43歳、浸潤性小葉癌です。浸潤径13×9mm、 リンパ節転移なし、ER90%、 gR90%、 HER2 陰性、 MIB index約5%、 早期癌ステージ1と聞き安堵していたのですが、オンコタイプDX検査を勧められました。不要な検査ではないかと思いつつも不安払拭のために検査を受けました。
結果、RS20、9年遠隔再発率6%、上乗せ効果<1% でした。抗がん剤治療は行わず、現在タモキシフェンを服用して一か月経ちます。そして本日、今度はリュープリン注射との併用を勧められました。打ってもどちらでも構いません、ただ、再発リスクはより下がりますと言われました。副反応等、不安もあったので、その旨伝えると、お試し的に(?)1か月持続分の注射を打って帰ることになりました。問題なければ次回から6か月の注射を打つことになります。帰宅後リュープリン注射について調べてみましたが、いまいちピンときません。自分には不要に思えるのです。しかしながら、再発率が下がるのであればという気持ちはぬぐえません。RS20、なおかつ小葉癌であるから必要なのでしょうか? 一般的にはいかがでしょうか?
乳がんには、エストロゲン(女性ホルモン)を癌細胞に取り込んで増殖するものと、そうでないものがあります。貴女の場合は、ER90% PGR90%とありますので、「ホルモン受容体陽性乳癌」で、エストロゲンが乳癌の増殖因子となっています。この増殖因子であるエストロゲンを癌細胞に取り込ませないようにするには、作用機序の異なった2つの方法があります。
- 体内のエストロゲンの量を減らす。(ここではリュープリン<閉経前で卵巣機能を抑制しエストロゲンをコントロールする:LH-RHアゴニスト>)
- 乳癌細胞内のホルモン受容体とエストロゲンが結びつくのをブロックする。(ここではタモキシフェン<抗エストロゲン薬>)
これらの方法でがんの増殖を抑える治療がホルモン療法です。術後の初期治療でタモキシフェンのホルモン療法を行うと、再発や転移を最大で半分ほどに減らせます。閉経前の患者さんでは、タモキシフェン+LH-RHアゴニスト(ここではリュープリン)が最も強く乳癌細胞に対し血中エストロゲン濃度を抑えるホルモン療法と考えられています。卵巣でエストロゲンが作られるのをリュープリンで抑えると更に再発を減らすことが期待できるとして、主治医はこのホルモン療法を提案されたのだと思います。副作用やご自分の価値観、主治医の先生との相談等により、納得のいく治療を選択してください。(文責 須田)




