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相談室

このページは乳がんに関する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 なお、個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。ご相談内容は  info@kbcts.gr.jp   まで、メールでご連絡下さい。
なお当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。

 

目 次

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No

日 付

名 前

件  名

担 当

1100 02/08/20

koume

腕がむくみ、困っています

福間
1099 02/08/15

yuko

ステージ2、シコリの大きさ3センチです

緒方、福田
1098 02/08/15

krh

治験薬「MS209」について

緒方、福田
1097 02/08/14

MON

乳房の痛みについて

緒方、福田
1096 02/08/14

K.T.

化学療法&ホルモン療法の時期

緒方、福田
1095 02/08/14

T.C.

抗癌剤CMFの副作用について

川本、福田
1094 02/08/14

Naka 

左乳房の腫瘤について

川本、福田
1093 02/08/14

K.S.

出産後の手術について

川本、福田
1092 02/08/11

H・T

乳がんについての相談です

岡本、福田
1091 02/08/11

doco 

ホルモン療法をするか迷っています

岡本、福田
1090 02/08/11

Michi

術後補助療法について

岡本、福田
1089 02/08/08

A.Y.

胸のしこりが急に痛み出し熱を持っているようで心配です

岡本、福田
1088 02/08/08

S.N.

針生検について

岡本、福田
1087 02/08/07

eriko

エステでの永久脱毛について

岡本、福田
1086 02/08/07

N.T.

しこりがあります

岡本、福田
1085 02/08/05

K.O.

早期乳腺肥大について

岡本、福田
1084-1
1084-2
1084-3
1084-4
02/08/05
02/10/04
02/10/06
02/10/13

N.K.

今後の治療法の決定について
抗がん剤の使用量
首のリンパ節について
次の抗がん剤

岡本、福田
麻賀
麻賀
麻賀
1083 02/08/05

K.K.

線維腺腫について

岡本、福田
1082-1
1082-2
02/08/01
02/09/01

M.S.

マンモトームによる切除を勧められましたが・・・
葉状腫瘍について

徳田
福間
1081 02/08/01

まさちゃん

粘液癌の治療方法について

徳田
1080 02/08/01

H.S.

妊娠中の乳癌について

徳田
1079 02/07/31

T

ノルバデックス&妊娠

徳田
1078 02/07/30

yumi

しこりの診断について

徳田
1077 02/07/30

N.A.

病理検査についてお尋ねいたします

徳田
1076 02/07/30

Y.T.

乳首脇のできものについて

徳田
1075 02/07/30

Kari

しこりについて

徳田
1074 02/07/29

H

乳癌後の妊娠について

徳田
1073 02/07/28

のぞみ

検査結果を待つより病院を受診したほうがよいでしょうか?

徳田
1072 02/07/28

S.S.

MRIにだけ写る癌はあるのでしょうか

徳田
1071 02/07/28

S.Y.

CMF治療かEC治療か、抗がん剤治療の選択について

徳田
1070 02/07/26

S.F.

乳腺石灰化

徳田
1069 02/07/26

かずこ

温存療法は可能でしょうか?

徳田
1068 02/07/25

E.N.

再発性乳輪下膿瘍

徳田
1067 02/07/25

W.A.

左胸の違和感について

徳田
1066 02/07/25

Y.S.

乳がんの術後の治療について教えてください

徳田
1065 02/07/25

こっこちゃん

再建後の手術痕についておたずねします

徳田
1064 02/07/25

K.K.

乳癌治療について

徳田
1063 02/07/25

ユウS

ゾラデックス後の卵巣の働きと再発予防について

徳田
1062 02/07/23

J.S.

母の乳ガンについて

徳田
1061-1
1061-2
02/07/23
02/07/31

T.K.

初めてのガン検診
初めてのガン検診(2)

徳田
徳田
1060-1
1060-2
02/07/23
02/07/28

M.H.

肺への転移について
肺への転移について(2)

徳田
徳田
1059 02/07/22

M.K.

腋下リンパ節の腫れとは?

徳田
1058 02/07/22

アフロ

右乳房のしこり

徳田
1057-1
1057-2
02/07/22
02/07/26

S.G.

今後の治療について
今後の治療について(2)

徳田
徳田
1056 02/07/22

M.S.

線維腺腫の経過観察について

徳田
1055 02/07/20

ayako

2年近く未発見

徳田
1054 02/07/19

Y.E.

抗がん剤

徳田
1053 02/07/19

Y.H.

分泌液について

徳田
1052 02/07/19

bluemoris

細胞診結果について

徳田
1051 02/07/19

yumilin

断乳後のしこりについて

徳田
1050-1
1050-2

1050-3
1050-4
02/07/19
02/08/11
03/03/04
03/03/06

H.Y.

髄様癌とは?
吸引細胞診の痕が赤くなったままです
骨転移の可能性あり?
背中側の痛みについて

徳田
岡本、福田
徳田
徳田
1049 02/07/19

A.Y.

左胸のしこり

徳田
1048 02/07/19

M.H.

術後の治療について教えてください

徳田
1047 02/07/19

I.H.

線維腺腫について

徳田
1046 02/07/13

M.N.

脇の下のしこりについて

千島
1045 02/07/13

TOMO

微細石灰化について

千島
1044-1
1044-2
02/07/12
02/07/13

K.I.

乳腺嚢胞症とは?
乳腺嚢胞症の検査について

千島
千島
1043-1
1043-2
02/07/12
02/07/19

M.Y.

石灰化とはどういうことですか? 
手術までの待機日数が長く、不安です

千島
徳田
1042 02/07/12

Y.M.

検診結果について

千島
1041 02/07/12

H.O.

全摘手術後2ヶ月、しこりがあります

千島
1040-1
1040-2

1040-3
02/07/10
02/07/15
02/09/05

MOMO

ゾラデックスとリュープリンの違いについて
術後の治療方法について
術後の治療方法について(2)

千島
千島
籾山
1039 02/07/10

H.H.

乳首にただれがあります。胸が痛いです。

千島
1038 02/07/10

K.T.

妊娠について

千島
1037-1
1037-2
02/07/10
02/07/15

N.N.

リンパ液の溜まりについて
抗癌剤とホルモン剤について

千島
千島
1036 02/07/10

M.S.

乳輪下膿瘍の根治手術について

千島
1035 02/07/10

女性化乳房症

千島
1034 02/07/09

M.H.

浸潤性乳癌について相談させてください

千島
1033 02/07/09

M.N.

左胸のしこりについて

千島
1032 02/07/09

M.T.

乳首からの多量な分泌液

千島
1031 02/07/09

SACHI  

主人の乳首のしこり

千島
1030-1
1030-2
02/07/09
02/07/14

O.H.

非浸潤性乳管癌について
非浸潤性乳管癌について(2)

千島
千島
1029 02/07/09

A.Y.

姉の乳癌について

千島
1028 02/07/09

H.O.

乳がん手術後の腰痛と子宮摘出について

千島
1027 02/07/08

A.H.

炎症性乳がんについて

千島
1026 02/07/08

T.K.

両側性乳がんについて

千島
1025 02/07/06

K.I.  

左胸のしこりについて

千島
1024 02/07/06

MIWA

細胞診の結果と乳癌の可能性

千島
1023-1
1023-2
02/07/05
02/07/10

candy

乳腺線維腺腫の摘出について
細胞診の結果

千島
千島
1022 02/07/05

S.S

診療の受け方&しこりの片寄りと数について

千島
1021 02/07/05

H.S.

集団癌検診 超音波検査について

千島
1020 02/07/04

NAKA

再発?(サイバーナイフとガンマーナイフ)

千島
1019 02/07/03

R.K.

右胸のしこりについて

千島
1018-1
1018-2
02/07/03
02/07/05

K.M.

乳輪の異変
乳輪の異変(2)

千島
千島
1017 02/07/03

kana

左脇下の腫れについて

千島
1016 02/07/03

まみ

乳腺線維腺腫

千島
1015 02/07/03

H.Y.

乳がん? 

千島
1014 02/06/29

K.M.

乳頭のただれについて

須田
1013 02/06/29

部分切除について

須田
1012 02/06/29

M.S.

しこりの診断について

須田
1011 02/06/29

Y.T.

検査は受けたのですが・・・

須田
1010 02/06/28

iwa

術後のこれからについて

須田
1009 02/06/28

yasuko

骨転移について教えてください

須田
1008 02/06/28

ike

放射線治療について

須田
1007 02/06/28

Y.S.

ヒスロンについて

須田
1006 02/06/27

K.T.

細胞診の結果と乳癌の可能性

須田
1005-1
1005-2
02/06/27
02/07/25

RIE

細胞診について
検査結果について

須田
徳田
1004 02/06/27

Y.T.

母の乳癌について

須田
1003 02/06/27

masae

乳房のしこりと乳汁分泌

須田
1002 02/06/27

OGAWA

断乳直後に気づいたしこり

須田
1001-1
1001-2
02/06/27
02/07/06

H.M.

術後の補助療法について
放射線治療について

須田
千島

 

 

No.1100】 02年08月20日 koume
腕がむくみ、困っています

乳がんの手術後、5年経過しました。最近、患側の腕が浮腫み、漢方薬が処方され服用していますが、服用後1ヶ月でまだ効果がありません。手術の後は何故むくんでも仕方がないのでしょうか。(リンパマツサージもあると聞きましたが病院で行えるのでしょうか。保険は認められないそうだから駄目ですか?) 浮腫が軽減しない場合将来どうなるのか、日常生活で注意すべき点、軽減に効果があった方法など教えて頂けるとありがたいです。

身体の中では血液以外にリンパ液も循環しています。上肢のリンパ液が心臓に帰る経路の1つである腋のリンパ節を切除することにより、上肢にリンパ液が滞り、上肢のむくみを生じます。一度切除された経路はもとに戻りません。リンパ節を切除すればリンパ液が循環する経路が減少します。上肢の炎症・感染、腕を使いすぎるなどで残った経路に過剰な負担がかかるとむくみを生じます。滞流したリンパ液を心臓の方に戻すことが治療です。しかし少なくなった経路を通しリンパ液を戻すのは一朝一夕にはいきません。質問No.987の回答にあるように”浮腫が起こってしまた時は、無理をせず、「腕を休める」「両手で物事を行う」「寝る時は体より上方に位置するようにする」「手の先から脇の下に向かってマッサージをする」等、日常生活での配慮が必要です。また、エビデンスレベルは低いですが、ヨーガ、水泳等、普段動かさない筋肉を使用することを継続すると効果がある場合があります。また経験則になりますが、漢方の「柴苓湯」によって少し改善されたと言われる方もあります。浮腫をコントロールすることが難しいのは事実ですが、日常生活において、上記のような小さなことの積み重ねが大切になります。(文責 須田)”などが言われています。
その他、病院によればリハビリ科で上肢のマッサージや、上肢をくるむバッグで圧をかけリンパ液の還流を促すような治療を行っています。また細菌感染がからんでむくみがとれないこともあり、抗生剤投与が必要なこともあります。またむくみの予防は普段の生活が重要です。手術した上肢に無用な負担-細菌感染ーなどを起こさないように、素手で草むしり、土いじりをするようなことは避けることが必要です。(文責 福間)

 

No.1099】 02年08月15日 yuko
ステージ2、シコリの大きさ3センチです

はじめまして。64才の母が乳がんと診断されました。内容はステージ2で、シコリの大きさは3センチ、リンパ節も触れるそうです。おそらく、転移もしていると・・・。手術法は温存療法くりぬき法で、通常のくりぬき法より2センチ大きく切るそうです。もちろん、リンパ節も郭清します。ただ断端がプラスの場合は生存率、再発転移のリスクを考えると乳房は切除します、と言われました。私的には温存療法をし、リンパ節郭清はせずに放射線治療と考えていましたが、ことごとく反対されました。そういったリスクを踏まえるなら反対はしないと・・・。

何に対してお答えすればよろしいでしょうか?どういったリスクを踏まえて何に反対されないのか、そしてその後の・・・の意味は何でしょうか?
温存療法ができる患者さんは、しこりとその周囲2cmをくりぬいても残った乳腺の変形が著しくない、くりぬいた乳腺の断端にがんが残っていないなどが条件です。がんが残っているのに、そのままにしている状態は局所再発のリスクが高くなり、結局再手術が必要になります。また、温存術ができたあとには、残った乳腺に原則的に放射線を照射します。脇の下(腋窩)リンパ節の郭清は、転移が予想される場合必要です。それ以後の治療方針をたてる根拠になるからです。具体的には、化学療法(抗がん剤)が必要かどうかを決定するためにリンパ節転移の情報がいるわけです。腋窩郭清の変わりに放射線を照射する事に関しては、いまだ広く認められているわけではありません。標準的な治療ではありません。温存療法後の残存乳房に対する照射と腋窩郭清の変わりの放射線照射は、まったく別のもので混同しないで下さい。(文責 緒方、福田)

 

No.1098】 02年08月15日 krh 
治験薬「MS209」について

先日、私の母が乳がんであることがわかりました。医師から新薬であるMS209による治療もあるとの提案がありましたが、その薬がどのようなもので、どのような影響等があるのかがわかりません。病状は腫瘍が肥大し、皮膚が割れて血がにじんでおり、リンパ節にもひろがっている可能性が高いとのことでした。私の家族がこのような大きな病気にかかるのは初めてで、私自身どうしたらいいのかわからず、不安な日々を過ごしています。

MS209は、現在新薬としての治験中のお薬です。MS209 自体は、抗がん剤ではなく、抗がん剤と一緒に使用して抗がん剤の作用を長続きさせるものです。がんは、もともと抗がん剤への抵抗性を持っていて、抗がん剤は使っていくにつれ徐々に効果が低くなっていきます。MS209は、がんが抵抗性を持って行く過程を抑えて、抗がん剤の効果が長く続くようにする薬です。この治験は、CAFという3種類の抗がん剤の組み合わせと MS209を併用するか、しないかをくじ引きで決める方法を取っています。治験に参加する場合は、必ず患者さんに医師または治験専門の看護婦から薬やその他の説明があります。御家族も同席して、よく主治医の説明を聞くことが、お母様の病状や使う薬を理解し不安を解消する最良の方法です。(文責 緒方、福田)

 

No.1097】 02年08月14日 MON 
乳房の痛みについて

はじめまして。22歳、未婚女性です。ここ1週間前くらいから両胸の上部が痛みます。右胸は特に痛みます。触ってみると、左胸にはしこりというほどはっきりとした手触りではないのですが、右胸は、胸の中心から上部にかけて細長く、固く感じ、少し触るぐらいだとそんなに痛みませんが、強く押すと痛みます。今日から生理になり、その痛みも少しおさまってきたので、生理前の痛みかとも思ったのですが、普段の生理前の胸が張るような痛みと少し違ったので、心配です。これは乳癌や、他の病気の可能性はあるのでしょうか? よろしくお願いします。

一般的に乳腺症とよばれている状態です。乳癌の心配はありませんが、一度専門外来で、超音波検査などを受けておいた方が心配が減ると思います。(文責 緒方、福田)

 

No.1096】 02年08月14日 K.T. 
化学療法&ホルモン療法の時期

45歳、閉経前です。2002年5月、右乳房温存手術を受けました。腫瘍の最大径3cm、ER(-)、PGR(+)、リンパ節転移なし、断端陽性、リンパ管侵襲ありでした。術後、CMF療法1クール終了後、放射線照射59Gyをまもなく終了予定です。その後、CMF5クールとホルモン療法(リュープリン)を行う予定です。抗がん剤とホルモン剤は、併用がよいのでしょうか? 聞くところによると、ホルモン剤は投与時期が大切だということなのですが、具体的に、いつが良いという情報が得られませんでした。ある医師によると、作用機序が異なるから併用がよいとか、また別の医師によると、ホルモン剤で腫瘍を小さくしているときに抗がん剤をかけると効果半減だとか…。タモキシフェンも追加したほうがよいのでしょうか? よろしくお願いいたします。

現在のエビデンスでは、ホルモン剤は感受性があれば原則的に使用するべきです。また、ホルモン剤は投与時期が大切というのは、どういう意味か分かりませんが、術後結果が出て、すぐに使用し始めても問題ありません。
抗がん剤との併用ですが、私は問題ないと思います。タモキシフェンの追加ですが、あなたがいま45歳ということは、数年で閉経する可能
性があります。CMFのエンドキサン(cyclophosfamide)によって、時に生理が止まることがあり、これは不可逆性のことがあります。したがって、リュープリンはCMFで生理が止まらなかったらでよいのではないでしょうか。また、CMFで生理が止まってしまって、その後も前倒しで生理が止まった場合は、タモキシフェンが良いと思います。
これらは、あくまで私の意見ですので、十分主治医の先生とご相談下さい。(文責 緒方、福田)

 

No.1095】 02年08月14日 T.C. 
抗癌剤CMFの副作用について

早速ですが、抗癌剤CMFの副作用について教えて下さい。乳癌の手術をして、転移はなかったのですが、予防的に受けていた方が良いと言われ、今とても迷っています。医師に質問したところCMFは人によって違うが副作用も軽いから大丈夫と言われましたが、仕事を続けながらできるか心配です。吐気、脱毛等ありますか?

CMFの副作用としては、嘔気、嘔吐、脱毛、骨髄抑制などが上げられます。嘔気、嘔吐、脱毛、骨髄抑制、どれをとっても個人差がありますが、他の抗ガン剤CEF(CAF)、CE(AC)に比べると、軽いと言う患者さんが多いのは事実です。我々は、原則として外来での治療を行っています。入院が必要になる患者さんは殆どいません。しかし、仕事の内容によっては、点滴後数日間は、副作用の加減でつらいことも考えられます。脱毛は、7割くらいの頭髪量まではありますが、かつらが必要になることは稀です。

骨髄抑制:骨髄の機能が弱ることで、造血機能(血液の成分白血球、赤血球、血小板などをつくる機能)が抑制されること。(文責 川本、福田)

 

No.1094】 02年08月14日 Naka
左乳房の腫瘤について

お忙しいところ恐れ入ります。先日、人間ドックの外科乳房超音波検査で左乳房に腫瘤を認めるという診断をいただきました。精密検査を受ける前に心の準備と、予備知識の学習をしておきたいと思います。次の質問(愚問はお許しください)にお答え願えますでしょうか?
(1)悪性の可能性はどれくらいでしょうか?
(2)悪性,良性ともに、どのような疾患が考えられるでしょうか?
(3)精密検査とはどのような検査をするのでしょうか?

私は42歳、未婚、出産経験なしです。また、今のところ触診では異常は感じられず、自覚症状もありません。先生のご意見をお聞かせください。よろしくお願いいたします。

ご質問順にお答えいたします。
(1)しこりの形や性状にもよるので、ご質問の内容では悪性か良性かの判断はまったくつきません
(2)悪性では乳癌、良性では嚢胞乳腺症、乳腺線維腺腫などです。
(3)画像診断ではマンモグラフィー(乳房を圧迫してレントゲンを撮る検査)、超音波さらにCT,MRIです。病理組織検査では細胞診(細い針をしこりに刺してしこりの細胞を採取、細胞の悪性度をみる検査)、組織診(少し太い針を刺してしこりの組織を採取、組織診断を行う)などです。(文責 川本、福田)

 

No.1093】 02年08月14日 K.S. 
出産後の手術について

10日後に2人目の出産を控えた33歳の主婦です。3週間程前に左胸に2cm弱のよく動く楕円形のしこりに気づき、乳腺外科を訪ねたところ、超音波、細胞診、乳部レントゲン(腹部にプロテクターをつけてのものです)の結果、ClassUで、悪性の可能性が高いので産後早々に手術をするよう勧められました。手術内容は、しこりとその周辺2〜3cm、及びリンパ節を切除する乳房温存手術です。産前は検査内容に制限があるので、産後にMRIを行う予定になっていますが、この手術内容は今の時点で妥当な判断なのでしょうか。このしこりは半年目の超音波検査、触診では発見されなかったもので、たまたま授乳に向けてのマッサージを自分で始めた時に初めて気づいたものです。また手術前の授乳については、しこりのある胸については避けたほうがよいと言われ、もう片方の胸では大丈夫とのことでしたが、手術前および手術後の授乳についても可能かどうか、また授乳によるしこりへの影響はあるのかについてお教えください。1人目の時は母乳は4ヶ月頃まででミルクとの混合だったので、2人目は頑張って母乳のみで育てたいと思っていました。実現の可能性はありますか。ご意見お聞かせください。よろしくお願い致します。

まず、そのしこりが悪性の可能性が高いかどうかですが、妊娠中であること、よく動く楕円形の腫瘤であることなどから、どちらかというと良性のものの様に思います。しかし、超音波やマンモグラフィ上、がんを疑う様な所見があれば、手術内容に関しては妥当ではないでしょうか。そして、MRI等でガンの拡がりを調べて、ガンが拡がっていないことを確認しなければなりません。もし、細胞診だけが悪性を疑うものであれば、まず針生検で組織診断を先につけるべきです。妊娠、授乳期の細胞診はとても難しいからです。
手術前後の授乳に関しては、反対の胸で授乳すると当然しこりのある胸でも乳汁が出てきます。手術前に授乳すると手術創の治りが悪かったり、乳腺炎になる可能性もあります。手術後でも乳癌の治療で薬を使うことになると考えると、乳癌治療薬剤の多くはホルモンに影響を及ぼすうえ、乳汁中に移行する恐れもあります。以上のことから、私たちは授乳停止し、人工乳へ切り替えることを勧めています。(文責 川本、福田)
 

 

No.1092】 02年08月11日 H・T
乳がんについての相談です

私は、現在39歳独身です。1週間位前から脇の下から乳房の上あたりに傷みを感じるようになり、初めて外科を受診しました。しこりは無かったのですが、エコーの結果、黒い丸い影が見つかりました。先生は脂肪の固まり?だとおっしゃいましたが、このまま安心していていいのでしょか? 時々、乳リンの回りと乳首に異常な位のかゆみがあるのですが、受診は産婦人科と外科とどちらを受診するのがよいでしょか? 宜しくお願い致します。

脇の下から乳房にかけての痛みは、生理に伴うものではなかったですか? 生理前に乳房に痛みを感じたり、しこりの様に硬くなったりする場合、乳腺症を考えます。痛みやしこりが、生理と関係がない乳腺症もあります。乳腺症には、のう胞というものができることがあり、これは、エコーで見ると、黒い丸い影として見えます。のう胞は乳管の分泌液が貯まったものであり、多くの女性に見られる良性のものですから、安心してください。
乳腺症は、女性ホルモンのバランスの乱れが原因で起こると考えられています。症状は乳房のしこり、痛み、張り、熱感など、いろいろです。乳腺症が乳癌になることはないと考えられています。乳輪の周りや乳首のかゆみ自体は、乳腺症に伴うものか、湿疹によるものと思われます。ただ、乳頭に治りにくい”ただれ”がある場合、パジェット病という特殊な乳がんである可能性がありますので、注意が必要です。ご心配でしたら、乳腺の専門医(通常、外科医です)をご受診ください。(文責 岡本、福田)

 

No.1091】 02年08月11日 doco
ホルモン療法をするか迷っています

温存療法ですが2.5の大きさで、リンパ節転移の個数はわかりません。放射線30回、抗癌剤4クールで止めました。色は黄色でした。今卵巣の機能を止める薬を5年間飲むように言われてます。私は40才になったばかりです。子供はもう産みません。注射は3年間だそうです。生理を止める理由も聞きましたがなんか不安だし、他に治療だと摘出になりますか? 無理に止めたら更年期障害になるって! それも悩みます。放射線で止める方法があるらしいのですが、ホルモン療法はすべきですか?

リンパ節転移があるのは知っているが、その転移個数までは分からないということだと思いますので、リンパ節転移があるという前提で話を進めます。転移があったリンパ節の個数は重要な情報ですので、主治医に確認されるのがよいと思います。リンパ節転移があったために、抗癌剤の治療が行われたのだと理解します。黄色い薬ということですから、CMF療法だと思われます。CMF療法は、4クールの場合もありますが、通常6クールします。一方、ホルモン療法は、乳癌細胞が、特殊な蛋白(ホルモン受容体)を持っている場合に行います。ホルモン療法を勧められているということですので、ホルモン受容体が陽性であったと考えます。5年間飲む卵巣の機能を止める薬は、タモキシフェンというホルモン療法薬のことと考えます。これは卵巣の機能を止める薬ではなく、卵巣で作られた女性ホルモンが乳癌細胞に悪く影響をしないようにする薬です。注射の方が卵巣の機能を止める薬です。日本では、ゾラデックスとリュープリンの2種類がありますが、どちらも同じ作用です。この注射は3年間は継続されたほうがよいと考えます。ホルモン受容体が陽性の乳癌細胞は、女性ホルモンの下で増殖します。上記の注射で、卵巣を摘出しなくても卵巣の機能をなくす(すなわち生理がなくなります)ことができますから、あえて卵巣を摘出する必要はありません。卵巣に放射線照射をすれば、やはり卵巣の機能をなくすことができますが、確実でないことや放射線による副作用を考え一般的にやられていません。
更年期障害の症状が出る可能性はありますが、乳癌の再発は生命を奪いますので、再発を防ぐために、ホルモン療法をお受けになることをお勧めいたします。現在のところ、タモキシフェンとゾラデックス(あるいはリュープリン)を併用するほうが、タモキシフェン単独あるいは、ゾラデックス(あるいはリュープリン)単独よりよいと考えられています。そのため、主治医は、この二つの併用を考えられているのだと思います。(文責 岡本、福田)

 

No.1090】 02年08月11日 Michi 
術後補助療法について

状況:
T病院で3年前に1.6センチのしこりで乳房温存療法をし、放射線治療とCMFを6クール終え、今はタモキシフェンを服用しています。現在66歳、癌の悪性度は「3」で一番強いと言われました。 再発なし。

相談内容:
先週、子宮体癌の検査で3aと言われ、3ヶ月後にまた検査をして様子をみるようにR病院で言われました。タモキシフェンの受容体は2つのうち、1つは合っているので、5年服用するようにT病院言われています。今、服用して3年目に入りましたが、タモキシフェンを服用し続けることに不安を感じています。もともとぴったり合っていたわけではないので、服用は止めたほうが賢明でしょうか?R病院で聞いたところ、「全く関係ないから服用したらどうですか?」と言われましたが、乳がんの専門ではないですし、タモキシフェンは子宮体癌の危険があるので、やはり不安です。お忙しいところ、いつもたいへん恐縮しております。御時間のありましたときにでもご返信いただければ幸いです。よろしくお願い致します。

ホルモンレセプター陽性であれば、術後補助療法としてタモキシフェンを5年間服用するというのが、現在の標準的治療です。ホルモンの受容体にはエストロゲン受容体とプロゲステロン受容体があり、お母様の場合は、そのうちのどちらかが陽性であるのだと思います。一方、子宮体癌の検査での3aとのことは、おそらく、細胞診の結果のことだと思います。細胞診は細胞の異型度をclass 1からclass 5までの5段階で評価します。
1:正常細胞のみを含む
2:炎症等の細胞変形を認めるが、正常範囲の細胞を含む(良性腫瘍が含まれる場合もある)
3a:正常細胞とは異なる細胞を含む(良性の可能性が高い)
3b:正常細胞とは異なる細胞を含む(悪性の可能性がある)
4:癌細胞に似た細胞を含む(70〜90%が癌)
5:明らかに癌細胞を含む
お母様の場合、3aですから、良性と悪性の中間と考えていいのですが、良性の可能性のほうが高いとお考えになってよろしいと思います。しかし、良性と片付けてしまう訳にはいかず、3ヶ月後の再検査となったのでしょう。タモキシフェンを服用すると子宮体癌のリスクが約2倍になると言われておりますが、乳癌の再発を抑制する利益の方が大きいと考えられています。また、お母様のように子宮癌の検診を受けていただければ、たとえ子宮体癌が発生しても、早期に発見でき、子宮体癌による死亡リスクを減らすことができます。したがって、5年間のタモキシフェンの服用が選択肢の1つです。
一方最近、アナストロゾール(商品名アリミデックス)という薬に、タモキシフェンと同等あるいはそれ以上の乳がん再発予防効果があることがわかりました。このお薬では、子宮体癌が増加しないため、子宮体癌が気になるようならば、主治医とご相談され、お薬を代えられることも選択肢の1つです。また、3年間タモキシフェンを服用されたことより、これで終了することが、もう一つの選択肢です。主治医とよくご相談下さい。(文責 岡本、福田)

 

No.1089】 02年08月08日 A.Y.
胸のしこりが急に痛み出し熱を持っているようで心配です

早速ですが、2002年5月頃、右乳房に3センチほどのしこりを見つけましたが、痛みがないのでそのままにしていたのですが、昨日8/3から急に痛みだし、少し熱を持っている状態になってきました。前より大きくなってきているようです。自分で本を読んだりしたところ、線維腺腫かと思っています。病院へはいくつもりですが、現在の医学で切開しないで治す方法があれば、ぜひお教えください。35歳、未婚女性です。

線維腺腫は良性のしこりですが、切除しないで治す方法はありません。しかし、たとえ3センチであっても線維腺腫との確認が取れれば、今すぐ切除する必要はありません。ただ、線維腺腫は熱を持つことがありませんので、ご相談のしこりが線維腺腫であると自己診断しない方がよいと思います。まず、検査を受けて、しこりが本当に線維腺腫であるかを確認してください。お早めに乳腺の専門医を受診されたほうがよろしいでしょう。(文責 岡本、福田)
 

 

No.1088】 02年08月08日 S.N.
針生検について

27歳、未婚女性です。人間ドックで乳がん検診(触診、視診、超音波)を受けて、その際左乳房に乳房疾患の疑いということで、要精密検査となりました。その後、マンモグラフィーと細い注射針でしこりの部分を採る検査をしました。医師の所見では乳腺線維腺腫だろうということでした。正直なところ、その注射針の跡をさわっても、それがしこりかどうかもわからないくらいなのですが、注射をした後から何となくその辺りが痛むというか、違和感があるのです。検査から3日経つのですが、いまだに続いています。検査の結果は2週間後に出るそうですが、病院に行くわけではなく、電話で結果を聞くだけのようです。それまで放っておいてもいいのでしょうか。

細い注射針での検査ですので、穿刺吸引細胞診という検査だと思われます。穿刺吸引細胞診は、しこりの細胞の一部を取って、しこりが悪性ではないかを調べる検査です。触診、超音波、マンモグラフィで乳腺線維腺腫が疑われているとのことですから、2週間後の結果を電話で確認されるのでよいと思います。針をさすと多少出血するため、刺した部分に違和感がでることがあります。違和感は自然に消えますので、しばらく様子を見てください。しこりが癌であるのか、良性であるのかと、穿刺後の違和感とは関係がありません。(文責 岡本、福田)

 

No.1087】 02年08月07日 eriko
エステでの永久脱毛について

2週間ほど前に左胸にしこりを発見して、昨日超音波とレントゲン検査を受けて、しこりがはっきり確認されました。1ヵ月後に細胞診で、細胞を抜き取って乳がんなのか良性の腫瘍なのか、検査する予定です。私は半年ほど前から脇の永久脱毛に月1のペースで通っていますが、やはり細胞診をして結果がわかるまで脱毛に通うのをやめたほうがいいでしょうか。もし、検査の結果乳がんだった場合、永久脱毛が乳がんに与える影響などあるものなのでしょうか。教えてください。

永久脱毛と乳癌には何の関係もありませんので、エステに通うのをやめる必要はありません。乳がんであった場合でも、永久脱毛が乳がんに与える影響はないと考えます。まずはしこりが悪性のものであるのかどうかの診断が大切ですので、主治医の先生とよくご相談ください。(文責 岡本、福田)

 

No.1086】 02年08月07日 N.T.
しこりがあります

ホームページを拝見して、メールいたしました。26歳・女性・既婚ですが、子供はいません。数日前、左乳房の内側にしこりを見つけました。触った感じでは0.5センチ×1センチくらいだと思います。指で触るとツルっとしていて、押すと動きますが、痛みは全くありません。また、右脇の下に小さなしこりが3つくらいあります。触らなくても、皮膚をひっぱるとポコっとしているのが見えます。また、鎖骨の真ん中あたりにも、脇の下と同じような症状のしこりがあるのです(よくよく見ると、胸の谷間からおへそまでのラインにも、小さなプツプツが4〜5個ありました)。乳がんではないか、また、それが転移してるのでは?と素人判断はアテにできないと思いつつ、不安がどんどん沸いてきてしまいます。週明けにも外科を受診するつもりでおりますが、不安でいてもたってもいられず、メールしてしまいました。ご意見をお聞かせいただければ幸いです。宜しくお願い申し上げます。

ご心配の乳房のしこりが、ツルッとしていて、よく動くとのことですので、しこりは良性である可能性が高いと考えます。しかし、まれに乳がんにもくりくりと動くタイプのしこりがありますので、検査をお受け下さい。ご心配のしこりが万が一乳がんであっても、0.5から1.0cmの乳がんが、脇の下や、鎖骨の真ん中や、胸の谷間に転移することはまずありません。乳がんの転移などと心配されなくてよいと思います。しかし、メールの情報だけでは判断することはできませんので、乳腺の専門医の診察をお受けください。(文責 岡本、福田)

 

No.1085】 02年08月05日 K.O.
早期乳腺肥大について

卒後14年の外科医です。小児科より時折、 乳腺肥大を呈した思春期前の小児(男女を問わず)の紹介があります。表在エコーでは正常乳腺様であったり、円盤状の小結節だったりします。いまだ、腫瘍を疑う症例には遭遇したことがないのですが、毎回、経過観察でよいのか、細胞診等を行ったほうがよいのか、なんらかの内分泌的検討をおこなったほうがよいのか悩んでいます。乳腺を専門にしている先輩に質問してもなかなかこれ!という返事をもらえません。どのように対応されているか教えて下さい。

乳房の発育段階にはTanner分類が用いられています。この分類のB1、B2に当たる時期に、乳輪下にしこりあるいは硬結のような乳腺組織を触れることがあります。ちょうど女性化乳房のような感触です。時には、一側の乳輪下にのみ認められことがあります。エコーでは、乳輪下に低エコー域を認めます。このような場合、特に細胞診、内分泌機能検査などは行わず、経過観察にしています。一方、8歳以前に乳腺が肥大し恥毛の出現が見られる場合、早熟性乳房肥大症と呼ばれています。これには特発性早熟性乳房肥大症と体質性早熟性乳房肥大症があります。特発性のものは原因となる疾患が分かりませんが、体質性のものは顆粒細胞腫あるいはその他の卵巣腫瘍をともなっています。この場合、ゴナドトロピン、エストロゲン、17−ケトステロイドなど性ホルモンの分泌が高まっているようです。ご質問のような場合、乳癌の可能性はまずありませんので、経過観察でよろしいかと思います。ただ、年齢に比し非常にサイズが大きい場合や、急速増大を認めた場合は性ホルモンの検査が必要と考えます。(文責 岡本、福田)

 

No.1084-1】 02年08月05日 N.K.
今後の治療法の決定について

61歳の母の今後の治療について御相談いたします。今までの経過は、2001年4月に右乳がん(2センチ)を全摘出で手術。進行度?度、悪性度?、 浸潤がん。腋の下のリンパ節への転移が17。ホルモンレセプター(−)、HER2(3+)。術後、化学療法 CE 6回。
2001年12月に腋の下リンパ節転移(1.7センチ)、摘出。術後、毎週タキソール+ハーセプチン 4クール(1クール タキソール3回、ハーセプチン4回)。副作用が強かったため、タキソールをやめ、単独でハーセプチンを隔週で8回投与。今回、CTの検査で首のリンパ節への転移(1センチ)が発見され、主治医の先生から
1 摘出手術をする・しない
2 タキソール+ハーセプチンをする・ハーセプチン単独のまま
3 放射線の照射をする・しない
の選択肢があるといわれています。

1 今後の治療はどのように進めていくべきでしょうか?
2 放射線の照射の他の部分への影響
3 主治医の先生と話を進めていくにあたって、どのようなことをお聞きし、どのように受けとめて聞くべきなのでしょうか?

教えてください。よろしくお願いいたします。

リンパ節転移の個数が17個と多く、かなり進行した状態であったと思われます。また、術後7か月で再発したことより、現在のリンパ節の転移は、全身転移の1症状と考える必要があります。そのため、治療の主体は全身治療になり、局所治療は局所コントロールのみを目的とします。リンパ節転移17個の範囲ですが、実際、どの範囲を手術で摘出されて、どこの部位に転移があったかということが不明です。ここでは、通常の腋窩リンパ節郭清がされたと考えました。したがって、局所コントロールのため、鎖骨上リンパ節を含めた頚部に放射線照射をされるのがよいと思います。その際、胸骨傍リンパ節も含めるかどうかは、主治医とご相談下さい。局所的な切除には治療的な意味は無いと考えますので、放射線照射を優先させてよいと思います。タキソールが十分使用されていなかったとしたら、タキソール+ハーセプチンを再度試みてみるのは良いと思います。タキソールを十分使ったにもかかわらずリンパ節が腫れてきたとしたら、同じタキサン系のタキソテールに変更してみるのもいいかもしれません。ハーセプチン単独は弱いと思います。乳癌の性格からは、治療の主体は全身療法ですので、放射線治療よりも全身療法のスケジュールを先ず立て、その中に放射線療法を組み込むのがよいと考えます。その中で、しばらくはハーセプチン単独と放射線治療という選択はあると思います。放射線の他の部位への影響は、あまり重篤なものはありませんが、全身倦怠感、軽度の白血球減少といった症状が出ることが考えられます。今後、遠隔転移が明らかになる可能性が高い状況であります。それを防ぐための全身療法の長期戦略、検査スケジュールなどを主治医とご相談下さい。(文責 岡本、福田)

 

No.1084-2】 02年10月04日 N.K.
抗がん剤の使用量

以前にも再発のことで御相談させていただいたものです。首の転移に対処する全身治療ということで、8月からタキソテール+ハーセプチンを40mg、8回投与してきました。今回、再度CT及び超音波の検査を行なった結果、ガン細胞の数や大きさ、範囲は明確ではないものの、主治医の先生から「鎖骨周辺のリンパ節にそって増大している。しかし、左胸や肺や肝臓などへの転移はない。今後はタキソテール+ハーセプチンを60mgに増やして様子をみよう。」との提示がありました。
質問
1 抗がん剤がたくさんある中で、使用する抗がん剤の種類や量はどのようにして決定されるのでしょうか?40mgで効かなかったものが量を増やすと効くということがあるのでしょうか?
2 腫瘍マーカーの数値が今回CEA5、CA13となっていましたが、マーカーに反応しにくいガンもあると聞いています。マーカーの数値をどのように考えればよいのでしょうか?
3 その他の選択肢はありますか? 放射線治療については、「選択肢のひとつだけど、それは局所治療が目的だから・・・」と主治医の先生はあまり勧められませんでした。
よろしくお願いいたします。

1. 乳癌の再発が起こった場合の抗がん剤の使用方法にこれといった定まったものはありません。基本的にはその患者さんに今まで使われていなかった抗がん剤を使うということです。一般的にいって薬剤の1回の投与量が増えることによって効果が出現しだしたり、効果が増強されることはありえます。
2. マーカーの値は一般的には効果と相関することが多いですが、すべて相関するわけでもありません。画像所見と組み合わせて考えていくことが必要です。
3. 放射線治療は鎖骨周辺に沿って増大したリンパ節を制御するには効果があります。ただ局所治療ですので肺、肝、骨などに転移があるのなら抗がん剤治療の方が優先されるでしょう。(文責 麻賀)

 

No.1084-3】 02年10月06日 N.K.
首のリンパ節について

早速の御回答ありがとうございました。「放射線治療は鎖骨周辺に沿って増大したリンパ節を制御するには効果があります。ただ局所治療ですので肺、肝、骨などに転移があるのなら抗がん剤治療の方が優先されるでしょう。」という項目で気になったことがありますので、再度質問させていただきます。母(62歳)は初発の乳がんの手術の時、わきのリンパ節に17個の転移が発見されていました。首への再発とほぼ同時期より耳のほうの調子も悪く、同じ病院の耳鼻科にも通院しております。耳鼻科の先生には「ただの外耳炎なので、外科の治療を優先するように・・・」といわれています。

1) 現在通院している病院は国立のガンセンターも兼ねている総合病院なのですが、今回、外科の主治医の先生が放射線治療をあまり勧めないのは、他の部位(例えば、耳から脳にかけて)への転移も疑われるということなのでしょうか? (CTの検査結果の説明では首以外の部位の転移については所見なしでしたが・・・・。)
2) 首のリンパ節からはどのような箇所に転移しやすいのでしょうか? 

よろしくお願いいたします。

1) 主治医が鎖骨周辺のリンパ節への照射にあまり積極的でない理由について推定してみました。CT などの画像でほかに転移がないといっても、それは非常に小さいためにはっきりしないのであって、今までの経過から考えると、すでに画像では発見できないような小さな細胞がある可能性が高いと考えているのではないでしょうか。普通、鎖骨周辺のリンパ節に転移がある場合はそのように考えます。したがって、全身治療である抗がん剤治療を優先しているものと考えます。しかし、経過を見ていく中でそのリンパ節転移が大きくなって、何か重要臓器を圧迫していく可能性が高くなったり、痛みが出てくれば照射を勧めるのではないでしょうか。
2) 首のリンパ節からどこへ転移しやすいというのではなく、画像では見つからなかった微小ながん細胞が肺や肝や骨にすでにあれば、それが次第に増大して、新たに肺や肝や骨に転移が出現したという形になって現れてきます。(文責 麻賀)

 

No.1084-4】 02年10月13日 N.K.
次の抗がん剤

たびたび御相談のメールをお送りしています。いつも丁寧な回答をいただきありがたく思っています。
@ 乳がんの一般的な抗がん剤としてはアドレアマイシン、エンドキサン、タキソール、タキソテール、ハーセプチンのほかにどのようなものがありますか? 
A 患者(62歳)のホルモンレセプターは(−)です。ホルモン療法を今まで試してないのですが、やっても効果があるのでしょうか?B 一般的な乳がんの抗がん剤で効果がない場合、他のガン(肺がんなど)の抗がん剤を使用することは効果がありますか? 危険性はないのでしょうか? 

以上3点なのですが、よろしくお願いいたします。

1. 今思いつくものではメソトレキセート、ミトキサントロン、経口抗がん剤としてはフルツロン、UFT、5FUなどがあります。
2. 効果は少ないと思います。
3. ほかの癌に使われていて乳癌にも効果があるものにはビノレルビンがあります。日本では乳癌には保険適応がありません。現在治験が行われています。すでに肺がんでは日本でも使われているので、特に危険といったものはありませんが、やはり乳癌治療として一般臨床で使うことには問題があると思います。(文責 麻賀)v

 

No.1083】 02年08月05日 K.K.
線維腺腫について

私は21才なのですが、7月19日に手術をし、しこりをとって顕微鏡で検査をしてもらった結果、線維腺腫という良性の病気だということが分かり「もう大丈夫ですよ」と言われ安心していたら、昨日また右胸の真ん中あたりの手術した同じところに、しこりがあるのですがこれはなぜでしょうか? 手術ではしこりを全部取ってなかったのでしょうか? 線維腺腫はほっといても治るのでしょうか? 私は腎臓も悪くこれから検査入院も控えていることもあり、すごく不安でたまらないです。アドバイスをお願いします。

線維腺腫のしこりを取ったあと、乳腺に欠損部ができます。そこで、形を整えるために、乳腺どうしを縫い合わせるのが一般的です。この縫い合わせたところが硬くなり、しこりのように感じることがあります。切除したのと同じ部位にしこりがあるとのことですので、乳腺を縫い合わせたところが一時的に硬くなっていると考えられます。線維腺腫のしこりを全部取らず、部分切除にすることは考えにくいですから、取り残しの可能性は低いと思います(線維腺腫は乳腺組織との境界が明らかですので、クリッと取れます)。線維腫は何個もできることがあります。また、線維腺腫は、そのままほっておいて治ることはまずありません。ただ、3〜4cmと大きくならなければ、良性のしこりですので、あえて取る必要はありません。不安を解消するために、まずは主治医と十分にお話下さい。(文責 岡本、福田)

 

No.1082-1】 02年08月01日 M.S.
マンモトームによる切除を勧められましたが・・・

40歳、2人の子供がいます。左胸外側上方にある1cmのしこりについて、超音波検査と細胞診で、おそらく線維腺腫であろうとの診断を受け、3ヶ月毎の経過観察を勧められましたが、経過を見て行くことに不安が大きいため、今日病院に行って切除してほしい旨、希望を述べました。先生はその要望を受け入れてくださったのですが、メスによる切除ではなく、その前段階的な処置としての、”マンモトーム”を勧められました。マンモトームという針によって吸いとってしまう方法で、傷も小さくて済む、ただ全部吸い取りきれなくて組織が残ってしまうかもしれないが、良性であればそれも問題ない・・・というお話でした。(先生は私のしこりはまず良性であろうとおっしゃっていました)
そのときは、お願いしますと言って帰ってきたのですが、よく考えてみると万一悪性であった場合、組織をかき回すような状態になってしまうのではないかという懸念と、自分はしこりそのものの存在が気になって切除を希望しているのに、組織が残ってしまう可能性のある処置を受けるのはどうなのか? という疑問が湧いてきました。このHPでも、マンモトームによる組織検査は取り上げられていますが、しこりそのものの切除にマンモトームを使用する方法というのは聞いたことがないため、不安を感じ始めています。やはり完全にしこりを切除してもらいたい場合、外来手術を希望したほうがいいのでしょうか。お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願い致します。

良性であることを確認するための組織の切除ですからマンモトームで十分と考えます。万が一、悪性でも改めて腫瘍を全部切除すればよいのです。良性であっても腫瘍を残したくないとお考えでしたら、その希望を主治医に伝えて外来手術を受けましょう。(文責 徳田)

 

No.1082-2】 02年09月01日 M.S.
葉状腫瘍について

先日マンモトーム生検についてご質問させていただいた者です。線維腺腫と診断されていた1cmのしこりについて、先週マンモトーム生検を受け、本日結果が出ました。良性の葉状腫瘍とのことでした。局所再発することもあるので、半年毎に経過を見ていこうという説明を受けました。ひとまず良性ということでホッとしましたが、インターネットで検索していくと、゛良性といわれていても局所再発すると悪性化する度合いが高くなる” ”まれに良性のものでも遠隔再発することがあるので良性と言いきれない面もある” など、葉状腫瘍という腫瘍の性格について不安をかきたてられるような記述が多いのに驚きました。
また、葉状腫瘍と診断がついた場合は、再発防止のため、腫瘍の回りの乳腺も含めて大きく切除しなければならないとありましたが、今回マンモトームで吸引されたことでその点についてはクリアされていると考えてもいいのでしょうか。
お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願い致します。

マンモトームにて良性と判断された葉状腫瘍の今後のことについてのご質問です。マンモトームで葉状腫瘍と診断された場合どうするかに関しては、どうすればいいかはっきりしたことはわかっていません。私の個人的な意見では手術での再切除を行うと思います。(文責 福間)

 

No.1081】 02年08月01日 まさちゃん
粘液癌の治療方法について

今年4月初めに手術を受けました。癌の種類は粘液癌で部位は左胸で内側の下部です、ER+で80%だそうですが、PGRは調べてないと言われました。腫瘍径1センチが2個あり、手術は1/6切除の乳房温存術でした。手術の際に切除した乳腺の裏側のリンパにしこりがあったらしく、医師がその部分も切除しましたが、この部分に2個のリンパ転移がありました。腋窩リンパは11個郭清したのですが転移はありませんでした。断端は陽性(1個)でしたが、再手術は行いませんでした。放射線は5週+週で合計60グレイですが、乳がんの部位が内側ということと乳腺の裏側のリンパに転移があったので、骨傍リンパにも放射線を照射すると聞いていたのですが、実際には照射しませんでした(手術した病院と放射線の病院は別です)。現在はノルバデックスを朝夕2回経口投与していますが、これは3年間服用すると聞いています。今の主治医にはいろいろ聞いているのですが、あまり説明をしてもらえません。そこで私の心配は乳腺の裏側のリンパに転移があったこと、断端が陽性であったこと(再手術なし)、さらに胸骨傍リンパへ放射線照射しなかったことで、これらの事で予後に不安を感じていますので、この状況での予後を教えて下さい。更に今後抗がん剤投与も考えているのですが、粘液癌には抗がん剤があまり効かないということをちょっと聞いたのですが、のような抗がん剤が効果がありそうかについてもお聞きしたいのです。毎日心配なので、恐縮ですがどうぞよろしくお願いします。

乳腺の裏側のリンパ節というのがよく分かりませんが、リンパ節とするとリンパ節転移が計2個、腫瘍の最大径1cm、ER+ということになります。10年での再発の確率は40%程度と考えます。断端の陽性については、予後には関係しません。また、胸骨傍リンパ節への放射線照射も予後には無関係です。全身療法が必要です。抗がん剤+ホルモン療法です。閉経前なのか閉経後なのかわかりませんが、少なくともノルバデックスは抗がん剤のあとで5年間内服すべきです。閉経前であれば、卵巣機能をおさえる薬も併用すべきと思います。粘液癌に抗がん剤があまり効かないということはありません。(文責 徳田)

 

No.1080】 02年08月01日 H.S.
妊娠中の乳癌について

妊娠4ヶ月で乳がんが見つかりそうです(9mm程度)。現在、細胞診を行っています。母体と胎児のどちらも安全に手術できる方法を知りたいのです。お教えください。宜しくお願いします。
妻は32歳、初産です。昨年11月には町の乳がん検診を受けて、問題ないとの診断を受けています。また、先日家の近くの外科医で超音波診断では問題ないと診断を受けましたが、不安になり名古屋のガンセンターにて精密な診察を受けているところです。

がんの診断はまだついていないようですが、腫瘍の切除は局所麻酔で可能です。この方法であれば胎児には影響ないと考えます。その結果、がんであれば追加の処置が必要かどうか、そこで考えればよいと思います。大きさから、当面は追加処置は不要のように思われます。(文責 徳田)

 

No.1079】 02年07月31日 T
ノルバデックス&妊娠

ノルバデックスを飲み始めて3ヶ月たったころから生理がとまり、それから3ヶ月がたちました。この状態では妊娠はしないのでしょうか?

ノルバデックス内服中は、まず妊娠しないとされています。(文責 徳田)

 

No.1078】 02年07月30日 yumi
しこりの診断について

33歳の未婚女性です。今年の3月頃、乳頭を絞ったところ、黒っぽい緑色の液体が出てきて、それからすぐに検査を受けようとしたのですが、いろいろと忙しく、今日になってしまいました。今日は昨年行った診療所(主治医で内科医ですが、癌研究に詳しく、乳癌検診もできる医師)に相談し、乳頭からの分泌物がでること、左脇の下に触れるものがあること等を伝えて、触診、エコーをしました。去年は左右どちらとも乳腺症、右側に1.2センチの触診では分からない良性らしきしこりがあるといわれていました。(去年は分泌物には気付いていませんでした)
今回は脇の下のしこり、乳頭の分泌物があったので、自分としては本で読んだ限り、分泌物があるときは大きめの病院で分泌物を調べる、ということを覚悟していて、きっと医者も適当な病院を紹介してくれるだろう、と思っていたのですが、予想外にも、しこりはなく、エコーにも何も写っていませんでした。
「大丈夫、癌はありません」といわれ、去年あったしこりもきっと生理まえのしこりだったのでしょう、ということで何事もなく帰ってまいりました。3月からすごく気になっていたので、しこりは自分でもわからなかったのですが、絶対なにか疑いの所見がでてくると思っていました。今日の結果で気が抜けた感じがしました。癌はないということで安心していればいいのですが、本当に触診とエコーだけで癌がないと安心していいのか、不安になったので意見を伺いたくてメールした次第です。

3月に乳頭からでてきた分泌物というのは、黒っぽい緑色で膿がついたような乾き方をしていました。最初は右からだけでしたが、そのうちに左からも同じようなものが出てきて、気になって頻繁に出していると、今では右からは薄い緑色、左からはほぼ透明のと、最初の頃の黒っぽい緑色が少量出てくる穴があるようです。血液のような赤い色ではありません。乳房がガサゴソと違和感を感じることもあります。

乳腺専門は大きい病院にしかなく、紹介状なしで行くのもなんだと思い、何かあったら紹介してくれると思ったので、主治医の所に行ったのですが、来年まで安心していいものでしょうか。それとも紹介状なしでも乳腺外科にかかったほうが良いのでしょうか?マンモグラフィーもやっていなく、触診もすごくやわらかだったのですが、このようなもので大丈夫でしょうか?分泌物を先生が出すようなこともなく、エコーに頼っていたようでした。

脇の下に乳腺由来のしこりがあると思っていたのですが、これも違っていたようです。脇の下のしこりとはどのように触れるものなのでしょうか。私は腋のくぼみの部分よりちょっとだけ下の部分(腋毛が生えている部分)で深く手をいれて、押さえたまま、乳房がわに動かした時に、こりっとしたものを触れていたのですが・・・ ちがいますか?これもエコーで分かるのですよね?何もないといわれました。しびれる感じや違和感も左腕に感じていましたが、これも普通は感じないものですか?
それと乳腺専門のエコーというのがあるのでしょうか?私の主治医は内科医ですが、以前癌専門病院に勤めていたこともあって、各種ガン検診もしていて、乳腺専門ではないのですが、どの部分にも同じエコーの機械で検査して、怪しい人がいたら癌専門病院へ紹介しています。腕にも自信があるようで、はっきりと「癌はないから大丈夫」といいました。信じている反面、本当に大丈夫かなとも思ってしまいます。しこりが手やエコーで分からなくて、癌が進行することなども考えられますか?

すみません、長くなってしまいました。どうしたら落ち着くのか分からないので、よろしくお願いします。

やはり、乳腺専門医を受診して、不安なことをすべて調べて説明していただくのがよいと思われます。あなたの状況では紹介状は必要ありません。(文責 徳田)

 

No.1077】 02年07月30日 N.A.
病理検査についてお尋ねいたします

40歳の主婦です。触診、マンモグラフィ、乳房エコー、細胞検査を受診したところ、レベルVAという結果がでました。レベルVAは良性か悪性か白黒はっきりできないので、切開による病理検査が必要だといわれたのですが、局部麻酔をするとのことですし、やはり手術ですので、とても不安です。傷とか残るのでしょか? また、以前「レベルVAは基本は摘出!」という相談内容を拝見したのですが、どうなのでしょうか?まさかの出来事で非常に不安な気持ちでいたところ、このホームページを拝見し、早々にメールさせていただきました。

やはり、組織をとって調べるべきです。ただ、組織のとりかたも切開してしこり全部をとる方法と、やや太めの針でとる方法があります。後者は、傷はほとんど残りません。主治医にご相談ください。(文責 徳田)

 

No.1076】 02年07月30日 Y.T.
乳首脇のできものについて

34歳独身です。数年前から右乳首の脇(乳輪の上)に、5?6ミリぐらいのしこりと言うか、できもの?みたいなかたまりがあります。気にとめてなかったのですが、ここ最近大きくなってきたような気がします。痛みはありません。時々、両乳首とその周りに痒みがあります。それとは別に、2ヶ月ほど前から、やはり右乳房の中心(乳輪周辺)に痛みがあります。主に生理前後に痛みを感じます。以前から生理前に乳房全体に張ったような痛みは有りましたが、それとは違う、少しズキッとするような痛みです。2ヶ月程前にピル服用を止めました(約10ヶ月服用)。それとも関係があるのでしょうか? どちらにしても、乳癌ではないかとすごく心配です。ご回答よろしくおねがいします。

ピルにより乳腺がはって痛むことは考えられます。しかし、しこりについては念のため腫瘍を否定しておく必要があると思いますので、専門医を受診してください。(文責 徳田)

 

No.1075】 02年07月30日 Kari 
しこりについて

高3の男子です。数ヶ月前から乳首の下あたりにしこりができ、ぶつけたりすると、とても痛いのですが、これも女性化乳房でしょうか? また、まだしこりが出来る前の事ですが、部活などでぶつけたりしているうちに、しこりができた気がするのですが、このような事でしこりはできますか?

女性化乳房の可能性もありますし、外傷によりしこりができることもあります。一度乳腺専門医を受診しましょう。(文責 徳田)

 

No.1074】 02年07月29日 H
乳癌後の妊娠について

3年前に乳癌の手術をしました。結婚9年目でした。子供がなく、2年間生理を止められショックを受けましたが、今は正常に生理は来ています。自分としては、年も年ですし、9年間子供も出来なかったので、当然無理だと諦めていました。先日検診がありましたので、それでも・・・と思い、先生に『この病気をしたら、妊娠はいけないのですか?』と聞くと、想像通りの答えで、『女性ホルモンが活発になるので止めておいた方が良い』と言うものでした。友人に話すと、一人の先生のいう事ばかりでなく、他の先生に聞いてみる必要もあるのでは? とアドバイスされ、お聞きしたくメールします。
年齢的にも結構キツイのですが、身体の弱い友人も42歳で初産で頑張っているので、もしかしたら・・・と思いなおしたのですが、私は今月42歳となりました。癌細胞は8ミリと小さかったのですが、リンパに1つだけ飛んでいました。今は薬もいっさいなく、3ヶ月に一度の検診と一年に一度の骨シンチ・肝臓・肺のレントゲンという状態です。よろしくお願いします。

乳癌術後の妊娠は大きな問題です。現在までのデータでは、妊娠しても予後には影響しないと考えられています。しかし、そのデータは偏っているとの意見もあります。すなわち、乳癌術後で再発リスクの高い人は、もともと妊娠しないように努めてしまっているというのです。「どこかに癌細胞が残っていて、再発する人は、妊娠してもしなくてもいずれは再発する。だから妊娠は予後には関係ない。」私はそのように理解しています。たしかに3年間再発がなかったので、再発の可能性は少なくなっていますが、ゼロではありません。しかし、そのリスクは妊娠で増すことはないと思います。(文責 徳田)

 

No.1073】 02年07月28日 のぞみ
検査結果を待つより病院を受診したほうがよいでしょうか?

16歳、15歳の子供をもつ41歳の主婦です。7月17日に人間ドックで乳房エコー時に小さな丸い影が写りました。先生に「あれは何ですか」と尋ねましたが、答えてくれませんでした。しかし先生はその影にポイントの焦点を合わせ、上下左右に印を付けていました。まだ検査の結果は送られて来ませんが、よくよく思い出してみると4月頃から微熱(37.1度位、普段は36.4度が平熱)が有り、疲れやすく体がだるいのです。検査結果を待つより病院を受診したほうがよいでしょうか?
昨年の受診結果は 「乳房超音波・問診、診察にて異常疑われましたが、超音波検査では異常なく問題ありません」でした。よろしくお願いします。

微熱や倦怠感などの全身症状が、乳腺の影と関連するものではないと思います。まず検査結果をみて、それでも不安であれば専門医を受診してはいかがでしょうか。(文責 徳田)

 

No.1072】 02年07月28日 S.S.
MRIにだけ写る癌はあるのでしょうか

はじめまして。7/26に温存療法で手術をした患者(36歳子供1人)の夫です。ご相談したいことがありまして、メールさせていただきます。腫瘍の大きさは約1.5cm、術前の検査にてマンモトームの結果が非浸潤性乳管癌でした。エコー、マンモグラフィーでは、今回切除した部位以外には見られなかったのですが、MRIにおいて、癌の部分と非常に似通った像が出ております。DRからは、”非常に判断しにくい。非浸潤性でもあるし、経過観察をすることもできます”との評価で、妻とも相談し、温存(怪しい部分は切除していません)としました。手術ではセンチネル生検を行いましたが、センチネル陽性であり、レベル1.2の郭清を行っています。
転移があるということは、基本的には浸潤を起こしているということになると思いますが、切除部分はマンモトーム生検にて非浸潤性との判断からすると、MRIにだけ写っている部分が浸潤癌であることが考えられますか? そもそも、MRIでだけ確認できる癌組織があるものなのか、それが転移につながるような性質のものであることがあるのでしょうか。術後にDRと話しましたが、今回の手術で切除した組織と、リンパ節の病理の結果を見てみましょうとのことでしたが、ゆっくり構えていて良いものでしょうか。怪しいものはとると考えて、乳房切除を早期に考えるべきでしょうか。主治医からも丁寧な説明を受けてはいますが、情報を集めれば集めるほど混乱してしまい、私自身も冷静な判断ができなくなっています。セカンドオピニオンとしての先生のご意見をいただければと思います。勝手を申しまして申し訳ありませんが、宜しくお願い申し上げます。

基本的は、リンパ節転移があったので、浸潤癌であると考えるべきです。マンモトームで切除した組織はバラバラになるので、それが浸潤癌であった可能性もあります。通常の切除でも顕微鏡ですべてを調べることはできないので完全に非浸潤癌であるとは言い切れないのです。私は、MRIの感度はそれほど高くないと考えていますが、それだけで癌であるとか浸潤癌であるとか診断すべきではないと思います。確定診断が必要なら切除してみればよいのです。場所が同定できないのであれば様子を見てよいと思います。なぜなら、残存乳腺の再発で予後は決まらないからです。でてきたら、そのとき切除すればよいのです。問題は、リンパ節に転移があったということです。つまり、予後にかかわる全身再発を予防するために、全身療法をすべきであるということです。私としては、全身療法(抗癌剤、その後、ホルモン受容体によってホルモン療法)+残存乳腺への放射線療法(リンパ節転移が4個以上ならリンパ節にも照射)をおすすめします。(文責 徳田)

 

No.1071】 02年07月28日 S.Y.
CMF治療かEC治療か、抗がん剤治療の選択について

はじまして。60歳の母の乳がん術後の抗がん剤治療の選択について御相談申し上げます。先日5月28日、左胸全摘出手術を行いました。リンパ転移なしとの結果でした(2.5〜3cmのしこり、乳腺に沿って多く石が広がっていたと診断されていました)。術後の治療について、主治医の先生の御指導は、ホルモン、エストロゲン、プロゲステロン各々レセプター全て(-)、HER2 3+の為、ホルモン治療は効果がないとの事で、抗がん剤治療を実行する事になりました。先生より、CMF治療、EC治療を紹介され、どちらかを選択する事になりました。母は、期間を要するが比較的副作用が弱いとお聞きしたCMF治療を希望しているようですが、先生は強くEC治療を薦めて下さいました。母は、先生が強く薦めるのであれば、EC治療で…との決意も固まりつつもあるようですが、結果がそれほど違わないようであれば、やはりCMF治療の方が良いのではないか…と素人考えがあるようで選択に迷っています。
「HER2 3+」の数値は進行の早い悪性度の高いがんである事もお聞き致しましたが、そうであれば、やはり、先生の薦める通りEC治療を実行した方がより効果的で良いのでしょうか? 治療選択にあたって、アドバイスを頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。

たしかにハイリスクです。
ECのEはエピルビシンという抗癌剤で、この系統の薬剤アンスラサイクリン系薬剤が組み込まれた抗癌剤の組み合わせの方が、CMFよりも予防効果が高いとされています。しかし、これも大まかなとらえかたで、それぞれの薬剤の量によっても違ってきます。お母様の癌の性格から、ECあるいはAC(EとAは同じアンスラサイクリン系薬剤)のあとにタキソールを組み合わせたもののほうがECより効果が高いと思われます。また、あらたな組み合わせがでてきて恐縮ですが、これも含めて主治医とよく相談してください。それぞれの治療効果、副作用を理解した上で、最終的にはご本人が決めなくてはなりません。また、最初に決めた方法がつらければ変更してもよいですし、場合によっては中止してもいいんです。あくまで予防なのですから。(文責 徳田)
 

 

No.1070】 02年07月26日 S.F.
乳腺石灰化

はじめまして、35歳の主婦です。4歳と1歳の子供がいます。5月29日に初めて人間ドックを受けて、エコーとマンモグラフィーで乳腺石灰化で再検査と診断されました。7月3日に再検査を受けましたが、触診のみでしこりもなく、3ヵ月後にもう一度写真を取りましょうといわれました。もともとしこりなどはなかったのですが、子供の授乳中に何度も乳腺炎になり、断乳のときもなり、そのせいかなと軽く考えていましたが、最近左の乳房が気になり、触ると少し痛みがあるような気がします。このまま次の検査まで待っていてもいいでしょうか? 母も昨年乳がんで手術しましたが、転移があり、予断を許さない状態です。

十分検査されているようですが、それでもご心配であれば、担当医に不安な気持ちを伝えましょう。十分な説明がえられないようでしたら担当医を変えるべきです。(文責 徳田)

 

No.1069】 02年07月26日 かずこ
温存療法は可能でしょうか?

昨日、右乳房が非浸潤がんであるとの生検の結果を聞きました。数ミリのものが、採った中にたくさんありました。8年前に、右をステージ?で乳房温存療法をうけました。今まで異常なしで、今回も転移では無いそうです。先生から様々な治療法と意見がある事をききました。今回も温存療法を受けたいのですが、アドバイスをおねがいします。

今回も温存療法は可能です。生命予後には影響ありません。ただ、切除する量によっては、変形が目立つかもしれません。また、さらに残存乳腺の再発の可能性は残りますが・・・。前回、残存乳腺への放射線療法はうけられたのでしょうか。おそらくしておられると思いますが、照射していないのであれば、今回は照射した方がよいでしょう。(文責 徳田)
 

No.1068】 02年07月25日 E.N..
再発性乳輪下膿瘍

はじめまして。再発性乳輪下膿瘍と診断されて、現在通院中です。乳腺の専門の先生に診てもらっています。最初は針で刺して、圧を抜く治療をしていたのですが、治まらず切開しました。最初は調子がよかったのですが、傷が塞がる前にまた炎症し始めてしまいました。今のところ2回切りました。3回目も切ることになりそうです。普通、何回ぐらい切ることになるのですか? このままでは終わりが見えません。陥没乳頭が原因なのですが、先生はそれを治す手術にはとても否定的な方のようです。妊娠の予定がないし、完全に治る保障ができないからとおっしゃいます。手術の失敗はそんなに頻発してるのでしょうか。

確かに、乳輪下膿瘍がなかなか治らない方がおられます。しかし、私の経験では、時間はかかりますが、切開、排膿で一般的には治ります。たしかに陥没乳頭を修正して、今の炎症が治る保証はありません。したがって、まず炎症をなおしてから、そのあとで修正の手術をしてはいかがでしょうか。(文責 徳田)

 

No.1067】 02年07月25日 W.A.
左胸の違和感について

初めまして。6歳と3歳の子供がいる31歳です。3ヶ月程前から左胸がジンジンするような違和感を覚え、5月に婦人科の乳がん検診を受けました。触診のみだったのですが、しこりもなく、ホルモンバランスの崩れだろうと言われました。その後も違和感は消えず、自分で見たところ、左脇の下から胸にかけての脂肪のふくらみが右に比べて大きく、その部分に違和感を感じます。(しこりはないようです) お忙しいところ申し訳ありませんが以下の質問にお答え頂ければ幸いです。
しこりがなくて違和感だけでも、癌ということはあるのでしょうか? また5月に検診を受けているので、このまま一年ぐらいは再受診しなくても大丈夫でしょうか? もし再受診する場合、同じ医院と乳腺外科で見てもらうのとどちらが良いですか? 乳腺外科で受診したい場合、紹介状等無くても検査してもらえるのですか?
質問が多くなってしまいましたがよろしくお願いします。

もちろん違和感だけでがんのこともあります。触診のみの検診では不十分だと思います。がん年齢ではありませんが、念のために乳腺専門医を受診しましょう。紹介状はなくても大丈夫です。(文責 徳田)

 

No.1066】 02年07月25日 Y.S.
乳がんの術後の治療について教えてください

はじめまして、Y.S.と申します。52歳の母の乳がんについて相談させていただきます。母が乳がんになり、手術を行いました。術後の治療として、母の癌にはホルモン治療は効果がないと言われ、抗がん剤と放射線の治療を勧められています。ですが、本人は、「抗がん剤は副作用が辛いので、治療を受けずにいようか思う。」と、主治医の先生に言ったところ、経口抗がん剤を進められたそうです。経口抗がん剤とは、どのようにものなのでしょうか? 副作用はどんなものが、どの程度出るのでしょうか? 母は、もし、辛いもののようなら、再発する率が2〜3割程度なので、治療を受けずに賭けてみると言っています。経口抗がん剤について教えて下さい。よろしくお願い申し上げます。

進行の程度がわからないので、再発のリスクは予測できません。しかし、ホルモン療法が無効ということは、がんの悪性度が高いということで、ハイリスクになります。したがって、抗がん剤治療をすべきです。経口抗がん剤が、点滴の抗がん剤と同程度の予防効果があるかどうかの結論はでていません。点滴の抗がん剤が辛くて、経口抗がん剤が楽ということもありません。最終的には、メリット、デメリットを考えてご本人が決めることですが、主治医とよくご相談下さい。(文責 徳田)

 

No.1065】 02年07月25日 こっこちゃん
再建後の手術痕についておたずねします

現在51歳です。2年前 温存+同時再建の手術を受けました。腫瘍の大きさは2.5×2.5でした。最初は8.0×6.5を切除、断面が陽性だったので10×3を追加切除していただいたそうです。もともとあまり大きくない方なので、わきの下の脂肪で再建していただき、おなかは切らずにすみました。リンパに転移はなく、ホルモンレセプターは両方+で、現在タモキシフェンを服用中です。放射線治療終了直前から、脂肪が多量に流れ出し、わきの手術痕をもう一度ぬいなおしていただきました。その後1年間くらいしてようやく収まりましたが、2年たった現在はもうさすがに流れ出すことはなくなりましたが、まだほんの少しずつ出ているのでしょうか、それとも皮膚の傷なのでしょうか、よくわかりませんが、カサブタ状になっています。また、乳首をとったあとが硬く、中からひっぱられているように、へこんで動きません。主治医は取った乳腺が多く、移植した脂肪が放射線の影響もあってなかなか定着しないのだろうとおっしゃるのですが、このまま様子をみていていいのでしょうか? それとも他のところで診て頂いたほうがいいのでしょうか? その場合何科を受診すればいいのでしょうか? レベル1でリンパが4個、レベル2で0個でしたが、こんなに少ないリンパでも転移0と信じて安心していていいのでしょうか? おいそがしいでしょうがお返事いただけたら幸いです。よろしくお願いいたします。

手術創については,拝見していないのでよくわかりません。ご心配なら乳腺専門医に診ていただきましょう。
腋窩のリンパ節については、何個とって転移なしなら転移なしと考えて良いかの答えはありません。3個以下と4個以上で差はないとの報告もありますし、6個以上と5個以下で違うとの意見もあります。腋窩をきちんと切開して採取した結果が4個で、転移がなかったのであれば、転移なしと考えて良いと思います。(文責 徳田)

 

No.1064】 02年07月25日 K.K.
乳癌治療について

沖縄県のK.K.と申します。宜しくお願い致します。先日、妻が胸のしこりが気になるからと、沖縄では乳癌治療で有名?!な某クリニックにて検診を受けた(7月18日)結果、レベル5(悪性)と言う結果で、検査後入院し、手術をする事を告げられたのですが、手術(8月16日)までの期間があまりにも空き過ぎているようなので、その間にもリンパへの転移等で状態が悪化するのではと思い、気が気では有りません。クリニック側の診療等の都合も有るかと思いますがこんなのんびりした対応で大丈夫なのでしょうか? それとも、即対応していただける病院をあたった方が良いのでしょうか? 急を要します、御返事宜しくお願い致します。

1-2カ月で大きな影響を及ぼす事はないと思いますが、悪性という診断がついた以上、なるべく早く治療したいというお気持ちは十分理解できます。1カ月待ってでも、その有名なクリニックで手術する方が、すぐ手術できる病院でするよりメリットがあるかどうかで判断してはいかがでしょうか。(文責 徳田)

 

No.1063】 02年07月25日 ユウS
ゾラデックス後の卵巣の働きと再発予防について

ホルモン療法の疑問について教えてください。ゾラデックスは卵巣摘出と同効果と聞きますが、ゾラデックス終了後、閉経は迎えない年齢の場合、ゾラデックス治療中は卵巣摘出と同効果ですが、終了後はそうはいえないと考えます。リンパ節転移陽性で、ホルモンレセプター陽性の場合、ゾラデックス終了後生理が戻る可能性のある患者として、卵巣摘出をしたほうが再発予防に万全ではないかと思います。ゾラデックスと卵巣摘出が同効果というのは、補助療法をしている間ということで、補助療法後は卵巣摘出した人の方が再発率が低いのではと考えてしまいますが、どうなのでしょうか。副作用については抜きにして再発予防の観点からお答えいだだけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。

ゾラデックスが属するLH-RH agonistという薬剤群と卵巣摘出の直接比較の臨床試験は再発乳癌を対象にしたもので,中規模の試験で効果は両者であきらかな差は認められないという同等性を示したにすぎません。また、補助療法での比較はありません。LH-RH agonistの投与期間も臨床試験では2-5年が用いられていますが、効果、毒性から検討した至適期間は決まっていません。したっがって、再発予防の点から考えると卵巣摘出の方が優れている可能性は否定できません。むしろ、手術を含めたデメリットをどう考えるかです。(文責 徳田)

 

No.1062】 02年07月23日 J.S.
母の乳ガンについて

7月3日に母が乳ガンを宣告されました。レベルは5段階の5だと言われたそうです。大きさは1.5cm位とのことで、どういう分類の「5」なのか分かりません。7月10,15日にそれぞれCT等の検査を受け、3週間くらい入院して摘出手術を行うことは決まっているようですが、病室が空かないので、入院待ちだそうです。8月に入ってから連絡がくるのでは?と言っていますが、待っている間に転移したり、悪化したりすることはないのでしょうか? ホームページなどで調べると、どの分類も「5」段階というのは、そうとう進んでいるレベルのようですが、母のように1.5cm位で「5」というのは、転移の可能性が大という意味なのか、考えられる分類があったら教えて頂きたいのと、病院がいうままに待っていて良いのか、それとも他の病院へ行ってみた方がいいのか、アドバイスをいただけますでしょうか?

レベル5とは、おそらく細胞診の結果で、悪性の細胞があったということです。したがって、腫瘍が癌であることを示しているわけで進行の程度を表しているわけではありません。1,2カ月で進行するとは考えにくいですが、悪性の診断がついた以上、やはりなるべく早く対処するのが理想です。主治医と相談してください。あまりにも待つようでしたら、待ってでもその主治医に手術してもらいたいのか、他の病院でもよいのか決断すべきでしょう。(文責 徳田)

 

No.1061-1】 02年07月23日 T.K.
初めてのガン検診

30歳になり、そろそろガンチェックも必要と思い、子宮ガンと乳ガンのチェックを病院でしてもらいました。かなり前から左胸のしこりには気づいてはいたのですが、分泌物もなく、いままで来てしまいました。今回の検診で、病院(触手のみの検診)でも「しこりがありますが、おそらく脂肪のかたまりだと思います」と言われました。最終的に、二次検査などを受ける必要があるかどうかは、子宮ガン検査結果と一緒にお話があると思うのですが・・・。しこりが、脂肪のかたまりということがあるのでしょうか? また、乳ガンのしこりの特徴とそうでないしこりの特徴を教えていただけないでしょうか? すぐに詳しい検査を受けた方がよいでしょうか? 教えて下さい。

乳癌のしこりは一般的に硬いもので、脂肪のかたまりと表現されるものとは違うと思いますが、自分で判断するより画像診断を含めて専門医を受診された方がよいと思います。(文責 徳田)

 

No.1061-2】 02年07月31日 T.K.
初めてのガン検診(2)

前回、「初めてのガン検診」では、ありがとうございました。その後、乳腺外来のある病院で診てもらいました。やはり、触診でしこりがあったのでX線をとりましたが、写らなかったのでエコーを行いました。ここで7mmほどのしこりが見つかり、細胞診を行いました。1週間後に結果を聞きに伺うと、「細胞がとれていなかった」とのこと。「年齢的にも、触診などの結果からもガンではないと思うので、経過観察で1年後に来てください。」と言われました。「心配なのですが。」と話すと「じゃ、半年後でも」と言われました。こういった診断がごく当たり前で、私が心配しすぎなのでしょうか・・・。このまま何か起こるまで診てもらわないでいいのか迷っています。細胞診の時は2度針を入れ、やっと採れたということだったのですが・・・。

エコーの所見で悪性が否定できないようなら、組織をとってみればよいと思います。しかし、経過観察でよいということは総合的に悪性は否定的なのでしょう。それでも心配なら、組織をとってもらいましょう。(文責 徳田)

 

No.1060-1】 02年07月23日 M.H.
肺への転移について

突然ですがご相談がありメールしました。
4年前?a期の乳がんにより左乳房を全摘しました。術後の腋下リンパ節の検査ではリンパ節への転移は見受けられませんでしたが、2年後、頚部にしこりを感じ検査したところ、頚部リンパ節への転移が見られました。1センチに満たないものでしたが、それはすぐ摘出しました。その3ヵ月後、再び頚部にしこりを感じ、数ミリの小さい腫瘍がCTに写ったので、頚部に放射線治療を受けました。服用薬としては4年前からホルモン剤による治療を受けております。さらに半年前、3ヶ月前のCT検査で肺に1、2ミリの影が映るようになりました。主治医は大きくなっていないのでホルモン剤が効いているから様子を見ましょうということで、肺に関してはこのまま様子見ということらしいのですが、8月のCT検査でまた写るようでしたら、大きくなっていなくても放射線の治療をお願いして、早めに治療していったほうがよいのではないかと思うのですがいかがでしょうか? 何故主治医はCTに写っている腫瘍をそのままにしておくのでしょうか。疑問です。血液検査の数値は少し高めのものが1つあるそうですが、それはホルモン剤を使っていると高くなりやすいものだそうで、転移によるものかどうかはわからないということです。積極的に放射線治療をお願いしたほうがよいのかどうか教えてください。放射線の治療中は体調がすぐれないとは思いますが、早めの治療でその先の予後がよくなれば放射線治療をしたいと思っております。いかがでしょうか。

放射線治療は局所療法です。モグラたたき的につかっても予後には影響しません。また、肺に照射することは、副作用の点から乳癌では行いません。全身療法を考えるべきです。4年前から使っているホルモン剤は同じものでしょうか。使っているうちに頚部のリンパ節に転移が出現したとすると無効であるように思えます。(文責 徳田)

 

No.1060-2】 02年07月28日 M.H.
肺への転移について(2)

4年前から服用してるホルモン剤は同じだと思います。主治医の話ですとホルモン剤が効いているから腫瘍が大きくなっていないのだという説明でした。転移があったものについては小さいのでCTに写ったり写らなかったりで、はじめからあったのだろうということでしたが、当初はどこにも転移していないという話だったので、若干の疑問を感じています。現在腫瘍が増大傾向になければホルモン剤は効いているということなのでしょうか? それとも転移が認められたということは現在服用中のホルモン剤は効かないということなのでしょうか? 実際には肺への転移も1・2ミリなので、はっきり転移かどうかも解らないというような口ぶりです。転移した場所に関しても、当初はろく膜といっていたのが2回目は肺と言われました。同じことなのでしょうか? もし、現在のホルモン剤が無効なら、他にどのような治療方法があるのでしょうか。ご指導のほどよろしくお願いいたします。

現在のホルモン療法の効果については、データが十分ではないので、私にはわかりません。ホルモン療法のような副作用の少ない治療では、腫瘍が大きくならない、変わらないというのも確かに効果と考えてよいと思います。1.2mmの大きさの転移巣をCTで観察していくのはきわめて困難です。仮に転移だとしても、それで効果を評価していくのは無理です。
肋膜と肺は違います。
現在のホルモン療法剤が何かわかりませんので、正確にはお答えできません。4年前からですとおそらくタモキシフェンでしょうか。これが無効になった場合、次のホルモン療法剤もありますし、抗癌剤もあります。(文責 徳田)

 

No.1059】 02年07月22日 M.K.
腋下リンパ節の腫れとは?

はじめまして。私は29歳、独身女性です。最近左の腋の下にある「硬い筋のようなもの」が気になって仕方ありません。位置的には手を横に伸ばしたときに、ちょうど腋と腕が角になる部分の中心部で、しこりのようには感じません。筋の長さは3センチから4センチくらいあるでしょうか。太さは5ミリから1センチくらいだと思います。深く手を入れなくても触れることがあります。痛みは全くありません。気になっていろいろと調べてみると、乳がんの転移で「腋下リンパ節が腫れる」とか「しこりがある」などと書かれています。私のような症状は一体どれに該当するのでしょうか?リンパが腫れるというのは、腋全体が膨らんで腫れているものを想像していましたが、私のような筋が腫れているようなことを言うのでしょうか?心配になって胸の辺りを綿密に調べてみましたが、しこりのようなものは全くありませんでした。リンパ節はかなり深く手を入れないと触れることはできないとも書いてありますし・・・。腋下リンパ節について、詳しく教えて戴けないでしょうか。どうぞよろしくお願いします。

伺ったところでは、リンパ節の腫れとは考えにくいようです。リンパ節が腫れる場合は、小豆や大豆のような楕円形の固まりとして触れるのが一般的です。おっしゃるようにご自身でさわるのは難しいと思います。それでも心配であれば、一度専門医の診察を受けてください。安心できると思います。(文責 徳田)

 

No.1058】 02年07月22日 アフロ
右乳房のしこり

25歳、未婚の女性です。右の乳房の乳首より真上に5センチメートル上辺りに、脂肪の塊のようなものがあり、手で触るとキョロキョロした感じがします。軽く触る分には痛みはありませんが、つまんだり強く押したりすると、痛みがあります。また、左右の乳輪から液体のようなものが出ていて、色は出ているときは何色なのかよくわかりませんが、ガーゼを当てていると、黄色のあとが残っています。また、乳輪がかゆくなります。乳房全体も張っているような気がします。生理前などはよく張るといわれますが、完全に終わったあとでも張っている感じが取れません。このような状態になったのは、いまから約2〜3ヶ月くらい前からです。とにかく時間がなく病院にもいけていない状態なので、心配で心配で相談いたしました。お忙しいところ大変申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

伺ったところでは癌は否定的ですが、なにせ診察をしてないのではっきりは申し上げられません。心配しているより早く乳腺専門医にみてもらって安心しましょう。(文責 徳田)

 

No.1057-1】 02年07月22日 S.G.
今後の治療について

平成11年に乳癌手術、2年後再発、骨転移、そして今年、肝転移、子宮転移しました。現在は、肝機能が相当悪くなってきています。CEFを3回やりましたが効果が現れず、タキソールをやる予定をしていたら肝機能が悪くなったので中止することになりました。ウルソ錠内服、タチオン静注などしています。ヒスロンH錠、十全大補湯も内服してます。フルツロンもいただいていますが、胃の具合がわるかったので今は中止してます。コンチンの副作用で嘔吐、食欲不振がありました。コンチンは、内服5日目です。ロキソニンやボルタレンをやっているころよりは、胃の鈍痛は改善されました。しかし、食事しようにも食べられないのは、コンチンの副作用よりも肝機能の悪化によるものの方が影響は大きいのでしょうか。体調が落ち着けばタキソールをやるということですが、肝臓転移そのものへの効果は如何なものでしょうか。便通がないのも気がかりです。ご教授よろしくお願い致します。

お話をうかがうと様々な問題をかかえていらっしゃるようです。すこし整理をしてみましょう。
まず、あなたの乳癌の特徴はどうですか。ホルモン療法の感受性はあるのでしょうか。HER2タンパクは陽性ですか。わからなければ、主治医にお尋ねください。それによって別の治療法もあります。

肝転移が最も重要ですが、肝機能が悪化したのは、肝転移のためではないのでしょうか。もしそうだとすれば、癌に対する治療をせざるをえないと思います。タキソールは比較的肝障害は少ない薬剤です。

吐き気、食欲不振はいろいろな原因が考えられます。MSコンチンもそのひとつですし、脳転移や肝転移、骨転移による高カルシウム血症なども可能性があります。脳の検査はされましたか。高カルシウム血症は血液を調べればわかります。肝転移については癌に対する治療の効果を期待せざるをえません。MSコンチンであれば吐き気止めを処方してもらいましょう。便秘もMSコンチンの副作用の可能性が高いと思います。主治医に相談して下剤を処方してもらいましょう。(文責 徳田)

 

No.1057-2】 02年07月26日 S.G.
今後の治療について(2)

今日、妻が病院へ行って検査をしてもらいました。血液検査の結果は、GOTが346、GPTが98、黄だんのT-BILが9.4、ALPが589、LDHが4641、腎機能のUNは、23.9、CREは1.7でした。白血球は、10240でした。黄だんが短期間にすごく高くなっているといわれました。尿は、すごく濃い黄色です。超音波の結果、肝臓は全部、癌化しているといわれました。そして、黄だんは肝実質性の黄だんといわれました。よって、閉塞性黄だんのように経皮経肝胆道ドレナージはできないといわれました。今後は、ブドウ糖やタチオンの点滴くらいで様子をみるしかないのでしょうか。

残念ながら、肝不全、腎不全になりつつある状況と思います。いままで、どんな戦いをされてきたかわかりませんので、今後どのような武器が残っているのかわかりませんが、がんとの戦いは、副作用のために逆効果になるかもしれません。できるとすれば、ハーセプチンのような副作用の少ない治療でしょうか。(文責 徳田)

 

No.1056】 02年07月22日 M.S.
線維腺腫の経過観察について

40歳の主婦です。昨年4ミリ程度だったしこりが1年たって1センチ近い大きさになった為、いくつかの病院で精査を受けました。最初の病院では、先生が手でしこりを押さえながらの細胞診を行い、1時間ほどで結果が出て、良性とのことでした。ただ、大きくなってきているのは事実なので、3ヶ月後に超音波検査を行い、1ミリでも大きくなっていれば切除してしまおう、と言われました。二つ目の病院では、超音波を使っての細胞診を行い、やはり結果は良性で、おそらく線維腺腫だろう、3ヶ月後に又受診するように言われました。先生は、1年で2倍の大きさになったことをかなり気にしていましたが、画像上で良性であり、かつ細胞診でも良性と出た場合は悪性のものであることは殆どない(100%ではないが)、という説明でした。 いずれのお医者様も、”しこりが大きくなってきている” ということをとても重要視していましたが、良性の線維腺腫という見立てでも、大きくなってくるものは悪性の可能性も否定できないということなのでしょうか。私自身の気持ちとしては、100%シロとは言いきれないしこりを胸にかかえて、これから3ヶ月ごとに大きさを計って一喜一憂していくよりも、いっそのこと切除してもらい、心労から開放されたい、という思いもあります。線維腺腫という腫瘍は、画像と細胞診にて確定診断がつかないものなのでしょうか。また、私の場合のように、1年で倍の大きさになるようなものは、悪性の可能性も否定できないものなのでしょうか。また、希望して切除してもらった場合、何日か続けて消毒などに通わなければならないのでしょうか。
お忙しいところ申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願い致します。

お考えのとおり画像と細胞診だけで確定診断をつけることはできません。確定診断をつけるためには固まりとして組織をとって調べる組織診をする必要があります。お話をうかがうと、経過を観察することの不安が大きいようですので、組織診をおすすめします。腫瘍の大きさは1cm程度ですから、傷も小さくてすみます。消毒は1,2回通院する程度です。(文責 徳田)

 

No.1055】 02年07月19日 ayako
2年近く未発見

先日、乳ガンと診断されたばかりの35歳です。1年8カ月前にコロコロとよく動く小さなしこりをみつけ、良性だと言われました。が、だんだん大きくなってきたうえ、生理前後に関わらず痛みを伴い、さらに、胸から脇の下の部分が気のせいか腫れてきたように感じました。その旨を伝えたのですが大丈夫と言われたため、病院を2〜3回変えて、ようやく今回、細胞針をしてガンが発見されました。現在、腫瘍の大きさは1.5cmくらい、場所は左胸のかなり端の左上、粘液ガンです。質問したいことは4つあります。

1.2年近くも放置していたので、転移の可能性は高いですか。早く気づいていたら、手術は軽かったのでしょうか。
2.胸から脇にかけて腫れている気がするのですが、リンパに転移しているのでしょうか。背中も時々痛みます。
3.乳房温存でいけそう、と言われたのですが、リンパは取らないとダメでしょうか。何とか残して転移を発見する方法はありますか。
4.検査の結果、全摘と言われる可能性もありますか。

1.早ければ早いほど安心と思いますが、転移については腋窩のリンパ節の状況など、手術してみないとわかりません。もし粘液癌とすれば、比較的おとなしい癌である可能性があります。
2.超音波の結果など、主治医にお尋ねいただかないとわかりません。
3.リンパ節に転移がなさそうでしたら、センチネルリンパ節生検という方法で、小さな傷で、1,2個のリンパ節の採取ですむことがあります。主治医にご相談下さい。
4.温存した場合に癌が残るようでしたら、全摘せざるをえないことになります。(文責 徳田)
 

No.1054】 02年07月19日 Y.E.
抗がん剤

初めまして、私は6月末に乳癌の手術をした32歳の独身のものです。癌は1期で、センチネルリンパ生検でリンパの転移がなかったということでした。15日に病理検査の結果がでたんですけど、切ったものをスライドガラスにのせて顕微鏡でみたところ、なにやらごく微小の癌細胞がみつかったとのことでした。将来的に転移するかもしれん?と言われました。で、抗がん剤の使用をススメられたのですが・・・。ホルモン剤だけでもかなり有効だとも言われました。こんな場合どうなるんでしょうか?

微小の癌細胞は、どこに見つかったのでしょうか。センチネルリンパ節でしょうか。もし、リンパ節だとすれば、微小の転移を通常の転移陽性と同様に扱うかどうかは議論のあるところです。現状では陽性と考えて対処した方が安全でしょう。また、あなたの場合、32才とお若いので、乳癌術後療法のコンセンサスから申し上げると、ハイリスク群に属します。したがって、全身療法はすべきと考えます。ホルモン感受性がある場合、抗癌剤+ホルモン剤がいいのか、ホルモン剤単独でもいいのかは、まだ結論が出ていません。私は,現在わかっている根拠からは、抗癌剤+ホルモン療法をすすめます。(文責 徳田)

 

No.1053】 02年07月19日 Y.H.
分泌液について

24歳 女性 未婚です。ある日、乳首を強く絞ったときに、白い分泌液が出てきました。妊娠してないのに乳首から白い物が出てきたら乳癌だと友達から聞いていたのでびっくりしました。反対側も同様に行ってみると、やはり白い分泌液が出てきました。これは何か病気があるのでしょうか?

乳頭に開口しているいくつかの乳管から白い分泌液がでるのは、あなたの年令では問題ないと考えます。ただ、分泌液がたくさん出る場合や、一カ所の乳管から血液がまざったような分泌液がでた場合には、乳腺専門医を受診してください。(文責 徳田)

 

No.1052】 02年07月19日 bluemoris
細胞診結果について

40歳の主婦です。乳がん検診で再検となり、細胞診の結果 レベル4ということでした。また分泌物もあり、そこの細胞診はレベル3でした。上記のことから やはりしこり部分を摘出して生検をした方がよいのでしょうか?しこりの大きさは2cmから2.5cmとのことです。転移などが気になり、子供のこと夫のことを考えると胸が締め付けられます。やはり 私は癌でしょうか?(癌かどうかを調べるために生検をするのでしょうが・・・) また 全摘をした方が良いのでしょうか?
今、2つの病院で検査をしています。1つの細胞診の結果が上記の内容でした。来週 あと1つの病院の結果が分かります。いずれにしても手術をしなくては いけないのでしょうが、病院を選ばなくてはいけません。この場合の選択方法を教えて下さい。(どちらも大きな病院です。)よろしくお願いします。

クラス4の結果は、もう一つの病院での結果が良性であったとしても否定することはできません。したがって生検をすべきです。あとのことは、その結果で考えましょう。病院の選択は、乳腺専門医のいる病院が良いと思います。(文責 徳田)

 

No.1051】 02年07月19日 yumilin
断乳後のしこりについて

30歳で9ヶ月の子がいます。母乳とミルク混合でやっていたのですが、先月末に断乳をしたところ、右胸に親指大くらいのしこりが残ってしまいました。思えば授乳中もあったような気がしますが、もう2、3週間経つのにまったく消える様子がありません。周囲の人に相談したところ、助産婦さんにマッサージをうけるよう勧められ、やってもらったのですがその後もしこりは残り前より大きくなった気がします。主人はただのしこりではなく(悪い)腫瘍ではないかと心配し病院に行くように言ってきます。どこに相談し、どういう専門医の診察を受ければ良いか、また自分でどうにかできるものなのかわからず相談しました。よろしくお願いいたします。ちなみにまだ絞ると母乳が出ます。

乳腺専門医の受診をおすすめします。(文責 徳田)

 

No.1050-1】 02年07月19日 H.Y.
髄様癌とは?

45歳女性、既婚、2児あり。1年前、44歳(閉経前)で右C領域の乳ガン(エコー上1.3p)を乳腺部分切除しました。病理検査結果は、髄様癌、ER(ー)PgR(ー)、組織学的異型度3、断端陰性、N(0)(SNB 0/2)。術後放射線の後、CMF6コースを受けました。自分では納得のできる治療を受けたと思いますし、予後についても楽観的です。ただ、自分のガンについてしっかりと理解していたいので、教えて下さい。

1.主治医は「教科書的にSt.GallenのN(0)乳癌のリスク分類にあてはめるとハイリスクとなるが、あなたの場合はあまり悪くない。」とおっしゃいました。その「悪くない」根拠を尋ねる機会を逸してしまったので、「髄様癌という組織型のためかな」と考えてきました。髄様癌は「低分化で高異型度ながら腋下リンパ節転移は少なく予後の良い組織型で、HR(ー)が多い」という性質ならば、組織学的異型度3、HR(ー)はよくあることで、予後が良い髄様癌がほとんど「ハイリスク」になってしまうのでは?と素人は考えてしまいます。髄様癌で異型度1はあるのでしょうか?浸潤性乳管癌の異型度3、HR(ー)とは悪性度の点で差があるのでしょうか?(たしか組織型により術後補助療法が違ってくることは無いのでしたね?)わたしは本当にハイリスクでCMFは絶対に必要だったのでしょうか?UFT2年間よりもCMFを選んだことに後悔はありません。しかし開始2コースで閉経して今は軽度ながら更年期症状をかかえ、半分は抜けて完全な回復は?な頭髪を見ると、頭では副作用を覚悟していたものの・・・。

2.文献を検索すると、髄様癌の予後は必ずしも良くないとする報告があるそうです。typicalとatypical medullary cartinomaの違いについて述べたものもありますが、その分類の基準などのバックグランドが分からないので教えて下さい。臨床的にそこまで分類しているのでしょうか?

St. Gallenのコンセンサスでは、組織型の考慮はありません。あなたの病理検査の結果からは、ハイリスク群になります。それは、組織学的異型度が3であるからばかりでなく、ER(-)、PgR(-)だからです。

medullary carcinomaをさらにいくつかの組織学的基準にもとづいて典型的なmedullary carcinoma (typical)とそうでないものatypical medullary carcinomaに分類することを提唱している人もいます。彼らによれば、その分類により予後が異なるということですが(atypicalの方が悪い)、検討している症例数も少なく、検証されたとは言い難いと考えます。したがって、臨床的には、そこまで分類して治療法を決定する意義はありません。(文責 徳田)

 

No.1050-2】 02年08月11日 H.Y.
吸引細胞診の痕が赤くなったままです

1050でお世話になった者です。気になる症状がありますのでよろしくお願いします。2ヶ月前の定期検診(化学療法終了後初めて)の時、手術創に硬いしこりがある(術後徐々に小さくなったものの3センチほど消えずに残っている)ので、念のため吸引細胞診をしました。結果は「瘢痕」で安心したのですが、その後10日程して針を刺した所が直径1センチ程、少し赤くなり、1ヶ月半経ってもまだ赤みは残っています。少しジリジリした痛みを内側に感じますが、押さえてもその部位を特定できず、皮膚を触るとビリビリします。痛みは1ヶ月前より強くなりましたが、強い痛みではありません。しこりが明らかに大きくなったわけではありませんが、少し熱っぽく感じます。実は手術前に吸引細胞診で5回針を刺しており(転院やうまく採れなかったりで)、先日の細胞診の後、マンモグラフィをした際、ずいぶん痛い思いをして浸出液が少し出たりしましたので、気になりはじめました。これは何か良くない症状でしょうか?1ヶ月後に定期検診の予定ですが、それまでに受診する必要はないでしょうか?

No.1050を拝見しますと、髄様癌で温存手術をお受けになっていらっしゃいます。温存手術後の創部が、瘢痕のために硬くなることがよくあります。細胞診後のしこり、発赤、痛みは、針を刺したときの出血の影響が最も考えられますが、針穴よりの感染の可能性も否定できません。ご心配でしたら、定期検診を待たずに受診してください。再発症状とは考えにくいですが、まずは主治医とご相談ください。(文責 岡本、福田)

 

No.1050-3】 03年03月04日 H.Y.
骨転移の可能性あり?

3ヶ月近く前から胸骨(鎖骨から10センチ程下)が時々痛みます(もしかすると骨の痛みではないかもしれませんが)。痛みは大したことはないのですが、痛みを感じる頻度がこの1ヶ月で少し増えました。先々週乳腺の定期検査でその旨話し、来週骨シンチ、再来週結果を聞く予定です。胸部X線、血液検査は異常なし(腫瘍マーカーはCA15−3、CEA、術前より低値)。診察から後日、編み物による肩から首の凝りが約1週間直らず、それにつれて胸の痛みも強くなりました。編み物をやめ入浴・マッサージやアリナミン服用により一時的に軽減するも胸の痛みは少し残ります。胸骨を押さえた痛みは軽度です。

Q1)胸骨への転移の症状はどんなものがありますか?
Q2)私の場合、転移の可能性はどうでしょうか? また、3日前から手術した右側の脇腹〜背中に痛い部分があります。乳房下端の高さ、体側の中心線(放射線照射範囲の外側境界線ぐらい)に接するように径5センチ程の腫れがあり、しこりがあるように思います(筋肉か皮下だとおもいますが)。体を動かさなくても少しうずくときがあります。打ち身の可能性はゼロとはいえませんが、皮膚に変色はありません。
Q3)こんな所に乳腺に関係した症状が出る可能性はありますか?(なお、CMF中に閉経して1年以上経ち、ホルモンレベルも閉経状態です)

2週間待てばわかることでしょうが、大丈夫だろうとは思いながらも少し心配なので、よろしくお願いします。

1.痛みや腫瘍が大きくなるとしこりとして盛り上がってきます。
2.症状からは何ともいえません。やはり骨シンチの結果を待ちましょう。
3.乳腺も胸骨近くまでありますし、乳腺の張りや痛みの可能性もありますし、神経や筋肉の痛みの可能性もあります。やはり一番心配な骨への転移を否定しておけば安心できるのではないでしょうか。(文責 徳田)

 

No.1050-4】 03年03月06日 H.Y.
背中側の痛みについて

bP050−3へのお答え、有難うございました。2日のメールは私の説明がまずく質問が正確に伝わっていないかもしれませんので、再度確認させて下さい。 Q3は前胸ではなく、背中に近い部分の腫れと痛みについてです。再度繰り返しますが、高さは乳房下端くらい、「気をつけ」したとき右腕に隠れる部分から背中側にかけて手の平くらいの範囲に5日前から痛みがあります。はじめはその部分に径5センチ程のはっきりした腫れがあり、小さなしこりを感じました。今は腫れはだいぶ退いてきましたが痛みはあまり変わらず、形のわかりにくいしこり様の部分が少しあるようです。この症状は乳腺と何か関係あるのでしょうか。実は「副乳?」が頭をかすめたのですが、位置的にありえませんか?考えすぎでしょうか。予約の診察は10日後で、たとえ予約なしで(1日がかりで)早めに受診しても主治医の次の診察日は3日後、その頃には大体治っていると思うのでこのまま様子を見るつもりですが、それで大丈夫でしょうか?(乳腺外科は毎日あるので、他の先生に診ていただくことは可能でしょうが)。思わぬ場所に正体のわからない痛みと腫れが出現して気がかりだったので、再度質問させていただきました。何度も申し訳ありませんがよろしくお願いします。

位置的には乳腺の組織が存在しない部位ですし、副乳も考えにくいと思います。手術、放射線の情報がわからないので、コメントは難しいのですが、心配しているより、早めに主治医あるいは他の先生の診察を受けた方が、すっきりするのではないでしょうか。(文責 徳田)

 

No.1049】 02年07月19日 A.Y.
左胸のしこり

はじめまして。35歳、出産経験があります。先日左胸脇側上部に小さなしこりを見つけ、病院でレントゲンを撮っていただきましたが、お乳に関して異常はなく(左ワキのリンパが少々腫れていますが、指に皮膚炎があるためでしょうか?両手にあるのに、右ワキにはありません)触診しても「う〜〜ン。これはどうしようかなあ・・・」と先生が悩んでおられました。様子を見ましょうとのことでしたが、手後れになることはないのでしょうか。そのように質問したところ「しこりが見つかった段階でほとんど手後れ」と言われました。不安です。他の病院でも診てもらった方が良いでしょうか。レントゲンだけで良いのでしょうか。ご回答よろしくお願いいたします。

しこりは乳腺のものなのでしょうか。レントゲンだけでは、乳腺のしこりかどうか、診断は難しいと思います。やはり乳腺専門医を受診してください。(文責 徳田)

 

No.1048】 02年07月19日 M.H.
術後の治療について教えてください

39歳主婦です。先日は主人の質問にご回答いただきありがとうございました。今年6月中旬に5x7mm石灰化腫瘍がマンモグラフィで見つかりました。生検にて悪性腫瘍との結果により、当日乳房温存手術を行う予定でしたが、術中に乳房内への転移が見つかり急遽全摘出へ変更となりました。理由としては乳管内と乳首を中心として部分切除の反対側にも発見され、主治医のお話では部分切除面の4箇所中3箇所に浸潤性癌が見つかったとの事です。5x7mmという大きさで、乳房内に転移しているのは珍しいケースであると言われており、非常に気になっております。治療法が通常の場合とは異なるのではないかという危惧をもっております。術後2週間で、病理検査の結果はリンパ節転移は無し、ホルモンレセプター陽性ということと浸潤性乳癌だけが分かっています。先生のお話によると腫瘍悪性度は3と言われましが、この部分は少々疑問です。ここで質問ですが、今後の治療についてお聞きしたい事があります。

質問: 浸潤性乳癌でリンパ節転移が無い場合でも化学療法(CEF)の投与は必要でしょうか? 念のため、術後に他の臓器への転移を調べてもらいましたが、転移は現時点ではないようです。主治医からの説明ではホルモン療法としてタモキシフェンと月一回の皮下注射(ゾラデックス)に加えて、経口の抗がん剤を使用するということです。やはり、抗がん剤はかなりの副作用があり、現時点でもリンパ節への転移が認められない以上、やる必要がないのではないかと考えております。素人には判断がつかないので、是非セカンドオピニオンとしてお聞かせ願えればと思っております。

以上お忙しいところ大変お手数ですが、ご返事頂ければ幸いです。

乳癌術後の補助療法に関するコンセンサスによると、リンパ節転移がなくても、組織学的悪性度が3であることから、全身療法が必要です。全身療法としては、抗癌剤+ホルモン療法(タモキシフェン+ゾラデックス)、ホルモン療法単独が推奨されます。どちらがよいかは結論が出ていません。私としては、抗癌剤+ホルモン療法(タモキシフェン+ゾラデックス)をすすめます。抗癌剤については、経口の抗癌剤のCMFやCEFと比べての同等性ないし有用性はまだ示されていません。したがって、CMFやCEFなどの抗癌剤をすすめます。(文責 徳田)

 

No.1047】 02年07月19日 I.H.
線維腺腫について

私は25歳、既婚です。しばらく前から左胸にしこりがあり、先日個人の外科医院の先生に診察をしていただきました。触診、レントゲン、超音波、細胞診の検査をしていただき、結果「良性で線維腺腫」との事でした。もう少し様子を見て大きくなったら摘出したらいいとの事でした。今しこりの大きさは長さ2cm弱の細長い形になっています。できれば摘出の手術はしたくないと思っていますが、子供を産みたいと思っています。しこりがあるまま、妊娠、出産しても問題ないのか不安です。もし摘出をしなくてはならない場合、切除の跡は残ってしまいますか?どれくらい切るのでしょうか?傷は命には代えられませんが、気になるので教えていただけたらと思います。よろしくお願い致します。

線維腺腫であれば切除する必要はありません。妊娠、出産も問題ありません。ただ、今の段階では、線維腺腫の確定診断はついていませんので、経過を観察するということです。急に大きくなったら切除すればよいと思います。手術は、日帰り手術、局所麻酔です。傷の長さは腫瘍の直径程度と考えてください。(文責 徳田)

 

No.1046】 02年07月13日 M.N.
脇の下のしこりについて

はじめまして。私は25歳の女性です。2〜3日前、急に左脇の下に鈍い痛みを感じ、触ってみるとしこりのようなものがある気がします。でも右の同じ部分にもしこりがあるように感じます。全体的に胸が痛いし肩も凝るので生理前の現象かなとも思うのですが、意識しているせいか、左脇の下は特に痛く、異物感もあります。またべつに1ヶ月ほど前から乳頭部分がかぶれて、黄色い液が出ます。関連性はあるのでしょうか?インターネットで調べるうちに心配になってきました。来月から長期留学するので、その前に病院に行くべきでしょうか?

腋の下(腋窩という)の腫瘤については、この相談室でも多くの質問&回答が寄せられています。「腋の下のしこり」にはいろいろなものが考えられます。脇毛の付近ならば、腋窩リンパ節の腫大や皮膚に由来する腫瘤が考えられますし、大胸筋(上腕と胸の間に張っている大きな筋肉)の近くなら副乳などが考えられます。性周期によって大きくなったり、小さくなったり、または痛みが強くなったり、弱くなったりすることがあるのであれば、そのしこりは副乳の可能性もあります。また、多くの場合は正常範囲の痛みや、皮膚の盛り上がりであることも少なくありません。成熟期の女性(特に20代から30代前半にかけて)では乳頭部のかゆみ、ただれを訴える人が少なくありません。時として黄色もしくは透明の分泌物も伴います。ホルモンの関係などでこのような症状が起こると考えられ、体の中の性ステロイドホルモン(エストロゲン、特にプロゲステロン)が高くなっている時期、性周期でいうと排卵後の高温期や、妊娠中などに多く認める傾向があります。このような場合は、両側乳頭が同時に同じような症状となります。かゆみがひどく、乳首の表面を掻き壊してしまうような場合は、皮膚科で軟膏処置などを行うことで改善します。いずれにしても、腋の下のしこりとはあまり関係ないと考えられます。これから長期に留学されるそうですね。私も経験がありますが、初めのうちは言葉の問題、生活・社会環境の違い、健康保険の適応などが問題となり、日本にいるときほど気軽に病院にはかかれなかったので、もし自分の健康に不安があるのならば、留学するまえに、自分の体で心配な部分を検査しておくことをお勧めします。乳腺に関しては、乳腺専門医が常勤する病院であれば問題ないと思います。(文責 千島)

 

No.1045】 02年07月13日 TOMO
微細石灰化について

対象は私ではなく妻(26歳)のことに関してなのですが、微細石灰化に絡んで質問したいことがあるのでご回答の程宜しくお願いいたします。
(経緯)
平成13年1月 初産(24歳時)
平成13年5月 定期検査時に左乳房にシコリを発見
平成13年6月 他の研究病院で再検査
平成13年6月 左乳房は水が溜まっていただけで異常なし、但し右乳房に微細石灰化発見(マンモグラフィー)
平成13年9月 右乳房、微細石灰化について再検査(マンモグラフィー)
A医師判断としては、微細石灰化にはいろいろな原因があるので、良いとも悪いともいえな いとのこと、ただ白黒をつけたいなら生検をとのことでした。(とりあえず経過観察の道を選び平成14年1月に再検査をすることにしました。)
平成14年1月 右乳房微細石灰化について3度目の検査(マンモグラフグラフィー)
A医師所見としては、@微細石灰化に変化が見られないこと Aまた、写りかたにもよるが、少し薄くなっているようにも見えるので経過半年後と言うことでした。 又この際に仮に妊娠しても大丈夫ですかと言う質問を致しましたら、特に問題ないとの回答でした。
平成14年7月 右乳房微細石灰化について4度目の検査(マンモグラフィー)
B医師所見としては、@微細石灰化に変化が見られない A写り方が前回よりも薄いように見られるとのことで、一応半年後の経過観察ということになりました。又この際に仮に妊娠しても大丈夫ですかと言う質問を致しましたら、妊娠を考えているなら生検を勧めます、と言われました。
以上が現在までの経緯なのですが、これを踏まえて質問をしたいのですが、
@上記の経緯を読まれてどのようにお考えになりますか。
Aよくガンは若いと進行が早いと言う話を聞きますが、この年でも進行しないようなガンはあるのですか?
B妊娠も考えているのですがこのまま経過、観察でもよろしいでしょうか?
Cその他何かアドバイスがあれば宜しくお願いいたします。

貴方の奥様の微細石灰化像を拝見していないので明確な回答は出来ませんが、乳房撮影上での石灰化に明らかな増大傾向を認めないようなので、現段階では経過観察でよろしいと思います。乳腺の石灰化は、何らかの形で乳腺細胞が増殖と退縮を繰り返す過程で形成され、乳腺内に沈着して蓄積されていくので、石灰化病変は、経過観察と共に少しずつ増加していくか、もしくは変化を認めないのが一般的です。しかし、症例によってはごく稀に、経過観察中に石灰化の数が減少して見える場合もあることは確かです。乳房撮影で認められる石灰化は非常に多彩で、明かに良性と思われるものもあれば、ほぼ確実に癌(悪性)だと判定できるものもあります。一方で、良・悪性の区別が専門医でも難しいものも多いのは確かです。貴方の奥様の場合も、比較的判断の難しいような微細石灰化を認めるのだと思います。一般に癌を疑う石灰化は以下のとおりです。少々難しいかもしれませんが参考にしてください。
1.微細(一般には1mm以下)で、2.不整な形状を示し、3.狭い範囲に集まっており(1cm四方に10個以上)、4.乳房の中でも、一部の領域に限局して存在する。これらの条件を満たす場合は、乳癌を疑って検査を進めます。乳房撮影で認められる石灰化は、5段階評価で判定されます。
1、2は癌を疑わない正常乳腺でも認められる石灰化。
3は良性の可能性が高いが、悪性の可能性が否定できないため、精密検査を必要とする石灰化。
4は悪性の可能性が高いため、摘出等を含めて積極的に検査を行う石灰化。
5はほぼ乳癌と考えられる石灰化。
奥様の石灰化は3に相当するものと考えられますが、この場合は経過を観察していて、増加傾向を認める場合は、主治医のおっしゃるように生検等を行って、組織学的に診断する必要があります。確かに若い人の乳癌は細胞学的にも悪性で、進行の早いものもありますが、発見さえ早ければ閉経期以降の乳癌とあまり悪性度は変わらないという報告もあります。一方で乳癌に限っては、若いときには乳腺組織が硬く、また若いということで病院受診が遅れるなどの理由で、比較的進行してから発見される場合も多いので、治療に難渋する場合も多いのは確かです。妊娠と乳癌についてですが、もし奥様の微細石灰化が乳癌だとした場合、妊娠によって乳癌病巣が増大する可能性も否定は出来ません。妊娠・授乳期はエストロゲンなどの性ステロイドホルモンが、体内で高濃度でになっているため、乳癌の増殖を助長すると考えられます。しかし一説では、高濃度のエストロゲンは、かえって乳癌の増殖を抑制する働きがあるのではないかという報告もあり、一定した考え方はありません。もし貴方の奥様が妊娠する予定があるのならば、主治医がおっしゃるように、生検を含めた十分な経過観察を行う必要はあると思います。(文責 千島)

 

No.1044-1】 02年07月12日 K.I.
乳腺嚢胞症とは?

人間ドッグの結果、乳腺のう胞腫の疑いがあり、精密検査が必要となりました。どのような病気でしょうか? 癌でしょうか? また、子宮の内膜を検査したところ、細胞が異形成とのとこで、クラスUでした。クラス5が癌だとききました。ということは、いずれ癌になるということでしょうか? 乳腺のう胞腫の精密検査はどこで診ていただけるのでしょうか? 何卒はじめてのことで戸惑っております。アドバイスをください。

乳腺嚢胞症とは、乳腺の一部に水がたまっている状態を示し、乳腺症の一症状と考えられています。乳腺症というのは、正常な乳腺が、年齢に伴う退行性変化(簡単に言うと老化現象)により、乳頭分泌物、しこり様結節、乳腺内の水のたまり、圧痛などの症状を伴う状態をいいます。臨床的には、「良・悪性腫瘍などとは違い、当面は治療を必要としないけれど、患者さんが何らかの症状を訴える乳房」と考えられています。世の中の女性では、きわめて多くの人が乳腺症といわれる状態にあり、乳房に何らかの症状を訴えるのは、全女性の約50%。組織検査学的に乳腺症と診断されるのは、なんと全女性の90%にもおよびます。ごく稀に、大きな乳腺嚢胞内に癌を合併することがありますが、小さな嚢胞が乳房内に多発しているよな場合は、まず乳腺症と考えて間違いはありませんので安心してください。ちなみに、このホームページ、「乳腺の病気について」の相談室であるので、子宮の病気については場違いなのですが、細胞検査の判定法は、乳腺、子宮、どちらの場合でもほぼ同様なので、以下に細胞検査の判定基準を示しておきます。
T:正常乳腺細胞のみを含む
U:炎症等の細胞変形を認めるが、正常範囲の細胞を含む(良性腫瘍が含まれる場合もある)
Va:正常細胞とは異なる細胞を含む(良性の可能性が高い)
Vb:正常細胞とは異なる細胞を含む(悪性の可能性がある)
W:癌細胞に似た細胞を含む(70〜90%が癌)
X:明らかに癌細胞を含む
貴女の場合はClassUとの判定なので、通常はこれらの細胞が癌になることはありません。ただし、たまたま今回の細胞検査では、癌細胞が取れてこなかった可能性もあるので、癌が心配がある場合は繰り返し検査をする必要があります。詳しくは婦人科の主治医と相談してみてください。(文責 千島)

 

No.1044-2】 02年07月13日 K.I.
乳腺嚢胞症の検査について

ありがとうございました。検査結果では乳腺のう胞症について要精密検査とあります。どこか専門医はないのでしょうか? それともこのままで、痛み等の自覚症状が無い場合は検査しなくてもいいのでしょうか?
子宮の件につきましては、よくわかりました。相談外のことのご質問にもお答えいただき感謝しております。とにかく、何もわからなくて、検査結果をみて途方に暮れておりました。

前回の回答にもあったように、大きな嚢胞を伴なっているようならば、嚢胞内容を注射針で抜きとる必要もあります。検診で「要精検」と診断されたのですから、一度専門医の精密検査を受けるようにしてください。横浜市内にご在住のようなので、このホームページを運営している会員が所属している病院ならば、安心して診察していただけることと思います。(文責 千島)

 

No.1043-1】 02年07月12日 M.Y.
石灰化とはどういうことですか? 

34歳、既婚(子供7歳,4歳)です。2週間ほど前に左乳首横のしこりに気付き、近くの病院でエコーでみてもらったところ2センチ大の腫瘍が見つかりました。 「おそらく良性の線維腺腫だと思われますが、念のため乳腺の専門医にみてもらってください」 とのことで、紹介された病院に行きレントゲンと注射で細胞を採る検査を受けました。触診で先生は最初の先生と同じ所見 だとおっしゃっていたので安心していたのですが、今日結果を聞きにいったところ 「線維腺腫にしては形がはっきりせず、石灰化のような白い点も写っているので、かなり悪性の可能性が高いです。早目に切除したほうがいいでしょう。」 と言われ、愕然としました。そのときは頭の中が真っ白になり何を質問したらいいのかもわからなかったのですが、石灰化とはなんですか?「乳がんに早期の定義はありません。」と先生はおっしゃっていましたが、2センチという大きさはどう受け止めればいいのでしょうか? ご回答よろしくお願いいたします。 

おそらく、主治医の先生が考えているのは、「乳癌と鑑別の難しい石灰化」と言う意味だと思います。石灰化は、何らかの形で乳腺細胞が増殖と退縮を繰り返す過程で形成され、乳房撮影などのX線検査で発見されます。乳房撮影で認められる石灰化は非常に多彩で、明かに良性と思われるものもあれば、ほぼ確実に癌(悪性)だと思われるものもあり、一方で良・悪性の区別が専門医でも難しいものまであります。もちろん、最初の診断である乳腺線維腺腫でも石灰化を認める場合があります。一般に癌を疑う石灰化は以下のとおりです。少々難しいかもしれませんが参考にしてください。
1.微細(一般には1mm以下)で、2.不整な形状を示し、3.狭い範囲に集まっており(1cm四方に10個以上)、4.乳房の中でも一部の領域に限局して存在する。
これらの条件を満たす場合は、乳癌を疑って検査を進めます。乳房撮影で認められる石灰化は、5段階評価で判定されます。1、2は癌を疑わない正常乳腺でも認められる石灰化。3は良性の可能性が高いが、悪性の可能性が否定できないため、精密検査を必要とする石灰化。4は悪性の可能性が高いため、摘出等を含めて積極的に検査を行う石灰化。5はほぼ乳癌と考えられる石灰化。ということになります。貴女の場合も、4もしくは5の石灰化が認められるようならば、早めに癌の有無を判定して、適切な治療を受けるようにしてください。乳癌には大きく分けて、非浸潤癌と浸潤癌があります。非浸潤癌というのは転移する能力がないため、病巣を切除してしまえば完全に治る癌で、早期乳癌と定義されています。浸潤癌は転移する能力があるのですが、2cm以下の病巣で、手術時に明らかなリンパ節転移や他臓器転移を認めない場合、これも早期乳癌と定義されています。しかし、浸潤性乳癌の場合は、5mm程度の大きさでも転移をしていることもあるので、貴女の先生も、このような意味で「乳がんに早期の定義はありません」とおっしゃったのかもしれません。(文責 千島)

 

No.1043-2】 02年07月19日 M.Y.
手術までの待機日数が長く、不安です

二度目の質問をさせていただきます。先日は石灰化について詳しくご回答いただき、ありがとうございました。昨日の超音波検査で「やはり癌でしょう。」との診断をうけました。子供のこともあり、実家近くの病院で手術を受けることに決めたのですが、先生はとても患者さんが多く、早くても1ヶ月は待たなくてはならないそうです。私としましては今すぐにでも手術をしてもらいたい気持ちです。その1ヶ月の間に癌が進行、転移して手遅れになるのではないかと不安でたまりません。こちらの先生は「すべては手術後の病理検査まで判断できません。」とおっしゃいました。急激に病気が悪くなる事もあるのでしょうか? ご回答よろしくお願いいたします。

一ヶ月で手遅れになることはまずありません。しかし、診断がついた以上、一日も早くという気持ちも理解できます。これは一ヶ月待ってもその病院でしたほうがいいのか、もっと早くできる病院でするかの判断と思います。(文責 徳田)

 

No.1042】 02年07月12日 Y.M.
検診結果について

初めてメールさせていただきます。48歳、女性、会社員、子供は一人おります。本日、平成11年から開業医の紹介によって受診している総合病院外科で、年に一度の乳癌検診を受けて参りました。結果、左上部に触診でしこりが感じられるものの、エコーでは異常なしとの結果をいただき、また1年後に来るようにと言われました。昨年はこのしこりはありませんでした(入念に見て頂いたと思っておりますが)。開業医から紹介状をいただいた時の症状は、右乳頭より分泌液(透明)が出るとのことでしたが、ここ数年来はその部分も異常なしと言われております。また、甲状腺にもしこりを認められるもののそれも心配なしと言われており、本日もそう言われました。マンモグラフィーは隔年受けております。一般にしこりが認められても心配ないというのはどのような状態なのでしょうか? それと、受診当初からの主治医の先生が今年4月より転勤で別の病院に移られたのですが、自分と致しましては、その先生を頼って病院を変えようか、それともカルテがある今の病院での検診を続けようか、迷っているところです。前の先生への信頼が強かっただけに心細い思いでございます。このような場合のアドバイスを頂けましたら幸です。宜しくお願い致します。

正常の乳腺でも、乳腺組織の一部がしこり状に触れることはしばしばあります。特に貴女の場合は、年齢的にも乳腺症と考えてよいでしょう。乳腺症というのは、正常な乳腺が、年齢に伴う退行性変化(簡単に言うと老化現象)により、乳頭分泌物、しこり様結節、圧痛などの症状を伴う状態をいいます。臨床的には、「良・悪性腫瘍などとは違い、当面は治療を必要としないけれど、患者さんが何らかの症状を訴える乳房」と考えられております。貴女の場合も、乳腺症の範疇に入るのだと思います。主治医の変更については、現在の主治医が乳腺専門ならば、昔からのデータがある現在の病院に留まる方が良いと思います。貴女の場合は良性疾患ですが、特に乳癌などでは手術時の所見が、手術後10年目の治療に必要となる場合も少なくないからです。もし、以前の主治医を頼って病院を移っても、また数年後には、その先生が他の病院へ転勤になるとも限りません。しかし、「人は異動することがあっても、病院と貴女の臨床データは、いつまでも変わらぬ場所にある」ということを忘れないでください。(文責 千島)

 

No.1041】 02年07月12日 H.O.
全摘手術後2ヶ月、しこりがあります

34歳、2人の子供がいます。どうぞ宜しくお願いいたします。今年5月の中旬、左乳房切除術を受けました。病理の結果は硬癌(多発) 2cmのと、あとひとつ数ミリのもの。場所は左胸の外側上部と、上部内側寄りに数ミリのものでした。ホルモンレセプターは両方+、腋下リンパ郭清 転移−(0/10)、悪性度 1 との事で、ホルモン治療をはじめました。ゾラデックス2年、ノルバデックス5年で、注射を1回、薬を1ヶ月弱服用したところです。退院後2週間目くらいに、術側の傷口の内側の1.5cm位上の部分にしこりを感じました。退院後の診察の時に主治医に訊ねた所、「問題ないでしょう」とのお答えでした(触診のみ)。そして昨日なのですが、傷口を何気なく鏡でみた所、その部分が少し盛り上がっていました。痛みはないのですが、触ってみると小豆くらいのコリンとしたしこりがあります。退院してすぐに見つけた時はもう少し小さくて、何度も触っていると「あれ?気のせいかな」と思ってしまう程の大きさだったのに、今でははっきりとわかります。来週ゾラデックスの注射がありますので、その時に診察をしてもらいたいと思っていますが、来週までどうしても落ち着かないので3つ質問させて下さい。
1) しこりの場所は胸骨の内側で、骨の上にこりんとあるのですが、この場所は胸骨傍リンパなのでしょうか。また、この場所に良性の炎症やしこり等、起こることは考えられますか?
2) 病理の結果を聞く限り安心していたのですが・・・。乳房切除を受けたにも関わらず、このような時期に再発?転移?(元からあった?)が、確認された場合、予後はどのようなものでしょうか。また、どういった治療を今後受けることが望ましいのでしょうか。
3) 本などを読んでいると「縫合の糸のくくった跡がしこりのようになることがある」との文面を見た事があるのですが、その場合は傷口にごく近い所にしこりが起きるのでしょうか。傷口は順調に回復しているように思います。

以上3点でございます。どうぞ宜しくお答え頂きます様お願い申し上げます。

1)胸骨傍リンパ節は、胸の中央にある胸骨と呼ばれる骨の裏側に位置しており、体表面からは触ることは出来ません。胸骨の裏側には、左右一対の内胸動脈が縦方向に走っており、胸骨傍リンパ節は、その動脈に沿って存在しています。もし、胸骨傍リンパ節転移が体表面から触るほど大きくなったのならば、貴女のように骨の上に触るのではなく、肋骨の間から盛り上がってくる岩ように硬く、動きにくい腫瘤として触ります。診察させていただいていないので正確なことはわかりませんが、貴女の場合は、「骨の上にあるコリンとしたしこり」ということなので、皮内もしくは皮下脂肪組織内にある腫瘤なのかも知れません。

2)貴女の場合、主病巣は外側上部、2cmの腫瘤であったようなので、胸骨傍リンパ節へ転移している確率は少ないものと考えられます。仮に胸骨傍リンパ節へ転移があった場合は、手術療法よりも放射線照射や化学療法を優先させます。手術で摘出する場合は、大胸筋の付け根と、胸骨と肋骨の間を切って、胸骨後面の脂肪組織と共にこのリンパ節を切除しますが、手術が大規模なものになる割に、生存率にはあまり影響しないと考えられており、現在ではあまり行われなくなっております。

3)最近は、乳癌手術創の縫合は、体内に吸収される糸を使って、抜糸のいらない埋没縫合という方法を行う施設が多くなってきています。このような縫合を行った場合、皮下にしこりを作ってくることはまれです。傷を縫合するのとは別に、手術中はしばしば絹糸を使用します。 この糸は、術中の出血を止めるときに、血管や組織を結紮するのに使用します。読んで字のごとくシルクを編んで作られているのですが、人によっては炎症反応を強く起こして、「縫合の糸のくくった跡」と呼ばれる「しこり」を形成することがあります。もし、その「しこり」が縫合線から少しはなれたところならば、大胸筋の前面の血管を縛ったときの、絹糸の跡の可能性もあると思います。

いずれにしても、「しこり」が大きくなって気になるようならば、早めに病院を受診して、主治医に診察してもらうことをお勧めします。(文責 千島)

 

No.1040-1】 02年07月10日 MOMO .
ゾラデックスとリュープリンの違いについて

ゾラデックスとリュープリンの違いについて教えてください。 私は、昨年(2001年)10月に右の乳がん(約5センチ大)摘出手術をしました。併せてリンパ郭清もしました。術前一週前より化学療法(タキソテール)を4クールとホルモン療法(ゾラデックス)を現在まで投与しています。病理検査では、リンパへの転移が1個(27個中)発見され、硬癌と診断されました。化学療法を終了後、この2月から経口抗がん剤(フルツロン)の服用を開始しましたが、副作用がひどい為中止して、4月からタモキシフェンとゾラデックスを併用しております。現在まで転移は無く、腫瘍マーカー等は正常で、変化はありませんでした。先日の診察で、主治医から次回(1ヵ月後)からゾラデックスをリュープリンに変更したらどうか打診がありました。理由はリュープリンは肩に注射するので簡単だと言われました。何かそれ以外にもメリットがあるのでしょうか? 併せて違いについても教えてください。

リュープリンもゾラデックスもタンパク質から作られている薬で、構成アミノ酸配列に多少の違いがありますが、基本的に両薬剤の作用機序は全く同じと考えられています。これらの薬は、4週間かけて少しずつ体に吸収されるようになっており、徐放剤という種類の薬です。それぞれの薬で、ゆっくりと体内に吸収されるための工夫が施されており、ゾラデックスは棒状の固形物として、リュープリンではマイクロカプセルの懸濁液として投与されます。基本的にはどちらも皮下へ注射するので、前腹部などの比較的脂肪の多い部分に注射されます。ゾラデックスは16ゲージという太い針を皮下に刺すため、まれに皮下出血と起こすこともあります。また、刺入時に痛みの訴えが多いときには、局所麻酔を併用する場合もあります。リュープリンは1ccの液体で、使用法は通常の注射とあまり変わりません。臀部や肩にも注射可能ですが、肩などの皮下脂肪が少ないところでは、硬いしこりを作ってしまい、痛みが残る場合もあります。日本ではどちらの薬剤もほぼ同等の効果、副作用があると考えられています。ただ厳密に言うと、ゾラデックスは乳癌治癒手術の術後再発予防としての投与が認められていますが、リュープリンには認められていません。これは薬剤開発に伴う臨床試験をアメリカで行ったゾラデックスと、日本で行ったリュープリンの違いのためで、作用、効果の違いを示しているわけではありません。薬剤変更について疑問が残るときには、もう一度主治医と相談してみてください。(文責 千島)

 

No.1040-2】 02年07月15日 MOMO .
術後の治療方法について

いつも回答いただきましてありがとうございます。
私は、昨年(2001年)10月に右乳がん(約5センチ大)の全摘手術を胸筋温存で行い、併せてリンパ郭清もしました。術前一週前より化学療法(タキソテール)とホルモン療法(ゾラデックス)を開始し、化学療法は肝機能が下がった為、4クールで終了し、ホルモン療法はタモキシフェンと併用で現在まで投与しています。病理検査では、リンパへの転移が1個(27個中)発見され、硬癌と診断されました。今のところ再発・転移は発見されていません。最近、ハーセプチンの受容体の検査をして結果は2+でした。腫瘍マーカーは発病以来正常値のままで、変化はありません。
私の場合、放射線療法を行わなかったのですが、主治医がその必要はないということでした。しかし、術後の放射線療法は標準治療の一つで沢山の患者が受けていると知りました。今からでも放射線療法をした方が良いのでしょうか。また、化学療法が「タキソテール60ccを2週連続で、3週目はタキソテール60ccとファルモルビシン15ccを併せて行い、1週休む」という方法で4クール行いましたが、あまり標準的な方法でないような気がします。(本屋やインターネットで見かけません)。それと、タキソテールの量も60ccでは、通常より少なかったような気もします。私は、普通より体格がかなり大きいほうです。ある人の場合、1クールが2週連続で一回の量が330ccだったというの聞いて、びっくりしました。大体100cc以上が普通のようですが、60ccでも再発予防に十分な効果があるのでしょうか?不安です。
質問が多くてすみませんが、もう一つお願いします。ハーセプチンの検査が2+というのは、再発・転移しやすいというのは、本当でしょうか?また、ハーセプチンの使用は3+以上に限定されているそうですが、もし再発しても私の場合は使えないのでしょうか?

1.放射線治療には、補助療法としての放射線治療と、再発・進行病巣に対する放射線治療とがあります。さらに、補助療法としての放射線には、乳房温存術後の残存乳房に対する予防照射と、多数のリンパ節転移陽性症例に対する予防照射があります。貴女の場合、乳房切除術を施行しているようなので、適応になるとすれば鎖骨−胸骨部リンパ節に対する予防照射ということになります。リンパ節転移が4個以上あった症例で適応を考慮しますが、上腕浮腫(むくみ)などの副作用などの兼ね合いからも、施設によって放射線照射の適応はかなり異なっています。また、放射線照射は乳癌再発予防に対しての効果はあるのですが、乳癌以外での死亡率を上昇させることも判っています。貴女の場合は、腋窩リンパ節転移が1/27とのことなので、主治医としては放射線治療の必要はないと考えているのでしょう。

2.通常、抗癌剤の投与量は点滴のボトルの大きさ(cc)ではなく、点滴の中に溶かされている薬剤成分量(mg)で決定されます。時として250ccの点滴ボトルを使うこともあれば、100ccのボトルを使うこともあります。術後補助化学療法の点滴メニューも、施設によってかなりのオプションがあります。貴女の場合は、タキソテールとファルモルビシンを1ヶ月周期で投与する形をとっていますが、副作用を軽減するためにタキソテールの1回量を少なくして、3週間に分けて投与する工夫をしているようです。貴女の場合は、薬剤投与量のccを、mgに置き換えて考えたとして、タキソテール60mg/回 X 3週間とファルモルビシン15mg/回 X 1週間という投与法なのでしょうか?だとすると、あまり見かけないメニューであることは確かです。ただ、タキソテール330mg X 2週間の投与は、あまりにも量が多すぎるので、それは何かの間違いだと思います。抗癌剤の投与量は、投与している抗癌剤の種類、投与間隔、併用薬剤の有無などで大きく変化するので、単純に他人の投与量と比較することは出来ません。

3.ハーセプチンという薬剤の適応を決めるためには、乳癌細胞がHER2という遺伝子を発現していることが必要です。HER2陽性乳癌はHER2陰性乳癌に比べて予後が悪いといわれているのは確かです。現在、HER2は免疫染色という方法を用いて検査を行いますが、3+以上の症例では、乳癌の再発転移時にハーセプチンが適応となります。ただ施設によっては、2+または1+の症例でも適応としている場合もあるようです。その場合でも、1+以下の症例には、薬剤の効果はあまり期待できません。その他、HER2陽性乳癌では、CAFまたはCEF療法の効果が高いとも言われているので、ハーセプチンの使用前に、この治療法を試してみるのも一つの選択肢といえます。いずれにしても、術後補助療法が終わったばかりで、今から再発の心配をしていては、心身ともに持たなくなってしまいますよ。

術後補助療法については、2001年2月にスイスのザンクト・ガレンという町で開かれた「乳癌術後補助療法に関する国際学会」で、世界的な標準治療法が決められています。ただ、あくまで治療法の大筋について決定されたものであって、国や人種、社会環境によってかなりの違いが生じています。また同じ日本人であっても、症例毎の細やかな治療メニューの設定などは、主治医の判断によるところが大きいので、薬剤投与量、投与スケジュールについての詳細は、主治医に相談してみるのが一番確かだと思います。(文責 千島)

 

No.1040-3】 02年09月05日 MOMO .
術後の治療方法について(2)

いつも回答いただきましてありがとうございます。
私は、昨年(2001年)10月に右の乳がん(約5センチ大)の全摘手術を胸筋温存で行い、併せてリンパ郭清もしました。術前一週間前より化学療法(タキソテール)とホルモン療法(ゾラデックス)を開始し、化学療法は肝機能が下がった為、4クールで終了しました。その後、ホルモン療法をゾラデックスと、新たにタモキシフェンとの併用で現在まで投与しています。病理検査では、リンパへの転移が1個(27個中)発見され、硬癌と診断されました。今のところ再発・転移は発見されてません。最近、ハーセプチン受容体の検査をして、結果は2+でした。腫瘍マーカーは発病以来正常値のままで、変化はありません。一応、現在まで、再発、転移は無いようです。
最近、主治医がゾラデックスより、リュープリンの方が効果は変わらないけど注射が簡易なので、月一回の投薬に主治医がいなくても代わりの人でも出来るから便利になるとの事で、リュープリンに変更しました。急に変更して何か問題がありますでしょうか。それから、最近の検査(肝臓のCT)で脂肪肝と診断されまして、ついてはタモキシフェンの副作用が考えられるので、タモキシフェンを中止した方が良いのではないかと言われました。リュープリン単独でも効果(再発率)は変わらないからとの事です。もともと、主治医はタモキシフェン併用には消極的でしたが、私のほうからお願いして、投与してもらっている経過がありました。リュープリン単独でも大丈夫でしょうか? タモキシフェンで脂肪肝になりやすいのでしょうか? ご意見をお願いします。又、最近リュープリンとフェアストンとの併用も良い結果が出ているとも聞いております。このことも教えてください。沢山の質問で申し訳ありません。是非、お願いします。

リュープリンは、ゾラデックスに比べて注射針が細く、穿針時の痛みが少ないようです。変更しても問題は無いと思います。リュープリン単独よりも、タモキシフェン併用の方が効果は期待できますが、副作用である脂肪肝が問題となっているならば、タモキシフェンを中止せざるを得ません。フェアストンに変更するのも、1つの選択肢であるとは思います。(文責 籾山)

 

No.1039】 02年07月10日 H.H.
乳首にただれがあります。胸が痛いです。

26才女性、未婚、妊娠流産なし。しこりはないと思います。4、5年前に一度だけ皮膚科に行ったことがあり、その時は軽いガンジダ?とかいわれて塗り薬をもらいました。今までは、時々乳首に痒みがあり、かいてはかさぶたになり、またかいての繰り返しで、いつのまにか治っていたので、ほったらかしでした。しかし、ちょっと今回ひどくて乳首全体がただれています。黄色い分泌液がでています。日に日にひどくなっていっている気がします。痒みはないのですが、痛みがあります。2、3日前からは、胸がしめつけられるような苦しい痛みが(胸全体に)あります。病院に行かなくてはいけないと思っているのですが、胸を見せるのがはずかしくてなかなか行けません。何科の病院に行くべきかもわかりません。助けてください。回答お待ちしております。

4、5年前から症状を繰り返しているようなので、乳癌などの悪性疾患は考えにくいと思います。今回は痛みを伴うとのことですが、乳頭のただれがひどいために、化膿(雑菌がついた)している可能性も考えられます。以前に診察していただいた皮膚科の先生に見てもらうのが良いと思いますが、もし大きい病院での診察に抵抗があるようならば、皮膚科には女性の先生が多いので、電話帳等で調べて、皮膚科の女医さんをさがして診察してもらうのも、一つの方法だと思います。「胸が締め付けられるような苦しい痛み」は、乳頭の病気が軽快すれば、自然に感じなくなるような痛みだと思います。少なくとも乳癌の可能性は低いので、あまり心配しすぎないようにしてください。(文責 千島)

 

No.1038】 02年07月10日 K.T. 
妊娠について

昨年の8月に乳がんで左胸切除術を受けました。リンパ節への転移が26個中4個あったため、抗がん剤治療を6ヶ月行いました。抗がん剤は【エンドキサン 5FU ファルンルビシン タキソテール】でした。今年3月から無月経になりました。これから先、ずっと生理が来ないのでしょうか? 生理がないという事は、妊娠できない体になってしまったという事ですね。どうしても子供が欲しかったので、質問させて頂きました。現在31歳なのですが、この歳で無月経になると、体に何か問題が起きないのでしょうか? よろしくお願いします。

現在はホルモン療法を行っていないことを前提として考えると、閉経の原因は化学療法であると考えられます。ひと時代前まで代表的な術後化学療法であった、CMF(エンドキサン メソトレキセート 5FU)療法を、40歳以下の若い女性に施行した場合、10〜20%程度の症例で閉経となっていました。貴女の場合は、4種類の抗癌剤を使っているので、卵巣に対する影響はCMFよりも多いと考えられます。一時的な卵巣機能の低下であれば、化学療法終了後、半年から1年くらいで生理が再開します。貴女の場合は化学療法終了後、まだ半年前後なので、これから生理が再開する可能性は充分にあるので、もうしばらく経過観察しても良いのではないでしょうか。化学療法終了後、1年近くたっても生理が再開しない場合は、卵巣機能が廃絶してしまった可能性も否定できません。そのような時は、卵巣がホルモン刺激にどの程度反応するか、内分泌学的検査が必要となるので、主治医もしくは婦人科医に相談してみてください。ちなみに、現在もリュープリン、もしくはゾラデックスによる ホルモン療法(月1回の皮下注射)を行っているのであれば、ホルモン療法の中止と共に、生理が再開する可能性が高いと思われます。また注意すべき点としては、薬剤による閉経後にも、更年期障害などの症状は認めるので、長期的に見ると骨粗鬆症などの女性ホルモン欠落症状、障害が出現する可能性があります。そのような場合には、主治医と相談しながら対応していくようにしてください。(文責 千島)

 

No.1037-1】 02年07月10日 N.N.
リンパ液の溜まりについて

私の母(67才)は、10年前に左側全摘の手術を受け、今年の3月に右側全摘の手術を受けました。今回はリンパ転移が3つあり、6月にCEF3クールを終了し、今は放射線治療中です。術後リンパ液が溜まりやすく、今でも週2回抜いてもらっています。手術から3ヶ月も過ぎているのですが、そのうち溜まらなくなるのでしょうか? 原因は何ですか? ノルバデックスを飲むよう指示があり暫く経口していましたが、舌がピリピリしたり、少し吐き気がしたり、息切れがしたりで、今は休薬しています。抗癌剤よりは副作用が少ないと聞いていますが、まだ点滴の副作用が残っているとも考えられますか? かわりに漢方薬等、ホルモン剤以外を処方してもらっても良いのでしょうか?それとも、やはりホルモン療法の方が効き目があるのでしょうか? お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

乳癌術後のリンパ液貯留は、2〜数週間で消失することがほとんどです。原因としては、手術操作によって皮下のリンパ管が切除されるため、本来はリンパ管を通って血管内へ戻っていくリンパ液が、行き場を失って皮下に貯留するためです。長期間に渡って症状が継続する場合は、比較的太いリンパ管が切れている可能性があります。稀ではありますが、リンパ節郭清を広範囲に行ったため、鎖骨上部のリンパ管が切れてリンパ液が止まらなくなることがあります。鎖骨上部(特に左側)では、腹部、胸部、頚部からのリンパ液が集まるので、その部位でリンパ管を損傷すると、術後のリンパ液がとまりにくくなる場合があります。その他、乳癌手術創に細菌などがついて、感染が治まらない場合や、患者さんの栄養状態が不良で、体内のタンパク質が足りない場合でも、リンパ液が止まらなくなることがあります。治療のためには原因を除去しなくてはなりませんが、原因によって検査方法が変わってきますので、これ以上症状が続くようならば、主治医から詳しい説明を受けるようにしてください。現在、お母様は術後化学療法が終了したとのことですが、その後も内服薬で抗癌剤を服用しているようならば、舌のしびれなどの副作用は、経口抗癌剤によるものかもしれません。ホルモン剤でも、体内ホルモン環境の変化で、吐き気、めまい、食欲不振等の不定愁訴(一定しない症状の訴え)が出現する場合も少なくありません。もちろん点滴の副作用も否定は出来ません。特にエピルビシン(CEF療法のときに使用する抗癌剤の一つ)の副作用で、0.5%未満ではありますが、口腔内異和感という症状もあります。あまり副作用が強いようならば、原因と考えられる薬剤を一つずつ中止して経過を観察していく必要があります。しかし、原因薬剤が判らないうちに、自分の考えで内服を中止してしまうことは好ましくありません。原因薬剤を特定するために、症状発現の時期や、その程度をまとめて、主治医の先生に相談してみることをお勧めします。(文責 千島)

 

No.1037-2】 02年07月15日 N.N.
抗癌剤とホルモン剤について

先日は、母のリンパ液の溜り(術後)についてご回答頂き、ありがとうございました。母(67才)は、6月にCEF3クールを終了し、今は放射線治療中です。先日もちょっとお尋ねしたのですが、ノルバデックスを経口したところ息切れや胸やけ等の症状があったので2週間休薬し、今回違う薬を処方されました。エンドキサンP錠という抗癌剤のようですが、ノルバデックスよりも副作用がきついのではと心配しています。脱毛などの副作用はないでしょうか? 経口の抗癌剤とホルモン剤では、効き目の違いはあるのでしょうか? それと、CEF点滴終了後に爪が黒ずみ、なかなか消えないのですが、一般的に点滴の抗癌剤の副作用はどのくらいで消えるのでしょうか? まとまりのない文章で申し訳ございませんが、よろしくお願い致します。

ノルバデックスDは、タモキシフェンと呼ばれるホルモン治療剤で、エンドキサンPはシクロホスファミドと呼ばれる化学療法剤です。この2種類の薬は、生物学的性質、作用機所ともに根本的に異なっているものです。一般的に、「ノルバデックスDの代用としてエンドキサンPを処方する」ということはありません。シクロホスファミドについては、お母様が受けてきたCEF療法の中にも含まれており、CEF療法のCの意味は、Cyclophosphamide(シクロホスファミド)の頭文字です。タモキシフェンをはじめとしたホルモン剤というものは、乳癌、前立腺癌などの性ステロイドホルモンに由来する、ごく限られた癌でのみ使用される薬剤で、乳癌患者の中でも、ホルモン剤に感受性がある乳癌細胞の場合にしか使用できません。ホルモン剤は、化学療法剤のように急激な効果を認めませんが、重篤な副作用も少なく、長期間にわたって効果が持続します。また、ホルモン剤は乳癌細胞への特異性が高いため、骨髄細胞抑制など副作用は、化学療法剤に比べてはるかに少ないと考えられています。他の副作用についてみても、胸やけなどの消化器症状の出現は、タモキシフェンの服用では5%未満と低率ですが、シクロホスファミドの場合は、単独服用でもかなりの確率で悪心、嘔気が出現します。脱毛に関しても、タモキシフェンでは5%未満と低率ですが、シクロホスファミドを併用する抗癌剤治療では、高頻度で脱毛を認めます。副作用の継続期間は、その症状によっても異なります。悪心や嘔気は数日から数週間以内に消失することが多いのですが、脱毛や爪の異常は、抗癌剤投与を中止しても、新しいものが生え変わってくるまでは、完全には消失しません。また、経口の抗癌剤を継続して内服すれば、症状が遷延する可能性もあります。抗癌剤の選択法、投与期間についてのガイドラインは、大筋のところでは決まっているのですが、症例毎での細かい調整は、主治医の考えによるところが大きいので、薬剤変更理由などの詳細については、主治医に相談してみてください。(文責 千島)

 

No.1036】 02年07月10日 M.S.
乳輪下膿瘍の根治手術について

33才の主婦で、子供はいません。3年前に乳輪下膿瘍になり切開排膿しました。先月の始めに再度乳首から膿が出たので切開し、今月の終わりに根治手術を受けることになりました。担当医のお話では、根治手術後も同じ場所から再発してしまうケースがけっこうあって、完治するのはなかなか難しいということでした。それでもやはり根治手術は受けた方が良いのでしょうか? また、再発を防ぐには乳首を清潔に保つことはもちろんだと思いますが、それ以外に気をつけることがあれば教えて下さい。

乳輪下膿瘍の手術は、膿瘍(膿の溜まっている袋)と同時に、その原因となっている病的乳管を切除します。貴女のような「33才の主婦で子供はいません」という場合、これから先に妊娠、出産の可能性があるので、乳輪下膿瘍の手術後に、授乳に伴う乳腺炎を起こす可能性があります。このような場合は、病的乳管に続いている腺葉組織(母乳を分泌する部分)も一緒に切除してしまう手術方法もあります。しかし、乳輪下膿瘍の原因となる乳管が複数存在する人もいるので、ある程度の割合で再発を認めることも確かです。陥没乳頭が原因となる場合が多いのですが、特にこのような人では、指で陥没している乳頭を押し出して、綿棒などで汚れを取り除き、乳頭の先に垢や分泌物の塊が付着しないように心がけてください。手術の時期、タイミングについては、症状の程度、再発する頻度によって異なります。手術の種類も大きい範囲で切除すれば根治性は高くなりますが、傷が大きくなったり、妊娠前の人では乳腺炎を合併しやすくなりますし、小さい範囲の切除ならば、傷も小さくなりますが、再発の可能性が高くなります。残念なことに乳輪下膿瘍の手術では、それぞれの施設がそれぞれの工夫で行っているのが現状で、乳癌の手術のように定型的な確立された手術法がありません。もし、手術を受けることに不安を感じているのならば、妊娠、出産の予定等を含めて、もう一度主治医の先生とよく相談されてはいかがでしょうか。(文責 千島)

 

No.1035】 02年07月10日 Y
女性化乳房症

僕は22の男です。成長期の時に乳首にしこりができました。それが今になっても全然無くなりません。もう6年以上です。これは自然に治りますか? 正直恥ずかしくてしこりをとりたいのですが、方法はありますか?

女性化乳房症については、No.1015、1031にも記載してあるので参照してください。貴方のしこりは、もう6年以上も変化がないということなので、逆に「乳癌の心配はない」ということでもあります。しこりの大きさにもよりますが、「ほくろ」などと同じと考え、自分の体の一部として受け入れるようにして、あまり気にしないようにしてはいかがでしょうか? もし、どうしても気になるようならば、乳腺専門の外科を受診するか、美容形成外科などの病院で、傷が目立たないように摘出してもらうのも、一つの方法だと思います。(文責 千島)

 

No.1034】 02年07月09日 M.H.
浸潤性乳癌について相談させてください

39歳の妻の夫です。妻は数日前に左胸乳癌の乳房全摘出手術を受けました。以前から主治医からは5mmx7mmの石灰化した部位が一箇あり、乳癌かどうかは五分五分ということで、検査手術を受けるように薦められました。その結果が2時間後にわかる(他の大学病院へ組織を送り緊急で調べるので、2時間後に結果が出る)ので、もし悪性であれば部分切除手術を当日行うという予定でした。結果として病理検査が悪性であり、かつ部分切除(4分の1)の予定が、切除断面にも術中にがん細胞がみつかり、なんと全摘出手術に急遽変更となりました。術中でしたので、妻は麻酔で意識はありませんでしたので、先生の説明を聞いて私が判断しました。判断といっても素人なので、先生が薦められたのでという事にはなりますが、あまりに急であり、今でもかなり不信があります。主治医の話ですと、摘出検査で悪性であれば、すぐに悪性腫瘍部分だけでも摘出しないと、がん細胞が広がるという事でした。したがって、検査結果が出た当日に手術を行う事になっておりました。また、かなり強い浸潤性乳癌であり、リンパ節への転移もほぼ間違いなくあるという事でした。病理検査結果が出る前に術後の経過を見て、出来るだけ早く化学療法を始める必要があると言われています。私としては転移数がどれくらいあるかを確認した上で、術後の治療を決めていきたいと思っています。というのも、もともとは乳房への痛みなどはまったくなく、自分で触ったところ小さなしこりがあるので、現在の病院で精密検査を行ったところ、5mmx7mm程度の石灰化した部位が一箇所だけ発見されただけでしたので、それほど治療を急ぐ必要があるのかが疑問です。また、部分摘出が全摘出に急遽変更になった事だけでも不信感が少々募っております。基本的には非常に親身になって頂いている主治医の方なのですが、やはり今後の治療についてはよく認識した上で判断していきたいというのが今回の質問ですし、それが主治医との信頼関係にも繋がるとは思いますので。お急がしところ恐縮ですが下記にいくつか質問をさせて頂きますのでよろしくお願い致します。

1.浸潤性乳癌について教えて頂けますでしょうか? いわゆる進行性の高い癌という事と聞いておりますが・・・。
2.かなり強い浸潤性乳癌というのは、具体的にどういう意味でしょうか。進行性が早いという事だとは思いますが、どのように判断するのでしょうか。
3.術中にリンパ節を切除したときにみた限りでは、かなり転移していると判断されているようです。やはり、見て触っただけでかなりわかるものなのでしょうか。妻の場合はリンパ節は切除しました。
4.今のところ他の臓器への転移はないようですが、やはり浸潤性乳がんの場合は術後に抗がん剤で治療をする必要があると思いますが、1日をあらそう程の事情はあるのでしょうか。
5.抗がん剤は1クール28日と聞いており、通常は4クール(4ヶ月程度)くらいの期間、継続するようですが、中断する目安はなんでしょうか。
6.乳房の癌細胞を切除したとたんに、急激に転移が起こる事が考えられるのでしょうか。言い換えると進行性が早まることがあるのでしょうか。

最後に術後の転院というのはあまり問題ないのでしょうか? 現在の主治医の話ですと、5mmx7mmの癌細胞で乳房内にこれだけ広がっているケースはあまり例がないような話をされているので、乳癌専門の外科医のいらっしゃる大学病院か癌センターへ転院したほうが良いのかと思っています。通院等を考えた場合にはやはり自宅に近い方が良いと考えて、現在の病院にしました。しかし、内容が変わってきたので、転院も検討する必要があると考え始めましたので・・・。以上少々長くなりましたが、よろしくお願い致します。

1.浸潤性乳癌というのは、乳管内で発生した癌細胞が、乳管以外の部分へこぼれ落ちている状態をいいます。これに対応する言葉として非浸潤性乳癌というものがあります。この二つの乳癌の根本的な違いは、浸潤性乳癌はリンパ節を含めた他臓器へ転移する能力があり、非浸潤性乳癌は、転移する能力がないために、病巣部分だけ切除すれば完治するということです。「浸潤性乳癌=進行性の高い癌」と言う意味ではありません。ちなみに、2cm以下の浸潤性乳癌でも、明らかなリンパ節転移を伴わなければ、早期乳癌という分類に入ります。

2.「かなり強い浸潤性乳癌」の意味がわかりませんが、通常、細胞の悪性度は病理組織学的判断をします。悪性度の判定は、細胞の異型度(正常細胞と比べてどのくらい異常か)と、分裂像(細胞が増殖していく速度)で判断します。細胞悪性度が高いからといって、より多くの転移が出現しているとは限りません。細胞悪性度が高くても早期乳癌に分類される場合も多々あります。

3.術中、術後の触診でも、リンパ節転移の有無はある程度の判断はつきますが、医師の経験や、リンパ節の状態によってもかなりのバラツキがありますので、病理診断の結果が出るまでは、参考程度に考えておいた方が良いと思います。

4.術後化学療法の適応は、腫瘍の大きさ、ホルモンレセプターの有無、細胞異型度、年齢、リンパ節転移の有無等で決定します。特に大切な所見はリンパ節転移の有無なので、貴方のおっしゃるように、まずは病理学的診断結果を見てから、治療法を決定する方が得策だと思います。

5.抗癌剤の治療法は、使用する抗癌剤によって投与間隔、使用期間が異なります。一般には、28日間隔 X 4ヶ月間という方法だけではありません。抗癌剤の種類、使用法によって、効果や副作用の発現率が異なります。抗癌剤治療開始前に、奥様の病状に合った抗癌剤の投与方法を、主治医とよく相談することをお勧めします。抗癌剤の中止は副作用の程度に関わってきます。医師側としては白血球減少が、最も注意すべき副作用なのですが、患者さん側からすると、吐き気や嘔吐、食欲不振、脱毛、下痢等が中止の原因になることがあります。

6.手術が契機になって、急激に転移が起こってくるという事実は証明されていませんので安心してください。ただ、乳癌細胞が体内に残っている可能性がある場合は、出来るだけ早期に放射線、抗癌剤、ホルモン剤の投与を行うことをお勧めします。だからといって、病理診断結果を待たずに治療を開始するというのは、少々焦り過ぎのように感じます。

7.「5mmx7mmの癌細胞で乳房内に拡がっているケース」も決して珍しくはありません。治療法について疑問が残るのであれば、他の施設へ行ってセカンドオピニオン(他の専門医の意見)を聞くことも大切だと思います。転院、セカンドオピニオンのいずれを選択するにしても、主治医から詳しい経過、検査所見を記載した紹介状を受け取ってから、次の施設を受診することをお勧めします。(文責 千島)

 

No.1033】 02年07月09日 M.N.
左胸のしこりについて

34歳既婚女性、出産経験1年7ヶ月前に一度ありです。今年の6月に個人病院でガン検診を受け、数センチのしこりが左胸に一つあることを発見しました。触診で、しこりの動きからガンではないだろうと言われましたが、念のため大学病院の乳腺外科に紹介状を書いてもらい、その一週間後に受診しました。そこで診ていただいた医師からも、触診の感じは良性と判断されましたが、吸引細胞診と、マンモグラフィ、超音波の検査を受けました。その結果はクラスWでした。思わぬ結果に、さらに検査を進めてはっきりさせるため組織検査を行い、現在結果待ちの状態です。質問です。
@わたしのように医師の判断と病理医の判断が異なる事はよくあることなのでしょうか?
A組織検査結果次第で治療方法も変わってくるとは思いますが、考えられる正検はどのようなものがありますか?
BこちらのHPの説明を読むと、ほぼわたしの場合乳癌になるのかな・・・と覚悟はしているのですが、セカンドオピニオンを受診する意味はありますか?

答えにくい内容かもしれませんが、よろしくお願いします。

皮膚がへこんでいたり、皮膚の色に変化があるような進行乳癌の場合は、まず視診・触診で確実に診断がつきますが、乳癌がすべて同じような触診所見を示すわけではありません。癌の種類によっても、患者さんの乳房の形、大きさによっても触診所見が変わってきます。一般に、我々のような乳腺専門医が診察しても、触診で診断できるのは、2cm以下の乳癌で約70%、5cm以下まで広げても約90%にしかなりません。最終的に、癌であるという決定的証拠となるのは病理診断なので、触診上は良性と思われても、病理診断が悪性ならば、そちらの方が正しい診断となります。乳癌であった場合の治療法は、腫瘤の大きさや、リンパ節転移、遠隔転移の有無などによっても異なります。貴女のように、触診上、良性との鑑別が難しいような乳癌ならば、通常は手術療法が先行すると思います。リンパ節郭清を行うかどうかは、組織診断上、浸潤性乳癌か、非浸潤性乳癌かによって異なります。もうお分かりのように、乳癌治療は症例によって治療法が大きく異なります。それと同時に、主治医によっても治療法の選択が異なることがありますので、もし自分が受けた診断、治療法に疑問が残る場合は、他の施設へ行ってセカンドオピニオンを聞くことも大切だと思います。乳腺専門の先生ならば、セカンドオピニオンで患者さんを紹介することも受けることも日常茶飯事なので、遠慮や気兼ねをせずに、セカンドオピニオン希望の意思を申し出るようにしてください。(文責 千島)

 

No.1032】 02年07月09日 M.T.  
乳首からの多量な分泌液

私(24歳)は10代後半の頃から乳首直下に良性のしこりがあり、何度か病院で検査しているのですが、乳がんの可能性はないとのこと。でも頻繁に乳首から透明の分泌液が出てきて悩んでいます。ブラジャーはいつも黄色い液体が付着して汚れてしまいます。しこりは異常なしという診断なのですが、乳首からの分泌液が気になって気になって仕方がありません。これはほおっておいても本当に大丈夫なのでしょうか?それともしこりを切除した方がいいのでしょうか? 病院の先生曰く、私のしこりは乳管のそばにあるため、分泌液が押されて出やすいそうです。このままほおっておいて、乳がんになる可能性などあるのであれば、すぐにでも切除した方がいいのではないかと考えております。どうか先生のアドバイス、お願い致します。

乳頭分泌物としこりの関係についてですが、超音波検査で乳頭下の乳管に拡張を認め、それに伴う嚢胞(水の溜まった袋)を認めるのならば、このしこりが分泌物を産生する原因になっているかもしれません。分泌物の性状は、水様性で黄色い液体のことが多いのですが、血のように赤みを帯びているときは、乳癌の可能性も否定できませんので、専門医の診断を受けるようにしてください。しかし、貴女のような黄色い液体の場合はほとんど心配ありません。乳頭に陥凹を伴なったりすると、乳管に細菌が付着して強い炎症を生じることがあります。これを乳輪下膿瘍といい、ひどくなると切開して膿を外に出さなくてはなりません。さらに、これらの症状を繰り返すときには、手術による乳房部分切除術が適応になる場合もありますので注意してください。また、貴女の年齢では乳腺組織が成熟している時期でもあり、生理的に乳頭分泌物が多く認められることも少なくありません。このような場合は、年齢変化や妊娠・出産などでホルモン環境が変わると、乳頭からの分泌量が減ってくることも考えられます。しこりについては、検査所見がないのではっきりしたことはいえませんが、主治医は乳癌を疑う所見は無いと考えているようなので、今すぐに手術をする必要はないと思います。しかし、良性腫瘤の一部には、腫瘤摘出が必要になる場合もありますので、増大傾向があるならば、早めに乳腺専門医へ相談することをお勧めします。(文責 千島)
 

No.1031】 02年07月09日 SACHI  
主人の乳首のしこり

主人(29歳)のことで相談なのですが、数カ月前から左の乳首にしこりができ、 触れると痛みがあります。乳首自体も少し盛り上がっているような感じです。病院に行くわけでもなく、そのままにしておいたのですが、最近になって右の乳首にもしこりができ、やはり触れると痛いようなのです。お酒は結構飲む方なのですが、そのせいかと気になっています。原因がさっぱりわからず放置したままなのですが、病院に行くべきでしょうか。行くとすれば、何科で診察してもらえばいいのでしょうか。教えて下さい。宜しくお願い致します。

症状から考えると、女性化乳房症が考えられます。女性化乳房とは、簡単に言うと「男性に女性のような乳房が出現すること」なのですが、人によって症状は様々で、女性のように乳房のふくらみが出現して、乳輪、乳頭の肥大を伴う人もいれば、本来男性では退縮しているはずの乳腺組織が、硬く触れるだけの人もいます。両側性で症状が出る場合もあれば、一側性の場合もあります。御主人の場合は、初めは左だけであったのが、最近は右にも症状が出てきたようですね。思春期に発症する場合と、60歳代以降に発症する場合が多いのですが、30歳前後で症状に気がついて病院を受診する人も少なくありません。症状としては、痛みを伴う乳房のしこりで乳頭もしくは乳輪下に多く認めます。病因としては、精巣腫瘍などのホルモン性の疾患に伴うもの、肝臓、腎臓疾患に伴うもの、薬剤に起因するもの、原因不明などがあります。御主人の場合は、最近酒量が増えているとのことですね。年齢的に肝臓機能障害による女性化乳房症とは考えにくいのですが、会社の健康診断で肝機能異常を指摘されたことはありませんか? また、晩酌が度を過ぎて、肥満傾向にある場合も、女性化乳房症の原因となりますので注意してください。しばらく経過を観察しても良いと思いますが、もし気になるようならば、乳腺専門の外科医に相談して下さい。(文責 千島)

 

No.1030-1】 02年07月09日 O.H.
非浸潤性乳管癌について

43歳の女性です。左胸に1.7cm〜2.0cmのしこりがあり、6月上旬に手術(温存)しました。その時にリンパ節郭清もしましたが、病理検査の結果、非浸潤性乳管癌でした。手術中の病理検査で断端(+)の箇所を1箇所追加切除(+1cm)しました。
1)医師からは放射線照射と追加切除した部分について、追加照射を薦められています。非浸潤性乳管癌でも放射線照射は必要なのですか。
2)病理検査の結果ホルモンに反応する癌と判明したので、ホルモン療法も薦められています。非浸潤性乳管癌でも、ホルモン療法をした方が良いのでしょうか。する場合はどんな薬が良いのですか。
3)リンパ節郭清(2本)をしたことで、将来リンパ浮腫が心配なのですが、一旦なると冶らないときいていますが、日常生活で気をつける点を教えて下さい。

1)非浸潤性乳癌は、転移の可能性はない早期乳癌に分類されますが、往々にして乳房内に広範囲に拡がっており、乳房温存術の適応外になることもしばしばあります。貴女の場合は、術中病理検査では断端が陽性で、追加切除を行ったとのことですが、一番問題なのは、術後の最終病理診断で、乳腺断端から癌病巣まで、どのくらいの距離があったかということだと思います。非浸潤性乳管癌は、病巣が完全に切除されていれば、理論的には再発の可能性はありません。しかし最近は、乳腺断端から病巣までの距離が10mm以内の場合は、放射線治療を追加した方が良いと考えられています。また、温存された乳腺組織に多発微小乳癌がないとも限らないので、非浸潤性乳管癌の患者さんでも、通常の乳房温存術と同じように、放射線照射を行うのが一般的だと思います。
2)ホルモン剤に関しても同様で、非浸潤癌の病巣が、病理学的に完全に切除されていれば、ホルモン剤を服用しなくても、乳癌の再発はありません。しかし、主治医によっては多発癌の可能性や、新たなる乳癌の発生予防を考慮して、ホルモン剤を処方する場合もあるようです。ただし、ホルモン剤による乳癌予防効果に限っては、本当に有効であるかどうかの結論は出ていません。
3)リンパ節郭清を伴う乳癌手術を受けた患者さんでは、約10%程度で上肢のリンパ浮腫が出現するといわれています。これは術後早期に出現する人もいれば、何年(人によっては何十年)も経過してから、初めて症状が出てくる人もいます。特に鎖骨付近に放射線治療を行った患者さんでは、リンパ浮腫の出現頻度が増加します。症状が出たときは、漢方薬や利尿剤の内服治療を行ったり、弾性包帯やマッサージ器で理学療法を行って治療を進めます。もちろん、発生予防に努めることが重要で、特に夏場などに、虫に刺されたり、日焼けをしたり、怪我をしたりして、腕のリンパ流が増えるような刺激を与えないようにしてください。腕がだるくなるような激しい運動でなければ、日常生活での制限はありません。(文責 千島)

 

No.1030-2】 02年07月14日 O.H.
非浸潤性乳管癌について(2)

早速お返事有難うございます。「非浸潤癌が浸潤癌に変化するには特殊な酵素が必要で、その酵素を作り出せるような遺伝子変異が、癌細胞に生じないと変化できないが、その遺伝子変異が簡単に生じるかどうか疑問だ」ということが本に書いてありました。私の場合、術後の最終病理診断検査の結果、非浸潤性乳管癌で、追加切除した部分の一ヶ所に断片から5ミリ以内まで癌が伸びていました。だから放射線治療(25回)は必要なのですね。それで主治医からその5ミリ以内まで癌があったところ1ヶ所に追加照射(+5回)もしましょうと言われていますが、必要なのでしょうか。それとER(+)PGR(+)HER(−)リンパ節転移(0/13)だったのですが、効果があるかどうかわからないけれどホルモン療法もしたほうがよいでしょうか。するとすれば、副作用の少ない薬はあるのでしょうか。また主治医からは異型度や分裂像などの説明はなく、悪性度が3だということだけ聞きましたが、それは非浸潤癌の場合、どう理解したらいいのでしょうか。お忙しいところ申しわけありませんが教えてください。

非浸潤癌が浸潤癌へ変化するためには、乳管壁を破って外の組織へ入り込んでいかなくてはなりません。そのためには、いくつかのタンパク分解酵素を必要とするため、何らかの遺伝子変化が生じて、癌細胞がこれらのタンパク産生能を獲得するといわれています。しかし、これはあくまで研究レベルでの話で、非浸潤癌から浸潤癌へ変化するための条件については、未だ多くの謎に包まれています。非浸潤性乳管癌は組織構造学的に、篩(ふるい)状型、乳頭型、微小乳頭型、充実型、平坦型、面疱型に分けられています。それとは別に、細胞核異型度によって低悪性度(Grade1)、中悪性度(Grade2)、高悪性度(Grade3)に分類する方法もあります。一般的に、Grade3は面疱型の場合が多く、貴女の乳癌組織が悪性度3というのは、面疱型だったということかもしれません。この場合は、Grade1、2に比べて残存乳房再発に対する注意が必要かもしれません。貴女が受けた乳房温存術式が、乳房円状部分切除なのか、乳房扇状部分切除なのかによっても異なってきますが、乳房円状部分切除の場合で考えると、切除断端から5mm以内に癌が存在している場合は、約10%程度で再発の可能性があると考えられています。そのためこのような場合は、残存乳腺の切除断端付近に、放射線の追加照射(10Gy/5回)を行う方が良いと考えられています。ホルモン療法の効果については、非浸潤癌術後に残存乳房再発する確立が10/100人程度だと考えると、ホルモン剤の5年間内服により、このうち半分の5人くらいは再発が防げる可能性があると考えられています。しかし、このデータは海外で発表されたもので、明らかに癌細胞が乳房内に遺残している症例を含んでいます。日本のように、原則的には切除断端に癌が残らないような手術を行っている場合では、ホルモン剤内服によって再発予防効果が認められるかどうかは判っていません。ホルモン剤を内服するかどうかは、副作用とのバランスを考えながら、主治医とよく相談して決めるようにしてください。いずれにしても、非浸潤癌に対して乳房温存術後に局所再発した場合は、再発部分の追加切除を行うことで、ほとんどの症例が治癒可能と考えられています。(文責 千島)

 

No.1029】 02年07月09日 A.Y.
姉の乳癌について

突然で申し訳ありませんが、姉の乳癌について相談したい事があります。私の姉(現在33歳で、3歳と1歳半の子供がおります。)は6月の中旬頃に左胸の乳首から出血するとのことで埼玉のS病院に診察に行き、7月5日検査を実施、乳癌と診断されました。細部の事はよくわかりませんが5段階のうちの4だと言われ、手術は麻酔医の都合上7月26日に行うと言っていたと私の母が姉から聞いたそうで、詳しいことは7月8日に姉の旦那さんと母が病院に聞きに行く予定です。
私がここでお聞きしたいのは5段階のうちの4とはどういう状態なのか、また他の場所に癌が転移をしている可能性は4だと、どの位の可能性があるのか、麻酔医の都合上7月26日に手術をするのでは遅いのではと思うことと、可能であればS医大やB医大のほうがいいのではないのかと看護婦をしている親戚が言っておりましたが、そうしたほうがいいのかアドバイスをお聞かせ下さい。

貴女のお姉さまは、血性乳頭分泌物で乳癌の可能性を指摘されていることから考えると、「5段階のうちの4」というのは、おそらく細胞検査の結果だと思います。通常、細胞検査は次のように判定されます。

T:正常乳腺細胞のみを含む
U:炎症等の細胞変形を認めるが、正常範囲の細胞を含む(良性腫瘍が含まれる場合
もある)
Va:正常細胞とは異なる細胞を含む(良性の可能性が高い)
Vb:正常細胞とは異なる細胞を含む(悪性の可能性がある)
W:癌細胞に似た細胞を含む(70〜90%が癌)
X:明らかに癌細胞を含む

この細胞検査の結果は、4であれ、5であれ、乳癌の転移率とは関係がありません。血性乳頭分泌物で発見される乳癌は、非浸潤性乳癌と呼ばれる早期癌のことが多いのですが、この場合は乳癌が他の臓器に転移している可能性はありません。いずれにしても、手術までの3週間で、急激に乳癌が進行して手遅れになるようなことはないので、心配する必要はないと思います。近年の乳癌治療に関する進歩は目覚しいものがあり、乳癌の治療を行っていく時には、かなりの専門知識が必要とされます。乳癌治療を行っていく上で一番大切なのは、病院の規模や有名度ではなく、きちんとした乳腺専門医がいるかどうかだと思います。治療法について納得がいくような説明をしてくれる主治医がいれば、いずれの病院で治療をなさっても問題ないと思います。乳癌の治療は長期間に及びますので、主治医との信頼関係が築けるか否かが、治療を続けていく上で重要な要素であることを忘れないでください。(文責 千島)
 

 

No.1028】 02年07月09日 H.O.
乳がん手術後の腰痛と子宮摘出について

46歳主婦です。8年前に右乳房に2センチの乳がんを温存手術し、抗がん剤を2クール後、放射線を25回あてました。その後3ヶ月毎に検査に通いましたが、昨年12月に前のガンあったところの胸の奥に4.5センチのガンがみつかり、右乳房を全摘し、リンパ節にも1個転移があったので、リンパ節も3分の2取りました。病理の結果、転移の可能性の高いガンだったので、抗がん剤を2クール後、今年2月よりノルバデックスを服用し始めました。その後2月25日に少量の生理があった後、閉経しました。また、5年前から子宮筋腫があり、年に2回検査していましたが、昨年5月で握りこぶし1個大でしたが、今年5月には握りこぶし2個大にまで大きくなってしまいました。その後6月12日より、ノルバデックスをやめてアリミデックスを服用し始めました。すると6月15日頃から、腰痛がおき、腰を曲げていないと辛くなってしまいました。6月29日に子宮より大量出血し入院、MRIの結果、子宮後壁筋層内に径131×106×114の子宮筋腫と、そのほかいくつかの小さい筋腫と左卵巣に63oの嚢胞がみつかりました。医師から、子宮と左右の卵巣を全摘すべきと言われました。そこで教えていただきたいのですが、
(1)筋腫が大きくなったのはノルバデックスを服用したためか?アリミデックスに変えたせいか?
(2)右の卵巣も摘出したほうがよいのかどうか?(卵巣を摘出すると骨量が下がってしまうので良くないように思いますが。)
(3)来週子宮筋層の細胞検査をしたあと手術する予定ですが、手術は早くすべきでしょうか?
7ヶ月前に乳がんの手術をしたばかりで、やっと腕が普通に動かせるようになったばかりなので、またここで手術するのは本当に大変です。どうしたらよいか迷っています。どうぞよろしくお願いいたします。

ノルバデックスを含むタモキシフェン製剤を服用した場合、子宮にたいしてエストロゲン(女性ホルモン)様作用を示すと考えられており、0.1%未満ではありますが、副作用として子宮筋腫が新たに出現することがあります。そのことを考えれば、以前から存在している子宮筋腫が増大する可能性は否定できません。一方、閉経後の女性では、卵巣ではなく、皮下脂肪でエストロゲンが作られます。この女性ホルモン産生を抑制するのがアリミデックスです。そのため、アリミデックスの服用で子宮筋腫が小さくなることはあっても、増大してくることはないと考えられます。また、一般的に卵巣は婦人科疾患の発生母地となりやすいため、貴女のような病状では、子宮と両側卵巣を摘出する場合が多いようです。機能がなくなってしまった卵巣を摘出するよりも、アリミデックスの副作用の方が、骨量の低下に対する影響は大きいと考えられます。子宮筋腫の手術時期に関しては、貴女の場合は出血量が多いようなので、早い時期に手術をする方が良いと思います。手術の時期、術式に関しては、婦人科主治医と相談して決めるようにしてください。(文責 千島)

 

No.1027】 02年07月08日 A.H.
炎症性乳がんについて

63歳の義母の病気について伺いたいと思います。左乳房がはれて大学病院を受診しました。いくつか検査をし、今月8日には入院しての検査と言われています。レントゲンでは、乳首の下に白い影のようなものが映っていたと聞いています。「がんのようなもの」と言われたとしか聞いていないのですが、深刻な状態でしょうか?本人や検査に付き添った親戚は「大丈夫じゃない」と楽観的で、詳しく聞いてこないので良くわからないため不安です。乳房は、はれて乳首の下がごつごつして硬い感じがすると言っているようです。毎年乳がん検診を受けていて、昨年7月(約1年前)にも異常なしだったのですが、急にがんになることはあるのでしょうか?炎症性乳がんだとすると進行が早いと書いてありますが、可能性はありますか?お忙しいところ申し訳ありません。お返事お待ちしています。

レントゲンや超音波の所見がないので、はっきりとしたことは判りませんが、主治医が「入院して検査を受ける」、「癌のようなもの」と言っていることを考慮すると、お母様の病気は乳癌の可能性が高いと思います。通常、乳癌は数年間かけて大きくなりますが、乳癌ができる場所、乳房の大きさ、もとの乳房に乳腺症があったかどうか等で、発見が難しい場合もあり、1年間で急に乳癌が大きくなったように感じることもあります。炎症性乳癌は乳房全体の皮膚が赤くなって腫れあがり、毛穴が浮き上がって熱を持っている状態なので、貴女のお母様の症状とは異なっていると思います。現時点では、主治医からの説明が不十分であるようですが、おそらく入院後には主治医からの詳しい説明があると思いますので、そのときはお母様だけではなく、家人も一緒に説明を聞くことをお勧めします。自分の病気と治療法を十分納得した上で、適切な治療を受けていくようにしてください。(文責 千島)

 

No.1026】 02年07月08日 T.K.
両側性乳がんについて

現在32歳。子供2人。
1999.9  左胸中央下に2cmのガン。わきリンパ節1ヶ所に転移あり。ホルモンは(−)。CMF(クール計12回)
2000.12 左胸、胸骨リンパ節に1.8cm 1ヶ所転移。 抗がん剤は断り、放射線治療。
2002.6  左胸鎖骨下リンパ節 転移2ヶ所と病院の定期検査で言われました。半月後、自分で右胸にしこりがあるのを見つけ、同じに右胸鎖骨下のリンパ節にはれを認めました。
右胸がガクンと下に落ち、左胸と同じように乳首の位置もかわってしまいました。両側性乳がんがあると聞きました。それについての知識が全くなく、今後の治療法について伺いたいと思います。医師からは抗がん剤をと言われましたが、それは右胸が見つかる前です。手術をして取り除くことは可能なのでしょうか?よろしくお願いいたします。

両側乳房に乳癌ができる場合には2通りの場合があります。一つは両方の乳房に別々の新しい乳癌が同時期、もしくは1年以上経ってから発生してくるもので、前者を同時性両側性乳癌、後者を異時性両側性乳癌といいます。他の一つは、乳癌の手術後に、もう一方の乳房へ乳癌が転移した場合で、見かけ上は 両側乳癌と区別がつきません。その判別は摘出した乳癌を、病理組織学的に観察して診断します。広い意味では、どちらも両側性乳癌と言いますが、専門的には両方の乳房に別々の乳癌が出来てきたと考えられる場合のみを両側性乳癌といい、転移性乳癌は両側性乳癌とは区別して扱います。
貴女の場合は、経過中に胸骨リンパ節に転移を認めているようなので、転移性乳癌の可能性が高いと思います。治療法は両側性乳癌と転移性乳癌では異なります。両側性の乳癌の場合は、それぞれの癌に対して乳房切除、もしくは乳房温存術を施行しますが、転移性乳癌の場合、特に他のリンパ節や臓器に転移を伴う時には、化学療法を先に選択します。貴女の場合は左右の鎖骨下リンパ節が腫れているようですし、通常は化学療法を行います。鎖骨下リンパ節転移だけならば手術で切除することも可能です。ただし、貴女の場合は両側鎖骨下リンパ節転移、胸骨リンパ節転移があるとのことなので、再度「胸骨リンパ節郭清を伴う拡大郭清術」を施行しなければなりません。この場合、化学療法を施行した時と、長期的な治療効果には差がないようなので、今ではほとんど行われなくなっています。いずれにしても、早期に主治医に右胸のしこりを診察してもらい、肺、肝臓、骨等の転移検索とあわせて、適切な治療を受けるようにしてください。(文責 千島)
 

No.1025】 02年07月06日 K.I.
左胸のしこりについて

40歳の女性です。4月に健康診断で左胸にしこりが見つかりました。昨年の12月に近くの婦人科で乳がんの検査(触診のみ)を受けていましたが、その際は異常は指摘されませんでした。 その後乳腺外科でマンモグラフィー、エコー、細胞診を行った結果、細胞診では細胞が取れなかったので、「取れないときはガンの可能性が低いし、レントゲンでははっきりしないので生検をしましょう。」といわれました。そこで別の乳腺外科で経緯を話し、前述の病院で撮影した写真をみせ、再度エコー、細胞診を行いましたが、クラス2で良性という判定でした。ところがその際、甲状腺をエコーしたところ腫瘍が両方に見つかり(約1・7センチ)、血液検査と細胞診の結果、一方は良性、もう一方はクラス3bの乳頭がんといわれました。このとき、再度胸の細胞診をお願いしましたが「写真の形状などからもガンではないと思う。」ともいわれ、結果は良性でした。
先生は「甲状腺のがんはおとなしいので様子を見ましょう。三ヶ月後にきてください。」と、おしゃいました。 その後1ヶ月がたちましたが、20日くらい前、左の脇の付近と、左の足の付け根に痛みがあり、水泳をかなり激しくやった後だったので、そのせいだろうと思ったのですが、脚の付け根の方は当初よりおさまったものの、足を内側に体に押し付けるように曲げると痛みます。付け根のところに小さな1・5から2センチくらいのグリグリにもふれます。そこで質問ですが
1) 脚の付け根の痛みがリンパ節への転移である心配はないのでしょうか。在るとすればどの程度の確率でしょうか。また悪性リンパ腫であるか心配はないのでしょうか。健康診断の血液検査は腫瘍マーカーを含めて正常でした。この件について3ヶ月後の再診を待たずに、すぐに受診すべきでしょうか。
2) 甲状腺のほうはこのままほうっておいてよいのでしょうか。胸のことがあるので少し心配なのですが・・・。
3) 胸の方は生検してもらう必要はないのでしょうか。

1)足の付け根のしこりは癌の可能性は低いと思います。甲状腺癌が、首のリンパ節よりも先に、足のリンパ節へ転移するとは考え辛いと思います。悪性リンパ腫の場合は痛みより先に芋づる状のリンパ節腫大を認めます。

2)甲状腺の治療法については、主治医と相談することをお勧めします。

3)画像所見がないので、はっきりしたことはお答えできませんが、2人の専門医が診察して「癌ではないでしょう」とおっしゃるのならば、癌の可能性は低いと思います。それでも胸のしこりが気になるのならば、生検について主治医に相談してみてください。(文責 千島)

 

No.1024】 02年07月06日 MIWA
細胞診の結果と乳癌の可能性

HP参考にさせていただき、たくさんの情報ありがとうございます。下記、よろしくお願いします。
29才、既婚、妊娠経験なし。20才のころ、左胸にしこりがあり、外科の先生に触診していただき心配ないとのことがありました。それ以来、すっかりそのことも最近まで忘れていましたが、先日、同じ左胸にしこりを2つみつけ、早速、乳腺外科の先生に見ていただきました。触診、マンモグラフィー、エコー、それから注射で細胞をとって、一週間後に結果がでました。エコーでそれぞれ、0.8mm、1.0mmの楕円形の大きさ、輪郭もはっきり見えましたが、周りの模様と楕円形の内部の組織の模様が似ていることが私の目でもわかりました。念のためということで、2つのしこりの細胞をとって検査した結果、クラス2で、まず心配ないとのことです。HPの中で、「のう胞」や「乳腺腫」などという名前がでていますが、今回の一連の検査や結果の説明の中に、そういった言葉は一切でてきませんでした。私の場合は、そういうものとは関係ない、ただの固まりのようなものと思ってよろしいのでしょうか。クラス2、というからには、何か乳がんに関係する要素があるのでしょうか。また、この検査は、定期的に受けたほうがよろしいのでしょうか。なお、痛みや分泌は一切ありません。お忙しいところ申し訳ありませんが、上記教えていただけますようよろしくお願いします。

超音波検査などの画像所見がないので、乳腺症、線維腺腫等の診断は出来ませんが、細胞診の結果がClassUとのことなので、左胸のしこりが乳癌である可能性は低いと思います。一般的に細胞診の結果は、以下の5段階に分かれています。

T:正常乳腺細胞のみを含む
U:炎症等の細胞変形を認めるが、正常範囲の細胞を含む(良性腫瘍が含まれる場合もある)
Va:正常細胞とは異なる細胞を含む(良性の可能性が高い)
Vb:正常細胞とは異なる細胞を含む(悪性の可能性がある)
W:癌細胞に似た細胞を含む(70〜90%が癌)
X:明らかに癌細胞を含む

画像診断で悪性が疑われる場合は、結果がT、Uであっても、何回か繰り返して細胞診を施行します。貴女の場合は、主治医が「(画像上)まず心配ない」といっているようなので、「乳癌に関係する要素」は見られないのだと思います。(文責 千島)

 

No.1023-1】 02年07月05日 candy
乳腺線維腺腫の摘出について

3月に乳腺線維腺腫といわれた(触診とエコーで)しこりなんですが、昨日別の病院に検査にいったところ、3月は1.3センチだったのが2センチになっていました。昨日はマンモグラフィもして、マンモグラフィでは異常はありませんでした。肺のレントゲンもとったのですが、そちらも異常はありませんでした。先生はわきのリンパが腫れていると言われていたんですが、レントゲンをみて異常はないと言われていました。細胞診の結果は来週でます。乳腺線維腺腫かガンの可能性もあるかも?という話でしたが、不安です。乳腺線維腺腫は何ヶ月かで大きくなりますか?リンパが腫れてるというのはあまり良くないのでしょうか?それからレントゲンではどんなことがわかるのですか?今回の結果が乳腺線維腺腫でも取ってしまおうと思っていますが、取ることで、マイナスになることはありますか?

年齢にもよりますが、増大傾向のある線維腺腫は摘出の対象となります。一般に線維腺腫の手術適応は、
1. 初診時に5cmを超えるような大きなもの
2. 徐々に増大して2cmを超えるようなもの
3. 超音波やマンモグラフィで癌が疑われるようなもの(特に高齢者)
4. 強い痛みが伴うようなもの
5. 位置的に下着などがあたって不快感があるもの
と考えられております。
通常は数年かけて増大していくものが多いのですが、妊娠や授乳を契機に急激に増大することもあります。貴女の場合は、数ヶ月で1.3cmが2cmになっており、このまま大きくなりつづける可能性もあるので、主治医と相談して摘出する方が良いと思います。このしこりが線維腺腫だとすれば、腋の下のリンパ節とは関係ないと思われます。腋の下のリンパ節は、正常の女性でも触知することが多いので、リンパ節腫大=病気ということはないので安心してください。(文責 千島)

 

No.1023-2】 02年07月10日 candy
細胞診の結果

今日細胞診の結果を聞きに行きましたが、再検査でした。細胞が足りなかったみたい?と先生はおっしゃっていました。腫瘍マーカーなどは正常値でした。「おそらく心配はないでしょう。」と言われ、また1ヶ月後、エコーと細胞診をしましょうということで帰って来ましたが、(質問1)細胞診は取れていなかった場合、またすぐには出来ないのですか? それから実は生理後1週間が検査には適していると書いてあったんですが、生理が始まって1週間で、先週病院で検査を受けています。何か関係がありますか? 実はその時はしこりが大きくわかったのですか、今は小さく感じます。先週エコーでみて 2cmぐらいの楕円形のしこりを確認してもらっています。ただ、自分で触るとしこりは板のような感じで、大きさは日によってかなり変動してるように感じます。触った感じが丸ではないので、しこりのみをつかもうとすると、まわりの乳腺?も一緒につかめるような感じで、しこり(丸み)を特定できません。(質問2)エコーで見ている場所は同じようなところに感じたんですか、触って感じているしこりとエコーでみたしこりが違うということは考えられますか?いつも唐突な質問ばかりですみません。自己検診のときに役立てたいのでよろしくお願いします。(私の年齢は28歳です)

1)もし、乳癌が強く疑われるようならば、すぐに細胞を採って再検査を行うか、腫瘍の一部分を切除する組織検査を行います。「1ヶ月」という期間は、腫瘍の大きさや形状の変化を観察するための期間だと思います。明らかな変化があるようならば、主治医も次の段階の検査も考慮するのではないでしょうか。
生理が始まって1週間でも、生理が終了してから1週間でも、性周期では共に低温期にあたるので、細胞検査上で大きな違いは無いと考えられます。

2)もしも”しこり”の大きさが、日によって変化しているように感じるならば、超音波で見えている”しこり”と違う部分を触っている可能性もあります。今度病院を受診した時に、もう一度”しこり”の部分を教えてもらい、正確な位置を再確認してください。自己検診を行うのであれば、病院で「異常なし」といわれた時点での、乳房を触った感覚を基準にして、それよりも硬い”しこり”が存在するかどうか、また”しこり”に増大傾向があるかをチェックするようにしてください。日替わりや月替わりで大きくなったり、小さくなったりする”しこり”は、まず乳癌の可能性はありません。(文責 千島)

 

No.1022】 02年07月05日 S.S
診療の受け方&しこりの片寄りと数について

40才既婚、出産経験なし(昨年春、流産1回)で、今年3月の健康診断で触診でしこりが発見され、4月にマンモグラフィーとエコーを受けたところ左胸に1cm未満の5コのしこりが見つかりました。3ヶ月後に再診しましょうとのことで、7月2日にエコーを受けたところ、1cm未満のしこりが6コあるとのことで、「扁平の楕円のものは心配ないと思うが、厚みのある1コについてはなんともいえない。小さいのでこのまま様子を見て、また3ヶ月後にエコーとマンモグラフィーをします。」と言われ、血液検査をして今回の診察を終えました。このまま3ヶ月ほっておいて良いか少し不安です。また、しこりが左だけ6コと片寄りがあって数も多いのですが、これには何か意味があるのでしょうか。

診察してくださった先生のコメントから判断すると、左胸のしこりの多くは乳腺線維腺腫だと考えられます。線維腺腫については、この相談室にも多くの「質問&回答」があるので参照してください。線維腺腫の約10%程度は多発、両側性に発生するので、左だけに6個の線維腺腫を認めても不思議ではありません。典型的な線維腺腫は、超音波検査で扁平な楕円形に描出されます。逆に、卵型(厚みのある)、デコボコ型のものは典型的とはいえないので、経過観察が必要だと思います。もし、急激にしこりが大きくなってくるようでしたら、3ヶ月が経つ前でも、再検査することをお勧めしますが、症状、大きさに変化がないようならば、主治医の先生のご指示どおり3ヵ月後の再検査でよろしいと思います。(文責 千島)

 

No.1021】 02年07月05日 H.S.
集団癌検診 超音波検査について

集団癌検診の超音波検査で、両乳房に円いものが認められ大きさを測定していました。「これは異常ですか?」の質問に対し、「水かな?」とのコメントがありましたが、それ以上の質問はしませんでした。あとから考えると、検査の結果は約1ヶ月くらい後になると思いますが、そのまま結果を待っていても大丈夫でしょうか。もし癌だとしたら早期処置が有効だと思いますが、どうなのでしょうか。アドバイスをお願いします。(42歳 子供2人です)

超音波検査で水のたまりが見られるとすれば、乳腺嚢(のう)胞が最も考えれます。これは乳腺症の症状の一つとされています。乳癌検診などでも、しばしば乳腺症と言葉を耳にすることと思います。乳腺症といっても、そのほとんどは病気ではなく、正常乳腺の発達や退縮の過程そのものか、生理的な変化から少しだけずれた乳腺組織と考えられています。つまり、当面は治療の必要はないけれども、痛みがある、しこりみたいなものを認める、乳房が張った感じがあるなどの症状を認めるものをひとまとめにしたものを乳腺症と呼んでいます。乳腺嚢胞も例に違わず、よほど大きいものでなければ、特に治療は必要ありません。しばらく経過観察をして構わないと思います。ただし、まれに嚢胞内乳癌という特殊なタイプの乳癌も存在するので、超音波検査の結果次第では、一度専門医の診察を受けることをお勧めします。(文責 千島)

 

No.1020】 02年07月04日 NAKA
再発?(サイバーナイフとガンマーナイフ)

去年の10/29日に左胸を全摘しました。そのときは、リンパ線への転移はなく化学療法を受けていました。先日、術後半年過ぎたのでCTをしたところ小脳に影が映りました。MRIでも影があり、主治医から放射線治療を受けた方がいいと薦められました。治療方法は2通りあり、「サイバーナイフ」か「ガンマーナイフ」といわれたのですが、どのような違い、また副作用等、お教えください。

ガンマーナイフは、比較的小さな3cm以下の脳腫瘍(脳転移を含む)に対して治療効果を発揮します。放射線としてはコバルト60線源を利用しており、小さな穴が沢山あいた金属のヘルメットを頭に固定して高線量の放射線を病巣に集中させて、腫瘍を焼き殺してしまう治療法です。平成8年4月から保険適応になっており、当時の日本では14施設しか稼動していませんでした。現在は施設数も増えているようですが、まだまだどこの施設でも受けられる治療とはいえないのが実状です。サイバーナイフも、ガンマーナイフより一回り大きい4cmくらいまでの脳腫瘍が主な適応となっています。放射線としては高線量のX線で、通常の乳癌治療に用いる放射線と同質のものです。コンピューター制御で作動するため、ガンマーナイフのように、金属のヘルメットを頭に固定する処置は必要としません。原理としてはガンマーナイフと同じで、高線量の放射線を病巣に集中させて、腫瘍を焼き殺します。難点としてはガンマーナイフよりさらに少ない施設でしか稼動していません。2002年1月現在では、日本で6施設のみで、設置が予定されている施設も合計15施設にも満たないようです。治療効果としては、どちらの治療法も同じくらいで、病巣照射がうまくいけば、90%位で何らかの症状改善が期待できるようです。どちらの治療法でも副作用は同じようなものですが、サイバーナイフを用いて大きな脳腫瘍を治療すれば、その分、副作用も強く出ると考えられます。副作用としては、急性期には脳のむくみからくる頭痛、嘔気、嘔吐、食欲不振、倦怠感などです。慢性期(数年から十数年)には、脳に水が溜まってしまう嚢胞形成を認め、それに伴った精神神経症状が出現することがあるようです。一般にいわれるような脱毛は認めないようです。現在、乳癌脳転移に対する一般的な放射線治療は、全脳照射といわれる放射線治療です。この方法は、一般的な放射線治療ができる施設なら、どこでも治療が行える利点があります。また、比較的数の多い脳転移の患者さんにも適応になります。ただ、脳全体に放射線を照射するため、上記の治療法に比べれば正常脳組織への影響から十分な放射線量が照射できない可能性があります。貴女の場合は、ガンマーナイフかサイバーナイフの治療法が選択可能であり、非常に恵まれた治療環境にいらっしゃるようなので、主治医の先生の指導のもとで頑張って治療を続けてください。きっと良い治療効果が期待できると思います。(文責 千島)

 

No.1019】 02年07月03日 R.K.
右胸のしこりについて

はじめまして。31歳で3歳の子供がいる主婦です。昨日の夜お風呂に入っているときなにげなく自分の体を写していたのですが、右胸が左より大きいのに気づきました。乳首から下の部分です。触ってみるとしこりというか、コリコリっとした感じのものがあります。しばらく触っていると少し痛みがあるのですが、乳癌でしょうか・・・。もし検査となると時間とかかかるのでしょうか?私の方は実家が遠いため子供は預けられないし、主人のほうも、父が肺がんであと二ヶ月といわれていましておまけに痴呆症もでて、主人も横浜に泊まったりとほとんど会うことがありません。小さな子供がいて看護婦さんとかにご迷惑をかけないか心配ですし、どこの科に診ていただくのかわからないしで・・・困っています。すいませんがよろしくお願いします。

多くの女性では、左右の乳房の大きさは異なっています。それと同様に「乳房の中身」である乳腺組織(母乳を作る場所)も、左右差があることが多く、乳腺組織の一部がコリコリと触れることも少なくありません。乳癌によるしこりは、乳房の大きさによっても異なりますが、一般的には「布団の下に置いた石」のように硬く触れます。乳癌のほかには、良性腫瘍の線維腺腫、結節性の乳腺症なども考えられますので、しこりが片方の乳房だけに限局して認められるのならば、一度乳腺外科の先生に診察していただくことをお勧めします。御家庭に病気の家族がいらしゃって心配事も多いようですが、各病院の看護婦さんやケースワーカー(医療相談室)の人が相談に乗ってくださるので、安心して病院を受診してください。(文責 千島)
 

 

No.1018-1】 02年07月03日 K.M.
乳輪の異変

私は28歳、独身です。もう1年以上前から乳輪に痒みがあります。左右両方です。ずっと痒いというわけではないのですが、急にかゆくなったりします。今は黒くなってきて、乳輪の部分が何かにさされたかのようにデコボコしていてカサカサです。最初はあまり気にもしなかったのですが、最近になってインターネットを見ていて乳がんではないかと心配です。もう何年もほったらかしている状態なので、もし乳がんだったらかなり悪くなっているということなんだと考えるとなおさら不安で、なかなか病院にも行けません。乳がんなのでしょうか・・・。しこりとかではないので外科ではなくて産婦人科に行った方がいいのでしょうか?

若い女性で乳輪周囲のかゆみを訴える方が時々いますが、特殊な乳癌(Paget病)を除いては、乳癌自体はかゆみを伴いません。Paget病は乳頭の先端から乳輪方向へ向かって、1年間で約3〜4mm程度拡がっていく、「皮膚のただれ」のような病変です。全乳癌の0.5%程度と比較的少なく、若い人ではほとんど見られません。また、体質的に乳頭直下の乳管が拡張している女性も多く、これを乳管拡張症と言います。症状としては乳頭から水様性、クリーム状の分泌物を伴い、炎症を起こすと乳輪周囲の発赤、疼痛、かゆみを伴うことがあります。貴女の症状から推察すると、いずれの病気でもなさそうなので、しばらく経過観察をしてもよろしいと思います。乳輪部分のデコボコは、 乳輪腺(モントゴメリー腺)といって、すべての人に存在するものです。人によってはこの部分が発達しすぎてデコボコに見えることがあります。癌などの病気ではないので安心してください。今後も症状が進行してくるようならば、一度乳腺専門医(外科)を受診することをお勧めします。(文責 千島)

 

No.1018-2】 02年07月05日 K.M.
乳輪の異変 (2)

乳輪の異変(KM)への回答ありがとうございました。回答の中でモントゴメリー腺といってデコボコに見えるけど病気ではないとあるので安心したのですが、これは治らないのでしょうか?何か治す方法があれば教えてください。今、乳輪の部分がカサカサで痒みもあるので市販の痒み止めの薬を塗っています。よろしくお願いします。

モントゴメリー腺は、汗腺という汗を分泌する器官の一種です。汗をかきやすい人もいれば、汗をかかない人もいるのと同じで、モントゴメリー腺も人によって発達の度合いが異なります。年齢や体調で多少の変化は見られることもあると思いますが、この部分が発達しているからといって、特に治療法はありません。もちろん軟膏を塗ってもあまり意味は無いと思います。あまり意識しないことが、最良の治療法だと考えます。(文責 千島)

 

No.1017】 02年07月03日 kana
左脇下の腫れについて

はじめまして。脇の下のしこりについていろいろと調べていると、このHPに辿り着きました。実は54歳の実母のことで相談させていただきたいのですが・・・。母は昨年秋に子宮体癌(Tb期)で子宮・両側卵巣・骨盤内リンパ節郭清手術をしています。定期的に検診は行っていますが、今のところ異常なしです。でも、最近左脇の下をよく触っているので、「何かできているの?」と聞いてみると、両脇を挙げて脇の下を見せてくれました。すると、左の脇の下がふっくらと盛り上がっているように感じました。びっくりして触ってみると、左脇の下のちょうど真中くらい(脇の毛がはえている部分のちょうど中心部)にふくらみがありました。コリコリしたしこりではなく、腫れている感じです。大きさというか、範囲はうずら卵くらいでしょうか・・・・。これはリンパ節転移か、新たな乳癌の転移か・・と心配していますが、母が言うには、ちょうど子宮体癌で入院する際に乳がん検診を進められて受けたそうです(触診のみ)。その時にもすでに左脇の下のふくらみはあったので、先生にきいてみると、「お肉だね」と言われたらしいですが、大きさの変化とか痛みとかは、本人が頑固として病院に行こうとはしないため、教えてくれません。
そこで教えていただきたいのですが、脇の下のリンパ節とは、どの部分にあるのでしょうか?母が腫れている部分は、リンパ節にあたる場所ですか?いろいろと調べては見たのですが、「腋窩のリンパ節は脇の下にある」と書いてあるだけで、脇全体が該当するのか、それともある一部分なのかはわかりませんでした。それと、リンパ節に転移した場合は、はっきりと「しこり」という形で触れることができるのでしょうか。母のようにしこりではなく、腫れているだけのような事もあるのでしょうか。お忙しいとは思いますが、どうかよろしくお願いいたします。

通常、腋の下のリンパ節(腋窩リンパ節)というのは、腋毛の生えている所から大胸筋の裏側と、鎖骨の高さから乳房下縁の高さに囲まれる範囲に存在しています。よほど大きなしこりでなければ自分で触知するのは難しい深さにあります。腋の下の皮膚に、ふっくらとした盛り上がりがある場合は腋窩リンパ節ではないと思います。もし、乳癌や子宮体癌の転移ならば、比較的硬く、うずら豆程度の大きさの塊を触れることが多く、ましてや子宮の手術のときに存在し、検診医が「異常なし」と言っているので、心配する必要はないと思います。いずれにしても、「不安な状態」が続くようならば、お母様を説得して婦人科の主治医に診察してもらうことをお勧めします。(文責 千島)

 

No.1016】 02年07月03日 まみ
乳腺線維腺腫

始めまして。HPを拝見して、メールを送らせていただいております。私は32歳、3回の出産と1回の流産を経験しています。先々週の火曜日に胸にしこりを発見し、木曜日に乳腺の専門医に診て頂きました。マンモグラフィ・触診・エコー・細胞診の結果、1.2-1.1のサイズの乳腺線維腺腫で、良性との結果でしたが、先生の方からは、まれに悪性になることもある事、サイズが大きくなる事、石灰化する恐れがある事などから、いずれは取った方が良いと話がありました。親戚には、胃癌・舌癌・肺癌など、癌の方が多くいるものですから、私の方からも先生にお願いをし、摘出手術をしていただく事としたのですが、私の場合は、乳輪をまたぐ様にしてしこりがある為に、乳輪に沿ってメスを入れるため、強い痛みが伴う手術となるので全身麻酔で行う事となったのですが、先生がおっしゃるにはすぐに普通の生活に戻れて、仕事も翌日から行えると言います。しかし私の仕事はかなり重たいものを持つために、術後痛みがあるのではないかと思いますし、傷がつってしまったりしないかと不安に思っています。一般的にこの手術の時に、術後の痛みなどは無いのでしょうか?生活はすぐに普通に戻れるのでしょうか?担当の先生は、麻酔をするので術後に肩こりが辛くなる人もいると言っていましたが、私は、時に通院をする程肩こりが辛い事もあり、痛み・肩こり・傷など、術後について教えていただきたいと思います。宜しくお願い致します。

乳腺線維腺腫については、ホームページにも多くの質問&回答が掲載されているので参照してください。線維腺腫は初診時に5cmを超えている場合、もしくは経過観察中に2cmを超えるような場合、痛みを伴う場合、癌を否定できない場合、本人の希望がある場合に摘出します。貴女の場合は1.2cmとのことなので、通常は局所麻酔での摘出になります。乳輪下の線維腺腫では、乳管を切離せざるを得ない場合があり、術後に乳腺炎を生じることもありますが、乳輪に沿った切開で摘出できるため、傷が目立たずに済むという良い面もあります。線維腺腫の手術は、術後1、2日くらい鈍痛を伴うこともありますが、通常は経口の鎮痛剤でコントロールできる範囲だと思います。この手術が影響して後遺症としての痛みが残ることはありません。ただ、昔から「古傷が痛む」と言われるように、季節や気候によっては、時々傷の周囲がうずくことはあるかもしれません。(文責 千島)

 

No.1015】 02年07月03日 H.Y.
乳がん? 

22歳の男性です。4年前ほどに右の乳首の上にしこりを見つけました。そして最近男性も乳がんがあると知り、気になったのでメールを送らせてもらいました。今の状態は初めは触ると痛い、でも触り続けると痛くありません。縦2cmぐらい横1pぐらい、石のようには硬くありません。ゴムのような感触?、触っても動きはしないと思います。薬なども別に飲んでいません。19歳の時には盲腸と腸炎で一ヶ月ほど入院しました。ほかは別に健康そのものです。汚い文章で申し訳ないですが相談にのってもらえないでしょうか?よろしくお願いいたします。

22歳男性の乳房のしこりとのことですね。最も考えられるのは女性化乳房という症状です。女性化乳房は、簡単に言うと「男性に女性のような乳房が出現すること」なのですが、人によって症状は様々で、女性のように乳房のふくらみが出現して、乳輪、乳頭の肥大を伴う人もいれば、本来男性では退縮しているはずの乳腺組織が、硬く触れるだけの人もいます。両側性で症状が出る場合もあれば、一側性の場合もあります。思春期に発症する場合と、60歳代以降に発症する場合が多いのですが、22歳で症状に気がついて病院を受診する人も少なくありません。症状としては、痛みを伴う乳房のしこりで乳頭もしくは乳輪下に多く認めます。病因としては、精巣腫瘍などのホルモン性の疾
患に伴うもの、肝臓、腎臓疾患に伴うもの、薬剤に起因するもの、原因不明などがあります。特に原因不明の乳腺肥大は、貴方のような20歳前後の男性に多いと言われています。増大傾向がないようならば、経過を観察しても良いと思いますが、もし気になるようならば、乳腺専門の外科医に相談してみることをお勧めします。(文責 千島)

 

No.1014】 02年06月29日 K.M.
乳頭のただれについて

27歳の主婦です。2ヶ月くらい前から乳頭が痒くなって我慢していたのですが寝てる間にかきむしってしまっていたようで、
両方の乳頭がただれてしまいました。左は1週間くらいで治ったので右もすぐに治るだろうと化膿止めの軟膏をぬっていましたが、未だに治りません。血は出ていませんが下着につくと黄色です。初めは乳癌かと心配していましたが、しこりがないので違うようですし、半年前に検査を受けた時は癌ではありませんでした。はずかしいので、できれば病院へ行かずに治したいのですが、ステロイド系の薬がいいと聞きましたが、「ベリベアー軟膏」なんかでいいのでしょうか? それともやはり病院へ行くべきなのでしょうか? 病院は皮膚科がいいのでしょうか?

おそらく乳頭部の湿疹だと思われますが、似たような病変にパジェット病という「しこり」のない乳癌があります。パジェット病でないという確認のためにも、皮膚科を受診して下さい。治療については、診察があって、診断の上、投薬という手順になります。(文責 須田)
 

 

No.1013】 02年06月29日 M
部分切除について

先日、胸に出来たしこりを部分切除して癌がみつかり、1ヵ月後に皮下乳腺全切除をしています。本で読んだのですが、「部分切除は癌を進行させたり、広げたりする可能性がある」と書いてありました。乳房はリンパ節や血管に富んでいますので、1ヶ月経ってからの手術では他に転移している可能性が高いのではないでしょうか? 私は、非浸潤癌のため術後療法は行っていませんが、もし転移の可能性が少しでもあるのであれば、化学療法は行ったほうがよいのではないかと思うのですが、どうなのでしょう? 非浸潤癌には放射線療法の効果は低いと聞いています。しかし、化学療法はしない人より、した人のほうが癌の予後に効果があるようですが・・・。 

乳癌で間質への浸潤がみられないものを非浸潤癌といい、全乳癌の10%程度です。リンパ節への転移がないことから、病巣を完全切除することで治癒することになります。 貴女の場合、生検をして癌が見つかり、1ヵ月後に乳腺全切除を行ったとの事ですが、おそらく切除した乳腺を細かく切って調べ、専門の病理医が、浸潤しているところがないことを確認しているはずです。また、1ヶ月経ってからの手術で大丈夫かとのご質問ですが、生検後1ヶ月程度経たグループと、すぐに手術を行ったグループでは有意の差は認められないという報告があります。非浸潤癌であればリンパ節転移はないことになっているので、完全切除で治癒し、一般的には術後療法は行わず、そのまま経過観察となります。貴女の状態を最も把握しているのは主治医ですから、心配なこと、疑問に思うことがあれば、主治医に相談してください。(文責 須田)   

 

No.1012】 02年06月29日 M.S.
しこりの診断について

40歳、2人の子供の母親です。年に1度、近くの胃腸科外科医院にて胃腸の検査のついでに乳腺の超音波検査も受けています。昨年4ミリ大のしこりが発見され、がん専門病院ともう一つ別の病院を受診しましたが、結果は゛悪性の兆候なし” とのことでした。今年4月、しこりが少し大きくなったような気がしたため、再び癌専門病院を受診し、超音波とレントゲンの結果は、やはり ゛何も映っていない。心配ない” という診断だったのですが、今日近くの胃腸科外科医院にて、例年通り乳腺も見てもらったところ、しこりが昨年の4ミリ程度から8.5ミリ程度に大きくなっているため、線維腺腫か充実性腫瘍(悪性だが比較的たちのいい腫瘍)のどちらかだと言われ、再び紹介状を渡されました。先生がおっしゃるには、現に手に触れるしこりがあるにもかかわらず ゛何もない”という診断はあり得ないし、非常におざなりで、不誠実な診察だということです。また、癌専門病院では乳腺症という診断でしたが、乳腺症のしこりが1年で倍になるということなどあり得ないとも言われました。たしかに自分でさわってみてもしこりはありますし、昨年より大きくなっています。(ただとてもやわらかい感触ではありますが・・)こんな風に、触診上しこりが触れていても画像では何も映らないなどということは、やはりあり得ないことなのでしょうか。また、画像上2倍の大きさになっているということは、やはり悪性の可能性が高いのでしょうか。4月には何でもないと言われてホッとしたのもつかの間、今度は癌の疑いもあると言われて混乱しています。どうぞよろしくお願いいたします。

現在の症状としては「しこり」があり、昨年より大きくなっているとの事ですが、一般的には「しこり」があれば、専門病院を受診し、精査することが原則です。直接拝見しないと、乳腺に腫瘤があるのか、硬結なのかの判断ができません。原則論通り、精査をして、腫瘤があるかどうかの確認をすることが大切です。今までの病院では不安があるのであれば、別の病院でも結構ですので、納得のいくところで受診し、不安を取り除いてください。(文責 須田)

 

No.1011】 02年06月29日 Y.T.
検査は受けたのですが・・・

私は31才主婦です。結婚7年目、子供なし。妊娠は3回しましたが、いずれも流産しました。過去3回共流産した時に、両方の乳輪上部がかさつき痒みがあり分泌液が出ました。透明でした。保湿剤(スクワラン)を塗っていたら治りました。今年2月から妊娠も流産もしていないのに右側にのみ同じ症状が出て様子を見たのですが、改善されないので4月に区の無料検診を受けました。一次検診では「乳首からじゃないから大丈夫」と言われ、念のために二次検診でマンモグラフィーとエコーを受けました。その時にもう一度触診(別のドクター)を受けたら、今度は「左側上部にしこりがある」と言われました。診断は結局「慢性乳腺炎」とのこと。6ヶ月後に再検査とありました。この説明は最初のドクターから受けたのですが、病名について何の説明もなく、6ヵ月後に再検査と書いてあるのに「僕は一年後で良いと思うよ」とのこと。本などで調べると「癌との区別が難しい」とあり、二人のドクターの意見もばらばらで不安になっています。乳腺外科など専門の科でもう一度診てもらったほうがいいのでしょうか?慢性乳腺炎とはどういうものでしょうか?自分ではしこりなのかどうかよく解りません。痛みは無いです。ただなんとなく違和感があります。

「乳輪上部のかさつきと痒み」に関しては、パジェット病を疑い、湿疹との区別が必要です。また、しこりについては、腫瘤、硬結のいずれにしても硬い部分がある場合は、エコー、マンモグラフィーで調べる必要があります。直接診察しなければ診断がつきませんので、不安を取り除く意味からも、乳腺外科を受診の上、相談してください。「慢性乳腺炎」ではなく、乳腺が固いという意味で、「乳腺症」と言われたのだと思います。(文責 須田)

 

No.1010】 02年06月28日 iwa
術後のこれからについて

自分は、本当にぼんやりしている性格なので、相談室でのみなさんのように自分の病状さえはっきりと確認することさえ出来ないでいます。ただ、(乳癌で)長い間痛みがあったというだけで、「肺にも骨にも移ってません」「取っちゃいましょう」と言われたので、その通りだと思いました。ステージ4ということも、後で夫から聞いたくらいです。相談室の皆さんはどうしてそんなに強いのか、自分から見ると、とてもうらやましくて不思議です。来月から注射になります。去年の手術と点滴を今年もう1度受けたら、(自分は神様とかそんなに信じない方だけど、)神様が私にこの世に生き残るためのパスポートをくれるような気がするのです。(人は死なない人はいない、でも自分はまだ少し早いかもしれない)(怖くないと言ったら嘘になるけど)色々インターネットすると、乳癌は10年再発(遠隔転移)しなかったら治癒したというとか、それが別のところでは20年だというところもあって、今の自分の歳に20年足せば、自然にお迎えが来てもいい歳になると感じています。あとは、自分に素直に、気持ちの上で無理の無い生活を送ろうと思います。こんなふうなことは、病状の変化とかではないと思うので相談室へメールを送ってもいいのか迷いました。でも送ってみます。

乳癌と診断され、手術、術後の治療を行って、やや気持ちが落ち着いた時期でしょうか。今後、癌と闘い、共存していくためには、家族の支えは勿論のこと、主治医との信頼関係が大切になってきます。病状や治療方針について、疑問に思うこと、不安に思うことがあれば、遠慮なく、主治医に相談してください。乳癌の治療に関しては、日本では主に外科医が担当していますが、精神科医、看護師、ソーシャルワーカーなどを含めた医療チームや、「ソレイユ」「あけぼの会」等の患者会による仲間からのサポートによって、張りのある日常生活を送っている方はいっぱいいらっしゃいます。
7月13日(土)、神奈川乳癌治療研究会主催で、「知ることから始まるこれからの乳癌治療」と題して、「神奈川乳癌市民フォーラム」を開催いたします。詳細はこのHP上「乳癌関連情報」のコーナーに掲載していますので、ご都合がつけば参加してみてください。何か参考になることがあるかもしれません。(文責 須田)

 

No.1009】 02年06月28日 yasuko
骨転移について教えてください

44才主婦です。今年3月に右胸の乳首付近に3センチの乳癌がみつかり、5月10日に手術、右乳房を全摘しました。10個のリンパ節のうち3個転移があったそうです。4月20日ごろに行った検査で、レントゲンには映らないがCTでわかる程度の肺がんが数個みつかっています。お腹のエコ−、骨シンチでは異常ありませんでした。ところが5月5日ごろから左足の付根が少し痛んで、それから左足のお尻の奥のあたりと左足のスネも痛むようになりました。骨というより骨のそばの肉が腫れている感じで、押すと痛いです。痛みは今も続いています。骨転移しているのではないかと心配です。4月に異常なしとわかってて、こんなに早く進むものなのでしょうか? 主治医の先生は今やってる抗がん剤の点滴が4回済むまでは(今2回済んでます)、検査をしても治療は変わらないからしないほうがいいという考えです。血液検査でもわからないといわれました。どうぞよろしくお願いします。

左足の痛みの原因が骨転移ではないかというご質問です。4月に行った骨シンチでは異常なしだったとの事ですが、骨シンチはあくまでも目安であり、整形外科的な病気も考えられますが、骨転移の可能性がないとはいえません。心配しながら抗癌剤治療を行っているよりも、主治医に、「骨転移が気になっている」旨、申し出て、検査をお願いしたらいかがでしょうか? 乳癌の状態も画一的ではなく、人さまざまですので、疑問点については、貴女の病状を一番把握している主治医を信頼して、相談なさってください。(文責 須田)

 

No.1008】 02年06月28日 ike
放射線治療について

二週間ほど前に乳房温存療法で手術をしてきました。手術後の結果、非浸潤性の癌で、きれいに切除できたので放射線治療はする必要がないと言われました。手術前の説明では放射線治療をする方が再発率も少ないと聞いていたので、少し不安に感じます。抗がん剤の薬も無しで検査して様子をみていくことになりました。放射線治療はしなくてもよい場合とかあるのでしょうか?

非浸潤癌は、広範囲な乳管内進展を伴うことも多く、乳房温存療法の適応決定の際にしばしば問題になり、苦慮するところです。乳房温存療法を行った場合、切除乳腺断端に癌細胞がないことが確認されれば完治が望めます。非浸潤癌の温存手術後におけるタモキシフェン(ホルモン剤)の投与は、患側、対側の乳房内再発や、遠隔転移を有意に抑制するといわれていますが、一般的には断端(−)であれば無治療です。放射線についてですが、核の異型度により、高危険群では照射しても再発が多く、また低危険群では照射の利点はないという意見もあり、放射線照射の適応については一律ではありません。断端の所見や悪性度に応じて、症例毎に適応を決めていくことになります。
貴女の場合、「非浸潤癌で、癌がきれいに切除できた」との事、切除断端(−)であると推測されます。この場合の放射線照射については一律ではなく、断端の所見や悪性度に応じて症例毎に照射の適応を決定する事になります。主治医の先生を信頼して、ご相談なさって下さい。(文責 須田)

 

No.1007】 02年06月28日 Y.S.
ヒスロンについて

知り合いの同じ患者さんについての質問をしたいのですが、肺に転移後、ヒスロンを処方されています。ヒスロンは、プロゲステロン製剤と聞いていますが、乳がんは女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが悪性細胞の増殖因子だと思ったのですが、どうしてヒスロンをあえて投与するのですか?

ヒスロンは進行再発乳癌の二次治療薬として使われることが多いのですが、特に骨転移に対して有効性が高く、除痛効果があります。更に、直接乳癌細胞に作用する抗腫瘍効果、また血管新生抑制作用等があるとされていますが、作用機序については複雑で、今なお明らかでない点があります。血栓症、体重増加等、副作用もありますので、疑問点などがありましたら主治医にお尋ねください。(文責 須田)

 

No.1006】 02年06月27日 K.T.
細胞診の結果と乳癌の可能性

相模原在住の39歳の主婦です。先日T病院・外科のT先生の診断を受けた所、初期の乳がんの可能性があるという指摘を受けました。そこでお聞きしたいのですが、
@注射による細胞診断を行ったのですが、この時点で「乳がんの可能性」というのはどれくらいのものなのか。
A次のステップとして、先生は細胞を実際に手術してとってみてみるとおしゃっていたのですが、順序として正しいのか
Bこの先生は乳腺の専門だとはおしゃってましたが、やはり専門病院の診察を受けた方がいいのか。(やはり1箇所だけの診察では心配です。でもあまり時間がかかるようだと進行の問題もありますし・・・)。また、相模原・町田近辺で乳腺医の方がいらしたら、教えていただきたいのですが・・・。

以上まとまりのない質問ですが、宜しくお願いいたします。

貴女が行った吸引細胞診は、専門の病理医が次の5段階で判定いたします。
 classT(正常細胞)
 classU(classTに近く、classXから程遠い)
 classV(正常ではないが癌ともいえない、つまり、わからない)
 classW(classXに近い)
 classX(癌)
吸引細胞診については、1回のみの検査で全てが分かる訳ではなく、classV以下でも、1回きりの検査では癌でないとは言い切れません。従って次の手順としては、「怪しい場所を切除して調べましょう。」と言うことになります(生検)。これは検査のための手術です。
また、「1か所だけの診察では心配」との事、遠慮せず、セカンドオピニオンを希望する旨、主治医に申し出て下さい。別の先生の意見を聞くことによって、また新たな視点が開かれる場合もあります。
乳腺の病気は、一般的には外科で扱います。乳腺外科と標榜していなくても、大きい総合病院であれば、乳腺専門の先生はいるはずです。(文責 須田)

 

No.1005-1】 02年06月27日 RIE
細胞診について

35歳の主婦です。先週右胸に痛みを伴うしこりを見つけ、病院で超音波と組織の検査をしたところ、陰性ではあるが、大きさが2.5cmと大きいので手術をしたほうがいいかも、との診断を受けました。手術を受けた場合の乳房への影響(傷、形など)、またこのまま放置しておいても良いものなのか、陽性に移行するようなことはあるのか、どうぞお教えください。

貴女の言う「組織の検査」とは、「細胞診」を行ったのだと推測されます。その結果、「大きさが2.5cmと少し大きいので、組織の検査をするために手術をして調べましょう。」と言われているのです。吸引細胞診の結果、classXであれば、ほぼ乳癌で間違いないのですが、classT〜classVの場合は、1回のみの検査では癌でないと言い切れないため、2cm以上の大きさのものは、手術で腫瘍を摘除して調べる(生検)のが原則です。貴女は主治医から原則論通りの検査を勧められているのですし、そこに癌がないことを確認するための検査でもある訳ですから、生検を受けることがベストだと思います。
手術後の乳房への影響(傷、形)については、乳房の大きさ、腫瘤の位置等によって、変わってきます。ほとんど影響のない場合もありますが、ケースバイケースですので、詳しいことは、状況を一番よく把握している主治医の先生に伺ってみてください。(文責 須田)

 

No.1005-2】 02年07月25日 RIE
検査結果について

大変丁寧なご回答をいただき、感謝しております。さて、初めに検査をした病院では細胞診以上の検査はできないとのことで、紹介状を書いていただき、また細胞診のプレパラートをお借りして、他の病院で以後の治療方針を考えるということになりました。私としては、当然生検をするものと心して次の病院へ行ったのですが、行った検査は触診、レントゲン、超音波のみでした。超音波検査の際、左胸にも1cmほどのしこりがあることと、右胸のしこりの大きさが5cmはあるらしいことが新たにわかりました。翌日に結果を伺ったところ、
1) プレパラートの再検査で悪性ではないことが確認できた。
2) しこりの原因ののう胞は、癌の中でもとてもおとなしい部類の非浸潤がんと非常に紛らわしいが、癌か否かはとってみなければわからない。ただ、今すぐ命にどうこうというものではない。
3) 次の検査は半年後に超音波のみ行う。
とのお話でした。classについての話は一切ありませんでした。左胸のしこりについては、触診で「ああ、あるね。」とおっしゃっただけでした。ここで疑問なのですが、
a) 紛らわしさをはっきりさせたいために病院に行くのに、なぜ生検を必要とされなかったのでしょうか。次回も超音波だけとのことなので、少々不安を感じます。
b) 新たに見つかったしこりの中身も気になります。次回の機会に自分から検査をお願いしても構わないものでしょうか。
c) 今の病院はがんの専門病院なのですが、今後、診療・治療の方針が納得いかないものになった場合、セカンドオピニオンをうけても構わないでしょうか。       
神経質になっているつもりはないのですが、生理前に胸が張って痛かったりするとしこりの存在がよりはっきりしてきて、また大きくなったような気がしてしまいます。お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくご指導ください。

a) 文面からすると,不安な気持ちになられるのも理解できます。主治医に生検しない理由を聞いたり、不安な気持ちを伝えましょう。
b) もちろん構いません。一般的には、両側調べるはずです。
c) もちろん構いません。(文責 徳田)

 

No.1004】 02年06月27日 Y.T.
母の乳癌について

母が、先月頃から胸にしこりがあり、大阪の寝屋川市香里園にある関西医大にまいりまして、組織検査などをおこないました。鉄砲みたいなので、組織を検出して、検査結果は24日の月曜にわかり、悪性ですとの事!いわゆる癌(キャンサー?)ですね! 空けてみないと解らないとの事、7月9日に家族の人と来てくれと言われていて、どう対応していいのか・・。家族といっても母と私と弟だけですし、私が行くのですが、セカンドオピニオンの受け方等や、インフォームドコンセントがうまくとれるか、不安です。母はまだ55歳だし、診断によると10年は持っているしこりらしいので、切る事により癌に刺激を与え、転移する等も聞きます。多分手術のお話になるのでは?と思うのですが、選択肢が一つだとだめだし、でも手術が手遅れになってもこまります。しこりは右胸の4つに割ると、内側上、そこに出来る確立は一番少ないときいているところです。「二つのこぶになってますね!」と言われたらしいです。検査のたびに穴をあけられても母も大変です。何かメッセージをいただければ幸いです。

患者さんが癌と闘っていく上で、家族の支えは勿論のこと、主治医とのスムーズなコミュニケーションも大切な要素になってきます。「家族として何を知りたいのか?」「主治医は患者・家族に何を知らせたいのか?」「話しにすれ違いはないのか?」等をポイントに、主治医と納得のいくまで、充分相談なさってください。主治医との面談の際には、HPNo.998に癌と診断された場合に医師に聞いておけばと思われることを列記致しましたので、参考にして下さい。1箇所だけの診断では不安がある場合は、遠慮せず、セカンドオピニオンを希望する旨、主治医に申し出て下さい。両方の話を聞き、納得のいくところで治療を受けるのがベストだと思いますが、決めた後は、主治医との信頼関係を築くことも、また大切になってきます。(文責 須田)

 

No.1003】 02年06月27日 masae
乳房のしこりと乳汁分泌

25歳未婚者です。ここ1ヵ月ほど心臓ではなく、左胸が絞られるような痛みが時々あります。また乳房の外側と下側に硬いしこりがあります。1年半ほど前にもしこりと乳汁分泌があり、その時は外科を受診しましたが、胃薬による副作用とのことでした。今回は乳汁分泌はない(胃薬も服用していません)のですが、左胸だけの痛みとしこり・違和感があります。ちなみに今は生理後1週間です。再度外科受診をした方がよいのでしょうか? また胃薬を続けて服用すると乳汁分泌してしまうのですが、将来的(妊娠・出産など)に問題が出てくるのでしょうか? 以上の点、よろしくお願いします。

胃薬の抗ドパミン薬(ex ナウゼリン)は、副作用として乳汁分泌があります。この薬を内服し続けると無月経がみられる場合があり、長期の使用には注意を要します。
乳房のしこりについてですが、乳腺にはもともとは「しこり」がないので、しこりを認めた場合は、乳癌ではないという確認のため、ただちに調べる必要があります。再度外科を受診して、検査を行ってください。(文責 須田)
 

 

No.1002】 02年06月27日 OGAWA
断乳直後に気づいたしこり

2週間ほど前に授乳をやめ、小さくなってきた乳房にしこりを見つけました。寝て触ると、明らかに分かるくらいで、気になって触ってみた直後から痛みが出てきました。それ以後、少しズキズキします。場所は乳首の真下あたりです。これは乳がんの可能性があるのでしょうか。もしくは授乳を止めたことが原因でしょうか。今日気づいたのですが、どれくらい様子を見たらいいのでしょうか。小さい子を抱えて、とても不安です。よろしくお願いします。

断乳した直後にしこりに気づいたとの事ですが、一般的に、乳腺組織の中にしこりがある場合、悪性でなければ経過観察でよいのですが、みつけたしこりが、授乳に関係する「乳瘤」であるのか、それ以前からあった「腫瘍」であるのかは、検査をしなければ分かりません。様子をみていても診断がつく訳ではなく、不安を拭い去る意味からも、乳腺外科を受診し、検査することが大切です。(文責 須田)

 

No.1001-1】 02年06月27日 H.M.
術後の補助療法について

術後の補助療法について御相談があります。実母(74歳)は6月7日に乳頭線管癌の摘出手術をし、15日に退院しました。術後よりアリミテックス1日1mgを服用してます。現在、放射線、または経口抗ガン剤の服用を薦められています。主治医は、どちらかというと放射線を薦めています。本人の病状は、
 1 しこりの大きさ 1.8センチ×1.4センチ
 2 リンパ転移は、0/10
 3 エストロン受容体とプロゲステロン受容体 (陽)
 4 hert受容体 染色後(1+)
 5 腫瘍マーカー CEA 3.0
 6 CA 15-3 22
 7 NCC-ST-439  2.5より小
 8 マンモグラフィ ○  胸部X線 ○  CT 胸・腹 ○  骨シンチ ○  乳房超音波検査 ○  その他 脳MR ○
本人は、高齢、高血圧、血糖値・コレステロールが高め(手術前から薬を服用)で、このことを踏まえて考えるとどちらかを選択すべきか、または辞退を考えるか悩んでいます。あと2点、
1)アリミテックスがまだ使用されて2年位と聞き、副作用や、どの位続けるべきか?
2)術後、胸に水(リンパ液?)がたまり、2〜3日おきに通院し、抜いています。22日55CC位、患部の辺が地割れのように少し堅いと本人は言っていますが、この点もお答えいただければと思います。

以上、よろしくお願いします。 

2001年2月、スイスのSt.Gallenで乳癌術後補助療法に関する国際学会があり、リンパ節転移陰性の場合の治療方針の決定に必要な因子、及びリスクの分類について検討されました。ローリスク群とハイリスク群、更にホルモン療法に反応する可能性の高い群と低い群に分類して治療方針が決定され、世界的なコンセンサスが得られています。リンパ節転移のない症例において
@ ローリスク群とは、エストロゲンレセプター(陽性)かつ、又はプロゲステロンレセプター(陽性)で、主腫瘍径が2cm以下、組織学的グレードが1、35歳以上のすべての条件を満たすものであり、この群の治療はタモキシフェンを5年間内服、又はそのまま経過観察となります。
A ハイリスク群とは、エストロゲンレセプター(陽性)かつ、又はプロゲステロンレセプター(陽性)で、主腫瘍径が2cm以上、組織学的グレードが2〜3、35歳以下の4つの条件のうち、少なくとも1つを満たすものを指します。この場合の治療方針は、閉経前後によって更に分類されます。
閉経前のハイリスク群では、「a)卵巣摘除&タモキシフェンの内服 b)化学療法を行い、タモキシフェンを内服する c)タモキシフェンを内服する d)卵巣摘除を行う」のうち、いずれかの治療を行う。
閉経後のハイリスク群では、「e)タモキシフェンの内服 f)化学療法を行うと同時に、タモキシフェンを内服する g)化学療法のみを行う」のうち、いずれかの治療を行う。

お母様の場合は、「リンパ節転移陰性、ホルモン反応陽性、腫瘍径2cm以下、年齢35歳以上、組織学的異型度不明」となり、St.Gallen のリコメンデーションでは、乳癌の組織学的異型度の情報がないこと以外はローリスク群の項目に当てはまります。もし組織学的グレードが1であるとすれば、標準的な治療法としては「タモキシフェンを5年間内服」となります。アリミデックスはタモキシフェンと薬の作用機序が少し異なりますが、タモキシフェンに比べて勝るとも劣らない薬です。ただし、アリミデックスについては5年というような長期服用のデータはないようです。放射線治療についてですが、乳房温存療法の場合は、術後、予防的放射線治療を行うことになります。
術後、リンパ液が貯留しているとの事ですが、おそらく胸水ではなく、腋窩の皮下の部分にリンパ液が溜まっているものと推測されますが、これは手術による影響です。患部の辺りが堅いのも、同様に手術の影響ですが、時間の経過と共に軽快致しますので、そういう意味では心配ありません。詳細については主治医の先生に伺ってください。(文責 須田)

 

No.1001-2】 02年07月06日 H.M.
放射線治療について

NO.1001-1で御相談しましたH.M.です。実母74歳です。前回、組織学的異型度がまだわからず未記入でしたが、HER2タンパク過剰発現は無し、スコア判定は1+ですが、このことでしょうか。本人がとても気にしておちこんでいる症状について:
6月7日手術(温存法)での傷口は、右わきの下よりやや前よりですが、乳首の上方45度扇形状(脇の下に向けて)、遠めには、赤い痣のように見え、さわると堅く赤みのこい所ほどコリコリしていて、少し熱っぽい感じがする。退院後リンパ液を取りに外来で主治医に会っていますが、このことについて特にくわしく説明をしてくれません。この理由を教えて下さい。また、リンパ液は3〜4CCになったので、放射線療法を7月9日に放射線科の了承が得られれば始める予定です。このような状態で治療を始めても問題ないのでしょうか。主治医に聞くべきことですが、本人の要望でもあり、質問させていただきます。以上、よろしくお願いします。

組織学的異型度がGrade 1ということならば、前回の回答にもあったように、乳癌再発低危険群にあたりますので、現在の治療を継続していけば良いと思います。傷口の部分については、実際に発赤部分を拝見していないので、原因については想像の域を出ませんが、リンパ液が貯留しいた部分、もしくはまだ液が貯留している状態なのかもしれません。この場合は、しばらくすれば吸収されてしまいます。もし、膿のようなものが出ているのならば、手術創の感染(雑菌がついて繁殖している状態)と考えられます。この場合は適切な治療を必要とするので、症状が改善しないようならば、主治医に詳しく説明していただき、治療を受けるようにしてください。リンパ液の量もかなり減ってきたようなので、傷の感染さえなければ、放射線治療を開始しても問題ないと思います。(文責 千島)