No.12854 ルミナールAの術後ゼローダ投与について

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2022.08.26 さざ波 0 Comments

はじめまして。よろしくお願いいたします。私は術後病理検査で、ステージ3C、ルミナールA、リンパ節転移16個(22個中)、がんの悪性度2、腫瘍は13cmで、抗がん剤の効果は30%でした。術前に化学療法半年(AC療法4回の後にパクリタキセル週一)、全摘+腋窩郭清、現在は放射線治療中です。今後の治療について、ゼローダ服用を打診されました。しかしながら、ゼローダは再発転移の経口抗がん剤のイメージがあり、かつトリプルネガティブには効果があるとのデータを拝見しましたが、ルミナールAでの効果があるのか、不安です。私のような進行がんの場合は、ルミナールAでも、ゼローダ服用は効果があるのでしょうか。また、これが標準治療にあたるのでしょうか。保険適応ではないと、ネット検索すると記載されていることもありました。

放射線治療の後はホルモン療法になるはずだったので、突然経口抗がん剤の提案があり、戸惑っております。来週には治療について回答することになりました。ご教示いただけますと幸いです。

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2022.08.26 久保内 0 コメント

Luminal Aという比較的おとなしいサブタイプの乳癌のようですが、腫瘍のサイズが大きく、かつリンパ節転移も16/22あり、StageⅢCまで進んだ進行癌のご様子です。このため術前化学療法がなされ、Luminal Aであれば化療が効きにくいので、トリプルネガティブやHER2タイプのように完全寛解まで望めるケースはほとんど無いと考えますので、手術の時点では腫瘍が大きく残り、乳房全摘+腋窩郭清になったと考えます(決して術前化療が無駄だったとは申しておりません)。リンパ節転移が4個以上有ったため、術後胸壁照射という放射線治療になったと考えますが、これもガイドライン通りです。
その後の治療についてのご質問ですが、主治医の先生のご提案のゼローダ内服(6~8サイクル)は、それ程悪くはない提案です。この治療法は、ホルモン受容体陰性群の方が陽性群より効果が高かったとされているので、「ルミナールタイプには効果が無い」と思われたかも知れませんが、実際には無病生存期間も全生存期間も優位に延長しているので有効です。

しかし。ホルモン受容体陽性HER2陰性乳癌の再発リスクが高い場合は、内分泌療法に①アベマシクリブを2年間併用 ②S-1を1年間併用することが、ガイドライン上、強く推奨されているので、その方が勝ると考えます。S-1もゼローダと同様経口抗がん剤ですので、似たり寄ったりの薬なのですが、臨床試験の結果は以上になります。

腫瘍径が大きく、リンパ節転移も高度で、術前化学療法の効果も限定的ですので、単純にAI剤のみ等の内分泌治療では大いに不安です。上記3種の治療法にも、副作用や医療費の側面等、効果ばかりを追求できない部分もあろうかと考えますが、何らかの治療を上乗せされることをお勧めします。小生ならアベマシクリブ>S1>ゼローダの順だと考えます。(文責 久保内)

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