No.12586 異形乳管過形成について

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2021.01.02 K 0 Comments

 

初めまして、質問よろしくお願いいたします。

先月、胸の左上に、シコリまでいかないのですが、運動したり動くと少し痛み、触るとぶよぶよした感じの異物を感じたので、乳癌検診に行き、マンモグラフィーとエコー検査を受けました。異物は、触診で、「確かにぶよぶよしている」との事でしたが、水袋のようなもので、癌ではなさそうと言われましたが、マンモグラフィーで、その異物とは別の部分に白い点々が見られ、石灰化があると言われました。

出産経験があると、たまに石灰化は見られるようですが、私は出産経験はなく、おかしいとの事で、周辺の細胞を取り要検査となりました。一応、最初に異物を感じた部分も、検査のため一部採取しました。二週間後に結果が出るとの事で、結果を聞きに行きました。

結果は、癌ではないけれど悪性で、異形乳管過形成の疑いがありとの事で、大きな病院を紹介しますとの事でした。またその際に、結構白い点が広範囲にポツポツとあるので、検査した方には、左胸を全摘出するのが良いと言われました。病院の先生にも、「僕も摘出した方が良いと思うよ。」と言われました。また、すでにどこかが癌化して隠れている場合もあると言われました。私は全摘出とか怖くて仕方がありません。泣いてばかりです。また、異形乳管過形成を知りませんでしたので、調べると、それが後に癌化する確率が高いとあり、初期の初期で前癌ともありました。

検査からわずか数週間でぽんぽんと検査と話が進み、胸の全摘出や再建手術の話まで出てきて、まだ完全に受け入れる事ができません(>_<) 確かに、全摘出すると再発のリスクは95%なくなるという記載もあったり、胸を少し残したために再発して、「全摘出せず後悔した」と言っている方も多々おられます。セカンドオピニオンはまだ行っておりません。今の医療技術からは誤診はそうないとは思いますが、状況からみて、やはり全摘出するしかないでしょうか? 異形乳管過形成で全摘出したという方をネットで調べても出て来ないので、このまま手術して良いものか、心配です。また、乳製品を控えたり、食事療法などで石灰化の改善や完治する事はないのでしょうか? よろしくお願いいたします。

 

 

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2021.01.02 久保内 0 コメント

要約すると、自覚症状とは別の部位にマンモグラフィ(MMG)の石灰化が有り、それが「異型乳管過形成」だった。そして意外に石灰化の範囲が広くて、「治療するなら全摘」と言われて受け入れられないでいるのですね。無症状でMMG検診を受けられ、石灰化が一部に寄り集まっている所見(集簇と言います)で要精査になったのと同じ状況です。

「異型乳管過形成」というのは、乳管内乳頭病変の良悪性の中間に位置し、良性側は「乳管内乳頭腫」という良性腫瘍ですし、悪性側は「非浸潤性乳管癌(0期の乳癌)」です。ただし、MMGでの集簇性石灰化の部からの生検結果が異型乳管過形成だった場合は、非浸潤性乳管癌である可能性が高いのです。だからあなたが付いて行けないほどに乳房全摘の話にまでなってしまうのです。

ここで大事なことを2つ申し上げます。一つ目は、まず「異型乳管過形成」という診断では乳癌の手術はできません。再生検をして「非浸潤性乳管癌」という病理結果が出て、初めて乳癌手術が許されます。生検は再度の針生検でも、組織吸引術(通常の針生検より大きい検体を多く取ります)でも、切除生検(局所麻酔科に一部切除する)でも良いと思います。もう一つは、乳癌だったとしてその切除範囲は、造影MRI等の別の画像診断で設計を立てるのが通常です。造影MRIは月経周期の高温期では画像が良くないので、周期の7~14日の1週間に行うことが重要です。またMRIと再生検の順番は逆でも構いません。

悪性の診断が出なければ3ヶ月毎位に厳重経過観察をすれば良く、ここまで来て非浸潤癌と診断されれば多分覚悟が出来るでしょう。(このような形で議論されている)非浸潤性乳管癌はリンパ節すら転移は有り得ないし、発育速度は極めて緩徐なので、診断には時間をかけてゆっくり確実にしてもらった方が良いと考えます。現在コロナ感染が激増しており、通常の医療が出来にくくなる可能性があります。そのような場合に、非浸潤癌に対する手術は不要不急の手術に入ってしまう可能性も心掛けておいて下さい。(文責 久保内)

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