタが使えるようになって、手強そうな(大きい、リンパ節転移あり、グレードが高い等)症例で使用していますし、その逆の場合はアンスラサイクリンを省略して、タキサン系抗癌剤とハーセプチンのみ行うことがあります。またハーセプチン単独使用では効果は無く、化学療法との併用が必須です。

質問された方は浸潤径7mmでグレードも低いのですから、ガイドラインからは再発しにくい群に入ると考えられます。10mm径と7mm径では、どのくらい違うものでしょうか? 「たった3mmしか違わない」と言われるかも知れませんが、3乗で効いてきますから、10×10×10:7×7×7=1000:343≒3:1となり、『浸潤癌の体積比は約1/3』すなわち『再発のし易さも1/3』になります。それに病理医が実際の癌の計測をしたのですから、超音波やMRIで計測されたサイズ(時として病理径と大きく違うことも有ります)と違って、説得力は非常に強力です。でも小生が良く判らないのは、「しこりが3cmで浸潤径が7mm」という表現です。非浸潤癌部分が3cmあり、その中で浸潤癌部分が7mmということでしょうか? 切除検体や病理標本を見ないと何も言えないかもしれません。

以上くどくど述べましたが、「再発が怖いので治療する方向で」考えておられるのでしたら、「再発は絶対あり得ない」とは言えないので、タキサン+ハーセプチン(ハーセプチンは1年)で治療なされば良いと思います。(文責 久保内)

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