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相談室(No.10401〜10500)

このページは乳がんに関する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。

ご相談メールの投稿はこちらからお願いします。

なお治療法は、患者さんと主治医がご相談されて決定されるものであり、この相談室でお答えできるのは、一般的な参考意見であることをご了解下さい。

当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。


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目 次

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名 前

件  名

担 当

10500 12/01/07 かりん Inverted papillary patternとは 須田
10499-1
10499-2

10499-3
12/01/05
12/01/15
12/07/01
A子 タスオミンの副作用ですか?
エストロゲン依存症について
再発について
清水
鈴木
吉田
10498 12/01/05 Y.K.  今後の治療について (HPNo.9371) 清水
10497 12/01/05 K.U 温存できる可能性はないのでしょうか? 清水
10496 12/01/05 M.I. 再発の可能性大なのでしょうか? 清水
10495 12/01/03 MF Basal like/MIB-1(KI-67)の値 清水
10494 11/12/31 K.K. 術後の治療について(HPNo.10460) 清水
10493 11/12/31 アリス  肝転移(HPNo.10192) 清水
10492-1 11/12/28 無治療は不安です(HPNo.9789) 斎藤
10491 11/12/28 S.T. 今後の治療について 斎藤
10490 11/12/28 K.K. 術後の治療について(HPNo.10460) 斎藤
10489 11/12/28 てこな 骨転移と原発の違いについて 斎藤
10488 11/12/28 OBASAN 紡錘細胞がん(HPNo.10379 ) 斎藤
10487-1
10487-2

10487-3
11/12/28
12/03/26
12/04/23
T  母の再発治療について
母の再発治療について(2)
母の再発治療について(3)
斎藤
大西
斎藤
10486 11/12/28 neco 胸部に筋のようなもの(2)(HPNo.10475) 斎藤
10485 11/12/22 H   肺転移(7)(HPNo.10366-7) 久保内
10484 11/12/22 乳頭のぶつぶつ・痒み 久保内
10483 11/12/20 M.Y. UFT+タモキシフェンの効果 加藤
10482 11/12/20 JM リスクについて 加藤
10481 11/12/20 NY ホルモン療法について 加藤
10480 11/12/20 パンジー 術後補助化学療法について  加藤
10479 11/12/20 閉経前後のホルモン治療 (2)(HPNo.10399) 加藤
10478 11/12/20 N.K. 術後ハーセプチン投与について 加藤
10477 11/12/20 病理検査報告書が出ました 加藤
10476 11/12/17 ビオラ 術後補助化学療法について 久保内
10475-1
10475-2
11/12/17
11/12/28
neco 胸部に筋のようなもの
胸部に筋のようなもの(2)
久保内
斎藤
10474 11/12/17 K.S. 妊娠希望です 久保内
10473 11/12/17 A.M. 術後補助療法について 久保内
10472 11/12/17 術後の傷跡について 久保内
10471 11/12/17 ホルモン剤のみで良いのでしょうか? 久保内
10470 11/12/13 K  今後の治療について 加藤
10469 11/12/13 N  乳ガン健診 加藤
10468 11/12/13 抗ガン剤について 加藤
10467 11/12/05 K.S 細胞診 大西
10466 11/12/02 P・K ホルモン療法について 大西
10465 11/12/02 J.M 肺炎ワクチン接種について 大西
10464 11/12/02 ハイリスクになるのでしょうか?(HPNo.10448) 大西
10463 11/12/02 K.K. 再発治療について(2)(HPNo.10460) 大西
10462 11/12/01 M.S. CEA上昇について 大西
10461 11/12/01 Y.T.  術後の抗がん剤投薬について 大西
10460-1
10460-2

10460-3
10460-4
11/11/29
11/12/02
11/12/28
11/12/31
K.K. 再発治療について
再発治療について(2)
術後の治療について
術後の治療について(2)
石山
大西
斎藤
清水
10459 11/11/29 ゆきんこ 葉状腫瘍について 石山
10458 11/11/29 K.S. 腫瘍マーカーの深刻度について 石山
10457 11/11/29 放射線治療後の皮膚炎について 石山
10456 11/11/29 OBASAN  化学療法(2)(HPNo.10379-3) 石山
10455 11/11/29 術後の治療について(HPNo.10448) 石山
10454 11/11/26 放射線治療、投薬が効かない理由について 石山
10453 11/11/26 OBASAN 化学療法(HPNo.10379) 石山
10452 11/11/26 H  術後の投薬について 石山
10451 11/11/24 N.S. ホルモン剤と抗がん剤の併用について(HPNo.10349) 石山
10450 11/11/24 胸のしこりについて 石山
10449 11/11/24 S.T. 右腕の痛み 石川
10448-1
10448-2

10448-3
11/11/24
11/11/29
11/12/02
K 病理所見の意味を教えてください
術後の治療について
ハイリスクになるのでしょうか?
石川
石山
大西
10447 11/11/24 T M 組織検査のデメリット 石川
10446-1
10446-2
11/11/24
12/06/03
それいゆ 切除断端について
腫瘍マーカー(CEA)の上昇
石川
10445 11/11/20 骨転移(2)(HPNo.10297)   石川
10444 11/11/20 Y.S.  ki67と抗がん剤 石川
10443 11/11/20 H  肺転移の追加質問です(HPNo.10366-6 石川
10442 11/11/20 Kuma ゼローダ耐性乳癌へのDMPC療法 石川
10441 11/11/15 Y.F. 化学療法について(HPNo.10393-2) 吉田
10440 11/11/15 T.Y   薬の副作用について 吉田
10439 11/11/14 K  ホルモン治療について 吉田
10438 11/11/14 術後治療の抗がん剤について(2) (HPNo.10433-2) 吉田
10437 11/11/12 M.T. 温存術後の放射線開始時期 吉田
10436 11/11/12 HR 放射線治療 吉田
10435-1
10435-2
11/11/11
12/02/16
紅穂 腫瘍マーカー値
腫瘍マーカー
吉田
徳田
10434 11/11/11 H.I. 再発治療について(HPNo.10420-2) 吉田
10433-1
10433-2
11/11/11
11/11/14
S 術後治療の抗がん剤について
術後治療の抗がん剤について(2) 
吉田
吉田
10432 11/11/09 みりん 抗がん剤と妊娠 吉田
10431 11/11/09 F・C HER2について (HPNo.10304-3) 吉田
10430 11/11/09 Y・J 薬の奏功性について 吉田
10429 11/11/08 術後の性生活について 浜口
10428 11/11/08 S.I. 術後治療について 浜口
10427 11/11/07 H  肺転移(HPNo.10366-5)  浜口
10426 11/11/07 M K 脳転移でしょうか? 浜口
10425 11/11/07 M.S. 今後の治療について(2) (HPNo.10418-2) 浜口
10424 11/11/05 Y・Y 炎症性乳癌 浜口
10423 11/11/03 M・S 集簇性石灰化(2)(HPNo.10414-2) 須田
10422-1
10422-2
11/11/03
11/12/13
M・M 今後の治療について
傷跡の近くの赤いできもの
浜口
斎藤
10421 11/11/03 H  肺転移(HPNo.10366-4) 浜口
10420-1
10420-2
11/11/03
11/11/11
H.I. 再発後の治療について
再発治療について
浜口
吉田
10419 11/10/31 N.N 再発後の治療方針について 徳田
10418-1
10418-2
11/10/30
11/11/07
M.S 今後の治療について
今後の治療について(2)
徳田
浜口
10417 11/10/30 N.S. 一日も早く手術したい気持ちでいっぱいです 徳田
10416 11/10/29 S.Y. ステージ2 俵矢
10415 11/10/29 Q  ハーセプチン中の生理再開について 俵矢
10414-1
10414-2
11/10/29
11/11/03
M・S 集簇性石灰化
集簇性石灰化(2)
俵矢
須田
10413-1
10413-2

10413-3
11/10/29
12/04/27
12/06/06
C  非浸潤性乳管癌の今後の治療について
タモキシフェンと副作用
タモキシフェン服用への迷い
徳田
加藤
高橋
10412 11/10/28 今後の治療方針について 徳田
10411 11/10/28 M.E 抗がん剤の適応・不適応の違いとは 徳田
10410 11/10/24 yk 右乳房のしこり 俵矢
10409 11/10/24 E  乳がん治療後の妊娠 俵矢
10408 11/10/24 H.I. 乳癌の術後の治療について 俵矢
10407 11/10/24 Muma ホルモン療法について 俵矢
10406 11/10/24 S子 集簇性石灰化の増加について 俵矢
10405 11/10/24 M.I.   生存率 再発率について 俵矢
10404 11/10/20 再発治療について
10403 11/10/20 緑内障
10402 11/10/20 M.T.  ホルモン治療の副作用について(HPNo.9914)
10401 11/10/20 K  骨転移を心配しています(HPNo.9262)

 

No.10500】  12年01月07日   かりん 
Inverted papillary patternとは

初めて投稿します。64歳の母が、葉状腫瘍疑いにて昨年12月6日に手術、結果乳がんと診断されました。病理組織診断結果をコピーしてもらい見たのですが、ほとんど英語にて理解できず、今後の治療方針について相談させてください。特に気になったのは、「一般に予後不良因子とされるInverted papillary pattern があるので再発に注意してください。念のためリンパ管免疫染色行います。」という一文です。特に主治医から説明もなかったため不安です。 主治医の病理説明の時には、「今後放射線療法(12月18日より)後、ホルモン療法を行う。手術は成功。」との内容だったのですが、放射線科の医師より、断端1ミリ未満の為追加照射を行うと説明がありました。病理診断コピーにて範囲などを確認し、主治医に説明してもらおうと考えたのですが、どの単語がそれをさすのかわからず、次回主治医にあえるのは1月下旬の為、英訳を教えていただけたらありがたいのですが・・・。主治医が専門医でも認定医でもなく、説明も少ないので不安です。

所見
Histologic Grade according to Scarff-Richardardson
Tubule formation;1(>=75%)Nuclei;3(severe aypie)
Mitosis;2(6to10)/x40 Objective x 10 Fields
Geade 2

ERTROGEN RECEPTOR:Over90% cells reactive POSITIVE
PROGESTERON RECEPTPR:30% cells reactive POSITIVE
c-erb B-2(HER-2/neu):(%Cellsstained + scoer)-(-);0%

ほか相談する上で必要な情報ありましたら教えていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

1) Inverted papillary pattern ではなく、invasive micropapillary pattern ではないでしょうか。 invasive micropapillary pattern を伴う癌は、悪性度が高いと言われていますが、リンパ管への侵襲ではありません。念のためにリンパ管免疫染色を行うのは、リンパ管内に侵襲していないことを確認するためです。
2) 断端1mm未満についての記載は、ここには書かれていません。
3) 所見については以下のとおりです。
組織学的グレード
腺管形成1 核異形3 核分裂像2 グレード2
エストロゲンレセプター 90%陽性、プロゲステロンレセプター 30%陽性、 HER-2 0%
4) 必要な情報として、病理検査では、浸潤の有無、腫瘍の大きさ、癌の組織型、癌細胞の悪性度(グレード)、リンパ節転移の有無と個数、脈管侵襲、ホルモン感受性の有無、HERUタンパク、Ki67等があります。これらについては、主治医によく伺ってください。(文責 須田)

 

No.10499-1】  12年01月05日   A子 
タスオミンの副作用ですか?

47歳。昨年6月、右乳房温存手術を受け、病理結果、非浸潤性乳管癌で、放射線30回治療しました。タスオモンを半年内服後、子宮筋腫と卵巣のう腫が見つかり、内服を一時中止して、婦人科の様子を見ています。やはり再発が心配なのですが、ホルモン剤の変更は可能でしょうか。内服をこのままやめるとすると、再発率は上がるのでしょうか。体質的にタスオミンが合わないということもあるのでしょうか。

子宮筋腫、卵巣のう腫は、タスオミンの副作用ではないと思います。内服を続けて問題ないと思います。ただし、非浸潤癌ですから、内服しなくても内蔵への転移の心配はありません。タスオミンを内服するメリットは、手術した側の乳房内にもう一度乳がんができる可能性が少し低くなり、反対側の乳房に乳がんができる可能性が少し低くなるということで、予防的な意味での内服になります。(文責 清水)

 

No.10499-2】  12年01月15日   A子 
エストロゲン依存症について

先日はご回答をいいただき、ありがとうございました。HPNo.10499のA子です。もうひとつすみません。よろしくおねがいします。
反復いたしますが、47歳、昨年右乳房温存術後、非浸潤性乳管癌でした。放射線治療30回終了、タスオミン内服中婦人科検診で子宮筋腫と右卵巣のう腫が見つかり内服を一時中止して、婦人科の様子をみている状況です。既往歴としまして、左右乳腺症、子宮頚部ポリープ(1年前切除)があり、エストロゲン依存症の疾患がこんなにもあるのが不安になってまいりました。体質的にエストロゲンが多いのでしょうか? また、まだ私の場合閉経まで少し時間がありそうなので、乳がんにとっても卵巣を切除してしまったほうがいいのかと、素人考えで思ってしまいました。お忙しい中恐縮ですが、アドバイスいいただければ幸いでございます。

人間って、一度病気をするといろいろ心配になるもので・・・。これは致し方ないのかなと思いますが、あまり心配し過ぎると、心まで疲れますからね。まず、頭の中の整理です。@もともとの非浸潤癌は転移・再発はしません。完治します。Aタスオミンの副作用で、筋腫、卵巣のう腫は考えにくいこと・・・です。もしかしたら以前からあったものかもしれません。乳癌も乳腺症もエストロゲンの影響はありますが、血液中の女性ホルモンの量が多い、少ないは関係ありません。卵巣に手術が必要な病気があるのならともかく、良性の病変であれば手術の必要はありません。経過を見る中で、腫瘤が大きくなるとか、筋腫が大きくなるとか、であれば手術を考えればよいと思います。(文責 鈴木)

 

No.10499-3】  12年07月01日   A子 
再発について

いつも勉強させていただいております(HPNo.10499−1.2)。先生方々には、お忙しい中のご回答、感謝申し上げます。 私は、47歳、昨年6月右非浸潤性乳管癌、1センチ、充実型、リンパ節転移なしにて、放射線療法を受けました。タスオミンは、内服半年で卵巣が4センチの右卵巣のう腫となり、中止したら改善され、副作用と判明されました。現在は無治療です。質問二つ、よろしくお願いいたします。
1) 非浸潤性乳管癌の場合、ホルモン療法をしない場合の再発率は、どのくらいアップしますでしょうか? 
2) 再発はどの本を見ても術後2〜3年くらいが多いと書いてありますが、丁度安定の時期のように思ってしまい、なぜなのでしょうか?

お教えいただければ幸いでございます。

1) 非浸潤癌でホルモン剤を使用する場合は、微小浸潤が潜んでる可能性を考えて投与することが多いですので、ホルモン剤の有無による再発率の違いは信用できるデータがありません。しかし、非浸潤癌でも3〜4%に局所再発がみられますので、ホルモン剤を服用しないと1%程度このリスクが高くなるような気が致します。
2) 手術で切除したものが再発するのは、肉眼では確認できない顕微鏡レベルのがん細胞が残っていて、それが増大してくるからです。2〜3年くらい経つと、検査で見つかる位の大きさに成長してるものが、乳癌では多いということでしょう。(文責 吉田)

 

No.10498】  12年01月05日   Y.K. 
今後の治療について (HPNo.9371-2)

以前相談させていただきました。平成17年4月に乳癌の温存手術をしました。ステージ1(1,8センチ、5ミリの2箇所)、ホルモン陽性、悪性度中程度、ハーツーT。放射線治療後、リュープリンを5年、ノルバデックスを6年服用しました。再発もなく、平成23年9月から無治療です。11月から生理が再開しました。腫瘍マーカーを3ヶ月毎定期的に測定してきましたが、先日の検査で、NCC ST439が17に急上昇していました。それまでは0〜2ぐらいで、安定していました。ほかのマーカーは変化ありません。主治医は、生理が始まったことの反動も考えられるとのことですが、急激にに高くなったことが気になります。(関係あるかどうか分かりませんが、6年ぶりの生理で、かなり出血が多かったこと、以前子宮筋腫を言われたこともあります。) いろいろ調べましたが、とにかく次回1ヶ月後の検査の結果を見ること、画像を見て判断しなければならないことは分かりましたが、結果が悪かった場合のために心の準備をしておきたいのです。このような場合は、先生の経験からは、ホルモン治療終了後のST急上昇で 再発の可能性はどのように思われますか? もし再発だった場合は、今後どんな治療が考えられますか? ホルモン治療を再開するのか、それとも抗がん剤を選択するべきなのでしょうか? もしそうなら、どのような薬を使うのでしょうか? 年明け早々、申し訳ございません。よろしくお願いします。

術後経過観察のガイドラインには、”腫瘍マーカーは術後再発checkに有用でない“とあります。その理由は、再発していないのに高くなったり、再発していても高くならなかったりするからです。腫瘍マーカーの値で一喜一憂することは精神的によくないので、できるだけしないようにした方がよいと思います。とは言っても気になりますよね。今回のように突然異常値になった場合は、まず再検査をすることと、これを機会に全身の検査をします。その結果、再発がみつからなければ経過観察です。万が一再発が見つかった場合は、リュープリンとノルバデックスを再開する事から始めると思います。(文責 清水)

 

No.10497】  12年01月05日   K.U
温存できる可能性はないのでしょうか?

以前からいくつもしこりがあり、定期的に検診を受けてきました。前回の組織検査は大丈夫でしたが、今回は4ミリから6ミリに形が変化していたので、組織検査をして、がんが発見されました。PETCT、乳房のMRIを受け、ほかにも2,3個、4ミリから5ミリの疑わしいしこりが見つかりました。小さすぎて、組織をとっていないものもありますが、現在、2箇所の組織検査の結果待ちです。多発性という可能性が高いということで、両方の全摘になりそうだと言われました。温存できる可能性はないのでしょうか? 小学生の子供がいます。多発性の可能性の高い、46歳です。不安で泣いている毎日です。

組織検査の結果待ちですね。画像診断(特にMRI)は偽陽性(がんでないのにがんのように見えてしまう)のことがありますから、きちんと組織検査が必要と思います。組織がとれない場合は、触診、マンモグラフィー、エコー、MRI等の画像所見を総合的に検討して判断します。その結果多発であれば、原則として乳房切除が勧められます。どうしても乳房温存を希望される場合は、乳房内再発のリスクを覚悟できれば、複数箇所を部分切除する乳房温存も可能です。また、組織検査で一カ所しか癌が証明できなかった場合は、“疑わしきは罰する”と考えて乳房切除をお勧めする場合と、”疑わしいだけでは有罪とはできない“と考えて疑わしい病変は経過観察として一カ所のみを部分切除する場合もあります。自分としてはどう考えるか、しっかりとした考えを持って、主治医の先生とよく相談して下さい。(文責 清水)

 

No.10496】  12年01月05日  M.I.
再発の可能性大なのでしょうか?

初めまして。宜しくお願いします。2006年2月より術前抗がん剤をし、2006年10月に温存手術をし、今はタモキシフェンとゾラデックスを3年間やっています。当時、核異型度1・リンパ節転移4個・がん1.8cm大・HER2(−)、その後は異常なしです。最後にエコーをしたのは今年の8月ですが、その時も異常なしです。昨日、お風呂で胸をチェックしていたら、手術した箇所近くに1cm位の扁平なシコリを発見しました。シコリを押すと痛いです。1cmのシコリだと、最後8月に受けたエコーの時点では、発見されない大きさでしょうか? 再発と思ったら、お正月どころではなくなってしまいました。検査をしなければ分からないのは分かっています。再発の可能性大なのでしょうか…。

診察させて頂いている訳ではないので、何ともお答えのしようがありません。まずは正月明けに受診され、主治医の先生の診察を受け、必要であるならば検査をする事が一番肝心だと思います。(文責 清水)

 

No.10495】  12年01月03日  MF
Basal like/MIB-1(KI-67)の値

いつも見させていただいています。今後の不安があり相談させていただきます。9月にしこりを自覚し、12月末に手術。病理検査の結果がでました。40代前半です。Stage1でもBasal like なので抗がん剤を1月から行います。

しこりの大きさ 1.1cm×1cm×7mm、 センチネルリンパ 0/2 陰性、 Grade3(3+3+3)、 トリプルネガティブ Basal likeの所見、 MIB-1 80%以上

質問なのですが、MIB-1 80%以上というのは、かなり恐い値なのでしょうか? でもstage1ということで、再発率はかなり高いのか、そうでもないのか、どのように考えた方がいいのでしょうか? 核増殖率が高いというのは、再発率との関係はどうなのでしょうか? しこり発見から今まで3カ月、MIB-1が80%もあって、遠隔転移している可能性は高いのでしょうか? また抗がん剤を AC→Tを選ぶか、TCを選ぶか今1月はじめに回答しなければいけません。ACよりTCの方が効果があるというデータもみて悩んでいます。どうなのでしょうか? また、例えばT→ACという順番はないものなのでしょうか? どうぞよろしくお願いします。

まず第一に、大きさが1.1cmでリンパ節転移のないstage1ですから、通常は10年で10%程度の再発死亡率と考えられます。しかし、basal likeであるということは、その確率が高くなり、概ね20%程度になると考えられます。そのために術後補助化学療法が推奨されます。化学療法で、概ね6〜7%の再発死亡率の低下が得られると言われています。MIB-1については、80%というのは高い方です。しかし、basal likeであれば通常この程度の値をとる事が多く、治療の選択には影響はありません。MIB-1の値が治療の選択に影響するのは、luminal A,Bというホルモン受容体陽性、Her2陰性乳癌の場合です。治療法としては、AC->Tが推奨されます。ACもTCは治療期間が短くて良いのですが、AC->Tより再発率を抑えたというデータはありません。AC->TとT->ACを直接比較した大きな臨床試験はありません。もともとこの治療の始まりはAC->Tだったので、この方法が主流ですが、逆にした方が良いという小さな臨床試験の結果があり、それを重視してT->ACとする医師もいます。その辺のところは主治医の先生とよく相談してください。(文責 清水)

 

No.10494】  11年12月31日  K.K.
術後の治療について(HPNo.10460-4)

早速ご回答いただき、ありがとうございます。なお、病理の結果を再度確認したところ、コメドがあったそうです。コメドの意味があまりよくわからず、調べてあまりたちが良くないとわかりましたが、これも治療を選択する上での要因になるでしょうか。何度も申し訳ありませんが、ご回答いただけるとありがたいです。

“コメド”とはcomedoと書き、日本語では面皰と訳します。面皰とはニキビの古い呼び名で、顕微鏡で見たときに、ちょうどニキビの中央が化膿しているように、がんが増殖した中央部が壊死している像があるとcomedo(+)と言われます。通常は非浸潤癌の時にcomedoの像があるかないかで悪性度が変わると言われています。貴女の場合は硬癌ですから、comedoの有無は予後や治療選択に影響ないと考えます。(文責 清水)

 

No.10493】  11年12月31日  アリス 
肝転移(HPNo.10192-2)

いつも拝見させて頂き、何度か相談させていただいております。この度もご意見をお聞かせいただけると幸いです。
【病歴】
2007年46歳で左乳腺全体を占める乳癌(小葉癌)皮膚.乳頭浸潤伴う。腋窩リンパ節転移あり。 腫瘍大きさ5,5p×4,5p。リンパ節転移11個中8個。ホルモンレセプターER (+) PGR(+) HER2(−)。術前化学療法(FEC療法)6ヶ月間(腫瘍の大きさ変化無し)。化学療法後、左乳房全摘+腋窩リンパ節郭清手術を行う。術後放射線治療、ホルモン療法(ノルバデックス)による治療。2010年5月より、今日まで腫瘍マーカーの上昇に伴いノルバデックス→フェマーラ→フェアストンと変更し現在に至ります。腫瘍マーカー(CA15-3 CEA NCC-ST439)共に一年半ずっと上昇を続けておりました。

この度、術後4年のPETーCT検査の結果、肝転移がありました。主治医の先生からは、「PETとCTの画像で肝臓の上の部分に影と光って見えるのが癌の転移とみられます。2ヶ月後の腫瘍マーカーを見て、ホルモン療法で薬を変えて、今後の経過を見ていく。」と言われました。

1) 検査結果で、腫瘍の大きさ、個数などは聞いておりません。PETーCTでは、大きさ、個数、場所などは分からないのでしょうか? 今後詳しく検査をするには、どのような検査をしていくのしょうか?  
2) 一年半前から腫瘍マーカーが上がり続けており、この度初めて画像に現れてきたのですが、乳癌の場合、肝臓に転移しても進行が遅いのでしょうか?
3) 自覚症状がない肝転移の場合、ホルモン治療だけで大丈夫でしょうか? 他にはどのような治療がございますか?
4) 今は体調も良く落ち着いている状況なので、新しい薬の副作用が心配です。自覚症状が現れてからの治療開始では遅いでしょうか?

宜しくお願いいたします。

1)  PET/CTでだいたいの場所と数はわかりますが、正確な大きさはわかりません。通常は診断用のCTかUS(エコー)を行なって、正確な大きさ、数を診断します。
2)  乳癌の場合、肝臓に転移しても進行がゆっくりな場合もありますし、転移してから急速に増大する場合もあります、一概にどうとは言えません。
3)  治療法は内分泌療法と化学療法が中心です。ER, PRが陽性、転移までの期間が長い、自覚症状がない、増殖がゆっくりである場合は内分泌療法が選択されます。貴女の場合、ER, PRが陽性、転移までの期間が約四年とやや長め、自覚症状がない、増殖のスピードも腫瘍マーカーの上昇が肝転移の増殖と一致すると考えれば比較的ゆっくりしていると考えられますから、内分泌療法が優先されると思います。内分泌療法剤としては、ステロイド型のアロマターゼ阻害剤(アロマシン)、新しい内分泌療法剤のフェソロデックス等が考えられます。しかし、一つ気になるのは、今までに3剤の内分泌療法剤を用いていて、しかも腫瘍マーカーが増殖し始めてから使っている薬剤が、あまり有効でなかったと考えられます。その薬の効果がなかったのか、内分泌療法そのものの効果がなかったのか、考えなければなりません。後者と考えれば、化学療法が選択されます。その判断に役立てる方法として、可能であれば(安全に穿刺できる場所であれば)肝転移巣を生検して、ER、PR、Her2をもう一度検査することが最近は推奨されています。よく主治医の先生と相談してください。
4)  肝転移の場合は、大きくなると肝機能が低下して薬が使えなくなる事もあります。自覚症状がなくとも治療を始めた方が良いと思います。(文責 清水)

 

No.10492】  11年12月28日   U 
無治療は不安です(HPNo.9789-3)

2010年8月にお世話になった者です。再度質問させていただきます。手術日 2004.12.16(47歳)。現在54歳。右乳房温存手術後、ゾラデックスを5年使用。その後、アリミデックスに変更したところ生理が再開したため、アリミデックスを中止。再びゾラデックスを1年間使用し、2011.7に終わっています。現在は無治療ですが、数日前に生理が再開したので、どのように対処すればよいのか迷っています。 ゾラデックスの副作用が強く、股関節炎が進行しており、更年期障害も強く出ました。主治医は、「ゾラデックスの長期使用による副作用を考慮すると、無治療・経過観察でよいのではないか。」とおっしゃいます。しかし、ホルモン感受性100%、リンパ節転移3個を考えると、無治療は不安です。 このまま、無治療でよいのか、先生の考えをお聞かせください。よろしくお願いします。

手術時のデータ: 2.4×1.3×3.5p、 ER、PgRとも100%、 リンパ節転移3/12、 Her2(−)、 グレードU

御相談ありがとうございます。乳癌の手術後6年経過してホルモン療法も終了したところですね。本当にお疲れ様でした。現在の閉経前の方の術後ホルモン治療は5年間のホルモン療法施行後に生理があったとしても、さらに内分泌療法は行わずに経過観察するのが標準治療となっています。治療を継続しても再発予防効果が得られずに副作用が強く出てしまう治療内容は、不安を軽減するだけで実際の効果は全くありません。無治療は不安かもしれませんが、ご担当の先生のご意見通り、無治療で経過をみて頂くことをお勧めいたします。(文責 斎藤)

 

No.10491】  11年12月28日   S.T.
今後の治療について

いつも参考にさせていただいております。59歳、9月初めのマンモで乳がんが発見され、11月24日に温存手術を受けました。 サイズは10ミリ、トリプルポジティブ、センチネルリンパへの転移があり、脇下リンパ節は2/3(これの意味がわかりません)、Ki−67は10%、ステージはUaとのことでした。HER−2が+2なので、FISHテスト中で結果は一月半ばに判明します。質問が二点あります。

1) 主治医はFISHの結果次第では、抗がん剤治療をせず、放射線とホルモン治療だけになる可能性もわずかながらあるとおっしゃっていますが、わたしとしてはリンパ節に転移があった以上、抗がん剤やハーセプチンの治療をしないのは心配です。ご意見をお聞かせください。もちろん、抗がん剤治療はしたくありませんが、再発が怖いのです。
2) 大変混んでいる大病院で、一回目の抗がん剤治療は一月の末になります。術後二ヵ月と一週間経ちますが、そんなに間があいて大丈夫でしょうか?

以上、よろしくお願いします。

御相談ありがとうございます。乳房温存術が終了して、まず治療の第一段階が終わったところですね。お疲れ様でした。私のお返事で疑問が少しでも解消できれば嬉しく思います。まずリンパ節転移ですが、2/3という意味は、3個取ったリンパ節のうち2個に転移があったという意味です。もしかしたら3個以上リンパ節をとっているかもしれませんので、ご担当の先生にお尋ね頂きたいと思います。リンパ節転移が2個のみと仮定し、術後の治療についてお返事申し上げます。乳癌細胞のFISHが陽性であれば、抗ガン剤+ハーセプチン療法をお受け頂く事を強くお勧めいたします。FISH陰性であった場合は、1cmでki-67も低い事から、ホルモン治療のみでもよいかもしれません。しかしS.T.さんが抗ガン剤を行う事を強くご希望であれば、ご担当の先生にお伝えして、もう一度御相談頂くのが良いと思います。既に手術で乳癌は取り除いています。術後の治療方針が決まれば治療開始は早い方が良いですが、S.T.さんの場合はFISH等の結果を見てから治療方針を決める必要がありますので、2ヶ月の時間は必要と考えますし、問題ないと思います。(文責 斎藤)

 

No.10490】  11年12月28日   K.K.
術後の治療について(HPNo.10460-3)

NO10460−1・2でご相談したものです。その節はありがとうございました。12月9日に胸筋温存乳房切除術、リンパ郭清しました。24日に病理結果がでましたが、硬ガン、ER3+、PGRは-、HER2-、グレード2、KI-67陽性率は30%程度、リンパ節転移-(0/7)、リンパ管侵襲・静脈浸襲は0、浸潤は胸筋に接しているが浸潤はしていないということでF、断端には露出を認めず、腫瘍の大きさは3.1cmでした。場所は前回手術の瘢痕部に近いが、正常組織を隔てており、異時多発癌である可能性があるが確定は困難との所見でした。腫瘍マーカーはCA15-3、CEA、NCCSTとも正常範囲内、骨シンチ、肺のレントゲンに異常無し、結果待ちだった胸部から骨盤のCTは、両肺に転々と影があり、大きさが小さいため良性・悪性の判断がつかない、反対の乳房に反応があるとのことでした。肺については、炎症でも写る可能性があり、反対の乳房はマンモ・エコーでも問題がなく、乳腺症が写る事から、6ヶ月後に再度検査ということになりました。今後の治療として、ノルバテックス単剤のホルモン療法を主治医から提案されています。抗がん剤をやるつもりだったので、ホルモン療法の前に抗がん剤治療をしないのか確認したところ、腫瘍径が3.1cm、KI-67陽性率が30%のため、やってもいいかもしれないが、メリット・デメリットで考えるとなんとも言えないと言われました。

1) 抗がん剤の恩恵に預かれるのは100人のうち9人(?)ということでしたが、現在仕事を持っており、抗がん剤治療をしている間は仕事は休むようにいわれ、退職すべきか迷っています。また抗がん剤についても、主治医がメリット・デメリッは半々と言っていることから、抗がん剤をしようという気持ちが揺れています。もし別な見解があれば教えていただきたいと思います。
2) 次回の予約は1/12で間があいていますが、なにもしなくても大丈夫でしょうか?

再発のショックからまだ立ち直っておらず、変な質問かもしれませんが、お答えいただけると、とてもありがたいです。

K.K.さん、御相談ありがとうございます。乳房温存術術後6年の再発で、さぞ驚かれたことと思います。今回のK.K.さんのご質問のケースは、お答えが非常に難しいです。CTで見つかった肺の影が転移であれば、抗ガン剤が選択枝の一つになります。しかし非常に小さく症状もない状態ですし、局所再発も前回手術から6年経過していてホルモン受容体陽性のおとなしい癌であると考えれば、ホルモン治療から開始する方法も選択枝になります。どちらの治療でも、今後肺の影が消えない限り、ずっと継続することになります。肺の病変が転移でなく、今回の乳癌が前回の乳癌とは全く別の新しい乳癌であった場合ですが、グレード2とKi-67が30%であることから、術後補助化学療法としての抗ガン剤も選択枝にあがります。この場合の抗ガン剤治療期間は長くても6ヶ月程度です。最近は抗ガン剤の副作用を抑える有効なお薬が非常にたくさんあります。私が拝見している抗ガン剤治療をお受けの患者さんにも、仕事を続けながら治療を受けている方もたくさんいらっしゃいますし、必ずしも仕事を休む必要はないと考えています。また1月12日まで治療をお受けにならないのは大変心配とは思いますが、K.K.さんのご担当の先生は、2週間ほどで病気が急激に悪くなるとは考えていらっしゃらないのだと思います。急いで治療することよりも、次の治療についてよくお考え頂き、納得してから治療をお受けになることが大切な事と考えます。(文責 斎藤)

 

No.10489】  11年12月28日   てこな
骨転移と原発の違いについて

15年前に乳がんの手術をしました。最近、背中の痛みで整形外科でMRIの検査をしたところ、《乳腺外科》に行くように言われました。手術をしてもらった同じ病院の乳腺外科で、MRIの画像だけで、即日《骨転移》と診断されて、その日にゾメタの点滴と、ホルモン剤を飲むことになりました。年末までに、骨シンチ、超音波、マンモまどの検査の予定がはいっています。転移か原発かは、病理検査でわかると、調べると書いてありますが、MRIの画像だけの診断で決められるのでしょうか。細胞診とか病理検査は、普通はしないのですか。「今後、詳しく調べるのですか?」と、主治医に聞いても、失礼ではないですか? 転移と原発の違いは、治療のほかにも、影響があるのではないかと心配です。    

てこなさん、御相談ありがとうございます。術後15年も経過して、急に骨転移と言われてしまい、さぞ動揺され、ご心配の事と思います。私のお返事で少しでも心配が少なくなれば嬉しく思います。まずどこから転移した癌(転移性骨腫瘍)なのか、骨から発生した癌(原発性骨腫瘍)かを見極める方法は、画像で認められる骨の病変の組織を少し取り、よく調べるのが最も確実な診断法ですが、体に負担がかかる検査なので、画像だけで診断することが現在は一般的です。乳癌は骨へ転移することが多い癌の一つのですが、他の癌でも骨転移を起こす可能性があります。したがって乳癌以外の癌が体の中に発生していないかを確認する必要があります。他の癌がない場合は、乳癌の骨転移を強く疑い、治療を開始します。また疑問点については担当の先生によくお聞きになって、てこなさんご自身がご自分の体のことをよく理解し、納得して治療をお受け頂く事を強くお勧めいたします。そのための質問は決して失礼なことではありません。(文責 斎藤)

 

No.10488】  11年12月28日   OBASAN
紡錘細胞がん(HPNo.10379-4

HPNo.10379 で回答いただきました。術後、細胞診の結果、紡錘細胞がんと診断されました。耳慣れない言葉で、インターネットで調べてもあまり出てこず、キツネにつままれたような感じです。初発時からあったのか? 後から移行したのか?不明だということです。抗がん剤も効かないので、このまま経過観察という事になりました。初発のときは効果があったのですが、ほんとに何も手立てがないのでしょうか?  転移しやすく、薬も効かないなら、このまま手をこまねいて待つしかないのでしょうか? 情報が少ないので不安です。よろしくお願いします。

御相談ありがとうございます。一度局所再発をおこし、全摘手術をお受けになったにも関わらず、たった4ヶ月後に再度局所再発を認め、さぞ驚かれ不安をお感じになっていることと思います。私のお返事で少しでも不安が減れば嬉しく思います。紡錘細胞癌とは、乳癌の特殊なタイプの一つです。顕微鏡で見たときに細胞の形が特殊であるため、この名前が付いています。特殊ということからわかるように、数も多くはなく、インターネットで調べてもあまり出てこないのだと思います。私も調べてみました。性格は報告により様々で、遠くへの転移を起こさないおとなしいという報告や、勢いのある転移を起こしやすい癌であるという報告もあり、一定していませんでしたが、「勢いのある癌である」という報告が多いようです。特殊なタイプの癌であるから治療も特殊な事を行うかというと、そういうわけではなく、通常の乳癌と同様の治療を行います。局所再発のみできちんと取り切れていれば無治療という選択肢もありますし、トリプルネガティブの再発なので全身病と考え抗ガン剤を行うという選択肢も考えられます。OBASANのご担当の先生とよく御相談した後に、納得いく方法をご選択頂きたいと思います。(文責 斎藤)

 

No.10487-1】  11年12月28日   T
母の再発治療について

73歳の母の再発治療についてお尋ねいたします。今年2011年2月に母の乳がんが発覚しました。充実腺管癌、しこりは約2センチ、リンパ節転移3個、トリプルネガティブ、悪性度はグレ―ド3。右乳房全摘手術の後、タキソテールを4週に1回で半年やりました。母は食が細く痩せすぎで、かなり体力も弱っておりましたので、吐き気のひどい薬は避けて、タキソテール単独で少し間を開けての投与となりました。娘の私が先に乳がんになっていたため、2年に1度の検診は受けていましたが、2年前は微小な石灰化が見られましたが、しこりも何もなく、検査にはひっかかりませんでした。そしてそろそろ検診の時期だなと、触っていて自分で発見したようです。術後3か月検診では、画像、マーカー共に異常無し。術後6か月検診では、マーカーが正常値だったので、画像検査はしていません。そして今回の9か月めの検診で右肺に1センチの影、胸骨のあたりと腰椎にも怪しい影があるとのことで、転移の診断になりました(マーカーは結果待ちです)。73歳という年齢もあり、痩せすぎで体力もないことから、前述の通り、タキソテールを単独で使用し、その後7月からフルツロンを飲んでいましたが、今回の転移から、フルツロンは効果無しと見て中止、吐き気の少ないCMFを明後日から始める予定です。本人がタキソテールの時の全脱毛にひどくショックを受け、脱毛のひどい薬を嫌がります。かといって、吐き気のひどいものは体力が無いので不安があります。
1) とりあえずCMFで経過を見る予定ですが、もしこれで効果が無い場合、他に使えそうな抗がん剤は、どのようなものがありますでしょうか? QOLが低下しすぎないようにしてあげたいと思うのですが…。
2) トリネガですが、主治医が残った健側の予防のためにアリミデックスを勧めるので服用していますが、この短期間で転移していますし、まったく効果は無いように私は思えるのですが、これも中止すべきでしょうか。
3) 元々腰椎のあたりに変形があり、足腰はひどく弱っており、骨粗しょう症もあります(ボナロンを服用中)。しばらく前から、今回影が見つかった患側の胸が痛いと言っており、冷えのせいかと思っていましたが、骨転移の痛みの可能性は高いでしょうか。ゾメタも、早めの使用を考えた方がよろしいでしょうか?

長くなりまして、申し訳ございませんが、よろしくご教授下さいませ。

御相談ありがとうございます。ご高齢の御母様の術後9ヶ月での再発疑いで、さぞご心配のことと思います。私のお返事でご心配が少しでも軽減できれば嬉しく思います。まずCMF療法が無効になった場合の治療法は、まだまだたくさんあります。内服薬であれば、フルツロンを改良したお薬で、ゼローダやTS-1(ティーエスワン)などがあります。点滴薬であれば、タキソール、アブラキサン、ナベルビン、ジェムザール、ハラヴェン、トポテシンなどがあります。どのお薬も副作用はありますが、吐き気が強いお薬は少ないと思います。健側乳癌予防目的でアリミデックスを内服しているとのことですが、これは現在の乳癌の標準治療ではありません。すでに再発を疑う状況であり、その場合は全身病となっていますので、健側乳房の乳癌予防治療はあまり必要ないと考えます。お胸の痛みと骨転移との関係は、御相談内容からは関係あるかどうかはわかりません。画像上骨転移を強く疑う所見であれば、ゾメタを使用した方が骨関連事象(病的骨折や、骨の痛みに対する放射線治療、脊髄圧迫など)の発生率を減らせることがわかっていますので、使用をお勧めいたします。(文責 斎藤)

 

No.10487-2】  12年03月26日   T
母の再発治療について(2)

73歳の母の再発治療について、【No.10487】にて相談させていただいた者です。何度もお手数をおかけして申し訳ございませんが、また質問をお願いいたします。昨年末、術後9か月で肺と骨に転移が見つかった母は、すぐにCMFを開始しましたが、2クール終了後にCTを撮ると、年末の段階では、右肺に1センチ、胸骨の裏に怪しい影という状態だったのが、右肺は2センチ、胸骨の転移部分は裏側から骨を突き抜け皮膚まで到達し、外見上からもはっきりと骨が盛り上がっているのがわかるほどになっていました。痩せすぎで、食が細く、体力が無いので、吐き気の強い薬は避け、また、本人がタキソテール使用時の脱毛でひどく滅入っており、もう二度と嫌だと言うので、次はゼローダ+アバスチンに変更になりました。胸骨の痛みが強く、デュロテップパッチを使いましたが、貼り換えの日にちをすぐ間違えてしまうため、オキシコンチンを朝夕、10mgずつ(1日20mg)に変更ですが、まったく痛みが治まらないため、オキシコンチンを倍量の1日40mgに増量、合間にボルタレンサポも1日1度使用。ゼローダ+アバスチン1クール終了後に、疼痛緩和のため、地域連携の別の病院を紹介していただき、放射線治療を12回行い、それで胸の痛みは、だいぶ楽になったらしく、ボルタレンサポは無し、オキシコンチン1日30mgで治まっているようです。ですが、放射線治療中の3月初めに、鎖骨や顎の痛みを訴え、また食事がとれなくなったので、そちらの病院でPET−CTを行ったところ、鎖骨と顎は大丈夫だったのですが(筋肉性の症状だったようで数日で治まりました)、新たに肝臓への転移が見つかりました。肺の腫瘍は、両側あわせて5個に増え、最大で2.75センチ、他に2か所、2センチ近いものができていました。はっきりと増大、増殖していましたが、まだ1クール目ですし、判断がつきかね、ゼローダ+アバスチンの2クール目を開始ですが、そこから10日ほどで一気に弱り、何度か歩いている最中に腰が抜けるように転んで立てなくなったり、座っていても斜めになっていたり、歩く時も真っ直ぐ歩けない時が増え、常に一緒に居る父曰く、痴呆が来たのではないかと思うような、よくわからないことをしている時もあるそうです。話しかけても、ひどくぼんやりしていて、反応が悪くなっており、痰が絡んだような咳も止まらなくなっています(眠っている間は出ないようですが・・・)。再発が発覚してから僅か3か月、トリネガで悪性度3だったとはいえ、あまりに腫瘍の増大、増殖具合が早く、目に見えて衰えていく様子に戸惑うばかりです。先日、母が居ない時、主治医に、今なら母を旅行に連れていけるかどうかと尋ねましたところ、「今なら」ではなく「今のうち」と言われました。(もうすぐ母の診察日なので、また脳については尋ねるつもりですが、今かかっている病院には脳外科はありません)

1) これは脳転移の可能性もあるのでしょうか
2) もし脳転移が見つかった場合、この年齢で、これだけ弱っている状況で、放射線治療をして、効果が見込めるでしょうか? 痴呆症状などが出てくる可能性もあるんでしょうか?
3) 現在、体重も35kgぐらいに落ち、どうしてもわずかしか食べられません。積極的な抗がん剤治療より、もう緩和治療を考えるべきなのでしょうか?

自分も6年前に乳がんを患いましたので、自分なりに勉強したつもりでしたが、母のあまりの進行の早さに、どうしてあげればいいのか困惑しております。お手数ですが、何卒よろしくお願いいたします。

1) お母様の経過と症状からは、脳転移のことは考える必要があります。
2) 現在の症状の原因が脳転移でしたら照射により効果が望まれます。脳への照射は個数で方法が違います。少数の場合は、転移巣へ集中的に照射する定位手術的照射が選択されることもありますが、個数が多い場合などは全脳照射になります。全脳照射を行った場合は、心配されるような認知症が出ることもありますし、お母様が嫌がられている脱毛も考えないといけません。
3) 非常に難しい選択ですが、現在の治療(アバスチン+ゼローダ)に効果がないのであれば、緩和治療を考えてもいいかもしれません。

乳癌は一般的に予後良好な癌ですが、中にはお母様のように急速に進行する乳癌もあります。さらにお母様は体が丈夫ではなさそうで、困惑されるのはよくわかります。あまり一人で悩むのではなく、いつでも相談してください。(文責 大西)

 

No.10487-3】  12年04月23日   T
母の再発治療について(3)

73歳の母の再発治療について、【No.10487】【HPNo.10487-2】にて質問させていただいた者です。何度も何度も申し訳ございませんが、よろしくお願いします。
2回目のアバスチンの点滴後(2クール目のゼローダ開始)に、極端に母が弱って、おかしな言動もありましたので、脳転移を疑ってメールさせていただいたのですが、その翌日に急変。まったく立てなくなり、呂律がまわらず涎が止まらない状態になり、救急車で運ばれて緊急入院しました。その時、撮影した頭部のCTには転移は見当たらず(CTでは写らないぐらいの微小転移がある可能性は否定できないようです)、そして咳もひどく、痰がだいぶ溜まっていて、吸引したところ300ccありました。点滴にステロイドが入っているので、脳の浮腫があっても少し治まると思うと主治医に言われましたが、その通り、翌日には意識もはっきりして、ちゃんと喋れるようにはなりました。痰の吸引も1日でほぼ治まり、自力で出せるようになりました(軽い咳は続いています)。しばらくは尿管とポータブルトイレで安静にしていましたが、1週間ほどで自力でトイレにも行けるようになり、病院の食事も大半は食べられるように回復、本人が退院したいと言い張るので、2週間目に退院しました。ですが、入院中は一度も歩行困難やおかしな言動は無かったのですが、退院の翌日に、また足が震えて真っ直ぐ立てなくなり、入院した時ほどではありませんが、若干呂律もおかしく、わけのわからない言動を繰り返した挙句、20時間近く寝て、翌日には普通に戻っていました。病院にいる時との違いと言えば、圧倒的に食べている量が足りないことでしょうか。おそらく1000kcalに満たないと思われ、間食をとるように強く勧めていますが、そんなに量は食べられていません。せん妄を起すような薬は使っておらず、抗がん剤ももう断念し、痛み止めのオキシコンチンを1日40mgと、寝る前のロヒプノール、あとは胃薬と便秘の薬ぐらいしか飲んでいません。

1) せん妄を起す原因は、もし脳転移で無いなら、何か防ぐ方法は無いものでしょうか。主治医から、脱水、低血糖などの可能性も否定はできないと言われています。
2) かなり厳しい末期の状態だと思いますが、母本人は大きな転移があることを承知しているものの、まったく深刻な状態だとは思っておらず、自分は元気だと思い込んで、必要以上に構われることを嫌がります。こういう状態の患者に、緩和ケアが必要なことを説明するのは、やはり無理でしょうか。(尚、市内にホスピスは無く、かなり遠い所まで行かないとありません)
3) 主治医は明言はしませんでしたが、余命は3ヶ月〜半年ぐらいと見ておられるようです。知人の末期がんの在宅ケアのお仕事をしている人に相談しても同じ見解でした。とても抗がん剤をする体力は無さそうですし、このまま無治療で過ごして、どれくらい入院せずに自宅で過ごせるものなんでしょうか。

傍で家事を補助しながら母を見ている父も、C型肝炎など持病がありますし、私も乳がんの治療以来、更年期症状がきつく、不眠などもあり、2人とも体力的には、あまり自信がありません。誠に申し訳ございませんが、ご意見うかがわせていただければ幸いです。

Tさん、ご相談ありがとうございます。以前初めてご質問頂いた時にお返事させて頂きました。縁あってまたお返事させて頂きます。
1)せん妄についてですが、せん妄は様々な原因で起こります。例えば痛み止めのオキシコンチンの量を増やした時に起きることもありますし、全身の状態が悪くても起こります。残念ながら、原因をご相談の内容から判断するのは困難です。治療はまず原因を除去することが必要なのですが、それが難しい場合は、抗精神病薬(不安を取ったりするお薬などいろいろあります)を頓服として使い始めます。
2)緩和ケアについてですが、緩和ケアは末期になったから開始する治療ではありません。すでに使用しているオキシコンチンやロヒプノールも緩和治療の一つです。現時点でご本人が苦痛と感じていることがないのであれば、少し距離をおいて見守ることも緩和ケアの一つと考えます。
3)どれくらい入院せずにご自宅でいられるかは、ご家族の人数と体力や、お住まいの近くに利用できる施設(訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、訪問介護事業所、在宅療養支援診療所など)がどの程度整備されているかによって随分変わってきます。これらについてご自身で情報を集めるのは大変だと思いますので、現在ご通院中の病院に、相談できる部署やソーシャルワーカーさんがいらっしゃれば、そちらでご相談されるのがよいと思います。(文責 斎藤)

 

No.10486】  11年12月28日   neco
胸部に筋のようなもの(2)(HPNo.10475-2)

15日に診察に行きました。やはりケロイドと周囲が紛瘤腫と言われました。紛瘤腫は大きくなって炎症する可能性もあるとのこと。ケロイドと紛瘤腫の手術をすることも可能とのこと。また同じようにケロイドが出来るのではと決心がつきません。ちなみに紛瘤腫とは傷口付近に出来るものなのでしょうか? どのようなものか教えていただけたら幸いです。

御相談ありがとうございます。私のお返事で疑問が少しでも解消できれば嬉しく思います。まず粉瘤腫とはアテロームともいい、皮膚にできるふくろ状の腫瘍で、ふくろの中には皮膚からはがれた角質(=いわゆる「あか」です)が入っています。体のどこにでもできる可能性があります。このふくろの中に細菌が入ると感染をおこし、赤くはれ痛みが出ることがありますが、必ず感染をおこすわけではありません。また悪性化して癌になることはありませんので、必ず切除しなければいけないというわけではありません。手術をお受けになるかどうかは、ご担当の先生とケロイド等の事をよく御相談の上お決め頂きたいと思います。(文責 斎藤)

 

No.10485】  11年12月22日   H
肺転移(7)(HPNo.10366-7)

胸水が満タンになってしまったので、抜く為に三週間に入院してきました。最初の一週間で抜く予定が、途中で水が抜けなくなってしまい、詰まっているのではないかということで、再度位置を変えて入れ替えたのですが、それから激痛で、何をしていても刺しているところと背中が痛く、耐えられない痛みでした。「神経にさわっているのではないか?」と聞いてみましたが、それはなさそうということで、とにかく耐えるしかない二週間でした。座薬とロキソニンでしのいでおりました。全部は水は抜けないということで、下に少し溜まった状態で癒着したのですが、これがなかなかうまくいかないことが多いらしく、きっちりと癒着するは難しいものなのでしょうか。レントゲンで見ましたが、白くもやがかかった状態になってますが、こんなものなのか・・・と思ってしまいました。呼吸は入院時のピークよりはましですが、走ったりはできませんし、呼吸も浅い気がします。痛みはロキソニンでは無理なので、オキシコンチンとオキノームを服用することになってしまいました。胸膜転移ではあまり痛みはないと聞きますが、この痛みは癒着術のときの痛みなのか、抗癌剤をいれているのでその炎症なのか・・・。もしくは転移の痛みなのかが、はっきりわかりません。入院時前の方が痛みがなかったように思います。この癒着術の痛みは一生治らないものなのか、それともマッサージや電気などで軽減されるのであれば、してみたいと思いますが、麻薬にたよらないといけない状態が続くのでしょうか。主治医に聞いたら、仕方ないとしかいいません。癒着術のやり方などに問題がある場合もありますか? 針をさした肋骨のところ付近が赤くなっています。

胸水のコントロールは、最初のうちは容易でも、治療を重ねていくうちに難しくなることが有ります。それは癌性胸水の場合、癌細胞が多く浮いていたり、フィブリンという不溶性タンパクが析出してきて(この物質が癒着のもとです)安全な穿刺が出来ないことがあるからです。No10427で浜口先生が述べているように、出血・気胸・肺水腫等の合併症が起こる可能性が高くなり、思ってもみない医療事故につながりかねません。
癌の転移による胸水に対しての主たる治療法は、全身療法(化学療法と内分泌療法)で、その中で効果のあるものを探し出すことがメインです。胸水の穿刺や癒着療法や痛みに対しての治療は、あくまで姑息的な治療と捉えた方が良いと思います。
また、痛みに対してはまず座薬やロキソニンといったNSAIDが最初ですが、効果がなくなったら麻薬(それに加えて抗痙攣剤・抗うつ薬等も付加することもあります)のが良いと思います。あなたの主治医の治療方針はその路線を行っており、決して間違った方向に進んではいません。麻薬は中毒にならないように少しずつ量を増やしていきますので、使用に当たってはそれほど心配しないで良いと思います。マッサージや電気が効けばそれでも良いですが、エビデンスが無いと思います。(文責 久保内)

 

No.10484】  11年12月22日   S 
乳頭のぶつぶつ・痒み

私は今高校一年生ですが、二週間前くらいから、左胸の乳輪が痒くなり、よく掻いてしまっていました。そのうち、夜にも無意識に掻いてしまって、朝起きたら、下着に血や黄色い分泌物がついているようになりました。そして、二三日前に乳頭を見てみると、0.5ミリくらいの、乳輪と同じ色のぶつぶつが出来ていました。それが痒みの原因だったのかなと思うようになりました。このぶつぶつが、本当に痒みの原因なのでしょうか? それと、これはページェット病のような、何か思い病気なのでしょうか?

片側の乳頭の難治性湿疹は、確かにパジェット病の可能性があるのは事実です。しかし10代の方に乳癌の可能性は極めて低く、単なる皮膚炎・湿疹を考えた方が良さそうです。アトピー性皮膚炎は乳頭・乳輪に強く出ることが多く、しかも易再燃性ですので、まず皮膚科にかかって治療して治れば、乳腺科にかかる必要がないと思います。思い悩むより皮膚科受診することをお勧めします。(文責 久保内)

 

No.10483】  11年12月20日   M.Y.
UFT+タモキシフェンの効果

49歳、乳癌で9月に部分切除手術をしました。術式BpSLNB、ステージ1、ホルモン感受性ER10%以上、PgR10%以上、リンパ管浸襲0、核異型度2、HER2(1+)。11月から放射線治療を始めました。今後は、ノルバデックスを5年間続けることになりました。ルミナールAのタイプの乳癌には、UFT+タモキシフェンで無再発生存期間が長いというデータをみたので、主治医にうかがったのですが、「必要ない」といわれました。抗がん剤は、副作用を考えると使いたくないのですが、UFTは副作用が少ないようなので、効果があるなら使いたいと思うのですが・・・。それと、毎年MRI、CT、骨シンチの検査をするのかと思っていたら、2年後に1回、そのあと3年後に1回するだけと言われました。ガイダンスでそうなっているとの事。それで、大丈夫なのか心配なのですが。

おっしゃるようにUFTのデータもありますが、ホルモン療法のみが一般的な術後療法であると思います。MR、CT、骨シンチ等の検査は無症状であれば、定期的に行うことは少なくなってきています(病院によって様々です)。(文責 加藤)

 

No.10482】  11年12月20日   JM
リスクについて

いつも色々ご質問させていただき、その都度ご丁寧なお返事を頂き 勇気づけられています。いつもこのページは参考にさせていただきますが、時々「ハイリスク」とか「中間リスク」という言葉をみます。それで、私の場合は、どのリスクになるのか、一度知りたいと思いメールいたしました。 私は、ステージ1(1.7センチ)、ホルモンは強陽性と陽性です。 ハーツ2は+3.、グレード3と言われました。リンパ節への転移は0、血管リンパ管への浸透もいずれも0、断端は陰性です。この範囲で分かるとしたら、私の場合はリスクはどの程度でしょうか。

ハイリスク、中間リスクという言葉は、以前よく用いられていましたが、最近ではあまり使わなくなりました。リスクももちろん治療を行っていくうえで、考慮しなければならない事項ですが、最近では腫瘍の性格(タイプ)を重視し、それに基づく治療を行うようになりました。以前の分類では中間リスクにあたります。最近でいうタイプ分類では、luminal B(HER2+)というタイプになります。(文責 加藤)

 

No.10481】  11年12月20日   NY
ホルモン療法について

3年前、42歳で温存手術後、FEC、タキソール、放射線治療をし、今はノルバデックス服用、リュープリンをしています。しこり1.6ミリ、リンパ節3個転移、グレード3で、ホルモンどちらも強陽性です。抗がん剤後生理はありません。できるだけ長くホルモン療法を受けたいのですが、主治医は、「5年でノルバデックスをやめた後、飲む薬は今のところなく、年齢的にも閉経前なので、アロマターゼは飲めない。」ともおっしゃっています。5年を迎えた時、何か良い方法はないでしょうか? また、3年、5年と経っても、ホルモンのガンは再発の確率は変わらないのでしょうか? よろしくお願いします。

あと2年すれば新しい見解がでてくるかもしれません(抗がん剤によって閉経となっている可能性もあるように思いますが)。おっしゃるように、ホルモン受容体陽性の方では、5年以降の再発をコントロールすることが大切となってきます(特にグレードが高い、受容体が強陽性、リンパ節転移陽性の場合)。その時点での治療を続ける、あるいは他の治療を行うといった選択肢もでてくるように思います。(文責 加藤)

 

No.10480】  11年12月20日   パンジー
術後補助化学療法について

浸潤性乳管癌 Ub トリプルネガティブの診断を受け、術前化学療法(TC・EC)後、乳房全摘・リンパ節郭清術を受けました。病理の結果は、「Papillotubular type グレード2 pT2 pN0 脈管系浸潤(−) リンパ節(−) ER 0% PgR 0%  HER2(2+) FISH法で1.52 Ki-67=58%」 でした。HER2がプラスだったことで、これからハーセプチンと抗がん剤の治療予定です。FISH法で増幅がないとハーセプチンの適応ではないとも聞きますが、術前のTCでは腫瘍の縮小は見られましたが、その後のECにて腫瘍増大となった経過もあり、術後の化学療法が重要ではと考えています。今後の治療について 抗がん剤や治療計画など、先生のご見解をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

ハーセプチン投与は おっしゃるように適応外ということになります。これ以上抗がん剤を投与したほうがよいかどうかの結論は得られておりませんので、実際には患者さんと相談しながら決定するということになろうかと思います。(文責 加藤)

 

No.10479】  11年12月20日   K
閉経前後のホルモン治療 (2)(HPNo.10399-2)

相談番号10399でお世話になったものです。その節は、ありがとうございました。

1) リュープリン&フェアストンをやめ、見切り発車でフェマーラに変えて3カ月になります。先日血液検査をしたところ、E2 17 FSH 10,6 LH1.4 と、完全閉経と言えない数値が出ました。しかし主治医の先生は、「閉経に近いし、脂肪からのホルモン分泌をおさえる方があなたには適切」ということで、フェマーラの継続を指示されました。私としては、完全閉経ではないのにフェマーラを続けていいものやら、戸惑っています。ほんとうにこのまま、フェマーラで問題ないのでしょうか。ちなみに、生理は全くありません。
2) このところ、1CTPの値が、2.9→4.0→5.3と上がってきています。主治医の先生は、「他のマーカーは正常だし、心配ありません。」とのことなのですが、骨転移があった場合、他のマーカーも必ず一緒に上がってくるのでしょうか。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

1) 医師の考え方にもよりますが、いま焦ってフェマーラに変える必要はないように思います。戸惑っておられるのでしたら、もう一度ご相談されることをお勧めします。
2) 心配ないように思います(転移があったとしても、マーカーが上がるとは限りません)。(文責 加藤)

 

No.10478】  11年12月20日   N.K.
術後ハーセプチン投与について

9月に乳房温存手術をして、その後25回の放射線治療を終えました。50歳です。1.5×1.3p ER:nagative Pgr:moderate Ar:nagative Her2:strong f(+) s(-) ly(-) v(+) LN 0/8 断端(+−)。病理の説明をあまり詳しく受けなかったので、よくわからないのですが、この後、ハーセプチン(毎回400r)を単独で6カ月投与することになりました。ちなみに体重は58kgです。この相談室を拝見していると、ハーセプチンの場合1年が標準治療のように思うのですが、私の癌の場合、6か月で効果があるものなのか不安です。ほかの抗がん剤と併用しなくてもいいのかとも考えます。

ハーセプチンはおっしゃるように一年が標準投与期間です。また、一般的には抗がん剤との組み合わせで用います。主治医にもう一度確認なさってみて下さい。(文責 加藤)

 

No.10477】  11年12月20日   T
病理検査報告書が出ました

11月に乳がんの右胸全切除手術を受けて、先日病理検査報告書が出ました。担当医からは説明を受けましたが、まだいくつかの質問があります。病理結果は以下のようになります。
浸潤の最大形:10mm 、f(+)、Ly(-),v(−)、LN(1/14)、margin: negative、HG (II) score 6、TF score (2)、NP score(2)、MC score (2)、NG=2、 センチネルリンパ節(#3,4) 1/2. ただし長径150um程度のmicrometastasisである。レベルI,II郭清腋下リンパ節(#1,2) 0/12、 ER(ほぼ100%):score 8、 PgR(90%以上): score 7、 Ki-67 陽性率は10%程度(管内の高いところでは20%程度)、 Her2:増幅なし、 HER2/CEP17比: 70/55=1.27倍

1) 先生にstage II A に言われましたが、ステージの判断は正しいでしょうか?
2) 14本のリンパしか検査していないことは大丈夫でしょうか? やはり、リンパを一本ずつ全部検査をしたほうがいよいでしょうか?
3) センチネルリンパに150um転移したというのは、他のセンチネルリンパ先のリンパにでも転移された可能性はあるでしょうか? 150umの転移は、本当にほとんど転移されてないということになるでしょか?
4) 皆さんがよく言うグレードというのが、この報告書の中のどのグレードを指してるんでしょうか?
5) これからホルモン治療を受けることになりますが、抗がん剤治療を受けるかどうかはoncon type DX の検査を受けてから決めるんだそうですが、私の場合は本当に抗がん剤治療を受けなくても大丈夫でしょうか? ホルモン治療だけでは軽くないでしょうか?
6) がん細胞が顔つきがあるそうですが、私のがん細胞は良い顔つきか悪い顔つきかを教えてください。お願いします。
7) 放射線治療が必要がないと言われましたが、何を根拠にして必要がないと判断されたんでしょうか?
8) 全摘の場合は、がん細胞を全部取り除いたかどうか、どうやって分かるんでしょうか?
9) PET CTの結果が”右頚部リンパ節に一致する集積を認めます。この集積のSUVmax は3.65→3.11と低下し、反応性病変が疑われる”と記載されていますが、先生は、「気にすることはない」と言いましたが、本当に気にしなくても大丈夫でしょうか?

宜しくお願いいたします。

1) リンパ節転移なしと考えますので、ステージTとなります。
2) 14個の検査で十分でしょう。
3) 他のリンパ節を12個調べ、転移なしとの結果が出ています。そのほかのリンパ節に転移がある可能性はほとんどないでしょう。ちなみに、150umの転移はmicromatastasisとはいいません(200um以下のものは転移とはみなしません)。
4) NG2にあたります。
5) 私もホルモン療法のみをお勧めします(化学療法は回避可能と考えますが、oncotype DXの結果をお待ちください)。
6) その中間です。
7) その通りです(組織検査の結果から)。
8) 局所のがん細胞が取れたかどうかは、顕微鏡である程度推測はできると思います。 気にされなくてよいでしょう。(文責 加藤)

 

No.10476】  11年12月17日   ビオラ
術後補助化学療法について

浸潤性乳管癌 Ub トリプルネガティブの診断を受け、術前化学療法(TC・EC)後、乳房全摘・リンパ節郭清術を受けました。病理の結果は、Papillotubular type グレード2 pT2 pN0 脈管系浸潤(−)  リンパ節(−) ER 0% PgR 0%  HER2(2+) FISH法で1.52 Ki-67=58% でした。HER2がプラスだったことで、これからハーセプチンと抗がん剤の治療予定です。FISH法で増幅がないと、ハーセプチンの適応ではないのでしょうか? 可能性にかけたくて先生には聞けません。術前のTCでは腫瘍の縮小は見られましたが、その後のECにて腫瘍増大となった経過もあり、術後の化学療法が重要ではと考えています。今後の治療について、抗がん剤の選択や治療計画など、先生のご見解をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

ER(-), PgR(-), HER2(score 2→FISH陰性)ですから、やはりtriple negativeだと思います。Herceptineは適応では無いと考えます。術前化学療法がTC有効、EC無効とのことですので、術後の化学療法は有効だったTCを軸に考えられると思います。他の化学療法はXeroda ナベルビンをはじめ多々有りますが、通常は再発した場合の治療法と位置付けられています。とは言え、ECで増大した経緯があるtriple negative例ですので、そのうちのどれかを使っておきたいという気持ちはよく解ります。術前治療の奏功の程度も不明ですので、どうか良く主治医とご相談なさって、より良い治療法を見つけてください。(文責 久保内)

 

No.10475-1】  11年12月17日   neco
胸部に筋のようなもの

48歳、妊娠歴無しの主婦です。左胸付け根あたりから乳首に向かって縦に細く硬い筋のようなものが出来ており、付け根付近は打ち身のような痛みがあります。また、10日ほど前から、左胸付近に鈍い痛み、吐き気に似た感じがあります。ずっと胃痛だと思っていましたが、昨日の入浴時に筋に気づき、そのあたりが痛む気がします。12月1日に健康診断を受けており、胸はエコー検診を受けました。結果はまだ届いていません。肺のレントゲン写真は見せてもらいましたが、それにはこんな筋は写らないのでしょうか?

縦長のコード状で表面の皮膚が引き攣れているようなら、モンドール病(皮下血栓性静脈炎)の可能性が高いと思いますが、是非専門医を受診し、ちきちんと診断してもらってください。そうだとすれば、ヒルドイド軟膏等の治療もありますが、何もしなくても時間がたてば治るもので、重大な病気ではないのではないかと考えます。表在のエコーでは診断できますが、レントゲン写真には写りません。(文責 久保内)

 

No.10475-2】  11年12月28日   neco
胸部に筋のようなもの(2)

15日に診察に行きました。やはりケロイドと周囲が紛瘤腫と言われました。紛瘤腫は大きくなって炎症する可能性もあるとのこと。ケロイドと紛瘤腫の手術をすることも可能とのこと。また同じようにケロイドが出来るのではと決心がつきません。ちなみに紛瘤腫とは傷口付近に出来るものなのでしょうか? どのようなものか教えていただけたら幸いです。

御相談ありがとうございます。私のお返事で疑問が少しでも解消できれば嬉しく思います。まず粉瘤腫とはアテロームともいい、皮膚にできるふくろ状の腫瘍で、ふくろの中には皮膚からはがれた角質(=いわゆる「あか」です)が入っています。体のどこにでもできる可能性があります。このふくろの中に細菌が入ると感染をおこし、赤くはれ痛みが出ることがありますが、必ず感染をおこすわけではありません。また悪性化して癌になることはありませんので、必ず切除しなければいけないというわけではありません。手術をお受けになるかどうかは、ご担当の先生とケロイド等の事をよく御相談の上お決め頂きたいと思います。(文責 斎藤)

 

No.10474】  11年12月17日   K.S.
妊娠希望です

40歳。妊娠希望です。先月中旬に左乳房の温存手術を終え、まもなく放射線治療を始めます。主治医には妊娠を希望していることを治療当初から伝えてあり、放射線治療とホルモン治療(タモキシフェンとLH-RHアゴニスト製剤)2年を受けた後、不妊治療をしたらどうかと言われています。主治医の話は理解できるのですが、ホルモン治療を終えた後、月経が戻らないかもしれないことや、年齢を考えるとホルモン治療を受ける決心が揺らぎます。病理検査の結果は、硬癌、リンパ節転移なし、ER(3+)PgR(3+)、HER2(1)、浸潤部10×8×8mm(ただしDCIS成分も広く伴う)、深部断端のごく近傍にまで腫瘍の浸潤が認めらるとのことです。

※病理組織検査報告書の乳癌取扱い規約には、以下の通り書かれています。
Left-C, 10×8×8mm(浸潤部), scirrhus, pT1b, f, ly0, v0, pN0(se), cM0, fStagel, Nuclear atypia 2, Mitotic counts 1,Nuclear grade 1, ER3+, PgR3+, HER2 Score 1, 30%>Ki67 index>14%

1) ホルモン治療をせず、不妊治療を受けるという選択は可能か?
2) ホルモン治療を2年受けたあと妊娠するために今できることはないか?(卵子凍結など?)

について、ご教示よろしくお願いいたします。

あなたの乳癌は、T1bN0:Stage Tの小さい方で、しかもLuminal Aですから、再発リスクは極めて少ないと考えます。しかしDCISではないので、数%の再発リスクは背負っていると考えなければならず、そのためにタモキシフェンとLH-RHアゴニスト製剤を2年と提案されたのだと考えます。極くわずかの可能性ですが再発した場合は、お子さんを育てきることができずに命を落とされ、ご主人がそのお子さんを育て上げるということを容認なさるのなら、治療をしない選択は有り得ると思います。
1) ホルモン治療をせず、不妊治療を受けるという選択は可能か?→上記が容認されればあり得ます。
2) ホルモン治療を2年受けたあと妊娠するために今できることはないか?(卵子凍結など?)→卵子凍結は、化学療法による卵巣機能低下が考えられる場合は、行っておいた方が良いでしょう。現在40歳の方が、治療完了後の42歳になって、経年性の変化で妊孕性が減少するなら必要でしょう。この点は産科の先生に伺ってください。
 不妊専門の産科医の言で、「過去に妊娠歴のないご婦人は37歳を超えてから普通の妊娠は望めないと思ってほしい」と聞いたことがあります。また、試験管妊娠等で懐妊できても、産道の硬化等で妊娠経過や分娩が困難であることが多いと思います。期待を持たれるのは結構ですが、現実性がかなり薄く、小生の患者様たちも35歳を超えて発症された方は、苣児をあきらめた方がほとんどです。(文責 久保内)

 

No.10473】  11年12月17日   A.M.
術後補助療法について

いつも参考にさせていただいています。術後補助療法について、ご意見をお聞かせください。先月左皮下乳腺全摘の手術を受け、下記の病理結果がでました。
充実腺管癌、 腫瘍サイズ22×20×15mm、 Nuclear grade1(腺管形成2、核異型2、核分裂1)、 f(+),pn-,ly0,v0、 断端陰性、リンパ節転移なし、 HER2 1+、ER90%、PgR85%、 Ki-67 30%
現在42歳です。術後の補助療法は別の医師の担当になり、病院の都合で、担当医の受診まで少し日が開いており、補助療法がまだ決まっておりません。主治医(執刀医)からは、ホルモン療法は必須だが、化学療法については、ホルモン強陽性だけど腫瘍サイズが少し初期の段階を越えているのと、Ki-67が高いので、勧める先生が多いかもと、言われています。

1) ルミナールBに分類されると思いますが、化学療法は必須なのでしょうか? 許容範囲であれば、ホルモン療法単独(リュープリン2年+タモキシフェン5年)でいきたいのですが、ホルモン療法単独では不十分でしょうか?
2) 化学療法を加えた場合の上乗せ効果は、どのくらい期待できるのでしょうか?
3) 化学療法+ホルモン療法の場合、勧められる化学療法はACまたはEC療法でしょうか?

よろしくお願いいたします。

今年のSt. Garren以降、Ki67が重要視されており、一人歩きをしていますが、必ずしも一人の病理医で確実な診断ではないかもしれないと考えた方が良いと思います。病理医によっては標本の平均で値を出す先生も居れば、標本中最強の部位で値を出す先生もおられます。あなたの場合Ki67=30%ですが、Nuclear grade1(腺管形成2、核異型2、核分裂1)や他のfactorも参考にすると、Luminal Aかもしれません。小生の患者さんの中にも同じような人がいて、@ki67を他の病理医にconsultation(セカンドオピニオンです)をかけるAそれでも判定しづらければ(お金はかかるけれどOncotype DXに出してみる ということにして今検討中の方がいます。お若い方ですので十分検討してから、対処なさった方が良いのではないかと考えます。
1) ルミナールBに分類されると思いますが、化学療法は必須なのでしょうか? 許容範囲であれば、ホルモン療法単独(リュープリン2年+タモキシフェン5年)でいきたいのですが、ホルモン療法単独では不十分でしょうか?→luminal Aならホルモン療法単独が良く、Luminal Bと決まれば化学療法を加えた方が良いです。
2) 化学療法を加えた場合の上乗せ効果は、どのくらい期待できるのでしょうか?→L-Bとした場合でも10%以下と考えます。
3) 化学療法+ホルモン療法の場合、勧められる化学療法はACまたはEC療法でしょうか?→本来EC・AC vs TCの比較は「神のみぞ知る」領域です。小生はL-Bの場合EC・ACの方が有効性が高いと思っていますが、現在はTCが流行っています。どちらが良いかは一概に言えません。(文責 久保内)

 

No.10472】  11年12月17日   A
術後の傷跡について

2008年9月に手術しました。3年以上経ちますが、傷跡が薄くなる気配がありません。盛り上がって、ケロイドに似た感じです。今は半年に一度の検診で、異常はありません。傷跡が気になるのみです。このまま傷周囲も固くなっていく恐れもあります。主治医曰く、「本来手術で切った部分の毛穴や汗腺が縫って汗等出るところがふさがれ、傷横に出ようとして、それが膨らんできている。肌が思ったより弱い」とのこと。「形成外科的に手術をしてもとは思うが、ただでさえ皮膚が弱いので、傷を増やすことになるかもしれない」と、言われました。このような症例はありますか?

傷を直接見なければわかりませんが、多分ケロイド(肥厚性瘢痕)だと思います。ケロイドは術後2年くらいは進行性に肥厚し続けるので、早期発見して早期治療するのが良いと思いますし、往々にして放置されやすいのですが、もっと外科医は自分の作った傷に責任を持つべきだと思います。ステロイドの貼付剤・リザベンの内服・ステロイドやヒルドイドの軟膏・消しゴム療法等、いろいろ対処法がありますが、これだけ対処法があるということは難治性で治療が難しいということです。外科医がお手上げなら、皮膚科医に相談するのも良いと思います。ただし、3年経過しているので、元には戻らない可能性が高いと考えてください。皮膚科の次は形成外科かもしれませんが、ケロイド術後の最も多い合併症はケロイドだと認識してください。(文責 久保内)

 

No.10471】  11年12月17日   D
ホルモン剤のみで良いのでしょうか?

お忙しいところ、よろしくお願い致します。62歳です。3月に温存手術をしました。病理結果がでて、癌の大きさ7o・リンパ転移(0個/1個)・ER(陽性)・PGR(陰性)・HER2(+2)、放射線とホルモン剤5年ということで治療が始まっています。HER2が(+2)なのに主治医はこれ以上調べないということなのですが、私が希望してFISH法を調べてもらいました。結果はまだですが、例え陽性でも治療はしないと言われるのですが、ハーツの癌は転移・再発の確立が高いとか聞きますが、主治医の言うままにホルモン剤のみで良いのでしょうか? 折角、初期の段階で発見出来たので、絶対に再発・転移はしたくないのです。抗がん剤と併用でないと効果が薄いと聞きますが、ハーセプチンのみという形はとれないのでしょうか? もし治療が出来るなら、術後10カ月経っていますが、今からでも大丈夫でしょうか? 不安でたまりません。よろしくお願い致します。

癌の大きさが7mmということですので、乳癌取扱い規約上T1bということとなり、10年生存率は95%近く再発の危険は極めて少なくなります。従ってこのレベルの患者様に術後化学療法を行うかと言えば、ほとんどの乳腺外科医や腫瘍内科医はNoと言うでしょうし、術後化学療法をしない症例は、ほとんどゼロになってしまいます。
またHER2 score2の場合、4人に1人位の確率でしかHER2-FISH陽性の患者様は出ません。例え(+)と出たとしても、Herceptineを使用するか?と言えばNoと答えるDrが多いと思います。
Heceptineをもし使用するなら、単独使用や内分泌療法との併用が有効であったとするエビデンスは有りません。Taxaneと併用投与するのが普通のやり方ですが、Hormone + Herceptineを施行している施設もあるようです。以前はHerceptineは再発症例しか使えず、数年前に術後補助療法として認められた時は、2年くらい前の症例まで遡って希望者に治療していました。術後10カ月なら問題はないともいますが、あなたの場合、内分泌療法単独で良いように思います。(文責 久保内)

 

No.10470】  11年12月13日   K 
今後の治療について

年齢44歳、二人の子を持つ主婦です。10月に細胞診クラスV、組織診良性だったのですが、細胞診の時に粘液分泌物があった為、11月11日に外科生検をした所、浸潤性乳管癌の乳頭腺管癌とわかりました。組織診の結果は以下のとおりです。
Breast cancer, invasive ductal carcinoma with DCIS, papillotubular carcinoma, g,ductal spread(+), ly(-), v(-), margin(+), T1b。提出された検体は摘出された乳腺腫瘍です。組織学的に、この腫瘍にはDOICを背景に9mmの範囲に浸潤性乳管癌の乳頭腺管癌がみとめられます。癌細胞は脂肪組織内に達していません。乳管内進展がみられます。リンパ管侵襲や血管侵襲はあきらかではありません。腫瘍細胞は切除断端に達しています。腫瘍細胞の核異型スコア2点、核分裂像スコア1点、核グレード判定はGrade1となります。
今の所、明らかなリンパ節、その他臓器の転移は認められていません。くわしい内容はわかりませんが、ホルモン受容体、HER2共に陽性反応が出ているとも言われました。外科生検した病院では、設備が整ていなかった為、転院したのですが、今度改めて撮るMRIをみて、放射線の先生と相談の上、再手術はせずに済むかもしれないと言われました。治療方針はこれからなのですが、

1) 切除断端に癌細胞が残っているのに、再手術しなくても大丈夫なのでしょうか?
2) また、どのような治療が考えられるでしょうか?
3) 摘出してから、次の治療まで間があいていて大丈夫なのでしょうか?
4) 「乳管内進展がみられます」とある為、再手術しないと再発する可能性が高いのでしょうか?
5) 私は胸も小さい為、再発リスクを考え全摘をと考えていた所でしたが、手術をしなくてもよいかもと言われた事を主人に言った所、手術しなくて良いなら、その方が良いだろうとの考えです。今の段階での、最善な治療法は何がよいと思われますか?

よろしくお願いいたします。

1) 断端に残っている場合でも温存乳房に癌細胞が残っていないこともありますが、一般的に放射線療法(±再切除)を考慮します。生検した組織を詳細に調べた上で方針を決定します。
2) 局所療法に関しては上記に加え、センチネルリンパ節生検を行うかどうかといったところでしょう。全身療法としてホルモン療法は行うことが多いように思います。化学療法(抗がん剤)、分子標的療法(ハーセプチン)については治療医の考え方によるところが大きいと思いますので、よく相談なさることをお勧めします。
3) 長期間でなければ、心配はないです。
4) 必ずしもそうとは限りません。
5) 組織の結果にもよりますが、 私も全摘は可能であれば避けられたほうがよいかと考えます(遠隔転移のリスクは変わりません)。(文責 加藤)

 

No.10469】  11年12月13日   N
乳ガン健診

22歳です。先日乳ガン健診をしました。1ヶ月前から右胸の乳首から2cm右の横あたりに、8mmくらいのしこりのようなものがあり、マンモグラフィーには写ったので、後日念のため乳腺エコーを念入りにしてもらいました。その結果、乳腺エコーにはしこりが写らず、「皮膚に、おできのようなできものができているみたいだから、治りますよ。」と言われました。胸の中の皮膚に、おできや、できものができる事は、あることなんでしょうか? お願いいたします。

胸の皮膚におできのようなものができることはありますので、心配ないと思います(乳がんのしこりではないように思います)。(文責 加藤)

 

No.10468】  11年12月13日   Y
抗ガン剤について

何度か相談しています。22年5月からタキソテールをしていましたが、副作用のむくみがひどく、11月からナベルビンにかわりましたが、乳ガンからの再々発肺転移が小さくならず、23年9月から 新薬ハラベンに変わりました。しかし、腫瘍マーカー ca15−3が、16から23に上がってきています。ずっと点滴をしているので効かなくなるという事はありえますか? いったん止めて、しばらくしてから点滴を始めると効くという事はありますか? やはり続けて点滴をしていくほうがいいですか? よろしくお願いします。

腫瘍マーカー微妙な変動は気にされなくてもよいと思います。点滴を続けていると、やがて効果が薄れていくという時期が到来することはあるかもしれません。点滴はずっと続けていかなければならないというものではなく、適度に休む(体を休める)ことも大切です。休んでいる間は不安を感じることがあるかもしれませんが、休むことも立派な治療の一環であると思うことも必要です。休んでも最終的な効果は変わらないと思いますので、自信をもって体を休めて下さい。(文責 加藤)

 

No.10467】  11年12月05日   K.S
細胞診

年齢27歳です。会社の乳がん健診で、4カ月前に乳腺維持腺腫で要観察と診断されました。でも、どうしても気になって、10月になって近くの乳腺外科を受診したところ、エコー画像をみた先生が、形があやしいので細胞診をしました。一週間後、病院から連絡があり、もっと詳しい検査をしたいので、明日にでもきてほしいと言われました。次の日、病院に行くと、先生が、「先日の細胞診は良性でしたが、どうしても悪性が疑わしいので、組織をとりたい。」と言われました。局部麻酔をして、エコーを見ながら5o程の太い針をしこりの所に刺し、バキュームみたいに吸上げて組織を2本採取しました。2週間後に検査の結果を両親と聞きに行ったら、「生検の結果は良性でした。でも画像がどうしても気になります。形もイビツだし、周りが白くなっているから。良性と診断がきたけれど、半年後にもう一度来て下さい。」と言われました。先生は良性の診断が納得がいってないようでした。組織の生検は絶対確実なのでしょうか? 私のしこりの大きさは9o×7oで、硬くて動きません。先生の言葉がどうしても気になっており、今のうちにしこりをとってしまうことは出来ないのでしょうか? 半年間が長くて、その間にしこりが癌にかわって進行してしまわないか心配です。

針生検で採取できる組織量は全体からするとごく一部なので、極めてまれに、癌を良性と診断したり良性を癌と診断したりする場合もあります。主治医の立場からすると、画像の印象と生検の結果が一致しない場合は、癌を見逃したくないので経過観察や切除生検の話をします。本当は切除生検が一番確実なのでしょうが、良性腫瘍で胸に傷をつけたくはないので、またつけられたくないだろうなと思って経過観察の話をすることが多いですね。よほど画像と針生検の結果に納得できない場合は切除生検の話をします。ただ、患者さんのほうから切除して調べてほしいとお話があれば切除することが多いですね。(文責 大西)

 

No.10466】  11年12月02日   P・K
ホルモン療法について

2009年、48歳の時に乳がん全摘手術、その後に抗がん剤、放射線治療を行い、現在 抗ホルモン剤のノルバデックスを飲んでいます。ご相談させて頂きたいのは、ホルモン療法についてです。主治医から、「ノルバデックスを1年9か月間飲んだので、アロマターゼ阻害剤に替えて、トータル5年間でホルモン治療は終わり」だと言われました。生理は抗ガン剤治療の際に止まり、その後はありませんが、血中ホルモンは調べていません。同じ状況の患者の方にうかがうと、「まず最初にノルバデックスを5年間」と言われて、飲んでいる人が多いのですが、どうなのでしょうか。また、最近はホルモン剤をできるだけ長く飲んだ方が良いとなっていると聞きます。例えば、ノルバデックスを5年間、その後にアロマターゼを5年間です。主治医にうかがったところ、「以前はそういうことも言われたが、今はノルバデックスを2年間とアロマターゼを3年間です」と言われました。私はホルモン強陽性なので、なるべく長く飲んだ方が良いと思うのですが、アロマターゼ阻害剤は関節痛や骨粗鬆症などの副作用が強く、長く飲むことは難しい人が多いと聞いています。そうだとすると、ノルバデックスを長く引っ張って、アロマターゼ阻害剤にした方が良いのではとも思います。また、アロマターゼ阻害剤を飲むなら、アリミデックスかフェマーラのどちらを選べばよいでしょうか。「フェマーラの方が副作用がひどい」とも、時々聞きます。同じ病院内でも主治医によって勧める薬が違います。以上、よろしくご教示お願い申し上げます。

抗癌剤投与時に生理が止まっているようなので、最終月経から少なくとも1年9ヶ月経っているということですね。一般的には1年以上月経がない場合は閉経状態と考えます。乳癌の術後ホルモン療法については、現在も様々な臨床試験が行われていますので、時代によってベストな治療法が変わってきています。現在確実なことは、ノルバデックスよりもアロマターゼ阻害薬の方が効果があることと、タモキシフェンを2−3年投与後にアロマターゼ阻害薬に変更して計5年間内服することが、タモキシフェンを5年間内服するよりも効果があることです。(文責 大西)

 

No.10465】  11年12月02日   J.M
肺炎ワクチン接種について

HPNo.9894/10343で質問させていただいたJ.Mと申します。いつもご丁寧な回答に感謝しております。今回の質問は肺炎ワクチン接種についてです。実は術後25回の放射線治療の影響で、「放射線肺臓炎」に罹っている事が、一年後の検査(今年の秋)で判明しました。見せていただいたCTの映像では、術側の左肺には無数の白い斑点があり、右側に比べ、以前のレントゲン写真と大いに異なり 非常に小さく縮んでいます。今の所、日常生活に影響は出ておりませんが、もともと気管支系統が弱く、過去にひどい肺炎に罹った経験があるもので、肺炎ワクチンの話を耳にし、今回はそのワクチンを受けておいたほうが良いのではないかと思います。主治医の先生にお尋ねしたところ 受けろとも受けないでとも仰いません。つまり私の気持ちで好きなようにという事のようですが、患者の納得のために受けるのではなく、医学的立場から実際こういう場合は肺炎ワクチンを受けたほうが良いのか、又は受けようが受けまいが全く関係ないのか・・・。迷っていますので、よろしければ先生の見解をお聞かせいただけないでしょうか?

肺炎球菌ワクチンの接種を受けた方がよいとされるのは、一般に高齢者や慢性呼吸器疾患や心不全などの基礎疾患をお持ちの方とされています。その一方で、保険診療ではなく自費診療となりますので、インフルエンザワクチンと同様、医療者としては強く勧めないのが現状です。66歳であることや、以前より気管支系統が弱く現在放射線肺臓炎を患っていることを考えると、受けた方がよいとされる人に当たるのかもしれません。(文責 大西)

 

No.10464】  11年12月02日   K
ハイリスクになるのでしょうか?(HPNo.10448-3)

No.10448で質問した者です。ご回答ありがとうございます。何度も申し訳ありませんが、もう1点質問させてください。最初の相談で、病理検査の結果を記しましたが、私の場合はハイリスクなのでしょうか? グレード1・ホルモン陽性・HER2陰性ということで、リスク要因はリンパ節転移陽性だけ?だと解釈したのですが、やはり私はハイリスクになるのでしょうか?

リンパ節転移は2個(3個以下)、ホルモン受容体陽性、HER2陰性ですので、中間リスクとなります。(文責 大西)

 

No.10463】  11年12月02日   K.K.
再発治療について(2)(HPNo.10460-2)

早速の回答、ありがとうございます。初回手術の時は切除断端は陰性でした。このような場合は、新しくできた癌と考えるのでしょうか? また、遠隔転移の可能性は、どれぐらい高いものなのでしょうか。何度も申し訳ありませんが、ご回答いただけると大変ありがたいです。

初回手術時に断端陰性であっても局所再発する場合もあるので、なんとも言えません。K.K.さんの場合、手術痕に発生していることや、ホルモン受容体やHER2の発現状況が初回手術時と再発時で似ていることから、局所再発の可能性も残ると思います。腫瘍径が大きいもの、再発までの期間が短いもの、脈管侵襲がみられるものなどは、予後不良との報告もありますが、遠隔転移の確率については何とも言えません。CT検査の結果を待つしかないと思います。(文責 大西)

 

No.10462】  11年12月01日   M.S.
CEA上昇について

2002年5月に、非浸潤癌で右皮下乳腺全切除。その後、無治療。2003年10月、右側手術痕上に再発。全摘出+リンパ節切除。ホルモンレセプター2つとも(+)ハーセプチン(−)リンパ節転移なし。その後、ノルバデックス、フルツロン1年服用。2004年9月に妊娠希望で服薬一時中断し、2005年9月に帝王切開で男児出産。その後、再びノルバデックス開始。2007年服薬終了し、2010年3月に帝王切開で女児出産。その後、経過観察のみで異常なし。2011年5月の検査では、血液検査異常なし、エコー異常なし、胸部レントゲン異常なし。2011年11月の検査で、今まで正常だったCEA9.4となる(正常値5以下)。エコー(左乳腺・肝臓)異常なし。今後CTなどを行う予定。今回、再再発であれば、子供が1歳と6歳と小さいことから、積極的な治療をしたいと思っています。CEA正常が9.4に上昇した場合の再発の可能性はかなり高いのでしょうか? それとも、一時的な上昇の場合もよくあるのでしょうか? 再再発となるとかなりショックは大きいです。よろしくお願いします。

CEAの上昇だけで乳癌の再発と診断することは一般的ではありません。これから行うCTの結果を待つしかないかと思います。ちなみにCEAの上昇は乳癌の再発のほかに、胃癌や大腸癌、肺癌、子宮癌など他の癌でも上昇することがありますし、9.4であれば喫煙や良性疾患によって上昇することもあります。(文責 大西)

 

No.10461】  11年12月01日   Y.T.
術後の抗がん剤投薬について

43歳、左乳癌。1ヶ月前に手術を行い、術後病理結果は、乳頭腺管癌。主腫瘍結節は14×10×10mmだが、乳管内進展が目立ち、腫瘍径としては28×50×16。センチネルリンパ節転移はなく、stageUa。リンパ管侵襲なし、静脈侵襲なし、核グレード3、ER90%以上、PgR40%、HER2:1+、MIB-1:5%以下 でした。主治医からは、「いわゆるルミナールAで、抗がん剤の上乗せ効果はほとんどないので、放射線治療にノルバデックス5年とリュープリン2年と言われました。術前の針生検では1だった核グレードが3となったとこが引っかかり、抗がん剤治療もしたほうがいいのではないかと悩んでいます。ご回答いただけたら幸いです。よろしくお願いします。

ER90%以上、PgR40%、HER2:1+、MIB-1:5%以下から考えると、主治医の判断されるようにluminal Aに相当すると考えるのが妥当ですが、Y.T.様の場合、核グレードが3ですので、luminal Bに相当する可能性もあります。また腫瘍径としては50mm、リンパ節転移なしについての評価ですが、腫瘍径のみを考えると再発リスクが高く、リンパ節転移状況のみを考えると再発リスクが低いと考えるべきですので何とも言えないと思います。では化学療法が必要かどうかについてですが、luminal タイプの患者さんの場合再発リスクのほか、患者年齢によって決まり、標準的な治療がないのが現状です。標準的な治療がないということは、逆に言うと実地臨床では患者希望によって治療方針が決定されることも多いです。抗癌剤投与を前向きに考えていらっしゃるようでしたら、主治医の先生に再度ご相談されてはいかがでしょうか。仮に科学的根拠を追加するのであれば、オンコタイプDXなどの遺伝子検査が有効とされていますが、現在保険適応はなく、約50万かかるようです。(文責 大西)

 

No.10460-1】  11年11月29日    K.K.
再発治療について

6年前、36歳の時に、腫瘍の大きさ1.7cm、硬ガン、ER・PGR陽性、HER2が3+で、乳房温存手術後、放射線治療、自費でハーセプチン単独1年間、リュープリン2年投与しました。11月に受けた定期健診の超音波で手術跡に異常が見つかり、針生検をしたところ、3本とった組織の全てが悪性との診断でした。組織の内容は前回とほぼ同じで、硬ガン、ER陽性、PGRは陰性、HER2が2+、核異型度3、グレード3、KI-67陽性率は30%程度、腫瘍の大きさは超音波では2.3cmですが、主治医は3cm位かも知れないと言っております。脂肪まで浸潤、リンパ管浸襲・静脈浸襲は明らかでないとのことです。腫瘍マーカーは、CA15-3、CEA、NCCSTとも正常範囲内、骨シンチ、肺のレントゲンに異常はありませんでした。先日、胸部から骨盤のCTをとり、まだ結果はでていません。局所再発との診断で、12月9日に乳房切除手術をする予定ですが、その後の治療については、ホルモン療法かハーセプチン単剤と言われ、抗がん剤は使用しないのか確認したところ、やるとすればシクロスファミド・タキサンと言われました。

1) 私としては、局所再発は遠隔転移の前触れとも言われていると聞いたため、抗がん剤治療を行いたいのですが、提案されている抗がん剤で良いのでしょうか?
2) 再発ではありますが、可能であれば再建手術もしたいと思っています。主治医は再建手術もOKと言っていますが、いつぐらいの時期に行えば良いのでしょうか?
3) 手術までに2週間ありますが、その間に腫瘍が更に大きくなったり、転移の可能性は強くなるのでしょうか?

混乱しているため、変な質問かもしれませんが、お答えいただけると、とてもありがたいです。

問題は初回手術時に切除断端陽性であったかが問題で、陽性であれば、局所再発のリスクとなります。その場合は、遠隔転移は起こしにくいことになります。再建は、当院では病理診などの結果で術後療法が一段落した後に再建をしています(平均すると半年後くらいでしょうか)。術後6年で3cm近くになった腫瘤は、一般的に2週間で急に悪化することはないので、心配ないと思います。(文責 石山)

 

No.10460-2】  11年12月02日    K.K.
再発治療について(2)

早速の回答、ありがとうございます。初回手術の時は切除断端は陰性でした。このような場合は、新しくできた癌と考えるのでしょうか? また、遠隔転移の可能性は、どれぐらい高いものなのでしょうか。何度も申し訳ありませんが、ご回答いただけると大変ありがたいです。

初回手術時に断端陰性であっても局所再発する場合もあるので、なんとも言えません。K.K.さんの場合、手術痕に発生していることや、ホルモン受容体やHER2の発現状況が初回手術時と再発時で似ていることから、局所再発の可能性も残ると思います。腫瘍径が大きいもの、再発までの期間が短いもの、脈管侵襲がみられるものなどは、予後不良との報告もありますが、遠隔転移の確率については何とも言えません。CT検査の結果を待つしかないと思います。(文責 大西)

 

No.10460-3】  11年12月28日    K.K.
術後の治療について

NO10460−1・2でご相談したものです。その節はありがとうございました。12月9日に胸筋温存乳房切除術、リンパ郭清しました。24日に病理結果がでましたが、硬ガン、ER3+、PGRは-、HER2-、グレード2、KI-67陽性率は30%程度、リンパ節転移-(0/7)、リンパ管侵襲・静脈浸襲は0、浸潤は胸筋に接しているが浸潤はしていないということでF、断端には露出を認めず、腫瘍の大きさは3.1cmでした。場所は前回手術の瘢痕部に近いが、正常組織を隔てており、異時多発癌である可能性があるが確定は困難との所見でした。腫瘍マーカーはCA15-3、CEA、NCCSTとも正常範囲内、骨シンチ、肺のレントゲンに異常無し、結果待ちだった胸部から骨盤のCTは、両肺に転々と影があり、大きさが小さいため良性・悪性の判断がつかない、反対の乳房に反応があるとのことでした。肺については、炎症でも写る可能性があり、反対の乳房はマンモ・エコーでも問題がなく、乳腺症が写る事から、6ヶ月後に再度検査ということになりました。今後の治療として、ノルバテックス単剤のホルモン療法を主治医から提案されています。抗がん剤をやるつもりだったので、ホルモン療法の前に抗がん剤治療をしないのか確認したところ、腫瘍径が3.1cm、KI-67陽性率が30%のため、やってもいいかもしれないが、メリット・デメリットで考えるとなんとも言えないと言われました。

1) 抗がん剤の恩恵に預かれるのは100人のうち9人(?)ということでしたが、現在仕事を持っており、抗がん剤治療をしている間は仕事は休むようにいわれ、退職すべきか迷っています。また抗がん剤についても、主治医がメリット・デメリッは半々と言っていることから、抗がん剤をしようという気持ちが揺れています。もし別な見解があれば教えていただきたいと思います。
2) 次回の予約は1/12で間があいていますが、なにもしなくても大丈夫でしょうか?

再発のショックからまだ立ち直っておらず、変な質問かもしれませんが、お答えいただけると、とてもありがたいです。

K.K.さん、御相談ありがとうございます。乳房温存術術後6年の再発で、さぞ驚かれたことと思います。今回のK.K.さんのご質問のケースは、お答えが非常に難しいです。CTで見つかった肺の影が転移であれば、抗ガン剤が選択枝の一つになります。しかし非常に小さく症状もない状態ですし、局所再発も前回手術から6年経過していてホルモン受容体陽性のおとなしい癌であると考えれば、ホルモン治療から開始する方法も選択枝になります。どちらの治療でも、今後肺の影が消えない限り、ずっと継続することになります。肺の病変が転移でなく、今回の乳癌が前回の乳癌とは全く別の新しい乳癌であった場合ですが、グレード2とKi-67が30%であることから、術後補助化学療法としての抗ガン剤も選択枝にあがります。この場合の抗ガン剤治療期間は長くても6ヶ月程度です。最近は抗ガン剤の副作用を抑える有効なお薬が非常にたくさんあります。私が拝見している抗ガン剤治療をお受けの患者さんにも、仕事を続けながら治療を受けている方もたくさんいらっしゃいますし、必ずしも仕事を休む必要はないと考えています。また1月12日まで治療をお受けにならないのは大変心配とは思いますが、K.K.さんのご担当の先生は、2週間ほどで病気が急激に悪くなるとは考えていらっしゃらないのだと思います。急いで治療することよりも、次の治療についてよくお考え頂き、納得してから治療をお受けになることが大切な事と考えます。(文責 斎藤)

 

No.10460-4】  11年12月28日    K.K.
術後の治療について(2)

早速ご回答いただき、ありがとうございます。なお、病理の結果を再度確認したところ、コメドがあったそうです。コメドの意味があまりよくわからず、調べてあまりたちが良くないとわかりましたが、これも治療を選択する上での要因になるでしょうか。何度も申し訳ありませんが、ご回答いただけるとありがたいです。

“コメド”とはcomedoと書き、日本語では面皰と訳します。面皰とはニキビの古い呼び名で、顕微鏡で見たときに、ちょうどニキビの中央が化膿しているように、がんが増殖した中央部が壊死している像があるとcomedo(+)と言われます。通常は非浸潤癌の時にcomedoの像があるかないかで悪性度が変わると言われています。貴女の場合は硬癌ですから、comedoの有無は予後や治療選択に影響ないと考えます。(文責 清水)

 

No.10459】  11年11月29日    ゆきんこ
葉状腫瘍について

60歳、未婚です。4年前に、6センチ強になっていた葉状腫瘍を摘出しました。境界型でした。7月にしこりを感じ、マンモトーム、エコー検診を受けましたが、見つけられず、経過観察ということになりました。しかし、9月には3センチ弱までに増大し、10月末に3.5センチ程のしこりを摘出しました。病理検査の結果、「悪性葉状腫瘍、切除断端1ヶ所陽性」ということです。大きく切除する、あるいは乳房全摘等の再手術は必要でしょうか。再発してからの対応でも問題がないのでしょうか。

葉状腫瘍の悪性は血行性転移が多いと言われていますので、肺や肝臓転移も心配ですが、局所は陽性1か所の範囲によっては追加切除で全摘しないこともあります。わずかな陽性なのか、広範囲の陽性なのかで決まると思います。(文責 石山)

 

No.10458】  11年11月29日    K.S. 
腫瘍マーカーの深刻度について

4年ほど前に乳癌を全摘して、その後3ヶ月毎に検診を受けています。NCC−ST439の値が、 「5月 18、10月 93、11月 130」 でした。「10月の値が高いので再検査を」と病院から連絡があったのが、検査から40日後の11月中旬です。ネットなどの情報でみると、かなり高い数値に思いますので、「検査から40日経ってますけど、のんびりした感じで大丈夫なんですね?」と医師に尋ねましたら、「たまたまかもしれないし」とのことでした。たまたまでなかった場合、深刻度合はどうなのか不安です。また、前回ノルバテックスのを出すのを先生が忘れ、3ヶ月飲んでいませんでした。(私は、もう薬はいらないのだなと思っていました) このことは、何か影響はありますか? アドバイスのほど、宜しくお願い致します。

腫瘍マーカーは検査の誤差もあるので、まず再検査をして、それから考えたほうが良いと思います。タモキシフェン3ヶ月飲み忘れで急に出るというのも、あまり聞いたことはありませんが、まず今度のデータを見てから考えたほうが良いと思います。(文責 石山)

 

No.10457】  11年11月29日    R
放射線治療後の皮膚炎について

乳がん放射線治療後、乳首の色が変わりました。その周りと腋の下の皮膚がむけ、真っ赤で、血もでます。 皮膚も乾かないで ヒリヒリです。ワセリンを塗布していたんですが、服にぴったりついて、はがす?とき、痛いです。その軟膏も なくなり ました。軟膏は塗布したほうが いいですか? 放射線治療科、皮膚科、どっちを受診すればいいですか。ヒリヒリしない対処方法があれば、お願いします。いつまで 続きますか? 治療終わって10日です。

放射線皮膚炎の可能性が高いので、放射線治療科にまずかかり、必要があれば皮膚科に紹介してくれるはずです。(文責 石山)

 

No.10456】  11年11月29日    OBASAN 
化学療法(2)(HPNo.10379-3)

とりとめもない書き方ですみませんでした。HPNo.10379 10453 で、回答いただいた者です。11月22日に再々手術を受け、病理結果はまだですが、10月の針生検でクラス3B、ペット検査でも再発の可能性大とのことでした。生検後、確実ながん細胞が出なかったので、もう1度検査して、再発だったらパクリタキセル2か月と言われましたが、その後、病理医とも再検討の結果、検査しても、また、がん細胞が出ないこともあり、手術を先にし、病理結果を待ち、化学療法をした方が良いでしょうとのお話でした。半年というのは、初発時(2年前)の治療で、DOC+FEC それぞれ4回ずつ受けましたので、それと同じ治療ということだと思います。抗がん剤がよく効いたというのも初発時です。パクリ2か月というのは、最初の主治医の先生のお話で、半年は変更後の先生のお話で、どちらも手術前のことですので、これから変わるかも知れず、詳細なスケジュールはわかりませんが、ただ、2か月と半年はずいぶん差があるな!と思っただけです。2年前の化学療法は術前でしたが、今回は術後に何か月治療すればよいという基準はあるのでしょうか? また4か月で2度目の再発は、やはり抗がん剤は必要でしょうか? 可能性大という事で、私としては結果が出てあわてて決めるのではなく、今から、気持ちや治療の準備をしておきたいと思ったからです。気持ちの焦りから、よくわからない文章があれば、また、ご指摘ください。よろしくお願いします。

パクリの術前治療や再発予防の補助療法はFEC後4回(3週法で)、毎週投与なら12回が一般的です。再発の場合、決まりがありません。取り残しがあれば長くなるし、取りきれていて、その再燃予防は短いこともあります。(文責 石山)

 

No.10455】  11年11月29日    K
術後の治療について(HPNo.10448-2)

HPNo.10448で病理所見の意味について質問した者です。ご回答、どうもありがとうございました。さらにお聞きしたいのですが、私の場合、術後治療は、やはり抗がん剤治療(FEC+タキソテール)もする方がよいと思われますか? 抗がん剤・ホルモン治療の併用により、予測では67.7%の再発率を33.1%ぐらい減らせるとのことですが、再発リスクは半減すると考えてよいのでしょうか? 非浸潤癌とのことで、抗がん剤治療は必要ないと思っていたこともあり、抗がん剤はできれば避けたい気持ちがあります。ホルモン治療だけを行った場合の再発リスクと比べて、どの程度違いがあるのか教えて頂けると有難く存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

ホルモン治療単独でハイリスクの方を治療した詳細なデータがないので、はっきり数字には表れておりません。いずれも昔から使われているタモキシフェンと比較してどうかというもので、わずかな症例での検討では半減させる場合もありますが、再発低減効果について3分の2にするという事が多いと思います。67%が45%になるという事でしょうか。(文責 石山)

 

No.10454】  11年11月26日    K 
放射線治療、投薬が効かない理由について

69才になる母が、10年以上前に国立がんセンターで乳がん(ステージU)の摘出手術を受けました。10年以上経過したので、家族もほぼ安心していたのですが、昨年12月、鎖骨下に局所再発があり、同病院で診察をし、今年の1月後半から約3か月にわたり放射線治療と投薬を行いました。治療の効果を見るため10月に超音波検査を受けたところ、腫瘍の大きさに変化が見られず、11月に入り再度超音波検査を受けた結果、腫瘍が少し大きくなっていると言われたそうです。来週、更に超音波検査を行い、来月結果が出たら外科受診をし、生検だそうです。乳がんは放射線治療や薬が一番効果が出やすいと聞きます。なぜ、まったく効果が現れなかったのでしょうか。

再発乳がんでは、放射線療法は必ずしも有効かどうか分かりません。また投薬といっても、ホルモン剤なのか抗癌剤なのか、それとも別の薬かにもよります。何故かと言われても分かりません。再発の部位は分かりますが、皮膚転移の再発か、手術の時の散布か、リンパ節の再発か、組織型、ホルモン感受性の有無、HER2の状況など、色々考えて今後の治療は考えないといけないと思います。(文責 石山)

 

No.10453】  11年11月26日    OBASAN
化学療法(HPNo.10379-2

10月10日、HPNo.10379で回答いただいたOBASANです。その後、生検でクラス3B、大いに怪しいが、はっきりしたがん細胞は出ず、ペット検査で遠隔転移はなし、先に手術をして、組織を全部調べることになりました。手術前の説明で、がん細胞が、まわりの細胞を巻き込んでいくタイプかもしれない。1センチほどのしこりが赤くなっているのは、リンパ管にしみだしていることが多い。その時、初発の手術時、グレード3だったことも聞きました。手術は終わり(かなり大きくとったそうです)、結果待ちですが、化学療法を勧められました。最初の主治医は、2か月のパクリタキセル、その後、乳腺専門医に変更してもらい、その先生の話だと、初発の時とおなじ、半年と言われました。2か月は頑張れるけど、半年はきついな!というのが正直な気持ちですが、命には代えられないと思っています。なお、抗がん剤はよく効いて、乳管のなかには残ったが、周りの塊は消えたというお話でした。アドバイス、よろしくお願いします。

申し訳ないが記載の意味がわかりません。結果待ちというのは、、病理結果はまだなのですよね。2か月のパクリと半年というのは投与回数を増やすという事ですか? それとも毎週投与と3週投与の違いなのか・・・。「抗がん剤が良く効いて・・・」以下の意味も、今回の手術結果のことでしょうか。(文責 石山)

 

No.10452】  11年11月26日    H 
術後の投薬について

乳癌の術後投薬について質問させていただきたく、メール差し上げました。まず、状況の説明からさせていただきます。1.5ヶ月前に乳癌の外科手術(左胸全摘、リンパ転移なし)を終え、術後治療を控えている42歳女性です。術後の細胞診断では、以下の通りとなりました。
・ER(エストロゲン受容体):3+ ・PGR(プロゲステロン受容体):3+ ・ハーセプテスト:+ 陰性 ・核異型度:グレード2 

ここで主治医より、グレード2がひっかかるということから、更に追加で「K67細胞」の検査を実施することとなり、その結果が、基準の14%をわずかに超える18%との結果となりました。最終的な検査結果としては、ルミナールB型、グレード2、K67-18%、腫瘍サイズ22mm となりました。この結果を踏まえ、3択の治療方法を伺っています。
1.ホルモン剤のみの治療
2.ホルモン剤+化学療法(TC、EC)
3.ホルモン剤+内服科学療法(UFT、テフシール)

上記診断で、「やや活動性の高い細胞」とのことで、抗癌剤が必要かもしれないとの話になっているのですが、K67細胞検査の結果が14%を超えているとはいえ、4%しか超えていないということから、主治医も判断しかねている様子で、こちらにそれぞれの長所短所を伝え、判断して欲しいと言われています。ここで質問なのですが、上記のような状況で、全摘でリンパ転移なしの術後投薬として抗癌剤まで使用する必要性がほんとにあるのかという点をお聞きしたいです。色々調べたところ、抗癌剤は、免疫細胞(リンパ球等)をも破壊してしまうということなので、使用することによる免疫力の低下からくる様々な悪影響を懸念しています。(例えば別の癌細胞が発生し免疫力低下の影響で増殖してしまう等) 以上、お忙しいところ申し訳ありませんが、御回答いただければ幸いです。宜しくお願い致します。

抗がん剤の副作用は、好中球減少は一時的ですので、免疫力が落ちても、がん細胞が云々より乳癌再発の予防効果が大きいので、やることを勧めている訳です。またこの程度の状況では、再発する可能性はおそらく10%から15%(腫瘍径が書かれていないので不確実ですが)と思われ、化学療法で5%程度に下げる事になると思われます。ホルモン剤では7,8%というところでしょうか。その差を考えて決められればいいと思います。(文責 石山)

 

No.10451】  11年11月24日    N.S.
ホルモン剤と抗がん剤の併用について(HPNo.10349-3)

いつもお世話になっております。以前、予後治療について、ご相談させていただきました。おかげで無事放射線療法を終え、少し休んで、来月からハーセプチンとTC 療法を受けるという方針が決まりました。一点お尋ねですが、術後1ヶ月ぐらいからホルモン剤を飲みはじめています。ネットで見ると、通常抗がん剤とホルモン剤は同時には併用しないとあるのですが、主治医は、今後も(抗がん剤投与が始まっても)ホルモン剤は継続して飲み続けるようにと言っています。特に問題はないでしょうか。あるいは、もしそれに従った場合、気をつけた方がいいこと、あるいは事前に聞いてみた方がいいことがあるでしょうか。今のところ、順番は、ホルモン療法(アリデミックスの服用開始)ー>25回の放射線(ここまで既に終了)—>(今後)ハーセプチン、TC 療法となる予定です。よろしくお願い致します。

内分泌療法を併用したほうが良いというデータはないと思いますので、一般的には併用しませんが、特に必要な理由があるのかもしれません。主治医に聞いてみてください。(文責 石山)

 

No.10450】  11年11月24日    T
胸のしこりについて

30才男性です。2ヶ月程まえから、乳輪の1cmくらい下にしこりがあります。押しても痛みはなく、少し黒ずんています。特に大きくなっている気もしませんが、乳癌の可能性はありますか? 病院を受診したほうがいいでしょうか? その場合何科ですか?

男性乳がんの可能性もわずかにありますので、乳腺外科に受診してください。(文責 石山)

 

No.10449】  11年11月24日    S.T.
右腕の痛み

乳癌手術後一年七ヶ月経ちます。手術は右全摘です。術後は痛みもなく、腕も術前と同じくらいまで上がりました。が、一月くらい前から右腕が上がらず、痛みがあります。ピリピリした痛みで、動かさなくても痛みます。また動かす角度でピリピリ痛みます。重い物も持てません。三ヶ月ごとの診察の時に主治医に言いましたら、すぐにレントゲンをとったのですが、骨には異常がないとのことで、痛み止めが処方されました。が、その薬は余り効きません。痛みを止める方法はありますか。この痛みは、このままにしていて大丈夫でしょうか。

原因がわからないと治療法がわかりません。その場合、対症療法で鎮痛薬などを使用して経過を見ていくことになります。念のため整形外科を受診し、またペインクリニックに相談してみる方法もあるかと思います。(文責 石川)

 

No.10448-1】  11年11月24日    K
病理所見の意味を教えてください

非浸潤癌との診断後、温存手術を受けましたが、断端陽性のため1週間後に全摘手術を受けました。また、非浸潤癌であるにもかかわらず、センチネルリンパ節に2個転移が見つかり、リンパ節郭清しました。病理結果を見ても、専門用語や英語?でよくわかりません。主治医に聞いてもあまり説明してもらえませんでした。そこで質問なのですが、

1)私の癌の病理所見の意味を教えてもらえないでしょうか?
2)私の場合、グレード(悪性度?)はいくつなのでしょうか?(どれを見ていいのかわかりません。)
3)年齢は39歳です。再発率(リスク)はどのくらいなのでしょうか? また、抗がん剤治療(FEC→タキソテール)・ホルモン治療(ノルバデックス)によって、どのくらい再発リスクを減らせるのでしょうか?

(病理所見) 
right, D, g, ly0, v0, Tis(+), EIC(-), ductal spread(+)marked, comedo(-),  HG tuble:2, HG nuclear atypia:2, HG mitosis:1, N-SAS:1, B&R:1, non-invasive lesion, pN(+) 2/28, HER2(-), score1, ER(+)>80%, PgR(+)>80%

(温存手術) 
広範囲にcribriform pattern, flat patternを示す乳管内癌が広がり、1箇所に径1.3mmのscirrhous patternを示す浸潤癌が見られますが、浸潤は乳腺内にとどまり、脈管侵襲は指摘できない。

(全摘手術) 
温存術切除端近傍に広範囲に異型の強い細胞が充実性、低乳頭状、篩状に増殖する乳管内病変がみられ、3箇所にpapillotubular patternを示す浸潤癌のfocusを伴っている。浸潤は乳腺内に限局。リンパ節転移があったことから脈管侵襲はあるはずだが、標本上は明らかなものを指摘できない。

自分の状態についてよくわからず、不安です。お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。

1) (病理所見)右、外下領域、癌は乳腺組織内にとどまる(脂肪組織浸潤なし)、脈管(リンパ管、静脈)浸襲なし、腫瘍細胞は乳管上皮 にとどまるが、乳管内の進展と壊死がみられる。組織学的異型度グレード 腺腔形成度:2, 核異型性:2, 核分裂像数:1, NSAS(National Surgical Adjuvant Study of Breast Cancer)グレード:1, Bloom & Richardson分類グレード:1, 非浸潤癌、リンパ節転移(個数) 2/28, HER2は score1で陰性, ER(+)>80%, PgR(+)>80%で共に強陽性。
2) グレード(悪性度)は核グレード、組織学的グレードとも1になります。
3) USAのAdjuvant!Online(Version8.0)の再発予測に因れば、術後に何も治療をしなければ10年再発率は67.7%、化学療法・ホルモン治療の併用で33.1%ぐらい再発リスクを減らせると予測しています。(文責 石川)

 

No.10448-2】  11年11月29日    K
術後の治療について

HPNo.10448で病理所見の意味について質問した者です。ご回答、どうもありがとうございました。さらにお聞きしたいのですが、私の場合、術後治療は、やはり抗がん剤治療(FEC+タキソテール)もする方がよいと思われますか? 抗がん剤・ホルモン治療の併用により、予測では67.7%の再発率を33.1%ぐらい減らせるとのことですが、再発リスクは半減すると考えてよいのでしょうか? 非浸潤癌とのことで、抗がん剤治療は必要ないと思っていたこともあり、抗がん剤はできれば避けたい気持ちがあります。ホルモン治療だけを行った場合の再発リスクと比べて、どの程度違いがあるのか教えて頂けると有難く存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

ホルモン治療単独でハイリスクの方を治療した詳細なデータがないので、はっきり数字には表れておりません。いずれも昔から使われているタモキシフェンと比較してどうかというもので、わずかな症例での検討では半減させる場合もありますが、再発低減効果について3分の2にするという事が多いと思います。67%が45%になるという事でしょうか。(文責 石山)

 

No.10448-3】  11年12月02日    K
ハイリスクになるのでしょうか?

No.10448で質問した者です。ご回答ありがとうございます。何度も申し訳ありませんが、もう1点質問させてください。最初の相談で、病理検査の結果を記しましたが、私の場合はハイリスクなのでしょうか? グレード1・ホルモン陽性・HER2陰性ということで、リスク要因はリンパ節転移陽性だけ?だと解釈したのですが、やはり私はハイリスクになるのでしょうか?

リンパ節転移は2個(3個以下)、ホルモン受容体陽性、HER2陰性ですので、中間リスクとなります。(文責 大西)

 

No.10447】  11年11月24日    T M  
組織検査のデメリット

2年前に健康診断のマンモでしこりを発見し、大きな病院へ紹介されました。再度マンモ、エコー、MRI、CT、細胞診をやり、乳腺症だろうということで経過観察となりました。去年の検診も経過観察、今年も特に変わりはないようなのですが、念の為の組織検査をすることになりました。しこりの一部を切り取るそうですが、もしガンだった場合、悪い細胞がどんどん飛び散っていったりしないのでしょうか? ネットで検索すると、否定できないという先生もいらっしゃるようで不安になっています。よろしくお願いします。

生検などの組織検査で癌細胞の播種が起こることはありえますが、極めて稀と思われます。それよりも、早く癌を診断し治療を開始することのメリットが遥かに大きいと考えられています。(文責 石川)

 

No.10446-1】  11年11月24日    それいゆ
切除断端について

55歳、既婚。9月に左乳房全摘手術をしています。病理診断の結果:硬癌 1.5x1.5x1.1(乳管内進展をあわせると10X8.5p) ER(+)PgR(+)HER2陽性(3+) ステージ1 グレード3。切除断端:A領域の腫瘍摘出検体に1.5x1.5x1pの浸潤性腫瘍がみられます。組織学的には核異型の強いscirrhous carcinomaで、PVIは座滅もあり、やや評価困難ですが、中等度はあるものと考えます。 切除乳房に非常に広範なductalspread(comedopatternを伴う)を認めますが、断端については言及困難です。頭側については局所再発に対するfollowが必要と考えられます。10月から4クールでTC療法を受けており、来週3クール目です。TC療法が終了後、ハーセプチンを1年、ホルモン治療等をすることになっています。いま心配なのは、切除断端が陰性ではないと解釈していますが、現在の抗がん剤治療のみで大丈夫なのかということです。 ご助言を頂ければ幸いです。
どうか宜しくお願い致します。

もし術後の乳房照射を受けていなければ、この治療方法も局所再発制御の効果がかなりあります。TC療法が終了後、ハーセプチン、ホルモン治療等をすることになっているようなので、かなり強力な再発予防治療計画になっていると思います。(文責 石川)

 

No.10446-2】  12年06月03日    それいゆ
腫瘍マーカー(CEA)の上昇

bP0446で回答を頂き有難うございました。1月よりハーセプチンを3週間おきに受けています。1月末よりUFTとアリミデックスを服用しています。3月末に術後半年のCT検査を受けましたが結果は異常無しでした。最近、わずかですが腫瘍マーカー(CEA)の数値が上昇しているのが、気になっています。
10月2.4 11月2.9 12月4.2 1月3.5 3月3.6 4月4.1 5月4.6
どのように考えれば良いでしょうか? ご助言をお願いします。

CEAは大体5以下が正常範囲とされており、その範囲内での増減は心配のないことがほとんどです。貴女の場合、正常範囲内で上がったり下がったりしていますので、現段階では、
まだあまり気にしなくて良いと思います。今後さらに一方的に上昇し、5を超えてゆくような場合は、他の腫瘍マーカーのチェックや全身検索などを検討されれば良いかと思います。(文責 谷)

 

No.10445】  11年11月20日    N
骨転移(2)(HPNo.10297-2) 

再度お聞きしたいのですが、その後もゾメタとフェアストン錠を続けてきたのですが、毎回血液検査をするたびに、CA15-3が100程度上昇しており、10月の検査結果は600になりました。1年間で、結果500位数値が上昇していますが、大丈夫なのでしょうか? 母も家族も、全然効果が現われないし、心配でなりません。今回からは、治療法変更で、「ゼローダという錠剤の抗がん剤があるので、これでいきましょう。」との事になったのですが、このお薬で大丈夫なのでしょうか? 注射する抗がん剤と、効き目はかわらないのでしょうか? また、引越しする事になったので、今の病院は通うのが大変だし、母自体も先生を信頼できなくなってるようで、引越し先の近くの病院に変えようかとも思っております。今から病院を変える事とかは、しない方がよいのでしょうか? 良きアドバイス、お願い致します。

CA15-3の上昇は、病気が進行してきている可能性があり、好ましいことではありません。心配です。ゼローダが効くかどうかは、使ってみなければ、わかりません。いろいろ今後のことも考えると、紹介状をもらって、通いやすい病院に行かれるのが得策だと考えます。(文責 石川)

 

No.10444】  11年11月20日   Y.S.
ki67と抗がん剤

35才です。8月に乳がんが見つかり、10月初旬に温存手術をしました。腫瘍の病理検査の結果は以下の通りでした。
腫瘍径1.8×1.2×1.00cm
核異型スコア2、核分裂スコア1(2/10HPF)、核グレード 1
リンパ節転移 なし
ER,PgRとも>90%
HER2 +2→Fish法による再検査で陰性
Ki67 10-20%,平均15%(手術前の組織診ではKi67は5-10%だったのですが・・・)

現在ホルモン療法中で、11月半ばから放射線治療をします。ほとんどルミナールAに近いのですが、ki67だけが、しかも1%だけルミナールBの範囲にかかってしまいます。標準治療ではki67が15%以上だとルミナールBになり、抗がん剤を上乗せすると本で読みました。主治医の先生に聞いたところ、必ずしも必要というわけでもないし、やるという選択もありだ、とのことでした。できることは全てやった方が後悔しないような気もしますし、抗がん剤は免疫力低下などの副作用もあるので迷ってしまいます。たった1%の違いで対象になるのですが、やはり抗がん剤をするのとしないのとでは、生存率に違いがでるのでしょうか?

Ki67の基準値上限は14%とする施設は多いようですが、20%ぐらいに置く専門医もいます。15%だと測定誤差範囲に含まれるようにも思え、難しいところです。Ki67が高値だと、化学療法を追加するべきと考える医師が多いのは事実です。(文責 石川)

 

No.10443】  11年11月20日   H
肺転移の追加質問です(HPNo.10366-6)

ご助言いただき、ありがとうございました。本日診察でしたが、胸水がさらに増えておりましたので、相談させて下さい。アロマシンを二ヶ月と少し、利尿剤を二週間服用しましたが、増水のためアロマシンが効いていないという判定になり、化学療法を薦められました。候補として、経口のゼローダ、TS-1、点滴ならCMF、ナベルリン、ジェムザールということでした。初発のときに、術前化学療法でFEC、タキソテール、術後タキソールを使用した為、タキサン系とは違うものがよいかもしれないということでした。胸水の方はしんどいのですが、まだお風呂も入れますし、座っている分には咳もなく、普通に生活できます。ただ歩くとしんどいぐらいなので、まだ抜かないということにしました。抜くときは胸膜癒着手術になるということでした。ゼローダを選択することに決めたのですが、CMFでもいいということでした。

1) 今日からゼローダを朝、夜 四錠になりました。この選択で進めてよさそうでしょうか。
2) CMF、ジェムザール、ナルベリンは脱毛はありますか。
3) 経口ではなく点滴の抗癌剤を選択したほうが、即効性があり、胸膜転移に有効でしょうか。
4) 胸膜癒着手術をした場合、その後の生活は、呼吸苦に関しては解消されますか。
5) 単剤ではなく、併用する方法もあるそうですが、どういう組み合わせが今の乳癌治療に有効性がありますか。
6) 胸水があるためか、右あばらから背中に痛みが走ります。胸膜に炎症をおこしているから、ひきつれとかのせいかもしれないということでした。痛みがある場合でも、ロキソニンや座薬で対処して、現状のままほっておいてもよいでしょうか。

1) ゼローダの選択はよさそうに思います。
2) CMFは脱毛作用大ですが、ジェムザール、ナルベリンでは少ないと思います。
3) 胸膜転移に有効かどうかは、薬剤の種類、その薬が効くかどうかに因ると思います。
4) 胸水が貯まらなくなるので、その点に関しては呼吸苦が改善される可能性が高いと思います。
5) 有効性が高まる可能性がある、いろいろな組み合わせが考えられます。一度主治医と相談されてみてはいかがでしょうか。
6) 原病を治さないと症状は続きます。それまでは鎮痛剤などの対症的療法に頼ることになります。 (文責 石川)

 

No.10442】  11年11月20日   Kuma
ゼローダ耐性乳癌へのDMPC療法

お世話になっております。Kumaと申します。現在、親が骨転移乳癌の治療を行っておりますが、抗癌剤の副作用(特に骨髄抑制)に悩まされております。そこで、経口抗がん剤の使用を主治医に依頼しようと考えておりますが、ゼローダ、TS-1は既に使用済み(耐性)です。ゼローダ、TS-1耐性乳癌に、DMpC療法は期待できないものでしょうか。お教えいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。

DMpC療法はフルツロン、ヒスロンH(MPA)、エンドサンの経口3剤の複合療法で、CAF+MPA療法に匹敵するという報告もあります。ゼローダ、TS-1は既に使用済み(耐性)だと、こちらも厳しいでしょうが、奏功する可能性が無いわけではないと考えます。こちらにも当然副作用のリスクはあります。(文責 石川)

 

No.10441】  11年11月15日   Y.F.
化学療法について(HPNo.10393-2)

先月にHPNo.10393で質問せさて頂きましたY.Fです。再度化学療法に関して質問させてください。
その後10月後半に骨シンチをしたところ、胸椎5番・9番(前回の質問で頸椎と記入しましたが胸椎の書き間違えでした。大切な部分なのにすみません。)の集積は、5番がやや大きくなっていました。特に痛みはありません。放射線科にも行きましたが、痛みが出てから照射するのでも良いのでは?という見解でしたが、気になるようであればMRIを主治医にお願いしてくださいと言われました。また、同じく10月後半に鎖骨下のリンパからFish法で細胞を採取しました。まだ結果は聞いていません。これでHER2が術後には陰性だったのから、今回変化しているかどうか見るそうです。
今はゾラデックスとゾメタのみの治療になっています。前回のこちらでの質問後にセカンドオピニオンをしました。そこでは主治医と全く違う意見だったので、更に迷いが出てきてしまい、アドバイスをお願いしたいと思いました。

主治医は、「@FEC100を6クールから8クールその後は無治療かホルモン剤 ATCかGTを6クール〜その後は1つにするか無治療予定 Bゼロータだ」と、おっしゃいました。特にFEC100を強く勧めています。理由として、私がまだ38歳と若いからだそうです。まだ体力があるので耐えられるであろうということです。ですが色々調べていくと、FECは強いので副作用が大きかったら予後に重大な影響が残ってしまう・心不全も起こりうると載っていて、心配になりました。更にセカンドオピニオン先でも、その状態でFEC100は強すぎると言われたからです。再発の場合はAC・EC、タキソール・タキソテール・ゼロータ辺りではないかとおっしゃいました。TCは初発術後にはいいだろうけど・・・、また再発は単剤を長く使ったほうがいいとも。
更にセカンドオピニオン先での意見と主治医の意見が全く違ったので困惑していたら、セカンドオピニオン先で、「サードオピニオンをすればすっきりするかも?」と言われ、先日行ってきました。そこでは、まだヒスロンHを使用してないので、それを使ったらどうかとの意見でした。しかし主治医とセカンド先では意味がないと言われたものです。他には
@ FEC100は術後には意味があるけど、今は意味がない。Eを単剤ならOK
A TCも意味がない
B 他で考えられるのはタキソール・タキソテール・アドリアマイシン・ジェムザール・ナベルビン・ハラベン・シクロファスミド・ゼロータ でした。

セカンド・サードオピニオンでは、ゆるやかな薬をゆったりと長く使っていく方法がいいと言っていました。その辺は医者の考え方の違いだけなのでしょうか。初めに副作用がゆるやかにいって、最後に(体力が落ち切ってから)強くなるのも辛いと思いますし、初めから強くして、むやみにQOLが落ちて体力が落ちるのも困ると思います。サードオピニオンをしても、意見の違いがあって困惑しています。しかし、何となく共通しているのは、ゼローダ・タキソール・タキソテール・E(を含んだ何か?)・ジェムザールあたりでした。恥ずかしながら、8年間のんびりときてしまい、化学療法の知識も乏しくて、現在必死になっているところです。ですので、分かりづらい部分も多々あるかと思いますが、ご意見宜しくお願いします。

あと、抗癌剤感受性試験(CD−DST法)というものがあって、自分の癌に効く薬・効かない薬が事前に分かるというものらしいですね。少し値段が高いですが、無駄な副作用と効かない薬代を考えるといいのかなと思いますが、どうなのでしょうか? 長くなりましたが、ご回答宜しくお願いします。

再発乳癌の治療に確定した方法はありません。ただホルモン感受性のある乳癌でしたら、ホルモン剤から治療を始めるのが原則でしょう。ホルモン剤で病勢が抑えられなければ抗癌剤となりますが、私もセカンドオピニオンの先生と同意見です。ACやECから体力の許す範囲で始めて、病勢が進行した時には次の薬に替えることにするのが良いと思います。抗癌剤の感受性試験では、効かない薬は判っても効く薬は判らないとされています。過度の期待はしない方が良いでしょう。骨転移に関してゾメタはお勧めですが、放射線は痛みなどの症状が出現したときにするのが原則です。骨シンチでは病変の進行は判りません。最近ホルモン剤が無効となった時に使用する新しい薬(フルべストラント)が使用出来る様になりました。どこかの時点で使用してみるのも良いでしょう。(文責 吉田)

 

No.10440】  11年11月15日   T.Y  
薬の副作用について

薬のことで質問させていただきます。現在51歳で、2年前に全摘の手術をして以来、タスオミンを服用しています。来年から主治医の先生が転院されるのでついていこうと思っているのですが、その病院ではノルバデックスを処方しているようです。2年間のみ続けていて、身体もなじんできたのか副作用もないので変えたくないような気もするのですが、変えると新たにまた副作用の心配があるのでしょうか? 迷っています。よろしくお願いします。

タスオミンもノルバテックスも成分はタモキシフェンであり、同じ薬ですので、副作用の出現なども同様です。安心してノルバテックスに替えてください。(文責 吉田)

 

No.10439】  11年11月14日   K
ホルモン治療について

ホルモン治療の件で相談させてください。現在リュープリン(1ヶ月1回)・タスオミンを始めて1年です。癌保険にも入ってなかったため、ホルモン治療を止めることも考えて、主治医に相談しました。「注射も薬も内容は一緒だから、止めてもメリットもデメリットもないんじゃない。止めてもいいよ。」という解答でした。患者として、とにかく怖いのは再発転移です。ちょっと腰が痛いと骨転移と不安になり、咳がひどいと肺に転移?と、そのたびに主治医に電話するのですが、整形外科に行っての一言です。整形外科と主治医の連絡が取れていれば安心ですが、乳がんになった時からを説明しなければなりません。山口の下関ですので、病院も選ぶほどありません。ホルモン治療は続けるべきと思われますか? リンパへの転移が8コ中6コだったので、ハイリスクとは言われています。お時間のあるときに返信いただければ幸いです。

よく状況がわかりませんが、リンパ節に8個中6個転移があったというのは、確かにハイリスクです。ホルモン感受性が陽性であるならば、リュ―プリン。タスオミンは少なくとも2年は続けるべきでしょう。その後はタスオミンのみを5年以上続けましょう。不安であることはわかりますが、乳がんの再発は「痛い」場合は少ないです。整形外科にいって「ハイリスクの乳がんで手術していますが。」といって、痛い個所を診てもらってください。(文責 吉田)

 

No.10438】  11年11月14日   S 
術後治療の抗がん剤について(2) (HPNo.10433-2)

HPNo.10433で相談させて頂いた者です。ご回答、どうもありがとうございました。私の勉強不足で申し訳ありませんが、回答の中の17〜20%という数値が、何の値なのかがはっきりと理解できませんでした。 (抗がん剤+ホルモン療法をした場合、何もしなかった場合よりも(?年)生存率が17〜20%上がるということでしょうか? 抗がん剤をするかしないかを迷っているので、できましたら、抗がん剤+ホルモン療法 と ホルモン療法単独治療 を比較しての差の数値を示して頂けると大変助かります。お忙しい中大変恐縮ですが、宜しくお願い致します。

17~20%というのは、ホルモン剤だけの場合よりもホルモン剤+抗癌剤を行った場合の死亡が減らせる率です(抗癌剤の上乗せ効果は何%と質問にあったので、このように答えました)。計算したもの破棄してしまい正確ではありませんが、10年生存率でホルモン剤たけで84~85%程度、ホルモン剤+抗癌剤で88〜89%程度であったと思います。(文責 吉田)

 

No.10437】  11年11月12日   M.T.
温存術後の放射線開始時期

いつも参考にさせていただいております。9月30日に温存術を受け、11月はじめに病理の結果が来ました。先生からは、「1.5cm 硬癌 ER100%, PR 100% HER2(-)でluminal Aタイプ、センチネルリンパ節(−)なので、放射線とホルモン療法で行きます。」といわれ、その日からタスオミンが処方されました。そのあと、放射線科に行ったところ、「胸筋の側の断端が陽性ではないけども、少し近いところまで来ていたので、追加照射を加え、計30回行います。」と、言われました。しかし、混雑しているそうで、開始が最短でも2週間後からとなるそうです。放射線科の先生からは、「6か月ぐらいまでに終わればよいので、間をあけることを考えたら、正月あけにゆっくりやるほうがよいと思います。」とのお話もありましたが、少し不安もあります。そこで質問です。

1) 1月からの開始だと、術後15週ぐらいとなりますが、こっちのほうがよいのか、それとも年末年始にかかっても、できるだけすぐにしたほうがよいのでしょうか?
2) 今タスオミンを内服しております。放射線科からは、内服したまま治療を受けて構いません、といわれましたが、どこかにホルモン療法は細胞の増殖を止めるので放射線の効果が薄れる(かも?)というのをみたことがあります。実際このあたりは、どうなのでしょうか?

よろしくお願いいたいします。

1) 術後の放射線治療は、術後6か月くらいまでに開始すれば良いとされています。年末年始で中断するよりも、正月明けから開始するので良いと思います。
2) 理論的には放射線の効果が薄れることも考えられますが、実際には明らかな根拠はなく、ホルモン剤を服用しながら放射線を受けても何ら問題はありません。(文責 吉田)

 

No.10436】  11年11月12日    HR
放射線治療

大変参考にさせて頂いております。9月に乳癌が発覚し、10月に手術、11月から放射線治療を行う予定です(本日放射線科初診です)。 私は癌が発覚してから枇杷温灸をやっております。手術で固くなったり、ひきつった感じがある部分が、明らかに柔らかくなっていくのがわかります。手術部分を中心に、全身にも行っております。放射線治療中でも、このまま枇杷灸を続けても良いのでしょうか? また放射線は酸化させて癌を退治するものであり、よって抗酸化作用のあるサプリの摂取は辞めた方が良いとも聞きました。これについては如何でしょうか? お忙しい中申し訳ありませんが、アドバイスいただければ嬉しく思います。

申し訳ありませんが、枇杷温灸なるものがどんなものなのか知りません。常識的に考えて、放射線治療中は、全身は構いませんが、放射線があたっている場所は避けた方が良いと思います。サプリの方は構わないと思いますが、念のため放射線科の医師に確認してください。(文責 吉田)

 

No.10435-1】  11年11月11日    紅穂
腫瘍マーカー値

昨年5月に告知を受けて、6月から抗がん剤治療、12月に左乳房温存術、30回の放射線、術後治療でハーセプチンとアリミデックスを3月から服用しています。ステージは2a、腫瘍は3.5センチ、ハーツー+3、ホルモン受容体陽性です。抗がん剤は、前半はファルモルビシン・エンドキサン・5FU、.後半はタキソールとハーセプチンでした。腫瘍は5ミリ程度に縮小し、温存術となり、リンパ節転移はなしでした。毎月腫瘍マーカーを検査しています。抗がん剤治療前は、NCC-ST439が18、CEAが3、CA15-3が10でした。抗がん剤終了時には、NCC-ST439は基準値内に下がりました。間もなく、一年間のハーセプチンも終わりますが、この4ヶ月前から、CA15-3だけが毎月2くらいずつ上昇しています。ずっと10〜11くらいでしたが、今月は17になりました。主治医は、「気になるので、全身検査をしてみようか。」と、話していますが、まだ基準内なので、大丈夫じゃないかと思っているのですが…。加齢により少し上昇することもあると聞きました。只今50歳で、アリミデックスの副作用で更年期が出ています。一気に体が加齢してるような感じです。これが今回の上昇とは関係あるような気もします。心配する範囲かどうか、お答えいただけたらと思います。すみません、うまく書けないのですが、よろしくお願いします。

CA15-3は加齢により僅かずつ上昇するようです。この位の上昇は「心配する範囲」ではないと思います。でも術後あまり検査をしていないなら、一度CT等の検査を行っておくのも良いでしょう。(文責 吉田)

 

No.10435-2】  12年02月16日    紅穂
腫瘍マーカー

昨年11月9日に相談させていただいた、紅穂です。その後、腫瘍マーカーはCA15ー3だけが、相変わらず、毎月2くらいずつ上昇しています。今月は26になりました。他のマーカーは低いままです。基準値は27ですが、この基準値とは、27を越えたら危ないということなのでしょうか? 加齢で上がっているようなのですが、いくつくらいまで上がっていくものでしょうか。やはり気になります。どうかよろしくお願いします。

正常値内の変動は、測定誤差を含めた誤差で、ご心配いりません。基準値とは、通常、健常な方の95%が含まれる値です。したがって、健常な方でも2.5%は、基準値を超えることがあります。腫瘍マーカーは、あくまで参考です。経過と画像所見などから、総合的に判断します。(文責 徳田)

 

No.10434】  11年11月11日    H.I. 
再発治療について(HPNo.10420-2)

No10420での質問、先日は回答をありがとうございました。結果として病巣が発見され、再発ということになりました。  
1) 現在生体検査中ですが、その結果変化がなければ、治療としてゼロータもしくはTS-1の服用を提案されました。同じ種類の薬のようですが TNにはどちらのほうがよいのでしょうか? 
2) 現在目に見える病変はないのですが この効果をチェックする為には、病変が現れていないかという定期的なCT検査ということになるのでしょうか。 またこの場合、どの位の間隔で行うものなのでしょうか。 
3) 腫瘍マーカー(CEA、CAは、両方とも初発時点よりすべて基準値内で、数値では参考にならないようです)NCC-ST-439は、初発時に高値を示していましたが、そのとき以降検査はしていません。今後、この検査を主治医にお願いしたほうがよいのでしょうか。
4) 前後しますが、8月に人間ドッグを受けた際、両肺線維化傾向と診断を受けました。今回のCTにも映っているのですが、主治医のコメントはありませんでした。「左側は放射線治療の影響か?でも右側は肺への転移か?」と、心配になっています。

お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いします。 

1) TNにこの両者を直接比較したデータはありませんので判りません。
2) CTの検査で新病変の出現の有無をチェックいたしますが、間隔についてはハッキリした基準は有りません。初めの1〜2年は6カ月毎、あとは1年毎位でしょう。
3) 腫瘍マーカーは初発時点では基準値内であることが多いです。再発時には高くなることが多いてすので、NCC-ST-439に限らずCEAやCA15−3も、出来れば定期的に測定しておいた方がよいでしょう。
4) 肺の病変については、なんとも言えません。引き続き経過観察して行きましょう。(文責 吉田)

 

No.10433-1】  11年11月11日    S
術後治療の抗がん剤について

よろしくお願いします。39歳、温存手術を受けました。術後治療の抗がん剤について、ご相談させて頂きます。病理検査の結果、浸潤径:0.9×0.8×0.7cm、ly(+)(軽度),v(-)、LN(1/15)(センチネルリンパ節に1個転移有)、ER・PgR共に+(ほぼ全ての腫瘍細胞に陽性)、 核異型度(NSASB法):1 、核異型度(Bloom-Richardson法):2 、Ki67:5%、HER2:2+  → *FISH法にて再検査中 。
HER2が再検査で - となった場合の治療についてです。 主治医は、「抗がん剤は積極的には薦めないかな」と、言われました。 抗がん剤をしてもほとんど効果がないというのなら、しないとスパッと決断できるのですが、私の場合、そこまででもなさそうなので悩んでいます。 (もし抗がん剤をする場合は、TC療法4クールを薦めて頂きました。)  私の場合、ホルモン療法に抗がん剤をプラスすることにより、効果の上乗せはどれくらい(何%くらいか)と考えられるか、ご意見をお聞かせ願えますでしょうか。

メールに記載されていることを基にいたしますと、ホルモン剤に抗癌剤を上乗せした場合の効果は17~20%程度あると思います。抗癌剤をやるのなら、私もTCをお勧めいたします。(文責 吉田)

 

No.10433-2】  11年11月14日    S
術後治療の抗がん剤について(2)

HPNo.10433で相談させて頂いた者です。ご回答、どうもありがとうございました。私の勉強不足で申し訳ありませんが、回答の中の17〜20%という数値が、何の値なのかがはっきりと理解できませんでした。 (抗がん剤+ホルモン療法をした場合、何もしなかった場合よりも(?年)生存率が17〜20%上がるということでしょうか? 抗がん剤をするかしないかを迷っているので、できましたら、抗がん剤+ホルモン療法 と ホルモン療法単独治療 を比較しての差の数値を示して頂けると大変助かります。お忙しい中大変恐縮ですが、宜しくお願い致します。

17~20%というのは、ホルモン剤だけの場合よりもホルモン剤+抗癌剤を行った場合の死亡が減らせる率です(抗癌剤の上乗せ効果は何%と質問にあったので、このように答えました)。計算したもの破棄してしまい正確ではありませんが、10年生存率でホルモン剤たけで84~85%程度、ホルモン剤+抗癌剤で88〜89%程度であったと思います。(文責 吉田)

 

No.10432】  11年11月09日    みりん
抗がん剤と妊娠

今年9月に温存手術を受けました。(ステージ1、グレード1、ホルモン感受性+、HER2陽性、リンパ節転移なし、ki-67 40%)
ホルモン感受性があったので、ホルモン治療+放射線治療を行うことになりました。ホルモン治療を開始する前に卵子の凍結保存をと申し出ておりましたが、主治医に「卵子の凍結保存をするのに生じるリスク(誘発剤の注射などが癌治療には真逆の行為のため)を考えると、勧められない。それに凍結保存の出産成功率は1%未満で、意味があまり無い」という風に説得されたので、そのままホルモン治療に踏み切りました。でもあとから調べたら、もう少し成功率高かったです。なんだか主治医に騙された気分で、一気に信用できなくなりました。できれば、やっぱり卵子の凍結保存しておきたかったです。でも、もうホルモン治療を始めてしまったら、どうしようもないことなんでしょうか?
それから、抗がん剤や放射線治療は不妊症になると聞いたことがありますが、本当ですか? 本当だとしたら、どの抗がん剤が該当するのでしょうか? また、ハーセプチンも開始しましたが、ハーセプチンの生殖機能への影響があったら教えてください。私の年齢は39歳で、出産に関してはあせっています。

「卵子の凍結保存」については、実際に行っている施設で聞いて頂かないと判りませんが、一般閉経前の患者さんが使用するホルモン剤であれば、ホルモン剤を中止すれば「卵子の凍結保存」も可能となるものと考えます。放射線治療は「温存した乳房」への照射であれば問題ないでしょう。抗癌剤はメトチキセート(MTX)をはじめ、様々なもので不妊の原因に成り得ると思いますが、多くは投与総量によると思われます。(文責 吉田)

 

No.10431】  11年11月09日    F・C
HER2について (HPNo.10304-3)

手術前には、トリプルネガティブということで幾度と相談にのって頂き有難うございました。8月末に手術を受けましたが、創の治りが悪く、これから術後補助療法を受けるところです。今回はHER2についてお伺いしたいのですが 手術の病理結果にてHER2 2+と言われたのですが、院内病理では(−)、外注で(2+)でした。以前この相談室で、「ハーセプチンの使用は、HER2+でも、FISH法で調べて・・・」と言うご意見を目にしていたので、先生に「FISH法で+ですか?」とお聞きしたところ、「FISHかけたけど・・・。 (−)でもFISHかけると+に出る事あるからね」と、言われました。院内病理の検査法や、外注で2種の検査法をしたのかなど、詳細は聞けませんでした。 「ハーセプチンを使う」とおしゃっているので間違いないと思うのですが やはり気になります。また、術後の抗がん剤は術後3ヶ月以内に始めた方がいいと何かに書いてあったと記憶してるのですが、最終抗がん剤は7月中旬でした。どのくらいまでに始めた方がいいのでしょうか? ちなみに、術後病理結果は、浸潤性乳管癌(乳頭腺管癌タイプ)、グレード2、g+、f+、脈管系浸潤なし、pT2、pN0、断端(−)、ER(−)、PgR(−)、HER2(2+)でした。よろしくお願いいたします。

何をお尋ねなのか、今一つはっきりいたしませんが、Her2陽性の場合、抗癌剤に引き続き(あるいは同時に)ハーセプチンを行うことが良いとされています。時期については、ハッキリしたデータはありませんが、早い方が良いでしょう。(文責 吉田)

 

No.10430】  11年11月09日    Y・J
薬の奏功性について

お忙しい中、申し訳ございません。よろしくお願いします。年齢50歳、手術後2年になります。
病理結果は以下のとおりです。 2.5センチ、ホルモンER80% Pgrなし、HER2 2+フィシュ法にて遺伝子数6倍の高値、Ki67 20〜30%、リンパ転移なし、浸潤性乳頭腺管癌、ルミナールHER2病
2010年10月、全摘手術後、FEC→タキソールウィークリー12回と、ハーセプチン1年間、化学療法にて閉経アロマシン服用しています。そこで奏功率についての質問ですが、

1) ホルモンER80% Pgrなしの場合のホルモン剤の奏功率
2) HER2が2+と3+についてのハーセプチンの奏効の違い
3) エストロゲンがある場合のハーセプチンの奏功率の低下

よろしくお願いいたします。

1) ER80%、Pgrなしですと、通常ホルモン剤の奏功率は減少いたします。正確には判りませんが、奏功率としては30%程度だと思います。
2) HER2が2+でFish法で2.2倍以上であれば、3+のものと変わらないとされています。
3) ER陽性の場合、ハーセプチンの効きが悪くなるとは特に言われておりません。(文責 吉田)

 

No.10429】  11年11月08日    M
術後の性生活について

よろしくお願いします。術後の性生活はしてもかまわないと、主治医にもらった冊子にもありましたし、ネットでもよく見かけますが、ある掲示板に、「主治医が、するのはよくないし、気持ちよくならない方がいいと言っていた」との書き込みを読み、驚いています。ホルモンは自分で左右できるものではないのに、これは事実なのでしょうか?

術後の性生活が再発率を上げるなどというような明確な根拠はどこにもありません。乳がんを患ったからといって何かを諦めたり、何かを犠牲にするようなことはありません。病気に負けずに、普通の生活を送って頂くのがよいと思います。(文責 浜口)

 

No.10428】  11年11月08日    S.I.
術後治療について

よろしくお願いします。39歳、9月末に温存手術を受けました。病理検査の結果、浸潤径:0.9×0.8×0.7cm、ly(+)(軽度),v(-)、LN(1/15)(センチネルリンパ節に1個転移有)、ER・PgR共に+(ほぼ全ての腫瘍細胞に陽性)、 核異型度(NSASB法):1 、核異型度(Bloom-Richardson法):2 、Ki67:5%、HER2:2+  → *FISH法にて再検査中
HER2が再検査で - となった場合の治療についてです。 主治医は、「抗がん剤は積極的には薦めないかな」と、言われました。 抗がん剤をしなくてよい(してもあまり効果があると考えられない)のならば、それに越したことはありませんが、後で後悔することも怖いです。 (もし抗がん剤をする場合は、TC療法4クールを薦めて頂きました。)  私の場合、ホルモン療法に抗がん剤をプラスすることにより、効果の上乗せはどれくらい(何%くらいか)と考えられるか、ご意見をお聞かせ願えますでしょうか。

 

術後補助療法の効果を予測するAdjuvant onlineによれば、組織学的グレード1とした場合の乳がん再発による10年間の死亡リスクは8%、ホルモン療法による改善は2%、更に化学療法による上乗せ効果は2-3%です。副作用と効果のバランスを考慮すると、ホルモン高感受性でKi-67が5%と低いことを考えますと、ホルモン療法単独はバランスのとれた治療と考えます。しかし、一方で39歳とお若いことを考慮しますと、後悔したくないので2-3%の上乗せのためにTCを行うというのも考えられる選択肢です。どちらが正解ということはありませんので、より自分が納得できる治療法を選択することをお勧め致します。決めかねる場合には、主治医の先生のアドバイスに従ってもよいと思います。(文責 浜口)

No.10427】  11年11月07日    H 
肺転移(HPNo.10366-5) 

とても参考になりました。ありがとうございました。もう一点、質問させてください。胸水は、肺の圧迫や日常生活に症状が苦痛にならない限り、ぬかなくてもいいものなのでしょうか? そのまま多量のまま貯留しておいて、他臓器への転移などに影響はしてこないものなのでしょうか。少しでも溜まっているなら、抜いたほうがよいでしょうか。

胸水を抜く胸腔穿刺は比較的安全に施行できる処置ですが、出血、気胸、肺水腫などの合併症もありますので、日常生活に支障をきたしていなければ、急いでする必要はないと考えます。胸水が他臓器への転移に影響することは心配しないで大丈夫です。(文責 浜口)

 

No.10426】  11年11月07日    M K
脳転移でしょうか?

皆さんのご相談を拝見させていただき、大変参考にさせていただいております。
2007年6月、46歳で左乳腺全体を占める乳癌(小葉癌)。皮膚.乳頭浸潤伴う。腋窩リンパ節転移あり。 腫瘍大きさ5,5p×4,5p、リンパ節転移11個中8個、ホルモンレセプターER (+) PGR(+) HER2(−)。術前化学療法(FEC療法)6ヶ月間、腫瘍の大きさ変化無し。2007年12月、左乳房全摘+腋窩リンパ節郭清手術を行う。術後放射線治療、ホルモン療法(ノルバデックス)による治療。2010年5月より今日まで、腫瘍マーカーの上昇に伴いノルバデックス→フェマーラ→フェアストンに変更し、現在に至ります。腫瘍マーカー(CA15-3 CEA NCC-ST439)共に一年半ずっと上昇を続けておりますが、定期的なPETーCT、脳のMRIに異常なく、自覚症状もありませんでした。ところが最近、頭がボーッとして(お酒を飲んでほろ酔い気分のような症状です)、頭痛はありませんが、思考力が無くなり、耳も物音が小さかったり大きすぎたり、視力も老眼が始まったのか見にくかったりという症状が出始め、アルツハイマーの前兆なのか、脳転移なのか、ただの更年期障害なのか分からず、毎日不安です。12月に術後4年の定期検査をいたしますが、結果が出るまでまだ暫くかかります。今まで画像に出なくても、このような症状が先に現れることがあるのでしょうか? 一番最近の腫瘍マーカーは CEA 51.2 CA15-3 421.9 NCC-ST439 9.0です。ー年半も腫瘍マーカーが上がり続けているのに、画像に出ないこともあるのですか? 脳転移ではないでしょうか? 何度も脳のMRIは撮りましたが、MRIでアルツハイマーも分かりますか? 毎日その事で頭がいっぱいで…。ご意見をお聞かせいただけると幸いです。

画像検査では明らかな再発所見がなく、腫瘍マーカーの上昇が先行してみられるケースはしばしば経験しますが、CEA, CA15-3, NCC-ST439の上昇をみると、やはり乳がん再発の可能性が否定できません。再発を疑い治療を進めながら、画像検査を繰り返していくことになります。現在の症状は脳転移というよりは更年期障害でも説明のつく症状と考えますが、やはり検査で脳転移は否定しておく必要があります。アルツハイマーにつきましては、もし疑わしければ神経内科での精査が必要です。(文責 浜口)

 

No.10425】  11年11月07日    M.S.
今後の治療について(2)(HPNo.10418-2

1) 近いうちに主治医と話してみます。多分標準的な治療を受けていると思うのですが、主治医の判断より病気の進行のほうが速いような気がして、不安になります。多分FECになると思いますが、どのようにお考えになりますか? ネットなどでは、アバスチンが有効などの記事を見ますが、どうなのでしょうか? 
2) 以前に経過を書いたと思うのですが、昨年7月に右乳癌を全摘出しました。10ヵ月後に再発、それで摘出、植皮手術したのですが、2ヵ月後(今年8月)にできたものは、赤くなっています。 左腋窩のリンパが大きくなり、10月に入り左乳房に強い張りを感じ、そのうち張りがなくなったと感じた頃にしこりに触れるようになりました。(主治医は経過を見ている段階です。) 乳房の右側が赤く腫れているような気がします。炎症性のものに変化したのではないかと心配しています。もし炎症性のものに変化していても、どうしようもないものなのでしょうか?

ベバシズマブ(アバスチン)は8月に再発乳がんに対し適応承認されたので、今後使用可能になり、期待される分子標的薬です。アバスチンはHER2陰性乳がんに対して、パクリタキセルとの併用で全生存期間の延長効果は認められませんでしたが、無増悪生存期間の延長効果が認められました。適応をよく考慮した上で投与を検討することになります。また、炎症性乳がん型の再発に対しては、手術などの局所治療でのコントロールが難しいケースが多く、やはり薬物療法を中心に治療を進めることになります。(文責 浜口)

 

No.10424】  11年11月05日    Y・Y
炎症性乳癌

いつもお世話になります。今年4月に再発と診断されました。炎症性乳癌は、化学治療か、放射線治療か、手術か、ホルモン治療しかないのでしょうか? 今かかってる医者に質問しても、機嫌を悪くするばっかりで、非常に困っています。

炎症性乳がん型の再発とは再発した乳がん細胞が皮下のリンパ管内につまることによって、乳房があたかも乳腺炎のようにむくみ、赤くなる状態をいいます。しこりとは違って広い範囲にがん細胞が広がっているので、手術や放射線療法のみでがんを制御するのは困難で、全身療法である化学療法を中心に治療を進めるのが一般的です。(文責 浜口)

 

No.10423】  11年11月03日    M・S
集簇性石灰化(2)(HPNo.10414-2)

HPNo.10414で相談したものですが ご回答に【マンモグラフィを撮影するときに挟んだ乳房の厚みが薄い場合や、胸壁の近くは、マンモトームで正確に狙った病変を採取することが難しいことがあります。しかしこの場合、石灰化の一部は採取されていて、良性と診断されているようなので、経過観察でよろしいかと思います。集簇性石灰化の数は、数えてもあまり意味はありません。】と、書かれています。ということは、採取した集簇性石灰化が少ない場合は、悪性であっても良性という生検結果が出るということでしょうか? 検査の意味がなかったという意味なのでしょうか?  よろしくお願いいたします。

マンモグラフィで撮影された画像では、触知できない癌を発見する1つの手がかりとして、石灰化像があります。医師は、この石灰化像の1つ1つの形と分布(散らばり方)を見て、1から5までのカテゴリー判定を行いますが、これはあくまでも画像上から判断した判定ですので、実際に癌であるかどうかは、マンモトーム等で乳腺組織を採取して診断することになります。一般的には、石灰化の部分がある程度採取されて、癌でないことが確認されれば、その石灰化は乳癌に伴う石灰化ではない確率が高いということになりますが、今後、その石灰化がどう変化するかをフォローしていく必要があります。貴女の場合、実際のマンモグラフィおよびマンモトームで採取された標本の病理組織等、直接拝見していませんので、はっきりしたことはわかりません。状況を一番良く把握して下さっている主治医に、納得のいくまで、よく伺ってください。安心してフォローしていただくことが一番です。(文責 須田)

 

No.10422-1】  11年11月03日    M・M
今後の治療について

初めて相談させていただきます。昨年末、35歳でトリプルネガティブ乳がんの告知を受け、手術、術後FEC6クール、放射線治療25回を終えました。腫瘍の大きさ2.8*1.3、乳管内進展0cm、リンパ転移なし、悪性度3、リンパ管侵襲あり、血管侵襲なし、断端陰性でした。当初はFEC4・DOC4の予定でしたが、DOCにアレルギー反応が出てしまい、FECを2クール増やしました。4クールずつの場合、今後10年間の再発率を30%前後から、20%前後に下げることができると聞いていましたが、FEC単独の場合は少し効果が落ちるとのことでした。今後出産を希望しており、凍結受精卵による体外受精のタイミングを医師に尋ねたところ、いかにも再発し、子育てしながらの再発治療が大変であること、産んでも長生きできないこともあると、シビアな話をされました。再発率はそんなに高いのでしょうか。DOCができなかったことで、リスクが高まったのでしょうか。よろしくお願いします。

確かにタキサンを追加した方がよいというデータもありますが、FEC6サイクルも世界で行われている標準治療のひとつですので、アレルギーのことなど考えますと最善の選択ではないでしょうか。乳がん術後の妊娠・出産については色々な考え方があると思うので、あくまでも個人的な意見として聞いて頂きたいのですが、妊娠・出産が乳がん再発を増やすという明らかなデータはないはずですので、乳がんになったからといって諦めるのではなく、乳がん患者さんでない方と同じように考えてもよいのではないでしょうか。確かに子育てしながらの再発治療は大変(子育てしていなくても大変だと思いますが)かも知れませんが、逆にそれが治療を頑張る、病気に立ち向かう力になる場合もあるのではないでしょうか。私もサバイバーなので再発を恐れる気持ちはわかりますが、がん患者さんにも普通の生活を送り、普通の幸せをつかむ権利がありますし、それを諦めなければいけないだけの明確な根拠はないと思います。妊娠・出産によるメリット・デメリット、そしてそれを諦めることによるメリット・デメリットをもう一度家族そして、主治医ともよく考えてみたらいかがでしょうか。(文責 浜口)

 

No.10422-2】  12年12月13日    M・M
傷跡の近くの赤いできもの

No.10422で相談させていただいた者です。その後三ヶ月おきに血液検査とエコーをし、来年二月の術後二年検診で全身検査をし、妊娠にチャレンジしようと思っているのですが、ここ数日気になることがあります。温存術後の傷跡の数ミリ上に、直径5ミリくらいの赤いできものが突如としてあらわれました。痛みや痒みもないし、「傷跡の近くの赤いポツポツは注意」みたいな記事をみたことがあり、とても怖くなりました。10月のエコーでは何も異常ないと言われたのに、いきなり皮膚にきたりするのでしょうか。

ご相談ありがとうございます。私のお返事でM.M.さんの不安が少しでも減れば嬉しく思います。さてご質問の手術傷跡すぐそばの発赤ですが、ご質問の文面からでは情報が少なくお返事しかねます。不安を煽るようで大変申し訳ないのですが、再発の場合もありますし、単なる皮膚の湿疹の場合もあります。再発を疑い確定診断を付けるためには、生検が必要になると思います。やはり担当の先生にできるだけ早めに診察して頂くことが最もよい方法だと思います。(文責 斎藤)

 

No.10421】  11年11月03日    H
肺転移(HPNo.10366-4)

病状に変化があり、再度質問させて下さい。 一ヶ月検診にいったのですが、胸水が肺の半分より上まで増えていました。 自覚症状は少し咳があるぐらいです。生活はできます。 利尿剤をもらい、アロマシンをまだ一ヶ月しか服用していないので効果がでていないと思うのですが 、引き続きアロマシンで様子をみることになりました。 胸水は利尿剤でコントロールできるはずという話しを聞いてきたのですが 、増え続けるのか心配です。減ることを期待してもいいですか? 限界になったら水を抜くそうですが、この治療をすると体力を失い、溜まっては抜き、溜まっては抜きという治療になり、体に負担がかかりますか? 二週間の入院になるそうなんですが、その間は動けない状態で治療するのでしょうか。 一度抜いてしまうと、ずっと繰り返すことになりますか? あとホルモン剤で新薬があると聞きました。リュープリンと併用が可能と聞いたのですが 、期待できる新薬でしょうか。

アロマシンの効果が出てくれば、胸水が減ることも期待できます。呼吸苦などの症状が強く日常生活に支障をきたすようであれば、胸水を抜いたり、胸膜を癒着させて胸水が溜まりにくくする治療をすることがあります。胸水を抜いている間はチューブにつながれた状態になりますので、やや不自由はありますが動けないわけではありません。今年の9月に製造販売承認されたフルベストラント(フェソロデックス)は今までのホルモン療法剤とは違った作用機序を持つ薬で、腫瘍の増殖を抑える効果だけでなく、腫瘍が獲得した薬剤耐性を減らす作用も期待されている薬です。ホルモン感受性の閉経後再発乳がんに対する新しい選択肢として期待できると考えます。(文責 浜口)

 

No.10420-1】  11年11月03日    H.I.
再発後の治療について

お忙しい中、よろしくお願いします。2010年10月に、左乳房温存手術を受けました。検査の結果 トリプルネガティブ リンパ転移なし 脈管侵襲あり グレード3 でした。 術後T/C2回  FEC4回 (本来はT/C6回の予定でしたが 全身湿疹かゆみ発熱の副作用が強く出たため)、その後放射線治療、以降は無治療となりました。先日一年後の検査の際、左脇にしこりを感じ、エコー検査では判断がつきにくく、摘出手術を受けました。マンモ、骨シンチ、血液、CTの検査は異常なしということでした。この検査の結果、再発であった場合、今後の治療について教えていただけたらと思います。また抗がん剤の場合は、これからでも抗がん剤感受性試験をすることができるのでしょうか。現在通院している病院では行っていませんが、トリプル、グレード3ということで、とても不安に思っています。

今回の左腋窩のしこりが再発だった場合、遠隔臓器への転移ではなく、局所・領域の再発と考えれば、治癒を目指してしっかりとした治療を行いたいです。リンパ節再発だとしたら、領域リンパ節に対する放射線治療の追加というオプションも考えられるかも知れませんが、トリプルネガティブですので基本的には抗がん剤による化学療法が中心です。抗がん剤感受性試験はひとつの目安にはなるかも知れませんが、実際の効果を正確に反映しているわけではないので、必ずしも必要ないと考えます。術後の恐らくタキソテールを使用したTCでアレルギー反応が出たようなので注意が必要ですが、可能であれば他のタキサンであるタキソールを用いた治療(GT、アブラキサン、タキソール単独など)を行いたいところですが、副作用で困難であれば、ナベルビン、ゼローダ、ハラヴェンなどを考慮することになると思います。(文責 浜口)

 

No.10420-2】  11年11月11日    H.I.
再発治療について

No10420での質問、先日は回答をありがとうございました。結果として病巣が発見され、再発ということになりました。  
1) 現在生体検査中ですが、その結果変化がなければ、治療としてゼロータもしくはTS-1の服用を提案されました。同じ種類の薬のようですが TNにはどちらのほうがよいのでしょうか? 
2) 現在目に見える病変はないのですが この効果をチェックする為には、病変が現れていないかという定期的なCT検査ということになるのでしょうか。 またこの場合、どの位の間隔で行うものなのでしょうか。 
3) 腫瘍マーカー(CEA、CAは、両方とも初発時点よりすべて基準値内で、数値では参考にならないようです)NCC-ST-439は、初発時に高値を示していましたが、そのとき以降検査はしていません。今後、この検査を主治医にお願いしたほうがよいのでしょうか。
4) 前後しますが、8月に人間ドッグを受けた際、両肺線維化傾向と診断を受けました。今回のCTにも映っているのですが、主治医のコメントはありませんでした。「左側は放射線治療の影響か?でも右側は肺への転移か?」と、心配になっています。

お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いします。 

1) TNにこの両者を直接比較したデータはありませんので判りません。
2) CTの検査で新病変の出現の有無をチェックいたしますが、間隔についてはハッキリした基準は有りません。初めの1〜2年は6カ月毎、あとは1年毎位でしょう。
3) 腫瘍マーカーは初発時点では基準値内であることが多いです。再発時には高くなることが多いてすので、NCC-ST-439に限らずCEAやCA15−3も、出来れば定期的に測定しておいた方がよいでしょう。
4) 肺の病変については、なんとも言えません。引き続き経過観察して行きましょう。(文責 吉田)

 

No.10419】  11年10月31日    N.N. 
再発後の治療方針について

お忙しい毎日をお過ごしのところ、失礼いたします。乳ガンの再発についてのご相談をいたします。よろしくお願いいたします。5年前に左乳房の硬ガン、リンパ節転移が発見され、ステージV−Cとのことで、化学療法FECとタキソールの治療を行いました。その結果、PET上は癌が消失し、主治医は全摘手術を進めましたが、セカンドオピニオンをとり、転移性癌と判断できるので、ホルモン療法を主でいった方がいいとの進言を受け、手術はせず、閉経前であったので、LH−RHアゴニストとリュープリンの治療を行ってきました。今回硬ガンで全体が石灰化している左乳房に、エコーでしこりが発見され、細胞診、PETでも再発が確認されました(1センチ弱) 。主治医はホルモン治療はこれまでで効果があったと判断し、アロマターゼ阻害剤に変えて継続、その上で、原発巣である左乳房の全摘手術を行ったらどうかとのお話を受けました。発見された時点で、根治は不可能と思っておりますので、癌とつきあっていく覚悟はできております。今後遠隔転移も含め、悪化の危険性をできるだけ回避するためにも全摘をした方がいいのか、それとも他の道があるのか悩んでおります。先生のお考えを教えていただければ幸いと思います。よろしくお願いいたします。

転移癌と考え、全身療法で治療してきたのであれば、原発巣の手術が予後を決定するわけではないと考えるのが一般的です。しかし、遠隔転移が数年にわたりコントロールされていて、原発巣だけに腫瘍が残存している可能性が高く、手術のために全身療法が中断する可能性がないのであれば、原発巣の切除も意味があるかもしれません。手術としては、必要最小限でよいと思います。部分切除で取り切れるのであれば、あえて全摘しなくてもよいと考えます。(文責 徳田)

 

No.10418-1】  11年10月30日    M.S
今後の治療について

何度もお世話になり、ありがとうございます。現在の症状に対するものと、抗がん剤についてお願いします。
1) 6月に右胸筋のガンの切除と、植皮手術をうけました。7月初旬から、タキソテール80mg/3wが始まりました。8月中旬に手術をしたちょうど胸の骨のあたり、皮膚表面が硬く盛り上がり、ぶつぶつしたものがでてきて、赤くなっています。痛みがあり、ロルフェナミンではとれなかったので 先日トラマールカプセルを出していただき、効いているような気がします。この部分に対しては様子観察の状態ですが、骨に広がるのではないか、皮膚の表面に炎症が出てくるのではないかと心配です。何か対処することはないでしょうか? 
2) 左腋窩のリンパが大きくなり、左乳房にも広がってしまったように思えたのでので、主治医に話したところ、CTを撮りました。次回から抗がん剤が変わる予定ですが、主治医からは、「分子標的薬を使うつもりです。タキソールとハーセプチンで」と、言われました。トリプルネガティブだといわれているのですが、適応があるのでしょうか? あるいは、性質が変わることがあるのでしょうか。 
3) CEAもCA15−3も正常範囲内なので(腫瘍マーカーが出ない?)、抗がん剤の効き目が分からないのではないのかと思うのですが、「使えるものが多くないので あまり変えたくない」と、言われました。見極めの基準みたいなものはありますか? 内臓や骨に転移したときに対処していくほかないのでしょうか?
 
長くなりましたが、どうぞよろしくお願いいたします。

1) 現在の抗がん剤は、無効と思います。あらたな抗がん剤に変更すべきです。 
2) HER2陰性であれば、ハーセプチンの適応はありません。比較的まれですが、腫瘍の性質が変化することはあります。転移巣がHER2陽性であれば、ハーセプチンの効果が期待できます。
3) 表面からわかる転移があるようですので、それらの変化が治療効果の指標になると思います。触診や、超音波検査であれば、頻回にチェック可能です。(文責 徳田)

 

No.10418-2】  11年11月07日    M.S
今後の治療について(2)

1) 近いうちに主治医と話してみます。多分標準的な治療を受けていると思うのですが、主治医の判断より病気の進行のほうが速いような気がして、不安になります。多分FECになると思いますが、どのようにお考えになりますか? ネットなどでは、アバスチンが有効などの記事を見ますが、どうなのでしょうか? 
2) 以前に経過を書いたと思うのですが、昨年7月に右乳癌を全摘出しました。10ヵ月後に再発、それで摘出、植皮手術したのですが、2ヵ月後(今年8月)にできたものは、赤くなっています。 左腋窩のリンパが大きくなり、10月に入り左乳房に強い張りを感じ、そのうち張りがなくなったと感じた頃にしこりに触れるようになりました。(主治医は経過を見ている段階です。) 乳房の右側が赤く腫れているような気がします。炎症性のものに変化したのではないかと心配しています。もし炎症性のものに変化していても、どうしようもないものなのでしょうか?

ベバシズマブ(アバスチン)は8月に再発乳がんに対し適応承認されたので、今後使用可能になり、期待される分子標的薬です。アバスチンはHER2陰性乳がんに対して、パクリタキセルとの併用で全生存期間の延長効果は認められませんでしたが、無増悪生存期間の延長効果が認められました。適応をよく考慮した上で投与を検討することになります。また、炎症性乳がん型の再発に対しては、手術などの局所治療でのコントロールが難しいケースが多く、やはり薬物療法を中心に治療を進めることになります。(文責 浜口)

 

No.10417】  11年10月30日    N.S.
一日も早く手術したい気持ちでいっぱいです

9/13に生検を受け、翌週乳がんの告知を受けたものです。その後、転院した為、転院先で再び10/3にマンモグラフィを採りました。生検の傷はまだそのまま残っており、2回目のマンモは1回目より入念の様で、痛みはより大きかったように思います。浸透癌ですが、生検で微小とは云え穴が開いた状態にマンモで乳房を絞った状態で、癌細胞は外に拡散されていかないのでしょうか? 生検後のしこりは、熱を持って、腫れて大きくなったままの気がします。不安なまま、仕方ないと我慢して様々な検査に日々を費やしてきたところ、先週、MRIの結果、同じ乳房にもう一つしこりが発見されました。当日はそろそろ入院日を決められるはずでしたが、更にエコー、生検の予約を別々の日に入れられ、それが終わってから手術の日取りを決めるとのこと。非常に長い順番待ちの病院です。
長くなりましたが、不安は、再び(今度は中心部に近く深い所の腫瘍)針を刺して、また時間を置かれてしまうというところです。針の孔から癌細胞が体中にばらまかれて、手術までに転移のリスクは大きくなってしまうのではないでしょうか? 病院はシステマチックに進んでおり、担当医への質問はできませんでした。気持ちとしては、手術直前に生検するか、全摘で病理後良性であっても別にかまわないと思っています。50歳で独身ですので、高齢の親よりも一日でも長生きするということだけが目標で、転移のリスクを減らす為、一日も早く手術したい気持ちでいっぱいです。今のところは骨シンチ・表層リンパ超音波での転移の所見は見られておらず、大きい方のしこりは2X2cm、核異型は中程度とのこと(9月現在)。ご回答お待ちしておりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

自暴自棄にならないでください。あなたの質問の内容から、生検で腫瘍の大部分は、切除されています。顕微鏡レベルの癌が残っているだけですので、一刻を争う状況ではありません。それより、もう1箇所の病変が良性なのかどうかを確認することが重要です。全摘することは簡単ですが、あとで後悔することになりませんか。(文責 徳田)

 

No.10416】  11年10月29日    S.Y.  
ステージ2

乳癌ステージ2と言われましたが、組織診断で乳管内進展は認められません。切除縁に癌の露出はありません。センチネルリンパ節まで転移していたのは、なぜなのでしょうか。

乳管内進展があることと、転移があることは関連しておこるものではありません。乳管内進展が広くあってもリンパ節転移や遠隔転移がないこともありますし、逆に乳管内進展がなくリンパ節転移や遠隔転移のある乳がんもあります。(文責 俵矢)

 

No.10415】  11年10月29日    Q 
ハーセプチン中の生理再開について

現在35歳で、トリプルポジティブの乳がん患者です。術前にCEF→タキソテール、ハーセプチンを行い、脇のリンパに複数転移していた癌も、乳房にあった癌も、全て消えました。(抗がん剤投与前にステージVAと診断されました)
現在、ハーセプチンの投与を行い、終了後ホルモン療法を行う予定です。つい最近、抗がん剤投与中に、止まってしまった生理が再開しました。生理によってエストロゲンが上昇して癌の餌にならないか不安です。先生は、大丈夫と判断して(理由を聞くのは忘れてしまいました)、このままハーセプチンのみの投与でいくようです。ここでお聞きしたいのですが、「このまま投与終了予定の3月までハーセプチンだけでよいのでしょうか」。今の病院の先生に対しては、とっても信頼をおいていますが、後悔したくないので、意見を聞きたくメールいたしました。お忙しいところ申し訳ございませんが、先生の見解を聞かせていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。

術後療法として化学療法が終了した後に、ハーセプチンとホルモン療法を同時に行うか、ハーセプチンが終了したあとにホルモン療法を行うかについては、どちらがよいという根拠(エビデンス)はないと思います。ハーセプチンが終了した後ですとホルモン療法の開始が一年遅れてしまうので、同時に始めることが多いかと思います。
閉経前の術後補助療法として、タモキシフェン単独と、タモキシフェン+LH−RHアナログがどちらがいいかということは結論がでていません。LH-RHを追加した場合の利益が不明確だからです。しかし、年齢が若く、リンパ節の転移もあり、HER2陽性とのことなので、再発のリスクは高めです。LH−RHアナログとタモキシフェン併用でよいのではないかと考えます。主治医の先生と相談してみてください。(文責 俵矢)

 

No.10414-1】  11年10月29日    M・S
集簇性石灰化

3年半前に、マンモグラフイ検査で微細円形の集簇性石灰化が4個あると言われました。半年ごとの経過観察で、5個だったり、3個だったり、6個だったりして、この1年半は変化なしで、6個のままでした。今回、今までの病院の分院が新設され、そこへ転院しましたが、マンモグラフィ検査で8個になっていて、このたびマンモトーム生検をうけました。検査の直後は石灰化は2個とれましたと言われましたが、あとの説明で、4個とりましたと言って見せてくれました。「じゃあとは4個のこっているのですね?」と聞くと、「いいえ、まだもっと残っているかもしれません。6個か、場合によってはもっとあるかも」とか、わけのわからない説明でした。忙しそうだったので、それ以上聞けず、帰ってきました。そこで教えていただきたいのは、マンモグラフィに映らない集簇性石灰化があるのでしょうか? 合計が合わないのです。8個あって4個採れたら、残りは4個のはず・・・。6〜8個の集簇性石灰化なので、数が少ないので、あまり心配せず検査を受けたのですが、説明では15個くらいあったような・・・。集簇性石灰化も10個以上あると悪性の可能性が濃くなると、検索などでも書いていて、急に不安が増してきました。マンモグラフィに写らなくて、検査したが実際はもっとあったという場合でも、良性の可能性はありますでしょうか? よろしくお願いいたします。私の集簇性石灰化の場所は胸壁のそばなので、マンモトームは難しいといわれながらの検査でした。おまけに貧乳です。よろしくお願いいたします。65歳です。

マンモグラフィを撮影するときに挟んだ乳房の厚みが薄い場合や、胸壁の近くは、マンモトームで正確に狙った病変を採取することが難しいことがあります。しかしこの場合、石灰化の一部は採取されていて、良性と診断されているようなので、経過観察でよろしいかと思います。集簇性石灰化の数は、数えてもあまり意味はありません。(文責 俵矢)

 

No.10414-2】  11年11月03日    M・S
集簇性石灰化(2)

HPNo.10414で相談したものですが ご回答に【マンモグラフィを撮影するときに挟んだ乳房の厚みが薄い場合や、胸壁の近くは、マンモトームで正確に狙った病変を採取することが難しいことがあります。しかしこの場合、石灰化の一部は採取されていて、良性と診断されているようなので、経過観察でよろしいかと思います。集簇性石灰化の数は、数えてもあまり意味はありません。】と、書かれています。ということは、採取した集簇性石灰化が少ない場合は、悪性であっても良性という生検結果が出るということでしょうか? 検査の意味がなかったという意味なのでしょうか? よろしくお願いいたします。

マンモグラフィで撮影された画像では、触知できない癌を発見する1つの手がかりとして、石灰化像があります。医師は、この石灰化像の1つ1つの形と分布(散らばり方)を見て、1から5までのカテゴリー判定を行いますが、これはあくまでも画像上から判断した判定ですので、実際に癌であるかどうかは、マンモトーム等で乳腺組織を採取して診断することになります。一般的には、石灰化の部分がある程度採取されて、癌でないことが確認されれば、その石灰化は乳癌に伴う石灰化ではない確率が高いということになりますが、今後、その石灰化がどう変化するかをフォローしていく必要があります。貴女の場合、実際のマンモグラフィおよびマンモトームで採取された標本の病理組織等、直接拝見していませんので、はっきりしたことはわかりません。状況を一番良く把握して下さっている主治医に、納得のいくまで、よく伺ってください。安心してフォローしていただくことが一番です。(文責 須田)

 

No.10413-1】  11年10月29日    C
非浸潤性乳管癌の今後の治療について

32才です。既婚ですが、子どもはいません。検診のマンモグラフィで、局所に集ぞくした微細石灰化がみられ、マンモトーム生針をしたところ、左乳癌とわかりました。先日、温存手術とセンチネルリンパ生検を受けたところです。これから放射線50グレイをあてます。さらに、タモキシフェン5年間の服用を勧められています。昨日、病理組織の結果がわかりましたが、非浸潤で性質もおとなしいため、安心する一方で、広がりが思っていた以上に広く、手術でとりきれなかったのではないかと思い、不安が募ります。せっかく0期で見つかったのに、全摘しなかったばかりに、完治のチャンスをのがしたかもしれないこと、これから妊娠出産を希望しているのに、ホルモンを5年間するのもつらいです。今の治療方針でよいのか、教えてください。病理の結果は次のとおりです。cancerは大きさの計測は困難です。組織像はDCIS、papillary typeで、石灰化+です。異型度grade1、波及度g,ly0,v0,EIC+、切除断端浸潤-です。nセンチネル-0/3 HER2陰性、スコア0、ER陽性、PgR陽性、Ki-67 8.5%でした。

「切除断端浸潤-」の意味がよくわかりません。非浸潤癌すなわち断端の乳管内にも癌はなかったのでしょうか。そう言う意味で、断端陰性であれば、治療としては、手術をふくめて標準的と考えます。挙児希望であれば、タモキシフェンは、使用しなくてもよいと思います。局所再発抑制効果は、ほんの少しで、生存率についても、ほとんど差がないからです。(文責 徳田)

 

No.10413-2】  12年04月27日    C
タモキシフェンと副作用

前回No.10413でお世話になったものです。術後の不安な時にご回答くださり、とても感謝しています。ありがとうございました。断端は陰性でした。今回また質問させてください。
12月上旬で、放射線治療を予定通り終えました。放射線治療半ば頃に、ノルバディックスの服用を開始しました。飲み始めて5カ月ほど経ちます。1カ月前から生理不順となり、先日、不正出血がありました。主治医に相談したところ、検診を受けておいた方がいいとのことで、婦人科を受診しました。子宮内診と、体がん、頸がんをしました。がん検診の結果はまだでていませんが、子宮筋腫(4pと2pのものが2個)があることがわかりました。一年半前、乳がんがわかる前ですが、子宮の検査を同じクリニックでしましたが、筋腫はありませんでした。婦人科の医師は、ノルバディックスで子宮内膜が薄くなるので、生理も軽くなる。生理が重すぎたり、痛かったり、膀胱などを圧迫していなかったら、筋腫は問題ないとのこと。今、私には、これらのような自覚症状はありません。そこで、疑問と不安があります。ノルバディックスは子宮内膜が薄くなる、ではなく、厚くなるのではないでしょうか。この先、ノルバディックスを服用し続けて、筋腫が悪化しないか心配です。今後の妊娠も諦めた訳ではないです。私は年齢が若いので、再発は本当に怖いですが、リスクは低いものと思いますので、ノルバディックス服用に迷いがあります。副作用がなければ服用したいと思っていますが、とても不安に思います。主治医の検診まであと3カ月あります。どうかご回答をよろしくお願いします。

おっしゃる通り「厚くなる」です。筋腫の増大が認められる場合もありますので、定期的に診てもらったほうがよいかもしれません(ご存じかもしれませんが、妊娠には内服中止後しばらくの期間が必要です)。リスクが低いのでしたら、服用しないという選択肢も十分あり得ますので、主治医と再度相談なさってみるのも一つと思います(医療側はつい過剰治療となりがちです)。(文責 加藤)

 

No.10413-3】  12年06月06日    C
タモキシフェン服用への迷い

お世話になります。前々回(10413)、前回(10611)とご回答くださり、大変ありがとうございました。その後もタモキシフェンの服用を続けています。服用して半年になります。生理がとまり3ヶ月になります。再度、大量の不正出血があり、婦人科を受診しました。その際、採血をし、エストラジオールとプロゲステロンの血中濃度を調べました。その結果、それぞれ452pg/mL、57.5ng/mLと高いものでした。もちろん、妊娠はしていません。婦人科の先生曰く、「タモキシフェンを服用すると、エストラジオールの値が高くなる場合がある。」とのことでした。内診の結果、子宮内膜症と新たに診断されました。エストラジオールの血中濃度が高いまま、生理がおこらず、このまま内膜が増殖し続けると、体ガンになるリスクがあるので、体ガン検診を受けました。体ガン検診は、1ヶ月前に受けて、問題なしだったばかりなのに、また検診を受けました。結果はまだでていません。私の子宮は、大きな筋腫もあり、内膜も増殖を続け、生理がおこる気配がありません。婦人科の先生はとても心配してくださっています。
この結果を乳がんの主治医に相談し、タモキシフェンを中止したい旨を話しました。理由は、子宮の具合が悪いのが非常に気になることと、エストラジオールとプロゲステロンがタモキシフェンのせいで高くなり、かえって乳がんを促進するようなことがあるのではないかと不安に思ったからです。乳がんの主治医は、「服用を止めると言うことは、再発してもよいということです、服用してください。再発してもよいなら止めてもいいですよ。ただし、ゾラディックスなどの注射を打つのは、勧められない。」とのことです。エストラジオールやプロゲステロンの血中濃度が高く出ていても、ホルモン治療中の血液検査の結果は全くあてにならないので、関係ないそうです。タモキシフェンを続けるか再発を容認して服用を止めるかの2択が提示されました。
主治医の先生の説明を理解して納得することができませんでしたが、病院は非常に混雑しており、先生は忙しそうなので、遠慮して、それ以上のことが聞けませんでした。エストラジオールとプロゲステロンの血中濃度が私のように高い場合でも、タモキシフェンは逆効果とならず、乳がんの再発を抑える効果が期待できるのでしょうか。ホルモン治療中のホルモン濃度の検査結果は全くあてにならないのでしょうか。もしそうなら、どういった理由からでしょうか。
私の乳がんは、両ホルモンの感受性がほぼ100%です。非浸潤がんでしたが、タモキシフェンの効果が高いなら、子宮のことも妊娠のこともあきらめて、再発予防に服用を続けてもよいかと思ってみたり、はたまた、もう絶対に服用したくないと思ってみたり、気持ちが波立ち揺れています。自分で治療法を決めなければなりませんが、判断材料が不足しています。どうかよろしくお願い申し上げます。

ご相談どうもありがとうございます。先生方にも色々な意見があり、気持ちが揺れてしまいますね。答えがないので、先生方のお返事も少しずつ色合いが異なるのですね。タモキシフェン内服中はE2(エストラジオール)の数値が上昇します。タモキシフェンがエストロゲンレセプターを占領してしまうために、余剰のE2が血中に増加してしまうのかもしれません。従ってホルモン治療中のホルモン濃度計測は意味のあるものではありません。タモキシフェンがしっかりと働いていると、E2の値も上昇すると考えてよいと思います。乳がんの再発予防と言う観点からは、今のタモキシフェン継続が良いかと思いますが、非浸潤がんにタモキシフェン内服が必要かどうかも議論の分かれるところです。どうしてもご心配であれば、タモキシフェンの内服を中止し、定期的な乳がん検診や子宮がん検診を欠かさないということでしょう。少しでもお力になれましたら幸いです。これからも応援しています。(文責 高橋)

 

No.10412】  11年10月28日    Y 
今後の治療方針について

以前治療方針についてご相談させていただきました。お忙しいところ大変申し訳ありませんが、ご意見お聞かせ願います。
《 経過 》
2008年、31歳の時、Glt+Ax+Ic施行、t=3.0×2.0cm ER(+)90%、PgR(+)80%、HER-2(1+)。術後、FEC3クール+TXT3クール終了、SC+PSへの照射終了。 2010年、自覚症状は全くなく、血液データ(生化学、腫瘍マーカーともに)にも著変なしでしたが、ゾラデックス24回施行した際の(2010年)の検査にて肝臓転移(単発)指摘。主治医からは、再度抗がん剤治療の提案を受けましたが、受け入れることが出来ず、リュープリンを注射しながら、ホルモン剤をフェマーラ、アロマシン、ノルバデックスというように使用。2011年、生化学(肝機能)数値は著変見られず経過しておりますが、CA15-3が5月頃から徐々に上昇し [5月33.4、6月44.8、7月44.4、8月88.9、9月111、10月170]、PET/CT、骨シンチ実施にて、肝臓(単発)腫瘍増大傾向、骨転移3か所の確認。

《 現在 》
治療方針として、抗がん剤治療をすることにしました。 「・卵巣へのダメージが可能な限り少ないもの (妊娠出産があきらめきれない) ・血管のダメージが少ないもの (まだ、ポートを埋め込みたくない)」という希望のもと提案されたのが、『ハラヴェン』もしくは『アブラキサン』でした。どちらでも構わないということでしたが、第一選択としてはどちらが適しているであろうか、また、それぞれの差異について、ご意見お聞かせ願います。宜しくお願い致します。

再発後の最初の抗がん剤治療でのハラヴェンの有効性は、示されていません。したがって、アブラキサンの方が標準的であり、推奨します。(文責 徳田)

 

No.10411】  11年10月28日    M.E
抗がん剤の適応・不適応の違いとは

浸潤性乳管癌(右)、今年9月に温存手術。 ・グレード1  ・ER+  ・PgR+
 ・HER2+(flashで陽性が判明)  ・リンパ節転移− ・リンパ管侵襲− ・遠隔転移− ・核異型スコア2
現在はホルモン治療中で、リュープリン一ヶ月製剤とノルバテックス服用中です。しばらく様子をみて、放射線治療も開始する予定。

1) 「・大きさが2cm以上 ・核異型度2または3 ・HER2陽性 ・35歳未満 ・脈管侵襲あり」の条件の中で、一つでも該当するものがあれば、抗がん剤治療を適応すると聞いたことがあります。私の場合は、核異型スコア2とHER2陽性で、抗がん剤の治療が必要な気がするのですが、どうしてやらないのかと、ふと疑問に思いました。主治医の方を信頼しておりますが、抗がん剤の治療を必要と考えるお医者様もいらっしゃるのではないでしょうか。いろいろなお考えを知っておきたいので、ご意見よろしくお願いいたします。
2) HER2が陽性だったので、来月からハーセプチンを開始するのですが、HER2が陰性でハーセプチン治療を行わなかった人に比べると、陽性でハーセプチン治療を行った人の方が再発率が低いと聞いたのですが、それは本当ですか?

1) 基本的には、浸潤径が1cm以上であれば、抗がん剤+ハーセプチンの適応と考えていますが、年齢・全身状態も考慮しながら、最終的には、ご本人が決定すべきです。ご自身の情報が不十分ですので、状況をすべて認識している主治医とよくご相談ください。
2) HER2陰性の方は、ハーセプチンの効果はなく、適応ではありません。あなたは、HER2陽性ですので、比較する意味がよくわかりません。ご存知と思いますが、HER2陽性の方で、抗がん剤のみとハーセプチンを併用した方とを比較すると、併用の方が40%程度、再発率が減少します。ただし、抗がん剤をせずに、ホルモン療法とハーセプチンの術後療法は、標準的ではなく、再発抑制効果はわかりません。(文責 徳田)

 

No.10410】  11年10月24日    yk 
右乳房のしこり

お世話になります。2009年の8月に、右乳房の温存手術を受けました。しこりが乳頭の下方にあったため、部分切除でも乳房の変形が激しいだろうということで、脇より脂肪をもってきて、同時部分再建をいたしました。その後は、経過観察として、1年に1度エコーと健側のマンモグラフィーを受けております。この9月に2年目の健診としてエコーとマンモグラフィー(健側)を受診したのですが、その際、エコーに右乳房の脇辺りに1センチ程のしこりが写り、映像から見ると限りなく疑わしいということで、その場で針生検となりました。 その時の医師の説明は、「針生検をして細胞をとったとしても、癌細胞が固い場合は針が逃げてしまい、うまく細胞がとれないことがある。そうなると結果は癌ということにはならない場合もあり、そうなったらMRIを撮る。それでもはっきりしない場合は、もっと大きく細胞を取って、とことん調べてみた方がよい。」ということでした。その一方で、再建をしているので、それがしこりの様に見える場合もあることはあると、申し添えられましたが・・・。1週間後に結果を聞きに言った処、結果は問題なし、再建による脂肪の塊のようなもの、という説明でした。前回とは違う医師だったので、前回言われた事(限りなく疑わしいので、とことん調べた方がよい)を、その医師に伝えたところ、「通常、MRIをして怪しい場合に針生検をするので、順番が逆になっている。針生検の結果は問題ないのでだいじょうぶでしょう。」と、言われました。そして、次回は半年後に再度エコーということになりました。しかし、前回の医師の説明と、結果を伝えた医師の説明に開きがあるため、大変困惑し、不安に思っています。(この病院は、医師は担当制ではないため、受診の度に違う医師の場合がほとんどです)。検査結果を伝えてくれた医師に、「病理結果のコピーを下さい。」と言っても、貰えませんでした。もし癌であった場合、放置しておきたくはありません。違う病院で再度検査をしてもらう事も考えていますが。同じ病院でありながら、このように医師の見解が違うことに、大変不安を覚えます。病理結果は問題なしという結果を信じてよいものか、やはり他の病院で検査してもらった方がよいのか、どうしたらよいでしょうか? ちなみに2009年の手術の前に検査をした時、やはり今回見つかったしこりと同じような所に、しこりのようなものがエコーに写っていました。その時はMRIの結果、結局「血流」ということになり、生検はしませんでした。このようなこともあったので、余計に不安に思っております。どうぞよろしくご助言お願いいたします。

MRI、エコー、針生検 などどれか一つで診断が決まるわけではありません。画像診断と、針生検で採取されてきた組織をみて総合的に判断します。判断がつかない場合、切除生検するか、経過観察して検査を繰り返し行っていくかということになります。まずは現在かかっている病院で疑問な点を確かめてみられてはいかがでしょうか。そのうえで、ご希望ならばセカンドオピニオンに行かれるとよいと思います。(文責 俵矢)

 

No.10409】  11年10月24日    E 
乳がん治療後の妊娠

初めて相談させていただきます。2008年5月、31歳の時に右乳がんと診断され、温存手術しました。リンパ節転移4個、トリプルネガティブだった為、術後、抗がん剤治療と放射線治療をしました。トリプルネガティブは術後3年が勝負と聞いていたので、今年無事に4年目の検査をクリアし、ほっとしています。治療終了後翌年に結婚し、4年目を無事迎えられたという事で、妊娠を考えています。ただ、3年過ぎたといっても、若年性&リンパ節転移4個&トリプルネガティブという超ハイリスク群になるので、やはり妊娠はやめた方がいいのか? ハイリスクの患者には、治療後の出産は勧めないという事を聞いたことがあります。しかし、ホルモンレセプターはマイナスなので、妊娠出産をしても、影響しないという事も聞いたことがあります。妊娠出産が可能か?可能であれば時期は?もう少し待ったほうがいいのか? ご意見を伺えたらと思います。よろしくお願い致します。

術後補助療法も終了して時間が経過しているし、現在再発2011の兆候がないとのことであれば、妊娠出産は特に問題ないと思います。主治医の先生に確認してみてください。(文責 俵矢)

 

No.10408】  11年10月24日    H.I.
乳癌の術後の治療について

母(手術時69歳)の乳癌の術後の治療について、相談をお願いいたします。昨年11月に乳癌(硬がん)の温存手術を受け、大きさ1.5センチ、浸潤度は脂肪繊、リンパ節転移9個中3個、リンパ管浸襲(ly)1、脈管浸襲(v)0、グレード1、ホルモン受容体ER、PgR共に陽性、HER2は陰性で、2期Aとのことでした。HER2は陰性と書きましたが、正確にはHIC法で2、FISH法では陰性?でした。ハーセプチンは効かないタイプです。
術後、切除断片陽性のため、放射線治療を通常より多く行い、その後はアリデックスを5年服用とのことです。リンパ節に転移があったので、てっきり、抗がん剤治療(点滴)を受けると思っていたのですが、ホルモン剤のみの治療なので、手術後4ヶ月もたっていたのですが、母に先生に聞くよう言ったところ、主治医の先生は「ホルモン剤が良い薬なので」とのことで、その後カルテを見て、経口のフルツロン200を処方してくれました。その時はあまり知識がなく、疑問には思いませんでしたが、本やネットでは、リンパ節転移がある場合は通常抗がん剤を行うと書いてあるので不安でしかたがありません。すでに1年近くたってしまいましたが心配です。よろしくお願いいたします。

お母様の場合、補助薬物療法として、アロマターゼ阻害剤のみでいくか、化学療法をプラスするかどうか迷う症例だと思います。サブタイプとしては「ルミナルA」に入りそうなので、ホルモン単独をまず考えます。リンパ節の転移の数がもっと多ければ化学療法を追加することを考慮しますが、ちょっと微妙なところですね。また年齢的にも69歳ということで、元気な方は大丈夫だけれど、合併症をもっていらっしゃる患者さんの場合、化学療法が難しい場合も想定されます。主治医の先生のところに、お母様と一緒にお話を聞いてこられてはいかがでしょうか。(文責 俵矢)

 

No.10407】  11年10月24日    Muma
ホルモン療法について

お世話になっています。ER、PgR共にホルモン陽性率10%で、HER2陰性の場合、ルミナルAに入ると伺ったのですが、90%はホルモン陰性、HER2陰性のがん細胞です。比率から言って、ホルモン陽性率50%以上であれば
ルミナルAに入るということは理解できるのですが・・・。

1) 弱陽性でも、なぜルミナルAに入るのでしょうか?
2) 近年、ホルモン陽性率1%でもホルモン療法を行うそうですが、どのくらいの効果が望めるのでしょうか?

お忙しところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

1) 文面の情報からは ルミナルAではないように思いますが、主治医の先生にもう一度確かめて見られたらいかがでしょうか。
2) ホルモン療法は、ホルモン感受性が高いものほど効果が高いと予測されます。1%程度の患者さんでどの程度の効果があるかは分かりませんが、全く効果がないとはいえない、またホルモン療法は副作用が許容範囲内のことが多いので、やってみる価値はあるということだと思います。(文責 俵矢)

 

No.10406】  11年10月24日    S子
集簇性石灰化の増加について

いままで何度か相談させていただいています。お世話になります。もう一度だけ質問お許し下さいませんか?
平成20年に、61歳で初めてマンモ検査を受け、微細円形石灰化集簇性といわれ、半年ごとの経過観察で、エコーとマンモを受けていました。今年3月のエコーとマンモでも変化なく、「たぶん昔の乳腺症の痕であろう。可能性も10%以下です。そろそろ1年に1回にしましょう。」と言われ、安心していました。 石灰化は4個・5個・3個・5個・6個と変化しましたが 、それは映り方だといわれていました。この22年3月・10月・23年3月は、6個で定着していました。 ところが、この10月にマンモで集簇性石灰化が2個増えているのがわかりました 。(ただ大学病院の分院が新設され、そこへかわられた主治医についていったので、撮影機械が変わったのだけが逃げ道なのですが・・・)  マンモトームを受けようと予約はしていますが、3週間待ちです。何年も変化がなかったのが、2個増えているのが、とても心配です。不安にかられて色々検索すると 、【 3年以上経過を追って、石灰化が少し増えたので 、マンモトーム生検をしたら非浸潤がんだった症例もありました。】 とか 、【女性ホルモンは脂肪で作られるのです (微量の男性ホルモンから、アロマターゼという酵素で、女性ホルモンに変換されます) 。また、がんの近くではアロマターゼが増加するといわれており、 がん細胞自身で自分が増殖しやすい環境を作るのだと推測されています】 などを見て思い当たることがあり、不安が増してきました。私はこの1年間で3キロも太ってしまいました。腰部脊中間狭窄症による運動不足と 食べすぎだと思われます。155センチで、62キロあります。 肥満のため、アロマターゼによる癌の増殖のために2個増えてしまったと考えられるのでショックです。たとえば、平成20年に見つかった集簇性石灰化が、 がんでなかった場合でも、肥満によって、集簇性石灰化の数が増える可能性はあるのでしょうか? とても気になって、不安で不安で、御迷惑もかえりみず、質問させていただきました。なにとぞ宜しくお願いいたします。しつこくて申し訳ありません。

御心配な気持ちが伝わってきます。心中お察しします。マンモトームを行えば、診断がつくだろうと思われます。三週間くらいで病気が進むことは考えづらいので、検査結果が出るまで待ってみましょう。閉経後の肥満は乳がん罹患の危険因子として知られていますが、この場合の石灰化が増えた要因とは考えづらいです。(文責 俵矢)

 

No.10405】  11年10月24日    M.I.
生存率 再発率について

初めて質問させていただきます。左乳癌 アポクリン癌 ホルモンレセプター陰性 HER2(3+) 腫瘍径2cm大 グレード3 ki20% リンパ転移なし 37歳2児の母です。 パクリタキセル12回終了 ハーセプチン6月まで1年間の予定 現在放射線治療中(30回の予定)です。Adjuvant! online?での生存率 再発率を教えていただきたいです。よろしくお願いします。

私自身 患者さんを毎日診察していて、一番注意していることは「予後」をお伝えする場面です。同じ内容をお話していても患者さんによって受け取り方が違うし、数字が一人歩きしてしまうこともよくあります。ですので、こういった内容をお伝えするときは、十分時間をとってその方の理解度を見ながら説明することにしています。ですのでメール相談でお答えすることはそぐわないのではないかと考えました。御期待に添えず、すみません。やはり主治医の先生にお尋ねになってみてください。(文責 俵矢)

 

No.10404】  11年10月20日    B 
再発治療について

以前に妻の治療についてご相談させて頂きました。その節は、大変ありがとうございました。今回は、再発治療について相談をさせて頂きたくお願いいたします。再発までの治療経過等は以下のとおりです。
・2008年11月(32歳)で、右乳房切除し、病理診断の結果です。
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1.Breast,left, mastectomy
INVASIVE DUCTAL CARCINOMA, SCIRRHOUS
Fat+,Skin-,ly3,v0,EIC(+)comedo(+),Nuclear grade3(3+3=6) Margin:1mm>
2.lymph nodes, biopsy
METASTATIC DUCTAL CARCINOMA(9/10)
n(センチネル):1/1, n(levelT):8/9
HER2neu(2+) Fish法(+)
※ホルモンは2種類とも陰性
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・化学療法は、術後1週間後からFEC4クール、ウィクリータキソールを12回、タキソール開始時より、ハーセプチンを3週毎、1年間行いました。
・2011年6月下旬右胸にしこり、CT検査の結果肝多発転移と診断されました。
・診断日よりナベルビン+ハーセプチンを開始
・3カ月後の9月下旬CT検査 右胸のしこり、肝多発転移画像上より消滅。

そこで、今後の化学療法のスケジュールで、主治医とセカンドオピニオンで治療方法に差があり、副作用などを考慮し、悩んでいます。主治医は、10月の段階でハーセプチンのみに切り替えてもいいのではないかと言われています。セカンドオピニオン(腫瘍内科医)からは、画像上消滅後、今後のスケジュールに、現在の薬が良く効いていることから、ナベルビン+ハーセプチンをあと3カ月実施(合計6カ月間)、その後、ゼローダ+タイケルブを最低でも半年と言われました。ハーセプチンを再発予防に行ってきて再発していること。ハーセプチンが効かないタイプが3割程度いるとのことで、タイケルブをプラスして行ったほうが良いとのことでした。化学療法後消滅し、その後も再発が確認されていない人もいるので、完治をあきらめないように言われてきました。今は、ナベルビン+ハーセプチンが副作用がほとんどないことから、年内は行うことを決めておりますが、年明けにハーセプチンだけにするか、ゼローダ+タイケルブにするか、どちらがよいと思われますか? 主治医の治療を選択する場合は、セカンドオピニオンの先生も維持療法として“あり”といわれた、低用量抗がん剤療法を取り入れようと思っています。再発治療にこれがベストというものがないこと、妻の年齢も現在35歳、子供2人(幼稚園)ということもあり、妻とともに悩んでいます。長文になりましたが、先生方のご意見を伺いたく、宜しくお願いいたします。

おそらくお仕事でもご多忙の中、奥様と一緒にベストの治療法を追及することに多大な労力を注いでおられる貴方のその姿勢に、心より敬服いたします。まず貴方のおっしゃる通り、再発治療なので臨床試験に基づいたエビデンスはなく、医師の知識と経験から治療法が決定されるため、このように意見が分かれてくることは致し方のないことです。私から見ると、どちらの治療法もよく熟考された治療法であり、甲乙つけがたいと考えます。ただ私個人の意見を述べさせていただくと、再発治療は根治を目指さず、延命と生活の質を重視するというのが一般的な考え方ですが、奥様のようなHER2陽性タイプではハーセプチン(+抗がん剤)が劇的に効果することがあるので、完治も視野において治療を行うことは間違いでないと考えております。奥様の場合、術後のハーセプチン治療が終了してから1年以上たっての再発であると思われ、またハーセプチン+ナベルビン使用後わずか3か月で多発肝転移の消失が見られたことなどを考えると、ハーセプチンが非常に効果的である可能性が高いと考えます。よってハーセプチンベースで今後の治療法は組み立てるべきであると考えますが、セカンドオピニオンの先生がおっしゃっておられるように、ハーセプチンでなくナベルビンが劇的に効いた可能性も否定できませんので、ここでナベルビンをやめるのは勇気が要ります。あと画像から消えたということと、ガンが体内から完全に消失したこととはもちろん異なりますので、暫時の的確な治療が必要と考えます。年明けの選択肢もどちらも正解であると考えますが、わたくしならばハーセプチンの効果に期待して、年明けもハーセプチン単剤で暫時続けたいと考えます。今後も御夫婦でよく話し合って治療法をご検討いただきたいと思いますが、それで選択された治療法がベストであると信じ頑張ってください。わたくしも治療が奏功することを心よりお祈りいたします。(文責 谷)

 

No.10403】  11年10月20日    Y
緑内障

いつも拝見させていただき、とても心強いです。よろしくお願い致します。2009年4月に温存手術をしていただき、その後、放射線、ハーセプチン、そして今はホルモン療法(タスオミン)服用し、2年が過ぎたところです。主治医の先生を信頼しているので、こちらは何の心配もないのですが、先日、目に違和感があり、近所の眼科を受診したところ、両目、正常眼圧緑内障と診断されました。点眼薬(タプロス)を差し始め、3日目に目の周りが赤紫に変色し、眼科の先生に相談したところ、「やめましょう。お薬をかえましょう」とおっしゃってくださったのですが、進行が心配で再度点眼し始め、今は赤紫はほとんど出ていません。今日ご相談させていただきたいことは、タスオミンとタプロス同時使用についてです。眼科の先生は何もおっしゃっていませんでしたが、どちらも長期治療になるため、大丈夫かどうか、とても心配です。近いうちに、同じ病院の眼科を受診するつもりですが、次の外来が12月末と2か月以上も先なので、お忙しいところ申し訳ありませんが、こちらでご相談させていただきました。よろしくお願い致します。

タプロスに関してその作用機序や併用禁忌、副作用などを少し調べてみましたが、タスオミンとの併用で問題となることはないと思います。次回の眼科受診の際にも、眼科の先生に御確認なさってください。(文責 谷)

 

No.10402】  11年10月20日    M.T.
ホルモン治療の副作用について(HPNo.9914-2)

昨年、9914で質問させていただいたものです。その節は、丁寧なご回答、ありがとうございました。おかげで、抗がん剤治療選択の踏ん切りがつき、辛くはあったものの、前向きに治療を受けることができました。TC4クール後、放射線治療25回を経て、今年3月からホルモン治療(タスオミン)を始めています。TCに先立ったゾラデックス(3回目以降はリュープリン3ヶ月製剤に変更)と合わせ、副作用の更年期症状が大変きつく、主治医よりビタミンEを処方されています。また、別の病院の漢方外来にも通っています(加味逍遥酸+α、なかなか改善しないためいろいろ試し中)。 そこで質問なのですが、先日、とある講演会で、ザンクトガレン2011で、ビタミンE・B2、カロチンが、死亡率?(再発率?)を高める恐れがあるとの報告がなされたと、伺いました。わたしのように、ビタミンE(ユベラ)を飲んでいると、影響されるのでしょうか? また、精神科でうつ病との診断もなされ、マイスリーとロヒプノールを服用しても、ホットフラッシュによる夜間覚醒に悩まされる日々が続いています。いまだに体力も回復せず、ホルモン治療開始後、体重も2〜3キロ落ちました。ビタミンEについては、まったく効果がないような気がしていますが、このまま漫然と服用を続けるより、断ち切ったほうがいいでしょうか? また、こうした更年期症状に対しては、「我慢する」しかないのでしょうか。たとえば、先生であれば、こういったホルモン治療副作用に対して、どのように対応されていますでしょうか。お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

最近抗酸化ビタミンであるVitA、C、Eと乳がんの発症リスクに関して、いくつかの研究がされております。ただ結果はまちまちのようです。わたくしの解釈は「これらのビタミンも、サプリメントとして過剰にとりすぎると乳がんの発生にかかわる可能性がある」といったものです。ザンクトガレン2011会議の内容も、私はこれと同様の旨と理解しております。これらのビタミンは欠乏すれば諸症状を引き起こす可能性があるため、適度の摂取はもちろん必要です。よって今回の副作用に対する処方としてのVitEが、貴女の乳がんの再発率に影響する可能性はまずないと考えてよいのではないでしょうか。ホルモン治療中の副作用に対しては、これといった決まった対策はなく、主治医の先生が処方されているように、漢方薬やVitEなどで経過をみるといったことがよくとられております。しかし、それでもつらい症状が取れない場合は、タスオミンの一時中断もやむを得ないかもしれません。(文責 谷)

 

No.10401】  11年10月20日    K 
骨転移を心配しています(HPNo.9262-5)

いつもお世話になります。術後ニ年(今年6月)、副作用の関係でホルモン剤をノルバデックスからアリミデックスに変更しました。先週の定期検査のエコーは異常なしでした。骨密度の検査は、骨粗鬆症と診断されて、これからビタミンDを服用と言われました。アリミデックスの副作用が現れたのでしょうか?  8月末から健側の肩から二の腕が痛くなり、再度骨転移を心配しています。主治医は、「心配なら骨シンチ検査をしたら」と言われて、予約はしてきたのですが、被爆を心配して悩んでいます。レントゲンでは骨転移は判断できないですか。骨粗鬆症と骨転移は関係ありますか?  宜しくお願いいたします。

アリミデックス服用してまだ数か月くらいでしょうから、それだけで一気に骨粗鬆症が進行したとは考えにくいです。もともと以前より骨粗鬆症の傾向があったのではないでしょうか? 骨転移を心配するのであれば、やはり骨シンチ検査は非常に有用です。骨シンチの被ばくは一回のレントゲンの被ばくと大差なく、被ばくについてはさほど心配は必要ありません。また骨粗鬆症と骨転移は、直接関係はありません。(文責 谷)

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