No.13053 オンコタイプDXを受けるべきか

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2024.04.02 Y.M. 0 Comments

はじめまして、オンコタイプDXを受けるべきかどうかについてご相談させて下さい。

48歳女性です。浸潤性乳がんのステージⅠで温存手術を受け、「ki67 13%、ホルモンレセプター陽性、HER2陰性、腫瘍径1.0センチ、腋窩リンパ節転移無し、リンパ管湿潤無し」と言われました。治療方針としては放射線療法とホルモン療法が決まっておりますが、オンコタイプDX検査を受けるかどうかの確認がありました。私のような場合、受けた方が良いのでしょうか。自分で決めるように言われたものの、判断がつきません。ご教示のほど、よろしくお願いいたします。

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2024.04.03 久保内 0 コメント

Oncotype DXは、「StageⅢ以下でリンパ節転移3個までの、ホルモン受容体陽性乳癌において、①その再発リスクと②化学療法の上乗せ効果を知るために」行われる、ガイドラインでは最も信頼性のある遺伝子検査とされています。検査費用は本来45~50万円かかりますが、2年ほど前から健康保険収載となったものの、トラブルがあり、漸く昨年10月から健保で出来るようになりました。その後3割負担の方では、現在では13万位で検査が出来るようになりました。とは言っても決して安価な検査では有りませんし、ホルモン受容体陽性乳癌は全乳癌中70%が該当することから、我々はどんな患者様でも適応になるとは考えていません。

まず「StageⅢ以下でリンパ節転移3個まで」と記載しましたが、余り進行し過ぎた患者様が対象にならないこと(予後も悪そうで化学療法が必要になる)はご理解頂けると思いますが、明らかな早期癌では結果が良く出ることが自明の理ですので、これも対象から外しても良いと考えます。

この検査が確立する前はどうしていたかと言えば、浸潤癌の最大腫瘍径(pT)とリンパ節転移(pN)等と、ホルモン受容体(ER/PgR)・HER2・Ki67値(免疫染色結果と言います)から検討していました。あなたの場合は、『ki67 13%、ホルモンレセプター陽性(どの程度の陽性率かは不明ですが…)、HER2陰性、腫瘍径1.0センチ、腋窩リンパ節転移無し、リンパ管湿潤無し』と記載されていることから、pT1b pN0 : Stageですので、それだけで10年生存率は90%以上になろうかと思います。またER+, PgR+, HER2-, Ki67 13%ですから、乳癌を5つのサブタイプに分けたときにルミナールAというタイプに入ります(本来はOncotype DXを遙かに超えた遺伝子検査で決めるのですが、実臨床では施行してくれる施設が無いので、何処の施設でも免疫染色結果から類推しています)。また、ルミナールAというタイプは最もおとなしいタイプの乳癌で、10年以上(研究では20年以上まで追跡されて)他のどのタイプより圧倒的に予後が良く、そして化学療法の有効性がほとんど無いことが判明しています。

以上の理由から、あなたがOncotype DXを受ける意義はほとんど無いと考えますので、私が主治医だったら、この検査の説明はするものの、「予後が良いし、化学療法を行うStage/sub-typeではないので、受けなくても良いと考える」と、言ってさしあげたでしょう。しかし、あなたがどんな決断に於いても『石橋を叩いて渡る』ようなご性格で、上記金額の高価な検査を受けたい場合は、あなたの自由ですから、検査を受けてはいけないとは思いません。(文責 久保内)

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