No.12859 骨転移1か所 ステージ4

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2022.09.02 RK 0 Comments

42歳、ステージ4の患者です。授乳期の乳がん発覚と同時に、骨転移(頚椎に一箇所)、反対側乳房にも転移ありです。ベージニオ、ランマーク、フェソロデックス、リュープリン(ゾラデックスからはじめて8ヶ月後にリュープリン6ヶ月製剤に変更)の治療を1年半続けてきました。今後の治療に迷いがありまして、ご相談させてください。下記 発覚時のデータです。
・右 85mm×75mm×40mm 巨大でした…。 HER2  0ki 67 20% ER53 pgr33
・左 6mm  HER2  1+、ki6730%ER53pgr33
・頚椎 1箇所骨転移 極小集積 (生検にて転移決定)

・腫瘍マーカー(乳がん発覚時のから現在まで1年半の推移)
       CA15   37059
       CEA  2812          

現在ベージニオが大変よく効き、目に見えて右乳房の腫瘍が小さくなりました。しかしながら、骨シンチCTによると、骨転移の集積は極小ながら集積1箇所、変わらずあります。骨転移箇所に常に痛みがあるわけではありません。違和感は、時々感じます。主治医からはホルモン剤の影響との答えです。

伺いたいこと
1)1か所ある骨転移箇所に、定位性放射線をして集積を消すことには意味がないでしょうか? 痛みがないのに、放射線をすることは無駄なのでしょうか? 集積を消すことにより、予後が良好になることは考えにくいでしょうか?

2)ベージニオは効果がなくなるまで継続とのことなのですが、先生方の患者様(ステージ4の方)で、ベージニオで目に見える腫瘍がなくなり、ホルモン剤のみの治療をされていらっしゃる方はおられますか?

3)リュープリンがどうしても合わず、打ってから数時間後に、のたうち回るほどの痛みです。またしこりと鈍い痛みが1ヶ月続きます。冷やすほかに何か工夫がございましたら、ご教授頂きたいです。(ゾラデックスも経験しましたが、リュープリンより更に数時間後の痛みが激しく、しこりは数週間でした)

4)ステージ4における原発の手術を先生方はどのようにお考えですか? 切っても切らなくても予後は変わらないとのデータのようですが、先生方の手応えとしていかがでしょうか? 現在の状況だとオリゴメタに当たると思うのですが、その辺りもお聞きしたいです。

5)治療効果を確かめる為や、新たながん細胞がないかが心配で、エコーを希望していますが、混んでいるとのことで撮って頂けません。先生は、半年に一度の骨シンチCTで十分と思われますでしょうか? また細胞の変化をみる為に、針生検はなさる事はありますか?

お忙しい中恐れ入りますが、どうぞよろしくお願い致します。

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2022.09.02 清水 0 コメント

1)画像検査で転移があるというのは目に見える大きさの病巣があるということで、目に見えない小さな病巣が他にもあると考えます。そう考えると、目に見える病巣のみを叩いても、やがて目に見えなかった病巣が次に大きくなってきて、結局予後は改善しません。ですから、目に見える病巣を現在の治療の効果判定の目印として使いながら、目に見えない病巣も含めて薬で治療することが良いと考えます。但し、現在の病巣が痛みの原意になっている場合は、躊躇せず放射線治療を行います。

2)ベージニオ、イブランスは画期的な薬で、3年、4年と効果が続いている患者さんは少なくありません。

3)リュープリン、ゾラデックスは皮下注射なので、どうしても注射に伴う痛みがあります。しかし、その痛み以上に効果のある薬なので、頑張ってください。他に代わる方法としては卵巣切除があります。もともと乳がん内分泌療法は、両側卵巣切除が進行乳癌に有効だったことから始まっています。ですから卵巣切除が有効なことは分かっているのですが、最近はゾラデックス、リュープリンという薬が卵巣切除と同等な効果があるため、あまり顧みられなくなっています。

4)乳がんの基本は全身病です。早期癌で、手術で取り切れたとしても、転移再発が起こります。ですから、何度も言うようですが、目に見えるがんや転移巣を消そうとするのではなく、目に見えない病巣を視野に入れて治療する必要があります。ですからstage 4 乳がんの原発巣を手術で取ったからといって、目に見えない小さな病巣がやがて大きくなってきます。ですから、stage4の原発巣を手術したからといって予後が改善しないのは当然の結果だと思います。

5)原発巣に対する内分泌療法の治療効果を評価するためには、触診だけでなく、超音波検査による病巣の大きさの客感的な評価は必要だと思います。新しい目に見える大きさの骨転移巣があるかどうかを確認するためには骨シンチは有効ですし、肺や肝臓に新しい目に見える大きさの転移巣があるかどうかを確認するためにはCTが有効です。ですから、治療中は半年に一度程度のCT、骨シンチも必要だと思います。但し注意が必要なのは、骨シンチという検査は転移しているがん組織を見ているのではなく、がんで壊された骨を見ています。ですから薬が効いてがんがなくなったとしても、骨の壊れたところはそのままなので、がんがあっても無くても一度骨転移と診断された部位は、いつまでも骨シンチでは転移巣と診断されます。骨シンチでの病変が長いこと一箇所にとどまっていればいる程、がんが消えているのではないかと考えます。新しい転移巣があらわれた時に考えるのは、現在の治療の効果がなくなって今までと同じsubtypeの乳がんが出てきたのか(その場合は内分泌療法の薬剤を変更する)、現在の治療は効いているのだが、違うsubtypeの乳がんが出てきたのか(その場合は化学療法への変更などを考慮する)を確認するためには、針を刺せる場所の転移であれば針生検が必須です。

現在の治療がよく効いているようなので、まずは現在の治療をしっかり継続してください。(文責 清水)

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