現在、40歳、3人の子どもがいます。3人目を妊娠中に左胸にしこりを感じ、出産後も消失しなかったため、検査してもらったところ乳癌との診断を受けました。しこりも大きかったことから、5月初めに左乳房全摘手術を受け(センチネルリンパ節生検では転移は確認されず、リンパ節郭清はしていません)、先日病理結果が出ました。病理結果は、非浸潤部10cm×5.5cm、浸潤部0.8mm(いくつかあり)で微小浸潤癌とのことで、リンパ節0/3、脈管侵襲なし、核グレード1、組織学的グレード1、ホルモン感受性なし、HER2+3、Ki67は8-10%でした。主治医からは、今後は定期検査のみ、もしくは希望するなら化学療法と分子標的薬との話がありました。術後は抗がん剤も覚悟していましたが、やらなくても良いのなら副作用等を考えると、定期検査のみでも良いのかなと揺らいでいます。今後、抗がん剤をするとしないとでは再発率は大きく変わるのでしょうか。
乳がんの微小浸潤癌は、「微小浸潤は最大径1mm以下の浸潤巣で、微小浸潤癌は最大の間質浸潤巣の大きさが1mm以下の乳癌」と定義されています。病理検査で摘除された乳腺を5mm間隔のスライスで全割標本を作った場合を考えてみますと、1mm以上5mm以下までの浸潤巣がプレパラート上に割面として出ない可能性がありますが、全割標本はこのようにして作成されます。
全割標本の病理結果と臨床データーにより検討された結果、非浸潤癌と定義通りの微小浸潤癌の予後は同等で良好であることが報告されています。また1mm以上5mm以下までの浸潤巣のある癌は、非浸潤癌・定義通りの微小浸潤癌と比較して無遠隔再発生存率に差は見られなかったと報告されており、一般には術後の薬物療法は行っていません。
定期的なフォローは重要で、もし万が一再発転移が見つかった場合、その時に化学療法・分子標的薬を使うことになると思います。主治医と相談の上、納得のいく治療の選択をしてください。(文責 須田)