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相談室

このページは乳がんに関する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 なお、個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。ご相談内容は  info@kbcts.gr.jp   まで、メールでご連絡下さい。
なお当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。

 

目 次

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No

日 付

名 前

件  名

担 当

1900 03/10/11 T.K.  術後の化学療法について 千島
1899 03/10/11 T.I 左胸内側の痛みについて 千島
1898 03/10/11 Kana   わきのくぼみのしこり 千島
1897 03/10/11 I.N.  再発乳癌の治療法について(11) 千島
1896 03/10/07 M.M. 右胸のしこり 千島
1895 03/10/07 M.I. ノルバデックス服用中の不正出血について 千島
1894 03/10/06 H.M. 右胸内側のしこりについて 千島
1893 03/10/06 A  乳頭の異常について 千島
1892 03/10/04 F.M. 骨転移の治療について 千島
1891-1
1891-2
03/10/04
03/10/07
お乳の不安
お乳の不安(2)
千島
千島
1890 03/10/04 K.T. 乳輪下膿瘍(4) 千島
1889 03/10/04 R.N. 腫瘍マーカーの上昇について 千島
1888-1
1888-2
03/10/03
04/06/16
s.s 乳首のできものについて
乳首からの血性分泌
千島
須田
1887 03/10/03 T.U 右脇にしこりがあります 千島
1886 03/10/03 MK 生検後の痛み 千島
1885 03/10/03 KM 胸のしこりについて 千島
1884 03/10/03 momo 乳癌手術後の授乳について 千島
1883 03/10/01 H.T 妊娠中のしこり 須田
1882 03/10/01 TE 乳腺専門の開業医 須田
1881 03/10/01 T 生理について 須田
1880 03/10/01 M.Y. 経過観察 須田
1879 03/10/01 りゅう 乳腺のう胞について 須田
1878 03/10/01 M.S.  術後の補助療法について 須田
1877-1
1877-2

1877-3
03/10/01
03/10/03
03/11/15
M 再発
放射線治療について
再発治療方法
須田
千島
浜口
1876 03/10/01 N.D. 腫瘍マーカーについて 須田
1875 03/09/28 J.N. 胸に硬いもの? 須田
1874 03/09/28 M.Y.  経過観察中 須田
1873 03/09/28 C.H. 母乳育児 & むくみのマッサージについて 須田
1872 03/09/28 M.O.  生存率は? 須田
1871 03/09/28 Y.T. 腋のしこりについて 須田
1870 03/09/28 T.Y.  タモキシフェンによる副作用について 須田
1869 03/09/27 .y 両側性乳癌について 須田
1868-1
1868-2

1868-3
1868-4
1868-5
1868-6
1868-7
1868-8
1868-9
1868-10
1868-11
03/09/27
03/10/11
03/11/07
03/11/09
03/12/18
04/02/21
04/03/01
04/03/09
04/06/14
06/08/12
06/12/03
M.I.  非浸潤ガンと浸潤ガンの区別
腋窩リンパ節とは
リンパ郭清について
郭清の後遺症について
補助療法について
補助療法について(2)
副作用について
副作用について(2)
肝機能障害について
生理について
腫瘍マーカー値について
須田
千島
浜口
浜口
吉田
石山
石山
稲葉
須田
清水
首藤
1867 03/09/27 K.T. 乳輪下膿瘍(3) 須田
1866 03/09/27 H.K

細胞診は必要でしょうか

須田
1865 03/09/27 E.M. 乳首の皮膚のただれ 須田
1864 03/09/23 H.A. 背骨の痛み 須田
1863 03/09/23 Y.K ゾラデックスとノルバデックス 須田
1862 03/09/23 H.F.

乳首が欠落しました

須田
1861 03/09/23 くろ 生検について 須田
1860 03/09/23 K・K マンモグラフィ 須田
1859 03/09/23 M.O.  右胸の痛み 須田
1858 03/09/23 M.O. ホルモン療法の薬の選択 須田
1857 03/09/23 K.T. 乳輪下膿瘍(2) 須田
1856 03/09/23 M.M. 術後補助化学療法タキソールについて 須田
1855 03/09/23 N.M. 産後二ヶ月の母です 須田
1854 03/09/23 F  乳房の痛みとしこりについて 須田
1853 03/09/23 akiko 乳房のびらんとは? 須田
1852 03/09/23 Y.S. 経口薬ゼローダについての質問です 須田
1851 03/09/21 SH 触診でわかる「しこり」について 須田
1850 03/09/21 C.I. 胸がはる症状について 須田
1849 03/09/21 M.A. 補助治療について 須田
1848-1
1848-2

1848-3
03/09/21
03/10/01
03/11/01
M.S.  微小癌の治療について
術後の補助療法について
ホルモン治療について
須田
須田
徳田
1847 03/09/21 S.K  11年目の新たな乳癌 須田
1846 03/09/21 q 乳頭分泌 須田
1845 03/09/20 F.Y. 術後の治療について 須田
1844 03/09/20 y.s  授乳中のしこりについて 須田
1843 03/09/20 Y.I. 左胸に、しこりみたいな感じがするのですが・・・ 須田
1842 03/09/20 M.H. 石灰化について 須田
1841 03/09/20 しづ 骨の痛み 須田
1840 03/09/20 M.M. 授乳中のしこり 須田
1839 03/09/18 ちより 補助療法としてのサプリメントについて 須田
1838-1
1838-2
03/09/18
03/11/06
M 乳がん検診について
乳腺にできるしこりについて
須田
浜口
1837 03/09/18 M.T. しこりの摘出について 須田
1836 03/09/18 K.T.  腋下のしこり、ほうっておいても大丈夫? 須田
1835 03/09/18 恵子 脇の下のしこり 須田
1834 03/09/18 T.K.  本当に乳腺症か心配です 須田
1833 03/09/16 F.K. 授乳中でも正確な結果がでますか? 麻賀
1832 03/09/16 K  石灰化について 麻賀
1831 03/09/16 H.A. ゼローダによる治療 麻賀
1830 03/09/16 R 細胞診について 麻賀
1829 03/09/15 E.O.  線維腫瘍の手術について教えてください 麻賀
1828 03/09/15 T 繰り返す乳癌の再発について 麻賀
1827-1
1827-2
03/09/13
03/09/16
K 乳がん術後の妊娠希望
乳がん術後の妊娠希望(2)
麻賀
麻賀
1826 03/09/13 Y.M.  乳がんの可能性について 麻賀
1825-1
1825-2
03/09/13
03/09/15
放射線治療後の咳について
放射線治療後の咳について(2)
麻賀
麻賀
1824 03/09/13 F.K.  術後の放射線治療の時期について 麻賀
1823 03/09/12 M.K 放射線治療の開始時期について 麻賀
1822 03/09/11 N.N. 乳腺のう胞の検査について 麻賀
1821-1
1821-2
03/09/11
03/09/13
cake 局所再発について教えて下さい
局所再発について教えて下さい(2)
麻賀
麻賀
1820 03/09/11 Y.Y. 術後の生活について 麻賀
1819 03/09/11 M.T. 温存手術後の放射線治療について 麻賀
1818 03/09/11 K.Y. 母乳がでます 麻賀
1817 03/09/09 H.C  術後のリンパの注意について 麻賀
1816 03/09/09 胸の痛み 麻賀
1815 03/09/09 C.H. 51歳の母のことでお尋ねします 麻賀
1814 03/09/09 M 乳腺症でした 麻賀
1813 03/09/09 T.O. 乳ガンと低容量ピルの関係について 麻賀
1812 03/09/09 I.H. 取り残しについて 麻賀
1811 03/09/08 乳がん温存療法の術後治療について 麻賀
1810 03/09/08 まめちん 石灰化がガンの可能性は? 麻賀
1809 03/09/08 こはる 術後の検診の内容・意義とホルモン陽性の乳がんに良くない健康食品・化粧品等について 麻賀
1808 03/09/08 H.M. 男の子のしこり 麻賀
1807 03/09/08 H K 再発乳がんの治療 麻賀
1806 03/09/08 MK 乳癌の肺転移?  麻賀
1805 03/09/06 K.H. 術後の治療などについて 麻賀
1804 03/09/06 M.M. 5FUについて 麻賀
1803 03/09/06 Y.Y. 朝日新聞の連載を読み、不安になりました。乳がんでしょうか? 麻賀
1802 03/09/06 S.K. 妊娠中の検査について(2) 麻賀
1801 03/09/06 M・S パジェット病について 麻賀

 

 

 

No.1900】 03年10月11日 T.K.
術後の化学療法について

この9月19日に左乳房温存術をしました。47歳、看護師です。腫瘍の大きさは2.4cm、クラスX、リンパ節転移はなし。しかし、病理組織の結果、「断端にわずかであるが浸潤があるとのこと、乳頭部分を残したので追加切除か、放射線追加のどちらか必要である。T2N0M0のハイリスクである」と説明されました。ホルモンレセプターは陰性です。
温存を希望した時点で、放射線照射については術後必要と説明をうけていたので、乳頭部が追加照射でケアできるのであれば切除せずに放射線で治療したいと考えています。
化学療法について質問です。主治医は、「CMF・CEFどちらでも良い、よく考えて決めてください。」と言われたのですが、悩んでいます。ご意見をお聞かせください。

スイスのザンクトガレンという町で2年に一度、世界中の乳がん治療医が一堂に会し、科学的根拠に裏づけされた基本的な乳がんの治療法を決定する会議が行われています。我々はこの会議での決定を参考にしながら日常診療での乳がん治療を行っています。最近では2003年3月に開催され、その会議の概要が2003年9月1日付けの米国臨床腫瘍学会雑誌に掲載されています。さて、術後化学療法剤の選択についてですが、リンパ節転移陰性ハイリスク患者への化学療法として推奨されているのは、エピルビシンなどのアンソラサイクリン系抗癌剤を含む化学療法です。ちなみに貴女が薦められているCEFという治療法のEというのが、このエピルビシンと言う抗癌剤に相当します。ただし、副作用の程度、患者側の全身状態、医療経済状況等を考慮した場合、副作用がやや軽微なCMFという治療を選択しても良いことになっています。もちろん、アンソラサイクリン系の抗癌剤を使用したほうが再発予防効果は高いのですが、嘔気や脱毛が強く出ますし、心筋に対しても毒性を示します。抗癌剤の治療を受ける上で一番大切なのは、「効果と毒性」のバランスを考えることです。例えば、1%でも乳がんの再発率を下げたいと考えれば、CEFを選択することになりますし、多少のリスクを背負っても、体に害の少ない治療を受けたいと考えれば、CMFを選択することになります。どちらの化学療法を受けるにしろ、最終的な決断を下すのは貴女自身なので、主治医から「乳がん再発リスクと抗癌剤投与から得る利益」について十分な説明を受けてから治療を進めるようにしてください。ちなみに、CEFを受けることによって得られる10年間での再発予防効果は、CMFの予防効果に比べて+1〜4%程度となります。貴女はこの数値を大きいと考えますか、それとも小さいと考えますか?主治医と良く相談しながら考えてみてください。(文責 千島)

 

No.1899】 03年10月11日 T.I
左胸内側の痛みについて

はじめまして。29歳の主婦です。ここ数日、左胸の内側部分に弱い痛みを感じることが続いています。生理中でもあるため単に乳腺がはっているだけかとも思いましたが、痛みが数日続いたことはこれまでなかったため、不安に思いメールをさせていただきました。
痛みを感じるのは主に入浴時など夜間が多く、昼間は家事などで動いているせいか、気になることは稀です。しこりの有無ですが、両胸の上部を指先で押さえると軟骨程度の硬さで流動性のあるものがあるように感じました。この程度の硬さのものなら以前からあったようにも記憶しますし、これが通常あるものなのか、また異常なものなのかどうかも自分では判断がつきません。症状としては、左胸のみ弱い痛みだけがあるという状況です。ちなみに、親族に乳がんにかかったものはおりません。
現在アメリカ在住であり、語学力不足もあって気軽に産婦人科の門をくぐれない状況です。少ない情報で大変申し訳ないのですが、考えられる病名などありましたらご回答頂けると幸いです。また、アメリカの場合何科に行くべきなのか情報をお持ちでしたら、合わせてご回答頂けると助かります。お忙しいところ、読んでいただいて有り難うございました。

全女性の半数以上で何らかの乳房痛を経験します。女性の乳房は、卵巣からのホルモン刺激で腫大や退縮を繰り返すため、特に月経前では乳房に痛みを訴える場合が多くなります。痛みの度合いも毎月同じというわけではなく、痛みが強い月もあれば、軽度の月もあります。しこりに関しても、両側の胸でほぼ対称な位置にあるしこりならば、ホルモン刺激で腫大した乳腺組織を触っている可能性が高いと思います。触った感じが「軟骨様の硬さ」であれば、線維腺腫という良性のしこりも考えられます。ただ、乳腺内の「流動性のしこり」という表現は、あまり心当たりがないしこりなので、残念ながらコメントが出来ません。月経終了後もしこりが消失しないようならば、やはり医師の診察を受けることをお勧めします。アメリカでも乳がんの手術は外科医が行いますが、マンモグラフィなどの検査は放射線科医の担当となります。アメリカでは、どこの病院でも貴女の保険が通用するとは限りません。まずは貴女が入っている保険会社に病状を説明して、「何処にある何という病院」を受診すればよいのか問い合わせてみることをお勧めします。(文責 千島)

 

No.1898】 03年10月11日 Kana
わきのくぼみのしこり

こんにちは。36歳の未婚、出産経験なしの女性です。3日前ぐらいからわきのくぼみの真中に1センチぐらいのしこりを発見しました(ちなみに生理はその前日から始まっていました)。人差し指と親指でつまむことも出来ます。最初は押すと少し痛みがありましたが、今はありません。いつからあったものなのかは分かりませんが、1ヶ月前の生理後に簡単に自己触診した時には気がつきませんでした。しこりを発見してから3日目(生理5日目)ですが、気持ち最初の頃より小さくなった気がします。これも気がするだけなのかもしれませんが・・・。今週中には病院へ行くつもりですが、生理が終わってすぐには行かない方がいいのでしょうか?あと病院へ行けば分かることなのかもしれませんが、仕事の関係ですぐには行けず3日後になってしまう為、いろいろ悪いことを考えてしまって気分が滅入ってしまっています。この内容でもし思い当たる病名があれば教えて頂けますでしょうか?

コメントの内容から察するに、わきの下で簡単につまむことが出来るしこりならば、比較的皮膚の表面にある「しこり」だと考えられます。月経周期に関係しているのであれば、診断の一つに副乳が考えられます。これは発生学的には乳房と同じ組織で、本体の乳房から離れたところに存在している乳腺の切れ端です。その他、わきの下の皮膚附属器官(毛根や汗腺など)に関係する「しこり」も考えられますが、最終的には診察してみないことには何ともいえないのが実際のところです。いずれにしても、病気のことがストレスになってしまい、それが原因で日常生活に支障が生じるようならば、仕事の合間にでも病院を受診して、正確な診断を受ける方が良いのではないでしょうか?(文責 千島)

 

No.1897】 03年10月11日 I.N. 
再発乳癌の治療法について(11) (HPNo.1260-11)

たびたびNO.1260で相談させて頂いております。おいそがしいところ恐縮ですが、ご回答よろしくお願いいたします。
母は現在再発乳がんの治療として、パクリタキセル8クール目に入りました。治療当初は6クールと聞いていましたが、効果が出ているため、8クール実施することになりました。現在8クール目で白血球の値が800と低下したため、2週休むことになりました。母は8クールで終わるものを思っていましたが、主治医曰く、「こんなに効いているし、体調と相談しながら1年くらいやろうか。今度再発したら今の抗がん剤は使えなくなるから、効果が出ているうちに徹底的に治療しよう。」と言われ、母共々、困惑しています。抗がん剤は体には毒であり、今後、過剰な治療による副作用がとても心配です。先生はこのような治療方針についてどのように思われますか?現在の日本および世界における再発乳癌に対する抗がん剤の使用方法について、どのような方法が一般的・主流なのでしょうか?詳しく教えていただければ幸いです。また、今後ガンが再燃してきた場合、どのような治療方法(抗がん剤)があるのでしょうか。教えてください。よろしくお願いいたします。

一般的に、一度抗癌剤を開始した場合、副作用が強く出るか、ガンが再増殖してこなければ継続して投与していきます。ガンが完全に消滅してしまった場合は、消滅してから半年から2年間にわたって「地固め」としての抗がん剤を投与することもあります。しかし、基本的に抗癌剤は体にとっては「毒」なので、投与量・投与間隔については主治医と相談しながら決めなければなりません。一般に、術後化学療法はエビデンスに基づいた投与方法が決まっていますが、再発乳がん、特に治療期間が6ヶ月を越えてくるような場合では、「主流」と言われる投与方法は決まっていません。前回、私が2月22日に回答したように、再発乳がんとの付き合いは長期戦になることが多いので、主治医とのコミュニケーションを大切にしながら、体に無理がないように治療を続けていくようにしてください。(文責 千島)

 

No.1896】 03年10月07日 M.M.
右胸のしこり

私は、46才の主婦です。2週間ほど前に右胸にしこりが見つかり2センチほどあり、超音波検査をしたところ、しこりの後ろにも黒い影がありました。先生は良性のもので乳腺のう胞といわれました(外科にいきました)。念のため細胞検査もしましょうということで、検査をしているときに液体も出てきたので、これが中身だということでぬいていただきました。しかししこりは小さくなったのですが、まだ気になります。検査の結果は2でした。良性だといわれました。痛みはありません。相談室のメールで切除された方がいらっしゃるのをみて私の場合はいいのでしょうか。お忙しい所申し訳ありません。よろしくお願いいたします。

乳腺のう胞の場合、穿刺して内容液を抜き取っても「しこり」が完全に消えなかったり、しばらくすると液体が再貯留してくる場合をしばしば認めます。貴女の場合は、細胞診で良性の細胞しか見つかっていないので、しばらくの間は経過観察で良いと思います。今後の定期検査で、のう胞が再び膨らんでくるような場合(数cm程度)は、再度内容液を抜いてもらうようにしてください。また、経過観察中にのう胞内にポリープ状の盛り上がりを認めるような場合、もしくは内容液の検査でV、W、Xの細胞を認める場合には、のう胞内乳頭腫やのう胞内乳がんの可能性も否定できないので、外科的切除が必要になってきます。(文責 千島)

 

No.1895】 03年10月07日 M.I.
ノルバデックス服用中の不正出血について

2002年3月10日に温存手術を受けました。Ubでした。リンパ節を15個取り、3個に転移がありました。術後の補助療法としてリュープリンとノルバデックスを服用。1年(12回)打ち、年齢的にも(49歳)閉経していると思われ、リュープリンをやめ、現在はノルバデックスだけです。9月5日に開業医で子宮体癌の検査を受け、『要再検査』で、9月17日にもう一度検査を受けました。担当医師のおっしゃるとおり、当日少し出血がみられたのですが、翌日にはおさまりました。ところが、9月20日午後から出血が始まり、様子をみていたのですが、おさまりそうも無いので、21日総合病院で急患として診察を受けました。その医師の説明では、子宮内膜が厚くなっているための出血だそうです。内膜を「ソウハ」し、抗生物質と止血剤を4日間服用。出血は25日におさまりました。今回の不正出血の原因は、やはりノルバデックスの服用でしょうか?あと3年半飲むことになっているのですが、これからも起こりうることなのでしょうか?その時の対処法は?子宮癌の検査結果は今回は異常なしでした。 

ホルモン治療中の出血にはいくつかの原因が考えられます。まず一つ目はリュープリンを中止したことによる月経の再来です。確かに貴女の年齢を考慮すると、そろそろ自然閉経をしてもおかしくはないのですが、40歳以上の方でも一部の症例では、リュープリン中止後6ヶ月くらいをめどにして、月経の再来を認めることがあります。今後も周期的に月経が来るようならば、再度リュープリンを投与して月経を止めるということも、治療の選択肢の一つです。もう一つの出血原因としては、ノルバデックスによる子宮内膜刺激作用です。ノルバデックスに代表する抗エストロゲン剤(タモキシフェン)は、乳がん細胞に対してはエストロゲン(乳がんの栄養になる女性ホルモン)に拮抗しますが、子宮内膜に対してはエストロゲン様に作用しますので、子宮内膜の肥厚を認めても不思議ではありません。今回の子宮内膜検査では異常がなかったようですが、タモキシフェン服用(5年間)患者の約1%で子宮体癌の発生が見られるとも言われているので、6ヶ月から1年に一度は子宮内膜の定期検査を受けるようにしてください。(文責 千島)

 

No.1894】 03年10月06日 H.M.
右胸内側のしこりについて

はじめまして。私は25歳のOLです。今年3月頃、偶然、右胸の内側にしこりがあるのを発見しました。症状としては、痛みがなく、触るとはっきりとわかり、動きます。大きさとしてはそれほど大きくはないと思います。人差し指か中指の爪ぐらいでしょうか。普通の状態(手を下げている状態)よりも手を上に上げた時の方が、しこりがあるとわかります。思い過ごしかもしれませんが、生理前の胸の張っている時の方が、しこりがほんの少し大きくなるような気がします。発見した時は、「乳がんかも」と思い、すぐに病院へ行きました。ただ、何科へ行ったら良いのかわからず、乳がん検診を行っている婦人科へ行きました。病院では、まずベットに寝て先生の触診がありました。私としては、「触るとはっきりとわかる」と思っていましたが、先生の触る場所と、しこりの位置のある場所が違った為、私が「ここです」といって見てもらったようなかたちです。しこりを触った先生は、超音波でそのしこりをみましたが、「ホントだ。何かあるねぇ。でも悪いものじゃないよ。」といい、「こういうのは気にすると大きくなる可能性があるから、あんまり気にしないで」といいました。また、その時の私が生理の直後ということもあり、1週間後に再度来るように言われました。1週間後、再度病院へ行き診察室に入ると、イスに腰を下ろす前に、「まだ気になるかい?」と聞かれました。私が「悪いものでなければいいのですが・・・」というと、「悪いものじゃないから、あんまり気にせずに様子をみてごらん。あなたがどうしても気になるというのであれば、外科で写真を撮ってもらうのでもいいけど、心配いらないよ。もし、今後大きくなったり、痛くなるようなことがあったら、また来て。そしたら病院を紹介するから。」と言われました。結局、2回目に病院に行った時は、診察室のイスにも座らず、上記のような会話で終わり、診察代もタダでした。
私としては、悪いもの(乳がんなど)ではなければいいのですが、最近では、しこりがあって病院に行っても、医師の誤診によって乳がんの発見が遅れたというようなケースが増えているというような話をよく耳にします。そのような記事やニュースを耳にするたび、私の母は「あなたも乳がんじゃないのか」としつこく言ってきます。3月に病院に行った時は「乳がんかも」と思って行ったので、マンモグラフィーや針を刺して細胞を調べるといったような一般的な検査を受けていないため、余計に気になるのかもしれません。超音波の検査だけで本当に悪いものではないとわかるのでしょうか?また、私も乳がんなのでしょうか?よろしくお願いします。

「乳房のしこり」はすべてが治療の対象になるわけではありません。もちろん「悪性のしこり=がん」である場合は早急に手術が必要になりますが、「良性のしこり」の場合は治療の対象にならないものも多く含まれます。月経前に大きくなりやすい「しこり」には、乳腺症などの「良性のしこり」の場合が多く、「悪性のしこり」は月経周期によって大きさは変化しません。貴女の年齢を考えると、乳腺線維腺腫などの「良性のしこり」も考えられます。この場合も、3cm以上になったり、痛みを生じる場合には切除の対象になりますが、早急に手術を必要とするようなしこりではありません。問題は、貴女が自覚している「しこり」の質が良性なのか、悪性なのかということになります。質問の内容から推察するに、超音波で描出される「しこり」には良性としての所見の特徴が見られるようです。乳癌の診断に熟知している医師ならば、超音波所見のみで2〜3ヶ月の経過観察にすることもありますが、原則的には貴女もおっしゃるようにマンモグラフィや細胞診による追加検査が必要になると思います。もし今回の診断で納得いかないことがあるのならば、もう一度主治医の先生に検査結果の説明を受けるようにしてください。それでも主治医の説明に納得できないようであれば、改めて主治医から他の病院(外科)を紹介してもらうようにしてください。
診断・治療の過程で一番大切なのは、医師と患者の信頼関係であると思います。もちろん医師は患者に納得してもらえる説明をする義務があります。その一方で、医師からの説明がわからなかった場合には、患者が医師に質問する義務もあるのではないかと思っています。医師からの説明内容がわからないまま家に帰り、病気への不安が医師への不信に変わっていき、最終的には主治医に無断で病院を換える。実際の医療現場ではこのようなことが日常茶飯事に起こっています。しかし、このようなことの繰り返しは患者にとっても医師にとってもマイナスになります。不明瞭であった部分をもう一度説明してもらう。この極めて自然な形のコミュニケーションが、どうして医療現場では難しいのでしょうか?「医師は怖いもの」、「患者は従うもの」。そんな誤解が医療の現場にはまだまだ残っているのかも知れません。また、患者自身も診察室の中では気が動転しているため、「本当のこと」を知るのが怖く、不明瞭な部分は「うやむや」にしておきたいと考えるのかもしれません。もう少しだけ「患者-医師間のコミュニケーション」を進めることが出来れば、医師は自分の説明のどこが不明瞭だったのか学ぶことが出来るし、患者も不必要な不安に悩む必要はないと思います。経済的にも、不必要に病院を渡り歩くということは、いくつもの病院で初診料を取られ、不必要な検査を繰り返し受けて散財する結果になるのです。決して都会の大病院や大学病院が優れているわけではありません。医師と患者の信頼関係を保つことが出来れば、質の良い医療を受けることが出来るのだと思います。新聞報道で騒がれている内容も、「誤診」、「見落とし」という文字だけが強調されて目に入ってきますが、「患者-医師間のコミュニケーション」をもう少しだけ進めていれば、不安なまま時間だけを浪費するのではなく、適切な時期に適切な対処(専門医の紹介も含め)を受けることが出来ていたような気がします。「患者-医師間のコミュニケーション」は、決して一方通行でありません。患者側からも積極的にコミュニケーションをとるようにしてください。そこで初めて医師と患者の信頼関係が生まれてくるのだと思います。(文責 千島)

 

No.1893】 03年10月06日 A 
乳頭の異常について

30歳既婚です。小さい頃からアトピーで悩んできましたが、数年前から乳首の痒みがひどく、じくじくした状態が続いて、市販の軟膏などを塗って治療してきました。ある日ふと気づくと右胸の乳頭の母乳をあげる為の所がふさがってしまったようなんですが・・・。左胸からは今も掻きすぎると分泌液が出てきますが、右胸は痒みは前と変わらないのですが、分泌液は出ません。そろそろ子供が欲しいと考えていますが、母乳をあげることができないのでしょうか?8月に乳がん検診を受けた時は異常はありませんでした。よろしくお願いします。

通常、乳頭には母乳をあげるための管が18から20本ほど開口していますが、授乳期もしくは乳頭分泌物が多くない限りは、なかなか肉眼で確認するのは困難です。貴女が言う「母乳をあげるための所」が乳頭全体のことだとすれば、陥没乳頭になってしまったということでしょうか?乳頭が多少凹んでしまっていても、授乳のための陥没乳頭矯正法(Hoffman法やブレストシールド)もあり、助産師さんに相談すれば、うまく授乳する方法を教えてもらえますので安心してください。ちなみに、乳頭を掻き壊した時に出てくるような分泌物は、乳腺からの分泌物ではなく、引っ掻いたために皮膚が「ただれた」ところからしみ出て来る体液の一部と思われます。そのような場合は、乳腺自体が持っている母乳の分泌能力とは全く関係ないので安心してください。(文責 千島)
 

 

No.1892】 03年10月04日 F.M.
骨転移の治療について

初めてご相談します。平成6年3月に手術しました。ステージ2、脇のリンパ18のうち3個転移がありました。放射線治療と、飲み薬 (ホルモン剤と抗がん剤)を2年服用しました。今年1月骨シンチで胸骨と恥骨に影があり、5月に再検査(骨シンチ)で恥骨は消えていたのですが胸骨に影があり、とりあえずアリミデックスを飲みはじめ様子を見ましたが、3ヶ月後の腫瘍マーカーが下がらず、 CEA 5.1 、CA15-3  5.1でしたので、CT検査をしましたところ、やはり骨転移ということで、現在放射線とアリミデックスとフルツロンを服用しています。10年目の転移なので、そんなに進行の早くはないと先生は言われますが、とても心配です。その他のところ、たとえば肺、肝臓などは今のところは転移は無いということです。ご相談ですが、この様な患者には、標準的にどのような治療がなされているのでしょうか?

測定法によっても異なりますが、CEA:5.1 CA15-3:5.1は異常高値というほどではないと思います。骨シンチでの恥骨の所見は自然消滅しているようなので、胸骨についてもMRI等の検査を用いた「転移の確認」が必要であると思います。骨シンチ以外の検査でも「転移陽性」との審判がくだった時には治療を開始しますが、 主治医がおっしゃったように、10年目で再発した乳癌は急激に悪化することは少ないと考えられています。貴女のような場合は、初めは内服薬の治療、特に10年前に切除した乳癌のホルモンレセプターが陽性の場合では、ホルモン剤を用いた治療から開始します。閉経から数年経過している場合は、アロマターゼ阻害剤(アリミデックスを含む)という新しいホルモン剤を用いることが多くなっています。効果が継続している間は現在の治療を続け、効果が弱くなった時点で他のホルモン剤、例えば他のアロマターゼ阻害剤や、タモキシフェン、プロゲスレトン製剤などに変更して治療を続けていきます。不幸にして肝臓や肺などに多数の転移が出現してきてしまった場合には、点滴の抗癌剤が適応となります。別に乳癌細胞が「毒素」を出すわけではないので、一ヶ所の骨転移ならば命に関わることはありません。現時点で、いきなり点滴の抗癌剤などを用いて無理に乳癌細胞を退治しようとするのではなく、長期計画で「うまく乳癌と共存する方法」を考えるようにしてください。(文責 千島)
 

 

No.1891-1】 03年10月04日 
お乳の不安

33才の主婦です。2歳半になる子供が一人います。5年ほど前に右の乳房にしこりを感じ総合病院の外科で診ていただいたところ、『乳腺症』と診断されました。その時にも言われたのですが、私のお乳は左右とも沢山のしこりのような物が点在し、「自己診断は無理でしょう」と言われました。先生が言われるには「医者泣かせのお乳」だそうです。一年に一回、超音波での検査をしていただいています。今とても不安になっている事がいくつかありますので、教えていただければ光栄です。
1) 子供を7ヶ月まで母乳で育てたのですが、未だにお乳(?)らしき物がでる。(両乳)
2) 乳首のすぐ下にしわができ、乳首が下を向いている。(両乳)
3) 乳腺症・線維腺腫と診断されたしこりが増え続けている。(両乳)
4) 乳首が痒く、褐色(焦げ茶色)のようなねばっとした皮膚のような物が剥ける(両乳)

以上です。ちなみに乳首の下のしわ以外の質問は、いつもお伺いしている病院で(診ていただいた先生は違います)聞いてみました。「様子を見て」とのことでした。今まで両乳に同じ症状があればまず両乳のガンはあり得ないと思っていたため軽視していましたが、こちらの相談されている方たちの文章を見て、両乳のガンや多発のガンはあることだと知り、不安が増してしまいました。お忙しいとは思いますが、何卒宜しくお願いいたします。

1) 断乳しても数年間は「薄い母乳様の分泌物」を認める場合があります。貴女の場合は両側乳頭から分泌が見られるようなので、まず心配ないと思います。
2) 乳癌による乳頭の引き連れは、患側の乳頭のみで起きてきます。左右の乳房が対照的に乳癌に侵される可能性は極めて低いと思います。もし気になるようならば、もう一度乳腺専門医の診察を受けてみてください。
3) 乳腺症や線維腺腫は、卵巣からの女性ホルモンの分泌が低下する閉経期まで大きくなることがありますが、閉経後は不変、もしくは縮小傾向を認めるのが普通です。貴女の場合は33歳なので、「しこり」が増えても不思議ではありません。ただし、決して乳癌のない年齢層ではないので、普段と明らかに異なるしこりを発見した時には、早めに診察を受けるようにしてください。
4) 乳頭からの分泌物がある場合、その分泌物が乾燥したり、古くなったりしてくると、「褐色のねばっとした皮膚のような物」として見えます。これらに細菌がつくと乳腺炎の原因になりかねないので、入浴時などに乳頭の手入れをするように心がけてください。(文責 千島)

 

No.1891-2】 03年10月07日 
お乳の不安(2)

先日はお忙しい中、丁寧なご回答を本当にありがとうございました。前回のメールを送った後で右の乳首のしわが若干多いのと、乳輪の下の方にしこりのような物を指で感じました。ですが、それが乳腺なのかよくわかりません。私の場合、乳腺症・線維腺腫・のう胞とごつごつしていて自己診断がつかないため、病院に行かなければならないことはわかっています。ですが、こちらのホームページを診ていると、のう胞や線維腺腫の診断も細胞を取ったり内容物をとって調べたりされていますが、私はそういう診断は一度もありません。しこりが小さいからかも知れませんが、超音波と触診のみの診断です。超音波の検査でどれだけのことがわかるのか私にはわかりませんが、信用しても大丈夫かと思っています。前記述にも述べたとおり、私の周りの病院はすべて外科で乳ガンの検査などを行っているため、『乳腺専門外来』等がありません。主治医の先生を信用しなければならないことはわかっていますが、超音波で良性・悪性(とくにのう胞について)はわかるのでしょうか?何度も申し訳ありません。宜しくお願いいたします。

乳腺のう胞を診断するには超音波検査が一番確実です。乳がんや線維腺腫のような「細胞が詰まっているしこりは超音波を反射するため、しこりとして描出されますが、のう胞のような「中身が水分のしこり」では、超音波が素通りしてしまうため、しこりとしてではなく黒いスペースとして描出されます。通常、のう胞が数cmに膨れ上がるときには、針でのう胞内を吸引して細胞を調べることもあります。また、稀にのう胞の中に乳がんが出来てくることもありますが、多くの場合、超音波で診断がつきます。もし、のう胞内乳がんを疑うような所見があれば、細胞診・生検等で診断をつける必要があるのは言うまでもありません。(文責 千島)

 

No.1890】 03年10月04日 K.T.
乳輪下膿瘍(4)  (HPNo.1774-4)

二週間ぶりの診察でしこりの大きさはあまり変わりなく、膿が出ていた場所を再度切開しフィルターを深めに指しこむ処置をしました。少し膿が出たそうです。しこりは和らいでいるようですが、切開後4日経っても出血の量が多く、フィルターの周囲にレバー状に血液が凝固し自己消毒がとてもやりづらいです。見えにくい部位でもあるのでフィルター口に付着したレバー状の血液は放置したまま消毒→ガーゼ貼付処置でもいいのでしょうか。毎日通院して消毒してもらえばいいのですが、休診日になるためそのような状態でいることが不安です。教えてください。

フィルター出口付近についたレバー状の血液は、可能な限り綿棒などで除去するようにしたほうが良いと思います。除去することによって再出血するようならば、皮膚切開部からの出血が考えられますので、ガーゼの上から圧迫していていれば自然に止血します。(文責 千島)

 

No.1889】 03年10月04日 R.N.
腫瘍マーカーの上昇について

2001年1月に右乳房を全摘しました(当時39歳)。病理結果は、乳頭腺管癌、腫瘍径1.0cm×1.1cm、リンパ節転移なし、ER(+)、PgR(−)、リンパ管浸襲(2+)、血管浸襲(1+)、核異型度(グレード1)、Her-2(1+)です。ゾラデックス注射を7回行った後、転院先でノルバデックスに変更になりました。今年の4月から私の希望で腫瘍マーカーにNCC-ST-439を加えたところ、4月49.6→6月88.6→8月87.0と正常値を上回っています。他のマーカーは9月現在は、CEA 4.9、CA15-3 16、1コラーゲン 3.6で、正常範囲内です。7月に肝エコー、8月に胸部CTと骨シンチ、9月に健側のマンモグラフィーを行いましたが、異常はないということです。他に何か検査をした方がよいのでしょうか。それともこのまま経過観察だけでよいのでしょうか。NCCの数値だけが上昇した場合でも、再発転移の可能性は確実にあるのでしょうか。ご回答よろしくお願いいたします。

血清腫瘍マーカー測定は、再発の早期診断と再発後の治療効果判定を目的に行われていますが、残念ながら乳癌治療領域においては、前立腺癌におけるPSAのような決定的な腫瘍マーカーは発見されていません。米国臨床腫瘍学会のガイドラインでも、乳癌腫瘍マーカーとして評価されているのはCEAとCA15-3のみです。比較的乳癌で感度の高いといわれるCA15-3ですら、その感度は必ずしも十分でなく、乳癌再発症例の50〜70%程度でしか上昇しません。今回問題になっているNCC-ST-439は乳癌以外でも膵癌、胆道・胆管癌、肝癌、直腸・結腸癌、肺癌等で上昇する可能性があり、乳癌に対する特異性は決して高くありません。腫瘍マーカー(比較的乳癌に有用であるCEAとCA15-3の場合)が上昇した場合、4週間後の変化率で20%以上上昇している時には、乳癌の再発を考慮します。貴女の場合は、6月から8月にかけてはやや低下傾向にあり、主治医も肝、肺、骨の3大遠隔転移臓器を検査しているようなので、NCC-ST-439の値が再発を反映しているかどうかの判断は難しいところです。今後の検査としては、PETという新しい放射線検査を行えば、体のどこかにある1cm程度の再発部位を発見できる可能性があります。ただし、この装置を備えている医療機関は極めて限られているので、検査を希望する場合は主治医に相談するのがよろしいと思います。(文責 千島)

 

No.1888-1】 03年10月03日 s.s 
乳首のできものについて

はじめまして。27歳、妊娠の経験はありません。現在生理3日目です。胸について気になる事がありましてご相談させていただきます。昨日、左の乳首に1mmあるかないかくらいの小さいできものを発見しました。かさぶたのような色なのでとれるかと思いましたが、痛くてとれません。生理前は左がかゆくなったり、ヒリヒリする事もあります。もともと左右比べると左が大きく、気にし過ぎる為か、左になんとなく痛みやしこりを感じ、1,2年前に乳腺科を受診しましたが、異常ありませんでした。とても気になります。また病院へ行くべきでしょうか?行くとしたら何科へ行くべきでしょうか?お願い致します。

月経前にはプロゲステロンという女性ホルモンが体内で増加します。この影響で「乳首が痒い」という症状を訴える女性も少なくありません。これは病気ではないので心配ありません。このような場合、しばしば乳頭を掻き壊してしまい、乳頭から出血したりかさぶたを作ったりすることがあります。貴女の場合も、しばらく経過を観察して「かさぶたのようなもの」がなくならない時は、一度大きな病院の外科(願わくば乳腺外科)を受診するようにしてください。(文責 千島)

 

No.1888-2】 04年06月16日 s.s 
乳首からの血性分泌

遅くなりましたが、ご回答ありがとうございました。しばらく様子を見てとの事でしたが、妊娠を希望していた事もあり、その後すぐ、乳腺専門の病院にて触診とマンモグラフィ−にて検査をしました。結果、異常はなかったのですが、最近また気になる事があったので相談させて下さい。
現在、妊娠9ヶ月です。6ヶ月頃から たまに乳汁(?)が出ています。色はその時々で違って、白だったり黄だったり,透明だったりです。ところが2,3日前 左の乳首から透明に少量の血液っぽいものが混じって出てきました。翌日も恐る恐る見てみましたが、混じっている気がする…くらいの量で、昨日は白と透明しか出ませんでした。本などでも 妊娠中に分泌物が出る事はあると書いてあるのですが、血液が混じったりという事もあるのでしょうか?それとも、何か病気が疑われるのでしょうか?妊娠直前の検査では異常なかったとは言え、以前から気にしていた左胸だったので心配です。ぜひ、母乳で育てたいと思っているのですが…。次回の検診で産婦人科でも聞いてみようと思うのですが、少し時間があります。教えて下さい。よろしくお願い致します。

初乳については、血液が混じることがありますが、悪いものではありません。自然に消失するはずですので、心配はないと思います。次回検診時に産婦人科で確認してください。(文責 須田)

 

No.1887】 03年10月03日 T.U
右脇にしこりがあります

最近気付いたのですが、右脇にしこりがあります。大きさは2cmくらいで、押したり、つまんだりすると少し痛みを感じます。とても不安です。乳癌の可能性などはあるのでしょうか?私は29歳の女性です。

29歳でも乳癌の可能性はあります。急激に出来てきた「しこり」ならば、炎症などによるものの可能性もありますが、縮小傾向のない「しこり」ならば乳腺外科で診察を受けるようにしてください。(文責 千島)

 

No.1886】 03年10月03日 MK
生検後の痛み

54歳です。左脇下にころころ動くしこりができ、昨年6月に生検で2センチ位のしこりを摘出しました。結果は脂肪肉芽腫で、腫瘍ではないとのことで安心したのですが、1年たった今も、傷跡を押すと奥のほうにかなりの痛みがあります。皮膚に炎症はありません。今年の4月に先生に見てもらったのですが、「手術した奥がくっついていたのが、はがれたりしているのだろう。心配ない」と言われ、マンモも「来年で良いでしょう。」とのことでした。痛みに敏感なのかもしれませんが、こういった痛みは普通にあるものなのでしょうか?よろしくお答えください。

乳腺や腋窩(わきの下)の生検後に疼痛を訴える患者さんは少なくありません。生検部分は術後に炎症を起こして「しこり」を形成します。通常は半年くらいで、その「しこり」は吸収されて消失しますが、時として瘢痕組織を形成して慢性の疼痛の原因となります。特に腋窩は神経・血管が入り組んでいる場所なので、生検部の深さ・大きさ次第では慢性疼痛が残っても不思議ではありません。我慢できる範囲の痛みならば、もうしばらく経過を観察しても良いと思います。(文責 千島)

 

No.1885】 03年10月03日 KM 
胸のしこりについて

30歳、今年8月に初めて出産し、現在授乳中です(母乳1〜2、ミルク8〜9の割合)。1週間ほど前に、左乳房上方内側に、指で押すと痛みのようなものを感じ、腕を挙げ触れてみると、丸いしこりのようなものに気付きました(腕を挙げると位置が上方にずれます)。そこで昨日乳腺外科に行き、触診、エコーを行い、画像によると「確かに何かある」とのことで、さらにエコー下細胞診も行いました。採取したものの外見が「乳汁の塊のようなもので、おそらくガンの可能性は低いだろう」と言われましたが、1週間後に検査結果を聞くために再度受診予定です。お伺いしたいのは、
1) この時点でははっきり言われませんでしたが、エコーでは腫瘤か乳汁かの区別はつかないものなのでしょうか?
2) 結果が良性の場合でも、この時点でセカンドオピニオンを聞いたほうがよいのでしょうか?
3) 経過観察はどのくらいの頻度で行うとよいのでしょうか?
4) 授乳が終わったらきちんと検査を受けたほうがよいと言われましたが、早めに断乳をし、検査を行ったほうがよいのでしょうか?
私の母が閉経前に乳がん、甲状腺がんを患っており、家系にもがんの者が多いことから、いつかは自分も…と心配しています。子どもも幼い事により、早くはっきりさせたい気持ちが強いです。長くなりましたが、よろしくお願いいたします。

乳腺内に乳汁がうっ滞すると乳瘤という「ミルクの塊」を形成します。乳瘤は、乳腺症でよく認める「のう胞」という水の溜りとは異なり、ミルク自体がドロドロとしているため、超音波検査でも腫瘍と勘違いされることがしばしばあります。多くの場合、穿刺により内容物を吸引すると「しこり」は消失してしまいます。貴女の場合も内容物として乳汁が確認されているので、まず乳瘤で間違いないと思います。乳瘤は再発することもありますが、本当の意味での「しこり」ではないので、乳房マッサージなどをしていると自然に消失してしまうこともあります。増大傾向がないようならば定期的な観察は必要ありません。いずれにしても、授乳期乳腺内の「しこり」は超音波、マンモグラフィ、触診のいずれの方法でも発見しにくいので、授乳が終わって乳腺がしぼんだ頃に、一度精密検査を受けておく方が良いと思います。細胞診の結果を聞く時に、主治医から十分な説明を受けることが出来れば、セカンドオピニオンの必要はないと思います。(文責 千島)

 

No.1884】 03年10月03日 momo  
乳癌手術後の授乳について

大阪で新生児訪問をしている助産師です。昨日、訪問したケースですが、乳癌op後(乳房温存されてます)3年で出産、産後10日です。健側の乳房は状態も良く乳汁分泌も良好でトラブルもありません。患側は妊娠中から乳房の発達もほとんどなく小さいままで、分泌も殆ど無い為、健側だけで授乳されています。このまま健側だけで授乳し続けていれば良いのでしょうか?授乳をしなくとも乳腺が残っているという事は乳汁分泌されているという事で、それを出さないことで患側の乳腺炎のリスクが上がったり、乳癌再発のリスクが上がると言う事はないのでしょうか・・・?乳癌の話をされた時、思わず涙ぐんでいたのですが、ガンを乗り越え笑顔で育児されているのを見ると、ほっとした気持ちになりますが、自分自身の勉強不足で正しく詳しい情報提供が出来ず検索してみているのですが、乳癌手術後の授乳について詳しく記載されている物が少なくメールさせていただきました。参考になる情報をお持ちでしたら教えてください。よろしくお願いします。

乳房温存術後の母乳分泌については、手術で切除した乳腺量、切除部位によっても異なってきます。今回のケースでは、健側乳房に比して、患側乳房の発達は見られていないとのことなので、乳汁自体の分泌がない、もしくは少ないのだと思います。乳腺組織は外側上部1/4(専門的にはC領域と表現します)に多く存在しているので、この部分を切除されている場合には、出産後の乳汁分泌はかなり制限されても不思議ではありません。心配なのは乳汁分泌を認めるにもかかわらず、手術による乳管の離断により乳頭から排出されない時で、このよう場合は乳腺炎を起こす可能性が高くなります。今回のケースでも、温存術側の乳房に乳腺炎を発症することがあるようならば、断乳が必要になる可能性があります。患側乳房での乳汁分泌が疑われる場合は、coolingなどで患側の乳汁分泌を抑えながら乳腺炎を予防するようにしてください。健側乳房に関しては、授乳を続けても問題ないと思います。授乳をすることによって、残存乳房再発のリスクが上がることはないと思います。(文責 千島)

 

No.1883】 03年10月01日 H.T 
妊娠中のしこり

突然で申し訳ないのですが、気になることがあったので、メールさせて頂きました。私は31歳で、一人目の子供を妊娠中(妊娠7ヶ月)なのですが、2週間くらい前に、脇の下に1cmくらいのしこりを発見しました。そのままにしておいたら、今日、何となく大きくなっていたような気がしたのです。母親が60歳の時に乳がんになっているので、私もなるかも知れないと不安なのですが、妊娠中は脇の下にしこりが生じ易いのでしょうか?ちなみに、胸にはしこりは感じられません。よろしければ、ご回答お願い申し上げます。

直接診察していないので、はっきりしたことは申し上げられませんが、妊娠と関係がある「腋の下のしこり」ということになると、腋窩リンパ節の腫脹以外に副乳が考えられます。動物(例えば犬、猫)には乳腺がたくさんありますが、人間の場合は一般には一対です。しかし、人間も動物ですから、先祖帰りして、それ以外に乳腺が多く出現することがあり、これを副乳といいます。腋窩に見られることが多いのですが、妊娠時にはこれが発達して大きくなり、固くしこりとして触知することがあります。とりあえず産科の受診時に、相談なさってください。(文責 須田)

 

No.1882】 03年10月01日 TE
乳腺専門の開業医

このような、相談はいかがなものかと思いましたが、わらにもすがる思いでメールします。ダメな場合は申し訳ありません。
義妹(33歳)が今年の3月乳癌(リンパ節転移なし)でOPEをしました(川崎市住在)。子供が幼いため、故郷の石川県にてOPEをし、乳房切除、化学療法を行いました。先月、自宅に戻ったのですが、知人の紹介で行った総合病院は乳癌患者が多く、「定期検査のみにして、もっと自宅から近い開業医などで薬や注射をうけたらどうか」と言われたそうです。ただ、弟夫婦は転勤族で地元ではないため、開業医といっても皆目検討がつきません。その総合病院では、医院や病院の紹介はしてくれなかったそうです。インターネットで随分検索してみたのですが、乳腺を専門としていた先生の医院がさがせません。もちろん、一般外科ご出身の先生でもいいとは思うのですが、心情としては乳腺をみていた先生を探したく思います。大変失礼な物言いで申し訳ないのですが、OPEをよその病院でし、フォローだけの患者はあまり歓迎されないものなのでしょうか・・・。 義妹の自宅は武蔵小金駅近辺です。多少遠くてもかまわないのですが、専門の開業医さんを紹介というのは無理でしょうか・・・。本当にすみません。よろしくお願いいたします。

手術を受けた石川県の病院では、東京、川崎付近の病院に不案内と思われますが、元の主治医にいただいた、これまでの治療経過を書いた紹介状を持参すれば、どこの病院でもスムーズに事が運ぶはずです。患者さんの事情も様々ですし、ope と follow を別の病院で行うということは日常的に経験することですので、あまり神経質になる必要はないと思います。
乳腺専門の開業医をということですが、申し訳ありませんが、よくわかりません。待ち時間さえ気にならなければ、どの総合病院でも受け入れてくれるはずです。乳腺専門医がいる施設は、「乳癌検診学会」のHPでも紹介されていますので、参考にしてください。(文責 須田)

 

No.1881】 03年10月01日 T 
生理について

抗癌剤で閉経してしまいましたが、戻るのならば、統計的にはどの位の期間で戻るのでしょうか?個人差はあるとは、思いますが、教えてください。年齢は37歳です。

抗癌剤による卵巣機能抑制についてですが、直接卵巣に作用して、原始卵胞、および初期発育卵胞を崩壊・消失させることによって卵巣機能を阻害すると考えられています。この卵巣機能抑制の程度は、抗癌剤の種類、総投与量、年齢等によって異なりますが、報告例の多い薬剤としては、シクロホスファミド(エンドキサン)、シスプラチン(プリプラチン)があります。例えばCMF療法を施行した場合、40歳未満では31%、40歳以上では61%が閉経したと報告されています。抗がん剤の総投与量は卵巣機能障害の重要な因子であると考えられていますが、個体差が大きく、ほとんどの薬剤で危険量は不明です。更に年齢も関係してきますが、術後CMF療法を施行した場合、40歳未満の患者さんが無月経となるまでに平均4、5ヶ月かかるのに対して、40歳以上では平均2、3ヶ月とされています。また、若年者ほど卵巣機能障害を受けにくく、40歳以上では、しばしば永久的な無月経に陥ります。
卵巣機能回復に関しても、抗癌剤の種類、投与量、年齢によって異なり、特に年齢が重要な因子であると考えられており、年齢が若いほど、月経の回復する可能性が増します。(文責 須田)

 

No.1880】 03年10月01日 M.Y.
経過観察 (HPNo.1793-2)

以前、No.1793で相談させて頂いた者です。その後、しこりの大きさなどは変化がない様なのですが、時折、右胸が全体的に張っているような感覚があります。(母乳は止まっているのですが、以前断乳中に母乳を溜めていた時に似たような感覚もします) 特に、夕方など疲れている時に感じるようです。 2週間ほど前に、出産後はじめての生理がきました。生理が終わったら治まるかな?と思ったのですが、その後もやはり違和感を覚えるので、前回行った病院を念の為受診しました。触診のみだったのですが、「右胸に新たなしこりなどはできていないし、やはり3ヶ月後に再診、ということで良いでしょう、ただし乳頭からの分泌物や新たなしこりがあれば来て下さい。」と言われました。しこりの良性・悪性が決定できていないので心配なのですが、現在の胸の違和感はホルモンか何かの関係からくるものなのでしょうか?

メールを拝見する限り、腫瘤の大きさに変化がないこと、新しいしこりがないこと等により、私も主治医のおっしゃる「3ヵ月後に再診」でよいと思います。おそらく良性の腫瘍(線維腺腫、又は葉状腫瘍)であり、「胸の違和感」は、月経周期に伴うものだと思います。
ただし、前回の細胞診で Class V だったこと、現在2cmの腫瘤があること、年齢が29歳であること、そしてあなた自身の精神状態等を総合的に考えると、組織診断を行って、現時点で診断を確定する方法を選択することもやむを得ないかもしれません。あなた自身の心配の程度を主治医に相談し、一番良いと思われる方法を選択してください。(文責 須田)

 

No.1879】 03年10月01日 りゅう
乳腺のう胞について

初めてメールさせて頂きます。私は33歳です。今回「乳腺のう胞」についてお尋ねします。6月に会社の健康診断を行い、超音波で乳がん検査を受けました。結果は「乳腺のう胞の疑い」という事で、全体の結果は、「乳腺に軽度の異常がみられますが、心配ありません。毎年検診を受けましょう。」でした。あまり気にもしていなかったのですが、先週くらいから、右胸の横、脇の下あたりが痛み、胸がはっているような気がします。左胸も少しそんな感じです。しこりなどはありません。生理の予定はまだです。
@ 乳腺のう胞は、ほおっておくと癌になるんでしょうか。
A 超音波で乳腺のう胞と結果が出たのですが、それが癌だったりとかする事があるのでしょうか。
B 今の痛みは、やはり乳腺のう胞によるものでしょうか?
質問ばかりで申し訳ありません。どうぞ宜しくお願い致します。

@ のう胞のある群と、正常な乳腺の群を比較すると、のう胞群の方が乳癌発生率が高いということになっています。のう胞が直接癌になるということではありませんが、のう胞がある場合は、継続的な診察を受けて、followを行ってください。
A のう胞と癌とは大部分は超音波で区別がつきますが、画像上、稀に判別できない場合もあります。
B 痛みとのう胞とは直接関係はありません。月経周期に伴う痛みだと思います。(文責 須田)

 

No.1878】 03年10月01日 M.S. 
術後の補助療法について(HPNo.1848-2)

1848でお世話になった者です。主治医と話し合った結果、勧められた手術を受けることにしました。さて、術後の補助療法ですが、もし、抗癌剤治療を行う場合、前回のCAFをまた行って効果はあるのでしょうか。現在、フルツロンを服用しているにも関わらず新たな癌ができたというのは、同じ内容で抗癌剤治療をしても意味があるのか、疑問に感じています。その点を主治医に確認しましたが、「問題ないと思う」ということでした。まだ、病理の結果が全部わかっていないそうで、浸潤癌ということ以外の情報はないのですが、アドバイス頂ければ助かります。

術後補助化学療法としては、アンスラサイクリンを含む治療が推奨されており、治療期間は一般的には6サイクルです。更に今回反対側に新たな癌が発生したと考え、それに対して、アンスラサイクリンを含むCAF療法を6サイクル行うことにしたのだと推測されます。今回の反対側の乳癌が転移だと考えれば、主治医の先生は、おそらく一次化学療法剤であるアンスラサイクリン系薬剤の使用をやめ、二次化学療法剤として、タキサン系抗癌剤(パクリタキセル、ドセタキセル)を考えていらっしゃると思います。病理結果を待って、主治医と相談の上、治療を進めてください。(文責 須田)

 

No.1877-1】 03年10月01日 M 
再発

2000年6月に38歳で右胸全摘手術をしました。硬癌、ステージT、リンパ転移なし、ホルモン陽性ということで、術後の治療としてはノルバデックスを飲んでいます。当初、部分切除が可能でしょうと言う事でしたが、断面に癌細胞があった場合には全摘をお願いしていました。
2003年8月に手術跡にしこりを発見、診察の結果「糸でしょう」と言う事でしたが、1ヶ月後に摘出、検査をしたところ癌が判明(よく動いていたので安心していたのですが筋肉の中に入っていたので動いていたそうです)、先生の話だと前回の癌と似ているため、前の残りだろうということで、来月から放射線治療をする事になりました。私の癌は足が何本か伸びているタイプで全摘の断面には癌細胞が確認されなかったため、術後に抗癌剤や放射線を行わなかったのだと思いますが、今回の話では癌がスキップしていたのだろうと言う事でした。
1) 全摘の後に放射線をかけていたら再発はなかった可能性があると思いますが、 断面に癌細胞がない・リンパ転移がない場合は何もしないのでしょうか? その時点でMRIなどの検査をすれば癌が残っていた事がわかったのではと思います。
2) 放射線治療を行うにあたって、どういう検査をするのでしょうか? 全身・局所に癌がないか検査をするのでしょうか? 癌が見つかれば焦点をあてて治療するのでしょうが、なくても右胸全体にかけるほうがベストなのでしょうか?
3) 手術した側には再発はないと言われていたのと術後まだ3年ということで、今回の事はかなりのショックです。局所再発は良くないというようなことを聞きますが、どうなんでしょう?
4) 前回の残りだから安心していいのか? それとも残りだから恐いのか?どうなんでしょう?
よろしくお願いします。

乳房切除後の胸壁再発は、再発巣の制御が困難であると共に、再発後5年以内に約70%が遠隔転移を生じる為、その予後は再発後10年生存率が約15%と、良好にはコントロールできていません。これに対し、切除後の放射線治療は、胸壁再発を軽減させるだけでなく(27%→8%)、生存率を向上させることもわかってきました。転移リンパ節が1〜3ケであった症例における胸壁再発率は、術後放射線治療により20%から8%へ、また4ケ以上転移を認めた症例では、51%から17%まで軽減されたという報告もあります。
一方、術後放射線療法は、腋窩リンパ節転移陰性や乳房温存療法まで含めた照射では生存率の向上は認められず、現在コンセンサスを得られている乳房切除後の照射の適応としては、腋窩リンパ節陽性例(特に4ケ以上)とされています。貴女の場合、リンパ節転移(-)でしたので、術後放射線療法の適応ではなかったのです。その時点でMRI等の検査で癌細胞が残っているのかどうか確認できるのであれば、術後のfollowはすべてMRIでということになりますが、残念ながら現時点では、MRI等の検査では再発部位がある程度の大きさの塊にならないと描出できないのです。
放射線治療では、胸壁の摘出部位を中心に、かなりの範囲が照射野になると推測されます。(ただし、照射野は、放射線科で決定されることになります。) 原則論どおりに一つ一つ治療を進めていくことが重要だと思います。疑問点は主治医に相談しながら、納得のいく治療を受けてください。(文責 須田)

 

No.1877-2】 03年10月03日 M 
放射線治療について

1877で相談させていただいたものです。
1) 放射線治療はかなりの広範囲になるだろうとありましたが、副作用はありますか? 現在通っている病院が車で高速で1時間強かかるため、近い病院を紹介していただくお願いをしていますが、半日仕事をしてから治療に通う予定なので副作用が気になります。
2) 放射線終了後に考えられる治療を教えて下さい。定期的に行っていた血液検査には全く異常がないので、抗癌剤は必要ないと言われていますが、全身検査をしたわけでもなく、異常なしと言われていながらも自分でしこりを発見、再発になったので不安です。抗癌剤は必要と思われますか?するとしたら何がいいのでしょう?閉経前なのでゾラデックスで生理を止めることはどうでしょう?

よろしくお願いします。

放射線治療の有害反応は照射野に治療対象外臓器(心臓、肺)が入ることにより生じます。貴女の場合は右胸壁再発なので、心臓よりは右肺への影響に注意が必要です。肺に起こる放射線の影響は、放射線性肺炎があります。放射線治療後2〜6ヶ月してから出現し、症状としては空咳や発熱、息切れなどがあります。軽度の場合は無治療で経過観察していますが、重症の場合はステロイドホルモン剤などの投与が行われます。そのほか、右腕のリンパ浮腫(腕のひどいむくみ)を生じることがあります。軽度の場合は利尿剤や漢方薬、ビタミン剤、マッサージなどで軽快しますが、重症になると慢性化することもあります。胸壁再発の場合は、電子線による放射線治療が必要になる場合が多いのですが、電子線治療の機械が備わっている施設はあまり多くないので、副作用に対する疑問と共に、担当の放射線治療医に相談してみることをお勧めします。(文責 千島)

 

No.1877-3】 03年11月15日 M 
再発治療方法

以前1877で、再発の事で相談させていただいたMです。その後治療方法が決まりました。その後セカンドオピニオンを受けた病院で全身検査、ハーセプチン検査をしました。結果は脳CT、胸部CT、腹部CT、骨シンチ、血液検査異常なし。ハーセプチンは0の判定で適応なし、ホルモンにかなり影響を受けるタイプ(100%と書いてあったような気がします)なのでゾラデックスのみということになりました。今現在しこりとしては2個確認されているのですが、癌細胞は胸全体にたくさんあるだろうということで、放射線をかける範囲を決める事も難しいし、抗癌剤などの方法もあるが癌のたちとしていいほうだし、他に転移しているわけではないので、身体に負担をかけなくてもいいでしょうということでした。私の中ではホルモン療法は予防的な効果のみしかないと思っていたのですが、ゾラデックスのみの治療でもしこりが消えることはあるのですか?ゾラデックスはどれぐらいの期間打つのでしょう?放射線の必要についてはどう思われますか?よろしくお願いします。

局所再発部への放射線照射は局所コントロールには効果が期待できますが、予後の改善のためにはやはり全身療法が重要と考えます。ホルモンレセプター陽性の場合、ホルモン療法は再発乳癌に対しても重要な選択枝のひとつです。閉経前症例の進行再発乳癌の一次治療におけるLH-RHアゴニスト(ゾラデックス)の奏効率は29.7%であり、更にタモキシフェンを追加することにより38.8%になります。局所再発のみであっても、タモキシフェン追加による上乗せ効果が期待できるかも知れませんので、主治医の先生と相談してみたらよいのではないでしょうか。ゾラデックス投与は標準的には2年間です。(文責 浜口)

 

No.1876】 03年10月01日 N.D.
腫瘍マーカーについて

2002年5月右胸温存手術、しこりの大きさ1.9o、リンパ転移なし、放射線46グレイ照射、レセプターER(-)PGR(+)、 友達に誘われて腫瘍マーカーを詳しく調べてもらったら、STNが150、NCC-ST-439が9.6と、異常が出ました。CEAとSLXとCA15-3は、異常ありませんでした。調べてもらった所は、「今後定期的に血液検査してください。」と言われるだけでした。私は、マーカーの結果をどのように理解したらよいのでしょうか?血液検査だけでなく、どこかの臓器を検査したほうがいいのでしょうか?再発?詳しい腫瘍マーカーは、定期的に必要なのでしょうか?

癌細胞は、誰にでも存在する一般的な蛋白の他に、健康的な人にはほとんど存在しない特異的な蛋白を持っていることがあります。腫瘍マーカーの検査とは、この特異的な蛋白を調べるための血液検査で、癌を診断する際の補助として、又は癌手術後の経過観察(再発があるかどうか)等に用います。ただし、この蛋白は癌がある程度大きくなるまで陽性にならないため、陰性であるからといって癌が存在しないとは限らず、また、他の要因で陽性を示すこともあります。
腫瘍マーカーには、臓器特異性の高いものと、非特異的なものとがあります。従って、ある特定の臓器腫瘍スクリーニングに有効なマーカーもありますが、一般的には腫瘍のスクリーニング検査として有効ではありません。癌の診断のついた患者さんで、癌治療開始時に、ある腫瘍マーカーが高値を示した場合、モニタリングとして有効であり、進行癌の可能性が高くなります。また、予後の予測因子として有効な場合もあります。例えば、NCC-ST-439は臓器非特異的マーカーであり、胃癌をはじめとする各種の腺癌に発現が認められますが、このマーカーで、癌の原発部位(臓器)を推定することは困難です。
各種臓器の癌では、腫瘍マーカーの組み合わせによって、臨床的に質的な診断に役立つ場合もあります(例えば、乳癌の場合は、CEA + CA15−3 +  NCC-ST-439、 胃癌・大腸癌の場合は、CEA + CA19−9 + NCC-ST-439)。腫瘍マーカーを診断に用いる場合、ある時点の数値だけでは判断しにくく、経時的に上昇傾向にあるかどうか、モニターする必要があります。一般に乳癌のモニタリングとしての腫瘍マーカーはCEAとCA15−3ですから、主治医の先生は、「今後、定期的に血液検査を行って、腫瘍マーカーの経時的変化をcheckしましょう。」とおっしゃっているのだと思います。SLXは肺腺癌・膵癌・卵巣癌で高値を示すマーカーで、基準値は38U/ml以下、STNは卵巣癌と再発胃癌の腫瘍マーカーで、基準値は45 U/ml以下です。貴女の場合、他の臓器を調べるとすれば、消化器(胃・大腸)、肺、卵巣、子宮ということになります。貴方の状態を一番良く把握している主治医の先生に充分お話を伺い、これらの臓器の検査をする、しない等の選択も含めて、納得のいく治療を受けてください。

 

No.1875】 03年09月28日 J.N.
胸に硬いもの?

私は現在14歳(中3)です。これは前から思っていた事なのですが、胸を触ると、胸の中におわんの形をした硬いものがあるみたいなんです。これは何かの病気なのでしょうか?

メール内容だけでは情報不足で、はっきりしたことは分かりません。「硬いもの」という表現だけでは、実際の固さが把握できず、何ともいえませんが、思春期ですから、正常の乳腺を触れているのではないでしょうか? あまり心配せず、人生の先輩でもあるお母様に、まず話してみてください。(文責 須田)

 

No.1874】 03年09月28日 M.Y.
経過観察中

メールでの乳がん相談をこちらで行っていると聞いてメールさせて頂きます。私の状態は24歳/女性/しこり(2〜3cm、脇に近い部分)あり/発見後1年数ヶ月/しこりの形に変化あり/最初小さなクリニックで受診・検査し、現在大学病院で経過観察中です。
質問は以下の通りです。
1) 20代でも乳がんの可能性はありますか? あるとしたらどれ位の割合ですか?
2) マンモグラフィー、エコー、針をさしての細胞診を数回行いましたが、はっきりと原因がわかりません。細胞診は、しこりが硬すぎて引けず、細胞が採れないと言われました(最初のクリニックにて)。その際激しい痛みを伴った上、出血が数日間止まらず、痕が化膿するなどした為、大学病院に転院した今も細胞診は恐くて断っています。これは異常なケースだったのでしょうか?また、これが通常の場合だったとして、やはり細胞診は定期的に受けるべきものなのでしょうか?
3) 確定診断の方法として、確実に患部の細胞を採れる装置(名前を忘れました、すみません)があるそうですが、私のかかっている大学病院には設置されていません。主治医と話をして、その検査のみを他の機関で行う事は可能なのでしょうか?またそれは主治医に対して失礼に当たりませんか?
質問は以上です。よろしくお願い致します。

1) 確率は低いですが、乳癌である可能性がないとは言えません。私どもの病院でも、昭和58年から現在までの20年間で2例、経験しています(年間の乳癌手術 約100例)が、一般的には、25歳未満で発症するのは稀です。
2) 「細胞診を数回行いましたが、はっきりと原因がわかりません。」ということですが、これは、こぶの細胞が採取できなかった為に、やむを得ず、数回細胞診を行ったが、何回行っても結果が同じであった」ということになります。また、細胞診時の痛みについてですが、私どもの施設でも、出血したり、痛みが残ったりすることは、稀にですがあります。ただ、触診・乳房撮影・超音波と並んで、乳癌の検査では最初に行う、ごく一般的な検査ですので、必要以上に怖がる必要はありません。
細胞診を行った場合、癌細胞がでれば癌だと診断できますが、盲目的に針を刺していますので、周囲の細胞が採れたり、また、仮に瘤の細胞が採れたとしても、採取した細胞が瘤全体を反映しているとは限らず、癌細胞がないからといって、癌でないとは断定できません。従って、主治医が必要と判断した場合は、多少の痛みはありますが、外来でできる検査として、受けた方が良いと思います。
3) 確定診断の方法としては、原則論通り、「確実に患部の細胞を採る」のではなく、「確実に患部全体を採る」生検を行い、すべての連続切片で、癌がないことを確認すべきだと思います。貴女が行いたいと思っている手技は、おそらく「マンモトーム」だと推測されますが、これも瘤の一部を採取する方法ですので、上記の理由から、確定診断としては、お勧めしかねます。他の医療機関で行うことは可能ですが、主治医と充分相談し、納得のいく治療を受けてください。(文責 須田)

 

No.1873】 03年09月28日 C.H.
母乳育児 & むくみのマッサージについて

1) 温存手術・放射線治療を受けました。将来出産した時に、治療をした乳房は母乳はでるのですか?また、もしだめな場合、治療をしていない反対側の乳房だけで母乳育児をすることは可能ですか?
2) 腕がむくんだときのマッサージは、先生は、腕の先から心臓にむけてしてくださいといっていたのですが、本を読んだら、まず渋滞しいるところをほぐさないと意味がないので、腕のつけねから始めて、だんだん指先にむかってマッサージするとありました。どちらが効果的なのですか?

1) 放射線治療を受けた側では、効率は低下すると推測されますが、反対側の健常な乳腺がありますので、理論的には母乳育児は可能です。
2) どちらも効果をあげるのに必要です。マッサージをする時、手の先端方向から中心(心臓)方向へ向けて手を動かします。次に、どこからこのマッサージを始めるかというと、腕の付け根から始めて、何回かに分けて指先に至る訳です。つまり、腕の付け根部分のマッサージでも、マッサージする方向は、中心(心臓)に向かうことになります。 (文責 須田)

 

No.1872】 03年09月28日 M.O.
生存率は?

父が胃癌、母は胃癌・乳癌・子宮癌の手術後、現在77歳で健在です。親のこともあり、私自身、26歳で結婚をしてから年一度は必ず人間ドックを受けていました。3人の子供にも恵まれ母乳だけで育てましたが、29歳・38歳・44歳と、三度、乳腺線維腺腫でしこりを摘出しました。三度とも良性。一昨年ドックでまた見つかり、三ヶ月ごとに病理組織診・細胞診の検査を受けていましたが、しこりが日々大きくなり、昨年10月の細胞診の結果、「蛋白様物質および出血を背景に乳管上皮が中等量みられ、異型性に乏しく二細胞性もみられます。また少なからずアポクリン化生細胞を混じっています。双極裸核も介在し悪性所見は明らかではない。」という結果で、癌の疑いが強いことと、しこりが大きいこともあって入院し、全身麻酔で摘出しました。退院後、病院より連絡があり病理組織診断の結果、浸油性小葉癌で再度入院、11月中旬右乳癌で全摘出しました。リンパにも転移があり切除、骨シンチでの転移はありませんでした。手術の時インフォームド・コンセントを受けましたが、頭の中が真っ白でほとんど覚えていないのが今となっては悔やまれます。癌はUとVの間で、入院中抗がん剤(メソトレキセート)も投与。カルテにはmasteioy(Bt+A×+Ic)f2(2.3×2.1cm) T4/14  U0/7 V0/5と書いてありました。現在、月一回ゾラデックス3.6mg注射と、一日一回ノルバデックスを内服しています。注射は2年、内服は5年の予定です。現在、仕事も続け手術前と変わりない生活をしていますが、死に対する不安が常にあります。47歳でまだまだやりたいことがあり、計画をたてられない自分にジレンマで一杯です。この内容では乏しいと思いますが、私の場合の生存率はどのぐらいでしょうか。

現在、臨床上使われている標準的な予後因子としては、腋窩リンパ節の転移の程度、腫瘍径、組織学的異型度、エストロゲンレセプターの発現etcがあります。最も有力な予後因子である腋窩リンパ節の転移個数について10年生存率を説明すると、リンパ節転移なし 90%、 1〜3個転移あり 75%、 4〜9個 50%、 10個以上 25%となっています。
貴女の場合、4/14、0/7、0/5ということですので、26個のリンパ節中、転移が4ケあったことになります。従って、10年生存率は50%ということになります。ただし、生存率とは、あくまでも統計的なものであり、ケースバイケースで、必ずしも当てはまるものではありません。あまり数字を気にせず、今できることにベストを尽くしてください。
次に術後補助内分泌療法に関してですが、ゾラデックス、ノルバデックスを使っていますので、おそらくER 又はPGR陽性であったのだろうと推測されます。更に補助化学療法としては、アンスロサイクリン系を含む化学療法剤が推奨されています。また、リンパ節転移が4ケありますので、化学療法と重ならないように注意しつつ、併せて放射線療法を行うことも推奨されていますので、今後の方針については主治医と相談しながら、前向きに、納得のいく治療を受けてください。(文責 須田)

 

No.1871】 03年09月28日 Y.T. 
腋のしこりについて

アメリカ在住の28歳、ユミです。既婚、出産経験なしです。よろしくお願いします。
先日右わきの下に、くりくりつるつるとした1cmくらいのしこりを見つけました。そのしこりは腕を上げた状態では見つけにくく、下げた状態だとよくわかります。普段は痛いというよりは違和感があるという感じで、触ったり押したりすると痛みがあるような気もしますが、そんなに強い痛みではありません。下に落ちたものを取るときなどに突っ張る感じがあります。気になったのでクリニックに行って、触診、血液検査、ツベルクリン、胸部X線、超音波検査をして、現在結果待ちの状態です。超音波の技師さんの話では「リンパが大きくなっているだけで、心配ないよ。」とのことだったのですが、原因もよくわからず、リンパが腫れても大丈夫なんでしょうか。
もうひとつ、心配で自分で胸もチェックしてみたのですが、もともと両胸には胸の土台(それが乳腺だと思っていたのですが、大きなしこりだと言われればそんな感じもします)のようなものがあって、それが生理10日前くらいから張りはじめて、胸が大きくなって痛みもあります。生理が始まると張りもおさまるのですが、その土台のようなものは残ったままです。その土台のようなものの形はおおまかにはお椀のような形なのですが、細部は複雑で、ぶどうのように小さなしこりもあるような感じもあるし、管のようなところもあります。今まではそんなに気にしていなかったのですが、今回のしこりのことでいろいろ調べているうちに、胸にそういったものがあるのは一種の病気のような気がするのですが、どうでしょうか。また、この胸とわきのしこりに何か関係がある可能性はあるか、教えていただけますでしょうか。

腋窩リンパ節の腫脹(はれ)については、@リンパ腫、A反応性の腫脹、B結核、C乳癌の転移等が考えられます。リンパ腫とは、全身のリンパ節が脹れてくる病気で、血液疾患に分類されています。反応性の腫脹とは、細菌、ウイルス等の炎症による反応性の張れです。貴女が行った「触診、血液検査、ツベルクリン、胸部X線、超音波検査」によって、@ABC等、いずれの疾患が考えられるかを総合的に判断することになります。超音波の技師さんは、「結核、乳がんの転移」のような重篤な病気である確立は低いという意味で、「心配ないよ」と声をかけてくれたのではないでしょうか。勿論、よく調べないと断定は出来ませんが・・・。
また、ご心配なさっている乳腺の状態についてですが、28歳という年齢から考えて、月経周期に伴う正常な乳腺を触知しているのではないかと推測されます。これについても、検査結果と同様に、主治医に詳しくお話を伺ってください。(文責 須田)

 

No.1870】 03年09月28日 T.Y.
タモキシフェンによる副作用について

初めまして。昨年夏に乳管内の癌で温存手術をうけました。ほんの少し浸潤していましたが、リンパ節に転移はなく、タモキシフェンを5年服用する事になっています。タモキシフェンを服用して丁度1年になりますが、肝機能が落ちてきたので専門医に検査していただいたところ、NASHであると診断されました。肝臓の線維化の度合いはこれから生検を受けるので現在は不明ですが、今後タモキシフェンを暫くの間中止するべきかどうか、ご意見をいただければ幸いです。また、術前に20万前後あった血小板が9万まで落ちています。この副作用に関しては、何か治療をするべきでしょうか。よろしくお願いいたします。

一般に脂肪肝の多くに関しては、積極的な治療は不必要ですが、脂肪肝の中に、ゆっくりではありますが、進行性の病態であるNASHがあります。NASHとは非アルコール性脂肪肝炎 (non-alcoholic steatohepatitis)で、一部は肝硬変へと移行します。原因としては、空腸回腸吻合術後、炎症性腸疾患、抗エストロゲン剤の副作用等が考えられます。NASHを引き起こす薬剤としては、アミオダロン(抗不整脈剤)、インスリン、タモキシフェン(抗エストロゲン剤)等があり、タモキシフェンで肝硬変に至った報告例もあります。
文献的には、小川らの報告によりますと、タモキシフェン内服中(3〜5年)の66例中、中等度〜高度脂肪肝 24例(36.4%)、そのうち14例がNASHであったと報告されています。
NASHであると診断された患者さんの治療に関してですが、@タモキシフェン内服の中止 Aタモキシフェン継続 + 脂質代謝改善剤ベザフィブレート内服 Bトレミフェンに変更(しかしトレミフェンによるNASH発生の可能性もあります) などが考えられますが、乳癌予後因子の状況、NASHの程度等により異なってきますので、どの治療方法を選択するか、主治医と充分相談の上、決定して下さい。
またご心配の血小板減少についてですが、現時点では、採血して経時的なcheckは必要ですが、経過観察でよいと思います。(文責 須田)

 

No.1869】 03年09月27日 M.I.
両側性乳癌について ( No.1752-3)

先日は丁寧な回答、ありがとうございました。今回は両側性乳癌の相談です。前回の左乳房に関しては現在補助療法として放射線とホルモン療法施行中です。さて、どうも右側にも径5,6oの硬いtumorが触れます。管状癌の両側多発の可能性を考えると、こちらも悪性の確率が高いと思われます。さてその場合ですが、こちらも温存療法が可能かどうか?という事と、この場合の術後の放射線は両側同時に照射するのですか?それとも左側が終わってからなのでしょうか?お忙しい所申し訳ありません。教えてください。

乳房温存療法は可能です。両側同時に照射するというよりは、照射野が異なるので、同じ日に両側を続けて左右に照射することになると思います。
両側同時照射の件ですが、特に問題はないようです。教科書的(外来にもある青い教科書)にはやっていけないとも、やった方が良いとも書いてありません。気をつける点は、当然のことですが、mild line でのoverlap、また鎖骨上を照射する場合は、脊髄でのoverlapを考慮することです。
文献上は両側乳癌という検索をすると照射時期がずれているものも含まれてきてしまいます。しかし、明らかな乳房の浮腫の増大、美容上の問題点は、片側乳癌に比べて増大するということはないとのことです。mild lineで4cm程度overlapした症例も含まれておりましたが、明らかな副作用の増大はないようです。ただこれらは同時ではなく、時期がずれている症例も含まれていますので、やはり同時に行う場合は、細心の注意が必要かと思います。設備の整った注意深い技師さんのいる施設なら大丈夫だと思いますが。
Fung et al  Red journal 1997 38(5) 959-,
De la rochefordiere et al   Red journal 30(1) 35-
ついでですが、治療成績、長期予後も片側乳癌と比べて変わらないようです。ただ遺伝的要素のある両側乳癌は、そうでもないものに比べて予後不良、この場合、放射線は再発防止に欠かせないようです。(遺伝的要素を持つ乳癌は放射線感受性が高いようです) もし、その患者さんが遺伝的要素を持つ方でしたら、放射線をお勧めしなければなりません。  Red journal 2000 48(7) 95  (文責 須田)
 

 

No.1868-1】 03年09月27日 M.I.
非浸潤ガンと浸潤ガンの区別

千葉県在住の41歳です。本日「乳がん」と診断を受けました。しこりは2p、石灰化しているようです。今後、手術へ向けての検査をしていく段階ですが、非浸潤ガンと浸潤ガンの区別とはどのようなものですか?また、石灰化している状態とは、どちらに属するのでしょうか?唐突な質問で申し訳ございませんが、よろしくお願い致します。

乳癌には、乳管上皮から発生する乳管癌と、小葉の上皮から発生する小葉癌がありますが、乳管、小葉には、間質との間に基底膜という境があります。癌がこの膜を越えずに留まっている(浸潤していない)癌を非浸潤癌といいます。非浸潤性乳管癌は全乳癌の約10%、非浸潤性小葉癌は約0.2%です。これらの非浸潤癌の多くは非触知性(しこりとして触れない)の病変で、マンモグラフィーでの微細石灰化や血性乳頭分泌で発見されています。マンモグラフィーで石灰化が見つかった場合、ある程度の数があり、大きさが0.5mm以下の石灰化群の1ケ1ケの石灰化像の形態とその分布によって、乳癌を疑いますが、石灰化像のみで見つかった乳癌は、ほとんどの場合、非浸潤癌です。
貴女の場合、どのような石灰化像であったのかは、直接マンモグラフィーの結果を見なければ分かりませんので、現在の状態については、主治医に納得がいくまで伺い、前向きに治療を受けてください。(文責 須田)

 

No.1868-2】 03年10月11日 M.I.
腋窩リンパ節とは

先日メールした千葉県在住の41歳です。今、様々な本や情報で勉強しています。腫大したリンパ節とは自分で触れても解るものですか?また、温存する場合は絶対に郭清しなければならないのでしょうか?レベル1.2.3ってありますが、癌の状態によって郭清する場所が違うのではないでしょうか! 私は今後は手術に向けての検査をすることになっており、まだ病理検査が出ていないのでなんとも言えませんが、出来れば郭清は最小限に押さえたいと希望しています。郭清の後遺症は何パーセントぐらいの確立であるのですか?それから、手術に向けての検査は病院によって違いがあるかもしれませんが、どのような検査を行うのですか?8日が初診で、千葉県立ガンセンターで受ける予定です。色々質問して申し訳ありせんが、よろしくお願いいたします。

術前の画像診断(CT、MRI、超音波検査など)でリンパ節転移が疑われる場合は、乳房温存術、乳房切除術のいずれの場合でも、原則的にリンパ節郭清を行います。特に、術前検査でリンパ節転移が陽性と判断した場合は、レベルVまでのリンパ節を郭清することが推奨されています。この根拠としては、リンパ節転移陽性例でリンパ節転移の拡がりを検討すると、約20%の症例でレベルVリンパ節に転移を伴っているからです。術前検査でリンパ節転移が陰性と診断されている場合は、腋窩リンパ節郭清を省略するためのセンチネルリンパ節生検という検査法があります。しかし、この検査法は現時点では医学研究の段階とされているので、実施している施設にも制限があります。この方法はあくまで研究段階なので、転移リンパ節を見落とす可能性もゼロではなく、実施医によっても成功率がまちまちです。もし、この検査法を希望する場合は、主治医の説明を十分に受けてから手術に望むことをお勧めします。腋窩リンパ節郭清による合併症は、1)術後の皮下リンパ液貯留、2)患側上腕内側の知覚鈍磨やしびれ感、3)患側上肢の浮腫(むくみ)、4)患側肩関節の可動制限などがあります。この中で、最も問題になるのは上肢の浮腫で、発生頻度は10%前後といわれていますが、術後の放射線治療を追加する時の照射範囲などにも影響されます。これらのことに関しては、入院もしくは手術前に主治医から詳しい説明があることと思います。(文責 千島)
 

No.1868-3】 03年11月07日 M.I.
リンパ郭清について

本日、手術についての説明があり、温存・リンパ郭清(レベルU)とのお話です。しこりが3cmであり、大きなしこりは間違える確立が高いので、センチネル生検は摘要外との診断です。後遺症等のことを考えると、郭清を望まないのですが、郭清しないと再発の可能性が高いと言われました。転移があれば仕方ないと覚悟しますが・・・、3cmのしこりだと大きなしこりになるのですか? 転移の可能性は高いのでしょうか? また、他に郭清しない治療法はありますか? たとえば、郭清しないで放射線をするとか、脂肪組織を取らずにリンパ節だけ取るとか、私が様々な本で得た素人考えの知識ですが、専門的にはいかがでしょうか?

センチネルリンパ節生検については長期フォローアップのデータは不十分であり、大学病院やがんセンターなどの限られた施設を中心に行われているのが現状です。日本乳癌学会の研究班の報告でも腫瘍径が1.5cmを超えると正診率が下がることが知られており、2.0cm以下を適応とすることが推奨されています。腫瘍径が3cmの場合、報告により多少違うでしょうがリンパ節転移のある可能性は40-50%くらいと考えます。今後センチネルリンパ節生検の技術の進化により適応が拡大されていくことは考えられますが、現時点で再発の少ない手術を行うためには従来通り腋窩リンパ節郭清を行う手術を選択するのがよいのではないでしょうか。腋窩リンパ節郭清と腋窩放射線照射の比較は難しいところですが、照射の場合腋窩再発のリスクは4倍高くなると言われています。また、リンパ節郭清を施行することによりリンパ節転移診断を正確に行うことができ、その後の治療方針を決める上でも非常に有用です。リンパ節やリンパ管が腋窩を網の目のように走行していることを考慮すると脂肪組織を取らずにリンパ節を郭清するのは不可能です。合併症や後遺症のリスクがあまり高くないことも考え合わせると、乳房温存+腋窩リンパ節郭清術を推奨します。(文責 浜口)

 

No.1868-4】 03年11月09日 M.I.
郭清の後遺症について

御回答ありがとうございました。少し踏ん切りがつきました。郭清の後遺症ですが、個人差はあると思いますが、どの程度の頻度でむくみ・しびれ・浮腫等がありますか? 私は右の癌なので、郭清することによって、日常生活に影響のあることが心配なんですが・・・。ただ、使わない左手より、利き手なので、毎日動かすことによってリハビリになるんではないかと、自分なりに考えております。また、放射線照射ですが、私は肌の色がかなり白いです。照射することによって、重いやけど状態になる可能性はあるのでしょうか?お忙しい中、様々な質問をしてすみませんが、よろしくお願いいたします。

むくみや浮腫は人から見てもほとんどわからないようなものから、明らかなものまで含めて10%前後くらいと言われています。しびれは腕全体がしびれるようなことはほとんどありませんが、腋窩リンパ節郭清手術の際にどうしても肋間上腕神経という知覚神経がダメージを受けるため、上腕内側には知覚鈍磨やしびれといった症状が程度の差はありますが、ほとんどの人にあらわれます。しかし日常生活にはほとんど影響ないことが多いようです。術後の放射線照射では確かに皮膚色素沈着が起こることがありますが、時間がたてば薄くなってきます。いろいろ考えることが多くて大変と思いますが、納得いくまでよく主治医の先生に説明を聞いて治療を頑張って下さい。(文責 浜口)

 

No.1868-5】 03年12月18日 M.I.
補助療法について

今後の治療方針についてお尋ねします。
11月13日に温存+リンパ郭清(U)を手術致しました。本日、病理検査結果が出て、今後の補助療法の説明が有りました。
病理検査  乳頭腺管ガン : しこり 3.5cm、 リンパ転移 (0/19)、ホルモン(陽性)、 断端(陰性)、ハーセプテスト(2+)

方針@ 抗がん剤 EC(3週毎4回or6回) + ホルモン療法 ゾクラテスorリュープリン(4週毎最低2年)・タモキシフェン5年間服用
方針A ホルモン療法のみ

どちらかの選択になりました。ちなみに、ECは再発抑制率36%との事です。出来れば抗がん剤は避けたいのですが、今の考えとしては、抗がん剤を一回やってみて、体力的に限界だったら、そこで止めようをいう思いはあるのです。一回だけの投与では何にもならないのでしょうか?ECはかなり副作用が強いと聞きましたが、一人一人症状があるとは思いますが、どのくらいの副作用が一般的にあるのでしょうか? やはり、方針@を選択すべきでしょうか? 専門的な御意見をお聞かせくだされば幸いです。

ECに限らずアントラサイクリン系(アドリアマイシンやエピルビシンなど)の薬剤を使用した補助療法では、脱毛,悪心、嘔吐、白血球減少などの副作用が出現いたします。このうち悪心、嘔吐は吐き気止めやステロイド剤などの使用により軽減し、規定量の治療を続けられる人が多くなりました。白血球減少も重症となり、G-CSFの投与が必要となる様な人は稀です。しかし脱毛は避けられませんので覚悟が必要です。でも脱毛も一過性であり投与期間が終わればまた生えてきます。乳癌は再発すると完治させるのが難しいのが現状です。ですから補助療法をしっかりやっておく方がベターです。CEをまずやってみてあなたが耐えられそうであれば続けばよいと思います。一回だけやっても意味がないかどうかは分かりません。(文責 吉田)

 

No.1868-6】 04年02月21日 M.I.
補助療法について(2)

術後のホルモン療法でノルバデックスを12月27日から飲み始め、第一回目のゾラデックスを注射したあとから頭痛・頭重があり、憂鬱で、更年期の症状だと思っていました。主治医から頭痛薬を処方されましたが、体に合わず、1回で止めました。主治医は脳検査を勧めませんでしたが、本日、他の病院で脳のCTをとり、血管が詰まっているとの診察で、MRIの再検査になりました。今のところ、脳に関しての自覚症状はありません。癌の転移ではないとの事です。ノルバディックス副作用との因果関係があるのでしょうか? また、ノルバデックスが服用できない場合に、他の薬はあるのでしょか? 私の場合はホルモン治療のみになっていますが、ゾラデックスのみだと不安があり、抗がん剤の投与を考えなければならないのでしょうか?
病理検査結果: 乳頭腺管がん、しこり3.5cm、リンバ転移陰性(0/19)、HR(+)、ハーセプテスト(2+)
現在 放射線治療 20回終わりました。

ノルバデックスの副作用として血栓症というのがありますが、その可能性があると思います。従って、このまま飲むことは無理かもしれません。似たような薬でフェアストンという薬もあり、一応血栓症の副作用はノルバデックスよりは少ないといわれていて、試す価値はあると思います。ただ閉経後乳がんが適応ですので、ゾラデックスで閉経状態にしながら投与は可能かもしれません。(文責 石山)

 

No.1868-7】 04年03月01日 M.I.
副作用について

脳のMRIの検査は異常ありませんでした。CT映像は他の患者さんのもので、誤診でした。脳外科的には全く異常はありませんとの解答でした。が 相変わらず頭痛・頭重が1ケ月以上続いており、とにかく憂鬱です。今は、ノルバティクスの服用を止めておりますが、薬の副作用は考えられますか? あるいは、ゾラテックスで閉経状態にしているので、ホルモンのバランスが悪く、更年期状態での頭痛・頭重なのか? 主治医も解答はくれませんでした。薬が合わないということも考えられますでしょうか? とにかくこの状態を脱皮したいのです。もう一度、他の医療機関で脳検査を受けたほうがよいのでしょうか? お忙しい中、申し訳ありませんが、何かアドバスがありましたら、お願い致します。

MRI、CTは条件によっては見逃しもゼロではありませんし、スライス幅と言って、画像を取るために細かく断層を撮っているか、機種が古ければ解像度も悪い可能性もありますので、その辺を確認し、別の病院に行くべきかもしれません。ただしゾラデックスはホルモン剤の中では副作用が強く、頭痛や頭重感が強いという患者さんは結構いらっしゃいます。ゾラデックスの血中濃度は投与後10日から2週間で最高になりますので、そのような症状がその時期と一致すれば副作用の可能性が高いし、あるいは思い切っていったん中止してみて症状の推移を見るのもひとつの方法と思います。(文責 石山)

 

No.1868-8】 04年03月09日 M.I.
副作用について(2)

先日の貴重なアドバイス、有難うございました。ノルバデックスの処方を止めて2週間たっても、相変わらず頭痛・頭重と戦いながら生活しており、ノルバデックスが原因ではないだろうと思われます。今週金曜日に第3回目のゾラデックスの投与ですが、先生のアドバイス通りに思い切って中断しよかと思案中です。主治医も「患者さんの体調を見ながら治療をすることが前提」と申しております。しかしながら、乳がんの治療を考えると不安があります。お忙しい中、申し訳ありませんが、その辺の御意見を聞かせて頂けたら幸いです。また、人間の身体って、薬等の様々なものに慣れていくものなのでしょうか? 文章がまとまらず、すみません。よろしくお願い致します。

現在ゾラデックスとノルバデックスは術後の補助療法として使っているわけです。補助療法を行う際は、薬のもっている再発を抑える効果と副作用のバランスを考えて治療法を選択する必要があります。再発して、体のどこかに病巣があるのなら、副作用はある程度我慢しても効果のある強い治療を選択してもよいと思います。しかし補助療法の場合は体の中にターゲットとなる病巣が残っていないため、また補助療法を行わなくても再発しない群の方も補助療法を開始する時点では区別できないため、含まれてきますから、副作用が強く出るような治療法はその患者さんにとっては過度な治療となってしまいます。従って主治医の先生が仰るように患者さんの体調を診ながら治療をするのが前提というのは、全くその通りであると思います。ホルモン療法に伴うほてり、頭重感といった症状は、なかなか他人には理解されにくい副作用です。ホルモン治療は通常は何年という長い単位で行うものですから、副作用を抱えながら続けていくというのは大変だと思います。ここは少し薬をやめて様子を見るというのもひとつの選択肢であるように思えます。主治医の先生とよくご相談なさってください。(文責 稲葉)

 

No.1868-9】 04年06月14日 M.I.
肝機能障害について

HPNo.1868です。先日、術後半年の血液検査、肺レントゲンの結果は異常無しでした。ところが血液検査で肝機能の数値が高いと指摘されました。担当医は「特に気にする数値では無いので、様子を見ましょう」との診断でした。しかしながら、数値が気になりましたので、御相談させて頂きました。
AST(40)  ALT(54)  LDH(171)  G−GTP(92) ALP(201)  LAP(80)

【質 問】
@ この数値で、肝臓に関して何も検査等受けなくてよいのでしょうか?  (昨年の人間ドックで、脂肪肝と診断され、数値的には正常だったので、再検査の指摘はありません)
A 今、ノルバデックスを飲んでいますが、このまま飲み続けて大丈夫なのでしょうか?
B 原因として考えられるのは、薬の影響でしょうか?
C 今、胃の調子が悪く、背中が張ったりしていますが、上記の肝機能数値との関連性はありますか? 
D 現在ゾラティックスを注射しているので、毎月病院へ行っております。その際に血液検査をしてもらい、数値の経過を見たほうが良いのでしょうか?

お忙しい中、乱雑な質問で申し訳ありませんが、よろしくお願い申し上げます。

@ 次回受診時に採血をして、再検査を行うと思います。
A B タモキシフェンの副作用には、悪心・嘔吐・顔面紅潮・血小板減少等がありますが、いずれも軽い症状です。また長期連用により子宮内膜癌の発生が少なからず見られます。肝障害はタモキシフェンの副作用としては考えられず、内服は続けて問題ないと思います。手術前の検査値にもよりますが、AST、ALT共に3桁以上の場合は、内科で検査して調べる必要があります。
C 診察をしなければ分かりませんが、「胃の調子が悪い・背中が張る」等の症状がありますので、肝・胆道系の疾患があるかもしれません。原因を調べるためには消化器の検査が必要です。
D 不安を取り除く意味からも、検査を行って、変化がないか、よくなっているか、等の経過観察は必要だと思います。主治医とご相談ください。(文責 須田)

 

No.1868-10】 06年08月12日 M.I.
生理について

以前に相談させて頂いたHPNo.1868です。乳頭腺管ガン、しこり3.5cm、リンパ転移(0/19)、ホルモン(陽性)、断端(陰性)、ハーセプテスト(2+)。
方針@ 抗がん剤 EC(3週毎4回or6回) + ホルモン療法 ゾクラテスorリュープリン(4週毎最低2年)・タモキシフェン5年間服用
方針A ホルモン療法のみ。
2003年11月に手術、その後の治療はゾラデックス2年間、ノルバデックス5年(服用中)。昨年12月にゾラデックスは終了しました。未だにちゃんとした生理はきていませんが、6月・7月・8月と下腹部に鈍痛を伴なう茶褐色のものが有り、いずれも2日ぐらいで終わりました。子宮対・子宮頚ガン検査は半年毎に行っており、5月に異常なしでした。これを生理と考えてよいのでしょうか? また、ホルモン治療を終了すると、いきなり生理は来るのでしょうか? 担当医は半年位で生理があるかも知れないと言っておりましたが・・・。卵巣の検査も必要なのでしょうか? 現在44才ですので、もう閉経に向かいつつあるものとは思っております。

婦人科の疾患が否定されていて、6,7,8月と周期的に来たのであれば、生理の可能性もあると思います。ノルバデックスを内服しているだけでも生理は不順になりますから、そのためかもしれませんし、ただのおりものかもしれません。いろいろな可能性があります。しかし、卵巣の病気ではないと思います。正確に閉経状況を知るためには血液中の女性ホルモンの量を測定してもらうとよいと思います。ただ、これからの治療としてノルバデックスを継続するのであれば、閉経していてもいなくても大丈夫です。(文責 清水)

 

No.1868-11】 06年12月03日 M.I.
腫瘍マーカー値について

HPNo.1868です。本日、術後3年目の検査結果についてご質問します。骨シンチ・マンモ・肺レントゲンは異常ありませんでしたが、腫瘍マーカーのNCC-STが9.2の値でした。担当医は2ヶ月後の再血液検査と申しておりました。その結果、数値が上昇した場合、CT等の検査を行うとのことです。転移の疑いを考えたほうが良いのでしょうか? 今現在ノルバディックスを服用中ですが、この数値を関係あるのでしょうか? また、数値の上昇は必ずしも転移していると判断するものではないと本に記載してありましたが、骨、マンモ、肺に異常が無い結果で、数値の上昇はどのように理解すればよいのでしょうか。 

腫瘍マーカーのNCC ST-439は特に閉経前の、生理のあるかたでは、再発等の異常がなくとも高値になることがしばしば見られます。この場合、何度か再検査すると値が大きく上下していることが多いのです。担当医の先生が数ヶ月後に再検されるのも、そのあたりを熟知しての判断だと思います。(文責 首藤)

 

No.1867】 03年09月27日 K.T.
乳輪下膿瘍(3) (No.1774-3)

アドバイスをありがとうございました。ただ時間が掛かりすぎる場合"と申しますと、一般にどのぐらいの期間を指すのでしょうか。2,3ヶ月を目安にしていたのですが、ここ1ヶ月の症状を自分なりに分析したところ、生理前の一週間に炎症(活動期?)を感じ、若干しこりが大きくなっていく感じがします。このまま様子をみても少しずつではありますが、悪化の傾向にあるというのが正直な気持ちです。今後ともよろしくお願い致します。

経過をみるということは、少なくとも最初の状態より悪くなっていないということが前提です。「悪化の傾向にある」のであれば、外科的な治療(手術)も検討する必要があると思います。主治医とよく相談なさってください。(文責 須田)

 

 

No.1866】 03年09月27日 H.K.
細胞診は必要でしょうか

はじめまして。大阪に住む33歳、既婚、7歳と5歳の子供がいるものです。まず、長くなりますが、念の為に今までの流れをお話ししたいと思います。 21、22歳頃、胸のしこりを発見し受診、良性のもの(線維腺腫)だろうとのことで、経過観察。その後25歳まで年一回の検診中、他に石灰化もあると指摘されたりもしたが、気にしなくても良い石灰化であるとの診断。また、以前言われていた線維腺腫については反対にほとんどわからなくなってきているという(線維腺腫というほどのものではない)診断。26歳で一人目、28歳で二人目の出産を機に、生活に追われて受診しないまま5〜6年が経過。ところが、ほんの一週間前から乳房の乳頭の横付近を押さえると痛みがあり、再び以前から見ていただいていた乳腺外科を受診。
《結果》
○ マンモグラフィでは石灰化は認められるが、気にしなくて良いものである。
○ 触診しこりなどなく、他に問題なし。
○ 念のためにと最後に行ったエコーで痛みのある付近を念入りに見ていただいたところ、乳頭の少し外側あたりの奥のほうに9×10ミリのしこりを発見。
《しこりについての診断》
○ 良性(線維腺腫)だと思うが、場所的に調べにくい部分で断定できないので経過観察(半年後に再受診)、それまでにしこりが大きくなるようだったら受診するように。

話が長くなってしまいましたが、お尋ねしたいのは、
@ 先日の診察では(ずっと市民病院乳腺外来受診でみて頂いています)、エコーガイド下細胞診などの話はでませんでした。お医者様がそれをすすめられなかった理由で推測できることがあるようでしたら教えてください。(調べにくいというのは、乳頭直下、またその近辺は細胞診をしにくいという意味だったのでしょうか、それとも、触診やエコーで判断しにくいという意味でしょうか。)
A 良性でしょう、経過観察、といわれて、一年後に行ったら実は悪性だったという話も聞きますが、自分では触診でわからないので、大きくなったらと言われても正直わからず、もし悪性だった場合、このまま半年ほおっておいても大丈夫なのでしょうか。家族歴としては、祖父がおそらく胃がんでなくなっています。
長くなり申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

「乳頭の少し外側あたりの奥のほう」との事ですが、その付近は乳腺が厚く、触診してもわかりにくい場所であり、9×10ミリのものがあっても、触知できなかったのだと思います。おそらく線維腺腫を含めた良性のものだと推測されますが、細胞診、又は生検をして確認しなければ断定は出来ません。不安を取り除く意味からも、貴女がおっしゃるように、エコーガイド下の細胞診を行う方が良いと思います。主治医と相談なさってください。(文責 須田)

 

No.1865】 03年09月27日 E.M.
乳首の皮膚のただれ

私は、今年22歳になる女です。20歳ぐらいから乳首が少し痒くて掻いていました。それで、そこの部分がカサカサになったりして、その皮膚をめくるといったらおおげさですが、そういうことをしてるのが癖になって、横が少しかさぶたになったらそこをむいて、またそこがカサカサになって、それをさわったりしていました。生理前だと常に乳首(特に右)がたっていて、たまに服に当たると痛く、つまんだりしても痛いです。たまに黄色っぽい汁がでているのです。病院に行ったら、それはただ乳首の表面があれてなっているだけといわれ、特に乳がんとかそういう問題は全くないといわれ、塗り薬をもらい、今それを荒れている時とか、汁がでるときにぬっています。でも、いっこうに、前みたいにきれいな(普通の皮膚の状態)には戻らないのです。どうしたらいいのでしょうか?病気ってことはないでしょうか?

本サイトは乳癌に関するものですが、少なくとも乳癌ではないと思います。皮膚の状態の詳細は診察をしなくてはわかりません。おそらく常に掻くという慢性的刺激による変化が起こっているものと推測されますが、可逆的なものかどうかを含めて皮膚科で相談なさることをお勧めいたします。(文責 須田)

 

No.1864】 03年09月23日 H.A.
背骨の痛み

知り合いの事でおたずねします。彼女は現在43歳、子供一人で、昨年の5月に人間ドッグを受けた時に右乳房にしこりがあり、再検査と言う事で検査したところ、乳腺症と言われました。今年の5月に定期検査を受け、またしこりを指摘されて再検査を受けました。「癌の疑いがある」と言う事で細胞を取り検査を行ったところ、乳癌と判断され、9月29日に手術することになりました。今彼女は、右胸後ろ、背中の所の骨のところが痛むと言っています。これはどんな因果関係が考えられるのか教えて下さい。

背骨が痛い場合、多くの場合は乳癌とは関係のない、整形外科領域の病気ですが、乳癌でも背骨(胸椎、腰椎)に転移すると痛みが出現することがあります。おそらく手術前後に骨シンチ、CT等の検査によって骨転移の有無を調べることになっていると思います。背骨が痛いということも、入院時に主治医に話し、精査してもらう必要があります。(文責 須田)

 

No.1863】 03年09月23日 Y.K
ゾラデックスとノルバデックス

半年前に乳がん検診を受けました。異常なしの診断でありながら乳頭直下に2.6センチの充実腺管癌と診断され、温存手術後放射線治療を受けています。しこりが1センチになるのに10年かかると本に書いてあり、見逃しなのか急に大きくなったのかと疑問なのですが・・・。リンパ節転移は13個中1個で、ステージUBです。 10年生存率はどの程度でしょうか?またゾラデックス2年とノルバデックス5年の治療になるのですが、併用は過剰ではないのでしょうか?閉経前です。

癌の発育で大きさが2倍になるのに要する時間をダブリングタイムといいます。癌細胞が、1ケ、2ケ、4ケ、8ケ、16ケ・・・と指数関数的に発育すればという仮定の下で計算すると、乳癌のダブリングタイムは3〜4ヶ月ということになります。その計算どおりにいくとすれば、1cmになるのに10年かかるという話にはなりますが、実際にはケースバイケースで、様々な要因がからみつき、全ての癌が、これに当てはまるわけではありません。
ステージUでの10年生存率は、およそ70〜75%です。
ノルバデックスは選択的エストロゲンレセプター(ER)機能調節物質と呼ばれ、ERを介してエストロゲン作用を抑制させる薬剤です。またゾラデックスは、閉経前女性の卵巣からのエストロゲン産生
を抑制します。貴女の場合は、おそらくER(+) 又は PgR(+)であると思われます。閉経前ですので、ゾラデックスで卵巣からのエストロゲン産生を止め、また乳房温存療法で、もし目に見えないような癌が体内に残っていたとしても、ノルバデックスでERに働きかけて、がん細胞レベルでエストロゲンを二重にブロックしようとしているのだと推測されます。両方の薬剤共に、それぞれ意味があります。不明な点は主治医に積極的に質問し、納得のいく治療を、前向きに受けて下さい。(文責 須田)

 

No.1862】 03年09月23日 H.F.
乳首が欠落しました

はじめまして。72歳の母の事ですが、先日突然片方の乳首が欠落しました。それまで痛みも無く、特別違和感も無かったそうです。病院へ行くようにいっていますが、なかなか行ってくれません。不安になりご相談させていただきました。よろしくお願いいたします。

メール内容だけでは詳細な状況が不明である為、正確な情報をお話しすることが出来ませんが、乳頭にただれや湿疹様の変化があって乳頭が消失したのであれば、「バジェット病」という、特殊な乳癌であることも考えられます。一度、乳腺疾患を取り扱っている外科を受診してください。(文責 須田)

 

No.1861】 03年09月23日 くろ
生検について

29歳既婚、出産経験無しです。左胸にしこり(15×9ミリ)をみつけ、病院で触診、マンモグラフィー、超音波、細胞診の結果、最初は「悪性ではないだろう、2ヶ月後にまた検査します。」と言われました。しかし説明を聞くうち、「悪性ではないが、今後それが悪性になるかどうかは分からない、詳しく知る為には生検が必要」とわかり(先生は細胞診してすぐなので気を使って2ヶ月後経過を見て生検をと考えていたようです)、今週の金曜日に生検をすることになりましたが、針での一部摘出か全摘出かは当日に返事をすることになりました。全摘出したほうがスッキリしていいのかな、とは思うのですが、2センチ位傷跡が残ると言われてしまったのがネックで、どちらにしようか悩んでいます。何年たっても傷跡は残ってしまうのでしょうか?また子供が欲しいので、一部摘出、全摘出どちらをした場合でも、もしすぐに妊娠した場合、支障はないのでしょうか?もし今回は生検をせず2ヶ月経ってしこりが大きくなってしまった場合、やはり全摘出しようと思ったら傷口は前より大きくなってしまいますよね?そう考えると今回どちらかをやるしかないと思うのですが・・・。全摘出してしまったほうがいいのでしょうか?

生検をするかしないかの判断は、腫瘤の大きさと年齢により判断します。私自身は、25歳以上、しこりの大きさが2cm以上ある場合、生検を勧めています。また吸引細胞診でclassV、 classWの場合、腫瘤をすべて摘出して全割し、連続的な切片で病理検査をします。一部を摘出して検査をしても、その一部が腫瘤全体像と一致した病変でないことを、しばしば経験するからです。貴女の場合、細胞診でclassVかclassWであったと思われますので、皮膚の傷跡の問題ではなく、腫瘤をすべて摘除して、全体が病理学的に悪くないということを確認する必要があります。従って、腫瘤の一部をとって検査するのではなく、腫瘤全体を摘出して検査することをお勧めいたします。(文責 須田)

 

No.1860】 03年09月23日 K・K
マンモグラフィ

昨年勤務先の人間ドックで、乳がん検診の際に、「マンモグラフで異常あり、半年ないしは1年ごとに経過を見るように」との指導がありました。その後引越しをして横浜に来ました。今回(約1年後)横浜市の乳がん検診を受け、触診と問診で異常なしと言われましたが、昨年のこともあり心配しています。検診センターの受診は日程的に不可能なため、他病院で検診したいと考えています。つきましては、横浜市内でマンモグラフィの設置をしている病院、及び指定医のいる病院を教えてください。尚、この場合(去年、マンモグラフィでひっかかったという事実)、保険は適用にはならないのでしょうか?勝手に検診をしに行った場合、保険外になるのでしょうか?宜しくお願いいたします。

人間ドックのマンモグラフィー検査で「要精査」となったことを申し出れば、一般的には、保険診療で、触診・超音波検査・マンモグラフィーを行うことになります。「日本乳癌検診学会」のホームページで、乳癌検診マンモグラフィーの読影医のいる病院と名簿が出ていますので参考にしてください。(文責 須田)

 

No.1859】 03年09月23日 M.O.
右胸の痛み

3歳、1歳2ヶ月の子の母です。8ヶ月まで混合でしたが、授乳をしていました。3ヶ月くらい前から右胸にちくちくするような痛みがあります。一ヶ所ではなく、胸の周囲から肩甲骨のあたりまで感じることもあります。ひどい痛みではなく、子供を抱っこするからかなと、軽く考えていたのですが、最近心配になってきました。押さえると筋が痛いような気がします。私は胸自体小さく、授乳を終えてからはほとんど乳房というより平らな状態で、自分で触ってもしこりとかは感じません。それと、まだ両方の乳首から乳白色の分泌物がでます。てっきり母乳だと思っていたのですが・・・。病院で診てもらうならやはり乳腺外来が良いのでしょうか?

メール内容を拝見する限り、乳癌は否定的ですが、あれこれ思い悩んでいるよりも、ちゃんと診察を受けて、「現在のところは乳癌の心配はない」ということを確認し、すっきりした気持ちで子育てに臨んでください。なお、乳腺疾患は外科で取り扱いますので、乳腺外科で診てもらってください。(文責 須田)

 

No.1858】 03年09月23日 K.T.
ホルモン療法の薬の選択 (HPNo.1345

前回はありがとうございました。NO1345で相談させていただいてすぐノルバデックスからフェアストンに薬を変えて飲み始めました。ところが、一ヶ月半飲んだところで生理が始まりました。ちょうど診察日だったので主治医の先生に相談したところノルバデックスに戻されました。相変わらずホットフラッシュがひどい為、三ヶ月飲んだところでアリミデックスに変えました。ホットフラシュは相変わらずでしたが、尿意(ホットフラッシュが始まるとトイレに行きたくなり、治まると尿意も治まります)は十日目からなくなりましたので、しばらく飲むことにしました。でも、三ヶ月ちょっと飲んだところで、又生理が始まってしまいました。お薬は、まだ18錠残っています。相談室のNO1755-1.2をみて、このままアリミデックスを飲んでしまってもいいのか、すぐに違う薬に変えに病院に行った方がいいのか悩んでいます。よろしくお願いいたします。

閉経前乳がん患者にアロマターゼ阻害剤を使用すると、フィードバック調節の遮断によって性腺刺激が増大し、多数の卵巣のう胞が形成されることがあります。卵巣機能が一部維持されることがあり、閉経前の場合、アロマターゼ阻害剤は不適切ということになります。
貴女の場合、おそらく閉経後だと思いますが、もう一度、閉経前のホルモン状態か、閉経後のホルモン状態かを調べる為のエストロゲン血中濃度の測定等も含め、主治医とよく相談なさって、適切なホルモン剤の選択をしてください。(文責 須田)

 

No.1857】 03年09月23日 K.T.
乳輪下膿瘍(2)  HP1774-2

再度ご相談いたします。切開後、膿の排出中に新たにできたしこりは悪性ではなく、抗生物質を数週間服用しましたが、2週間で数ミリほどしか小さくなりませんでした。現在は当初の傷口(切開した)から少しずつ膿が出るので、毎日自宅消毒(リバノールガーゼにて)し、週1度診察(消毒)に通っています。同じ病院内に数名の乳腺外来の医師がいらっしゃったので、担当医以外のお話を聞いたところ、「悪性ではないので時間はかかるけれど様子をみては?」ということで、その方向で考えていたのですが、担当医は初診から手術を勧められるので、考えあぐねています。セカンドオピニオンとして他院を受診する場合、現病院の紹介状が要るらしく、それもなんとなく患者からすれば分が悪いような気持ちがあり、二の足を踏んでいます。抗生物質を止めた後、傷口附近にたまに痛みを感じることと、しこりのある右肩がやや凝る感じがある以外、普段通りの体調です。アドバイスをお願い致します。

乳腺膿瘍は、一般に、他の部位の膿瘍よりも抗生物質等の保存的治療では治りにくく、時間がかかります。あせらずに、根気よく、治療を続けてください。ただし、軽快する傾向がなく、治療に時間がかかりすぎる場合は、膿瘍の切除も含めて考えなければならないことは多々ありますので、主治医と充分相談の上、治療方針を決定して下さい。なお、セカンドオピニオンに関してですが、主治医に、セカンドオピニオンを受けたい旨、素直にお願いすれば、一般的には快く紹介状を書いてくれるはずです。いずれにしても後悔のない、納得のいく治療を受けられるよう願っています。(文責 須田)

 

No.1856】 03年09月23日 M.M.
術後補助化学療法タキソールについて

45歳。左乳房切除後、術後補助化学療法としてECを3クール受けました。しかし嘔気、食欲不振、全身倦怠が3〜4日強く自分でももう耐えられないと思っていましたが、主治医からも今回でECはうちきり、次回からタキソールに変更しようと言われました。毎週投与3回を1クールにするとのことです。主治医からは、「消化器症状は少ないし、白血球もほとんど問題ない、手足のしびれや筋肉痛程度だが、初期にはアレルギーのおそれがあるので前もってベナ5錠を服用してもらう」との説明を受けました。前回治療の副作用が強烈だったため、また新しい薬に対する不安が押さえられません。再確認するようで申し訳ありませんが、タキソールの副作用は上述のように比較的軽いと考えていいのでしょうか?白血球はECではあまり減少しませんでしたが、タキソールではあまり考えなくていいのでしょうか?ベナ5錠はかなり多い量だと思うのですが、こんなに必要なのでしょうか?よろしくお願いいたします。

タキソールに対する重篤な過敏症はショックで、本剤を投与開始後10分以内に発現します。この重篤な過敏症状の発現を防止する為、タキソール投与前に、必ず、デキサメタゾンと塩酸ジフェンヒドラミン錠50mg(ベナ5錠)の前投薬が必要となります。更に、その他の副作用としては、白血球減少(99.2%)、好中球減少(97.5%)、ヘモグロビン減少(89.3%)、血小板減少(24%)等の骨髄抑制、末梢神経障害、関節痛、筋肉痛等があります。1日1回 210mg/uを3時間かけて点滴静注し、少なくとも3週間休薬する療法に代わって、1/3量を3回に分けて3週間投与する方法だと、副作用の発現が少なくなります。副作用を少しでも軽減する為に、現在ではこの投与法が広く行われるようになってきていますが、それでも副作用の程度は個人差があり、様々です。主治医とよくご相談なさって、前向きに頑張ってください。(文責 須田)

 

No.1855】 03年09月23日 N.M.
産後二ヶ月の母です

初めまして。HPを見て相談にのって頂きたく、メールしました。32歳で3人目を7月に出産しました。母乳がそんなには出ないので、ミルクが9、母乳1くらいの割合であげています。(母乳の回数は3〜5回位です。) 昨日右の腋の下に2センチ位のしこりを発見しました。押すと少し痛い感じです。左にはありません。前に似たような相談をしていた女性の方がいましたが、完全母乳という事だったので・・・。私は乳房が張る程母乳も出ていないので、少し心配になりました。まだ病院には行ってないのですが、産婦人科がいいのですか?それとも外科がいいのでしょうか?乳がんかと思い、とても心配です。よろしければ教えて下さい。

「右の腋の下に2センチ位のしこり」との事、直接拝見していないのではっきりした事は申し上げられませんが、「副乳」、「腋窩リンパ節腫脹」などが考えられます。授乳の時期との事、乳房撮影ではあまり情報が得られないかもしれませんが、乳腺外科を扱っている外科でご相談下さい。(文責 須田)

 

No.1854】 03年09月23日 F
乳房の痛みとしこりについて

はじめまして、35歳の主婦です。6月にしこりのようなものを感じ、近くの市民病院に行き、触診とマンモグラフィーをしてもらいました。「触診でも何もないし、何も写っていませんから大丈夫」と言われたのですが、生理10日前頃になると、左胸の下あたりが固くはれて痛みます。生理が終わると痛みも少なく、しこりのようなものも小さくなります。ただ、そのしこりのようなものは、座って上から下に押すように触るとゴリゴリとしているものがわかるのですが、下から上に触ったり、病院で触診していただくときみたいに寝て触った場合は、よくわからなくなってしまいます。それは乳腺なんでしょうか?前にしこりと感じたところも乳腺だったのですが、左右で乳腺の硬さは違うのでしょうか?乳がんのしこりとはどのようなものなのでしょうか?お忙しいとは思いますが、宜しくお願い致します。

メール内容を拝見する限り、月経周期に伴う一連の正常範囲内での乳腺の変化だと思います。「病院で触診した時と同じ体位ではしこりがわからない」ということですので、乳癌は否定的ですが、乳癌はしこりとして認識できるものから、触知しないものまで様々です。念のため、不安を解消する意味からも、検診を続けることをお勧めいたします。(文責 須田)

 

No.1853】 03年09月23日 akiko
乳房のびらんとは?

29歳、未婚の女性です。乳房のびらんとは何ですか?私は極たまに乳房が痒くなります。1回くらい掻くとすぐ治るのですが、たまに乳房の皮が少しめくれる時があります。痛みは一切ありません。分泌液とかはでません。こっれて何かの病気ですか?

乳頭部に湿疹様の変化(痒みを伴うことあり)や、びらん(ただれること)が認められる場合、パジェット病という特殊な乳癌であることがあります。乳頭部でない場合は、おそらく皮膚科領域の湿疹を中心とする、乳癌とは関係のない病変だろうと思われますが、ご心配であれば、乳癌でないことを確認する為にも、一度、乳腺外科を受診なさってください。(文責 須田)

 

No.1852】 03年09月23日 Y.S.
経口薬ゼローダについての質問です

こんにちは。1月に母が乳がんで手術し、その後放射線を1ヵ月、タキソールとハーセプチンの点滴を2クール(3クールだったかも・・・)しました。そして8月からゼローダという薬を飲んでいます。インターネットで調べたところ、ゼローダは手術できない乳がん、再発乳がんに使うものとありました。母はしこりはなく、石灰化したがんがパラパラとあったガンでしたが、リンパにも10個転移していたので、再発の可能性は50%と言われております。でも今の時点で再発していないのにその薬を使うのはどうなのでしょうか?3週間飲んで先週1周間の休みだったのですが、薬をやめたら頭痛がひどかったようです。脳への転移を心配してCT検査もしましたが、異常はありませんでした。血液検査も白血球は少なかったのですが、特に問題はなかったようです。飲んでいる間も口の中が気持ち悪かったり、なんとなくだるかったり・・・、新薬ということもあり薬に対する不安があって「やめちゃおうかな」と言い出しています。ゼローダについて、またもしその薬を止めた場合の治療法について教えてください。

ゼローダは新薬で、現在のところ、その用法については、アンスラサイクリンを含む治療後の次の薬として位置づけられています。お母様の場合、リンパ節転移が10個と多い為、主治医の先生は再発を心配されて使用を決断されたのでしょうか。副作用のひどい場合は、休薬や減量ということになりますが、お母様の場合、現在のところ、副作用もさほどひどくなく、継続することは可能と思われます。もし止めた場合は、CEF療法のようなアンスラサイクリンを含む治療が望ましいと思います。主治医と相談し、納得のいく治療を受けてください。(文責 須田)

 

No.1851】 03年09月21日 SH
触診でわかる「しこり」について

はじめまして、よろしくお願いします。45歳の主婦です。昨年の6月に触診のみの健診でひっかかり、エコーで約1、2cmと言われ、同時に細胞診をしました。結果、悪性のものではないと言われ、心配なら三ヶ月後でも半年後でも、又来るようにと言われました。家系にガンを患った者が多いせいもあって、心配性の私は3ヶ月後、乳腺外科のある総合病院の外来を診察しました。エコー、マンモグラフィー、触診の結果は「何も無い」だったのです。そして今年、また触診でしこりを指摘され、要検査となりました。昨年と同じ乳腺外科に行こうと思っていたところ、実母が長期入院をしいられたため、毎日の見舞いを兼ね、その病院の外科でマンモグラフィーの検査をしてもらいました。そしてやはり「異常なし」だったのです。昨年の1、2cmのしこりと細胞診をはじめ、自分で触っても「しこり」らしきものに触れるわけで、自分でもどう理解していいのかわからない始末です。毎年6月に健康診断で触診のみの健診があるので繰り返すことになりますが、気にしなくてよろしいでしょうか? また昨年のエコー、細胞診での「しこり」が何だったのか、考えられる範囲で教えていただければ幸いです。長文になりましたが、よろしくお願いします。

触診でのしこりが必ずマンモグラフィーで病変として描出されるとは限りません。例えば、乙女峠は、富士山の眺めが美しい場所の一つですが、必ず富士山の写真がとれるかというと、そうでもなく、「晴れている昼間」という条件付になります。夜とか、雨が降っている場合は、そこに立っていても正面の富士山は確認できません。
マンモグラフィーは乳房のX線透過率の違いによってフィルムが反応するわけですから、乳腺が多い場合、X線が透過せず、しこりを隠してしまうことになります。富士山に雲がかかってしまった状態と同じです。従って、触診ではしこりが認められても、マンモグラフィー上では病変が描出されず、「異常所見なし」ということになります。このように条件が揃わなければ描出されないケースは、日常診療においていくらでもあります。「これを行えば全てがわかるという」検査は存在せず、乳癌の場合は、触診、マンモグラフィー、エコー、細胞診を行って、総合的に判断することになりますが、更に結論が出ない場合は、3〜6ヶ月毎にfollowしていく事になります。貴女の場合、触診で「しこり」が認められるのですから、乳癌でないことを確認する意味からも、6ヶ月毎の検診を受けるよう、お勧めいたします。「癌を疑う所見がない」、つまり「黒でない」と言っている場合、黒でなければ白であると結論付けることはできず、「灰色」もあるということです。(文責 須田)

 

No.1850】 03年09月21日 C.I.
胸がはる症状について

はじめまして、どうしても気になってメールいたします。どうか相談にのってください。生理の3日ぐらい前から胸がはりはじめました。いつもより胸がはり、脇まで気持ち悪い感じです。脇が張っているような痛みはないのですが、その時たまたま新聞で乳がんという字をみてからは、なんだか痛いような気がします。その時点で急に上半身が熱くなり、37度4分と熱がでました。その後、食欲がなく、寝て起きると熱は平熱にもどるのですが、パソコンの前にすわったり、何か用事をすると顔がほてる感じで、熱を測ると37度前後です。生理がはじまると、胸のはりも脇の違和感もなくなりました。これは乳がんを心配したほうがいいのでしょうか? 近くの小さな内科に行き診断をしてもらったのですが、触診で、「しこりもなにもない」と言われました。少し体調が悪かったため自律神経が正常に作動してないのだろうと言われ、自律神経の薬を貰いました。その薬を飲んでからは顔がほてるという症状はありませんが、生理前のいつもよりはった胸と脇の違和感がどうしても気になります。次の生理の時もそうなったらと考えると、胸のあたりから脇にかけてあつくなり、心配です。他の病院で検査してもらったほうがいいのでしょうか。36歳、結婚しています。子供なし。

メール内容から判断すると、月経周期に伴う一連の正常範囲の症状だと思います。月経に伴って症状が消失していることから、乳癌は否定的ですが、念のため、乳癌でないことを確認する為にも、年1回の定期的な検診をお勧めいたします。(文責 須田)

 

No.1849】 03年09月21日 M.A.
補助治療について

先月、乳房温存で手術、49才、既婚、閉経前です。病理結果は浸潤性硬癌、大きさは1.2X1.8、異型度はU、断端はsuspiciousとなっていました。V(+/-)、ly(+)、リンパ節は郭清していないのでわかりません。ホルモンレセプタ−はER(-) PgRは80パ-セントの腫瘍細胞が陽性から強陽性です。現在放射線治療中ですが、そのあと抗癌剤かホルモン治療かどちらかに入る予定です。私にとってはどちらがベストでしょうか?12年前に母が子宮頸癌で手術、現在完治しています。母の病歴が気になります。なお今、放射線治療6回目で、一時中断しています。感染症にかかり抗生剤を飲んで腫れが退いてきています。来週には再開出来る見通しです。放射線を中断したことは、今後に何か影響がありますか?リンパ節を郭清していないのでly(+)も気になります。お忙しいところたくさんの質問で申し訳ございませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

米国国立保健機構による「乳癌術後補助療法に関するコンセンサス」は以下のようになっています。
1) ホルモンレセプター(ER又はPGR)陽性患者には、年齢、閉経状況、腋窩リンパ節転移の状況、腫瘍径にかかわらず、補助内分泌療法を推奨しており、例えば、タモキシフェン5年間投与ということになります。
2) 70歳以下の患者では、閉経状況、リンパ節転移状況にかかわらず、補助化学療法によって、健存率、生存率が改善されます。単剤よりも多剤併用(アンスラサイクリンを含む)療法が推奨されています。

貴女の場合、V(+/-)、ly(+)を気になさっていますので、アンスラサイクリンを含む術後補助化学療法4サイクルを行った後、術後内分泌療法としてタモキシフェンを内服するのも1つの方法だと思います。主治医と相談の上、選択してください。
次に放射線治療に関してですが、乳癌以外の癌において、根治的放射線治療の総治療期間を何らかの理由で延長した場合、治療効果の低下することが知られています。従って、乳房温存術後の乳房照射に関しても、照射期間を延長すると、局所制御などの治療成績に悪影響を及ぼす可能性は考えられますが、現在のところ科学的根拠は得られておりません。まず体調を整えて照射するのが原則ですから、あまりあせらず、前向きの姿勢で治療に臨んでください。(文責 須田)

 

No.1848-1】 03年09月21日 M.S.
微小癌の治療について

4年前に左乳房温存で手術、放射線、抗がん剤と一通りの治療をし、現在はフルツロンとビタミン剤を服用しています。今年7月の胸の超音波で右胸にしこりのない微小石灰化がみつかり、1週間ごとに2回の細胞診をしましたが、癌細胞はみつからず、念のため、石灰化部分を含め5センチ×3センチ程摘出したところ、5×4ミリの癌がみつかりました。今後の治療として、前回のように扇状に部分切除し、脇、鎖骨のリンパ節の切除を勧められました。年齢が現在38歳ということもあり、勧められたと思うのですが、切除した断端には癌は認められないため、私としてはそこまでしなければいけないのか、迷っています。長くなりましたが、どうぞ、ご意見をお聞かせください。

微細石灰化の生検結果で、5×4ミリの癌が見つかったとの事ですが、病理の結果、乳癌が乳管内に留まっている乳管内癌であれば、腋窩リンパ節の郭清はしなくて良いと思います。また、乳管内癌でなく、浸潤癌の場合は、センチネルリンパ節生検を行って転移の有無を確認し、そこに転移が認められなければ、腋窩リンパ節郭清を省略するという方法が試みられています。現時点では、まだ標準的な治療方法ではありませんが、バックアップ郭清のデータが蓄積され、良好な成績が示された施設では、ご本人の希望を前提に、貴女のような腫瘍径の小さい症例に適用されています。主治医とよくご相談の上、納得のいく治療を受けてください。(文責 須田)

 

No.1848-2】 03年10月01日 M.S.
術後の補助療法について

主治医と話し合った結果、勧められた手術を受けることにしました。さて、術後の補助療法ですが、もし、抗癌剤治療を行う場合、前回のCAFをまた行って効果はあるのでしょうか。現在、フルツロンを服用しているにも関わらず新たな癌ができたというのは、同じ内容で抗癌剤治療をしても意味があるのか、疑問に感じています。その点を主治医に確認しましたが、「問題ないと思う」ということでした。まだ、病理の結果が全部わかっていないそうで、浸潤癌ということ以外の情報はないのですが、アドバイス頂ければ助かります。

術後補助化学療法としては、アンスラサイクリンを含む治療が推奨されており、治療期間は一般的には6サイクルです。更に今回反対側に新たな癌が発生したと考え、それに対して、アンスラサイクリンを含むCAF療法を6サイクル行うことにしたのだと推測されます。今回の反対側の乳癌が転移だと考えれば、主治医の先生は、おそらく一次化学療法剤であるアンスラサイクリン系薬剤の使用をやめ、二次化学療法剤として、タキサン系抗癌剤(パクリタキセル、ドセタキセル)を考えていらっしゃると思います。病理結果を待って、主治医と相談の上、治療を進めてください。(文責 須田)

 

No.1848-3】 03年11月01日 M.S.
ホルモン治療について

先日、乳房は追加切除せず、リンパ節の郭清術のみ受けて退院してきたところです。最終的な検査の結果、非浸潤性入管癌、ER:陽性:80%〜90%、PR:陽性:40%〜50%、HER2:判定不能(入管内進展部 1+)、リンパ節への転移、−でした。前回、浸潤癌ということでアドバイス頂きましたが、最終的にはこのような結果でした。今後、ホルモン治療を注射と飲み薬両方で勧められています。具体的なお薬の名前と続ける期間を教えて頂きたいと思います。入院中、主治医と副主治医に別々の機会にちょっと違う治療法を聞かされ、確認しづらいままに退院してしまい気になっています。また、注射を受けるにあたって、次の生理が終わってすぐ始めた方が良いのでしょうか? 最後に、フルツロンの服用はまだ必要でしょうか? わかりづらい文章で申し訳ありませんが、以上のについてご助言お願いいたします。

非浸潤性乳管癌で乳房温存術を施行したということですね。術後ホルモン療法の有用性についてはまだ確立していません。使用するとしてもタモキシフェンという経口薬ですが、メリット、デメリットを主治医と相談しましょう。注射は、ゾラデックスという卵巣の機能を抑える薬と考えられますが、現時点では、あなたに適応はないと考えます。
非浸潤性乳管癌では、術後の抗癌剤の適応はありません。したがってフルツロンは不要です。(文責 徳田)

 

No.1847】 03年09月21日 S.K 
11年目の新たな乳癌

私の母(62才)のことで質問させてください。母は11年前、左乳房に癌が見つかり全摘出しました。リンパにもいっていたそうで、「取れるところはすべて取った。」と当時の主治医はおっしゃっていました。その後、放射線治療・抗がん剤・ホルモン療法をし、毎年検査を欠かさず受けてきました。(当時は私も23才、今のようにインターネットで検索・・なんてこともできなかったので、上記のような説明しかできません。)
10年が何事もなく過ぎ、ホッとしていた矢先、今年8月末に、母本人が右乳房の内側に3センチ大ほどのしこりをみつけました。今年の1月には定期検診を受けており、触診、血液検査による腫瘍マーカーも異常なく、他の超音波検査・骨シンチ(他の検査もしているようですが、正式名称が分かりません)などの検査でも異常は見つかりませんでした。本当に突然、しこりを発見した・・・という状態です。前回の手術をし、定期検診にかよっていた国立S病院の乳腺を担当している先生に今回も診ていただきました。触診・レントゲン・超音波・マンモでははっきりと判断がつかず、細胞針検査をうけました。その結果は以下の通りです。
検査結果: CLASS V
所見: 粘性成分を背景に、核腫大した異型導管上皮細胞の結合性と保たれた集塊と緩い結合性を伴う集塊が認められます。粘液癌の細胞像と判断されます。組織診でのご精査を希望します。

悪性だったということがわかり、また、粘液癌という耳慣れない、医師からしてもまれなタイプの癌(比較的おとなしい癌だと聞きました。)、しかも新たな癌ということで、さまざまな動揺があります。実は来週水曜日、再び病院に行き、紹介してもらう病院を決めなくてはなりません(今後病院側、先生の都合により、転院せざるを得ない状況)。同じ沿線のH病院を・・・と考えております。他、B医大などが候補にあげられています(通える範囲内・・ということで)。
そこで質問です。
1) 病院の選択をどう思われますか?
2) 粘液癌という診断ですが、1月の検診では確認されず、本人も短期間にもかかわらず、しこりが大きい事にびっくりしています。粘液癌について、もう少し詳しい説明をお願いします。
3) 今回の細胞診の結果はどう読み取ればいいのですか?
4) 今後、組織診を行い、それをすることで、浸潤性か非浸潤性か、リンパなどに転移はないかどうか・・・などがわかるのですか?
5) 右も全摘出するということになると、両方の乳房を失う事になるのですが、再建術などは可能ですか? あるいは、状況によっては右だけでも温存の道を選択してもいいのですか?

長々スミマセン。まだまだ勉強中の身、お許しいただければ幸いです。でも、このサイトに出会えた事、とても感謝しています。よろしくお願いします。
 

1) 現在までのデータがある通院中の病院で治療を受けることがベストだと思いますが、どうしても転院をということであれば、今後の継続的な治療を考えて、無理なく通える範囲内が良いと思います。
2) 粘液癌とは、がん細胞が粘液を産生することが特徴で、腫瘤全体がほぼ粘液状病巣で占められています。他の乳癌に比べてリンパ節転移をする頻度が少なく、一般的には予後は良好であると言われています。癌細胞の集塊が粘液に包まれているという特徴的な所見で、細胞診で診断が可能です。発生頻度は全乳癌の1〜4%です。
3) 粘液癌の場合、細胞診で特徴的な所見があり、診断が可能ですので、粘液癌ということで間違いないと思います。
4) 5) 細胞診の結果の確認のために組織診を行うのだと思います。乳房温存術でも、胸筋温存乳房切除術でも可能です。主治医にメリット、デメリットを充分に説明してもらった上で、いずれの手術にするかを選択なさってください。乳癌患者さんの場合、更に反対側に新たに乳癌が発生する確立は、病気のない人に比べて約4倍といわれています。癌細胞が粘液をたくさん作り出すので、急にしこりが大きくなることも有り得ます。いずれにしても、主治医と相談なさって、前向きの姿勢で、納得のいく治療を受けられるよう、頑張ってください。(文責 須田)

 

No.1846】 03年09月21日 q 
乳頭分泌

18歳です。数日前から胸が痛く張っていて、乳頭から分泌液が、自分が気づいた回数は2回で、シャツについた気がしました。分泌液はシャツについた感じだと透明だと思います。その後押してみましたが、今のところ分泌液は出ません。しこりは自分で触った感じでは確認できませんでした。婦人科へ行って、その症状を看護婦さんに言ったところ、乳がんの可能性の説明をされ、「触診をするかもしれませんね」と言われ、とても驚きました。先生には「とりあえず血液検査でホルモンバランスをみましょう」と言われましたが、触診もされていないし、その結果は2週間後なので、とてもとても心配です。乳がんの可能性があるのでしょうか?毎日とても不安です。

一般に乳頭分泌が認められた場合、乳癌が乳管から発生する為、分泌液中の癌細胞の有無を調べる必要があります。この場合、癌が瘤として認識できるかどうか、まず触診してみることになりますが、貴女の場合、18歳という年齢から考えて、乳癌の発生は否定的ですので、まず乳癌は考えなくて良いと判断している訳です。乳頭分泌は、乳癌以外に、ホルモンの異常によって母乳が少し出ることもありますが、この場合は、プロラクチン(母乳の分泌を促すホルモン)の異常の有無を調べる為に血液検査を行うことになります。あまり心配する必要はありませんので、2週間後の結果を待って下さい。(文責 須田)

 

No.1845】 03年09月20日 F.Y. 
術後の治療について

はじめまして。34歳の主婦です。今年3月31日に左乳房温存手術をしました。検査結果は、大きさ2.5p、T2N0M0、stage2a,ホルモンレセプター(−)、リンパ節転移なし、術後4週間後から放射線治療を25回受けました。主治医からホルモン治療を勧められ、ノルバデックスを飲んでいましたが、生理が止まり、現在は中断しています。化学治療はどちらでもいいということで、するなら経口の抗ガン剤らしいのですが、私の場合、
1) どのような治療が適しているのでしょうか。
2) 再発・転移の確率はどれくらいでしょうか。
術後半年後のCT検査の結果、肺・肝臓転移なし、エコー異常なし(怪しい影はあるが脂肪とのこと)でしたが、現在何も治療なしということで 大変心配です。宜しくお願いします。

1) 手術後の補助療法として一般に広くコンセンサスが得られているものにザンクトガレンのリコメンデーションがあります。これによると、「ホルモン反応性があるかどうか、リンパ節転移(−)の患者さんで組織学的な腫瘍の大きさが2cm以上、組織学的な核異型度がgrade2-3、年齢が35歳以下」のいずれか1つを満たす場合は、ハイリスク群として、CMF療法、又はCEF療法等の化学療法が推奨されています。貴女の場合、34歳であり、腫瘍が2.5cmありますので、化学療法を行ったほうが良いと思いますが、脱毛などの副作用もありますので、点滴にするか、経口薬にするかも含め、主治医と充分相談なさってください。
2) 再発・転移の確率ですが、一般にstageを考慮しない場合、400人手術すると100人が再発します。100人中、70人は3年以内、20人が5年〜10年、残りの10人が10〜15年で再発すると言われています。従って数字上は400人中、残りの300人は再発しないということになります。ただし、100人に入るのか、300人に入るのかが分からないので、私自身は15年間followしていくことにしています。(文責 須田)
 

 

No.1844】 03年09月20日 y.s
授乳中のしこりについて

6月に出産し、2ヶ月の男児の母になりました。年齢は27歳です。母乳のみで育てています。8月に体調を崩し抗生物質を服用したため、2週間程授乳をしませんでした。授乳再開してから右下にしこりがあることに気が付きました。かかりつけの産婦人科で相談しましたが、お乳が残ってしこりになっていると言われました。現在もしこりがありますが、乳癌なのでしょうか。とても心配でメールさせていただきました。

「お乳が残ってしこりになっている」ものを「乳瘤」といいますが、悪性のものではありません。のう胞の中に母乳が溜まったもので、エコー検査では、「のう胞」として描出され、乳房撮影では、「透遼性の腫瘤」として描出されるので、診断がつきます。「癌かもしれない」と心配なさっているようなので、主治医にお願いしてエコー検査を行い、「のう胞」であることを確認してもらうと良いかもしれません。(文責 須田)

 

No.1843】 03年09月20日 Y.I.
左胸に、しこりみたいな感じがするのですが・・・

左胸側面に、しこりみたいな感覚があるので、近くで乳腺外科を探しているのですが見つかりません。奈良県・大阪でありませんか?

乳腺の疾患は外科で取り扱います。「乳腺外科」と標榜していなくても、大学の付属病院、地域の中核となる総合病院などには、乳腺の専門医がいると思います。お近くの病院にお問い合わせください。また、乳癌検診学会のHPでも専門施設を紹介していますので、参考になさってください。(文責 須田)

 

No.1842】 03年09月20日 M.H.
石灰化について

38歳、子どもが二人(9歳と6歳)います。先日、自己検診のまねごとをした際、乳頭より白色の分泌物がでたため受診した結果、触診、エコーでは異常は認められなかったものの、マンモグラフィーで石灰化がありますといわれました。そのような知識が全くなかったため、たいした質問もせずに帰ってきたのですが、今になって急に心配になったので質問させていただきます。石灰化した部分は乳頭より下の部分だったように思います。はっきりは覚えていないのですが、先生が「形が丸いので問題はないでしょう」とおっしゃったように思います。その後、「次回の検診は2年後で結構です」とおっしゃられたのですが、こんなに間を空けて大丈夫なものなのでしょうか。自宅に帰り、いろいろ調べるうちに、石灰化は癌の初期段階の可能性があるとの記事を読み心配になりました。ちなみに、マンモグラフィーによる検診は初めて受けました。お忙しいところ申し訳ございませんが、ご返答のほどよろしくお願い申し上げます。

マンモグラフィーによる検査では、主として、「腫瘤像があるかどうか、石灰化があるかどうか」の2点について調べます。大きさが0.5mm以下で、ある程度の数の石灰化像がある場合、その形と分布状態によって総合的に判定し、カテゴリー3,4,5については精査が必要ということになっています。貴女の場合、「形が丸く、次回の検診は2年後」と主治医が診断していますので、おそらく、カテゴリー2、又はカテゴリー1の石灰化であり、癌の初期段階とは関係のないものと思われます。
検診の間隔に関してですが、乳頭分泌が続くようであれば、6ヶ月に1回は検診を受けるようにしてください。(文責 須田)

 

No.1841】 03年09月20日 しづ
骨の痛み

去年の11月に左胸の乳がんの手術をしたのですが、抗がん剤治療を行ってから右側の胸の骨がズキズキ痛みます。主治医に話しましたが、大丈夫というだけで、それ以上の事は聞けません。現在は放射線治療を終え、ホルモン治療をしています。
@ 骨の痛みはどういう原因なのでしょうか?
A 今行っているホルモン治療ゾラデックの注射を二年とノルバテックスを5年の治療を途中で中断し、妊娠をしたいと思っています。現在は去年の11月からノルバテックスを飲み、ゾラデックは4ヶ月すみました。治療を中断して行うのはどの時期がいいのでしょうか?

1) 骨の痛みに関しては、念のために骨シンチ、CT等の検査を行っていただき、骨転移の問題がない場合は、整形外科で診察を受けられるよう、主治医にご相談ください。
2) 乳癌術後の妊娠に関しては、以前より、がん細胞が残存している場合、大量の女性ホルモンに暴露されるために再発したりする危険性が高いとされていましたが、現在では、乳癌学会の「科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン」作成に関する研究によると、乳癌術後の妊娠を避けるよう指導すべき根拠に乏しいという考え方に変わってきています。
乳癌術後の補助療法としてのホルモン剤は、患者さんの内分泌環境に大きな影響を与え、妊娠の成立自体に抑制的に働く場合が多いようです。又、妊娠しても、継続的に障害が起こり得るし、胎児の発育に対しても悪影響を及ぼす可能性があるので、薬物治療中は妊娠を控えたほうが良いと思います。薬物投与終了後、少なくとも半年以上たっていること、及び続けて2回以上、以前と同じような月経があることを確認すれば、妊娠してもよいとされています。
遠隔転移の有無の確認、手術時のstage、リンパ節転移の有無等を総合的に判断して、治療中断の時期を決めることになりますので、主治医と納得がいくまで相談し、慎重に決定されるよう、お願いいたします。(文責 須田)

 

No.1840】 03年09月20日 M.M.
授乳中のしこり

昨年5月に第2子(1歳3ヶ月)を出産し、いまだ授乳している母です。第1子(現在6歳)を出産後と同様に母乳の出が大変よく、二人とも母乳のみで育てております。実は約半年前から、左胸外側にしこり(大豆ぐらい)ができまして産婦人科に行ったところ、乳腺炎になる手前のところだろう?と診断され、できるだけ左胸から授乳するようにとの指導がありました。左側から授乳していたものの、しこりは取れなかったため、母乳マッサージに行ってみましたが、心もちしこりが小さくなるだけで、しこりが取れませんでした。ここでも左胸から授乳して、なるべく、赤ちゃんにとにかく吸ってもらうようにとの事でした。指導を受けて約半年がたちましたが、いまだにしこりは取れないままでいます。第1子に授乳中のときにも左胸にしこりが2つできましたが、産婦人科に行って薬を処方していただき、すぐにしこりはなくなってしまいました。今回も同じ薬を処方してもらえば、すぐによくなるのでないかと思いますが、今かかっている産婦人科では、同じ薬を処方してもらえません。もしも乳癌だったらと考えると、怖いなと思う毎日です。現在は授乳中で、後最低1年は授乳を続けるつもりですが、今すぐに乳腺外科に行くべきでしょうか?

授乳の時期に出来た新しい瘤なのか、母乳のうっ滞によるしこりなのかを確認する為に、超音波検査を行う必要があります。母乳のうっ滞によるしこりであれば、授乳指導、マッサージ等で症状を軽快させることができますが、新しい瘤ができている場合は、更に細胞診等の検査が必要になります。授乳中でも大丈夫ですので、一度乳腺外科を受診し、確認してもらってください。(文責 須田)

 

No.1839】 03年09月18日 ちより
補助療法としてのサプリメントについて

手術・放射線も無事終わりました。ホルモン陰性のため、後は定期検診のみですが、心細いので何かサプリメントを摂ろうと思い、今インターネット等で情報を集めているところです。代替療法ですので、まだ科学的な根拠は少なく、研究の途中であるということはわかりました。まだ普通の西洋医学の病院で扱われることは少ないと思いますが、Kがんセンターでは、プロポリス、AHCC、乳酸菌、冬虫夏草が扱われていると、がんに詳しい看護師さん(がん化学療法認定看護師)から聞いたのですが、その方も詳細はよくわからないそうです。ホームページ等も調べたのですが、そのことは書いてありませんでした。どのように患者さんに使われているのか、または研究のために一時的に使われていただけのか等、それらについての情報があれば教えてください。

代替療法の個々については患者さんが個人的に使用されているので、どの病院でもまとまった情報はありません。貴女がおっしゃるように科学的根拠に乏しく、医師の方から勧めることはほとんどないようです。先日の「第2回かながわ乳癌市民フォーラム」で健康補助食品について行った、再発・転移を経験していない方の事前アンケートでは以下のような結果が出ましたので、参考までに列挙します。
1) 健康補助食品について
一度も使ったことがない(48%)、一時使ったが現在は使っていない(23%)、現在使っている(31%)
2) 使い始めたきっかけについて
自分で探した(26%)、家族の勧め(34%)、友人・知人の勧め(38%)、医師の勧め(0%)、その他(1%)
3) 健康補助食品を使うとき
主治医に相談しない人(77%)、 主治医に相談する人(23%)
4) 主治医に相談したとき、何と言われましたか?
効果が無いので止めなさい(0%)、現在の治療に影響があるかもしれないので止めなさい(11%)、科学的根拠のない治療はお勧めしません(21%)、効果があるかどうか解らないのでコメントできません(21%)、あなたが良いと思うならば使ってはどうですか(32%)、主治医が良いと思う健康補助食品を勧めてくれた(0%)、その他(16%) (文責 須田)

 

No.1838-1】 03年09月18日 M 
乳がん検診について

乳房に1cm位のしこりができ乳腺線維腫と言われました。触診、エコーと細胞診を受け、念のために10月初旬にエックス線の検査をするそうです。その時は生理の一週間位前なのですが、正確な診断を受ける事ができるでしょうか。

1cmの乳腺腫瘤を、触診、エコー、細胞診で検査し、線維腺腫と診断されたとの事、おそらく間違いないと思います。乳房撮影では、主として、腫瘤像があるかどうか、石灰化像があるかどうかを調べますが、今後のfollowのためにも必要ですので、必ず検査を受けて下さい。
貴女の言う「正確な診断」とは、どのような病変でも、乳房撮影で100%診断可能かということでしょうか? 残念ながら、現在のところ、この検査を行えば100%必ず分かるという検査はなく、触診、エコー、細胞診、乳房撮影を行って総合的に判定し、更に定期的にfollowしていうという方式をとっているのです。今後の方針について不明な点は、納得がいくまで主治医とご相談下さい。(文責 須田)

 

No.1838-2】 03年11月06日 M 
乳腺にできるしこりについて

先日はありがとうございました。10月初旬のマンモグラフィの結果は、何も映っていなくて異常所見なしでした。最近になって同じ左乳房の外側に薄い肉の盛り上がりのようなものを数種発見しました。それは明らかに線維腺腫のようにはっきりと触れられるものではなく、軟らかい物のようです。痛みもあって、生理後でも消えません。触れているものは、しこりではないのでしょうか? 次回の半年後の検診まで様子を見た方がよいのでしょうか?

質問の内容から推察しますと、あまり心配しなくてもよさそうに思いますが、実際に診察した先生に相談されるのが最善でしょう。少しでも気になるのであれば、半年待たずに受診されることをお勧めします。診察を受けて問題なければ安心できるのではないでしょうか。(文責 浜口)

 

No.1837】 03年09月18日 M.T.
しこりの摘出について

31才、3歳の子供がいます。昨年9月に右乳房に1センチくらいのしこりが見つかり、超音波、マンモグラフィ、細胞診の結果、線維腺腫との診断で、一年後に検診に行ってきました。そこで、そのしこりは変化無しだったのですが、新たに左側にもしこりがあることが分かり(1センチくらい)、超音波、マンモグラフィ、細胞診をしました。結果は、「画像で見た感じは線維腺腫っぽい。細胞診では悪い細胞は出なかったが、去年なかった物であるし、そのままにしておいてよいものではない。今すぐ摘出する必要性も感じないので、3ヵ月後に又経過を見る」という形になりました。今でもすっきりとせず、不安を抱えた状況が続いています。市民病院の乳腺担当の先生に診てもらっているのですが、今すぐとったほうがいいのか尋ねたら、「切除することのデメリットもなきにしもあらずで、メスを入れるということは、今後、検診などの機会で必ず引っかかってきてしまう」というようなことを言われ、様子を見ることになりました。新たにできたしこりは触診では分からず、超音波で発見されました。ちなみにマンモグラフィの結果は異常はないそうです。私は、6年前に乳管内乳頭腫で右側を乳輪に沿って手術しています。質問ですが、
1) 私としては、しこりはとってしまったほうがすっきりする気がしているのですが、この場合、デメリットは何が考えられますか?
2) 取るならば、どういった手術になるのでしょうか?乳管内乳頭腫の時と同じような方法ですか?(前回は手術の痛みはほとんどありませんでした。)
3) 腫瘍ができやすい体質はあるのでしょうか?
4) 乳管内乳頭腫の手術をした右側は、出産の時、母乳が作られるのですが、うまく出ずに、パンパンにはって大変な思いをしました。やはり、乳房の手術をすると、授乳は難しいですか?
5) 出産を考えるなら、線維腺腫の影響はどの程度あるのでしょうか? 取った方がいいのか取らない方がいいのか、どちらでしょうか?

乳腺のトラブルが多く、毎日が不安で、精神的にも参ってきています。良性と言われて悪性だったらとか、乳腺に疾患がある人は、乳癌になりやすいとよく書いてあるので、どうしても気になってしまいます。お忙しいと思いますが、よろしくお願いします。

1) デメリットとして以下のようなことが考えられます。
 ・ 手術操作によって、ケロイドを含めて、大なり小なり傷跡が残ること。
 ・ 場合によっては、手術により創部の痛みが残ることがある。
 ・ 手術により瘢痕化した部位が固くなり、触診や乳房撮影時に診断が困難になる場合があること。
 ・ しこりを摘除しても、今後乳癌にならないという保障にはならないこと。
2) 前回痛みがなかったからといって、今回も痛みがないという保障にはなりません。前回と同様の方法ですが、乳輪部を切開するかどうかについては、直接診察しないとわかりませんので、納得のいくまで主治医の先生にご相談下さい。
3) 乳管内乳頭腫がある場合、乳癌の発生の確率が高くなると言われています。
4) ケースバイケースで、手術内容にもよりますが、授乳が難しくなる場合もあり得ます。
5) 妊娠をきっかけに線維腺腫が大きくなることもありますが、大きくなってからの摘除でよいと思います。ただ、そのことで精神的に不安定になるようであれば、主治医とも相談の上、摘除して確定診断をつけた方が良いかもしれません。(文責 須田)

 

No.1836】 03年09月18日 K.T.
腋下のしこり、ほうっておいても大丈夫?

はじめまして。30歳、独身です。右の腋の下のくぼんだ部分から5cmくらい下、胸よりのところに米粒大くらいの固いしこりがあります。皮膚のすぐ下にある感じで、その部分がほんの少し隆起しています。皮膚をつまむとしこり全体もつまんでぐりぐり動かせます。痛みや赤みは全くありません。ずいぶん前からあったような気がするのですが、大きくなってきたという感覚はありません。中・高校生のころも腋の下に同じような小さなしこりがあったので、これが大きくなったのかな?とも思いますが、その時よりももっと胸の近くにあるので、ちょっと心配です。このようなしこりは、ほうっておいても大丈夫でしょうか?

直接診察していないので断定はできませんが、メール内容から判断して乳腺とは関係のないしこりだと思われます。おそらく放置しておいても大丈夫だと思いますが、皮膚科領域で扱うものと思われますので、一度皮膚科の先生に相談することをお勧めします。(文責 須田)

 

No.1835】 03年09月18日 恵子
脇の下のしこり

右胸にあるシコリに水がたまっていると言われました。6か月程経って再度診察に行ったら変化はなく、特に気にしなくていいとのことでしたが 、脇の下にシコリがあるのが発見されました。6か月前にはなかったのですが…。先生はリンパだと言っていて、腫れたり大きくならなかったら気にしなくていいとのことでした。特に何の検査もしませんでした。
1) 胸に水がたまっていることと何か関係はあるのでしょうか?
2) 乳癌が転移したとかなのでしょうか?
お忙しいところすみませんが 回答よろしくお願いいたします。

1) 右乳腺嚢胞と腋窩リンパ節腫脹についての質問ですが、嚢胞とリンパ節の腫れは関係ありません。
2) リンパ節の腫れについては、大きなもの(約3cm)であれば吸引細胞診(針を刺して細胞を取り、がん細胞があるかどうか調べる検査)を行うことになりますが、大きくない場合は3cm近くになったかどうか経過を見ることになります。おそらく乳癌とは関係ないものと思われますが、疑問点は遠慮なく主治医に聞かれることをお勧めいたします。(文責 須田)

 

No.1834】 03年09月18日 T.K.
本当に乳腺症か心配です

33歳で、5歳の子供がいます。8ヶ月まで母乳を与えていました。その頃から左胸の外側下部分に軽い痛みと張りを感じていました。それから1年後に同じ辺りにきょろきょろとしたしこりを見つけて近くの総合病院の外科でエコーの検査を受けたところ、乳腺症との診断で1年に1度検査をうけています。今年で4回受けたことになります。検査結果はいつも同じです。生理前には胸が張って痛みます。先日朝日新聞に乳癌の誤診の記事が載っていて不安になりました。エコー検査だけで大丈夫なのでしょうか? 現在自律神経失調症で心療内科から処方されたデパス0.5rを1日3回とツムラの当帰芍薬散をのんでいます。新聞記事に載っていた乳癌の自己診断の中に乳首から分泌とありましたが、強く摘むと透明な汁が少し出ます。また、腋の下にきょろきょろしたしこりのようなものがあります。

診察しないと断定はできませんが、一般に33歳の乳房では乳腺が多く、乳房撮影では腫瘤があるかどうか判定しにくいため、エコー検査でフォローしているものと思われます。左胸の外側部分(左乳房の外側部分)のきょろきょろしたしこりは、1年1回、4年間、計4回の検診による診察とエコー検査で乳腺症と診断されているので、おそらく乳腺症だと思います。ご質問の後半部分に関しましては、乳房撮影で腫瘤像と石灰化像をチェックし、乳頭分泌液は細胞診により癌細胞の有無を調べる事になりますので、主治医と相談の上、癌でないことを確認する意味からも、念のため検査をなさってはいかがでしょうか。(文責 須田)

 

No.1833】 03年09月16日 F.K.
授乳中でも正確な結果がでますか?

36歳、現在3人目の子供の授乳中です。最近、右乳房に1センチほどのしこりを発見しました。ただ、日によってしこりが硬く感じたり、柔らかく感じたりします。またしこりの大きさも、日によって多少違うように感じます。このような状態で乳がんの可能性はありますか?また、大学病院で乳がん検診を受けたいとも思っておりますが、授乳中でも正確な結果が出るものでしようか?断乳してからがよいのか悩んでおります。お忙しいところ大変恐縮ですが、宜しくお願いします。

授乳中の方は乳汁が貯留してシコリを作る事がよくあります。だからといってこれだけの情報で癌で無いとは言い切れません。気になるならとりあえず乳腺外来を受診したらどうでしょうか。一般的に授乳中は乳房検査はやりにくくなりますが、検査を断乳後に行ったほうが良いかどうかの判断は、担当医の判断にゆだねたらどうでしょうか。(文責 麻賀)

 

No.1832】 03年09月16日 K 
石灰化について

乳がん検診を受けたところ、エコーの検査で触診で確認できなかった1cmくらいのしこりが発見されました。マンモグラフィーの検査では、しこりは写っているものの石灰化が見られないので、良性のしこりであろうとのことです。今回、細胞診の必要はないので、2ヵ月後にまた検査しましょうとのことでした。マンモグラフィーに石灰化がみられないと、良性の腫瘍だと言い切れるのでしょうか?

マンモグラフィに石灰化が見られないからといって良性の腫瘍だとは言い切れませんが、担当医は触診、マンモグフィ、超音波検査の結果を総合的に判断して、良性の腫瘍と判断したものと思います。良性であることを確認するため、2カ月後に再度検査を行うといったものと思います。(文責 麻賀)

 

No.1831】 03年09月16日 H.A. 
ゼローダによる治療

55歳になる母は、2001年に左胸の乳癌の全摘手術をしています。先週からゼローダによる治療をはじめましたが、食欲が全くなくなってきています。どうしたらいいですか? とりあえず、小腸を鍛えるといいということで、毎日ヤクルトを飲んでもらっています。

ゼローダは最近発売された薬剤です。発売に当たって行われた試験での副作用情報などはありますが、多くの患者さんに行われたわけではありません。したがってまだ副作用の発現頻度や程度、至適投与量など明確にされていない部分もあります。今の副作用については担当医によく相談してください。(文責 麻賀)

 

No.1830】 03年09月16日 R
細胞診について

今日絵門ゆうこさんがTV出演されているのをみて疑問に思ったといいますか、確認しておきたいと思った事がありましたので、質問させて頂きます。「細胞を取ったことで進行が早くなりますよ」と言われたと絵門さんがおっしゃつていました。素人考えで、細胞を取るときに注射針が乳管を通して採った時、そこに穴があいてそこから癌細胞が漏れる?飛び出す可能性もあるという事だろうかと・・。結構太い針だったので、そういう可能性もあり得るかなと思いました。今更ですが、私の場合2ミリ程の浸潤個所があったと聞いていますので、針の跡ではないかと思うようになりました。疑問に思ったまま過ごすのも嫌なので、思い切って相談させていただきました。よろしくお願い致します。

乳癌と診断するためには通常は細い針で細胞を採取するか、太い針で組織を採取するのかのどちらかで確定診断をします。それでも診断が確定しないと、外科的生検といってしこりそのものを局所麻酔下に摘出して診断します。これらの処置を行っても、3-4週間以内程度に治療を開始すれば、これらを行ったために予後が悪くなる(転移が増える)とは考えられていません。治療をおこなわずそのままにしておけば進行が早くなるかもしれませんが・・・。
乳癌がシコリとしてわかる程度の大きさになれば、もう既に乳癌細胞は血液中に散布していると考えられています。それらの細胞が肺や肝臓などに実際に転移を形成するのかどうかは種々の要因が関与します。一番大きな要因は乳癌の悪性度です。(文責 麻賀)

 

No.1829】 03年09月15日 E.O.   
線維腫瘍の手術について教えてください

昨年の夏にしこりを感じて病院に行き、マンモトーム、エコー、注射針で細胞をとる検査をして、「年齢的にも(そのときは23歳)、癌は考えられないし、注射針の検査でも良性と出て、おそらく線維腫瘍でしょう」と診断されました。その後、同じ市内の乳腺外来のある病院に変わり、半年に一回ほど検査を受けてきました。8月が初めてで、そのときの腫瘍の大きさは約1.9センチぐらいでした。それから12月、3月、そして今月の9月と検査を受け、8月から3月までは、しこりの大きさは変わりませんでしたが、今月の検査で、横2.5×縦2.2ぐらいに成長していたのです。しかも、3月の検査で、別に、すごく小さいしこりがあると言われていたのですが、そのしこりも9ミリぐらいにまでなっていました。3月までは、「まだ3センチ超えていないから、取る必要はないよ。ただ、3センチ超えちゃったら、取らないとダメだよ」と言われていたのですが、今回の検査で大きくなってしまっていたことから、「今すぐ決める必要はないけど、もう取ってしまってもいいのでは?」と言われました。次回の検診は1月です。そのときまでに決めなければと、自分でも思っています。しこりが大きくなればなるほど傷跡が大きくなるのはわかるのですが、なかなか決心がつきません。手術は、日帰り手術で30分ぐらいで終わり、溶ける糸で縫うから抜糸も必要ないと言われました。私自身、今まで大きな病気をしたこともなく、手術も初めてですので、いろいろ不安があります。また、来年の春に結婚を控えており、傷跡もあまり残したくないというのもあります。傷跡があまり残らないような処置みたいなものは、あるのでしょうか?そういったことを先生に言ってもいいのでしょうか?また、手術前にもう一度マンモトームを受けたり、注射針での検査は受けるでしょうか?いろいろたくさん聞いてしまい、すいません。アドバイスお願いします。

線維腺腫でもあなたのように大きくなってくるのであれば摘出した方が無難です。妊娠、授乳といったときに線維腺腫が大きくなり、そのときに摘出するというほうが、なお面倒です。(文責 麻賀)

 

No.1828】 03年09月15日 T  
繰り返す乳癌の再発について

初めてメールします。私の母は去年の夏に乳癌と診断を受け、左乳房を全部摘出する手術を受けました。その時担当医からは、「最初に思ったより進行がひどく、リンパには4つ入っていた。」と伝えられました。その後はCNF抗がん剤を半年間受けましたが、その後一ヶ月も経たないうちに左胸表面に小さなしこりが数個見つかり、放射線を受けることになりました。放射線治療が終わり、医者からは、「小さなしこりも流れた」と言われましたが、間もなく今度は左胸の、放射線を受けていない皮膚の中にしこりが見つかり、またそこの部分だけ放射線治療を受けました。連続二回目の放射線治療は先月終わりましが、今月また放射線を受けていない部分にしこりが出来てしまい、昨日かかりつけの県病院へ診察に行きました。担当医は今まで、「母の癌細胞は元気がいい。」とだけ言っていましたが、摘出手術の時点に(+3)という一番強力な数値が出ていた事をそこで初めて知りました。そして今月からは進行の早い癌細胞に効くといわれるハーセプチンの投与をすることになりましたが、キトサン系の強い抗がん剤は術後半年受けていましたし、ハーセプチンとの併用が今の母の体にダメージが大きすぎると考えたため、ハーセプチン単独の投与をする事になりました。この一年間、母も私も癌が無くなることを信じて頑張って来ましたが、これで良かったのかどうかが最近は不安に思えてしまいます。どうか繰り返す母の乳癌について、先生から今後も参考になる様なアドバイスがあればお願いしたいと思います。 そして、母のような症状では治る可能性があるのかどうかということも、出来れば教えていただきたいです。

このような局所再発は全身転移の一症状と考えられます。したがってハーセプチンや抗がん剤治療を中心に行うのが良いです。完全治癒はむずかしいかも知れませんが、薬物療法の効果があれば、次に起こるであろう臓器転移(肺、肝、骨など)までの期間が5-10年と長い場合もあります。(文責 麻賀)

 

No.1827-1】 03年09月13日 K 
乳がん術後の妊娠希望

昨年乳がんの手術をしました。2センチ、浸潤性乳管癌、リンパ節転移なし。30歳、妊娠希望でしたので、ホルモン治療はまだ行わず、放射線治療だけ済ませました。妊娠・出産後にホルモン治療を開始する予定のため、早く妊娠したいのですが、なかなか妊娠しません。ホルモン治療はいつまで待つことが出来るのでしょうか?あせる気持ちが、また妊娠を遠ざけているような気がして・・・。よろしくお願いします。

出産後ということになると術後1年以上ホルモン治療の開始が遅れることになります。どのくらいまでホルモン治療の開始を遅らせてもすぐに行うのと同等の効果があるのかはよくわかりません。抗がん剤治療とホルモン治療を併用する場合、通常は抗がん剤治療を終了してからホルモン治療に移りますが、そのときはホルモン治療の開始が1年近く経ってからということもあります。しかし、このような場合とは異なると思います。(文責 麻賀)

 

No.1827-2】 03年09月16日 K 
乳がん術後の妊娠希望(2)

乳がん術後の妊娠希望なのですが、私と同じように治療を待って妊娠希望している人の話を聞きません。先生は、ホルモン治療を先行したほうがよいと思われますか?手術前後には担当の先生に相談したうえで、妊娠出産後に治療開始すると決定しました。後悔はしていないのですが、なかなか妊娠しないと再発するかもしれない、という不安が増強されてきてます。どうかご助言お願いします。

妊娠・出産後から再発予防のホルモン治療を開始しても、すぐに行ったのと同じ効果があるのかどうかはわからないということです(その様な臨床試験が行われていない)。一般的にいえば乳癌再発のリスクがあるのであれば、妊娠・出産より先にホルモン治療を行うべきでしょう。あなたの場合は主治医と相談して決定されたので、それでよいのではないでしょうか。(文責 麻賀)

 

No.1826】 03年09月13日 Y.M.
乳がんの可能性について

はじめまして。25歳未婚の女性です。最近、下着をとると左乳首の陥没しているあいだから黒っぽい茶色のかさぶたというか膿の乾燥したようなものの小さなかたまりが出てきました。押しても特に分泌液は出てこないのですが、毎晩、夜下着をとると同じものが下着についていたり、乳首についていたりします。また左乳頭の一部が、ごく小さいのですがちぎれそうにめくれ、赤くはれてその部分だけ痛みを伴っています。私の家系はがん体質ですが、乳がんは祖母の妹だけです。また、右の乳輪は乾燥肌なのか、よく薄皮がむけます。インターネットなどで調べたところ、乳がんの症状とそう遠くないと思い、不安になったのでアドバイスいただければと思います。恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

陥凹乳頭が最近出現したものではなく、以前からあったものであればあなたのような症状がよく出ます。陥凹乳頭のため乳頭皮膚に糜爛が起こったための症状と思います。一度念のため乳腺科を受診して診てもらった方が良いと思います。(文責 麻賀)

 

No.1825-1】 03年09月13日 K 
放射線治療後の咳について

友人の乳がんについてお尋ねします。年齢48才。今年1月に右乳房腫瘍10cmの為手術。術後すぐに鎖骨下転移有り。放射線治療終了。抗癌剤治療終了。春くらいから咳が出始め、咳の為に背中が痛い。レントゲンでは肺はきれいで転移は見つからない。咳は放射線治療の影響だと主治医より言われている。以上が、現状の症状です。
あまり大きな病院ではなく、放射線治療も別の病院へ通院していたそうです。一番気がかりな事が咳だと本人が言っているのですが、あまり詳しく教えてもらえないとの事です。大きな病院への通院も考えている様ですが、田舎の為、電車で40分以上もかかる事や、経済的な負担もあり、躊躇している現状との事です。そこで質問ですが、術後の詳しい検査は術後どれ位で行われるのでしょうか?(毎月1回血液検査のみ行っているそうです。) 又、転移の検査は症状が無い限りしないとの事ですが、鎖骨下の転移は消えたという事でしょうか?
別の先生の意見がほしいとの事ですので、宜しくお願いいたします。

術後の再発に関する検査は症状があれば行います。症状が無ければ行う間隔はまちまちです。この患者さんのように再発を起こす危険の高い方は3-6カ月に一度くらいCTを行うこともあります。鎖骨下転移とはリンパ節転移のことでしょうか。そこに照射をしたとなると現在は画像上無くなっているのかもしれません。このあたりのことは担当医に聞いてみるのが一番と思います。(文責 麻賀)

 

No.1825-2】 03年09月15日 K 
放射線治療後の咳について(2)

ご返事ありがとうございました。鎖骨下は鎖骨下リンパ節でした。もう少し教えて頂きたいのですが、放射線治療後は咳が長く続くのでしょうか?他のHPで調べてみると“まれ”ということですが、この咳はどれ位で治るのでしょうか?又、咳が続くのに、レントゲンで肺がきれいという事はあるのでしょうか? 家族は高齢のお母様と二人暮らしで、又、本人もおとなしい性格の為か、主治医に聞きかえせないと悩んでおります。主治医からは、いつ再発するか解らないと言われており、いろいろと本などを購入し調べているようなのですが、腫瘍10cmの治療例があまりなく、又、インターネットで調べても治療例があまり無いのが現状のようです。病期3期のようですが、再発・転移の確率はどれ位でしょうか? 又、完治可能でしょうか? 宜しくお願い致します。

1) 鎖骨下リンパ節に放射線をかけますと、肺にもかかりますので咳が長く続くことがあります。
2) どのくらい続くのかはわかりませんが、かなり長期にわたることがあります。ステロイドの投与で症状が軽快することが多いです。
3) ここで肺はきれいというのは、肺転移が無いということではないでしょうか。
4) 病期三期は50-60%くらいの再発率です。完治するかどうかは10年くらいの経過観察が必要です。(文責 麻賀)

 

No.1824】 03年09月13日 F.K. 
術後の放射線治療の時期について

以前[1767]で回答頂き、ありがとうございました。年齢39歳、7月上旬に右乳房温存手術をし、リンパ節転移無し、ホルモンレセプター陽性、腫瘍2センチでした。現在ゾラデックス2年、ノルバデックス5年を始めたところです。術後に皮下出血を起こし、未だに右乳房の傷口当たりが茶褐色の為、放射線治療が受けられない状態です。主治医からは「10月中旬頃に放射線科に連絡を取りましょう」と言われました。放射線治療は、術後どれくらいまでに始めたら有効なのでしょうか。あまり期間が開きすぎたら意味がないのでしょうか。遅れた為に再発率は上がりますか。宜しくお願いします。

放射線治療は術後8週目くらいまでに開始した方が良いといわれていますが、これ以上遅れることで効果が悪くなるかどうかは、はっきりしていないようです。あなたの場合のように創部の状態が照射を行うのに良くないのであれば遅らせても仕方ないと思います。創部の状態がよくなり次第照射を行うことでよいと思います。(文責 麻賀)

 

No.1823】 03年09月12日 M.K
放射線治療の開始時期について

先月8月末に右乳房温存手術をうけました。年齢35歳、既婚です。今後、放射線治療をする予定なのですが、個人的な都合で放射線治療を、できれば11月中旬から始めたいという希望でおります。しかしいろいろな文献等をみますと、傷口がおちつく頃(術後1ヶ月あたり)から始めるのが望ましいとありました。私の希望のように3ヶ月近く先にしてしまいますと、放射線治療の効果が術後1ヶ月から始めるよりも効果が低下する可能性があるのでしょうか? 今度の外来で私の主治医には確認しようと思っておりますが、次回の外来までまだ日があり、不安でたまらなく、また第二の意見として聞いておきたいという思いもあり、この場をかりて相談させていただくことにしました。よろしくお願いします。

私どものところでは温存した乳房への照射は4-6週間目位で開始しています。またリンパ節転移が多数ある場合では、抗がん剤治療を先行させて行うこともありますので、照射の開始が6カ月位先になることもあります。抗がん剤治療を先に行わないのであれば8週目くらいまでに行うのが良いとされていますが、それ以上遅れた場合に効果に差があるかどうかははっきりしていないようです(差があるという結果と差が無かったという結果が出ているようです)。しかし、可能な限りなるべく早くはじめておく方が無難でしょう。(文責 麻賀)

 

No.1822】 03年09月11日 N.N.
乳腺のう胞の検査について

28歳、女性です。生理の10日ほど前から右の胸に痛みがあり、触ってみると直径1.5センチ位のしこりがありました。そこで近所の総合病院の外科を受診し、マンモグラフィーとエコーの検査を受けたところ、嚢胞ができているとの事。マンモグラフィーの方は綺麗だし、特に心配する事は無いが、念の為2ヶ月後にエコーの検査をしましょうという事になりました。とりあえず一安心なのですが、聞いておけば良かったと思うことがいくつか出てきてしまいました。

1) 2ヶ月後に再度検査をするのはなぜか
2) 次回はなぜマンモグラフィーの検査をしないのか
3) 針を使った検査をする必要はないか
4) 嚢胞ができるのは、ホルモンのバランスが悪いことと関係があるのか

この検査の2日後に生理が始まって痛みは治まりましたが、しこりの方は今のところ変化がないようです(現在生理が始まって3日目です)。乳癌に関する質問ではないので、どうしようか迷いましたが、こちらの相談室のように丁寧な回答を頂けそうな場所が見つけられませんでした。お忙しいとは思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

1) 時期をおいてもう一度検査して、大丈夫なことを再確認したいのだと思います。
2) 今回の検査でマンモグラフィに何も所見が無かったからではないでしょうか。
3) 私なら多分嚢胞に針を刺して内容液の検査をしますが、なぜ今回やらなかったのかは判りません。
4) 正確なところはよくわかりませんが、多分ホルモンのバランスが悪いことと関連はありそうです。(文責 麻賀)

 

No.1821-1】 03年09月11日 cake
局所再発について教えて下さい

41才です。去年の九月に左胸温存術をしています。大きさは8ミリ位で、センチネルリンパを2個とり、転移はありませんでした。浸潤性乳管がんです。ホルモンレセプターは両方プラスです。術後療法には、放射線を46グレイ受けたのみです。御相談したいのは、1年検診で、エコーの結果、手術した左胸に1センチほどのしこりが見つかったのですが、主治医には術後の影響なのか、がんなのか、今の所わからないと言われました。又、乳管(?)にできているのではなく、脂肪にできているので、次の検診の半年後まで様子をみましょうとも言われました。傷跡がまだ割と広範囲に硬く、自分自身も気付きませんでした。このまま半年も待っていても大丈夫なのでしょうか? 不安です。局所再発とすれば、抗がん剤を使うのでしょうか? 生存率はさがるのでしょうか? 今となってはホルモン療法をしなかった事と関係はありますか? よろしくお願い致します。

温存治療後の再発を見るために超音波検査をよく行いますが、あなたのように超音波で何かシコリののようなものが見つかることがあります。大部分は担当医が言うように手術のとき摘出部位に移動させた脂肪です。もし担当医がそのシコリを気にしているのであれば超音波ガイド下に細胞診を行うと思いますので、多分心配ないものでしょう。この場合、局所再発とすればと言う質問はあまり意味が無いと思いますが、仮に局所再発であったとしても再切除を行えば生存率が下がることはあまり無いものと考えます。(文責 麻賀)

 

No.1821-2】 03年09月13日 cake
局所再発について教えて下さい(2)

先日局所再発について、ご相談したものです。私の手術後の胸は、まだまだ割と硬いのですが、術後1年でもこのようなものでしょうか? ちなみに、私の病院では放射線治療を術後8日後から、腕が上がると皆さん始めています。これが影響しているのでしょうか? 前回ご相談した1センチのしこりも主治医の先生には感じられるそうですが、私にはわかりません。しつこくて本当に申し訳ありません。時間がなくてなかなか先生に聞けなくて、安心したり、考え込んだりです。よろしくお願いします。

放射線治療の開始は術後の創部の治癒が良好で腕の挙上が十分に出来れば早く開始した方が良いです。1.0cmのシコリと照射を8日目から開始したこととは関連が無いと思います。(文責 麻賀)

 

No.1820】 03年09月11日 Y.Y.
術後の生活について

50歳の母が2年前、左胸全摘手術で乳がんを取り除きました。その後、自営業ということもあり、仕事も普通にしていたのですが、今年の3月に骨への転移が見つかりました。見つかった頃は痛みがひどかったのですが、抗がん剤を飲みだしてからは、鎮痛剤がなくても痛みを感じなくなりました。2ヶ月間入退院を続けながら、タキソールの点滴を続けました。そして今週からは、一週間に一回、病院で点滴をして様子を見ていくことになっているのですが、家にいったん帰って生活した後、病院で白血球の数値をはかると、いつも1000にまで下がっています。仕事は一日に何時間かだけで、あとはもう家の中の仕事だけにさせているんですが、何か生活の仕方で、また食事面で注意すべきことはあるでしょうか?どうやったら白血球の数値を上げることができるのでしょうか?

白血球が低いときはあまり外に出歩かないなどの注意が必要でしょう。仕事も無理せずやった方が良いです。疲れないようにすることが大切です。白血球を増やすための食事面での注意とのことですが、正確なところは私にはわかりません。この食べ物が特に良いと言ったお話はあまり聞きません。ただ白血球がある一定以下になれば、白血球を増やす薬剤があります。したがって白血球減少を定期的に検査していれば、あまり心配は要らないと思います。(文責 麻賀)

 

No.1819】 03年09月11日 M.T.  
温存手術後の放射線治療について(
HPNo.1794-2)

8月5日に温存手術をうけた34歳、独身です。前回No1794で質問しましたが、意見を参考にさせていただき抗がん剤をすることに決めました。今日からゾラデックス(2年)をはじめ、併用で9月22日からCEFを3週毎に6クールする予定でいます。2年後に月経が戻ると信じることにしました。明るい未来を夢見ています。ところで、入院時に断端が(−)だったら放射線はやらなくていいと聞いていたので、(−)という結果を聞いてやらなくていいんだと思っていました。今日、抗がん剤をすることを決めた際、放射線を抗がん剤の途中にやる方法もあるといわれ、即答で断ったのですが、本などを読むとやっぱりやるべきなのかと考えてしまいました。腫瘍は1cm程度、リンパ節転移1つあり、グレード1、断端(−)、ホルモンレセプター両方(+)、手術後からすでに5週すぎており、やるとしても6週以上過ぎると思います。やったとして、効果はどれくらいあるのでしょうか。

私どものところでは温存治療の時には断端が陰性であっても放射線をかけています。かけることによって乳房内再発率を減少させることが出来るからです。開始時期ですが、術後6週以上経っていてもかまわないと思います。(文責 麻賀)

 

No.1818】 03年09月11日 K.Y.
母乳がでます

始めまして。33歳、女性です。9年前に出産しましたが、いまだに母乳がでます。白い乳白色なのですが、左右両方ともでます。婦人科で血液検査の結果、高プロラクチンということで 脳外科を受診し MRA MRI CTの検査の結果、脳下垂体の異常はありませんでした。高プロラクチンの原因がわからないままなのですが、そのままパーロデルを飲んでいればいいのでしょうか?生理は毎月あります。子宮筋腫ですが・・・。乳頭分泌がある場合、乳がんの心配はありませんか? まだ胸の触診はしてもらっていませんが、両方から分泌されている ということで、大丈夫でしょうといわれました。乳腺など、受診しなくてもいいのでしょうか? お忙しいところ、すみませんがよろしくお願い致します。

高プロラクチン血症で脳下垂体に異常が無いとなると、後は薬剤性のことがあります。抗うつ剤、抗潰瘍剤、降圧剤などです。これらの薬剤にも関連が無いとすると、原因ははっきりしません。パーロデルは飲んでおいた方が良いです。飲まないと卵巣機能が低下して生理不順となったりします。乳癌の心配はないと思いますが、念のため乳腺疾患からではないことの確認はしておいた方が良いように思います。(文責 麻賀)

 

No.1817】 03年09月09日 H.C 
術後のリンパの注意について

乳房温存手術で、センチネルリンパ節1個とレベルTを2個郭清しました。友人はセンチネル生検で3個とりましたが、先生にセンチネルのみの人は、採血も血圧測定も手術した方の手で大丈夫、何の注意もいらないと言われたそうです。私はレベルTも2個取りましたが、数としてはセンチネルの人と同じです。手術前にもらったパンフレットにはむくみ予防についていろいろ書いてあるのですが、私も手術側の手に注意事項はないと考えてもよいでしょうか。それとも、もし気をつけるとすれば何年ぐらい気をつけるものなのでしょうか。ずっとテニスをしていたので、できればまた始めたいのですが、手術後いつ頃から始めてもよいのでしょうか。先生には何も言われていません。今度の診察はかなり先ですので、よろしくお願いいたします。

一般的にはセンチネルリンパ節生検のみであれば、患側のリンパ浮腫にあまり注意を払わなくとも良いと思います。あなたの場合はセンチネルリンパ節とレベル1のリンパ節2個のみですので、センチネルの場合と同様と考えてよいと思います。しかし、センチネル生検でもあなたの場合でも、3個のリンパ節を取るにあたって、どのくらい腋窩組織を剥離してリンパ管を損傷したのかによって多少異なります(いくら縮小した摘出といっても多少のリンパ管は損傷されます)。一般的に言えば上のようにあまり注意する必要は無いということになりますが、ご質問の事項は直接担当医に聞くのが一番と思います。(文責 麻賀)

 

No.1816】 03年09月09日 A
胸の痛み

38歳、授乳経験(2児)がある女性です。1年程前から左の乳房の下部(ちょうどブラジャーの当たる辺り)が触ると痛むようになりました。あまり気にとめていなかったのですが、ここ数日痛みが強くなったように感じます。触ってみると乳房のいちばん肋骨に近い部分が一番痛みます。しこりはないように思いますが、乳腺が痛いような気がします。ガンの疑いもあるのかを含め、近くに乳腺科などがない場合、総合病院の外科で受診しても良いのでしょうか。お伺いいたします。

総合病院の外科でまず乳房について見てもらうのが良いと思います。今のあなたの症状は必ずしも乳腺とは言い切れませんので、その他の場所も外科で見てもらうと良いと思います。(文責 麻賀)

 

No.1815】 03年09月09日 C.H.
51歳の母のことでお尋ねします

はじめまして。51歳の母のことでお尋ねします。ここ3、4年、母は毎年乳がんの定期検診(触視検診のみ)に行っていたのですが、先週末に左の乳房に卵大の硬いしこりに気づきました。ちょうど定期検診の頃だったので、病院に行った結果、精密検査が必要で、今日、国立の医大に行って来ました。超音波では2.5×3cmの大きさでした。組織検査の結果は金曜日に出ますが、そこの助教授はエックス線などを見ながら、「これは感じからして悪性かな?」と言われたそうです。今朝の新聞に乳がんの触視検診は見逃されるケースが多いとありましたが、毎年検診に行っていただけに青天の霹靂です。大きさからして、悪性ならば初期を越えているようですが、どうして見逃されていたのか、何かの間違いではないのかと、腑に落ちません。どんぐりくらいの大きさの時でも気づいてもおかしくないと思うのですが・・・。2-3年でそんなに腫瘍は大きくなるものですか? ちなみにリンパの腫れは触視ではありません。母は痩せ型で喫煙もしませんし、野菜中心の食生活だったのですが、ただひとつ気になることがあるといえば、母が生後数ヶ月の時、コバルト治療を受けていて、左の背中に筋肉組織が壊死するほどの500円大くらいの跡があります。放射線でがん細胞できやすいのかもしれませんが・・・。金曜日にすべてを受け入れなくてはいけませんが、いてもたってもいられなくてご相談申し上げます。よろしくお願いいたします。

まだ乳癌であると確定診断されてはいないようですが、乳癌であったとしてのお話です。触診のみの検診ですとシコリの存在する部位などで触診しにくく、見逃されてしまうこともあります。また石灰化を伴う乳癌は、マンモグラフィを撮影すれば診断は比較的容易につきます。視触診のみの乳房検診に限界があるのは事実です。やはりマンモグラフィを併用しないと早期発見は難しいことを痛感します。残念ながらもし乳癌であったらその事実を受け入れて、治療を前向きに考えていくしかありません。(文責 麻賀)

 

No.1814】 03年09月09日 M
乳腺症でした(HPNo.1776-2)

先日相談させていただいた20歳の女性です。検査の結果、乳腺症とのことでした。レントゲンやエコーにはしこりは写っていなかったそうです。ほっと一安心なのですが、生理2日前に検査を行ったということもあり、正しい結果がでたのか少し不安が残ります。乳腺症という診断がでたのにもかかわらず、その後がんが見つかるということはあるのですか?念のため、違う病院でも検査を行ってみたほうがいいですか?生理が終わった今、乳房や脇の痛みは和らいできたように思えます。

良い結果が出てよかったと思います。良い結果が出たとなると今度は違う心配が出るものです。もし何か乳房にしこりを感じるようであれば、また病院を受診した方が良いと思いますが、そうでなければ、この結果を信じて6カ月あるいは1年後に同じ病院でまた検査してもらったらどうでしょうか。(文責 麻賀)

 

No.1813】 03年09月09日 T.O.
乳ガンと低容量ピルの関係について

40才、女性です。4年前から低容量ピルを服用しています。9月5日、都内クリニックにて乳房超音波検査を受け、左乳房下側6時の位置に、0.26×0.21×0.23×0.18の良性と思われる微小な腫瘤像がありました。マンモグラフィでは悪性所見なしです。半年後に再度検診を受ける予定です。ピルの本には、良性のしこりでも服用を控えた方がいいと記されたものが多々あります。現時点でも微小であれ服用を中止した方がよいのか、教えて頂きたく思います。宜しくお願いします。

ピルは女性ホルモン剤が含まれていますので、乳癌の場合の使用は禁忌です。現在のところ、あなたの腫瘍は乳癌ではないようですので、絶対的な禁忌ではないと思いますが、乳房に結節のある場合も慎重投与となっています。ピルに含まれている女性ホルモンが乳癌発生と関連がありうるとの理由からのようです。したがって止めておいた方が無難でしょう。(文責 麻賀)

 

No.1812】 03年09月09日 I.H.  
取り残しについて

先日温存切除を受けました。その結果、断端陽性、リンパ節転移3個、ER(ー)、Pgr(+)ということで追加切除を受けるよう勧められました。私としては、もうこれ以上自分の体に傷をつけたり(たとえ切る場所が前と同じところで、傷の数は増えなくても)、全身麻酔でダメージを受けたくないという理由から、できれば手術は受けたくありません。本によると、
1) 断端陽性のまま放射線治療に入るのとそうでないのとでは再発率が7%ほど違うが、陰性だからといって再発しないわけではない。また陽性でも再発しない人もいる。            
2) 追加切除した後も陽性の結果が出ることもある。
3) 乳房内再発の率が高くなる治療でも、転移出現率や生存率は再発率が低い治療と変わらないことが確かめられている。
ということなのですが、ご意見を聞かせていただけますでしょうか? また、「追加切除することによって再発の心配をできるだけ取り除き生活を送るほうが、追加切除なしで再発の心配をしながら生活をするのよりいいだろう」とか、「追加切除なしで再発した時と、追加切除後の再発とでは、自分がどう思うのだろう?」など、いろいろ考え迷ってます。宜しくお願いいたします。

あなたが調べた断端陽性に関する事柄は私もほぼ同意見です。断端陽性の程度(浸潤癌がまだかなり多く残っていそうであるとか、乳管内進展巣のみであるとか)にもよりますが、私どものところでは追加切除することはほとんどありません。放射線照射を追加(ブースト)することで対処しています。後は乳房内再発のチェックを厳重に行い、再発が見つかれば追加切除ではなく乳房全切除を行っています。乳房内再発率を減らすという点から追加切除することも悪くはありません。(文責 麻賀)

 

No.1811】 03年09月08日 T 
乳がん温存療法の術後治療について

現在行っている乳がんの術後補助療法について、適切なのか教えてください。私は年齢45歳で、今年の4月に病期1期の乳がんと診断され、5月に右側乳房の温存手術を受けました。病理検査の結果は腫瘍径が1.7cmの乳頭腺管癌で、リンパ節転移はは18分の0で陰性、ホルモンレセプターはER,,PgRともにマイナスでした。悪性度はグレード2、断端は陰性、Her-2はマイナスでした。放射線療法を25回受けました。術後の補助療法として、現在ノルバデックスとフルツロンを服用しています。点滴による抗がん剤治療は必要ないと言われました。ホルモンレセプターがマイナスでノルバデックスの効果があるのかと主治医に聞いたところ、10パーセントの奏効率はあるということと、癌全体を病理検査で調べたのではないので他の部分にホルモンプラスのところがあるかもしれないと言われました。関東より関西の病院でホルモンマイナスでもノルバデックスを服用させる傾向にあるということです。フルツロンに関しても経口抗がん剤の効果がはっきり証明されていないということを本などで読みました。毎日薬を飲みながら何か効果が期待できるのかと不安になっています。
お尋ねしたいのは、以下の2点です。 
(1)私の場合のような乳がんの場合、再発率は何パーセントと考えておけばよいのでしょうか。
(2)主治医の術後補助療法は私にとって適切なのでしょうか。他に選択肢はあるのでしょうか。
教えていただければと思っています。

1) 再発率は10%程度です。
2) ホルモン検査が陰性ならノルバデックスは使用しないことが多いです。しかし、主治医のいうように10%程度は陰性でも有効なことがあります。St.Gallenの基準ではER,PgRともに陰性ですので、何か抗がん剤が必要ということになります。抗がん剤を使うとすればCMFあたりが良いと思います。私自身の見解ですが、この程度なら特に治療を行わなくとも良いと思います。フルツロンについては術後療法としての有効性の証明が現在の所ないというだけで、効果が無いとは言い切れません。主治医とよく相談してみてください。(文責 麻賀)

 

No.1810】 03年09月08日 まめちん
石灰化がガンの可能性は?

先日、乳癌検診の新聞記事に石灰化はガンの壊死したモノと書いてあり、びっくりしています。その当時知っていたら再診していたかもしれません。しかし何ごともなく、毎年の検診は石灰化でもなく、「異常なし」で過ぎでおり、特別専門医の受診をする事もなく、過ごしておりましたが、この記事を読み、もしかしたらガン?だったらと心配しております。今の所、気になるしこりもなく自己診断では気になる事は何もありません。その2〜3年前の石灰化がガンだったら、やはり進行しているのでしょうか?その場合、毎年の検診にひっかからないと言う事は心配ない石灰化だったのでしょうか?とても心配です。宜しくお願い致します。

石灰化はすべてが癌に関連しているわけではありません。良性疾患に起因する石灰化も大変多くあります。今年もマンモグラフィ検診を受けて見るのが良いと思います。(文責 麻賀)

 

No.1809】 03年09月08日 こはる
術後の検診の内容・意義とホルモン陽性の乳がんに良くない健康食品・化粧品等について

病院は人気の先生で大変込んでおり、3時間待って5分診療状態ですので、以下の2点についてどうかアドバイスをお願いします。
@ 術後の定期健診について: 放射線治療が終わりました。今後は4ヶ月毎に先生の診察(触診のみ)と腫瘍マーカーを含む血液検査があり、1年に1度、マンモグラフィーと胸のレントゲン、骨シンチまたは骨の腫瘍マーカーを行い、10年間で卒業になるそうです。私は触診とマンモグラフィーでは異常がなく、エコーで見つかったので、年1度のマンモグラフィーと触診だけでは不十分のような気がします。先生は特別なことがなければエコーはしませんと言っていました。またある本で、再発を早く見つけても生存率は変わらないと書いてあって、よけい混乱してしまいました。ではなんのための定期健診や血液検査なのでしょうか。ある看護婦さんは遠隔転移は難しいが、初めての局所再発なら完全治癒の見込みもあると言っていました。早く見つけたほうがいいのか、そのためには時々エコーも必要なのか、あるいは生存率が一緒なら症状が出るまでゆっくりしていていいのか、血液検査は意味がないのか・・・そのあたりを詳しく教えてください。
A 知人にプロポリスと花粉のサプリメントをいただき、手ごろな価格なので飲んでいました。先生に話すと、プロポリスやローヤルゼリーなどのはちみつ関係は、女性ホルモンを活発化させるので私には良くないと言われました。インターネットでいろいろ調べましたが、プロポリスは乳がんの患者さんにこんなに良かったという話は書いてあっても、女性ホルモンに関係するという記事はまったくありませんでした。花粉の会社に乳がんでホルモン陽性ということは言わずに電話をかけて聞きましたら、女性ホルモンが活発になるので更年期の方にはお勧めですと言っていました。私の手に入る情報の範囲内では、事実が良くわからないので是非本当のところを教えてください。乳がんのお友達で、そのようなサプリメントを飲んでいる方はたくさんいますので、大事なところなので皆さんも知りたい内容だと思います。先生は女性ホルモンに関係するものは食品・サプリメント・化粧品を含め避けてくださいとおっしゃいましたが、具体的に何がいけないのかわかっているものがあればすべて教えてください。(例えば化粧品のプラセンターエキス(胎盤エキス?)が含まれるものなどもですか?) 大変長くごちゃごちゃと書いてしまい申し訳ありませんが、ぜひ教えてください!

1) 確かに再発を早く発見しても全生存期間に大きな差異が認められませんので、それほど再発・転移の早期発見は大きな意味が無いのかもしれません。したがって症状が出てから検査をしても良いという意見もあります。私自身は検診を全くやらないと、発見されたときあまりに大きな転移巣だったり、多臓器に多数の転移があって抗がん剤治療が出来ないほど状態が悪くなっていたりすることも考えられますので、ここに述べられている程度の間隔で検診を行うのが良いと思います。乳房の検診については早期発見が重要です。この場合は原発癌であるからです。年一度のマンモグフィは必要と思います。それに超音波を加えるかどうかは主治医の判断です。また温存治療の乳房検査であれば乳房内再発を早く発見した方が良いと思います。

2) サプリメントに関するご質問ですが、正直なところよくわかりません。ただ、担当の先生のいうように女性モルモンが含まれているものは乳癌細胞の増殖を促進しますので、避けた方が良いと思います。会社の方が女性ホルモンが活発になるので更年期の方にお勧めですというのであればやめたほうが良いと思います。それ以外のものについては私にはわかりません。そのほかの物については商品を売っている会社の方にどのような成分が入っているのかを聞き、女性ホルモンが入っているのであれがやめておくほうが良いと思います。(文責 麻賀)

 

No.1808】 03年09月08日 H.M.
男の子のしこり

13歳の声変わりもまだの男の子です。1か月くらい前に乳首のふちあたりに5mmX10mmほどのしこりがあるのに気づいたようです。押すとかなり痛いようです。男の子でも乳がんはあるのですか?何科を受診すればよいでしょうか?よろしくお願いします。

この時期の男子ではホルモンのアンバランスにより時々乳腺の腫大がみられます。念のため、内分泌科か乳腺科を受診すると良いです。(文責 麻賀)

 

No.1807】 03年09月08日 H K
再発乳がんの治療

初めてメールいたします。40代の主婦です。3年前に右胸の乳がんの切除手術(温存療法)をいたしました。大きさは約4センチのステージ2でした。放射線治療と抗がん剤(CMF)を行った後、しばらくは落ち着いていました。今年の5月ごろからせきが出始め、8月半ばにCT検査により肺への転移(ガン性リンパ管症)であることがわかりました。心臓の周りに少し水がたまっているため、効果が遅いホルモン治療ではなく(ホルモンはマイナスでしたが、それでも効くこともあると主治医はおっしゃっていましたが)、抗がん剤(アドレアマイシン)治療が始まりました。まだ1クール目の最後の段階ですが、せきは以前と変わらないような気がします。はじめの説明では、アドレアマイシンを3クール行ったら、タキソールを3クール行うことになっていますが、それでも改善がない場合、次の治療法は何があるのでしょうか。あるいは現時点でもっと改善の可能性が高い治療法はあるのでしょうか。他の臓器への転移については現在検査中で、まだ結果はわかっておりません。できるだけ在宅・通院で治療したいのですが、どのような病状まで在宅治療が可能でしょうか。最近、在宅治療をしてくださる医療機関が増えていると聞きますが、ガンでも可能でしょうか。病院が遠いので、体調が悪い日は少しつらくなってきました。よろしくお願い申し上げます。

1) 再発時の治療は一番効果があると考えられる薬剤から投与するのが一般的ですので、アドリアマイシンやタキソールをまずはじめるのが良いと思います。そのほかタキソテール、ノバントロン、経口剤ですがゼローダなどもあります。
2) これらの治療は通常は外来通院で行っています。在宅での抗がん剤治療は、普通は行っていません。(文責 麻賀)

 

No.1806】 03年09月08日 MK
乳癌の肺転移?(HPNo.1772-2)

先日はご丁寧なお返事ありがとうございました。私が聞いたのは、TS−1でした。再度質問したい事が出来ましたので宜しくお願い致します。7月末より咳き込みがあり、近隣の病院で風邪薬を処方されておりましたが、1ヶ月以上咳が続くのでレントゲン・CT・喀痰検査を実施しました。レントゲン・喀痰検査の結果は異常なかったのでが、CTで異常が発見されました。画像診断医と胸部外科医が診たところ、左肺に1cmの白い陰がありました。GGOと診断されました。これが肺癌なのかどうかわからないとの返答。乳癌のOPをした患者にGGOはよくみられるとの事ですが、本当なんでしょうか?私は転移なのかどうか不安でメール致しました。担当医の診察が来週の木曜日なのですが不安で不安でたまらなく、メールしました。私の弟は23歳で肺癌(腺癌)の為死亡しています。遺伝だと言われればそれまでなのですが・・・。

CTのこの陰影が乳癌の肺転移か、肺がんか、それ以外のものであるのかはこれからの検査で決められることです。もちろんこのような陰影が癌で無かったということも多くあります。担当医によく聞いてみるのが一番です。(文責 麻賀)
 

 

No.1805】 03年09月06日 K.H.
術後の治療などについて

いつも参考にさせていただいております。58歳。右乳房に3pほどのしこりを見つけ、すぐに調べてもらいました。細胞針がX、術前に全ての検査を終え、転移している様子はないとのことでした。8月14日に温存で、1/3摘出。2週間後の診断結果です。くりっとしており、しこりの大きさは3p×2.4p、粘液ガンだったそうです。リンパ節の転移の数は0/26、エストロゲン受容体は陽性、プロゲステロン受容体は陰性、ハーツ受容体は−でした。粘液ガンは珍しいがんで、比較的おとなしいガンだそうです。まずは25回の放射線とその後5年間のホルモン療法(内服)の予定。閉経前か閉経後かによって、ホルモン療法の内容が変わるとのことでした。子宮全適手術を受け、卵巣1つ残っています。
1) 粘液ガンについて、もう少し詳しく知りたいのです。おとなしいガンとは、あまり転移しないということでしょうか。
2) 放射線の副作用で困っている人の話を聞きました。1ヶ月も苦しむかと思うと心配です。今、予約中です。放射線の副作用によるリスクと、再発防止の割合等、知りたいのですが・・・。   
3) ホルモン療法で、毎日内服が5年も続くのは、やむおえないことなのでしょうか。その副作用は大丈夫なのでしょうか。骨が弱くなるとは聞いていますが、そのほかにないのでしょうか。放射線が終わってからだと、術後6週間過ぎてしまうのですが、いいのでしょうか。また、閉経前か後かはどうしたらわかるのでしょうか。

再発を防ぐための診断だと思いますが、いろいろの情報が知りたくてメールしました。お忙しいところを恐縮ですが、教えていただけませんでしょうか。よろしくお願いいたします。

1) おとなしい癌とはあまり遠隔転移をあまりおこさない癌という意味で使うことが多いです。確かに粘液癌は通常型乳癌に比べて予後がよい傾向があります。
2) 乳房照射の副作用は早期のものと晩期のものがあります。早期のものとしては照射部位の皮膚炎、頻度は少ないですが、放射線が肺にもかかるため肺炎などを時々経験します。晩期のものとしては頻度はきわめて少ないですが、放射線をかけたことによる悪性腫瘍の発生などです。しかしながら、温存治療の場合は乳房内再発率を下げるために乳房照射を行うことは必要です。照射を行わないと乳房内再発率が10-15%と高率ですが照射を行うことにより3%程度に減少します。
3) .ホルモン治療は5年間行うことが有効ということがわかっていますので5年間行うことが良いと思います。副作用として骨が弱くなるとか、顔面紅潮とか頻度は少ないものの子宮ガンの発生などがあります。しかし、これらの副作用はその程度、頻度を考えると投与することの有益性が優っていますので治療を行ったほうが良いと思います。ホルモン治療の開始は術後6週間後でも問題ありません。あなたの場合58歳ですので閉経後と考えてよいと思います。(文責 麻賀)

 

No.1804】 03年09月06日 M.M.
5FUについて(HPNo.1699-4)

お忙しい中、いつも丁寧に回答いただいてありがとうございます。術後化学療法についてお尋ね致します。44歳。リンパ節転移が3/27個あったため、CEを1クールしましたが、嘔気などの副作用がひどかったことなどから、もっと近くの病院に転院し、2クールめは、5FU点滴を加えてCEFとなりました。しかし、5FU経口薬をあまり服用していないと申し上げましたら、次回からは5FUは中止してCEに変更しようと言われました。5FUは加えても、再発予防効果にあまり差はないのでしょうか?5FUの経口治療は、それほど効果がないのではないかと読んだことがあります。CEもCEFも差がないのなら薬が少ないほうがよいのではと思うのですが・・・。よろしく御願い申し上げます。

CEFのうち5FUを除いてCEで行うところも増えています。5FUを除いてもその効果に差がないと言われています。私自身は治療経験の多いCEFの方を好んで使いますが。ただこの場合の5FUは注射薬です。経口5FU系抗がん剤の再発予防効果の有用性についてのデータはありませんが、現在検証中の臨床試験があり、もう少しするとそのデータが発表になるかもしれません。(文責 麻賀)

 

No.1803】 03年09月06日 Y.Y. 
朝日新聞の連載を読み、不安になりました。乳がんでしょうか?

初めまして。現在36歳の主婦です、7歳と4歳の子供がおります。2年前の秋、左胸の外側に米粒大の粒が気になり、近所の乳腺外来へ行きました。触診のみで、乳腺炎でしょうとのことでした。半年後の去年春、人間ドックでこのシコリらしきもののことを告げ、見てもらっても、同じく乳腺炎でしょうとのことで、安心していました。そして、今年4月、少し大きくなったので近所の乳腺外来へ行き、触診と、エコーをして頂きましたが、異常はみられないとのことでした。しかし、少し経った頃、左脇下に刺すような痛みを時々覚えるようになり、不思議に思っていましたが、毎日のことではないし、乳がんは痛まないのが通説なので、気にしないでいました。ところが、最近の朝日新聞の連載で、乳がん患者のうち痛むのは3割程度ということを読み、焦りました。指に当るしこり(?)は今、米粒2つ分の大きさです。しかし、堅くなく、乳房全体が鈍く痛み、腕を上げるとつっぱるような感じです。生理前になると、左側ばかりが鈍く痛みます。おっぱいの形はふつうですが、左右の大きさは、やはり左側のほうが大きいです。おっぱい大好きな4歳の息子が、「ママのおっぱい、こっちのほうが大きいね。」というほどです。乳がんの疑いがあるのでしょうか? 実は、昨年夏に子宮けい癌になり、円錐切除を行いました。今のところ再発はありませんが、もしかしたら乳がんと言う形で再発したのでしょうか? 不安です。お返事をお待ちしています。

文面からすると乳癌ではないと思います。しかし、心配ならもう一度専門医を受診して安心したらどうでしょうか。(文責 麻賀)

 

No.1802】 03年09月06日 S.K.
妊娠中の検査について(2) (HPNo.1777-2)

再度お聞きしたく、お手数ですがよろしくお願いいたします。今回針生検の結果がでて、線維性のもので悪性のものはなかったので、出産後にまた診察をとなりました。今回気になるのが、
1) 妊娠前の細胞診ではミルクのようなものがとれたそうですが、今回の生検では線維の増殖がみられるという結果でした。生検で針をさしたのは一回で、うまくとれたか微妙だった感じでした。たとえば、針がしこりにあたってなく、しこりちかくの細胞をとった場合は線維がとれるのでしょうか?線維という結果はしこりに当たったと思っていいのでしょうか?細胞診と生検でこのように内容物が違う事はあるのでしょうか?
2) 傷が残ったりはまったく気にならず、100%安全という結果が欲しいので、本当はとってしまいたいです。ただ、局部麻酔は精神的につらかったので、次回はぜひ全身麻酔にしたいのですが、妊娠中は出来ないのでしょうか?眠ったままで手術するのは、やはり全身麻酔しかないのでしょうか?出産後の授乳中では摘出は難しいでしょうか?
3) 今回の生検はエコー下のコアニードルというそうです。気になるのは、もしも悪性だった場合、この検査で悪性の細胞が飛び散ってしまう事もあるのでしょうか? 妊娠中でも影響がないのだったら全身麻酔ですぐにでもとってしまいたいという希望は可能なのでしょうか?
 
何度も申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。

1) 針生検で線維性の増殖が見られるという結果は、良性であっということで、一応安心してよいのではないでしょうか。線維性の増殖という結果だけでは腫瘍にあたっていたのかどうかはわかりません。しかし、この段階ではあたったものと考えておくしかないでしょう。細胞診は細胞を見るものであり、針生検は組織を見るものなので、肉眼的に見ての判断はあまり参考にならないと思います。
2) 乳癌の可能性が高いというならともかく、今までの検査結果では良性の可能性が高いので、妊娠中の全身麻酔はリスクが大きいのでやめたほうが良いと思います。
3) エコーガイド下の針生検の方がより腫瘍に当たる確率が高いので、この検査を受けるのが良いと思います。(文責 麻賀)

 

No.1801】 03年09月06日 M・S
パジェット病について

私は昨年11月に、左乳房温存術を受け、放射線治療を25回受けました。現在、タスオミンD錠を服用しています。8月の定期健診では特に異常は認められませんでした。ご相談したいのは、反対側の乳頭に直径2ミリぐらい赤くなっている所を見つけました。痛みはないのですが、じくじくしています。こちらの相談室で、パジェット病というのを見つけたのですが、どのような症状ですか。またどのような治療をするのですか。自然に治る事はありますか。次の検診日まで4週間あるのですが、すぐ診察を受けたほうがよいですか。以上よろしくお願いします。 

パジェット病(乳癌)の症状は乳頭の糜爛です(じくじくしている)。診断は糜爛部分の細胞診や組織診でわかります。また同様な症状は湿疹でも起こります。治療法は色々な方法がありますが、まず診断を確定することが先決です。次の診察日に担当医によくみてもらってください。(文責 麻賀)