No.12074 放射線治療について

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2017.10.21 H.F.  0 Comments

みなさんの投稿を拝見し、乳がんについて勉強しているところです。放射線治療について教えてください。乳房温存手術後の放射線治療は、術後9カ月でも効果はあるのでしょうか。開始時期を遅らせることで再発率は変わりますか。一般的に言われている「放射線治療しなかった場合の乳房内再発率20〜30%、治療した場合の再発率10%以下」というのは、化学療法やホルモン療法を併用しての再発率なのでしょうか。ホルモン療法中は再発・転移しないのでしょうか。標準的な治療では、温存手術後2カ月以内に放射線治療を開始するかと思います。温存手術を受けた担当医は、「術後半年や1年以内でも効果はある」と言っていました。状況が許せば、すぐにでも放射線治療を始めたいのですが、5歳(幼稚園)と2歳(未就園児)がおり、通院時の子どもの預け先の問題もあって、術後1年でも効果があるのであれば、来年5月以降にしたいのが本音です。すぐに始めないと効果が無いのであれば、少しでも治療期間を減らせたらと思っています。そこで、照射量を増やして回数を減らす寡分割照射は35歳でも受けることはできるのでしょうか。ガイドラインは50歳以上が条件のようですが、50歳未満が受けることのデメリットは何でしょうか。照射量を増やした場合、副作用は強くなりますか。35歳です。

8月19日 超音波、マンモ、MRIの結果、乳がんの可能性が高いと判断
8月26日 乳房温存手術
9月21日 病理検査の結果が出る
大きさ1.8センチ(1カ所) リンパへの転移なし 断端陰性 ホルモン受容体陽性 Ki-67 20%
タモキシフェンを服用中

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2017.10.21 0 コメント

乳房温存術後の乳房照射に関するご質問ですが、この点に関し、とてもよく勉強されており、敬服いたしました。おっしゃるとおり、特に制限がない場合は術後2ヶ月以内には放射線照射を行うことが好ましく、諸事情でそれが困難な場合は、可及的速やかに開始するというのが一般的なコンセンサスと考えてよいでしょう。乳癌診療ガイドライン(2015)でも、術後20週を超えると局所生存率も生存率も低下するため、それまでに施行することが望ましいと記載されております。ただし化学療法と放射線療法の併用は好ましくないとされているため、術後化学療法を施行する場合は、化学療法終了後に通常放射線療法を行うことになりますが、ホルモン治療と放射線療法の併用は問題なく施行出来るため、やはりなるべく早い段階での放射線治療が望まれます。おそらく術後半年以上経ってからでも放射線治療の効果がないことはないと思われますが、どの程度効果が減弱するかはよく知られておりません。これらより放射線治療の開始時期は、ともすると命に関わる重要な決定事項となり、私見ではご家族や周囲の方にもこの事情をよく御理解頂いて、その方々のご協力のもと、早々に開始することをお奨めしたいと思います。また通常の放射線療法より1回の放射線量を少し増加し、totalの照射期間を短くする寡分割照射は、その効果や有害事象に差がないとされておりますが、まだ施設によってはその照射法を行っていないところもあると思われますので、それを希望する場合は事前に確認する必要はあると思います。この臨床試験が50歳以上で行われたことで年齢の記載が記されておりますが、それより若年でも可能と思われますので、それも担当の放射線治療医に相談することになると思います。是非今後の治療がスムーズに行われることを願っております。(文責 谷)

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