2025年10月に乳がん告知。11月下旬に全摘手術をしました。現在、術後の病理検査待ちです。65歳。30代で卵巣・子宮を摘出しています(癌ではありません)。現在分かっている情報は以下の通りです。
ステージ2b/3センチ/T2、 リンパ転移あり/N1a、 ホルモン陽性/HER2陰性、 グレード1、 ki-67は不明
上記では足りない情報は多いとは思いますが、私の場合、抗がん剤の適応になりますでしょうか? 主治医からは、「オンコタイプをするかも、経口の抗がん剤はすることになりそう」と、事前に言われてはいます。私としては、できる限りの治療がしたく、抗がん剤にも前向きな気持ちです。色々と調べておりますと、主治医により、リンパ転移ありの場合、抗がん剤をするという判断の方もいれば、オンコの結果次第でやらないパターンがあると、わかってきました。病理の結果次第とは分かってはいますが、少しでも再発率を下げる可能性を高めたく、こちらで質問をさせていただきました。よろしくお願いいたします。
おそらく、オンコタイプDXの検査を行い、その結果により抗癌剤をどの様に使うか決める事になると思います。オンコタイプDXの検査の適応となる患者さんは、早期・ホルモン受容体陽性、HER2陰性、リンパ節転移陰性またはリンパ節転移1~3個陽性の条件で、①「腫瘍が大きい」、②「ホルモンレセプターの発現が弱い」、③「増殖のスピードが速い」、④「リンパ節転移がある」と言った化学療法をした方が良いのではと迷う方々です。オンコタイプDXの1番の目的は化学療法が不要な患者さんを見つけ出すことだと考えられています。
オンコタイプDXの「再発スコア」と「化学療法を上乗せするか・しないか」については、オンコタイプDX 検査の根拠となるトライアルの一つのRxPONDER試験により、リンパ節転移陰性で50歳以上の患者さんでは、再発スコアが25以下であれば化学療法を省略してよいとし、閉経後はリンパ節転移の有無にかかわらず再発スコアが26以上であれば化学療法(例えばレジメンはTC )を行うと上乗せ効果があると報告されています。貴女の場合は、閉経後ですので、再発スコアが26以上であれば化学療法(例えばレジメンはTC )を行うことをおすすめします。
次に、再発スコアが25以下であれば化学療法を省略してよいことになり、基本はホルモン療法ですが、リンパ節転移1~3個陽性ですので、転移陰性よりは再発リスクがあると考え、ホルモン療法に経口抗がん剤であるTS1の追加を主治医から勧められたのだと思います。これについては下記のホルモン療法の比較試験であるPOTENT試験が根拠になっています。内分泌療法にTS1を併用することの有用性を検証した臨床試験にPOTENT試験があります。①再発リスクが中等度または高度②ER陽性・HER2陰性の患者さんで、5年間の標準的術後内分泌療法単独の患者群と、5年間の標準的術後内分泌療法に1年間TS1を併用した群に分けて、浸潤性の病変の無い生存が延長するかを比較しました。TS1を併用することにより浸潤性の病変の発生リスクが37%低減されたという結果になりました。
貴女は閉経後ですので、オンコタイプDX検査で再発スコアが26以上であれば、ホルモン療法に化学療法(例えばレジメンはTC )を上乗せして行うことに、または、再発スコアが25以下であれば、ホルモン療法に経口抗がん剤(TS1)の追加の治療になると思います。不明な点は貴女の病気の正確な情報を持っておられる主治医に十分な説明を受け、納得のいく治療を選択してください。(文責 須田)




