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相談室(No.10201〜10300)

このページは乳がんに関する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。

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なお治療法は、患者さんと主治医がご相談されて決定されるものであり、この相談室でお答えできるのは、一般的な参考意見であることをご了解下さい。

当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。


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目 次

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No

日 付

名 前

件  名

担 当

10300 11/07/24 E.U. 右胸温存手術を受けました 石川
10299 11/07/24 NS 検診結果について 石川
10298-1
10298-2
11/07/19
11/07/29
M.M. 今後の治療について迷っています
今後の治療について迷っています(2)
吉田
石山
10297-1
10297-2
11/07/17
11/11/20
骨転移
骨転移(2)
吉田
石川
10296 11/07/17 M.S. 手術後のフェマーラ+リューブリンの治療について 吉田
10295 11/07/17 N.S 今後の治療法について(HPNo.10289) 吉田
10294 11/07/14 今後の治療について 吉田
10293 11/07/14 N.M 乳がんが考えられますか? 吉田
10292 11/07/13 S.O. アリミデックス服用について 浜口
10291 11/07/11 K  ハーセプチン使用後 浜口
10290 11/07/11 病期の読み方について教えてください 浜口
10289-1
10289-2
11/07/11
11/07/17
N.S 骨シンチ検査
今後の治療法について
浜口
吉田
10288-1
10288-2
11/07/09
12/04/13
M.I.  今後の治療について
治療方法について
浜口
久保内
10287 11/07/05 A.U. 骨シンチ 徳田
10286 11/07/05 Y.O.  今後の治療について 徳田
10285 11/07/03 T  仙骨への転移について 徳田
10284 11/07/03 Y O ゾラデックスの治療について 徳田
10283 11/07/03 ホルモン治療中の性生活について 徳田
10282 11/07/03 T.M. セカンドオピニオン 徳田
10281 11/07/02 K.I 乳腺線維腺腫瘍・痛み 徳田
10280 11/07/02 Y.S 術後の治療について (HPNo.10230) 徳田
10279 11/06/29 K  TS-1の用法・用量について 俵矢
10278 11/06/29 M O 肋骨の痛みについて 俵矢
10277 11/06/29 UFT 俵矢
10276 11/06/29 Y/M 今後の治療について 俵矢
10275 11/06/29 S.A. 術後の不妊治療(HPNo.10046) 俵矢
10274 11/06/29 水がたまっています 俵矢
10273 11/06/29 M S 手術後の抗がん剤について 徳田
10272-1
10272-2

10272-3
11/06/29
13/12/15
13/12/25
RT  今回の治療の是非について
今後の治療について
タスオミン
徳田

俵矢
10271 11/06/29 Y.W. 今後の治療法について 徳田
10270 11/06/28 T  再発後について(HPNo.10035) 徳田
10269 11/06/28 充実腺管癌 徳田
10268 11/06/28 Y.H.  病院を変えた方がいいでしょうか? 徳田
10267 11/06/25 H  再発後の治療について 俵矢
10266 11/06/25 Y.I. 放射線治療について 俵矢
10265 11/06/25 M.M 今後の治療について 俵矢
10264 11/06/25 Y.M 骨転移 俵矢
10263 11/06/23 K.F.  乳がん手術について 俵矢
10262 11/06/23 R.T. 再発でしょうか?(HPNo.9811) 俵矢
10261 11/06/23 S.W 造影剤の使用について 俵矢
10260 11/06/23 セカンドオピニオン 俵矢
10259 11/06/21 肺への微小転移について
10258 11/06/21 M  今後の治療について
10257 11/06/20 K.R. ホルモン治療とサプリ
10256 11/06/20 今後の治療について
10255 11/06/20 タモキシフェン CYP2D6検査について
10254 11/06/18 ピース 腫瘍マーカーについて
10253 11/06/18 母の乳がんについて(HPNo.9978)
10252-1
10252-2
11/06/18
13/04/22
F.M. 再再発の乳がんについて
リンパ管症

加藤
10251 11/06/18 K.M.  手術について
10250 11/06/18 I  石灰化で心配しています
10249 11/06/18 T.M. 術後抗がん剤治療について
10248 11/06/18 K.M. マンモトーム生検について
10247 11/06/16 タモキシフェンによる副作用 高橋
10246 11/06/16 U  今後の治療について 高橋
10245 11/06/12 T  精密検査 高橋
10244 11/06/12 R.K. 局所再発 高橋
10243 11/06/11 骨転移の可能性はありますか? 高橋
10242 11/06/11 M.K. 良性乳腺腫の悪性化について(HPNo.10081) 高橋
10241 11/06/10 Y.S 術後の治療について(HPNo.10230) 須田
10240 11/06/10 Y.T 術後使用する抗がん剤について 須田
10239 11/06/10 今後の治療について 須田
10238 11/06/10 Y.T. ハーセプチンについて 須田
10237 11/06/10 K.T. ハーセプチン 須田
10236 11/06/09 V タモキシフェンを止めて3ヶ月で出血がありました(HPNo.9017) 高橋
10235 11/06/09 M  向精神薬などの代謝酵素について 高橋
10234 11/06/09 S.N. 手術法について 高橋
10233 11/06/04 右乳房のしこり 須田
10232 11/06/04 M 乳汁分泌 須田
10231 11/06/04 M.S. ki67検査 須田
10230-1
10230-2

10230-3
11/06/04
11/06/10
11/07/02
Y.S  術後治療について
術後の治療について(2)
術後の治療について(3)
須田
須田
徳田
10229 11/06/04 K 良性、悪性の鑑別 須田
10228 11/06/04 胸のしこり 須田
10227 11/05/30 R.O. 乳房同時再建を希望しています 首藤
10226 11/05/30 Q  ハーセプチンとホルモン療法併用について 首藤
10225 11/05/30 術後治療について 首藤
10224 11/05/30 H アブラキサン 首藤
10223 11/05/29 AM 腫瘍マーカー値上昇 首藤
10222 11/05/29 今後の治療について 首藤
10221 11/05/29 Y.T 今後の治療について  首藤
10220 11/05/28 検査を受けておいたほうがいいでしょうか? 首藤
10219 11/05/28 乳製品の摂取について 首藤
10218 11/05/28 Y.I.  抗がん剤の折り返し? 首藤
10217 11/05/27 J・M UFTとフェマーラの併用について 首藤
10216 11/05/27 AA 術後治療について 首藤
10215 11/05/26 今後の治療について 首藤
10214 11/05/26 N.N 乳管内乳頭腫 首藤
10213 11/05/26 N  ホルモン療法について 首藤
10212 11/05/24 MMM 右胸のしこり 鈴木
10211 11/05/24 N 今後の治療について (HPNo.10179) 鈴木
10210 11/05/22 H.M 非浸潤癌のホルモン治療について 鈴木
10209 11/05/22 再発乳癌の治療について(HPNo.10107) 鈴木
10208 11/05/18 M.M 子宮がん検診について 鈴木
10207 11/05/18 Y.T.  左胸のしこり 鈴木
10206 11/05/18 Y.M. 腫瘤疑い、乳腺腫瘍 鈴木
10205 11/05/18 M.S. 病理結果と今後の治療について(2)(HPNo.10193) 清水
10204 11/05/18 H.A. 転移後の治療について 清水
10203 11/05/17 ママ ホルモンレセプター・ホルモン療法について(2)(HPNo.10194) 清水
10202 11/05/17 K.N. 間質性肺炎(HPNo.10187) 清水
10201 11/05/17 Y.T. 今後の治療について(HPNo.10120) 清水

 

No.10300】  11年07月24日    E.U. 
右胸温存手術を受けました

35歳です。2ヶ月前に右胸温存手術を受けました。わかっている事は、非浸潤性ガン エストロゲンレセプター +50 プロゲステロンレセプター +50 HER2 +1 断端陰性−です。今回の右乳ガンと診断される約2年半前から良性の乳管内乳頭腫と言われていましたが、経過観察で2センチが3センチぐらいになっているような気がするので、いずれ全身麻酔で摘出するより、生針検で全て採れてしまう事もあるとの事でお願いし、病理に出した所、悪性細胞が見つかりました。乳管内乳頭腫が発見された時点で、長い針で行う細胞診と、血性分泌がずっとあり、分泌物の細胞検査を受け、いずれも良性結果がでております。そこでいくつかご質問させて頂きたく、よろしくお願い致します。

1) 2年前からあった良性の乳管内乳頭腫が悪性に変化して言ったと考えるべきでしょうか? それとも、細胞診の針が悪性細胞にたまたまふれなかったと思われるでしょうか?
2) 以前から患っている子宮内膜症悪化の為、低容量ピル(ルナベルとオーソ)を乳ガンがわかる10ヶ月前から服用していました。主治医にも服用を飲む前に確認済みでした。乳管内乳頭腫などの疾患がある場合のホルモン補充投与は正しかったのでしょうか? 乳ガンに気付かず、低容量ピルを飲んでいた為に悪化してしまったのではないかと悔やんでなりません。尚、左胸にも、のう胞と脂肪の固まりがあります。
3) 術後の治療方針で、主治医はタモキシフェン服用のみと言ったのですが、私が心配で、放射線治療とゾラデックスを追加させてもらいました。非浸潤ガンとはいえ、放射線治療を省く事などあるのでしょうか?
4) 年齢が若い事もあり、出産予定も無いため、ゾラデックスではなく、卵巣抑制療法=放射線照射も考えているのですが、会員先生方の考えを聞かせていただければ幸いです。主治医からは、ゾラデックスが終了してから考えればいいと言われております。
5) 乳管内乳頭腫が2センチが3センチになっているとの事で、生針検をやりましょうではなく、「どうしますか?しますか?」と言われ、私が決心して行ったのですが、もし、まだ先でもいいと自分で思い、乳ガンに気付かず何年も低容量ピルを飲んでいたらどのようになっていたでしょうか?

お忙しい所、申し訳ありません。どうかよろしくお願いします。

1) 良性の乳管内乳頭腫が悪性に変化した可能性も、細胞診で悪性細胞がたまたま採取できなかった可能性も両方考えられます。
2) 良性と思われる乳管内乳頭腫がある場合のホルモン補充投与は、禁忌ではありません。
3) 非浸潤癌で、場合により放射線治療をしないことはあります。
4) 私は放射線治療とゾラデックスだけで十分と考えます。
5) 進行して乳管内進展が広がったり、浸潤癌になっていた可能性が十分あります。(文責 石川)

 

No.10299】  11年07月24日    NS
検診結果について

ご相談をどうぞ宜しくお願いいたします。10年ほどホルモン治療を受けておりましたこともあり、ホルモン治療をしてくださっている産婦人科の先生のご紹介の乳がんの専門医(検診センター)に検診を受けておりました。先日、超音波、マンモグラフィ、触診を受けましたところ、初めて、マンモグラフィで、左内側に白く丸い部分が写りました。石灰化は毎年ありまして、触診では、しこりを感じるとのことですが、超音波では写らないとのことで、筋肉かもしれないとのことで、来年一年後に検診の予約をして帰ってまいりました。何か変化があったら、来てくださいともいってくださいました。ただ、初めて白い部分が写ったこともあり、このまま経過をみていてよいものか、悩んでおります。セカンドオピニオンを伺いに、別の先生にもう一度マンモグラフィの画像をとって診察してもらうのが手っ取り早いですが、また写してしまって大丈夫なものなのか、心配です。左だけは、画像に白く出たためか、撮りなおしをしていたこともあります。今までの検診センターに画像をもらいにいく、今までの先生にもう一度良く見ていただく、別の先生に最初から診てもらう、など、考えられますが、どのように動いたらよいか、アドバイスをお願いいたします。お忙しいところ、申し訳ありませんが、どうぞよろしくおねがいいたします。

超音波では写っていないので、まず心配ないと思います。どうしても気になるのなら、もう一度マンモグラフィ撮影をしても、被爆線量は微々たるものなので問題ありません。(文責 石川)

 

No.10298-1】  11年07月19日    M.M
今後の治療について迷っています

7月13日に手術後の結果について聞きました。友達は38歳、独身、いずれ結婚し、出産もしたいと考えている。手術は乳房温存でした。
病理検査結果:
ER90%、PgR>90% 、HER2(−) 、 Ki‐67 30‐40%、大きさ:30×14×12mm(乳管内病変含めて70×33×14mm)、 乳頭側に乳管内病変→乳頭裏まで切除済み、 組織分類:硬癌+乳頭腺管癌、 リンパ管浸潤:ly2、 リンパ節転移:なし、 核異型度:Grade 3、 病期:ステージUA

今後の治療方針としては、乳腺の追加手術は不要と考え、放射線治療で対応可能と考えている。
@ 化学療法(TC4コース)→ホルモン療法、放射線療法
A ホルモン療法、放射線療法

1) ki-67とは? その値をどう考えればいいか?、リンパ管浸潤とは?
2) 化学療法をするorしないで、再発率はどれくらいちがうか。
3) 今後、妊娠の可能性を考慮した場合、治療方針はどうすればよいか? 無月経となる確率はどれぐらいか?
4) 組織分類:硬癌や乳頭腺管癌などで再発率はちがうのか?

友達とすれば全ての治療を受けて元気になってほしいのはもちろんですが、妊娠を考えた時どうすればよいかわからなくなっています。よろしくお願いします。

1) Ki-67と云うのは、増殖能を示しています。ご友人の様にホルモン感受性が強陽性の場合Ki-67は低いことが多いですが、30-40%とは明らかに高いと思います(化療が必要な根拠となります)。リンパ管浸潤とは、リンパ管に癌細胞がどれくらい浸潤していたかを示します。ly2というのはかなり浸潤していたことになります。
2) 恐らく10-15%以上違うと思います。
3) LH-RHアゴスト(ゾラテックス)などのホルモン療法を行ないながら、化療を追加し、妊娠可能状況となったら、すべての治療を中止するのが良いでしょう。治療により無月経(治療を中止しても月経が戻らない)となる可能性は、半数近くあると考えてください。化療はTCよりACのほうが、卵巣機能には良い様です。
4) 硬癌でも乳頭腺管癌でも同じです。

希望をもって、治療を受けてください。(文責 吉田)

 

No.10298-2】  11年07月29日    M.M
今後の治療について迷っています(2)

本日、2回目の説明を受けに行きました。
1) 「もし今すぐ子供を作るとすれば、放射線治療をして、出産後、化学療法は可能か? 迷っているので、放射線治療を始めることは可能か?」を聞きました。主治医は、「迷いがあり化学療法もありえるのであれば、放射線を急ぐ必要はなく、化学療法を初めにした方がいい」とのことでした。化学療法をする、しないでの再発率はお聞きしましたが、10年生存率もだいぶちがうのでしょうか? 治療優先で化学療法をした場合と、遅らせてする場合と、どれぐらい違うのかわかるのでしょうか? まったく結果が違うのであれば、出産はあきらめると言っています。主治医は、「放射線をして、期間を遅らせて化学療法をする人がいない。はっきりとしたデーターがない。」とのこと。治療方法は、最終的には本人が決定する事と言われますが、年齢からも子どもについてどうするかで迷っています。
2) 次いで、ステージUAとは生存率が80%ほどと本に書いてあります。顔つきが悪いという硬癌の再発率は、他と変わらないと聞きましたが、10年生存率はどうなのでしょうか? 私は、妊娠するまでにどれぐらい期間がかかるかわからないし、期間をあければ、それだけ細胞も増えるのではと心配しています。数字ではわからないことがたくさんあると感じていますが、先生はどう思われますか? 

よろしくお願いします。

一般的には化学療法は必要で、その影響を考えると、妊娠出産はあきらめるか、卵子の凍結保存やLHRH拮抗薬で卵子を保護する方法(確実ではないですが)を考えることになります。StageUAで、生存率は10年生存率のことではないでしょうか?(文責 石山)

 

No.10297-1】  11年07月17日    N
骨転移

初めて相談させて頂きます。母(65)の事なのですが、以前に乳癌で部分切除の手術をしました。手術後は、抗がん剤・放射線治療も行いました。その後5年位ホルモン治療を行い、年に2回程の検診と、年に1回骨シンチも受けていて、10年が経ち、主治医の先生も、もう大丈夫だろうと言ってくれていました。しかし、その矢先のH22.9月の血液検査で、CA15-3の数値が61だったので、再度詳しい検査をしたら、背中と腰など数か所に骨転移してるとの事でした。母も家族も安心しきっていたので、すごくショックでした。特に母は9年目の検診の際に、毎年受けていた骨シンチの検査を、先生がしなくても大丈夫だろうと言われてしなくて、結果10年目で骨転移が分かったので、その時に検査しておけば何か変わっていたかもと悔やんでいました。主治医の先生は、「10年かけてゆっくりゆっくり出てきた癌細胞だから、すぐにどうこうなる訳じゃないので、今の状態をキープできる様に、慢性の病気と思って治療していきましょう。」と、言われました。  
治療内容は、特に痛い箇所がある訳ではないので、放射線はせずに、ゾメタという点滴を月1回、フェマーラ錠1日1回で様子を見ましょうとの事でした。フェマーラはすぐに結果がでるお薬じゃないので、3ヶ月位様子をみましょうとの事でした。結果は、治療し始めて5ヶ月たっても数値は上がる一方で、再度骨シンチをしたら、骨転移の数も増えていました。結局効果がないので、5ヶ月目にお薬変更して、次はゾメタ 月1回、フェアストン錠 1日3回 にして3ヶ月経ちますが、結果は以下の通りで、全然よくなっていません。
  
   CA15-3 糸球体推算値
9/14 61 75
11/18 92 77
12/18 103 88
2/18 145 80
4/18  197 87
6/17 255 72

 今、行っている治療方法で大丈夫なのでしょうか? すごく不安です。長々と書かせて頂きましたが、良きアドバイスお願い致します。

追記 
母いわく、先生は数年前に開業されてご多忙らしく、質問してもあまり親身になってくれなく、他人事の様に話すらしく、先生に不信感を覚えていて病院を変えたいとも言っています。私も先生に何度かお会いした事があるのですが、「どうして数値が下がらないのでしょうか?」と聞くと、「僕も不思議なんですよ」といった他人事のような回答で、私からしたら話やすい先生ですが、少し頼りないような感じでした。治療開始2ヶ月後くらいに一度セカンドオピニオンをお願いしたのですが、その先生も同じ様な事をおっしゃていたので、今から病院を変えるのも大変だし先生のあてもある訳ではないし、母は落ち込んでいるし、どうしたらよいのか迷っています。

乳癌の骨転移が、このような形で進行する患者さんは多いように思います。お母上の受けて来られた治療法はBestのものであったと思いますし、抗癌剤を使用してもあまり大した効果はられず、副作用ばかりが目立つことになるでしょう。肺や肝臓に転移が広がらないか、時に検査してください。主治医の先生が頼りないのではなくて、他にやり様がないのだと思います。腫瘍マーカーは高くなっても平気である患者さんが多いようです。(文責 吉田)

 

No.10297-2】  11年11月20日    N
骨転移(2)

再度お聞きしたいのですが、その後もゾメタとフェアストン錠を続けてきたのですが、毎回血液検査をするたびに、CA15-3が100程度上昇しており、10月の検査結果は600になりました。1年間で、結果500位数値が上昇していますが、大丈夫なのでしょうか? 母も家族も、全然効果が現われないし、心配でなりません。今回からは、治療法変更で、「ゼローダという錠剤の抗がん剤があるので、これでいきましょう。」との事になったのですが、このお薬で大丈夫なのでしょうか? 注射する抗がん剤と、効き目はかわらないのでしょうか? また、引越しする事になったので、今の病院は通うのが大変だし、母自体も先生を信頼できなくなってるようで、引越し先の近くの病院に変えようかとも思っております。今から病院を変える事とかは、しない方がよいのでしょうか? 良きアドバイス、お願い致します。

CA15-3の上昇は、病気が進行してきている可能性があり、好ましいことではありません。心配です。ゼローダが効くかどうかは、使ってみなければ、わかりません。いろいろ今後のことも考えると、紹介状をもらって、通いやすい病院に行かれるのが得策だと考えます。(文責 石川)

 

No.10296】  11年07月17日  M.S.
手術後のフェマーラ+リューブリンの治療について

はじめてご相談させて頂きます。53歳です。治療前の検査では、リンパ節に転移は認められませんでした。また、子宮摘出後ですが、血液検査では閉経前ということでした。腫瘍4.3センチが、術前TC、術前フェマーラ+リューブリンで、1.4センチに縮小。 温存手術後、放射線が終了したところです。手術後の病理結果は、Er;100%、Pgr;0%、ki67<1%、リンパ節0/9 でした。手術後も、フェマーラ+リューブリンで3か月が経ち、トータルで8カ月服用しています。服用前に測った骨密度が、6ヶ月後に8%以上減少していることに愕然としています。現在腰椎86(半年前94)、大腿骨80(半年前83)で、経過観察。6ヶ月後に再検査の予定ですが、急激な骨密度減少に不安でなりません。お尋ねしたいのは  
1) 主治医は、「血液検査で閉経を確定することはできない。2年間は併用するように。」と言っていますが、閉経前(LH0.4, FSH7.2)でフェマーラ+リューブリンを2年間続けて、短期間のうちに骨粗そう症になる危険はないのでしょうか。 
2) あるとすれば、私の病理結果から考えて、この治療法は最善といえるでしょうか。 
3) 主治医にはノルバテックスで閉経を確認してからフェマーラに変えたいと希望したところ、@のように「血液検査では確定できない。手術前にフェマーラが有効であることが分かったのだから続けるべきである。ノルバテックスに変えても効くかどうかは分からないのだから。」と言われましたが、服用中での閉経の確認は本当にできないのでしょか。血液検査以外にも方法はないでしょうか。 
4) CYP2D6の検査を受けて、ノルバテックスが有効かどうかの判定はできるのでしょうか。もし精度の高いものなら受けてみたいと思うのですが・・・。   

長々と書いてしまいましたが、フェマーラの関節痛に悩んでいるところに、骨密度の著しい低下ということで、このまま続けることに不安が大きく、続けるにしろ、変えるにしろ、納得の上で治療したいと思うので、ご相談させていただきました。よろしくお願いたします。

質問順にお答えします。
1) 確かにこの治療により骨粗鬆症なる可能性はありますが、骨密度の低下は年齢的に閉経期であることも関係していると思います。骨粗鬆症を防ぐ対策(ビスホナールの投与や運動療法)をとるべきでしょう。
2) 病理結果からは、よい治療法であったと思われます。
3) 血液検査にたよる他ありません。
4) CYP2D6の検査でノルバテックスの効果がない人は判っても、逆はわかりません。(文責 吉田)

 

No.10295】  11年07月17日  N.S 
今後の治療法について(HPNo.10289-2)

HPNo.10289で相談させていただいた者です。御回答、有難うございました。私の乳がんはステージUbで、リンパ節転移が4個あり、高リスクです。骨転移の可能性もあり、一日も早く診断をして治療を始めたいと考えています。

1) 腫瘍マーカー、CTに変化が出るまで、経過観察をしている間に転移が進んでしまうのではないでしょうか? 検査結果に変化が出てからの治療では遅すぎるのではないですか?
2) 骨転移かどうかを確定するためには、骨シンチ、血液検査、CTの他に、どのような検査がありますか? 
3) 骨転移で注意すべき腫瘍マーカーは、ICTPでよいですか?
4) ホルモン療法についてお聞きします。2年前の子宮筋腫の手術の際に卵巣も摘出しました。ノルバデックスを服用して3年半になりますが、これを5年続けて、その後アロマターゼ阻害剤を5年続けるのと、今すぐアロマターゼ阻害剤に変えて5年続けるのとでは、どちらが再発を防ぐ効果がありますか? 閉経後はアロマターゼ阻害剤のほうが再発を防ぐ効果があると聞き、迷っております。
5) アロマターゼ阻害剤に変更するとしたら、フェマーラでよいですか? 

私が手術、診察、治療を受けている病院は、地方都市の総合病院で、乳腺専門科はなく、外科での診察、治療となり、主治医も外科の先生です。主治医に質問しても、こちらの相談室で得られる情報と意見が違うこともあり、不安に思うこともあります。御回答、よろしくお願いします。

質問順にお答えします。
1) 経過観察している間に転移が進んでしまうことも考えられますが、通常は診断が確定してから治療を開始いたします。決して遅すぎることはありません。
2) MRIが有効なことがあります。
3) ICTPが代表的です。
4) アロマターゼ阻害剤に変えたほうが良いと思います。
5) フェマーラでよいでしょう。(文責 吉田)

 

No.10294】  11年07月14日  G 
今後の治療について

妻のことで相談させて頂きます。38歳です。術前の検査で、左乳房に6mmの腫瘍が2個見つかり(2時と4時の位置、2個の腫瘍はおよそ4cm離れている)、充実腺管がんと診断、温存手術をうけました。2つの腫瘍を1つとして切除し、病理検査の結果、切除した範囲で10mm*7mm、10mm*6mm、10mm*5mm、5mm*5mmが2個、計5個ほど腫瘍があったそうです。
1) センチネルリンパ節生検2個で、陰性でした。この場合、腫瘍の一番大きいものだけをみて、ステージTということでよいのでしょうか?
2) 術前の検査と結果の差は、検査の限界なのでしょうか?
3) 腫瘍の悪性度(2)、ER(強陽性100%)、PgR(強陽性100%)、HER2(3+)、脈管侵襲(ly-1,v-0)、断面陰性(陰性ではあるが乳管の断面の近くまできていた)、トリプルポジティブなのですが、進行の早いたちの悪いがんなのでしょうか?
4) 今後の治療予定ですが、抗がん剤半年、ハーセプチン1年、ホルモン療法5年、放射線治療です。過去のお答えにもありますが、ホルモン受容体が強陽性なので抗がん剤は効きにくいとのことですが、HER2も3+なので、やはり抗がん剤+ハーセプチンは必須なのでしょうか?
5) このような状況で、再発率はどの程度となるのでしょうか?

とりとめなくて申し訳ありません。宜しくお願い致します。

1) 腫瘍が多発している場合、最大のものを基準として決定いますのでステージは1です。
2) 検査の限界です。
3) 進行はあまり速くはないでしょうが、悪性度は高い癌と思います。
4) 悪性度が高いというのはHER2(3+)から来ています。抗癌剤+ハーセチンは必須です。
5) 主治医の提案した通りに治療したとしても、局所(乳房内)まで含めると20%程度位は再発する可能性があると思います。(文責 吉田)

 

No.10293】  11年07月14日   N.M.
乳がんが考えられますか?

初めての相談です。どうぞ宜しくお願いします。現在アメリカ在住、もうすぐ4歳になる娘がいます。年齢は36歳です。先月、普通の健康診断の時に、主治医に左胸が違和感があり、生理周期とは関係なく痛みが続いていると共に、左腕もだるい、痺れるといった症状がある旨を伝えました。すぐに左胸を触診すると、しこりのようなものがあるので(でも癌ではないだろうと軽く言われました)、マンモを受けましょうという事になり、1週間前に受けて来た所、エコー要の再検査となりました。私は毎年、婦人科検診はしており、去年の8月にも少し胸に痛みがある旨を訴え、触診してもらいましたが、しこりはないと言われ、マンモは受けなくていいと言われました。(アメリカでは40歳以上に引き上がったのもあります。) 多分カルシウムが溜まってるので、カフェインを控えてと言われて、おしまいでした。今の左胸の状態は、特に押しても、乳首からの分泌液や出血はなく、乳房の変形や皮膚の変化(ひきつれ、赤くはれる等)も見られません, 押すと痛かったりします。脇の下にも特にしこりもないように思います。正直しこりがどういう物なのかもよく分からない感じです。仕事をしたり子供と遊んでいる時は特に感じないんですけど、一度乳がんだったらと考えてしまうと、痛みが増す気がします。今も左胸が痛いです。考えれば考える程、痛くなる感じがします。実は胸が痛みだした丁度1年前、転職をし、色々あり、かなり精神的に参っていたこともあります。今日は金曜日で、来週の月曜日に主治医に会い、エコーは再来週の月曜日です。 考えてしまうと夜もろくに眠れず痛みも増します。こう言った状態だとやはり乳がんが考えられますか? 家系には誰一人癌をしたものはいません。どうぞ宜しくお願いします。  

メールの記載に乳癌であること示唆するようなものは有りませんが、乳癌は非常に多い癌ですので、注意しなければなりません。中にはしこりを全く触れないものもあります。しかし、しっかりと検査を受けていれば大丈夫です。(文責 吉田)

 

No.10292】  11年07月13日   S.O.
アリミデックス服用について

現在60歳になります。非浸潤癌で温存手術、放射線、アリミデックスを2年半程服用しました。膣の痛みで半年ほど悩み、婦人科にも行きましたが改善せず、主治医に伝えたところ、薬の副作用と言われ休薬しました。休薬して2ヶ月ほどですが、まだ完全ではありません。再発、対側への予防のために5年は飲もうと思っていました。痛みが改善すれば、薬は飲み続けたほうが良いのでしょうか。このまま止めてしまえば、再発のリスクは高くなるのでしょうか。ホルモン療法をされていない方もいらっしゃるようですが、必要なかったのでしょうか。宜しくお願い致します。

非浸潤癌、乳房温存術、放射線治療後ということで、アリミデックス内服の主な目的は対側乳癌の予防ということですね。アロマターゼ阻害剤であるアリミデックスはエストロジェンの産生を抑えることにより、対側乳癌の発生を減らすのですが、同時にエストロジェン枯渇に伴い、骨密度の低下などの副作用を招き、膣の乾燥、痛みも同様です。対側乳癌を減らすのは良いことですが、必ずしも乳癌術後の生存率を改善するだけの効果があるわけではないので、その効果と副作用とのバランスを考慮して治療を続行するか考慮する必要があります。副作用が辛くて日常生活に影響が出るようであれば、アリミデックスの中止も考慮していいのではないでしょうか。主治医とよく相談してみて下さい。(文責 浜口)

 

No.10291】  11年07月11日   K
ハーセプチン使用後

平成21年7月に局所再発のため、右乳房全摘出、腋窩リンパ節摘出、十一月よりTC療法四回、その後、ハーセプチンを18回実施。最終ハーセプチン 平成23年2月3日に終了。その後、5回月経あり。最終月経6月3日、7月に妊娠発覚。胎児の影響、危険性を教えてください。どうぞよろしくお願いします。

抗がん剤の副作用の一つとして早期閉経による不妊がありますが、治療終了後に生理があって妊娠したのであれば、基本的には胎児への影響は通常の妊娠とあまり変わりないと考えてよいでしょう。(文責 浜口)

 

No.10290】  11年07月11日   M
病期の読み方について教えてください

乳がんと言われてから、この相談を読ませていただくようになりました。手術後、病期と書かれているものに、「 pT1cN0Mx 」と記載がありました。一部分らないものがあるので、基本的なことで申し訳ありませんが、教えてください。なお、腫瘍サイズは11ミリ×11ミリ、リンパ管浸襲0、グレート1、ホルモン受容体(+) HER2蛋白(1+) リンパ節転移はありませんでした。

「pT1cN0Mx」の最初のpはpathologicalのpで、病理学的(手術標本を顕微鏡で調べた)に決定した病期という意味です。Tは腫瘍径を示し、T1は腫瘍径が2cm以下を示し、更に5mm以下がT1a、1cm以下がT1b、それ以上がT1cとなります。Nはリンパ節転移の有無を示し、N0はリンパ節転移(-)を指します。Mは遠隔転移の有無を示しますが、手術標本からは判断できないので、Mx(遠隔転移不明)との記載になっています。(文責 浜口)

 

No.10289-1】  11年07月11日   N.S 
骨シンチ検査

4年前左乳房温存手術を受けました。化学療法、放射線療法を行い、現在ノルバデックスを服用しております。今回の骨シンチ検査で、「左鎖骨部分に黒いところがあるが、CTも血液検査も異常がないので、様子をみましょう。」と、言われました。今まで骨折したことはありません。

1) CT、血液検査に異常がなくても、骨転移の可能性はありますか?
2) 心配なので半年後にまた検査を受けることを考えていますが、1年に2回の骨シンチ検査は、体への負担が大きすぎますか?
3) もし骨転移の場合、半年後ならCT、血液検査に異常が出ますか?
4) 現在58歳ですが、2年前に子宮筋腫で子宮を全摘出しております。ノルバデックスを5年服用後アロマターゼ阻害剤をと考えておりましたが、早い段階でアロマターゼ阻害剤に変えたほうがいいのでしょうか?

御回答、よろしくお願いします。 

1) 微小な単発の骨転移の場合には、CTや血液検査では異常が認められないことがあります。
2) 骨シンチ検査は、微量の放射線を放つアイソトープを使う検査ですが、胸部レントゲン撮影程度の被ばく量であり、体への負担は心配ありません。
3) 骨転移でも半年後にほとんど変化ない可能性もあり、引き続き経過をみる必要があります
4) 明らかな骨転移の診断がついたわけではありませんので、現時点で治療を変更する必要はないと考えますが、主治医とよく相談してみて下さい。(文責 浜口)

 

No.10289-2】  11年07月17日   N.S 
今後の治療法について

HPNo.10289で相談させていただいた者です。御回答、有難うございました。私の乳がんはステージUbで、リンパ節転移が4個あり、高リスクです。骨転移の可能性もあり、一日も早く診断をして治療を始めたいと考えています。

1) 腫瘍マーカー、CTに変化が出るまで、経過観察をしている間に転移が進んでしまうのではないでしょうか? 検査結果に変化が出てからの治療では遅すぎるのではないですか?
2) 骨転移かどうかを確定するためには、骨シンチ、血液検査、CTの他に、どのような検査がありますか? 
3) 骨転移で注意すべき腫瘍マーカーは、ICTPでよいですか?
4) ホルモン療法についてお聞きします。2年前の子宮筋腫の手術の際に卵巣も摘出しました。ノルバデックスを服用して3年半になりますが、これを5年続けて、その後アロマターゼ阻害剤を5年続けるのと、今すぐアロマターゼ阻害剤に変えて5年続けるのとでは、どちらが再発を防ぐ効果がありますか? 閉経後はアロマターゼ阻害剤のほうが再発を防ぐ効果があると聞き、迷っております。
5) アロマターゼ阻害剤に変更するとしたら、フェマーラでよいですか? 

私が手術、診察、治療を受けている病院は、地方都市の総合病院で、乳腺専門科はなく、外科での診察、治療となり、主治医も外科の先生です。主治医に質問しても、こちらの相談室で得られる情報と意見が違うこともあり、不安に思うこともあります。御回答、よろしくお願いします。

質問順にお答えします。
1) 経過観察している間に転移が進んでしまうことも考えられますが、通常は診断が確定してから治療を開始いたします。決して遅すぎることはありません。
2) MRIが有効なことがあります。
3) ICTPが代表的です。
4) アロマターゼ阻害剤に変えたほうが良いと思います。
5) フェマーラでよいでしょう。(文責 吉田)
 

 

No.10288-1】  11年07月09日   M.I. 
今後の治療について

私の家内のことで相談させていただきます。今年、3月に左乳房全摘手術を受けました。その際、リンパ節に転移はなかったものの、リンパ節郭清も同時に行いました。現在47歳、閉経前です。 
術後の病理組織検査の「診断」「所見」は、次のとおりです。
「診断」 Invasive ductal carcinoma of breast.; solid-tubular carcinoma
「所見」 左乳腺BD領域に 2×1.5cm大のmain tumorを認めます。その乳頭側に0.8cm大の結節が見られます。組織学的にはmain tumorは solid-tubular carcinomaの像を主体とするcancer
です。一部でcomedoパターンやscirrhousな増生を認めます。軽微な脂肪織浸潤がみられます。辺縁の一部で軽度の乳管内進展像が見られます。乳頭側結節はmucinous carcinomaの像がやや優位ですが、main tumor
と同様の像を示す成分も一部認めます。検索範囲ではmain tumorとの連続性は明らかではありませんが、近接した部位もみられます。脈管侵襲陽性です。断端陰性です。リンパ節 metasasis陰性です。1t、BD領域、
2×1.5cm大, f, 乳管内進展(+), ly(+), v(−)、 断端「剥離面(−), 皮膚(−)」、LN: Level I (0/19)、ER: +(約80%), PgR: +(陽性細胞は5-10%), Hercep test:
score 0                     
という結果です。この結果により、主治医から、ホルモン療法を行う旨の説明を受けました。リュープリンを4週間に1回注射(2年間)し、その後タモキシフェンを5年間服用との事でした。抗がん剤は必要ないと言われましたが、少しでも再発のリスクを防ぎたいため、抗がん剤は行わないのか、数回やり取りしましたが、最終的には、このレベルでは抗がん剤を使用して正常な細胞を破壊するリスクのほうが高いということで、抗がん剤は服用していません。
第1 回目のリュープリンを4月7日に注射し、その後2回目の注射までの間にいろいろ調べていくうちに、リュープリン+タモキシフェンを併用するケースが多いということが判明し、主治医と相談の上、4月21日からタモキシフェンを服用しています。現在、2回目のニュープリン注射も5月6日に行い、3回目も6月2日に行いました。4回目も6月30日に行いました。そこで、先生に次のことをご教授願いたいと思います。

1) 術後の治療として、ホルモン療法だけでよいですか。その場合、リュープリン+タモキシフェンがベストの選択ですか。抗がん剤を併用したほうが良いですか。通常、抗がん剤とホルモン療法を行う場合、抗がん剤を先に行うのが一般的という書き込みがありますが、もし抗がん剤を行う場合、どのようにすればよいのですか。最適な組み合わせを教えて下さい。  
2) ホルモン療法単独と抗がん剤単独と両方行った場合、再発に影響ありますか。
3) リュープリン+タモキシフェンを併用した場合、抗がん剤CMFと同じ効果があると聞きましたが、本当ですか。
4) 最近、タモキシフェンを服用してから手の甲及び手の平が黄色くなりましたが、副作用ですか。肝臓の血液検査は異常がありません。
 
お忙しいところ大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

1)2) StageIで、ホルモン療法のよく効くタイプであることを考慮すると、ホルモン療法単独が一般的な治療と考えます。ホルモン感受性の高い乳癌には抗がん剤が効きにくいことが知られており、乳がんの治療効果を予測するAdjuvant! Onlineで見てみましても、副作用の強い抗がん剤治療を追加しても、10年生存率での上乗せ効果は3%程度となります。もともとの再発リスクが比較的低いことや副作用などを考慮すると、ホルモン療法単独が勧められます。
3) 再発予防としてのLH-RHアゴニストとタモキシフェンの併用療法は、CMFによる化学療法と同等の効果があると考えられます。
4) 皮膚の症状は薬の副作用の可能性も否定はできませんが、肝機能異常がないようであれば、経過をみて宜しいのではないでしょうか。(文責 浜口)

 

No.10288-2】  12年04月13日   M.I. 
治療方法について

「NO,10288」で相談させていただきました。いつも参考にさせていただいております。ぜひとも先生に再度ご教示願います。平成23年3月に手術をし、術後の治療ということで、平成23年7月11日(メールにてご回答いただきした。)ご教示いただきました。その後、順調に経過しまして1年が無事にたちました。先日、1年が経過したことにより、転移をたしかめる検査を行いました。 「受診項目」は下記のとおりです。
・腹部エコー ・MRI(MMGを本人が希望しなかったため) ・血液検査 ・骨密度 ・骨シンチ ・胸のCT

検査結果として、乳がんによる転移は認められないとの見解でした。ただ、右乳房に1pぐらいの腫瘍のようなものがあり、悪性、良性の判断はMRIの画像では判断できないので、胸CTとエコーを追加検査するよう指示がありました。その結果は、CTとエコー(技師)では判断できず、ドクター自らエコーを再度行ったが確認されなかった。その後、pet―ct及び胸の造影剤CTを行った。結果は、異常所見は出ず、とりあえず経過観察になりました。そこで以前からKi-67の検査をお願していましたが、あまり参考にならないとのことで示してもらえなかったが、今回生検を追加してもらい、ki-67 LI : 約25%という数値、さらに、核grade 3 (異型スコア2, 分裂像スコア3)という結果でした。
次の事項についてご教示願います。

T左乳房関連
1) 術後1年間経過しますが、これはルミナールAに該当し、本当にリュープリン+TMAでよかったのですか。(抗がん剤の必要性はなかったのか。)
2) 今からでも抗がん剤の追加は必要ないですか。このたびki:67の結果が高いので、非常に心配です。少しでも再発リスクを軽減するのに、最善の治療方法は何かありますか。たとえば、経口抗がん剤「UFT」の服用など。
3) 術後、抗がん剤を先に行ってからホルモン療法を行うのが一般的と理解していますが、同時併用することは、生存率に影響はあるのですか。また、1年たってから抗がん剤を使うことは、上乗せ効果期待できませんか。 
4) 術後1年間、野菜中心の食事にし、肉類を一切口にせず、体質改善に努力しています。術前の体重差10sを維持しているが、この努力は報われるのですか。
5) Adjuvant Onlineの10年生存率は当時90%以上と聞きましたが、その理解でよいですか。

U右乳房関連(仮定論)
6) もし右乳房に腫瘍ができたのか、あるいはあったと仮定すると、術後1年間ホルモン療法の効果はなかったという理解ですか。(以前のMMGでは画像に映らなかった。)
7) 右乳房の腫瘍は左乳房の再発ではないと考えてよいですか。
8) 右乳房と左乳房の病理組織が違う場合(たとえば、ホルモン感受性乳がんではなく、トリプルネガティブ系の乳がん)どのような治療を行うのがよいですか。
9) ホルモン療法と抗がん剤を同時に使用すると生存率は下がるのですか。(仮説ですいませんが、左乳房はホルモン感受性であり、ホルモン療法を、右乳房が仮にホルモンレセプターがないトリプルネガティブだとした場合を想定)

以上、お忙しいところ大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

1) 前回ご提示されたデータではLuminal A(L-A)と考えられますが、今回調べられたKi67と核グレードを加えて検討すると、Luminal (L-B)の可能性は否定できません。サブタイプの分類は、本来マイクロアレイ等の遺伝子検査でなされるもので、日常臨床ではER・PgR・HER2・Ki67等免疫染色や、核グレード等を参考にして類推するに過ぎません。特にL-AとL-Bの区別は難しいことが多いのが現実です。L-Aは内分泌治療のみが原則で、L-Bには化学療法の追加が勧められますが、患者さんのご意向も含めて決定されるべきことであり、リュープリン+TAMだけではいけなかったとか、化学療法をしなければならなかったと言うことはできません。
2) Ki67が高いL-Bに対して、タキサンが有効であったとする臨床試験は有りますが、CMFは有用ではなかったようです。UFTについてはTAMと併用してCMFとほぼ同等の効果が有ったとされています。しかし、術後1年が経過してからの化学療法の追加については、エビデンスも有りませんし、私も経験がないので判りません。また、Ki67-LI=25%とのことですが、固定・染色・病理医による判定等で測定値が異なるようです。この数値が絶対値で「高い」と判断できるかどうかは少々疑問です。
3) 化学療法と内分泌療法の同時併用で、効果を打ち消しあう場合が有る半面、生存率が向上することは有りません。術後1年経過例では、前述したように不明としか言えません。
4) 術後の肥満が死亡リスクを増加させ、運動することが減少させることは確実です。また日本人では関連なしですが、白人では脂肪摂取の増加が再発リスクを増加させるとされています。しかし減量が死亡リスクを減少させたり、脂肪摂取の減少が再発リスクを減少させるという報告は有りません。多大な努力をされていることは賞賛に値しますが、ほどほどで良いと考えます。
5) 核グレード3ですので、少し変わって85.1%です。
6) TAMはER陽性乳癌を抑制すると言われ、乳癌発症予防は抑制率38%ですが、完全なものではありません。仮に右乳房腫瘤が乳癌であったとしても、それは有り得ることです。私もTAM内服中に発症した乳癌を2例経験していますし、2例ともER陽性乳癌でした。
7) 右が乳癌なら別の乳癌が発生したと考えます。左の乳癌がからだをぐるっと回って右に再発していたら、他の再発しやすい部位の転移も有るでしょう。
8) こういうことは余り遭遇しないと考えられますが、それぞれに対しての治療が必要でしょう。術後治療ですので、より再発しやすい方を優先して行うと思います。
9) 3)で述べたように上乗せ効果が無いのと同様、生存率の低下もありません。(文責 久保内)

 

No.10287】  11年07月05日   A.U.
骨シンチ

骨シンチ検査をうけるべきかどうかについての相談です。4年前、左乳房に2センチ以下のしこりが2個あり、乳腺をとる手術を受けました。リンパへの転移はなく、T期、治癒率90%以上とのことで、術後はホルモン治療、タスオミン一日一錠服用。現在は半年に一度の定期健診のみです。健診はずっと異常なしできているのですが、先日の定期健診の時、異常はないが、骨シンチの検査を受けるように言われました。特に症状もないのに、高い検査料を払ってうけるべき検査なのか疑問に思い、投稿してみました。よろしくご教示ください。

なぜ、検査を受ける必要があるのか、あなたの病気の状況を十分理解している主治医とよく話し合うべきだと思います。(文責 徳田)

 

No.10286】  11年07月05日   Y.O.
今後の治療について

5月末に温存術、6月5日に退院しましたが、まだすべての検査結果はでていません。現在わかっている病理の検査結果は以下のとおりです。(詳しい用語がわからないのですいません)
・断面に癌が残っている(先生いわく、初期の癌との事)、手術で切除した癌は浸潤癌
・ホルモンをエサとして成長する癌のため、ホルモン治療が有効
・ハーツー検査は、遺伝子検査で、ハーセプチンが効果あるとの事 (これはハーセプチンが効果がないほうがよいのですか?)
・リンパ節転移なし(0/13)
・一番最初にとったリンパ(センチネルリンパ腺?)のみ転移あり
・現在は最後の検査で、断面の細胞を詳しく調べているとの事

1) 病理検査って、こんなに時間がかかるものなのでしょうか? 病院が、乳がんに関して詳しくないって事なのでしょうか
2) 断面に癌が残っている場合は、やはり再手術が最も正しい選択なのでしょうか?
3) 検査結果をかみくたぎ、わかりやすい発言をしてくれるのは、31歳の自分に、ただわかりやすくしてくれているだけなのでしょうか? みなさん専門用語でよく書かれていますが、それは何か医者が紙に書いて説明してくれるからですか?
4) 再手術をする場合、しないで放射線を選択した場合、再発の可能性はどのぐらい違うのでしょうか?

わかりにくくて申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

1) 病理診断は、最終診断です。判断が難しい場合には、追加の検査をする必要もあり、時間がかかることもあります。
2) 断端の状況によります。非浸潤癌のみが断端に陽性であれば、追加切除はせず、放射線照射を断端に追加することで十分です。浸潤癌が陽性の場合には、追加切除が標準です。
3) ご本人が正しく理解することが最も重要です。患者さんが専門用語を使う必要はありません。
4) 前述のように断端の状況により違います。浸潤癌が陽性の場合には、放射線照射では不十分です。(文責 徳田)

 

No.10285】  11年07月03日  T 
仙骨への転移について

1993年、左全摘。リンパに1個転移、ステージ2。96年、右全摘。温存でも良かったが、とりました。2004年、肺に転移、2箇所、6ミリと3ミリ。2008年、CTに写らなくなりました。肺の治療には、ホルモン剤フェアストン、アリミデックス。抗がん剤はメソトキセート、エンドキサン、ティエスワンで治療しました。2010年6月に仙骨転移判明、CEA8 73、CA15-3は15でした。放射線を16回、合計40グレイを受けました。ゾメタの点滴を6週間毎に受けています。約1年経過した6月中ごろに、両足にしびれを感じるようになりました。昨日、腰から下の
レントゲンをとりましたが、しびれの原因はわからない、仙骨のところが原因ではないかと、MRIの検査をします。同じところに放射線はもうあてられないとのことでした、MRIの結果をみて治療方法をかえるとのことです。今後どのような治療方法があるのか知りたいと思います。よろしくお願いします。6月現在CEAは1,21。CA15−3は9です。

両足のしびれは、仙骨の病変ではなく、それよりうえの腰椎などの病変によるものかもしれません。その検索の意味もあってMRIを行なうのです。病変の位置によっては、照射が可能かもしれません。仙骨転移の進行であれば、抗がん剤を含む薬物療法を考えます。また、転移の進行ではなく、放射線の影響かもしれません。(文責 徳田)

 

No.10284】  11年07月03日  Y O
ゾラデックスの治療について

ゾラデックスについて質問させていただきます。よろしくお願いいたします。私は現在49歳です。右乳がんを三年前に全摘した後は FEC+タキソテール→ゾラデックス+ノルバデックス の治療を受けて、現在も継続中です。ゾラデックスは4週間間隔での注射ですが、最近、担当の先生の都合もあり、たまたま、5週間間隔が2度ほど続きました。その際、4週間を過ぎた頃から、次回の注射までの1週間の間、生理痛のような下腹部痛がありました。これは、ゾラデックスの効果が切れたためでしょうか? 基本的には4週間間隔で注射して頂いているのですが、その時の事が、治療効果の面から考えても気になっています。ゾラデックスの注射の有効期間についてお教え下さい。                        

ゾラデックス4週間ごとの投与をしていて、中止した場合、エストロゲンや、脳下垂体のホルモンが治療前の状態にもどるのに3ヶ月程度かかるとされています。したがって、1週間程度のずれは、あまり影響がないことが理解できると思います。(文責 徳田)

 

No.10283】  11年07月03日  M
ホルモン治療中の性生活について

現在フェマーラを服用して8ヶ月になりますが、性生活で薬に悪影響を及ぼす恐れはないのでしょうか? どのサイトを見ても問題ないと書いてありますが、性行為のわずかな時間にエストロゲンが放出されても関係ないと書いてあるのを読んで、では頻回に行っているカップルは、行為の間ずっとエストロゲンに晒されていると考えられるのでしょうか? それはとても問題があるように思えるのですが・・・。

閉経後の卵巣でエストロゲンが作られていない状況で、フェマーラにより卵巣以外で作られるエストロゲンが抑制されているわけですから、性行為によりエストロゲンが増加するとは考えられません。(文責 徳田)

 

No.10282】  11年07月03日  T.M.
セカンドオピニオン

現在乳がんかどうかの確定検査中です。経過は以下の通りです。
5月、人間ドックの検査結果を受け取る。乳がん検診(エコー)、両胸に線維腺腫の疑い、要再検査と通知が来る。2日後 6月、乳腺専門のクリニックを受診(乳腺外科の先生です)。やはりエコーで所見があり、そのままMRI検査を受ける。この時は右胸のみ異常があるとの事。非浸潤性ガンでしょうと言われました。1週間後、検査結果を聞きにクリニックへ。MRI診断の結果、左右に所見があり。エコーをかけながら、右の方ははっきりわかり、左はこれかな〜?とおっしゃっており、はっきりこれとは解らないようでした。かなり怪しいとの事で、右乳房の物のみ針生検。左はやらなくて良いからと言われて検査しませんでした。ショックがあったので、左もやってくれとは言えませんでした。20日後、主治医から電話で連絡があり、「良性だったので乳腺症だった可能性がある。3ヶ月後に経過を見ましょう。」との事でした。最後の電話の時、左胸は検査しなくて良いのか?と聞きましたが、おそらく同じ症状だから、このまま何もしないで良いとの返事でした。主人と、事前に良性であってもセカンドオピニオンはとろうと相談していたので、その希望を伝えると、嫌そうに「採った同じ細胞を見ても良性の物しか無いのだから、お金がかかるだけで意味が無い。他の検査をする事を勧める。」と、つっぱねられ、PET検査を勧められてしまいました。まず気になっているのは、左胸に有った物が何だったのかということです。私のように腫瘍が左右にあった場合、内容は同じと考えて良いのでしょうか? 私は左胸に針生検をして、何だったのかをはっきりさせた方が良いと思うのですが・・・。主治医の言うように、PET検査をして、何も無ければ経過観察とし、両胸の腫瘍の内容を確定されたと考える方が合理的で良いと思われますか? また、セカンドオピニオンは、この場合は必要は無いと思われますか? 主治医の先生がおっしゃっている事を、どうやって受け止め、判断し、受け入れて良いのか。解らなくなっています。お力をかして頂ければ幸いに存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

MRI画像、超音波画像、右乳腺の病変の病理組織診断報告書およびスライドを準備してセカンドオピニオンをうけるべきです。
理由は、
1.病理診断で良悪の意見が診断医により異なることがある。
2.病理所見とMRI、超音波の所見が一致しているかどうか判断する必要がある。
3.MRIの左乳腺の異常所見を放置していてよいかの判断をする必要がある。
4.超音波で病変が同定できない場合、MRIガイド下に針生検を行なうことができる。(文責 徳田)

 

No.10281】  11年07月02日  K.I
乳腺線維腺腫瘍・痛み

現在35歳、子供なし。2年前、非浸潤癌の為、左乳房全摘+同時再建致しました。その後、再建した胸には、なんの問題もありません。ですが、昨年秋頃の検診で、健側の右胸に乳腺線維腺腫があることがわかりました。(細胞診もしています。) 先月の検診でも、大きさもさほど変わっていないという事で、問題はありませんでしたが、気になるのが痛みなんです。圧迫感があって、時々ズキッとします。腕を上げて痛いと感じる時もあります。生理前に限らず、しこりの部分が終始痛み、とても気になります。今は片方の胸でしか生理前などの不安定なホルモンバランスもうけられないから、このようにずっと痛いのでしょうか? そのままにしていて良いのか、痛みは消えるのか...。術後から今に至るまで、徐々に今までになかった生理前などの体調の悪化などもみられるのは確かです。バランスの崩れと言いますか...。同じように乳がんで片方の胸だけになってしまった方など、そういったホルモンのバランスの乱れなど、皆さんあるのでしょうか? 先生のご意見、お願い致します。

片方の乳腺を切除したからといってホルモンバランスがくずれることはありません。線維腺腫は、比較的硬い腫瘍ですので,体位によっては、痛みや圧迫感も生じます。また、女性ホルモンの影響をうけて症状がつよくなることもあります。したがって、良性の線維腺腫であれば、放置しておいてかまいませんが、症状によっては、腫瘍の切除も考えられます。切除により、腫瘍の確定診断もつきます。(文責 徳田)

 

No.10280】  11年07月02日  Y.S
術後の治療について (HPNo.10230-3)

前回のご回答ありがとうございます。再度相談させていただきます。術後、化学療法をせず放射線とホルモン療法だけで良いのか迷い、相談させていただき、ホルモン療法単独が推奨されるとの事でしたが、子供がまだ小さい事もあり、化学療法の上乗せ効果があるのなら、今出来る事はやっておきたい気持ちがあります。主治医と相談し、現在放射線治療中で、その間に化学療法をするか決める事になっています。しかし前述した様にC型肝炎の事はとても心配に思っております。化学療法(TC療法+アンスラサイクリン系)を施行した場合、それをきっかけに肝炎がくすぶり始める可能性はありますか。あるとすると、どの位のリスクが考えられるでしょうか。現在、HCV抗体(−)、一年前まで(+)でした。「HCV-RNA定量検査 ウィルス検出せず」の結果が出ています。度々すみませんが、よろしくお願い致します。

現在、B型肝炎ウイルス感染既往のある乳がん患者さんに化学療法を行なう場合は、B型肝炎ウイルスの再活性化による致死的な重症肝炎の発症リスクがあることが知られており、肝臓専門医に相談することが勧められています。
C型肝炎ウイルス保持者に関しては、エビデンスは十分ではありませんが、化学療法による重症肝炎の発症リスクは高くないとされています。あなたの場合は、ウイルスが検出されていないので、リスクはきわめて低いと考えられます。
以上のリスクとメリットを比較して、判断すべきですが、化学療法を行なう場合には、念のため、肝臓専門医にも相談してください。(文責 徳田)

 

No.10279】  11年06月29日  K
TS-1の用法・用量について

母の転移乳がんの事でご相談致します。2年前に右乳房温存療法にて手術しました。ステージ2aで、グレード3、リンパ節転移なし、ERとPgR陰性、HER2陰性でした。化学療法はCMF、放射線治療済みです。今年の3月に複数個所への肺転移がわかり、糖尿病や肺の病気がある事なども考慮 し、5月からTS-1の服用が始まりました。ティーエスワンカプセル25mgを朝2・夕2の1日4cap処方されています。通常4週間服用して2週間休薬で1クールですが、主治医からは、6週間(42日分)服用の2週間休薬を指示されています。既に6週間服用し休薬中ですが、6週間も服用する用法に何か長所があるのでしょうか。また、6週間服用して副作用が強く出ないならば、このまま服用を続けるべきなのでしょうか。調べても情報が何も出てこないので相談させていただきました。どうかよろしくお願い致します。

通常TS−1は4週間投薬2週間休薬のサイクルで行います。6週間連続で行うレジメン(やり方)があるのかどうかは判りません。主治医にご確認ください。(文責 俵矢)

 

No.10278】  11年06月29日  M O
肋骨の痛みについて

初めて御相談致します。私は44歳ですが、去年健診で初期の乳がんが見つかり、12月に右乳房温存術を施行しました。幸い早期の発見で、腫瘍は0.4p、センチネルリンパ節生検転移無しです。浸潤性乳管癌で、ハーツー(1+)、ホルモン受容体強陽性で、25回50グレイの放射線治療と現在ノルバデックスを服用中です。6月に入り、手術側の肋骨が痛みだし、伸びをしたり、体を捻じったり、皮膚を触ったり、押したりすると痛みます。肋間神経痛でしょうか? 放射線科受診時、先生は、「転移の可能性もあるので、骨シンチを3カ月後にしましょう。」と言われました。私は自己判断で、おとなしいタイプの超早期癌で、半年後に転移するとは思っていないので、案外気楽にしていますが、乳がんと肋間神経痛は関係ありますか? 又、骨シンチの必要性はありますか? よろしくお願い致します。

骨シンチはしてみてよいと思いますが、骨シンチでその部分に集積があっても、単純な肋骨骨折と、肋骨転移の区別はできません。痛みがあまり悪くならなければ、あまり心配しなくてよいと思います。(文責 俵矢)

 

No.10277】  11年06月29日  S
UFT

2010年11月に乳房温存手術を受けました。55歳です。病理組織の結果、リンパ節転移なし、腫瘍径13ミリ、グレード3、ホルモン陽性(割合は出ていません)、ハーツー陰性で、放射線治療後、3月よりアロマシンを服用しています。抗がん剤はしていません。先日、UFTとホルモン療法の併用で、CMFと同等の効果があると知りました。今からでもUFTの服用はできるでしょうか?

手術から少し遅れたということで、効果が落ちるかどうか?というところが懸念されますが、服用は可能と思います。主治医に相談してみてください。(文責 俵矢)

 

No.10276】  11年06月29日  Y/M
今後の治療について

母の乳がんについて、初めてご相談させて頂きます。現在48歳の母は、先日全摘手術を終えて、入院しております。今までの経過として、去年の12月に発覚して検査した結果、3.5cm程度の腫瘍が右乳房外側にあるのと、脇の下のリンパに転移の疑いがあり、FECを4クール・タキソテール(?)を4クール投与してからの手術予定でした。しかしタキソテールが合わなかったため(喘息の発作がおきました)、急遽FECを6クールにしてからの手術となりました。
術前検査で、最初に発見された3.5cmの腫瘍は2cm程度まで小さくなり、抗がん剤が効いているとの事でしたが、実は最初の検査で乳腺症だろうと思っていた影が、術前検査で明らかに大きくなっていて、これも癌で、しかも抗がん剤を打っていたにもかかわらず大きくなっていたので、コレに関しては抗がん剤が効かないとの事でした。そして更にMRI検査で、前回の乳腺症と思われた影と同じような影が、右胸全体に幾つか映っていたので、結果温存ではなく全摘手術を選びました。そして、やはりリンパにも転移があったため、脇の下と鎖骨(?)のリンパ2つも取りました。
検査や手術をする度に結果が悪化しています。現在患部を病理検査に出して再発率を結果待ちですが、正直『再発率ではなく余命を宣告されるのではないかと不安でいっぱいです。』
担当の先生も初めてのケースらしく、結果が出ないとハッキリと言えないそうです。

今わかっているのは
・ 抗がん剤が効くものと効かないもの両方あり。
・ 局所多発性(?) すいません、良く分からないのですが、同時に色んな箇所に癌が出来る?
・ ホルモン受容体がないので、ホルモン剤が効かない。
・ リンパに転移しているので、2つリンパ摘出しています。

今までのケースで、この様な患者さんはいらっしゃったのでしょうか? またこの様な場合の生存率は低いのでしょうか? 先生は、病理検査の結果次第では、もう一度違う抗がん剤(タキソ系?)と放射線を試してみたいとおっしゃっていました。しかし、抗がん剤が辛そうなので、大して効果が現れないのなら、別の治療法はないのでしょうか? 大変長くなりましたが、宜しくお願い致します。

術前化学療法を行って、全体として増悪していたということでしょうか。術前化学療法中に増悪するケースは数%程度はあります。その場合は、効果があった場合と比較すると、予後が不良な傾向があります。ホルモン受容体がなく、HER2タンパクの発現もないのであれば、ホルモン療法やハーセプチンは効果がないので、化学療法主体の治療となります。また主治医の先生が言われるように、放射線治療も考慮するとよいでしょう。化学療法の副作用があまり辛くてというのであれば、その旨主治医にお話になって、今後の治療について十分相談なさってください。(文責 俵矢)

 

No.10275】  11年06月29日  S.A. 
術後の不妊治療(HPNo.10046-2)

以前No.10046で質問させていただいた者です。その後、タイミング法などしましたが、未だ妊娠していません。検査の結果、チョコレートのう胞、AMHが低い、高齢という事で、人工授精することになりました。それでもダメな場合、体外受精しかないとの事ですが、乳がんの主治医は反対のようです。不妊治療と乳がんの病院が違うため、意見が違い、困っています。やはり、非浸潤ガンでも、体外受精は再発を高めてしまうでしょうか?

対外受精を行うと、がんの再発リスクを高めるという確固とした根拠はないように思います。非浸潤がんで再発リスクは少ないし、ダメではないのではと考えます。主治医と今一度お話になり、セカンドオピニオンを求めてみてはいかがでしょうか。(文責 俵矢)

 

No.10274】  11年06月29日  H 
水がたまっています

29歳既婚、出産経験無しです。2月くらいに、生理前の乳房の痛みがいつもより激しく、今までで一番の痛みでした。触って確認したところ、左胸乳輪上部近くがパンパンにはれていて、乳頭も陥没していました。もともと乳腺が発達していて、触るとあちこちにしこりもあったので、検診は受けていましたが、今回は一年以上空いてしまっていたので、ダブルで心配でした。大きめの病院の乳腺科で、マンモと超音波両方で検査したところ、水がたまっていると言われました。特に心配する必要は無いとのことでしたが、今でも痛みがあり、しこりも大きくなっているように思えます。乳頭陥没もしたままで、でてきません。痛みに加えてかゆみもあり、今日の朝には赤みもでてきました。乳頭からの分泌物は、今のところありません。生理後にまた検査してもらう予定ですが、これは乳腺の異常なんでしょうか? 膿がたまってしまったのでしょうか?

皮膚に赤みがあって、押すと痛いなら、乳頭の下に膿がたまっている可能性があります。陥没乳頭の方は、乳輪下膿瘍といって膿がたまりやすい場合があります。診てもらうとよいでしょう。(文責 俵矢)

 

No.10273】  11年06月29日  M S
手術後の抗がん剤について

よく拝見させて頂いて、参考にさせていただいております。ありがとうございます。手術後の抗がん剤についてご意見をいただきたくご相談いたします。
現在57歳ですが、10年前に右乳癌で温存の手術を受けました。3年前に、同じ右に再発し、左腋窩のリンパにも転移していました。ゼローダ内服で様子を見ていたのですが、昨年、右乳房を全摘しました。ゼローダを続けていましたが、同じところに再再発しまして、この6月に胸筋切除の手術を受けました。左のリンパは、触るとゴロゴロしている感じです。銀杏くらいの大きさに感じます。トリプルネガティブで、Ki67を取っていただいたところ、80%だそうで、悪性度の高さに驚いてしまいました。今のところ元気であり、仕事にも就いていくつもりです。FECを示されたのですが、前医で、エンドキサン・ゼローダを内服したとき、胃が痛くなるなどして、きつかったので、4回で中止しています。静注になっても同じような副作用は起こりますか? Ts-1は適用になりませんか? 悪性度が高いと、FECやナベルビンなどのような静注のほうがよいのでしょうか? ガンの悪性度は下がることがあるのでしょうか? どのようにしたら上手に付き合っていくことが出来るでしょうか? アドバイスをよろしくお願いいたします。 

1) 左のリンパ節が転移だとすると全身再発ということになります。
2) FECあるいはタキサンが適応です。
3) 副作用は、経口、静注ということではなく、薬剤によって違います。詳細は、担当医に確認しましょう。
4) TS-1は、ゼローダと類似の薬剤なので、効果は、FECなどより期待できません。
5) 薬剤の選択は、効果の高いものから使用するのが原則です。
6) 抗がん剤の効果で、Ki67が低下することはあります。
7) 肝臓や、肺などの重要な臓器に転移がないのであれば、すぐに命にかかわりません。抗がん剤の副作用とうまくつきあって、効果がある限り、できるだけ長くつづけることが大切です。抗がん剤の種類もたくさんあります。(文責 徳田)

 

No.10272-1】  11年06月29日  RT 
今回の治療の是非について

2000年に左乳房外側下部に乳頭腺管がんが見つかり、温存手術後、放射線治療とリュウプリンの投与を3年半行いました(5年と言われましたが、めまいや精神的な症状が強くなったので、途中で中止しました)。このときの大きさは2cm以下で、リンパ節転移なし、HER2遺伝子陰性、ホルモン受容体陽性、glade1、増殖因子<20%でした。術前のCT等の検査で、遠隔への転移もみとめられていません。2009年末に左内側上部にマンモグラフィで異常が認められたため、マンモトーム生検を受け非浸潤がんと判定されました。左乳房の全摘手術を受け、病理の結果は、ホルモン受容体陽性、HER2遺伝子陰性、増殖因子<20%、glade1でした。最初のがんと同じかどうかは、判断がつかないとのことでした。年数が経っていることと、場所が離れていることから、新しいがんの可能性が高いのではとの意見でした。DCIS、非浸潤がん、CT等での遠隔転移なしということで、術後の治療はしていません。ホルモン治療も、リスクの方が大きいということで、行いませんでした。
2011年4月に左内側上部にしこり(7ミリ×3ミリ)を見つけ、細胞診でがんと判定され、CT等で遠隔転移が認められないため、5月に該当部分を切除しました。皮膚への局所再発であると言われました。ホルモン受容体陽性、HER2遺伝子1〜2+、増殖因子<20%、glade2、脂肪組織に若干の浸潤がみられるそうですが、切除断端にがん細胞はない、取り残しはないとのことでした。最初のがんの残りだと言われました。切除部位には、チタンのクリップが入れてあるそうです。術後の治療として、リュープリンとノルバデッグスを1〜2年使用するとの方針です。左胸部への放射線治療も考えるよう言われました。
相談したいことは、今回の治療の是非です。ホルモン治療はやらなければいけないと思っていますが、放射線は、最初の治療で照射していますので、本来なら同一部位へ
の照射は出来ないのではないでしょうか。主治医の先生は、放射線科の先生と相談するようにおっしゃいました。リスクがあっても、今後のために放射線は必要なのでしょうか。長文になってしまい申し訳ありません。お忙しいところ申し訳ありませんが、ご回答宜しくお願いいたします。

放射線照射については、一度照射した部位への再照射は、通常は行ないません。前回の照射記録を参照して、判断することになると思います。主治医と放射線科医との相談の結論を待つべきです。 (文責 徳田)

 

No.10272-2】  13年12月15日  RT 
今後の治療について

2011年6月に相談させていただいた者です。No.10272です。皮膚の再発部位切除後は、リュープリンとタスオミンでの治療となりました。術後の検査では、今のところ再発所見はありません。リュープリンは2年ということで、今年の夏に中止しました。タスオミンは継続中です。今回の相談は、タスオミン継続についてです。夏に子宮内膜に肥厚がみられるということと、筋腫も大きくなり、長年の過多月経もあったので、先月、子宮と卵巣を摘出しました。主治医は、再発者の卵巣摘出後のタスオミン使用についてはデータがないので、今後どうするか決めかねていらっしゃるようです。タスオミンやアロマターゼ阻害剤など使用した方がいいのか、何もしなくてもいいのか、ご意見をいただけないでしょうか。また、今までセカンドオピニオンを受けたことはないのですが、受けた方がよいでしょうか。受けるとしたら、どのような機関で受けたらよいでしょうか。お忙しいところ申し訳ありません。よろしくお願いします。

皮膚の再発部位切除後2年7ヶ月経過、リュープリンは2年間使用し、その後卵巣も摘除したとのことです。今後更にホルモン治療の継続が必要か否かとのご質問ですが、主治医の先生が仰るとおりエビデンスはなく、いわゆる応用問題として検討するよりありません。私見となりますが、2011年の皮膚への再発が2009年の手術の際に取りきれなかった組織の残存であったとすると、その組織型がDCIS(非浸潤がん)であったことより、今後他の臓器への遠隔転移やリンパ節転移はきたしにくいと考えられます。よってその副作用も考慮すると、今後さらにホルモン治療を継続する必要はないと考えます。またセカンドオピニオンに関しましては、より多くの専門家の意見を参考にしたいとお考えならばお受けいただくことに十分な意味があると思います。逆に方針に納得がいくのであれば、あえて受診する必要はないと思います。セカンドオピニオンを受診したい場合は、大学病院やがんセンターなどの基幹病院でセカンドオピニオン外来を設けているところを、ホームページで調べた上で受診するのが良いと思います。(文責 谷)

 

No.10272-3】  13年12月25日  RT 
タスオミン

No.10272および10272-2で相談させていただいたものです。丁寧にご回答いただき、ありがとうございました。皮膚への再発がDCSIの取り残しによるものと考えると、タスオミンの継続は不要ではないかとのことですが、2000年の最初のがんの取り残しであったとすると、タスオミンを継続する意味はありますでしょうか。主治医の先生も「タスオミンやめてもいいと思うよ」とおっしゃることもあるのですが、私としては、最初のがんと皮膚への再発を比べると、gladeは1から2に、HER2遺伝子は陰性から1〜2+へと変わっていることが心配でもあります。またタスオミンの副作用について教えていただければありがたいです。たびたびの質問で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

この場合 タスオミンを続けるかやめるかに関しては、明確な答えはなく、ケースバイケースということになると思います。個々の症例で利益不利益を判断して考えることになると思います。タスオミンの副作用として頻度の高いものとしては、月経不順や不正性器出血などや、ほてり のぼせ 発汗などがあげられます。また頻度はそれほど多くないですが、肝機能異常、脂質代謝異常、血栓症、子宮体がんなどの発生などがあげられます。現在、子宮や卵巣を切除されているということであれば、月経不順や不正性器出血、子宮体がんなどの子宮に関連する副作用は考えなくてよいということになります。その分タスオミン服用に関する不利益が少ないともいえるので、服用を続けて当初の予定通り5年間服用するというのも選択肢としてはありだと思います。しかし、主治医の先生がやめてもいいよとおっしゃっているのであれば、それなりの理由があると思われます。あなたの病状を現時点で一番わかっているのは現在の主治医と思いますので、まずは継続したときの利益不利益、やめたときの利益不利益を今一度主治医に説明してもらって、お決めになるのがよいと思います。そのうえでまだ疑問が残るようでしたら、セカンドオピニオンも検討されるとよいのではないでしょうか。(文責 俵矢)

 

No.10271】  11年06月29日  Y.W.
今後の治療法について

2005年に骨転移から発見されたので、乳がんの手術は受けていません。グレード2、ホルモン受容体陽性、hert2陰性、05年に頸椎、腰椎、胸椎に放射線12回照射。ホルモン薬は、アリミディクス、フェアストン、アロマシンと飲んできて、現在ノルバデックスを飲んでいます。ゾメタも月1回継続しています。最近、腫瘍マーカーが上昇(CET17.67 NCC−ST57 CA15−3 16.3)しているので、骨シンチやPETなどで検査し、結果は骨盤へ転移しているところが悪化。骨盤への放射線治療を考え中です。骨盤への照射は、骨髄制御で、今後抗がん剤治療が出来なくなる恐れがあると聞きましたが、骨盤照射者のだれもがすべてそうなるのか? 他に治療法があるのか・・・。痛みは個人差があるので、これくらいの痛みはどうなのか、自分で判断が難しいのです。足にしびれはありますが、仕事や日常のことは出来ます。ただし夜や長時間の歩行はつらくなります。宜しくお願いいたします。

放射線照射の意味は、1)病的骨折を防ぐ 2)疼痛を軽減する ことの2点です。骨盤の転移の場合、転移の場所にもよりますが、病的な骨折は起こしにくいと思いますので、疼痛の状況が判断の基準になります。オピオイドを使う必要があるような痛みであれば、照射を勧めます。骨髄機能抑制に関しては、照射野をしぼることで対応可能と思います。(文責 徳田)

 

No.10270】  11年06月28日  T 
再発後について(HPNo.10035-2)

前回、No.10035にて質問させていただきました。その節には、新たなご見解等をご教示いただき有難うございました。昨年6月、術後3年半経過の時点で、PET検査により左腋窩リンパ節に再発が判明し、切除術を受けました。腫れていたリンパ節は1個のみということでした。半年後のCT検査では異常はなく、局所再発から1年(術後4年半)経過の先日、再度PET検査を受けました。「特に問題ありません。良かったですね」と口頭で言われ、ほっとしていたのですが、PETの診断書(写)をあとで見ましたら、以下のことが記されていました。
1) 左腋窩レベルTの軽度腫大が見られますが、異常な集積像を認めません。リンパ節反応性変化が疑われます。遠隔転移を疑う所見を認めません。
2) 腰椎(L4/5右椎間関節部)に硬化性変化がみられます。異常な集積像を認めませんが、変形性骨関節症が疑われます。

再発は、発見自体の速さに関係しないという事で、先生は経過観察の意向から、口頭での説明がなかったのではとも思うのですが、次回受診まで2か月ありますので、以下の点につき教えていただければ有難く思います。

1) フェマーラに変更後もリンパ節に腫大化が起きているのでしょうか? 反応性変化という事は、どのような事でしょうか? このまま治まることもあり得ますか?
2) 軽度腰痛が続いていましたので不安だったのですが、骨転移の可能性は考えなくてよろしいでしょうか?

1) どこのリンパ節も炎症反応として腫大することがあります。このようなリンパ節の腫大を反応性腫大といい、放置しておいてかまわないもので、通常自然に縮小します。がんの転移とは違います。
2) PET検査で異常な取り込みがないので、変形性関節症の診断でよろしいと考えます。(文責 徳田)

 

No.10269】  11年06月28日  Y
充実腺管癌

彼女が充実腺管癌と言われました。5月5日にシコリに気づき、たった二ヶ月で5cmも大きくなってます。6月30日から、抗がん剤で3週間様子を見て、効果があれば暫らく抗がん剤治療を行います。効果がなければ、即手術みたいですが、のんびりしすぎじゃないでしょうか? 腫瘍の成長スピード、早過ぎませんか? 大丈夫なのでしょうか? まだ、転移しているかどうか分からないのですが、している状況、していない状況で教えてください。彼女の年齢は34です。腫瘍の大きさは、6cmくらいです。

ご本人が状況を一番理解されていると思います。転移があるのかないのか、抗がん剤は、なぜ3週間様子をみるのかも、主治医から説明を受けていると思います。ご本人が理解していないようであれば、彼女と一緒に主治医に伺いましょう。(文責 徳田)

 

No.10268】  11年06月28日  Y.H. 
病院を変えた方がいいでしょうか?

43歳で二人の子供がいます。健康診断で受けたマンモで9ミリ程度の石灰化がみつかり、先日マンモトームで細胞診をしました。一週間で結果が出る予定でしたが、担当医から電話があり、「珍しい症例で判断がつかないから、別の医師に判断をあおぐので、結果はもう一週間先にしてほしい。」と、言われました。現在かかっている病院も乳腺外科があり、この地域では大きな病院ですが、何だか不安になってきました。これでは結果良性でも安心できない気がします。結果を聞いてから別の病院で最受診した方がいいでしょうか? 専門医でもわからない症例ってあるのでしょうか?

病理組織診断については、乳腺病理の専門医も少なく、何人かの専門医の意見を仰ぐことは、ときどきあります。だれが見ても悪性という所見ではないということですから、あわてずに待ちましょう。(文責 徳田)

 

No.10267】  11年06月24日  H 
再発後の治療について

2年半程前、温存+放射線を受け、ホルモン治療をしてきました。この度、同胸に再発が見つかりました(前回タイプと異なるので、新たに出来たものかもしれませんが・・・)。今回は全摘手術を受ける予定でいます。が、少し迷いがあるので教えてください。

1) 再発の場合でも、皮下乳腺全摘術は選択肢にあるのでしょうか。
2) 現段階で再建については決めかねています。その場合、術式は全摘術を受けることになるのでしょうか。
3) 再建しないかもしれないけれど、先行きを考慮して皮下乳腺全摘術を受けるということもあるのでしょうか。

よくわからないので、よろしくお願いします。

1) 残存乳房再発後は原則的には乳房切除を行います。再温存療法や乳頭温存は限られた場合に選択肢になることはありますが、その際は再再発の可能性が少し増すかもしれないことを理解する必要があります。このあたりは主治医の先生によく確かめてください。

2)、3) 同時再建をしないのであれば、乳頭を敢えて残す意義は少ないように思います。局所再発のリスクを理解して乳頭を残すのであれば同時再建のほうがよいように思います。このあたりは、形成外科の先生のご意見を聞いてください。(文責 俵矢)

 

No.10266】  11年06月24日  Y.I. 
放射線治療について

妻の乳がんの事で相談致します。昨年、右乳房全摘手術を受け、その後、抗がん剤治療としてAC、パクリタキセルを受けました。現在、アリミデックスを飲んでいます。病理結果は以下の通りです。
浸潤癌(充実腺管癌)、腫瘍の大きさ1.0x1.0cm、脈管浸襲 高度、組織学的グレード3、ホルモン受容体 ER PgR 両方共陽性、HER2 陰性、リンパ節転移 2

相談とは、先週、脈管浸襲が高度という理由で、放射線治療を勧められました。
1) 本によると、リンパ節転移が4個以上は放射線治療が必要と言う事になっているのですが、リンパ節転移が2個の場合でも、放射線治療を受ける必要が有るのでしょうか? 
2) また、放射線治療を受けると再建が出来ないと妻が言うのですが、それは本当なのでしょうか? 

よろしくお願いします。

日本乳がん学会編の乳がん診療ガイドラインでは、リンパ節転移が4個以上の患者さんに対しては行うことが推奨されております。リンパ節転移がそれより少なくても、腫瘍の大きさが大きい、切除断端が陽性などの因子があれば、局所再発の制御のため行うこともあると思います。胸壁照射にはもちろん合併症もあるので、リンパ節転移1-3個の場合の胸壁照射のメリットが合併症のリスクを上回るかについては、リンパ節転移4個以上の症例に比べると、根拠が弱いとされているので、ケースバイケースで考えていくことになると思います。
再建に関しては、放射線を照射すると、皮膚に影響があるので、インプラントを入れる再建は選択しづらいなど、再建できなくはないのですが、再建方法が限られます。(文責 俵矢)

 

No.10265】  11年06月24日  M.M
今後の治療について

一昨年の検査で乳がんが見つかり、これまで治療をしてきました。使える抗がん剤も少なくなってきたとの主治医の言葉もあり、この先が不安です。希望としては、とにかく完治すること。できなければ、一日でも長く元気でいられる事。(治療づけで、苦しみながらの最後は辛いです。ただ、良くなる可能性があるものであれば、知っておきたいと思います。) 標準治療で一連の治療が終わり、なお がんが進行している場合、無治療(緩和療法)以外の選択肢はどのくらいあるのでしょうか? インターネットなどで調べると、未承認抗がん剤を使う(アバスチン?、ネラチニブ?など)、臨床試験に参加させてもらう(PARP阻害剤?)、局所手術を行う(内視鏡手術?)、免疫療法などを行う等、あるようですが、具体的にどのような手続きが必要なのか分かりません。何か良いアドバイスをいただければと思い、ご相談させていただきます。宜しくお願いいたします。

これまでの治療経過(40歳、子供3人です。)
・2年前乳がんの確定診断(乳管がん、腋下リンパ節転移有り)、Her2:陰性、ホルモン:陽性
・術前抗がん剤(エンドキサン+アドリアマイシン ⇒ タキソール)(タキソール2クールで腫瘍増大)
・乳房切除+リンパ節(病理検査結果:核異性度2、腫瘍3cm、リンパ節転移3個)
・術後、リュープリン開始。 3か月検診で再発見つかる。
・放射線治療開始(胸部と腋下、鎖骨上下)とともにゼローダ服用開始
・腫瘍は縮小したが、放射線治療終了後 3か月でしこりが見つかる。
・現在、ジェムザール+リュープリンで治療中。
 
腫瘍が大きくなるのが、とても速いようです。抗がん剤やホルモン療法の効果が薄い様な気がしますが、良くあることなのでしょうか? ただ、遠隔地の転移はありません。それだけに、なんとか治療を継続して、一日でも長く元気に過ごし、子供の成人する姿をみたいのです。何卒、宜しくお願いいたします。

現在まで化学療法を中心に行ってきていらっしゃるようですので、ジェムザールでも腫瘍が増悪するならば、ホルモン療法を行ってみるのはいかがでしょうか。LH−RHアナログ(リュープリン)+タモキシフェンや、これがすでに行われていれば、LH−RHアナログ+アロマターゼ阻害剤という方法もあります。PARP阻害剤は、トリプルネガティブ乳がんに効果が期待されており、中でもBRCA遺伝子変異のある乳がんへの効果が期待されています。ネラチニブはHER2陽性の乳がんに対するお薬だと思います。主治医の先生と今一度お話になったうえで、セカンドオピニオンとして他の先生のご意見を求めるのも一方ではないでしょうか。(文責 俵矢)

 

No.10264】  11年06月24日  Y.M
骨転移

2007年に温存手術後、ノルバディックを服用しています。先日、MRIで脊椎に影が見つかり、PETで陽性となり、「骨転移」していると宣告を受けました。現在、痛みは全くありません。治療方法は、これから主治医と相談するのですが、まずは、脊椎への放射線の照射を言われています。骨転移の場合、放射線は痛みを軽減するために行うというものだと思うのですが、痛みのない状態で照射することは、意味があるのでしょうか? 一般的にはどのような治療が行われるのでしょうか? また、遠隔転移が認められた以上、これからいろんな場所で転移が見られることになるのでしょうか? 余命があまりないのではないかと心配しています。教えていただけると幸いです。

病的骨折や神経の圧迫の可能性が危惧されるときは、痛みが出ていなくても、それらを予防するために照射を開始することはあります。ノルバデックスを服用中の再発なので、治療としてはホルモン療法を変更する場合が多いと思います。病状によっては化学療法を考慮することもあります。転移した後の予後については、乳癌のタイプや転移の状況にもよるので、ここではお答えしかねます。まだ痛みのない骨転移なので、いますぐにどうこうといったことはないと思われます。治療を開始しつつ、主治医に相談してみてください。(文責 俵矢)

 

No.10263】  11年06月23日  K.F.
乳がん手術について

私は北海道在住の38歳主婦です(治療のため、現在は横浜に遠征しております)。昨年夏に早期の乳がんが発覚したのですが、病院の治療法にふみきれず、現在も手術をしていない状態です。生活習慣や食生活などを大幅に改善して民間療法のようなものを行ってきましたが、震災の後あたりから順調に縮んでいた腫瘍が再び大きくなってきたため、最近になって手術に踏み切ろうかと考え始めています。そこで質問なのですが、部分的に腫瘍を切って、後は自分で療養することは可能でしょうか? 全適出する以外は、方法はないでしょうか? 抗がん剤や放射線治療は極力避けたいところなのです。お忙しいところ大変申し訳ありませんが、アドバイスをよろしくお願いいたします。

部分的に腫瘍を切って自分で療養されるというのは、よくないと思います。乳がんの治療は、手術と薬物療法、放射線療法を適切に組み合わせて行います。患者さんの体質や、乳がんの性質などを考慮して治療を選んでいきます。抗がん剤や放射線治療を行う場合はなぜ必要か、どういう治療なのかを説明し、納得していただいてから治療は始まると思います。無理矢理行うわけではありません。病院を受診して、現状を診断してもらって、適切な治療を受けていただきたいと思います。(文責 俵矢)

 

No.10262】  11年06月23日  R.T.
再発でしょうか?(HPNo.9811-2)

昨年ご相談させていただいた折はありがとうございました。その後、放射線(50GRY)、TC療法(4クール)を終えて、3ヵ月ごとのゾラデックス+ノルバデックスのホルモン療法を、今年の1月から開始しております。つい2週間前の血液検査でも、腫瘍マーカーはすべて問題なしで安心しておりました。しかし、2,3日前から、手術した左胸の手術創の部分の下あたりに、平べったく硬くなっている部分があるのに気がつきました。もしこの部分が腫瘍であったなら、2cmくらいはあると思われ、こんなに急に大きくなるものなのかと不安に思っています。エコーやマンモは、来月の術後1年の検診で全身精査する際に、と言われました。手術後一度も診てもらっていません。放射線と抗がん剤とホルモン剤で治療をしていても、こんなに早く再発することはあるのでしょうか? 私の癌は、エコー検査実施4ヶ月後に1.8cmの大きさで発見されています。たった4ヶ月で急激に大きくなるということは、悪性度が高いということになるのでしょうか? またこれが再発であった場合、局所再発ということになるのでしょうか? やっと治療にも前向きに取り組み、立ち直ってきたのに、ここへきて1年前の悪夢が思い出され、不安で不安で仕方がありません。3週間ほど後に受診がありますが、そのときまで受診しなくてよいものでしょうか? 先生のご助言をお待ちしております。 

診察しないとなんともお答えしかねるところです。三週間毎日心配しているよりは、主治医に連絡して、早めにみてもらってはいかがでしょうか。いずれにせよ、それが一番安心できると思います。(文責 俵矢)

 

No.10261】  11年06月23日  S.W
造影剤の使用について

いつも拝見させていただいております。骨転移治療の件で、何度か相談させていただいております。今まで何事もなく受けていた造影剤使用のCT検査でしたが、今月受けた検査の後、蕁麻疹のような発疹が出ました。一度このような症状が出た場合、今後の画像検査で造影剤を使う事は危険でしょうか? 病巣を発見するには、より鮮明に写る造影剤を使用した方がよいと聞いておりますが、今後は副作用のない他の画像検査にする時期でしょうか? 主治医に相談すべきと思いましたが、次の診察まで間があるため相談させていただきました。宜しくお願い致します。

検査を受けた直後に蕁麻疹が出たことは、検査の前に主治医に伝えてください。造影CT検査の必要度が高ければ、注意して検査をしてみることもありますし、必要度がそれほどでなければ、造影剤をしないで検査してもよいでしょう。その判断は主治医でないと難しいです。(文責 俵矢)

 

No.10260】  11年06月23日  M 
セカンドオピニオン

現在51歳で、29歳と32歳の時に出産を経験し、親族には癌はおりません。初潮も遅く(15歳)、以前から乳腺症(初めて乳がん検診した40歳頃)と言われてきました。2年前(2009/春 49歳)に右乳房にしこり(2cm位)がみつかり、検査しました。マンモグラフィには写らず、超音波検査にて嚢胞があると言われました。穿刺吸引細胞診で、水に少々血液が混じっているとの事、結果クラス3のAで、半年毎の検査が必要と言われました。その後、半年毎の検査を怠り、2年経過してしまい、しこり(2.5cm位)が大きくなり、今回、5月に再検査してもらいました。しこりが大きくなった為、太針穿刺組織診との事。その際にかなりの出血があり、嚢胞内の血液と言われ、結果クラス3のBで、異型上皮で嚢胞内乳がんとの事。手術し、放射線治療が必要と言われました。たぶん嚢胞内だけの非浸潤がんと思われる、MRIとCTによる検査をし、ホルモン療法をするかの判断をしたいと言われました。6/30 MRIと、7/2 CTの検査予定です。7/5に検査結果をもとに、手術方法の説明と日程を決めるそうです。2年間放置しても健康上なんの問題もありませんでした。今後、浸潤がんに変わっていくかもしれません。しかし病理診断の結果はクラス3Bです。本当にがんなのか、もしかしたら良性の嚢胞内乳頭腫では?と疑問も感じています。非浸潤がんが浸潤がんに変わる可能性があるようですが、非浸潤がんのうちに治療してしまうために、実際には不明な部分が多いと聞きました。を受けたいと思っていますが、最初に病理診断セカンドオピニオンを受けたいのです。これらは担当医の同意と協力が必要になります。しかし、担当医が嚢胞内乳がんと診断しており、手術と放射線治療が必要との判断を信頼していない事に不快感を持ち、今後の診察や治療に影響がでるのではないかと心配しています。納得できないまま手術はしたくないのです。どうしたら良いでしょうか?よろしくお願いします。

嚢胞内乳がんか、もしくは乳管内乳頭腫(これはがんではない)の鑑別診断が問題となっているようですね。この二つは、手術の前にはどっちかがはっきりわからないことが多く、切除して初めて診断がつくケースがかなり多いです。また浸潤があるかないかに関しても、手術で病変を切除しないとわからないことが多いと思います。ですので、特に経過に不自然な点はないと思いますが、ご自身で納得できないお気持ちを抱えたままは確かによくないので、これまでの経過、現在の状況、手術について、今一度主治医に説明をしてもらうのが一番よいのではないでしょうか。その上でセカンドオピニオンを受けるとよろしいのではないでしょうか。(文責 俵矢)

 

No.10259】  11年06月21日  Y
肺への微小転移について

初めて投稿させていただきます。Yと申します。37歳、既婚、子ども1人の女性です。2011年5月6日に針生検で左胸DCISと診断され、その後、MRI/CTで4センチ程度の病変があると言われました。乳房の大きさがあまりないこともあり、現在、皮下乳腺全摘を前提に手術待ちの状態です。10日ほど前から軽い咳が出始めました。ごく軽いもので、痰などは絡みません。日中が中心ですが、眠りが浅いときなどにも出ます。MRI/CT/X線検査の結果、リンパ節への転移の可能性は否定できないが、肺は今のところ綺麗だ、との説明を受けましたが、この咳の症状がとても気になっています。そこで質問なのですが、上記各種検査で異常所見が見られない場合で、咳という形で症状が発現することはあるのでしょうか。今の病院では、針生検でDCISと診断された場合、術前に化学療法等の実施はしない。また、術前のセンチネルも行わないとのことなのですが、手術までまだ1か月近く待機しなければならないため、とても不安を感じています。どうぞよろしくお願いいたします。以下は、針生検時の所見です。

1)判定区分  
 検体適正  悪性
2)推定組織型
 DCIS(非浸潤がん)

≪追加報告:免疫組織化学≫
ER:  100%  PgR: 100%  HER2: 2+  MIB1 index: 約20%

乳癌でもDCISの場合、肺など全身への転移や腋窩リンパ節転移をすることはありません。しかし、現段階では針生検した一部の腫瘍組織からDCISの診断が得られただけですので、腫瘍全体の中にはひょっとすると一部に浸潤癌が含まれているかもしれません。よって診断からだけでは肺転移を100%否定することはできませんが、一方で咳が出るほどの肺転移(または胸膜転移)があったとすると、CTやX線検査で異常が認められないことは少ないと思われます。これらのことより、メールの内容から判断すると肺転移である可能性はきわめて低いと思われますが、咳がおさまらないようであれば、主治医または呼吸器科を受診して、心配を払拭されるのがよろしいかと思います。(文責 谷)

 

No.10258】  11年06月21日  M
今後の治療について

妻の病状について質問させてください。11年前に右乳がんで温存手術受けております。リンパは陰性でした。後ノルバテックスを二年間のみ、放射線を受けておりました。今年になり、同じ側のリンパにしこりが見つかり、先日リンパかくせい術を受けました。結果は10本中1本にありました。病理検査の結果 前回のタイプと全然違うものです。
前回はERホルモン ++ が、今回 -0%  前回PGRが ++ が、今回 -0%  前回はHER2 - が、今回 +score 2 fish 0.9 です。HG tubule 3 HG nuclear atypia 3 HG mitosis 3 N-SAS 3 B&R 3
の判定が出ております。「異型の高度ながん細胞が充実性胞巣を形成して増殖する癌転移」と、恐ろしい事が書いてあります。前回より、ずっと悪いように言われています。治療は何もなしで、血液検査だけで様子を見ていくようですが、妻とも心配でなりません。ネットで見ればトリプルネガティブらしいです。再発も高い確率で早い段階でおきるように書いてあり、この再発?転移?があったら、どのような治療をするのでしょうか? それによって効果はどのような効果があるのでしょうか? 優しいタイプの癌で治療なしだったら良いですが、たちが悪いのに何もしないのは、出来ないのは、どうしようも無く辛いことです。少しでも希望の持てるご意見、ありますでしょうか?

通常乳癌が再発した場合、元の腫瘍と同じ性格を持つ場合が多いのですが、奥様のように再発時に癌の悪性度が高くなる場合も時にあることが知られております。11年目の腋窩リンパ節初再発ということになりますが、再発腫瘤からはトリプルネガティブであることになります。今の段階で全身検索をして明らかな他臓器への転移がなければ、このまま経過観察するか予防的抗癌剤投与をするか、検討の余地がありそうです。経過観察するのであれば、もしこの先さらに再発がみられた場合は、やはり抗癌剤を使用することになると思われます。今までに抗癌剤はまだ使用されていないみたいですので、アンスラサイクリン系、タキサン系などの抗癌剤がまず選択されることになると思われます。いずれにせよ、11年経って再発してきた腫瘤ですので、まず落ち着いて今後の対処をよく検討いただきたいと思います。奥様と一緒に頑張ってください。(文責 谷)

 

No.10257】  11年06月20日  K.R.
ホルモン治療とサプリ

アメリカ在住の39歳です。1年以上前にDCIS(非浸潤性乳管癌)と診断され、部分切除、放射線を経て、現在ホルモン治療(タモキシフェン)中です。タモキシフェンは昨年の9月に始めました。それ以前にコレステロール対策で摂取していたサプリがあるんですが、ホルモン治療のために(医者から言われたわけではなく、自分で勝手に判断して)やめたものがありまして、大豆イソフラボン、レシチン、植物ステロールです。皮肉なことに、タモキシフェンの副作用といえば一時的更年期なので、体重・コレステロール増加が気になってまいりまして、またその3種類を摂取し始めようかと迷っています。素人なりの調査によると、大豆イソフラボンに関しては賛否両論の様で、後の二つに関しては、情報が見当たらなかったのですが・・・。ご意見伺えたら幸いです。

タモキシフェン使用中はイソフラボンがその作用を阻害する可能性があると言われており、サプリメントとしてのイソフラボンの使用は控えたほうが無難であると考えます。レシチン、植物ステロールに関しましては、乳癌治療とは無縁であると思います。(文責 谷)

 

No.10256】  11年06月20日  T 
今後の治療について

初めて投稿致します。いつも丁寧で患者の気持ちに寄り添う回答をありがとうございます。術後6年目になりました。今後の治療について悩んでいます。どうか宜しくお願いいたします。発覚当時の年齢 41歳、 病歴 :浸潤性乳がん、 腫瘍径2センチ、 ステージUa、 Grade1、 がんの種類 充実腺管がん
<病歴>
2005年8月右胸温存手術(41歳)
リンパ転移(2/6) ER(+) PGR(±) Her2(1+) 
2005年9月放射線50グレイ照射(41歳) 
2005年9月〜12月 AC 4クール(41歳)
2006年1月〜4月  ウイークリータキソール 4クール(41〜42歳)
2006年5月〜2011年5月 ノルバデックス、ゾラデックス開始〜終了(42歳〜47歳)
(ゾラデックスを5年間投与)

1) 主治医より、閉経ではないので、閉経になったらアリミデックスという提示を受けています。(女性ホルモンレベルは、ゾラの後なので今は、検査出来ないと言われました。) このような場合、ゾラ+タモで閉経になっているとみなし、現段階でアロマターゼ阻害剤を服用しても構わないでしょうか?今は、生理は来ていません。また、ビスフォスフォネートなどと併用するべきでしょうか?
2) 子供も小さいこともあり、少しでもリスクを下げる何か治療法がありましたら、ご教示願えたら幸いです。ただ、主治医からは、ゾラデックスで閉経状態にして、アリミデックスというのもあると言われました。(但し、これは再発患者には勧めているけれど、私のような人には勧めていないと言われました。) 継続してノルバデックスを服用する・・ということについては、如何でしょうか? (5年服用済みです)
3) 昨年8月にPET-CTで、右骨盤辺りに白い点のような物が写っていました。骨も溶けていないので、これは骨硬化性変化では・・と言われています。でも、交通事故など思い当たることはありません。ブドウ糖の集積もなく、経過観察でよいと言われています。MRIならわかるかもしれないが、骨シンチや骨マーカーでは調べようがないくらい小さいものだと言われました。こういった場合の、お勧めの検査方法がありましたら、教えて頂ければ幸いです。

1) アロマターゼ阻害剤を使用するのならば、E2,FSHなどのホルモンの値を調べる必要があります。ホルモン学的に閉経といえるのであればアロマターゼ阻害剤の効果が期待できますが、ホルモン学的に閉経前の値であれば、現在生理がなくてもアロマターゼ阻害剤の効果は期待できません。またアロマターゼ阻害剤を使用する前には骨密度の値を測定し、もし骨密度が低く、かつアロマターゼ阻害剤を使用していくのならば、ビスフォスフォネートとの併用も一つの選択肢となります。
2) もしホルモンを調べて閉経の状態であるとすると、アロマターゼ阻害剤を開始することでさらに再発率を軽減できる可能性があります。閉経前であったとすると、ゾラデックス+アロマターゼ阻害剤も一つの選択肢になりますが、現時点から使用して再発率の低下に寄与するかどうかは、わかっておりません。
3) それ以上の検査は特にないと思います。(文責 谷)

 

No.10255】  11年06月20日  S
タモキシフェン CYP2D6検査について

44歳です。3年前乳がんになりました。タモキシフェン服用中ですが、CYP2D6の検査をしました(チトクロームP450−2D6)。結果、*1/*5 と判定されました。調べてみると日本人には*10が多いようですが、*5はあまりないようで、よく分かりません。そこでお伺いしたいのですが、

1) *5は、一つでも無活性型になるのでしょうか。 タモキシフェンが効かないということですか。それとも一つは*1だから、半分は効いているのでしょうか。
2) 薬をかえたほうがよいのか、薬をかえるとすると、どんな選択肢がありますか。

現在はリュープリン、タモキシフェンを2年と少し、続けています。予定でいくと、リュープリンは終了です。病理と治療は以下の通りです。

硬がん、 ステージ2、 腫瘍径 2.8、 エストロゲン、プロゲステロン 陽性 (多分一番強い)、 Her2 +3、 温存手術、 術後抗がん剤 Fec70(4回)、 放射線  30回、 ハーセプチン 17回、 ホルモン治療 タモキシフェン、リュープリン継続中

薬をかえた方がいいのか悩んでます。調べてもよく分からず、相談させていただきました。どうぞよろしくお願い致します。

1) 乳癌に用いられるホルモン療法剤のタモキシフェンは、体内でCYP2D6という代謝酵素によってより活性の強いエンドキシフェンに変換され、乳癌の抑制に働くと言われております。ところがこのCYP2D6遺伝子多型には、いくつかの欠損型と低下型が確認されているため、この遺伝子多型を調べることにより、タモキシフェンの効果しにくい人を選出できるとされております。貴女の場合、酵素活性を消失させると言われるCYP2D6*5を持っており、タモキシフェンが効きにくいタイプであるということになります。しかし、まだこの一連の研究は解明されていないことも多く、実際にタモキシフェンを変更するべきか否かは、主治医の先生とよくご相談ください。
2) もし他の薬剤に変更するのであれば、トレミフェンかリュープリン+アロマターゼ阻害剤が考えられます。これも主治医の先生とよくご検討ください。(文責 谷)

 

No.10254】  11年06月18日  ピース
腫瘍マーカーについて

いつも大変お世話になっております。腫瘍の大きさは、約1.5センチあったのですが、手術前の腫瘍マーカーの検査において正常値以内でした。ある程度の大きさがあっても、腫瘍マーカーに反応しない乳がんはあるのでしょうか? ホルモン二つとも陽性で、HER2陰性の場合、ルミナルAで予後がよいと聞きますが、ホルモン陽性率が10%と弱い場合でも、ルミナルAに入るのでしょうか? お忙しい中、申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

腫瘍マーカーはあくまでも目安でありますので、がんがかなり進行していても数値の低いこともありますし、逆に比較的進行の浅いケースで高値となることもあります。また、現在の考え方では、ホルモン陽性率は1%以上を陽性としますので、10%であればluminal Aに分類されます。(文責 谷)

 

No.10253】  11年06月18日  H
母の乳がんについて(HPNo.9978-3)

いつもお世話になっております。過去質問bヘ9978です。術前化学療法が終了し、4cm近くあった乳がんが、1.5×0.8まで縮小しました。ステージはUからTに変わりました。先日6月2日に乳房温存手術が無事終了しました。病理結果は以下の通りと聞いております。
センチネルリンパ節 0/2、脈間浸潤 −、リンパ管浸潤 −、核グレード 2、断片陰性
ただ一つ気になる事があり、今回質問させていただきました。断片は陰性でしたが、一番下(大胸筋側)のスライスにがん細胞があったとのこと。大胸筋からは1mmしか離れていないと母から聞きました。一応は断片陰性ですが、とても心配です。先生が言うには、大胸筋の膜をはがして術中に病理検査にまわしたが、陰性だったから、筋肉まで癌は及んでいないとのこと。大胸筋を覆う膜に癌がなければ、その奥に癌が残っている可能性は極めて低いのでしょうか? 大胸筋浸潤しているのではないか、大胸筋まで切除すべきなのではと、とても心配しています。
次は放射線とホルモン療法を受ける予定です。放射線を当てることによって、万が一大胸筋まで達しているがん細胞があるとしたら、それらを死滅させることはできるのでしょうか? またこれからの再発率、生存率も合わせて教えていただければと思います。お忙しい中、すみません。病院側の都合なのか、主治医と手術を担当していただいた先生が違い、主治医は乳がんにあまり詳しくないみたいで、あまり多く聞けない雰囲気だと母が言っていました。このような質問、相談が出来る場を提供していただいて、本当にありがたく思っています。どうかよろしくお願いします。

腫瘍が大胸筋から1mmしか離れていなかったため心配であるとのご質問ですが、術中に迅速病理診断まで行って陰性とのことですので、大胸筋に浸潤している可能性は、それほど高くないと考えられます。さらに今後放射線療法を行うことになり、もしごく少しの浸潤があったとしても、放射線療法で癌細胞を死滅させる可能性が高いと思われます。よってメールの内容から判断するに、お母様の手術のような場合は大胸筋を削ることは通常行わないと考えます。また、Adjuvant! Onlineというサイトからお母様の条件で検索すると、10年生存率が約83%、10年無再発率は約80%となります。(文責 谷)

 

No.10252-1】  11年06月18日  F.M.  
再再発の乳がんについて

現在65歳です。再再発の乳がんについて、ご相談いたします。初発は平成6年3月で、ステージ2で温存療法で手術、放射線で治療しました。術後2年間の薬物治療の後、9年間は何もなく過ごしました。平成15年に骨転移(胸骨)が見つかり、放射線とアリミデックスとフルツロン、エンドキサンなどの薬物治療をしました(平成18年9月まで)。骨転移の方は今のところほとんど消えていますが、平成18年9月に肺転移が見つかり、アロシン、ゼロータの薬物治療に変えました。ゼロータの副作用がひどく、19年4月にTS−1、アロマシンに変えましたが、平成21年3月にTS−1の効き目がなくなり、タキソテールのウイークリー点滴治療に変え、2年ほど経ち、CTの検査でも肺の影はほとんど見えなかったので、昨年の8月から3ヶ月半ほど抗がん剤の点滴をやすみました。その後、腫瘍マーカーが上昇し、CA-15-3が1月45.4 2月48.4  3月55.0  4月67.8  5月74.0  6月94.7  と上昇してきています。6月のCT検査では、肺の影はそんなに大きくなってないのですが,、胸水が前より多く見えるという結果でした。質問ですが、やはり主治医の先生の言うように薬を替える時期にきているのでしょうか?替えるとすれば、どのような薬があるのでしょうか? 薬の効果が無くなった原因は、一度薬を休んだからなのでしょうか? 今までに使った薬は、もう一度使っても効かないのでしょうか?  いろいろお尋ねして申し訳ありません。この先の治療に薬がなくなるのではないかと不安です。よろしくお願いします。 

乳癌術後9年目の再発、その後8年間にわたり薬物治療を続けながら頑張ってこられ、かつ前向きに今後の治療を検討されておられる貴女の姿勢に、まず敬意を表したいと思います。現在腫瘍マーカーが徐々に上昇しており、胸水が増加している(?)とすれば、やはり治療内容を変更する必要がありそうです。術後最初の2年間の薬物療法の内容がわかりませんが、まだ使用していないのであれば、タキソールやアブラキサン、ジェムザール、ナベルビンなどの抗癌剤が候補に挙がりそうです。一般的に一度使った薬剤は効果が期待しにくいとされており、避けるのが無難です。ただ休薬したことで薬剤の効果が落ちたわけではないと思います。いままでの経過からも、貴女の場合薬物治療によく反応してきておりますので、今後も是非前向きに治療に頑張っていただきたいと思います。(文責 谷)

 

No.10252-2】  13年04月22日  F.M.  
リンパ管症

前回、HPNo.10252で相談いたしました。その後、昨年の九月頃から胸水が溜まるようになり、何回かぬきました。リンパ管症ではという診断です。それでも抗がん剤(ジェムナール)の治療を続け、腫瘍マーカーも少し下がったところでしたが、休薬の次の週に急に息苦しさがひどくなり、緊急入院、酸素吸入とリンデロンの治療をしました。二週間の入院で退院し、家で酸素1リットルとリンデロン1ミリで治療中です。リンパ管症には、抗がん剤の治療は効果が期待できないのでしょうか? 体力的に治療は無理ということでしょうか? 

抗がん剤の効果は当初みられても、次第に少なくなってきます。そうしますと、むしろメリットよりもデメリット(おっしゃるように体力も低下します)が多くなり、受けないほうがよいということになります。あるところでご病状を受け入れて、抗がん剤治療も中止をしなければならないでしょう(必ずしも治療することがよいこととは限りません・・・)。(文責 加藤)

 

No.10251】  11年06月18日  K.M.  
手術について

愛知県で7月下旬に右胸の全摘出手術を受ける予定になっております。42歳です。(5cm位の粘液癌で、CT、血液、骨シンチの検査では、骨・リンパ他への転移はみられないとのことです)
手術に関して2つ提案されました。
・ 1つめが、7月下旬に手術時にセンチネルリンパ節生検をして乳房全摘出手術をする
・ 2つめが、抗がん剤治療を3〜6月してから乳房全摘出手術と同時にリンパ節郭清、エキスパンダー挿入をする

私はリンパ節を優先してエキスパンダーをあきらめ、1つめのセンチネルリンパ節生検のある手術を希望したのですが、今考えると胸がなくなってしまうショックとリンパ節郭清により右手への影響がおこるのと、どちらが重大なのかわりません。先生のご意見をお願いいたします。

直接拝見しておりませんので詳しいことは申し上げられませんが、病変の大きさとその位置から、抗癌剤使用後も乳房温存術は不可能との、主治医の先生のご判断なのだろうと推測します。全摘が確定とすると、術後に乳房再建をするか否か、もしするならば手術と同時に行う(一期的再建)か、術後一定期間をおいてから行う(二期的再建)かの選択になります。またセンチネルリンパ節生検を術前抗癌剤治療の後行うことの是非は、これから臨床試験により検討してゆく段階でありますので、センチネルリンパ節生検を行うのであれば、術前抗がん剤治療を行わず手術する場合に施行するのが、現段階での標準治療ということになります。以上のことを踏まえよくご検討ください。(文責 谷)

 

No.10250】  11年06月18日  I
石灰化で心配しています

46才です。10年前から乳がん検診を年2回受けています。最初に市民検診でひっかかって以来、乳腺症があるためか、いつもなにかしらエコーでのう胞がみつかったり、しこりのようなものが触診されたりして、そのたびに針で細胞をとっていただき、シロと判定してもらったり、経過をみたりして、無事に今日に至っています。
昨日の検査では、エコーで6ミリの石灰化したものをみつけられ、「ほぼ97パーセントは大丈夫だけど、いちおう組織をとっておこう」ということで、検査され、今までに検査した場所じゃないからと、予定になかったマンモを急遽とるように言われました。(マンモは半年前にとっていたので、今回はとらないはずでした)
マンモの結果は、はっきりとした石灰化の粒が3コ、三角形にありました。ビッシリではなく、間隔があいていましたが、先生は拡大して見せて下さったかもしれないので、はっきりとした間隔はわかりませんが・・・。先生は、「3コだから、よかった。大丈夫だ。」とのことでした。でも来週の細胞の結果まで、心配でなりませんので、質問させてください。

1) 石灰化は3コくらいであれば、集まっていても良性の可能性がありますか?
2) 体質的に、のう胞ができやすく、乳腺症でもあるということならば、この半年で、石灰化の粒が現れるということは、よくあるのでしょぅか?
3) 今まで5箇所以上も要チェックの場所があったはずですが、逆に石灰化が消えてしまったり、のう胞がなくなったりすることもあるのでしょうか? 今ある6ミリのエコーに写るものも、なくなる可能性がありますか?

10年前から、いつもひっかかるので、乳がん検診にはとても敏感になっています。どうか、アドバイスをよろしくお願いします。

1) 良性の可能性は十分にあると思われます。
2)3) 石灰化病変の多くはのう胞、線維腺腫、乳腺症など乳腺の良性病変に付随してみられます。もちろん癌の時にもみられることがありますので注目するわけですが、良性石灰化病変も、出現したり増加したり、時になくなることもあります。あせらず細胞診の結果をお待ちいただきたいと思います。(文責 谷)

 

No.10249】  11年06月18日  T.M.
術後抗がん剤治療について

術後の抗がん剤治療について相談させてください。58歳女性、閉経しています。術前の針生検でホルモン受容体あり(ER、PGR各100%)でした。
術後の病理検査にて、「・ステージ2b ・腫瘍2.2cm、リンパ節転移(1/6)センチネル1つに0.3mmの微小転移あり ・腫瘍の周囲にも転移と思われるがん細胞がある ・脈管侵襲が2+」ということから、オンコタイプの検査をすることなく、術後抗がん剤治療が決定しました(ちなみにグレードは2、HER2は術前の針生検で1+とのことでした)。ホルモン受容体もあることからTC療法をすすめられ、1クールをこなしましたが、主治医より中止を言い渡されました。その理由について、「効果より副作用が大きい」とのことでしたが、その副作用について具体的に何が決め手なのかと質問をすると、
・微熱が続いている(投与予定日の3W後も37度前半)
・投与後約2週間後から目の充血が続いている(後眼科で目薬を処方されたが治りが悪い)→びらんの危険
・自覚症状として、横になることしかできないほど体がつらい
という回答でした。何度質問してもそれ以上の回答はありませんでしたが、それだけで通常(アレルギー症状も認められないのに)抗がん剤治療を中止するものなのでしょうか?
このことについて医師に質問してみても、「通常ヨーロッパではホルモン陽性なら抗がん剤はしない医師が多い。アメリカではやるだろうけど・・・。今回の抗がん剤はあくまで予防的な治療で、効果も確実に判るわけでもなく、ホルモン療法もあるのだから。」という回答にとどまりました。しかし、この場合副作用が強いなら、標準治療が不可能でも、量を減らすなり、間隔をあけるなりして治療を続行しないのでしょうか。ご意見をお聞かせください。
あとから思い返してみると、白血球の減少が一因なのかもしれませんが・・・。抗がん剤1W後180(1000以上はないと・・・という数値なのに・・・と言われました)、その日に注射をして3日後570→注射2クール投与予定日には5300に回復していました。これらのことをふまえ、UFT2年とフェマーラ5年を言い渡されました。正直、TC療法を続けることは自身も副作用に不安を覚えていますが、中止することにより再発リスクがあがることも恐れています。先生はどのような見解をされるか、お教えいただければ幸いです。

補助療法としての抗癌剤使用は、主治医の先生が仰っておられるようにあくまで予防的投与、言いかえれば再発の可能性を減らすためのものであるので、その効果とそのデメリット(副作用やそのリスク、時間的・経済的負担など)とをよく考え併せて決めなければいけません。メールの内容から判断すると、投与後1週間で白血球が180まで下がったということなので、もしTC療法を継続するのであれば通常次の投与は減量して行うべきでしょう。しかし減量しても再度大幅に白血球が減少する可能性は残っています。よって今後TC療法を継続することは、その後に免疫が低下し重大な感染症にかかる可能性を念頭に置き、十分な管理が必要であると思われます。さらに他の副作用も何点か生じているため、継続使用するならば相当な覚悟で臨む必要はありそうです。貴女の場合ホルモン感受性が高く、ホルモン治療での効果も十分に期待できますので、そこまでTC療法に依存せず、ホルモン治療を中心とした補助療法に期待するのも正しい考え方であると思います。TC療法をUFT+フェマーラに変更してどのくらい再発リスクが増加するかはまだわかっておりませんが、十分に認容できる治療法であると私は思います。いずれにせよ今一番大切なことは、納得のいく治療をお受けいただくことであると思いますので、今の思いを主治医の先生に今一度お話され、今後の方針をよく検討する必要があると思います。大変なことと思いますが、是非頑張ってください。(文責 谷)

 

No.10248】  11年06月18日  K.M.
マンモトーム生検について

34歳、一児の母です。先日検診を受け、マンモグラフィーで右胸に散在的石灰化が見つかりました。エコーと触診では、しこりはみつかりませんでした。石灰化は、集まって塊になっているものや、枝状になっているものはなく、全体に散りばめられているような状態です。ただ、数が多いため、マンモトーム生検を受けた方がいいという診断結果でした。母が乳がんで亡くなっているため、遺伝など心配です。大きな病院を紹介していただき、2週間後に受診する予定です。

1) マンモトーム生検は、乳房の厚みが2cm以上ないと貫通してしまうため出来ない可能性もあると伺ったのですが、私の場合1.6cmとのことでした。マンモトーム生検を受けることは可能でしょうか?
2) もしマンモトーム生検を受けることができなかった場合は、3か月または6か月といった間隔での経過観察になるのでしょうか?
3) 第2子の妊娠を希望しています。マンモトーム生検で良性と診断された場合、マンモトーム生検が受けられず経過観察となった場合、妊娠は可能なのでしょうか?

ご回答の程、よろしくお願いいたします。

1) 乳房の厚みの薄い方でも、マンモグラフィでの乳房の挟み方と針をさす方向の工夫をすれば、マンモトームが可能になる場合も少なくありません。
2) もしマンモトームが出来ないとすると、専用の細い針を用いて採取する場所をマークしたのちその部位を一部切開して組織生検をする、フックワイヤーガイド下生検も一つの選択肢となります。また仰る通り3〜6カ月後の経過観察も有力であると思います。
3) マンモトームで良性と診断されれば一段落しますので妊娠は可能ですが、経過観察の場合は一段落するまでは妊娠は控えたほうが賢明かもしれませんので、主治医の先生と御相談されるのがよろしいかと思います。(文責 谷)

 

No.10247】  11年06月16日  P
タモキシフェンによる副作用

いつも参考にさせていただいております。乳房切除術、腫瘍径0.3p、ER+7、Pgr+5、HER2(+1)、ク゛レート゛2、断端陽性、43歳です。手術より1年経過しております。浸潤がわずかとのことで、術後治療としてタモキシフェン単独療法をしていましたが、定期検査で貧血の値が前回より下がりました(ヘモク゛ロヒ゛ン11→9.0)。婦人科受診をしたところ、子宮肥大で子宮腺筋症の疑いと出ました。LH-RHアコ゛ニスト製剤を服用していないため、生理は毎月きていました。

1) 半年前の子宮がん検診は超音波ともに異常なし。このようなことはタモキシフェンの影響と考えられますか?ノルバの副作用には0.1%の月経過多とありますが、それに入ってしまったのでしょうか?
2) 今後、タモキシフェン+LH-RHアコ゛ニスト製剤の治療をした方がいいのか?(術後一年経過していますが、効果があるのか?) 

ご意見伺えたらと思います。よろしくお願い致します。

ご相談どうもありがとうございます。微小浸潤のある非浸潤がんの乳房切除術後なのですね。今回の急激な貧血の進行は、明らかな不正出血が無いのであれば、子宮の影響は低いと思います。もちろんタモキシフェンによる可能性はゼロではありませんが、それよりも胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの精密検査を含めて、胃カメラや大腸の検査などをお勧めいたします。それでまずは何もないことをご確認くださいませ。術後一年からLH-RHアゴニストを追加することの意義は不明です。また、非浸潤がんの微小浸潤にたいしてLH-RHアゴニストを使用する意義も不明です。ご希望であれば先生にご相談してみてくださいね。応援しています。(文責 高橋)

 

No.10246】  11年06月16日  U 
今後の治療について

ご相談したいことが、二つあります。一つは、治療について、二つめは、健側の予防的切除についてです。今年三月末に乳頭乳輪温存皮下乳腺全摘出を行い、現在テッシュエキスパンダーを留置中です。閉経前の47歳です。術後病理の結果は以下のとおりです。
乳頭腺管がん、非浸潤癌 5cm×3.8cm、浸潤癌 0.7cm、エストロゲンレセプター (+)、プロエストロゲンレセプター (+)、HER2 (−)、切除断端 (−)、リンパ節侵襲 (−)、リンパ節転移 (−)、グレード 3

1) リンパ節転移もなく浸潤部も少なかったということで、タモキシフェンの単独で、もし打ちたかったらリュープリンもと言われました。リュープリンを打っても再発率は1〜2%しか違わないと言われたので、タモキシフェンのみを選択しましたが、グレード3なのに大丈夫なのかということが気になっております。やはり、リュープリンも打ったほうがいいのでしょうか? でも副作用も怖いんです。どう思われますか?
2) 乳房再建にあたり、バランスを取るために健側にもシリコンを入れる予定です。母も叔母も乳がんで、おじも喉頭がんで、がん家系なので、将来健側もまた乳がんになりそうで不安なので、シリコンを入れる際に、ついでに予防的切除もお願いするべきかどうか悩んでます。

ご意見をお聞かせください。よろしくお願いします。

ご相談どうもありがとうございます。非浸潤がんではあるものの、微小浸潤というところと、核グレード3というところにご不安を感じていらっしゃるのですね。DCISの微小浸潤に関しては、基本的にDCISと同じ治療でよろしいかと存じます。通常は手術が終了しましたら、再発予防は任意でということになります。「今は健康な身体に戻った。」とお考えになって無治療でも良いですし、「健康だけど乳がんの予防を。」とお考えになってホルモン治療でもかまわないと想います。その場合もタモキシフェンでよろしいかと考えます。リュープリンを敢えて打つ必要性は低いと考えます。対側に関しては、シリコンを入れていてもエコー検査やMRI検査で乳がん検診は可能です。いずれにしても対側の乳房の再建手術は自費診療となりますので、ご希望の治療を先生におっしゃってご相談いただければ良いでしょう。明確な答えはございません。後悔しない治療を選ばれるのが良いと思います。応援しています。(文責 高橋)

 

No.10245】  11年06月12日  T
精密検査

先日健康診断を受け、結果が来ました。結果は 「乳腺視触診で硬結・マンモで局所的非対称性陰影でした。精密検査を受けられる事はお勧めします。」でした。すぐ、乳がん等を想像してしまいます。再検査に行くつもりですが、心配です。よろしくお願いいたします。

ご相談どうもありがとうございます。乳がん検診でひっかかってしまうと、すぐに「乳がんだ。もうおしまいだ。」って皆様考えてしまいます。局所的非対称性陰影(FAD)は、比較的多く検診でひっかかってしまう項目です。実際には乳腺のばらつき、ムラが原因でマンモグラフィーで捉えられてしまうことが多いのです。FADは超音波検査でも確認し、しこりが何も見られなければ合格となります。どうしてもご心配な場合には、乳腺造影MRIをおこなって判断をする場合もあります。どうかこわがらずに、乳腺外来をご予約し、早めに解決しましょうね。応援しています。(文責 高橋)

 

No.10244】  11年06月12日  R.K.
局所再発

7年前、左全摘しました。その後、CMFとノルバデッックス+ゾラで5年間のホルモン治療をしました。今年4月、以前と同じ場所に局所再発をしました。今回の病理の結果、ER,PgR共にAS8、HER2−,MIB−1:2%
今後の治療として、放射線+アリミデックス+UFT+ゾラになりました。ノルバデックス+UFTの組み合わせでもよかったのか、今も悩んでいます。ノルバデックスとアリミデックスでは、効果の違いはあるのでしょうか? また、局所再発で、このような治療は妥当でしょうか?

ご相談どうもありがとうございます。閉経前乳がんの乳房切除後の局所再発についてのご質問ですね。局所というのはごくわずかな乳腺の再発、あるいは皮膚転移、あるいはリンパ節転移かと思います。もしごくわずかの残存乳腺の再発でしたら切除をおこなうかもしれませんが、皮膚転移あるいはリンパ節転移であれば、放射線治療やホルモン治療、抗がん剤治療を選択すると思います。現在、生理があるのでしたら、閉経前乳がんの再発の治療が必要です。通常は、ゾラデックスなどのLH-RHアゴニストおよびノルバデックスなどの抗エストロゲン剤を開始します。つまり以前と同じ治療ですね。5年間の治療で、7年間再発を抑えてくれていたわけですからね。これが有効でなくなったら、次の選択は酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)またはアナストロゾール(ANA;商品名アリミデックス))となります。これらの治療が無効になってしまったら、点滴の抗がん剤を使用します。
内服抗がん剤UFTEに関しては最近、ホルモン感受性陽性、HER2陰性の患者様であればUFTEとホルモン療法を併用することで、ホルモン感受性乳がんの再発を予防する効果が期待できるという報告もあり、先生が追加してくださったのだと考えます。これらの選択肢の中から、主治医の先生とご相談し方針を決定することが大切です。主治医の先生も、病状をよくお考えになった結果の治療選択ですから妥当だと思います。今の道を信じて、もし治療の効果が弱くなってもまた次の治療があるのだということを忘れずに、しっかりと前を見て歩いていきましょうね。応援しています。(文責 高橋)
 

No.10243】  11年06月11日  Y
骨転移の可能性はありますか?

温存、抗がん剤、放射線、ホルモン療法、リンパ転移8個。標準治療を受けて9年目になります。今は無治療です。今左足のかかとが痛くて困っています。歩けないことはないのですが、次の診察まで、6ヶ月ほどあります。私は、リンパに転移が多かったので、アリミデックスを7年ほど飲みました。今年の1月にやめて、約半年がすぎましたが、かかとの痛みは、アリミデックスと関係あると思われますか? 服用しているときは、関節のあちこちが痛かったです。近くの病院で診てもらったほうがいいでしょうか? 骨転移の可能性はありますか?          

ご相談どうもありがとうございます。乳がん術後の骨転移は一般的に身体の中心にある骨に多いので、最初にかかとに転移する可能性は低いと思われます。しかし、念のため整形外科で診察をしていただいた方が安心ですね。アリミデックスをやめて約5ヶ月で痛みがでているので、直接の因果関係はないと考えます。術後9年経過されたのですね。長い闘病生活の中で、数々の不安が生まれては消えていったことと思います。今回のかかとの痛みも自然に消失していくことをお祈りいたします。まずは解決するように整形外科を受診してみてくださいね。応援しています。(文責 高橋)

 

No.10242】  11年06月11日  M.K.
良性乳腺腫の悪性化について(HPNo.10081-2)

主治医から「放射線治療は任意」とされ、相談室に投稿。2月16日にHPNo.10081で、高橋先生にご回答を頂いたM.Kです。その後、頂いたご回答に背中を押され、放射線治療を完了。安心感を得られ感謝しております。今回は新たな心配事で、現在手術した反対胸にある良性の乳腺腫が悪性化しないか?という内容です。摘出をした癌は、
22年6月・・・健康診断で発見され、良性の乳腺腫と診断。主治医から「良性だが、心配だったら半年後に来てみて」と言われた。
22年12月・・・半年後エコー診断で癌疑い。
23年1月・・・・摘出手術をして病理検査の結果、非浸潤のグレード1病期0の乳管癌と診断された。前記の放射線治療を終え、現在タスオミン3年服用のみの治療中。この時期にエコーで反対の胸に新たな良性の乳腺腫が2つ見つかった。 
         
私としては、これも前回同様に悪性化するのではないかと心配でなりません。手術時から退職により主治医の先生が交替しましたが、新しい先生は1月の新しい乳腺腫発見時に、「明らかに良性なので、1年後の定期検診まで心配不要」と診断。「前回は発見時に腫瘍が小さすぎて、前の先生が悪性で有る事を見極められなかっただけ」との説明で、今のところ不安を訴えても診察をして下さいません。CEAは4月時0.5です。良性からの悪性化を疑う必要は本当にないのでしょうか? とても心配で、半年近く経過したので、より強く主治医に診察を希望するか? 不可能ならば他院で診察を受けることも考えています。ご意見をお聞かせ下さい。

ご相談どうもありがとうございます。治療、そして定期検査に頑張っていらっしゃいますね。素晴らしいと思います。さて、良性の腫瘍が悪性化するのか、というご相談ですね。本当にエコーなどで見つかった腫瘍が良性であるかどうかは、実は腫瘍を完全摘出しないと判断は難しいです。しかし、女性の胸にできたしこりを全て摘出するのは非現実的です。ですからあらゆる方法で良性であることを確認するのです。もしどうしてもご心配であれば、別の乳腺外来をご訪問いただき、マンモグラフィーや乳腺エコー、ならびに乳腺MRIや針生検などをおこなってみるのも良いかと存じます。もちろん先生のおっしゃるとおりに定期検査をおこなっていれば良いかと思いますが、ご不安なまま一年を過ごされるよりは、前向きに行動するのも良いでしょう。御自分で納得できる答えをみつけましょうね。またご相談くださいね。応援しています。(文責 高橋)

 

No.10241】  11年06月10日  Y.S  
術後の治療について(HPNo.10230-2)

お返事ありがとうございます。前回の相談に一部誤りがあり、申し訳ありませんが再度相談させて頂きます。5月に右乳房温存術を受けました。術後病理結果は「浸潤がん(乳頭腺管がん)、腫瘍の最大径2.0cm、リンパ節転移はセンチネルリンパ節に1、腋窩0/7(レベル2まで取ったそうです)。エストロゲン受容体 80%、プロゲステロン受容体 80%、HER2(1+)、リンパ管浸襲(+)、血管浸襲(−)、悪性度(異型度2、Ki67 5%未満、断端検査陰性。 年齢40歳です。

1) HER2(1+)、異型度2でも LuminalAには当てはまるのでしょうか。化学療法は施行せず、やはりホルモン療法単独が推奨されますか?
 LuminalAは、ホルモン療法+経口UFT内服で効果があがると読んだ事がありますが、選択肢に入るのでしょうか。(主治医からは、その提案はありませんでした)
 
2)放射線治療+ホルモン療法で治療した場合、点滴の化学療法+放射線治療+ホルモン療法で治療した場合では、再発率はどの位と考えられますか。
   
よろしくお願い致します。

1) St.Gallen 2011の会議では、ER and/or PGR陽性、HERU陰性、Ki67低値(<14%)をLuminalAとしています。貴女の場合、HERU(1+)ですので、HERUは陰性です。Ki67の測定が信頼できるものであれば、LuminalA です。推奨される全身療法はホルモン療法単独で、化学療法を必要としないということになっていますが、リンパ節転移多数の場合は、化学療法も行います。貴女の場合は、リンパ節転移1個ですので、ホルモン療法単独ということになります。
2) 化学療法のメリット・デメリットを比較して、デメリット(治療のしすぎ)をできるだけ少なくしようという考え方から、St.Gallen 2011の分類となりました。UFTは、再発率の低下に関して、CMF療法と同等の効果(24%)が期待できますが、治療のしすぎにならないよう、効果と副作用について、主治医と充分ご相談ください。(文責 須田)

 

No.10240】  11年06月10日  Y.T
術後使用する抗がん剤について

いつも御丁寧な対応ありがとうございます。術後使用する抗がん剤について質問します。病理結果は、浸潤癌(乳頭腺管がん)、4.2×2cm ステージ2b リンパ節転移1個 波及度g+f+他− リンパ管侵襲+v1 血管侵襲+v1 ER90% PgR90% HER2 弱発現 グレード3 年齢35歳でした。治療は、FEC×4クール、ドキタセルorパクリタキセル×4クール後、ホルモン治療5年と提案されました。私の通う病院はこれが主流のようで、病院作成のパンフレットにも主なパターンとして上記とCMF療法が載っています。
質問はTC療法との比較です。私はホルモン療法が効くタイプである事と、少し期間が短くて済むのではないかという事。そして多少副作用が軽いのではないかという事。で、もし効果が変わらないのであれば、TC療法も選択肢としてあるのではないかと感じました。主治医を信頼してないわけではありません。もちろん抗がん剤治療を受けるつもりで、命が一番大切です。奏功、副作用等、個人差はあるとは思いますが、現在の抗がん剤治療としては、FEC−TとTCと比べるといかがなのでしょうか? また、私の場合TCだと再発率、生存率等が下がるのでしょうか?

St.Gallen 2011 の会議により、乳癌治療をどのように選択していくかという考え方が少しずつ変化してきています。乳癌自体の解剖学的所見(癌の大きさ、リンパ節の転移など)を重視する考え方から、生物学的所見(ER、PGR、HERU、Ki67 など)の重視により、ホルモン療法、化学療法、抗HERU療法の単独または組み合わせの選択を考える方向に変わってきました。生物学的所見を6つの subtypeに分けて、治療法を選択します。貴女の場合、ER、PGR陽性、HERUは弱発現ですので陰性。Ki67の記載はありませんが、グレード3ですので、Ki67高値と考えられます。従ってsubtypeは、Luminal B (HERU陰性)ということになり、全身療法としては、化学療法+ホルモン療法が推奨されますが、化学療法の適応と内容については、ホルモン感受性、再発リスク、患者さんの希望を考慮して選択することになります。
貴女の場合、リンパ節転移陽性、ホルモン感受性陽性ですので、乳癌診療ガイドライン(日本乳癌学会編)による推奨グレードAは、「アンスラサイクリンにタキサンを順次又は同時に併用する」となっています。主治医は、この推奨グレードAを根拠に、FEC×4クールとドセタキセル又はパクリタキセル×4クールを選択し、更にER陽性ですので、ホルモン療法5年と提案したのです。TC療法、CMF療法は、推奨グレードBとなります。TC療法も選択肢の一つとして検討の余地はありますが、アンスラサイクリンを含まない治療に関するエビデンスは少ないようです。CMF療法については、再発リスクが低く、高齢者や脱毛を強く拒否する方の場合、選択肢となります。いずれにしてもご本人の意思を尊重しながら治療を進めていくことになりますので、TC療法のメリット、デメリットについても主治医に説明していただき、納得のいく治療を受けてください。(文責 須田)

 

No.10239】  11年06月10日  A 
今後の治療について

初めてご相談させていただきます。よろしくお願いいたします。
1)2002年、2cmほどの乳癌摘出(部分切除)、リンパ転移なし、ホルモン療法
2)5年後、同じ乳房に癌、部分切除。ホルモン療法
3)半年毎のPET検査。2008年、右肺上葉 S2minor fussureの近く 2つの結節が見られ、大きさ、動きなし。
4)2011年3月 片方の結節が7.5 ミリから 8.1ミリになる。そのため、今月中旬、胸腔鏡で検査する予定

以上、妹のことでこれ以上のことはわからないのですが、結節が一個の場合は原発、2個以上は転移と本で見ました。検査でどちらかわかるのですか。また治療の方法が違うのですか。抗がん剤治療で正常な細胞もダメージを受けるなどで、抗がん剤はしないほうがよいとも、本にありましたが、他に、比較的安全な治療法がありますか。心配はつきませんが、どうぞよろしくお願いいたします。     

肺の結節が、肺から発生したものか、乳癌の転移か、画像上判定が困難な場合が少なくありません。胸腔鏡で肺の結節をとり、病理組織検査をしても、なお判定が難しいケースもあります。肺癌と乳癌では、抗癌剤の使用方法が異なります。乳癌の転移であれば、切除した結節のさらなる組織検査(ER,PGR、HERU等)を行い、ホルモン療法、抗HERU療法、抗癌剤療法の単独又は組み合わせの治療を選択することになります。妹さんの場合、過去にホルモン療法の効果があらわれているようなので、ホルモン療法を選択することになりのではないでしょうか。いずれにしても、病理検査の結果によって治療方針を決定することになりますので、主治医と充分ご相談の上、納得のいく治療法を選択してください。(文責 須田)

 

No.10238】  11年06月10日  Y.T. 
ハーセプチンについて

昨年末、手術をしました。 2.4*1.7センチ、リンパ節転移2個、トリプルポジティブです。   その後、FEC100w4回→タキソール12回+ハーセプチン3週毎1年とホルモン療法の予定です。最近、ハーセプチンは7割くらいの人にしか効かないという記事を見つけ、術後なので効果もわからず不安です。また前の相談時、私の10年無再発率は50%と回答いただきましたが、主治医がアジュバンドオンラインオンラインで出してくれたのは70パーセントでした(ハーツーは含まれない)。やはり50パーセントくらいしか期待できないのでしょうか? すみませんが、よろしくお願いします。

アジュバントオンラインで調べるためには、インターネット上で、年齢・腫瘤・グレード・転移個数・ホルモン療法・化学療法・HERU等についての、それぞれの項目の値を入力する必要があります。貴女の乳癌の情報について一番よくわかっているのは主治医ですから、主治医のおっしゃるほうが的確だと思います。相談室では限界があります。(文責 須田)

 

No.10237】  11年06月10日  K.T.
ハーセプチン(HPNo.10120-3)

No.10120-1で相談させていただいだ者です 何回もすみません。ハーセプチンについてなのですが 最近2年投与が増えて来ているようなのですが、やはりそのほうが再発率が低下するのでしょうか? また、主治医に再発率をアジュバンドオンラインで調べてもらったら70%の無再発と言われましたが、ここでは50〜60%とお返事いただきました(どちらもハーセプチンぬき)。やはり70%は期待しすぎですか? 2.4*1.7センチ、リンパ節転移2個、グレード3、トリプルポジティブです。あとひとつ、すみません、ハーセプチンはすべてのハーツー陽性の人に効くわけでないときいたのですが、ハーセプチン1年終了後ラパニチブ服用はどうでしょうか?

ハーセプチンの投与期間についてですが、再発・転移がある場合は効果が期待できる間はずっと続けることになりますが、術後の再発予防のための投与期間をどのようにするかについては今後の課題です。現時点での一般的な考え方では、とりあえず1年ということになっていますが、多くのエビデンスがでれば、長くなると思います。
アジュバンドオンラインについては、年齢・ER・腫瘤・グレード・転移個数・ホルモン療法・化学療法等、貴女の乳癌に対する情報を一番よくわかっているのは主治医ですから、主治医の言われた方が的確だと思います。相談室では限界があります。
ハーセプチン終了後のラパニチブ服用については、以下のような考え方が主流で、術後再発予防のために、ハーセプチンに引き続きラパニチブを服用するのは一般的ではありません。
1) 初発乳癌の術後再発予防では、一般にはハーセプチン単剤で使用しています。
2) 再発転移では、タキサン系、ナベルビン等との併用が一般的です。次にハーセプチンが効かなくなった場合の選択肢として、ラパニチブ(タイケルブ)があります。日本では奏効率24%というデータがあります。
3) 初発乳癌術後の再発予防としてハーセプチンを使用したにも関わらず転移再発した場合には、2)を行います。

納得のいく治療を選択し、前向きに取り組むためにも、主治医と充分ご相談ください。(文責 須田)

 

No.10236】  11年06月09日  V
タモキシフェンを止めて3ヶ月で出血がありました(HPNo.9017-2)

以前、No.9017で相談させていただきました。ありがとうございました。45歳、アメリカ在住です。約6年前に温存手術を受け、化学療法(AC)、放射線治療後タモキシフェンを5年間服用し、今は無治療です。腫瘍サイズは 1.4cm、グレードIで、リンパ転移なし、ER、PRは+、HER2は−です。3回目のAC投与から生理は来ておらず、タモキシフェン服用中、飲み始めて半年後と、3年後に不正出血がありましたが、細胞診検査で体ガンではないとの結果でした。タモキシフェンを飲まなくなってから3ヶ月少し経ちましたが、数日前出血があり、量は少なく3日ほどで止まりました。

1)  やはり早急に体ガン検査をするべきでしょうか?
2) それとも例えば来月にまた出血があれば生理だと考えられるでしょうか?
3) 化学療法やタモキシフェン服用で止まっていた生理が戻ってきた場合も、以前のように毎月あるものなのか、それとも閉経近くのように不規則なものなのでしょうか?

前回の体ガン検査は2年前に、約半年前にはPET検査を受けております。回答お待ちしております。

ご相談どうもありがとうございます。出血があると心配になってしまいますよね。抗がん剤により、月経(生理)が止まるのは一般的ですが、終了後再開される方もたくさんいらっしゃいます。またタモキシフェンそれ自体には月経を止める働きはありませんが、それでも月経が止まってしまう場合もございます。この場合、再度タモキシフェンを中止にすれば、生理が回復する可能性があるのです。今回は、そのような事が起こったのではないでしょうか。子宮がん検診は早めにおこなってくださいね。念のため婦人科の先生にもお尋ねくださいね。応援しています。(文責  高橋)

 

No.10235】  11年06月09日  M
向精神薬などの代謝酵素について

CYP2D6で代謝される薬がタモによくないのはわかりましたが、CYP全体に広げると、自分が飲用しているジプレキサ、デパスやハルシオンなども含まれると知りました。現在飲んでいるフェマーラと関係ないのでしょうか? ホットフラッシュや性生活への支障などの副作用もほとんど感じないので不安です。

ご相談どうもありがとうございます。おっしゃっているお薬は特に影響を気になさる必要はないと考えます。副作用がなくても別に効果がないわけではありません。向精神薬を内服しながら乳がんの治療をなさっている方はたくさんいらっしゃいます。あまりご不安に思う必要はありません。応援しています。(文責 高橋)

 

No.10234】  11年06月09日  S.N.
手術法について

海外在住の49歳女性です。マンモグラフィ、超音波検査、そして細胞診の結果、非浸潤癌と診断され、大きさが6cmということもあり、胸も小さいので、右胸全摘をすすめられています。再建を望むということであれば、一期再建ということで、まだ手術法は確定していませんが、全摘と自家再建ということで、リンパ検査を術前にやる事に決まっています。リンパ転移があった場合は、一期再建でなく、二期再建ということでした。この場合、全摘ということでしたが、皮下乳腺全摘術は可能でしょうか?

ご相談どうもありがとうございます。非浸潤がんであれば、乳頭にまでがん細胞が及んでいないことを条件に、皮下乳腺全摘術は可能です。先生に、皮下乳腺全摘をお願いしてみてよろしいかと存じます。手術中に乳頭側断端を調べて皮下乳腺全摘術をおこなってくださると思います。しかし、再建方法によって選ばれる手術方法は変わってくるかもしれませんので、再度先生にご相談くださいませ。応援しています。(文責 高橋)

 

No.10233】  11年06月04日  M
右乳房のしこり

41歳、出産経験なしです。右乳房の側面中心付近に、しこりのような塊を発見しました。押すと少し痛みを感じるような気がします。硬く動きません。乳房が大きく、下垂しているためか、立った状態で腕をあげた時によく分かります。腕をおろした状態や寝て探すと、よく分かりません。最近、急に無排卵、生理不順になり、ホルモンバランスが乱れているようなので、関係しているかもしれません。乳がん検診は、去年の10月、検診にてエコーとマンモを行った際、エコーにて所見ありとのことで針を刺す検査をしましたが、判定不能(針をさして調べたのは、今回しこりのようなものを見つけた場所と反対側の右乳房内側です)、よってMRIを行い異常なしとの結果(しこりはなしと判定されました)でした。念のため12月末に再度エコーとマンモを行い異常なし(10月にエコーにて指摘されたような所見も今回は見当たらないとのこと)、以後は1年に 1回の通常の定期健診を受けていくようにとのことでした。9月にエコー+マンモ、10月にMRI、12月にエコーとマンモを行っていますが、今回手に触れた右乳房のしこりのようなものが、乳がんの可能性はありますでしょうか? 心配ではありますので、受診をしたほうがいいのかなとは思いますが、あまり短期間に同様の検査をし続けるのも意味があるのだろうかとも思います。無害というわけではありませんし・・・。通常ですと9月か10月に乳がん検診を受けていますので、それまで様子をみてみるのは危険なことでしょうか?

直接診察していないので、はっきりしたことは申し上げられませんが、「しこりのような塊」を見つけた場合は、乳腺外来を受診し、腫瘤があるかどうか、調べてもらう必要があります。「様子をみてみる」ことについては、何の意味もありません。乳癌でないことを確認し、不安を取り除くためにも、早めに受診してください。(文責 須田)

 

No.10232】  11年06月04日  M 
乳汁分泌

45歳の主婦です。左わきが、右に比べてふっくらしているようです。しこりがあるわけでもなく、痛みもありません。ここ数年で13キロも体重が増えてしまい、脂肪かな?とも思いましたが、左の乳房から乳汁が出ます。少し黄色みをおびています。悪い物でしょうか?

授乳期以外の乳汁分泌は異状です。プロラクチンという催乳作用のあるホルモン高値の病気以外では、乳管内乳頭腫、乳癌などの乳腺の病気が存在することがあります。念のために乳腺外来を受診し、検査をしてもらってください。(文責 須田)

 

No.10231】  11年06月04日  M.S.
ki67検査

ki67の検査をして、50.2%と結果がでました。先生は高い値で抗がん剤が効きやすいタイプだと言われたのですが、ki67の評価基準を教えて下さい(低リスク、中リスク、高リスクの値を教えて下さい)。50.2%は、やはり高リスクなのでしょうか? 抗がん剤は効果があると思って良いのでしょうか?

ki67低値は ≦14%で、高値は >14%です。従って50.2%は、ki67高値となります。増殖指標が高いので、抗ガン剤の感受性は高いと考えられます。(文責 須田)

 

No.10230-1】  11年06月04日  Y.S 
術後治療について

右乳房のしこりに気付き、4月中旬に受診、5月に右乳房温存術+センチネルリンパ節生検にてリンパ節転移陽性だった為、右腋窩リンパ節かくせいも施行しました。術後病理結果は、「浸潤がん(乳頭腺管がん)、腫瘍の最大径2.0cm、リンパ節転移はセンチネルリンパ節に1、腋窩0/7(全て取ったそうです)、ホルモン受容体約80%、HER2(1+)、悪性度は0~100の範囲の2で悪性度はかなり低いと聞きました。断端検査陰性。年齢40歳です。ステージUbだけど、UaやTに近いと言う事と、悪性度が低くホルモン感受性がある事から総合的に考えて、
1) 術後化学療法は行わず、放射線治療(残存乳房+右腋窩)とホルモン療法を勧められました。手術直後、センチネルリンパ節陽性だった事から、化学療法の話も出ていたので、やらなくても大丈夫なのか?と不安な気持ちがあります。やらない事も施行する事にも不安があります。
2)また、HCV陽性で、HCV-RNA定量検査でウィルス検出せずの結果が出ていますが、治療により、悪化させる事はありますでしょうか。

病理検査の結果等、口頭で説明された物をメモしたので、情報が足りない部分があるかと思いますが、ご意見よろしくお願い致します。

1) 放射線治療は乳房温存療法の一環です。
ホルモン療法に関してですが、2011年のSt.Gallenの会議では、ホルモン受容体陽性、HerU陰性で、ki67低値(<14%)であれいば、LuminalAという乳癌のサブタイプになります。悪性度の0~100の2というのは、ki67 2%ということでしょうか。ki67が測定できない場合は、グレード等の増殖指標を用いてLuminalAであると代替定義をしたと考えると、リンパ節転移が多数でない場合は、ホルモン療法単独が推奨される全身療法です。
2) 治療により悪化させる事はないと思います。(文責 須田)

 

No.10230-2】  11年06月10日  Y.S 
術後治療について(2)

お返事ありがとうございます。前回の相談に一部誤りがあり、申し訳ありませんが再度相談させて頂きます。5月に右乳房温存術を受けました。術後病理結果は「浸潤がん(乳頭腺管がん)、腫瘍の最大径2.0cm、リンパ節転移はセンチネルリンパ節に1、腋窩0/7(レベル2まで取ったそうです)。エストロゲン受容体 80%、プロゲステロン受容体 80%、HER2(1+)、リンパ管浸襲(+)、血管浸襲(−)、悪性度(異型度2、Ki67 5%未満、断端検査陰性。 年齢40歳です。

1) HER2(1+)、異型度2でも LuminalAには当てはまるのでしょうか。化学療法は施行せず、やはりホルモン療法単独が推奨されますか?
 LuminalAは、ホルモン療法+経口UFT内服で効果があがると読んだ事がありますが、選択肢に入るのでしょうか。(主治医からは、その提案はありませんでした)
 
2)放射線治療+ホルモン療法で治療した場合、点滴の化学療法+放射線治療+ホルモン療法で治療した場合では、再発率はどの位と考えられますか。
   
よろしくお願い致します。 

1) St.Gallen 2011の会議では、ER and/or PGR陽性、HERU陰性、Ki67低値(<14%)をLuminalAとしています。貴女の場合、HERU(1+)ですので、HERUは陰性です。Ki67の測定が信頼できるものであれば、LuminalA です。推奨される全身療法はホルモン療法単独で、化学療法を必要としないということになっていますが、リンパ節転移多数の場合は、化学療法も行います。貴女の場合は、リンパ節転移1個ですので、ホルモン療法単独ということになります。
2) 化学療法のメリット・デメリットを比較して、デメリット(治療のしすぎ)をできるだけ少なくしようという考え方から、St.Gallen 2011の分類となりました。UFTは、再発率の低下に関して、CMF療法と同等の効果(24%)が期待できますが、治療のしすぎにならないよう、効果と副作用について、主治医と充分ご相談ください。(文責 須田)

 

No.10230-3】  11年07月02日  Y.S 
術後治療について(3)

前回のご回答ありがとうございます。再度相談させていただきます。術後、化学療法をせず放射線とホルモン療法だけで良いのか迷い、相談させていただき、ホルモン療法単独が推奨されるとの事でしたが、子供がまだ小さい事もあり、化学療法の上乗せ効果があるのなら、今出来る事はやっておきたい気持ちがあります。主治医と相談し、現在放射線治療中で、その間に化学療法をするか決める事になっています。しかし前述した様にC型肝炎の事はとても心配に思っております。化学療法(TC療法+アンスラサイクリン系)を施行した場合、それをきっかけに肝炎がくすぶり始める可能性はありますか。あるとすると、どの位のリスクが考えられるでしょうか。現在、HCV抗体(−)、一年前まで(+)でした。「HCV-RNA定量検査 ウィルス検出せず」の結果が出ています。度々すみませんが、よろしくお願い致します。

現在、B型肝炎ウイルス感染既往のある乳がん患者さんに化学療法を行なう場合は、B型肝炎ウイルスの再活性化による致死的な重症肝炎の発症リスクがあることが知られており、肝臓専門医に相談することが勧められています。
C型肝炎ウイルス保持者に関しては、エビデンスは十分ではありませんが、化学療法による重症肝炎の発症リスクは高くないとされています。あなたの場合は、ウイルスが検出されていないので、リスクはきわめて低いと考えられます。
以上のリスクとメリットを比較して、判断すべきですが、化学療法を行なう場合には、念のため、肝臓専門医にも相談してください。(文責 徳田)

 

No.10229】  11年06月04日  K
良性、悪性の鑑別

30歳、三児の母です。今年3月、左胸にしこりを見つけ乳腺外科に受診しました。マンモをとりましたが、マンモには映らず、エコーで8oくらいのしこりがあると言うことで、細胞診(針生検)をしました。結果はクラス4の悪性の疑い。疑いがでたので、今度は局所麻酔をして組織をとりました。今度はクラス3の鑑別困難と出てしまいました。造影剤でのMRIをしたところ、先生は、エコーでは8oくらいだとおっしゃっていたのに、今回は2pくらいだと言われました。その結果、局所麻酔をして摘出生検をしたほうがいいとなり、先週木曜日しこりとその回りを手術でとりました。病理診断の結果は17日だそうです。そこで質問です。
1) 細胞診で悪性の疑いとまで出て、次の組織診で鑑別困難って、ありえるんですか? 疑いとまで言われたので覚悟して医者に言ったのに、結果がわからず、余計不安です。
2) エコーでは8oくらいのしこりがMRIでは2pと言われたのは、先生のエコーでの誤診ですか? それとも、この三週間くらいで、しこりが大きくなってしまったんでしょうか?
3) 悪性の疑いとまで出て、良性ということはありえますか? 可愛い子供が3人います。毎日毎日不安な顔を子供に見せていて申し訳ないです。

1) 細胞診と組織診が異なることは、多くはありませんが、少なからずあります。最終的な確定診断は組織診(生検)で決定することになります。
2) 画像上の大きさと実際の病変の広がりについては、大部分は一致しますが、これも少なからず異なる場合があります。従って、エコーの画像とMRIの画像が異なることも、あり得ます。
3) 細胞診での悪性疑いの中には、組織診(生検)で良性の場合もあり、今回、確認の為の生検を行っていることになります。今回の摘出生検の結果が最終診断になります。(文責 須田)
 

 

No.10228】  11年06月04日  K
胸のしこり

中二の男子です。左右の胸に十円玉くらいのしこりがあって、若干膨らんでいます。もうじきプールの季節なので恥ずかしいのですが、親には恥ずかしくて言えないし、かといって一人で病院にも行けないので、どうしたらいいのか迷っています。

男子の思春期における女性化乳房で、そのまま放置していても、ほとんど2年以内に消退いたします。悪性の病気ではありません。少数例ではありますが、女性化乳房が他の病気の1症状として起こり、消退しない場合もありますので、念のために乳腺外科を受診してください。(文責 須田)

 

No.10227】  11年05月30日  R.O.
乳房同時再建を希望しています

2011年5月9日に、以前から左乳房に違和感があったので、家の近くの乳腺内分泌科を受診。その先生が大学病院の先生であったため、2日後の5月11日に大学病院で精密検査を受けました。その時点で、エコーの結果から悪性の可能性が非常に高いということで、病理検査を実施し、翌週の5月16日と翌々週の5月25日に、MRI,心エコー・心電図・CT・アイソトープの検査を受けました。5月25日にアイソトープ以外の検査結果から、全摘手術を6月23日に受けることになりました。病理検査結果は下記の通りです。
間質および脂肪織に浸潤みとめ、浸潤性の乳管癌。Siruhous ca(すいません綴りが曖昧です)が主体である。HER-2(2+)→FISH提出(結果はまだです)。ER ほぼすべてに強陽性。Pgr 80%陽性。 Ki67 labeling tndex 40%。腫瘍の大きさは28mm、ちょうど乳房の中心部分あたりになります。乳首の下から乳首の中にも癌が広がっているようです(CTより)

乳房同時再建を希望しているのですが、5月25日の受診時には、その希望を言う前に医師の方から、再建は2年後をめどに再発がないことを確認してからやりましょうと言われました。全摘するのに再発?と疑問に思いましたが、頭がいっぱいで何も聞くことなく帰ってきてしまいました。同時再建ができる病院も限られているとは思いますが、ネットで調べたところ、素人判断ですが、同時再建は可能であると書いてありました。乳首・乳輪の再生は少し時間を置いてからと。

質問なのですが、
1) 術前治療でがんを小さくして、乳頭を残すことが可能になるようなことはないでしょうか?
2) 全摘の場合、同時再建は不可能なのでしょうか?

1) 乳頭直下の腫瘍であると、化学療法を施行しても乳頭温存は難しいと思います。
2) 可能ですが、施設により行うところと行わないところがあります。(文責 首藤)

 

No.10226】  11年05月30日  Q
ハーセプチンとホルモン療法併用について

初めてメールさせて頂きます。私は現在35歳ですが、乳がん診断時は34歳で、腫瘍の大きさ3cm、リンパ節転移あり、ER(+)、PgR(+)、HERU(2+)→FISH法で陽性、ステージVa、悪性度3の結果をうけ、術前化学療法を行い、先日手術(全摘)をうけました。術前化学療法は、FEC3ヶ月→ハーセプチン+タキソテール3ヶ月で、術後の病理結果は、乳腺に少し残っていたが(抗がん剤では消えないもの)、他は全て消失したとのことでした。現在は、ハーセプチンのみ1年の予定で治療を受けています。その後、ホルモン療法に入ると先生から聞いています。本題ですが、私はハーセプチンとホルモン療法を併用したいのですが、以下の理由で単独で治療を受けています。
・生理が再開すると生理をとめる薬とハーセプチンとの相性が良くない
・現在の段階では併用したデータがそろっていないので、良いとも悪いともいえない

現在の先生はとても信頼できる方で不満は何もないのですが、ハーセプチンとタモキシフェンを併用されている方をブログでみかけます。客観的にみて、併用することは可能なのかどうかお聞かせできますでしょうか。

閉経前ホルモン感受性陽性Her2陽性乳がんにおいて、タモキシフェンががん細胞の動きを強める可能性があるとした基礎的考察があり、もってタモキシフェン投与を躊躇する考えがあります。難しいところですが、臨床的にはタモキシフェン投与により予後が悪化するというエビデンスもなく、可能性の段階ですので、実臨床ではそのままタモキシフェンを使用することが多いと思われます。(文責 首藤)

 

No.10225】  11年05月30日  C
術後治療について

現在77歳、乳房温存手術後の治療法で悩んでいます。病理診断結果は主治医がメモして渡してくれたものみの情報になりますが、以下の通りです。もっと詳しい情報がないと判断は難しいでしょうか?
・大きさ 1,3cm ・脈管(リンパ管、静脈) − ・断端 − ・センチネルリンパ節 0/2 ・顔つき グレード 3 ・ホルモン受容体 ER(+) PgR(−) ・HER2 3+ 

術後の補助治療方針としては、放射線治療 5週間 ホルモン療法 5年、これに 抗がん剤 4回  ハーセプチン 18回を加えるかどうかを決めるように言われました。その後ハーセプチン単剤投与について聞いたのですが、希望すればやるが、副作用の心機能障害のことばかり強調します。それよりも抗がん剤の心毒性の方が余程問題であり、トラスツズマブに起因する心機能障害は可逆的な有害事象との記述も見ます。標準的な治療から外れるとなかなか快く協力的な治療をして貰えないものなのでしょうか。比較的に元気だと思っているのですが、高齢ということもあり、抗がん剤の重篤な副作用に大きな不安を持っております。高齢の方の闘病記のブログを見ると、抗がん剤治療を受ける覚悟を決めたにもかかわらず、実際に投与開始になると、投与の度に体力・気力を奪われ、そのまま寝たきりにとか、強い意志も心も折れてしまい無気力になり、すっかり変わり果ててしまったと家族が綴っていたりします。そんな精神的なダメージや寝たきりも、不安の大きな要因です。その反面、可能な補助治療は後悔しないためにもするべきかと、心が大きく揺れています。私の年齢・病理診断結果において、抗がん剤は過剰な治療ではなく、ベストなのでしょうか? 化学療法の有無の生存率や再発率、高齢者の副作用・リスクに見合った効果があるのか知りたいです。こちらの過去の相談で気になるワード検索から、似たような病理診断の方の相談の回答も参考にさせて頂いてます。過去の相談の高齢者の化学療法の質問で、一般的に高齢の方ほど数字上再発抑制効果が低くなるとの回答を見ました。高齢者を対象としたハーセプチン単剤と抗がん剤併用の比較が行われているN-SAS BC07やトラスツズマブ+ホルモン療法TAnDEM・eLEcTARの2つの試験においての両剤併用の有用性など、抗がん剤を使わないHER2陽性がんの治療の模索が行われてるような気がします。ハーセプチン単剤使用が、HER2陽性高齢者にとって標準的、推奨できる治療になるのは、まだ時間がかかるのでしょうか。今現在は、やはり勧められない治療なのでしょうか。重大な決断を迫られていて、とりとめのない文章になってしまい、言いたいことが上手く伝わってないかも知れません。現時点でのアドバイスを頂けたらと思います。

ご指摘の臨床試験群は、確かに模索の状況であり、結果は未だ霧の中です。ご年齢からはハーセプチンの単剤使用も選択肢としては可能との印象を受けます。抗癌剤を使用したときのメリット・デメリットを主治医に再発率などから算出してもらい、それをもとによく話し合ってみてはいかがでしょうか。(文責 首藤)

 

No.10224】  11年05月30日  H
アブラキサン

アブラキサンの使い方について伺います。
1) 術後、再発後、単剤?併用? 例えばEC→Tや、TCのような時にもう既に使われているのでしょうか?
2) ハーセプチンとの併用はできますか?
3) タキソールの量が多いということで、副作用が辛いのではないかと心配ですが、いかがでしょう?
4) Her2陽性乳がんに、ネラチニブという分子標的薬を聞きました。承認にはまだ時間がかかるのでしょうか?

お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

1)まずは再発乳がんが第一選択と思われます。
2)可能と思われます。
3)今後本邦での使用例が増えたところで明らかになってくるでしょう。
4)発売は未定のようです。(文責 首藤)

 

No.10223】  11年05月29日  AM
腫瘍マーカー値上昇

51歳。昨年1月に温存手術、放射線治療、現在ホルモン(タスオミン)服用中。今回の定期健診で腫瘍マーカー値の急上昇があり、再採血の結果待ち状態ですが、心配でなりません。
前回 CEA 2.2 CA15−3 17 AST 23  γーGT 28
今回 CEA 7.4 CA15−3 82 AST 42  γーGT 96
やはり、転移しているのでしょうか? 肝臓転移は自覚症状もないとか…。よろしくお願いします。

前回と今回の期間がどのくらいであるのかが分かりませんが、再採血において更に上昇しているのであれば、再発を考慮せざるを得ないのではないでしょうか。画像診断(CT,骨シンチ、あるいはPETなど)の追加が必要でしょう。(文責 首藤)

 

No.10222】  11年05月29日  Y
今後の治療について

左にマイクロパリュラリー直径1・3センチ、リンパ転移なし。抗がん剤と放射線照射を受けました。ホルモン感受性あり、リュープリン3年 ノルバ6年 飲んでいます。毎日何事も無く、元気に仕事しています。今44歳、術後6年たちました。163センチ49キログラムとやせ気味ですが、薬のせいで、高度脂肪肝です。ここ2〜3年写真上変わりは無いのですが、ノルバを続けるかどうか医師と相談して、続けることにしました。肝機能は、GOT,GPT  19, 12  LD 206 その他異常ありません。肝硬変、肝癌になりはしないかと心配で、相談しました。LH 2.99  FSH 7.87 E2 10で、閉経していないので、薬をやめるのも不安です。上手に説明できませんが、よろしくお願いします。

ホルモン療法を10年行うかどうかのエビデンスは確固たるものが未だないのですが、主治医の先生とご相談されての決定であれば、10年内服もよいのではないでしょうか。(文責 首藤)

 

No.10221】  11年05月29日  Y.T
今後の治療について 

4月中旬に癌が確定し、心身共に乱れていましたが、5月初旬に全摘出手術を受け少し落ち着いてきました。主治医より病理結果と今後の治療について説明があったので、質問させて下さい。病理結果は、「浸潤癌(乳頭腺管がん)、4.2×2cm ステージ2b リンパ節転移1個 波及度g+f+他− リンパ管侵襲+v1 血管侵襲+v1 ER90% PgR90% HER2 弱発現 グレード3 年齢35歳」 でした。治療は、FEC×4週、ドキタセルorパクリタキセル×4週 のちホルモン治療5年 とのことです。
1) やはり抗がん剤治療は避けられないのでしょうか?
2)  ホルモン治療がよく効くタイプとの事ですが、抗がん剤はどの程度奏効するのでしょうか?
3) 抗がん剤の選択はこのパターンしか言われませんでしたが、他の候補はないのでしょうか?
4) 主治医の言う治療をすべて受けた場合、再発率、生存率はどのくらいなのでしょうか?
5) リンパ管転移1個というのはセンチネルリンパ節に1個だけということでしょうか? それとも違うリンパ節に1個?(センチネル生検は該当しないといわれ、しませんでした)
6) 上記の抗がん剤の副作用で、吐き気、嘔吐の出やすいタイプの人はどのような人ですか? もともとお酒を飲まず、車酔いもたまにして、麻酔にも酔い、術後に嘔吐を3回しました。抗がん剤をするだろう覚悟はしていましたが、副作用の事を考えると不安です。

リンパ節転移が一個であったということでしょう。抗癌剤の副作用は適切な対策でかなり押さえられますので、最初から心配されない方がよいでしょう。あなたの場合、手術だけでその後化学療法もホルモン療法も行わなかった場合の再発率は67.6%で、予定されている化学療法を完遂すると再発率は42.6%に下がり、さらに化学療法の後にホルモン療法を追加すると再発率は28.3%にまで下がります。客観的事実からは、主治医から提案された治療をお受けになることをお勧めいたします。(文責 首藤)

 

No.10220】  11年05月28日  A 
検査を受けておいたほうがいいでしょうか?

お世話になります。3年前に左乳房温存手術を受けました。リンパ節転移なしで、ステージ1でした。つい最近、手術を受けた方の肋骨(1本)が少し膨らんでいるように思います。少し膨らんでいるところは、放射線をあててたところです。主治医にも伝えたのですが、場所的には転移はあまりないところということで、様子見ということになりました。私といたしましては、不安なので、検査を受けたいと思っているのですが、このまま放っておいて本当に大丈夫なのでしょうか。放射線があたっていた肋骨に転移ということも考えられますか。検査を受けておいたほうがいいでしょうか。受けるとしたらどんな検査になるのでしょうか。よろしくお願いします。    

肋骨への転移も乳癌ではみられますから、一度検査されてはいかがでしょうか。具体的には骨シンチやPETなどの検査となります。(文責 首藤)

 

No.10219】  11年05月28日  D
乳製品の摂取について

右胸の非浸潤ガンにより、全摘手術を行い、3年4カ月が過ぎました。その後、無治療です。適度な運動、ストレスを溜めないようにように、食事はバランス良く、気を付けているつもりです。もともと便秘でしたが、昨夏より重症化したため、ヨーグルトを毎日200グラム食べています。乳癌患者の方は、再発・転移しないために乳製品を断つ方が多いです。47歳、未閉経です。やはり、皆さんと同じように、乳製品は控えた方がいいですか? 先月、検診で、乳腺症と言われていますし、食べ過ぎでしょうか?

通常の量の乳製品摂取は問題ないと思います。(文責 首藤)

 

No.10218】  11年05月28日  Y.I.
抗がん剤の折り返し?

妻は2月の全摘手術後、3週間おき6クールの予定でEC療法(ファルモルビシン+エンドキサン)を3回投与されましたが、「折り返しで、次からはタキソールに変えます」と言われました。副作用も若干異なるようで、関節のしびれ感、口内炎、だるさなどが出るかもしれないとのことです。この折り返しには、化学療法上、どのような意味があるのでしょうか? これまで、脱毛、若干のむくみ以外は大きな副作用が出なかったので、ちょっと不安に感じているようです。

折り返し、とは全行程の半分ということでしょうか。タキソールでは末梢神経症状などの副作用が推定されます。(文責 首藤)

 

No.10217】  11年05月27日  J・M
UFTとフェマーラの併用について

昨年ご相談させていただいた66歳の女性です。(ステージ1 Hert2 3+ ホルモン100%と62% センチネルリンパ節0 断端陰性 グレード3)
術後25回の放射線治療の後、昨年末よりフェマーラを朝一錠、UFT200mgを朝晩二回、ハーセプチン治療を三週間置きで、現在8回目が終了したところです。只今の所は、検査結果上も自覚症状的にも何らの副作用もなく、粛々と治療をこなしている状態です。しいて言えば、やはり主治医の先生が最初にご提示くださった抗がん剤治療を拒否して経口抗がん剤に変更したことが、いつも頭をかすめ不安に陥ることはあります。しかし、これも私の選択したことですから・・・。
今回のご相談は フェマーラとUFT顆粒を併用している事についてです。最近インターネットや癌治療についての本を読むと、ホルモン剤と抗がん剤の併用は相殺作用があり避けるべきとあるのですが、果たしていかがなものでしょうか? このまま、この二つの服用を同時に続けてよいのか不安に駆られています。主治医の先生の提示された抗がん剤投与を受けないで、経口抗がん剤であるUFTに変更してのハーセプチン治療ですが、確かなデーターではなくても、この形でも効果があるか不安です。また、UFTとの併用でハーセプチン治療を行う事もよくありますか? 効果が点滴抗がん剤に比べ落ちるにしても、果たしてどれくらい期待してよいものでしょうか? まったく0という事ではないと信じて治療していますが・・・。主治医の先生にご相談すべきなのでしょうが、私は最初に先生ご提案の標準的治療を拒否したいきさつがあり、これ以上色々言うのが憚られ、一人悶々と考えていました。どうかよろしくお願いいたします。

抗がん剤とホルモン療法の併用ですが、ACETBCという日本で行われた臨床試験ではUFTとタモキシフェン(ホルモン剤)の併用効果が示されており、すべての組み合わせが悪いともいえません。フェマーラとUFTとの併用効果に関しては明らかなデータがありませんが、推定としては同様の効果を期待してもよいのかもしれません。それ以外の薬剤とUFTとの併用効果に関しては不明、としか言いようがありません。(文責 首藤)

 

No.10216】  11年05月27日  AA
術後治療について

いつも参考にして勉強させていただいております。4月、乳がんで右乳房全摘いたしました。再建を考えています。手術時、44歳です。先日、以下の病理結果の説明を受けました。乳頭腺管癌、微小浸潤がん(2mm)、脈管侵襲 なし、リンパ節転移 なし、ER 陽性(30%)、PgR 陰性、HER2 陽性、核異型度 1、 Ki67 18%、断端陰性。今後の治療ですが、主治医は2mmであること、副作用のことなど考慮し、経過観察とのことでした。今現在、とても元気に過ごしておりますが、患者さんの術後治療を読ませていただくと、何もしないことが、とても不安になります。主治医の判断は理解、納得もするのですが、小さくても浸潤していること、HER2陽性のことでがん細胞があちこちに運ばれているのではないか、と不安になり、抗がん剤を行う選択もあるのではないかと不安になります。お忙しいところ申し訳ありませんが、先生のお考えをお聞かせください。よろしくお願いいたします。

HER2陽性乳癌でも、浸潤径が5mm以下の場合はハーセプチンを追加してもしなくても変わらず、比較的おとなしい癌の範疇であると考えられます。ご質問内容では2mmの浸潤径であり、その場合HER2陽性でも再発率自体はそれほど高くないでしょう。また核異型度も低くKi67も高くありませんから、低リスク乳癌として無治療との選択も納得のゆくところです。(文責 首藤))

 

No.10215】  11年05月26日  T
今後の治療について

30代後半女性です。今年3月に、しこりのないタイプ(分泌)の非浸潤癌という事で、乳管内の広がりもあり、左乳房全摘術を受けました。しかし、術中、センチネルリンパ節生検で1つ、数値的にはとても小さな転移が見つかり、リンパ節郭清(レベル2の半分まで)しました。病理検査の結果、非浸潤癌、ホルモン陽性ER+、PgR+、HER2陰性、リンパ節転移1(1/20)、脈管浸襲なし、核異型度1と診断されました。

1) 数値的にはごく小さいが、リンパ節転移があるのに、非浸潤癌との診断ですが、こういう事はあるのでしょうか?
2) この場合、癌のステージは何になるのでしょうか? 通常非浸潤癌はステージ0ですが、リンパ節転移があるので。
3) 私の場合、抗がん剤治療は必要と思われますか? ホルモン療法だけでも良いと思われますか? 今のところホルモン療法だけの治療になりそうですが、転移があったため、抗がん剤をしなかった場合、いつか再発するのではないかと、とても不安です。宜しくお願いします。

1) 実際にはごく一部において浸潤がんの部分があったものと思われます。
2) ステージ自体は手術前の肉眼的診断や画像診断をもとに腫瘍の大きさやリンパ節腫脹の有無をもとに決定されているものですから、基本的にステージの変更はありません。
3) 浸潤がんがあったとしてもごく小さい病変で、具体的にはT1micなど1mm以下の浸潤がんであった可能性も否定できないところです。核異型度も1で、またホルモン感受性も比較的高いようですから、たとえリンパ節転移が一つあったとしても、補助療法としてはホルモン療法を第一選択としてもよいのではないでしょうか。(文責 首藤)

 

No.10214】  11年05月26日  N.N
乳管内乳頭腫

ネットで調べると、乳管内乳頭腫を持つ乳房は、将来乳がんになるリスクが高いと書いてあるのを度々見かけます。これは本当なのでしょうか? 出産経験もなく、乳管内乳頭腫を持っていると、極端な言い方とは思いますけど、乳がんになると考えた方が良いのでしょうか? 「乳がん決定!」のハンコを押されたようで怖いです。変な質問かと思いますが、よろしくお願いいたします。

乳管内乳頭腫自体は基本的に良性の疾患ですので、組織学的に乳頭腫であるとしっかり診断されているのであれば、乳癌との関連は無いと考えてよいでしょう。(文責 首藤)

 

No.10213】  11年05月26日  N
ホルモン療法について

よろしくお願いいたします。現在51歳です。2007年8月 浸潤性乳管癌で温存手術を受ける。腫瘍の大きさ 2センチ、悪性度 1、リンパ節転移 2個、ホルモン感受性60%、HER2 陰性。 FEC4回+タキソール12回、放射線5週間の治療を終えて、2008年9月からリュ‐プリンとタモキシフェンを始めましたが、12月頃から、うつ病になり、精神科で投薬治療が始まり、ホルモン療法は中止し、現在に至ります。うつ病がよくなってきたのですが、今からホルモン療法を再開しても効果はありますか? (うつ病の薬は、SSRIではありません。) 再開してもあまり効果がないのであれば、副作用もありますので、無治療のままでいようと思っています。   

術後ホルモン療法としては基本的に5年間の治療を予定していると思われますので、今からでも遅くはありません。51歳というご年齢からは、抗がん剤を終了したということで、すでに閉経されている可能性もあります。したがって血中の女性ホルモンを測定して、閉経の有無を確認してみてはいかがでしょうか。閉経状態であれば、別のホルモン剤(アロマターゼ阻害薬)に変更になる可能性があります。(文責 首藤)

 

No.10212】  11年05月24日  MMM
右胸のしこり

初めて相談させていただきます。41歳、2歳半の子供がいます。3年前、妊娠がわかる1週間ほど前に胸の痛みに気付き、エコー診断をしてもらうと、1センチ弱のしこりがありました。顔つきが悪いという事で大学病院を紹介してもらい、そこでも顔つきが悪い、ほぼ悪性だろうと言われたのですが、その後妊娠がわかり、パニック障害もあり、紹介していただいた病院に行けなくなり、紹介状を書いてもらい近くの総合病院の乳腺科で診てもらう事になりました。そこでの診断は、エコー画像からだとほぼ良性。そして、細胞診でも良性と出ました。その後妊娠、出産、授乳をして、現在大きくなっているのと、痛みが増しているのとで、再度同じ総合病院でマンモ、エコー、細胞診をやり、細胞診ではクラス3(判定不能)と出たので、コアニードル生検をやり、悪性の癌と判定が出ました。細かい詳細はまだ出ていません。
浸潤性乳頭腺管癌だそうです。サイズは1.7センチ。心配なのは、しこりがあった状態で3年間放ってしまっていた事、その間に妊娠、授乳をしてしまった事です。妊娠、授乳は乳腺が発達するので、癌の増殖を進めると読んだ事があります。今まだ、すべての検査もすんでいない状態なのですが、やはり、妊娠や授乳が癌の増殖を進めてしまった可能性はあるのでしょうか? 妊娠授乳をしていない方より、転移する可能性は高いのでしょうか? 大きさは3年間の間に1センチ〜1.7センチほどに大きくなっていますが、3年間で妊娠授乳を含め、大きくなりすぎなのでしょうか? 検査結果で全てがわかるのですが、どうしても気になり、こちらで質問させていただきました。お忙しいところ恐縮ですが、ご回答のほどよろしくお願いいたします。

大丈夫だとされた病変が3年経って乳癌だったとの診断です。不安がいっぱいのことと察します。妊娠、出産によるホルモン環境の変化が病変に与える影響ですが、はっきりとしたデータはありません。乳癌術後の患者さんが、妊娠、出産をした場合、再発率は高くならないことが報告されていますので、そんなに大きな影響はないものと思われます。事実、3年間で1cmが1.7cmとのことですので、大きくなる速度もゆっくりしているようです。乳癌は大きさではなく、その性格、性質が身体に与える影響に関連します。すごく小さくても再発リスクの高い病変、大きくて10cmくらいになっても再発リスクの少ない病変、様々です。この性格、性質は病変が出来た時に決まっているもので、放っておいたから、悪性度が上がるというものではありません。現在の病変の性格が不明ですのでわかりませんが、まずは、しっかりと診断してもらい、今後の治療にベストを尽くし、前を向いて進んで下さい。応援しています。

 

No.10211】  11年05月24日  N
今後の治療について (HPNo.10179-2)

お忙しい中ご回答下さって、とても嬉しいです。ありがとうございました。5年間は、大抵しこりを保管しておいて下さっているとのこと、一安心できました。ありがとうございます。すみませんが、お忙しい中、疑問が出てきたので、もう一度教えていただきたいのですが、疑問に感じているのですが、どの部分から、ハーツたんぱく3+が出てきたか?というこが、大切になるということでしょうか?(なぜ、どこから出てきたか確認する必要があるのでしょうか?)  周りの部分からは出てこなかった、良性だと思って摂ったけど周りに悪い物が散らばっていなくて良かったと、聞いています。あと、悪性度は中程度で、ホルモンの感受性は両方とも陽性とうかがっています。
現在、アりミディックス を朝1錠、ユウエフティカプセルt100を毎食後1錠ずつ飲んでいます。ハーセプチンができれば、再発が心配なのでしたいのですが、元々、他に持病があって、その病気で長年苦しんでいて、寝た姿勢で息苦しく、心臓がえらくなって起こされて困っています。ハーセプチンの副作用が、NETに心臓と書いてあるのをみて心配なのです。主治医にたずねたのですが、副作用は無いとおっしゃって、それ以上のことは、聞けずじまいです。ハーセプチンをする場合は、今飲んでいる薬も継続して飲んで、治療していくと聞いています。 する、しないは、早く今度までに決めて下さい、とのことで、 決めかねています。他に病気があることは、乳ガンの主治医の先生は、わかって下さっています。が、元々の持病はかなり難しく、現在治して下さる先生を捜さないと行けない状況です。ハーセプチンをするかしないかで、どの程度再発予防効果が期待できますか? 副作用がもし出ても、ハーセプチンを中止すれば、元に戻るだけのことでしょうか? 副作用がもし出たら、心臓が今より悪くなってしまうのでしょうか? そして、最近、親戚が本で読んで知らせてくれた情報ですが、「抗ガン剤は盛んに細胞分裂して増殖する細胞に作用するのに対して、ホルモン剤は細胞の分裂をとめる働きがあり、同時に使うと効果を打ち消しあう可能性が考えられる。手術後に抗ガン剤で治療し終わってから。ホルモン剤を使う場合と、両方同時に使う場合、再発率は、後者の方が高かった。」と、その本(癌治療の常識、非常識という本)には書いてありますが、 それは本当なのでしょうか? 本当なら、どの程度差があるのでしょうか? 私のしこりは、8oです。
お忙しい中、面倒おかけしてすみませんが、これらのことで、なにか、私にアドバイスやご意見、情報などございましたら、どうか、宜しくお願い申し上げます。

質問ありがとうございます。まず、HER2蛋白がどこから出てきたか?ということですが、これは、どこからか現れてくるものではなく、もともと、その蛋白を持っている乳癌だということです。乳癌には、乳管や、小葉の中にとどまる非浸潤癌と、乳管や小葉の壁を破って周囲に広がる浸潤癌があります。このHER2蛋白は、非浸潤癌でも浸潤癌でも15〜20%くらいに存在しますが、その判定は浸潤癌の部分で行うことに決まっています。「周りの部分からは出てこなかった」、「周りに悪いものが散らばっていなくて良かった」とのことですが、恐らく、最初に取った部分に浸潤癌があり、その大きさが8mmで、そこにHER2蛋白が3+で存在し、周囲には非浸潤癌が少し広がっていた・・ということなのではないでしょうか。
次いで、現在の治療と今後のことですが、ハーセプチンは、HER2蛋白を持っている患者さんに、通常の抗がん剤を使用し、その後ハーセプチンを投与する場合と、ハーセプチンを投与しない場合とで比較試験が行われ、ハーセプチンを1年投与した場合、その再発率が約50%減るというものです。従って、HER2蛋白を持っている乳癌であれば、化学療法後にハーセプチンを1年投与することが標準的な治療法となっています。ハーセプチンの副作用は大きなものはありませんが、アレルギー反応が3%くらいに出ます。最初の投与時出現することが殆どで、重篤なものではありません。また、懸念されている心毒性ですが、5〜10%の症例で発現します。心臓の収縮力が低下します。ただ、化学療法に伴う心毒性に比べ、投与を中止して経過を見ていけば改善することが多いようです。さて、ハーセプチンを追加するか否かですが、元々の持病のこと・・が気になります。その詳細はわかりかねますが、元気で続けられる体力、気力があれば追加で投与してはいかがでしょうか。ただ、その持病を治す先生を捜さなければ、という状況であれば、元気な身体あっての再発予防の治療ですから、ボロボロになってまでやるべきではないと思います。
また、現在のアリミデックスとUFTの併用ですが、閉経後に方に、ノルバデックスとUFTを2年投与した場合、CMFという抗がん剤の併用療法と同等の再発予防効果であったことが報告されているものの、アリミデックスとの併用に関しては、データが乏しい状況です。主治医の先生は、あなたの持病のこと、性格、やる気など、いろいろ考えて今の治療を呈示して頂いたのだと思います。従って、アリミデックス+UFTのデータが乏しいとなれば、それにハーセプチンを追加してどれくらい効果的か?ということにも明確なお答えがありません。
抗がん剤とホルモン剤の併用に関しても、良くないという意見と、併用しても問題無いという意見があり、結論は出ていません。
元々の持病のこと、ご自身の乳癌の顔つき、現在の治療内容などを考慮しつつ、今後の治療を考えなくてはいけませんが、今、治療にあたって頂いている先生のお考えが、あなたにとってベストであると思います。まとまりなくてすみません。

 

No.10210】  11年05月22日  H.M
非浸潤癌のホルモン治療について

35歳女性です。昨年6月に右非浸潤性乳癌のため部分切除手術をしました。断端陰性でした。ホルモン受容体陽性で70〜80% でした。術後治療として、放射線25回、タスオミンを服用、数ヶ月後に生理が止まったのですが、今年3月から生理が再開し、今月4月も生理が来ました。かかりつけの医師によると、生理を止めておいたほうが良いとのことで、このまま生理が続くようであればリュープリン注射もしたほうが良いとのことでしたが、タスオミンのみ服用でも吐き気や気分の落ち込み等、副作用があり苦しんできました。(生理再開後は副作用がなくなりました)
リュープリン注射をすると、また副作用が出るかと思うと、できれば追加治療したくありません。他病院では非浸潤性乳癌の場合、タスオミンのみ服用の治療もあるらしく、迷っています。リュープリン注射は治療に必ず必要で、注射することによって再発の確率が格段に下がるのでしょうか。

閉経前の患者さんで、非浸潤癌に対するホルモン療法は、残存乳房への浸潤癌の再発、反対側乳房への乳癌の発生を目的に行われており、ノルバデックス(タモキシフェン)を用います。閉経後の非浸潤癌に対するホルモン療法は、行うとしたらアロマターゼ阻害剤を用いることになりますが、検証が不十分です。ただ、非浸潤癌そのものが再発する病変ではないので、ホルモン療法を行っても、行わなくても生存率に違いはありません。また、残存乳房への再発に関しても、放射線照射の方が、その効果は高く、ホルモン療法が取って代わるものではありません。さらに、日本人の非浸潤癌に対して、ホルモン療法がどれだけ効果的か?と検証したデータはありません。従って、副作用の問題も含めて考え、ホルモン療法を行うことは「考慮しても良い」(強く推奨するものではない)とガイドラインに記載されています。同じ施設の中でも、意見の分かれる部分もあります。しかし、リュープリン、ゾラデックスといった月経を止める薬剤は、非浸潤癌に対しては不要です。その必要性を検証したデータもありません。
ノルバデックスを服用するか否かどうするかは、副作用とのバランスということになります。もし、副作用がつらいのであれば、内服など止めて、美味しいもの食べ、身体を動かし、元気に過ごす・・というのも立派な治療法だと考えます。(文責 鈴木)

 

No.10209】  11年05月22日  T
再発乳癌の治療について(HPNo.10107-4)

HPNo.10107でご相談させていただき、ご指導を有り難うございました。やはり、後半の抗がん剤治療を受けようと思います。FEC75とハーセプチンを行うのですが、1回目はFECとハーセプチン、2回目と3回目はハーセプチンのみで、それを4回繰り返し行ないます。FECとハーセプチンは心不全のリスクが高いと言うことですが、同時に行っても大丈夫でしょうか? 術後のFEC100で抗がん剤をしている人は、FECとハーセプチンを別々に行っているのですが・・・。もし、FEC75に代わるものがあるようでしたら、教えて頂きたく、お願い致します。

最初の質問から、通して読ませて頂きました。長くなりますが、ご容赦下さい。
そもそも、ラジオ波の治療が、試験的な治療であること、これはご自身で認識、理解することが必要です。また、乳癌は局所の治療も大事ですが、全身の治療も大事であるという点も理解しましょう。ラジオ波に関しては、学会でも警鐘を鳴らしています。病変の性格を十分に評価しないまま、局所の治療だけで終わらせようとするので、結局、局所にも全身にも悪影響が出ます。確かに、乳房にメスを入れないで治療が出来るのは夢の治療ですし、私もラジオ波の普及は臨んでいますが、現在まで、ラジオ波の適応、長期的な成績、合併症など、十分に検証されていません。ラジオ波で十分な症例はあるのだと思われますが、その検討がなされていないのが現状です。「DCISにはラジオ波は適応ないのでしょうか?」とのことでしたが、DCIS、浸潤癌含めて、ラジオ波そのものが確実で安全な治療ではありません。
次いで、最初のマンモトームで非浸潤癌(DCIS)とのことですが、腫瘍全体がDCISではなく、一部に浸潤癌が含まれていたと思われます。病変の広がり、病変全体の性格の評価も不十分なまま、病変全体をDCISと判断し、ラジオ波で治療したこととなります。従って、DCISの遺残か、当初から存在した浸潤癌が今となり発症してきたと思われます。先の回答にも書かれていましたが、「皮膚の浮腫?!」は、炎症性乳癌のタイプで発症してきたものでしょうか?だとしたら、手術ではなくて全身の化学療法を選択すべきです。
次の治療に関してですが、ハーセプチンとFEC75の併用は行うべきではありません。海外ではファルモルビシン(エピルビシン—その頭文字でE)や、ドキソルビシン(アドリアマイシン—その頭文字でA)などのアンスラサイクリン系の薬剤とハーセプチンの治療成績は出されていますが、国内では心毒性の問題から、アンスラサイクリン系薬剤とハーセプチンの併用療法は行うべきではないとしています。行うとしたら、臨床研究として、患者さんから同意書を頂いて行うべきです。エンドキサンの二次発癌の危惧をされていますが・・その前に、ハーセプチンとFEC75の併用について考慮すべきだと思われます。FEC75に代わるもの・・ということですが、ナベルビン、ゼローダ、TS-1、ゲムシタビンなどとハーセプチンを併用するのが通常ですが、現在の病状、今後の治療方針などがわかりませんので、詳しくは書きません。
今までのご自身の標準的な治療法は、最初に部分切除+センチネルリンパ節生検、もしくは、全摘+センチネルリンパ節生検を行い、病変の性格を評価し、再発リスクの高い病変であれば、化学療法を行い、続いて、部分切除や、腋窩リンパ節転移の多い症例では放射線治療を追加し、必要により内分泌療法を行う、というのが標準的な治療です。今までの治療、これから行うとされている治療が、不確実で安全でない治療法ばかりであることが残念な気がします。行われた治療を変えることはできませんが、今後の治療を軌道修正することは可能です。ご自身の身体ですから、ご自身で良く考え、周りともよく相談し、治療法を決めて頂ければと思います。必要あれば、他の施設で意見を聞くのも必要です。「DCISはラジオ波が効かない?」、「そんなことは無い」との会話も、憤りを覚えます。厳しいことを書きましたが、お許し下さい。
われわれの思いは、乳癌で悩む方を一人でも多く助けること、これは神奈川だけではなく、乳腺外科をライフワークとしている者、皆の強い思いです。不確実で安全でない治療法が、あなたの不利益に繋がらないように願っています。長文になり申し訳ありませんでした。(文責 鈴木)

 

No.10208】  11年05月18日  M.M.
子宮がん検診について

ご相談させて頂きます。31歳、出産経験はありません。去年乳がんと診断され、部分切除と放射線治療を行い、現在はリュープリンとタスオミンのホルモン治療中です。ホルモン治療中は子宮がんのリスクが上がるということで、定期的に子宮がん検診をうけています。乳がんの主治医の先生からは、子宮頸がんの検診は1年おきに受けて、子宮体がんの検診については半年おきにエコーで診てもらい、内膜をとって検査するのは1年おきでもいいと、言われました。その話を検診を受けに行った婦人科の先生に伝えたところ、ノルバッテックスを服用しているなら、体がん検診は半年に一度するのが一般的で、乳腺の先生は外科だからわかってないのだろうと言われてしまいました。そこで質問ですが、やはり内膜をとる検査は、半年に1度必要なのでしょうか? 結構痛いので、1年に1度でもいいなら本当はそうしたいのですが、二人の先生の意見が違うので心配です。回答よろしくお願いします。

子宮体癌の検診に関してですが、未だ、明確な答えが無いのが現状です。1年に1回くらい・・行うのが実情かと思います。個人的には、主治医のおっしゃる程度の検診で十分かと思われます。婦人科の学会では、受診者が希望すれば、内膜の組織診を行う、といったコメントのようです。出産経験が無い場合、苦痛を伴うでしょうから、主治医、婦人科医とよく相談の上、進めて下さい。すみません、あまりお答えになりませんね。

その後、いくつかのガイドラインを検索してみました。米国のガイドライン2011年版では、「年1回の検診を勧める。不正出血があれば、速やかに検査を行う」とされており、「症状のない女性に、子宮内膜の組織診、またはエコーを毎年決まって行うことは勧められない」としています。日本の乳癌学会で作成しているガイドライン(2008年度版)では1994年前後のデータをもとに、「定期的な検診を勧める十分な根拠はない」としています。婦人科腫瘍委員会からは2001年度の報告で、「無症状の場合、1年に1回、可能であれば半年に1回の検診を行い、超音波、内膜の細胞診を行い、内膜の増殖が見られれば、生検を行う」としています。いずれにしても、古いデータに伴う報告、推奨で、外科と婦人科では意見が違うようです。ご参考までに。 (文責 鈴木)

 

No.10207】  11年05月18日  Y.T.
左胸のしこり

この度、左胸にしこりらしきものをみつけ、病院に行ってきました。マンモグラフィ、レントゲン、触診と、全部の検査をしましたが、異常なしと言われました。その時は安心していたのですが、またフッっと気になり、触ってみると、まだあるんです。本当にビー玉くらいの大きさで、乳房の真下くらいのところに出来てます。右にはありません。おっぱいと皮膚の境目のところなので、乳がんではなかったら、このしこりは何なのか・・・。何科に見てもらえば良いのか分かりません。このような説明でわかって頂けたでしょうか。よろしくおねがいします。

しっかりとした病院で、マンモグラフィ、エコーまでやったのであればまず問題ないでしょうが、ご心配あれば別の施設で検査を受けてはいかがでしょうか? 場所的に何とも言えませんが、乳腺外科、形成外科などが対応する部分かと思われます。(文責 鈴木)

 

No.10206】  11年05月18日  Y.M. 
腫瘤疑い、乳腺腫瘍

よろしくお願いいたします。3年前に左乳がんの手術をしております。非浸潤ガンでしたので、温存と放射線後、ノルバデックスを服用しております。今回人間ドックで右腫瘤疑い、乳腺腫瘍と診断されました(エコーのみ)。まだ3ミリで、来月定期検査に行くので、その時で大丈夫と言われました。細胞を採ってみないと判断はつかないと思いますが、やはりがんなのでしょうか? ノルバデックスが効かなかったということですか?

ご心配のことと思いますが、3mmというのは、本当にしこりなのかどうかもわかりませんので、来月の検査の時で問題ないと思います。形だけで、良性、悪性を判断するものでもありません。おわかりのように、組織、細胞を取らないと最終的には判断できません。硬い乳腺、軟らかい乳腺の「すきま」みたいなところがしこりっぽく写っただけかもしれませんし・・。どこかに、何かできると、すぐ「乳がん」?と思いがちですね。みなさんそのように思われますが、もう少しだけ、ちょっとだけ、「ゆるり」と、肩の力を抜いて生活してみてください。ちょっとだけで構いませんから。(文責 鈴木)

 

No.10205】  11年05月18日  M.S.
病理結果と今後の治療について(2)(HPNo.10193)

回答ありがとうございます。追加で質問です。ホルモン陽性の度合ですが、ER,PgR共に、PS5 IS2です。子供ほ希望しないとすると、見解は変わるでしょうか? ホルモン単独で良いのでしょうか?

ER,PgR どちらもPS5,IS2という事は、ホルモン感受性が強陽性と考えます。となると挙児希望の有無に関係なく、基本的には抗がん剤は要らないと思います。(文責 清水)

 

No.10204】  11年05月18日  H.A.
転移後の治療について

68歳の母の事で教えてください。2006年9月に左乳房温存手術、リンパ節転移1/10、グレード3、ER90%以上、PR20〜30%、Her 2 +1です。放射線25回、CMF6クール、翌年5月下旬よりフェマーラ、2007年9月頃より骨密度低下の為、フォサマックとワンアルファを飲み始めました。2010年11月頃より、胃のすっきりしない感じが続き、内科で胃カメラ検査をしましたが軽い胃炎との診断。今年3月中旬に定期検査、腹部エコー、乳房の超音波検査とマンモグラフィー(術側も前回リンパ節に気になる点があった為)、肺レントゲンの検査をしましたが、異常なし。その後、胃にさしこむような痛みがあり、内科でCT検査をした結果、肺とリンパ節に転移が見つかりました。4月に入ってすぐ咳が出るようになり、階段を登ったり早く歩くと息が切れます。転移がわかってから、転院。検査の結果、多発肺転移・左胸水・リンパ節(わきの下、縦隔、肺門)に転移。4月8日よりタスオミンを飲み始めましたが、1ヵ月後の検査で胸水が増えていました。 タスオミンは飲み続けていますが、来週の検査後、おそらく抗がん剤治療になるだろうと言われています。骨シンチも受けますが、継続した痛みの有る場所も骨への転移が疑われています。左肩甲骨(背中の上部は関連したものか?)、左手腕、左わき腹に常に痛みがあります。 食べ過ぎているわけではないのに胸まで一杯になる感じ、痛みがあります。

1) 抗がん剤ですが、1週間か3週間毎かになると言われました。何が考えられますか?
2) 抗がん剤投与投与中に特に気をつけることはありますか? 食べてはいけない食材などはありますか?
3) もう他のホルモン剤治療もやっても効果がないのでしょうか(ヒスロンやステロイド系のアロマシンなど)
4) Her2+1なのでハーセプチンもつかえないのでしょうか 再発転移後に陽性になる事はないですか? 血液検査でははっきりわからないのでしょうか
5) 痛み止めのロキソニンやカロナールはあまり効果がないようで、オキノーム2.5mgを処方されました。モルヒネだと思うと躊躇してか、一度しか飲んでいません。 痛みは常にあるのですが、毎日服用しても大丈夫でしょうか。

1) 主治医の先生に直接尋ねた方が良いと思いますが、通常は1週間毎に投与する抗がん剤と言えばパクリタキセルでしょう。3週間毎はたくさんありますが、AC,EC等のアンスラサイクリンかドセタキセルが考えられます。
2) 抗がん剤の種類によって注意する事は異なりますので、治療が決まったら主治医の先生によく聞いてください。通常は、食べていけないものはないと思います。
3) 効果がないことはないと思います。これから使う可能性は十分にあります。
4) Her2(1+)ではハーセプチンの効果がないことは確かです。しかし、原発が陰性でも再発で陽性になる事はあります。どこか再発、転移巣の生検ができれば、それを調べることができます。血液検査でも血液中のHer2を調べることができますが、血液中のHer2濃度とハーセプチンの関係はわかっていないので、血液中のHer2をハーセプチン治療の指標にする事はできません。
5)  痛みを取るためには積極的にモルヒネ系のお薬を使う事が強く推奨されています。廃人になってしまうとか、中毒になるのではという心配は全くありません。痛みを我慢している事の方が良くないですから、しっかりオキノーム、オキシコンチンを内服してください。(文責 清水)

 

No.10203】  11年05月17日  ママ 
ホルモンレセプター・ホルモン療法について(2)(HPNo.10194-2)

お忙しい中、早速のお返事ありがとうござました。とてもわかりやすい説明でした。
ご説明していただき、タスオミン、リュープリンまで治療を行ってきたことは、たとえホルモンレセプター10%でも効果はあり、予後の改善になることがわかりました。ただ、私の場合、術後、ホルモン療法が先行で、4か月遅れで抗がん剤CEF4クールを行ったという標準治療ではないことが、5年経ち今さらですが、非常に引っかかり、後悔の念があります。当時、乳がんの知識が乏しく、医師の処方を100%信頼していたことや、患者さん側も、家にいても情報が入る時代で、たとえば、抗がん剤はよくないとか、ネット、本などで見聞きするたびに、自分の治療に迷いが生じていました。有名な女優さんがリンパ節転移2個ありましたが、抗がん剤は体に合わなくて1回しかやらなかったそうですが、20数年たった今でもお元気でご活躍されています。私はそれを本で読み、私はリンパ節転移一個だったので大丈夫かなと思って、タキサン系までやらなかったのです。でも、それって大きな間違いなのですよね。乳がんといってもいろいろタイプがあって、100%ホルモンの薬が効く乳がんもあれば、抗がん剤が効く乳がんもあるということ、人それぞれ治療法が異なるのが乳がんだということを学習しました。過ぎてしまったことはどうにもならないので、今後のことで、恐縮ですが、再度ご相談させてください。
 
1) ホルモン療法が先行で抗がん剤が後というのは、標準治療ではないので、日本ではあまりないことかと思いますが、外国ではどうなのでしょうか? また、効果は劣るのでしょうか?
2) リンパ節転移についてですが、5年前に手術を執刀してくださった外科の先生から、「一番最初にがんが到達するところに、放射性物質?薬を使って集まったところに一個ありました。」と説明を受けた記憶があります。今の乳腺専門の先生に、リンパ節転移のことをお聞きしましたら、「カルテを見たんだけど、よくわからない。」と、おっしゃっていました。これらのことから、明らかな転移ではなく、いわゆる微小転移と解釈するのには無理がありますでしょうか? 自分としては、だから、抗がん剤を早くやらなかったのだと思いたいところなのですが・・・。
3) トリプルネガティブの場合、リンパ節に転移がなかった場合、もしくは微小転移の場合、リンパ管に+1の浸潤があった場合、抗がん剤は行うのでしょうか?
 
本当に申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

1) 日本でも海外でもホルモン療法を先行するという臨床試験がありませんから、その効果についてはわからないとしか言いようがありません。ただ想像するに、4か月遅れとはいえ、きちんと化学療法を行なったのですから、その効果はあると考えて良いのではないでしょうか。
2) 貴女の記憶が正しいとすれば、前の主治医の言葉はセンチネルリンパ節に一個転移があったという意味だと思いますが、それがカルテで確認できないという事は謎としか言いようがありません。
3) トリプルネガティブであれば、リンパ節転移がなくても術後の化学療法が推奨されます。(文責 清水)

 

No.10202】  11年05月17日  K.N.
間質性肺炎(HPNo.10187-2)

HPNo.10187で、ご質問させていただきました(ルミナールA型の術前抗がん剤治療について)。先日はお返事いただき、ありがとうございました。実は8回のパクリが終わったあと、抗がん剤の副作用による間質性肺炎になりました。入院はせずに済んだのですが(ステロイド服用中です)、残り4回のパクリは中止となりました。主治医からは、「術前のホルモン剤治療という方法もある」と、聞きました。この場合、先に手術→ホルモン剤治療がいいのか、術前ホルモン剤治療→手術、どちらがいいのでしょうか。手術が長引くのも不安ですが、もし散らばっているガンがあれば、先にたたいたほうがいいのか・・・。また、間質性肺炎になってしまった場合、もう抗がん剤治療はしない方がいいのでしょうか。どうぞ宜しく御願いします。年齢は、45歳です。

術前ホルモン療法という考え方があり、いくつかの臨床試験も行なわれていますが、その有効性はまだ証明されていないと思います。現実的に、どの薬をどのくらい使って、術後はどうするのかという事は全くわかっていません。ですから、何か特別の理由があって標準治療ができないという場合を除いて、基本的にはあまりお勧めできません。化学療法が終了(理由はともあれ)したならば、手術を行なって術後5年間ホルモン療法を行う事をお勧めします。間質性肺炎はパクリタキセルで起こった副作用ですから、パクリタキセルをもう一度使う事はできませんが、それ以外の抗がん剤を使う事はできます。(文責 清水)

 

No.10201】  11年05月17日  Y.T. 
今後の治療について(HPNo.10120-2)

HPNo.10120で相談させていただいた者ですが、7月に抗癌剤が終わり、ハーセプチンとホルモン療法になる予定です。今年50歳で、生理は抗癌剤でとまりました。主治医はノルバデックスをと言うお話ですが、ノルバデックスは50パーセントのひとにしか効果がないとネットでみて、すごく不安です。私の場合、閉経後の薬ということにはならないのでしょうか? もし今閉経していなかったら、薬で閉経にもって行くことはできないのでしょうか? よろしくお願いします。

医療の世界では、50%の人に効果があるという事は大変すごい事なのです。貴女の場合は原則としてノルバデックスが推奨されます。乳がんのホルモン療法でいう閉経とは、月経がないという事ではなく、卵巣の働きが止まっているという事です。通常、月経が停止してから卵巣の働きが止まるまでには数年かかるといわれています。ですから、乳がんのホルモン療法では、60才を過ぎた方は自動的に閉経と見なされますが、50才代の方で月経のない方は、血液検査で閉経状況を確認する事が推奨されています。採血の結果、閉経前とわかった場合、ゾラデックスやリュープリンを使って薬物閉経させて、閉経後の薬(アロマターゼ阻害剤)を使うという方法もありますが、標準的な方法ではありません。(文責 清水)

 

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