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相談室(No.5701〜5800)

このページは乳がんに関 する不安や悩みを解消していくことを目的としています。皆様からの乳癌に関する情報、体験談、意見、質問などをお待ちしております。 個人および病院への攻撃や中傷に関してはお答えできませんので、あらかじめご了承下さい。

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なお治療法は、患者さんと主治医がご相談されて決定されるものであり、この相談室でお答えできるのは、一般的な参考意見であることをご了解下さい。

当相談室にお寄せいただいたメールについては、編集・引用・公開させていただく権利を当会(神奈川乳癌治療研究会)が有するものとします。また、名前、メールアドレス等個人情報保護の観点から、皆様から頂戴したご相談のメールは、一定期間の後、アドレスも含めて削除させていただいております。再度ご相談いただく際はその旨ご留意いただき、掲載No.を書き添えて下さるようお願い致します。

 

目 次

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担 当

5800 06/09/24 S.N. 針生検すべきでしょうか?(HPNo.5780-2) 徳田
5799 06/09/24 yumi 乳管過形成について 徳田
5798 06/09/24 SK 浸潤性小葉癌の治療について 徳田
5797 06/09/24 S  授乳中です 徳田
5796 06/09/24 A.O TS1の薬量について(HPNo.5668-2) 徳田
5795 06/09/24 S.C.  病理診断 核異型度について 徳田
5794 06/09/24 RK 術後のケア【抗がん剤治療について】 徳田
5793 06/09/22 B  脇の痛み 徳田
5792 06/09/22 Y.T がんの状況について 徳田
5791 06/09/22 N.O.   DCIS全切除後の治療について 徳田
5790 06/09/22 M  パクリタキセルについて(HPNo.5560-2) 徳田
5789 06/09/22 H.M 胸のしこりについて 徳田
5788 06/09/22 Y子  腋の下の痛みについて 徳田
5787 06/09/21 Y.L.  非浸潤がんと術式選択 徳田
5786 06/09/21 N.M.  組織検査の結果について 徳田
5785 06/09/21 H.T 3mmの腫瘍が発見されました 徳田
5784 06/09/21 Chamu 術後の乳房痛について 徳田
5783 06/09/21 A.K. 乳癌としこり 徳田
5782 06/09/21 Y 生検後のしこりについて(HPNo.5204-4) 徳田
5781 06/09/20 ON   ドレーンを抜いた後の周辺部の腫れについて 徳田
5780-1
5780-2
06/09/20
06/09/24
S.N.  針生検すべきでしょうか?
針生検すべきでしょうか?(2)
徳田
徳田
5779 06/09/20 T  手術方法と再建の時期について 徳田
5778 06/09/20 S.M.  補助療法について(HPNo.4712) 徳田
5777 06/09/20 T子 足首関節痛について(HPNo.5461-3) 徳田
5776 06/09/20 N.T. 術後の再建タイミングについて 徳田
5775 06/09/19 Y.O.   中国人女性が乳癌手術を日本で希望していますが、可能ですか? 千島
5774-1
5774-2
06/09/19
06/09/23
IMN 補助療法再考
補助療法再考(2)
千島
千島
5773-1
5773-2
06/09/19
06/10/21
M  しこりと痛みについて
エコーの見え方
千島
吉田
5772-1
5772-2
06/09/19
06/09/24
S  術後の補助療法について
術後の補助療法について(2)
千島
徳田
5771 06/09/19 K  手術の傷跡 千島
5770 06/09/19 KK 術後の補助療法について 千島
5769 06/09/19 A.F. しこりについて 千島
5768 06/09/19 M.S 内視鏡補助手術(HPNo.5692-4) 千島
5767 06/09/19 K 抗がん剤治療について 千島
5766-1
5766-2
06/09/19
06/09/28
M.T 非浸潤性乳管癌について
術後の放射線治療について
千島
浜口
5765-1
5765-2
06/09/18
06/11/19
S.Y.  石灰化・非浸潤ガンなのですが・・・
術後無治療
千島
片山
5764 06/09/18 R.I 抗がん剤の副作用について(HPNo.5492-3) 千島
5763-1
5763-2

5763-3
5763-4
5763-5
06/09/18
06/11/19
07/03/08
07/03/18
08/09/03
Y.Y.  術後のホルモン療法について
今後の治療について
リンパ浮腫について
癌の悪性度について
ホルモン療法の副作用でしょうか?
千島
片山
須田
石山
片山
5762-1
5762-2
06/09/18
06/12/11
Y.A. ステージWの乳癌
今後について
千島
清水
5761 06/09/18 S.T 石灰化について 千島
5760 06/09/18 ruru パジェット病でしょうか? 千島
5759 06/09/18 T.S. 今後の検診について 千島
5758 06/09/18 乳癌と妊娠 千島
5757 06/09/17 N  ホルモン剤の副作用について 千島
5756 06/09/17 b b 術後の治療について 千島
5755 06/09/17 A.I 乳首のしこり・痛み 千島
5754-1
5754-2
06/09/17
06/09/24
S.S 不正出血
不正出血(2)
千島
徳田
5753-1
5753-2
06/09/17
06/09/20
S.T 乳ガンの可能性について教えてください
術後療法について
千島
徳田
5752 06/09/17 超音波ガイド下乳房腫瘤針生検について(HPNo.5629-2) 千島
5751 06/09/17 U 術前化学療法について(HPNo.5695-2)    千島
5750 06/09/17 S.K  診断の方法等について 千島
5749-1
5749-2

5749-3
06/09/17
06/10/25
06/11/04
手術方法について迷いがあります
術後の補助療法について
ジェネリック医薬品について
千島
河原
石川
5748 06/09/17 R  両胸の間のしこり 千島
5747-1
5747-2
06/09/14
06/09/20
M   ホルモン療法中のサプリメントについて
ホルモン療法中のサプリメントについて(2)
俵矢
徳田
5746-1
5746-2
06/09/14
06/09/18
M.K.  乳がん?
乳がん?(2)
俵矢
千島
5745 06/09/14 T.S. 婦人科治療(ダイホルモンの皮下注射)の乳がん術後ホルモン療法への影響について 俵矢
5744 06/09/14 K  乳癌の可能性は? 俵矢
5743 06/09/14 S  全摘以外に方法は無いでしょうか? 俵矢
5742 06/09/14 MS 乳癌の内視鏡手術について(HPNo.5692-3) 俵矢
5741 06/09/14 w  放射線治療について (HPNo.5669-3) 俵矢
5740 06/09/14 Y.U. 乳頭からの出血(HPNo.5476-2) 俵矢
5739 06/09/13 E.M. 健康食品「酵素」について 俵矢
5738 06/09/13 S.M 脇の下のしこりについて  俵矢
5737 06/09/13 M.T. 術後の治療方法について 俵矢
5736 06/09/13 O.M. 石灰化の経過観察 俵矢
5735-1
5735-2
06/09/13
06/10/18
H.S.  術後化学療法の5-FUについて
セカンドオピニオンについて
俵矢
藤田
5734-1
5734-2
06/09/13
06/09/30
M.M. 手術後の治療について
印鑑細胞癌の情報について
俵矢
浜口
5733-1
5733-2
06/09/13
06/09/18
M  術後のスケジュールについて
腫瘍の大きさと今後の治療について
俵矢
千島
5732 06/09/13 C.H.  リスク因子 俵矢
5731 06/09/13 K.S.  今後の治療方法について(2)(HPNo.5605-2) 俵矢
5730 06/09/13 S.K. 線維腺腫 俵矢
5729 06/09/13 M  膠原病と胸の痛みとの関係は? 俵矢
5728-1
5728-2
06/09/13
06/09/18
M  ホルモン治療と閉経について
ホルモン治療と閉経について(2)
俵矢
千島
5727-1
5727-2
06/09/13
06/09/19
Y.K 粘液癌の再発治療について
再発後の無治療について
俵矢
千島
5726 06/09/13 H.W. 再受診の必要性 俵矢
5725 06/09/13 S.S. ホルモン療法 俵矢
5724-1
5724-2
06/09/13
06/09/18
K.H. 乳首近くのしこり
しこりの痛み
俵矢
千島
5723 06/09/13 M  術後療法の選択について 俵矢
5722-1
5722-2

5722-3
5722-4
06/09/13
06/09/22
06/10/21
06/11/06
IY  咳がひどいのですが、肺転移?
手術か、術前化学療法か?
術後療法について
ハーセプチンの治療について
俵矢
徳田
吉田
石川
2721 06/09/13 M 乳癌検診について 俵矢
5720 06/09/13 H,H 乳首から茶色いねとねとした分泌物 俵矢
5719-1
5719-2
06/09/13
06/09/24
k子  術後の治療について
術後の補助療法について
俵矢
徳田
5718 06/09/13 T.S.  今後の治療について 俵矢
5717 06/09/09 M.I. 乳がん術後のリンパ液について 俵矢
5716 06/09/09 Y・N 肺転移? 俵矢
5715 06/09/09 M 胸の腫れについて 俵矢
5714 06/09/07 M・S ホルモン療法の副作用
5713 06/09/07 s.m.y ホルモン剤の切り替えについて
5712 06/09/07 M.S. 化学療法の必要性(HPNo.5692-2)
5711 06/09/07 K.S 抗ガン剤開始時期
5710 06/09/04 H 非浸潤性がん(追加報告):断片陰性のはずが・・・(HPNo.5607-2)
俵矢
5709-1
5709-2

5709-3
06/09/04
06/09/13
07/03/03
E.O. 手術後の治療について
手術後の治療について(2)
術後の化学療法について

俵矢
阿部
5708-1
5708-2

5708-3
06/09/04
06/09/22
06/12/03
今後の補助治療について
今後の補助治療について(2)
今後の補助治療について(3)

徳田
首藤
5707 06/09/04 T  サプリメントについて
5706 06/09/04 M.G ハ−セプチン+FECの使用(HPNo.4886-3)
5705 06/09/03 乳頭からの分泌物
5704 06/09/03 R   術後の補助療法について
5703 06/09/03 内視鏡手術
5702 06/09/03 K  今後の治療について(HPNo.5201-3)
5701 06/09/03 C.K. 術後の治療について

 

 

No.5800】  06年09月24日   S.N.
針生検すべきでしょうか?(HPNo.5780-2)

HPNo.5780で質問させていただいた者です。さっそくのご回答、ありがとうございました。針生検について、もう少し質問させて下さい。針生検では、1ヶ所に針を刺して、何本かの組織片をとってくるのですか? また、いただいたご回答で「針生検は最近の方法では石灰化はほぼ確実にとれる」とのことですが、普通の針生検でも確実にとれるのでしょうか? マンモトーム生検の方がより確実に診断がつくのでしょうか? また、患者側には痛みや傷跡など、針生検とマンモトームではどれくらい違うのでしょうか? また、お医者さまによってマンモグラフィーのカテゴリー判定が違っているのですが、より悪い方(カテゴリー4)をおっしゃった先生の指示に従って、今、針生検を受けるべきでしょうか? あるいはカテゴリー3とおっしゃった先生に経過観察していただいて、悪性が疑われる所見があった場合に切開生検してもらうのがいいでしょうか? あるいはまた別のマンモトームのある施設で診てもらうのも良い方法でしょうか? 再度の質問で申し訳ありませんが、アドバイスをお願いしたく、どうぞよろしくお願いいたします。

マンモトーム生検では、1箇所から何本も組織をとります。通常の針生検より確実です。傷跡の大きさは、使用する針の太さによります。マンモトーム生検のマイナスの面は少ないので、心配して経過をみるより、生検を行うべきと考えます。(文責 徳田)

 

No.5799】  06年09月24日   yumi
乳管過形成について

マンモグフフィーで微細石灰化が見つかり、生検の結果、乳管過形成との診断を受けました。以後6カ月後に経過観察となりました。乳管上皮の増殖が無秩序に増殖するようになると癌になることもあると説明をうけましたが、乳管過形成から癌になる可能性は高いのでしょうか?

乳管過形成の部分が直接癌になるということは、はっきりしていません。しかし、そういう病変がある乳腺は、癌ができるリスクが高いことが知られています。(文責 徳田)

 

No.5798】  06年09月24日   SK
浸潤性小葉癌の治療について

56才女性。右乳房しこりを手術生検の結果、浸潤性小葉癌と診断をうけました。今後手術を勧められ、温存+放射線治療 脇下のサンプリングか、非定型切除術+リンパかくせい術のどちらか選択できるとの事でした。脇下のリンパ節転移によってはホルモン療法等も考えられるとの事でした。病気について疑いもしなかったので、驚いているところです。まず浸潤性小葉癌とはどんな癌なのか?治療法は上記で良いのか?どこの病院を選んだら良いのか、お教えください。お願いします。

乳癌には、ミルクをつくる細胞が癌化したものと、ミルクを乳頭まで運ぶ管の細胞が癌化(乳管癌)したものがあります。小葉癌は前者です。治療法は、乳管癌と同様です。治療は、乳腺専門医にお願いすべきです。(文責 徳田)

 

No.5797】  06年09月24日   S 
授乳中です

36歳、2児の母です。2ヶ月ほど前に人間ドックで乳がん検診を受けました。エコーによる検診でしたが、左乳房に石灰化がありました。当時下の子は9ヶ月で、授乳中でした(現在11ヶ月で授乳中)。検診までには3時間ほど待ち時間があり、乳房も少し張っていたような気がします。授乳は左側が中心で、左右の乳房の大きさがかなり違います。検診結果では、「授乳中ということもあり、カルシウムが写っている場合もある。触診ではしこり等がないので、6ヵ月後に精密検査」ということになりました。あまり気にはしていなかったのですが、ふと、授乳は子供に影響がないのか?と思い、だんだん不安になってきました。
早めに断乳して精密検査を受けたほうがいいのでしょうか? 断乳していないと精密検査をしても詳しくは分からないのでしょうか? このまま授乳を続けても大丈夫でしょうか? 教えてください。よろしくお願いします。

石灰化の様子がわからないので、むずかしいですが、担当医の判断からすると、授乳を続けて、6ヵ月後の変化をみても問題ないと考えます。(文責 徳田)

 

No.5796】  06年09月24日   A.O
TS1の薬量について(HPNo.5668-2)

前回HPNo.5668で質問したA.Oです。ありがとうございました。前回の内容は、局所再発の治療法の質問で、ゼロータ、フルツロン、TS1の事をお聞きしました。いろいろ考えて、TS1(20mg)を9月から朝夕3錠ずつ、計6錠飲んで、プラスして胃薬(セルベックス)を朝昼夕と飲み、吐き気があるときだけ吐き気止めノバミンを服用しています。やはり副作用がでてきまして、吐き気、胃がだるい、指先や皮膚の弱いところの色素沈着、体が少しだるくて動いては休む・・の繰り返しで、日々を過ごしています。私の場合は、今のところ体内にガン細胞が見えないので、予防として飲んでいます。けれど、精神的にも薬を見るのが気持ち悪くなってきて、薬量を減らそうかと考えています。主治医とTS1の2週間後に話しまして、白血球がギリギリ3000、様子を見て副作用がきつかったら薬量を減らそうか・・と話しはしたのですが、
1) 薬量を減らしても、効き目は減りませんか? 副作用はラクになりますか?
2) 成果がみえないので、頑張れば6錠で行けそうな気もありますが、「どこまで頑張るのか?」「頑張りに意味があるのか?」と悩んできました。
3) 25mgを4錠・・の他に減らす方法はありますか?

ちなみに32才、身長161cm、体重61キロ(恥ずかしいのですが・・これでも7キロ痩せました)です。それではよろしくお願いします。

1) 用量を減らすと効果は低下しますが。副作用は改善する可能性があります。
2) 副作用の程度については、ご本人しかわかりませんが、日常生活に支障があるようなら、減量もしくは中止すべきです。
3) 投与期間を短くする方法があります。(文責 徳田)

 

No.5795】  06年09月24日   S.C. 
病理診断 核異型度について

9月に右乳房温存療法をし、先日病理検査結果が出ました。リンパ節転移なし、充実腺管がん、最大径1.3cm、核異型度G3でした。来週のホルモン感受性結果を待って、今後放射線治療に加え、陰性であった場合はプラス化学療法、陽性であった場合はホルモン治療に化学療法をプラスするかどうか悩ましいところです。非常に素朴な疑問なのですが、核異型度G3は、どの資料をみても「顔つきの悪い=再発しやすい」とあるのですが、それなら「リンパ節転移なし」という結果と矛盾する気がしてならないのですが・・・。6月末にしこりの自己発見をしてから手術まで2ヶ月はありました。つまり、その「顔つきの悪い」がんが、体内に少なくとも2ヶ月以上はいたことになります。それなのにリンパへの転移がないのなら、再発し易いという定義に矛盾が生じる気がしてなりません。G3であれ、リンパ節転移の前に除去してしまったのですから、他への転移は考えにくいと思うのは素人考えでしょうか。

リンパ節転移がなくても再発することがあります。血行性にすでに広がっているためです。そのような方を予測する因子のひとつが組織学的悪性度です。(文責 徳田)

 

No.5794】  06年09月24日   RK
術後のケア【抗がん剤治療について】

お世話になります。その節はご回答頂きましてありがとうございました。お礼が遅くなり申し訳ございませんでした。9月6日に手術しました69歳(前回67歳と書きましたが間違いです)の母のケアの件で今回はお伺いしたくメールしました。
手術は温存で1時間20分で終了し、しこりは2cm、硬癌、リンパへの転移はなしでした。一応、右脇のリンパは念の為に切除したようです。術後も順調です。そして今日20日、主治医の先生から、摘出したがん細胞についての説明と、今後のケアについても説明がありました。乳首側にはがん細胞はない為、遠くに細胞は行ってはいないと云う事ですが、脂肪と筋肉の一部を取ってみた所、筋肉の下側ギリギリ、顕微鏡レベルで顔つきレベル2のがん細胞があると云う事です。深いところギリギリの所にある状態であるが、恐らく大丈夫であると云う事です。また再発の可能性はほとんどないであろうと云う事です。しかし、一応レベル2のがん細胞が確認されていると云う事で、抗がん剤治療はした方が良いと云う事ですが、主治医の先生は本人の意思を尊重すると云う事です。放射線治療とホルモン剤の投与治療を施す事は確実ですが、この抗がん剤は今回のようなほぼ大丈夫であろうと云う判断の中でもした方がよいのでしょうか。本人は副作用などを考えるとやりたくないと云う事ですが、我々家族が希望すればやるとは思います。先生はホルモン感受性が強い為、少し強いホルモン剤で治療すれば大丈夫ではないかともおっしゃいました。やや悪質ではあるが、再発の可能性の少ないがん細胞に対して、抗がん剤治療を施す事はやりすぎでしょうか。やはり他の正常な細胞までも抗がん剤の副作用が影響し、免疫力などが落ちたりし、他の分野で影響がでたりするのでしょうか。とは云うものの、ここまで治療したついでに、念の為の抗がん剤をした方がいいのでしょうか。しかし今後、抗がん剤などで治療しても、そのガンが消滅したのか、どうなっているのかは明確にわからないと云う事です(顕微鏡レベルなのでわからないと云う事らしいです)。主治医の先生から詳しい説明はありましたが、もし違った角度からのアドバイスも頂戴できればと思っています。長々と申し訳ありませんが宜しくお願い致します。
後、余談ですが、家に生後5ヶ月の乳児がいますが、「放射線治療後は接触しないで下さい。」とパンフに書いてあったと云うのですが、これは乳がんの放射線治療にも該当するのでしょうか。我が家では接触しないわけにはいかないのですが・・・。宜しくお願いします。

術後の補助療法については、再発の可能性と副作用を天秤にかけて判断します。」69歳、腫瘍径2cm、リンパ節転移なし、組織学的悪性度グレード2、ホルモン感受性あり」との情報からは、ホルモン療法+抗がん剤治療が標準的と考えます。乳房への放射線照射後の隔離は必要ありません。(文責 徳田)

 

No.5793】  06年09月22日   B 
脇の痛み

34歳、12歳と9歳の子供がいます。一年ほど前から、たまに左の乳首から分泌物があり気になっていたので、8月に検査をしてきました。「分泌物の検査でも悪性ではない。マンモグラフィーでも石灰化なし。エコーの画像上に乳管が少し拡張している所見がありますが、これも悪性ではありません。」との診断を頂きました。3ヵ月後、分泌物が続くようでしたら、もう一度診察に来てくださいとのこと。それからも気になって、毎日分泌物があるかどうか絞って確認していますが、出ない日も出る日もあります。気にしすぎなんでしょうか。検査後すぐ脇の下に違和感を感じるようになり、今は痛みも感じます。背中が痛いような、脇が痛いような・・・。しこりはないように思います。3ヵ月後までほうっておいても大丈夫でしょうか?

乳腺専門医による判断であれば、経過観察でよいと思います。(文責 徳田)

 

No.5792】  06年09月22日   Y.T
がんの状況について

乳がんの精密検査(針生検)にて、2箇所の乳がんが発見され、全摘手術を行うとのことでした。針が筋肉に刺さりそうになるくらい近い様子で不安でした。手術は3週間後しかできません。MRIを撮って、広がりを見ると言う事でした。今のところ全摘手術をすること以外は特に詳しい事がわからず、不安です。しこりは、触診ではありませんでした。このような状態の癌とは、どのようなもので、どのような可能性があるのか、お教えいただけませんでしょうか? 情報が少なくて申し訳ありません。専門の先生が全摘出とお考えだと言う事は、それほど悪いと言う事でしょうか。

がんの状況については、情報が少なく、お答えできません。全摘をすすめる理由は、病変が多発しているためです。より悪性ということではありません。(文責 徳田)

 

No.5791】  06年09月22日   N.O. 
DCIS全切除後の治療について

7月末に左単純乳房切除術を受けました。センチネルリンパ節生検は(-)、HER2(-)、ER:(+) PgR:(±)、DCISであると病理結果で診断されました。「悪性度はDCISということ
で、ありません」と言われました。DCISの中でもhigh gradeという診断でしたが、乳房切除をしたので関係ありません、と言われました。
1) ノルバデックスのみを服用していますが、それで適切でしょうか。ゾラデックスは過剰治療でしょうか。主治医は、これは患側の治療というよりは健側の予防のためだ、と言いました。
2) DCISでも温存の場合は放射線治療が必要ですが、全切除の場合は不要ということで大丈夫なのでしょうか。
3) 病理結果の写しを求めると、「写しはあげられないことになっている」と言われましたが、それはよくあることなのでしょうか。(大学病院です)

よろしくお願いいたします。

1) DCISで全摘後、対側の予防のためノルバデックスを投与することは、確かに乳癌のリスクは減らしますが、ノルバデックスの副作用を考えると、推奨する根拠はありません。
2) 不要です。
3) カルテ開示については、少なくとも本人には許可するのが一般的ですが、施設ごとに取り決めがあるようですので、正式に確認してみてはどうでしょうか。(文責 徳田)

 

No.5790】  06年09月22日   M 
パクリタキセルについて(HPNo.5560-2)

HPNo.5560でご相談させて頂きました者です。その節はご丁寧にご回答頂き、有難うございました。再度ご意見を伺いたくメール致しました。通院している病院で、私の状態はAC+パクリタキセルの化学療法が統計的に予後がいいと言われています。しかし私はアルコールが苦手なので、AC+ドセタキセルを使うそうです。ですが無理してでもパクリタキセルを使いたいと思っています。
1) パクリタキセルを1回試して無理があるような場合、ドセタキセルにする事は可能ですか?
2) パクリタキセルは毎週毎1回か3週間毎1回を選ぶ事が出来るそうです。統計的に予後がいいのはどちらですか?

ちなみに私はビール350mlを3時間かければ飲める程度です。宜しくお願い致します。

1) 可能です。しかし、パクリタキセルがドセタキセルより優れているという根拠はありません。
2) 毎週1回80mg/m2の方が、3週1回175mg/m2より優れています。(文責 徳田)

 

No.5789】  06年09月22日   H.M
胸のしこりについて

35才、子供無しの者です。先週、左胸下のやや外側に少しころころするしこりを見つけ、産婦人科に行ってきました。触診とエコーの結果、先生は「癌ではないので心配する事はない」と言っていました。でも、3ケ月後にまた診せにくるよう言われました。エコーでみたところ、しこりは4ミリ程度のものでした。安心していたのですが、「きちんと乳腺外科で診ないとわからない」と人から言われ、またとても心配になってきてしまいました。やはり乳腺外科でもう一度診てもらうべきでしょうか? ちなみにそこの産婦人科では何年か前から毎年胸を診ていただいていました(よく、しこりが出来る体質のようです)。それから、先生が「気になるからといってしこりを触りすぎない様に」と言っていたのですが、例えば、触りすぎて悪性に変化するなんて事はありますか?

婦人科の先生が乳腺専門でなければ、乳腺専門医を受診すべきです。しこりを触りすぎて悪性化することはありません。(文責 徳田)

 

No.5788】  06年09月22日   Y子
腋の下の痛みについて

どうぞよろしくお願いいたします。41歳、10年前に豊胸手術をしました。1ヶ月前、洗顔中に右の頬骨あたりの痛み・・・数日で治まる。その後右耳の下が痛み・・・治まる。その後、右腋下が痛み・・・すぐ治まる。現在は半月前から続いている左腋下が、ピリピリまたはヒリヒリ痛むのが治まりません。仕事での肩こり・筋肉痛あり・自律神経の乱れあり。豊胸手術の際にメスを入れたあたりが一番ピリピリするのですが、何科を受診すればよろしいのでしょうか。とても気になり、怖い病気ではないかと不安になっております。乳房マンモグラフィーは昨年秋撮りましたが異常なしでした。尚、1週間前に個人病院の内科を受診しましたが、痛む場所が変わるのは関連性がないと思うし、中からの痛みではないでしょうと言われました。

形成外科受診をおすすめします。(文責 徳田)

 

No.5787】  06年09月21日   Y.L.  
非浸潤がんと術式選択

今日、針生検とMRI検査の結果が出ましたので、早速ご相談させていただきます。主治医が超音波検査の結果を見た時、非浸潤がんが80%あり、浸潤がんが20%ある可能性が高いと言いました。リンパ節の腫れはないそうです。それから、「浸潤がんを見つけてください」というコメント付きの針生検とMRI検査を受けました。針生検の報告は下記の通りです。「乳管内を充実状・篩状あるいは乳頭状に増殖するductal carcinomaを認めます。微小石灰化も散在しています。検体中には、積極的に浸潤を疑う像はみられません。核グレード(参考所見):Grade1(核異型スコア:2、核分裂像スコア:1)腫瘍細胞は免疫組織学的にER(++),PgR(+)です。」
MRI の報告はもらっていませんが、主治医によると、非浸潤がんの大きさ:40×30× 17、位置:9時から12時までの間。はっきり分かりませんが、微小浸潤がんが存在するかもしれませんとのことです。
質問ですが、
1) これに基づいて、非浸潤がんの確定診断はできますでしょうか。術中あるいは術後に浸潤がんが見つかる場合は、どうなるでしょうか。
2) 術式の選択については、部分切除+放射線治療を選択するなら、三分の一を切るので、温存しても変形は強くなると言われました。取り残しがあれば再切除になる。全部切除を選択なら、再切除はない。私としては、根治を第一選択にしたいのですが、再切除や再発の心配を考えると、全部切除がお勧めでしょうか。それとも、温存した方がよいでしょうか。
3) 再建の場合は、たとえば三分の一を切除した後、自己組織を用いる同時再建(残した一部の乳房と一部の自己組織による同時再建)は、いかがでしょうか。あまり参考資料がないようで、そのメリット、デメリットを教えていただけませんか。
4) 再建の紹介は、すべて全部切除に関するものですが、私もケースも全部切除して再建した方がお勧めでしょうか。

以上、よろしくお願いいたします。

1) 針生検では、非浸潤癌の確定診断はできません。切除された腫瘍全体を調べて判定すべきです。
2) 温存でも全摘でも、生命の予後は同じです。予後には影響しませんが、残存乳腺の再発、再切除がどうしてもいやであれば全摘をすすめます。あとは、あなたの乳房に対する思い入れによります。
3) 三分の一を切除しても変形が気にならない場合もあります。温存の場合は、1年くらい経って、手術の影響がとれてから、変形が気になるのであれば再建を考えるほうが良いと思います。
4) 再建の方法によると思いますが、乳腺が残っていないほうが、バランスよく再建できると思います。(文責 徳田)

 

No.5786】  06年09月21日   N.M. 
組織検査の結果について

36歳、2年前に初出産、2年間の授乳を3ヶ月前に終えました。ホッとする間もなく、右胸下部にしこりを感じ、近所にある乳腺外来を受診しました。エコーでは黒く映る1.2pの丸い物体が、マンモグラフィーでも白く輪郭のはっきりした丸い物体が映り、針生検となりました。本日、その結果が出るはずでしたが、「診断が難しく、特殊な染色を行うため、結果が出るまであと一週間かかる」と言われました。担当医の画像の所見では「癌の可能性が高い」とのことでした。診断が難しい組織検査とはどういうことでしょうか? わずかでも良性の期待を残しても良いのでしょうか? 今日までの一週間もつらく、更に待たなければならないことに、すっかりまいっています。泣いてばかりで何も手につきません。こういうことがあるものなのでしょうか。事例を教えていただけると幸いです。

良性に近い癌、悪性のようにみえる良性腫瘍は、簡単に診断できないことがあります。その場合、特殊な染色をして良・悪の鑑別をします。(文責 徳田)

 

No.5785】  06年09月21日   H.T
3mmの腫瘍が発見されました

既婚、29才です。職場の検診で婦人科検診(今年で3回目になります)を受けたところ、初めて「要精密検査」になり、先日、マンモグラフィーとエコーを受けました。その結果、マンモグラフィーでは、「乳腺が発達していてよくわからない」と言われ、画像は、じっくり見ませんでしたが、全体が白っぽかったです。その後、エコーで確認したら、「腫瘍があるね。小さくてよくわからないけど、形がぎざぎざしているし、中身もつまっている感じがする。大きさは3mm(ミリ)。半年後にもう一度検査をしよう。」ということになりました。腫瘍があると聞いて動揺しながらも、半年このまま何もしないことが不安でした。先生は、「まだ小さいから、良性か悪性かが判断できる検査もしづらいよ。」と。妊娠を今年強く希望していたので、聞くと、「妊娠してもいいよ。」と。「そんなものなんだ」とほっとしたのもつかの間で、その後、職場の上司に報告したら、上司の知り合いで乳ガンを克服された方の話を聞き、「若いからガンの進行も早いし、半年も待たずに、もっと大きな病院に行って検査をしたほうがいい。」と言われ、また動揺が走りました。出産に関しては、仕事の関係もあり、今年なら大丈夫という状況をやっと作ってきたさなかの検診結果に、ショックを受けました。そこで質問ですが、
1) 3mmの腫瘍の良・悪性を調べる検査する事は、しづらいことなのでしょうか? 大きさを考えると、まだ、その検査はしなくてもいいのでしょうか?
2) 半年待っている間に妊娠したとして、半年後(エコー検査の結果にもよりますが)良・悪性を調べる検査は、胎児に影響するのですか?
3) 良・悪性を調べる検査は、どんな検査ですか? その方法を簡単にで構いませんので教えて下さい。入院が必要なくらいの検査ですか?
4) 妊娠したということで、検査や治療を先延ばしした場合、その影響はどのようなものでしょうか。(ガンの進行具合など)

以上、よろしくお願いいたします。

1) たしかに難しいと思います。検査の必要性については、がんの可能性をどの程度考えるか、画像の所見によりますので、主治医とよく相談してください。
2) 細胞診や組織診は、胎児に影響しません。
3) 入院の必要はありません。
4) がんの場合は、進行していきます。(文責 徳田)

 

No.5784】  06年09月21日   Chamu
術後の乳房痛について

9/4に右乳房温存手術を受けたものです。1cm程度のしこりを乳房のラインに沿い切開、円状摘出しました。現在自宅で療養中で、じっと座っていれば痛みを感じることはありませんが、胸をさわると乳房全体がひりひり、ちくちくするような痛みに悩まされ、歩く時も下着が擦れ痛みを感じます。また寝ているときも、寝方によってはひりひり感があり、あまり良く眠れなかったりもします。術後胸に青タンがありましたが、それは徐々に薄まってきています。この青タンの薄れと共に痛みも軽減するものと思っておりましたが、そうでもないようです。切開部が痛むのは理解できるのですが、この乳房乳頭全体に渡るひりひりした痛みは、術後暫く続くものなのでしょうか。それとも別のことが考えれられますでしょうか。お忙しいところ恐縮ですが、ご回答お待ちしております。

乳房の手術では、傷の部分だけではなく、広い範囲にわたって、皮膚の下をはがしています。そのために切開部を越えて広く痛むのです。術後しばらく続くのが一般的です。(文責 徳田)

 

No.5783】  06年09月21日   A.K.
乳癌としこり

最近左胸に違和感があります。しこりを探してみましたが、全く見当たらず、胸の外側が痛みます。脇の下も何となく同じような痛みがあり、がんかと疑ってしまいますが、しこりがないのはなぜでしょう?

腫瘍の痛みではなく、乳腺や筋肉の痛みの可能性が高いからと考えますが、念のため、専門医に相談してください。(文責 徳田)

 

No.5782】  06年09月21日   Y
生検後のしこりについて(HPNo.5204-4

いつも的確なご回答をありがとうございます。以前、HPNo.5204-3で生検後のしこりについて相談したYです。その後、生検後のしこりは5mmであり、細胞診にてクラスTで、所見として『上皮細胞の小集塊と異物型巨細胞をみる』という結果でした。主治医は、そのしこりは、生検した際に乳房の形を良くする為に寄せ集めて縫った所で、瘢痕であるため消えることはなく、異物つまり糸が入って細胞が大きくなっている異物型巨細胞だと説明してくれました。また、病変部の正確な摘出については、「生検前日のエコーでは、しこりは確認出来なかったが、色素をつけて作図をして怪しい所を広く取ったので取り残しはありえない」という説明でした。今後は、「3ヵ月毎の超音波、半年毎のMRI造影で様子を見ていくことにしますか」と提案して下さいました。私自身も、検査は続いていくけれども納得し安心しておりましたが、先日、私のように細胞診で2年様子を見ていて念のためとった生検でリンパ節転移のある2センチの癌が発生していたという体験談を聞きまして不安になったので相談させて下さい。
1) 3月に生検、6月に細胞診と同じ箇所を検査していますが、さらに細胞診、マンモトーム、生検などの検査をした場合、同じ箇所の検査を重ねることで癌でないものが癌になりやすくなったり、新たなしこりができたりということは、あるのでしょうか? 体質的に生検後しこりが出来やすい人はいるのでしょうか? 不安で過ごすくらいなら、生検も考えていますが、又しこりが出来るのではないか?という不安もあります。
2) 細胞診は確定診断でなく、やはり私の場合マンモトームや生検で確定診断した方がよいのではないでしょうか? 現在5mmのしこりですが、その大きさならマンモトームと生検、どちらが確実に判定できますか? マンモトームでは、小さすぎて外してしまいそうだと言われたことがあります。
3) 生検して癌であった場合、生検により腫瘤が存在しなくて乳房温存の手術に支障がでますか?
4) マンモグラフィーは、昨年6月、12月、2月の三回とっています。今とることは、副作用の点では、どうでしょうか?

以上、よろしくお願いします。

1) 癌を誘発することはありませんが、前回のように、傷跡のしこり(肉芽)ができることはあります。
2) 不安が続くのであれば、確定診断をつけるしかありません。確実に組織がとれて安心するためには、切除生検のほうが良いと思います。ただし、皮膚の傷は大きくなります。
3) 支障はありません。
4) 副作用としては、許容範囲内です。(文責 徳田)

 

No.5781】  06年09月20日   ON 
ドレーンを抜いた後の周辺部の腫れについて

8/15に、左乳房部分切除+センチネル生険→1個転移→腋窩リンパ郭清(レベルUまで)手術を受けた45歳のものです。術後1週間でドレーンが抜け、退院したものの、ドレーン跡の傷上3センチあたりに、縦5センチ横8センチくらいの強い腫れがあり、痛みます。ロキソニンを入院中から服用していますが、効いている実感がありません。この腫れと痛みは術後の一過性のものでしょうか。数ヶ月続くのでしょうか。また、リンパが滞っているための腫れなのでしょうか。もし、この大きさでリンパが停留しているものでしたら、注射で抜く必要がありますでしょうか。退院後初の外来が9月初旬であるため、それまで放っておいていいものか、痛みに耐えていればいいものなのかわからず質問させていただきました。

痛みを伴う腫れですから、リンパ液がたまっているにしても抜く必要があると思います。すみやかに主治医に相談すべきです。(文責 徳田)

 

No.5780-1】  06年09月20日   S.N. 
針生検すべきでしょうか?

51歳。出産経験なし。家族暦は、母が65歳で乳癌を患っています。私自身のことで、初めてご相談させていただきます。2004年12月、2006年4月に人間ドックでマンモグラフィーを撮りました。1年4ヶ月の経過がありますが、その間、特に変化は見られない(カテゴリー2)とのことで、1年後に経過観察ということでした。乳房は全体的にゴツゴツしていますが、しこりにふれるというわけではありません。人間ドックのマンモグラフィーを借りて、乳腺専門医のところを訪ねると、1年半前と変化はないものの、カテゴリー4の微細石灰化であり、エコーではどちらかというと良性だが、針生検をすることを勧められました。針生検は播種性があると聞いたりするので、少し不安になり、別の乳腺専門医に診ていただきました。その結果、「マンモグラフィーはカテゴリー3であり、エコーからも悪性を疑う所見はないとのこと。針生検は患部からはずれてしまうこともあるので、するのなら切開生検が良い。今は経過観察するのが良いでしょう。」と言われ、6ヶ月後に診察を受けることになっています。それを受けて、針生検すると言われた先生に経過観察でお願いしたい旨受診したのですが、経過観察している状態ではなく、近いうちに針生検すべきであると言われました。近いうちに針生検を受けるべきか、6ヶ月後に経過観察で良いのか迷っています。
1) 針生検は播種性があるのでしょうか?しこりがふれない場合は、針生検は患部からはずれてしまったり、信頼性は低いのでしょうか?
2) 針生検は何か所か針で刺し、後が残ったりするのでしょうか?
3) 経過観察していただく場合、微細石灰化があっても、経過を追っても変化がない場合は、何年か経てば心配しなくても良くなるのでしょうか?
4) 進行の遅い、初期の非浸潤性がんであっても、早く診断し、手術する方がいいのでしょうか?

今、針生検を受けるべきか、6ヶ月後の経過観察でもかまわないのか迷っています。アドバイスよろしくお願いいたします。

1) 針生検は、あくまで診断が目的です。悪性の診断がついたら、すみやかに治療すれば、播種の心配はありません。最近の方法では、石灰化は、ほぼ確実にとれます。
2) 小さな針のあと一箇所だけです。
3) 確実な答えはありません。
4) 癌であれば、早いに越したことはありません。(文責 徳田)

 

No.5780-2】  06年09月24日   S.N. 
針生検すべきでしょうか?(2)

HPNo.5780で質問させていただいた者です。さっそくのご回答、ありがとうございました。針生検について、もう少し質問させて下さい。針生検では、1ヶ所に針を刺して、何本かの組織片をとってくるのですか? また、いただいたご回答で「針生検は最近の方法では石灰化はほぼ確実にとれる」とのことですが、普通の針生検でも確実にとれるのでしょうか? マンモトーム生検の方がより確実に診断がつくのでしょうか? また、患者側には痛みや傷跡など、針生検とマンモトームではどれくらい違うのでしょうか? また、お医者さまによってマンモグラフィーのカテゴリー判定が違っているのですが、より悪い方(カテゴリー4)をおっしゃった先生の指示に従って、今、針生検を受けるべきでしょうか? あるいはカテゴリー3とおっしゃった先生に経過観察していただいて、悪性が疑われる所見があった場合に切開生検してもらうのがいいでしょうか? あるいはまた別のマンモトームのある施設で診てもらうのも良い方法でしょうか? 再度の質問で申し訳ありませんが、アドバイスをお願いしたく、どうぞよろしくお願いいたします。

マンモトーム生検では、1箇所から何本も組織をとります。通常の針生検より確実です。傷跡の大きさは、使用する針の太さによります。マンモトーム生検のマイナスの面は少ないので、心配して経過をみるより、生検を行うべきと考えます。(文責 徳田)

 

No.5779】  06年09月20日   T   
手術方法と再建の時期について

先日乳癌と診断されました。乳腺にそって広がっているため、直系3センチでステージ3か4と言われました。またリンパには転移は見られないが、念のためセンチネルリンパ節生検を行うという事でした。手術は乳頭から出血が数度あったため、乳頭を含めた1/4の切除という事でした。そこで質問です。
1) ステージ3か4なら全摘出の方が良いのではないでしょうか?
2) 温存手術だと術後の治療のため、妊娠できるまでしばらくかかるのでしょうか?
3) 再建は腹部以外からはできないと言われましたが、本当でしょうか?
4) また腹部から再建した場合でも妊娠に影響しない方法があると聞きましたが本当でしょうか?
5) 再建する時期については、同時か、術後転移の心配がなくなるまで待つか、どちらがいいのでしょうか?

以上、ご返信いただけると助かります。担当医にもお話しに行こうとは思っていますが、口数の少ない方で、術後の話は4,5日で退院できることぐらいしか聞いていません。10月上旬に手術の予定を入れているので、その前にしっかり理解して、いろいろ選択したいと思っています。ご返信、よろしくお願いいたします。

1) ステージ4というのは、遠隔臓器に転移があるような状況です。主治医に正しいステージをお聞きになってください。おそらく、あなたのステージは1あるいは2と考
えます。
2) 手術法は関係ありません。術後全身療法が必要かどうかによります。
3) バックや、背中の筋肉と脂肪、遊離脂肪組織など、いろいろは方法があります。
4) 妊娠出産は可能です。
5) 再建の時期は、予後には影響ありません。どちらでも可能です。(文責 徳田)

 

No.5778】  06年09月20日   S.M. 
補助療法について(HPNo.4712-3)

HPNo.4712で相談させて頂き、有難うございました。1月に温存手術を受けました(58才・閉経後)。充実線管癌、ER:−、PgR:− 、HER2:3+ 、MG3、センチネルリンパ節転移−で2ケ切除。切除の際、腫瘍際が残ったとの事で、放射線照射は30回・計60Gy受けました。その際主治医は「他の病院に行けば化学療法を薦められるでしょうが、私は3mmの腫瘍で再発は聞いたことが無いので様子を見ましょう。」との診断でした。先日(7/末)の採血・胸部X線・超音波 の結果は異常無しでした。現在も、乳房に少々の腫れと痛みがあり、術後何年かは続くものと覚悟していますが、このまま6〜12ヶ月の検診を続けるだけで良いのでしょうか? MG3は最も再発し易く悪性と聞きましたが、化学療法をしなくて大丈夫でしょうか? なるべく確率の低い事はしたくありませんが、私の場合の生存率、適した化学療法、又その必要性についてお教え頂きたく、よろしく御願い申し上げます。

HG3,HER2 3+ですが、腫瘍径が3mmであれば10年の生存率は、95%以上と考えます。したがって、化学療法は標準的ではありません。(文責 徳田)

 

No.5777】  06年09月20日   T子
足首関節痛について(HPNo.5461-3

アリミデックス服用時に腰痛がひどく、副作用かどうか分かりませんでしたが、いったん服用を中止したところ痛みは治まりました。その後アロマシンに変えていただきましたが、アリミデックス服用時からあった足首関節の違和感が次第に痛みに変わり、歩行も辛くなりました。9日よりアロマシンの服用を中止し、10日経ちます。痛みは回復してきていますが、違和感が残っています。アロマターゼ阻害剤による副作用で関節痛が出た場合、ホルモン剤をいったん中止するより、ホルモン剤を飲み続けながら鎮痛剤を服用する方が良いのでしょうか。次回の予約は来年3月ですが、鎮痛剤は乳腺外科で頂いた方が良いのでしょうか。

5年間服用する薬ですので、鎮痛剤を併用しながら続けるのは良くないと思います。むしろ、関節障害の少ないタモキシフェンに変更すべきと思います。(文責 徳田)

 

No.5776】  06年09月20日  N.T.
術後の再建タイミングについて

39歳です。06年8月28日に、多発性乳癌のため右乳房の乳腺全切除を行いました。T1N0M0の初期乳癌(センチネルは 0/4)で、ホルモン感受性ありでした。先日よりホルモン治療を開始しています。手術の傷はまだ痛く、リンパ液も減ってはきていますが、週に2回程度注射器にて吸い出しています。乳房再建を希望しているのですが、主治医は「傷が落ち着く1〜2年後に再建手術を行うのが良いでしょう」と言われます。私は1〜2年後ではなく、出来るだけ早い段階での再建を望んでいます。また、素人考えでは、同時再建する場合もあるのですから、早いタイミングで再建すれば皮膚をエクスパンダーで拡張せずに1回の手術で済むのではと考えます。術後早期に再建手術をするのはいけないのでしょうか? お教え下さい。よろしくお願い致します。

乳房再建は、左右のバランスをとるのが大事です。術後は、筋肉の萎縮などがあるため、それが落ち着く1年後以降に再建するのが標準的です。一期再建では、それをみこして大きめに作りますが、あとで修正が必要になります。(文責 徳田)

 

No.5775】  06年09月19日  Y.O. 
中国人女性が乳癌手術を日本で希望していますが、可能ですか?

はじめまして。中国東北部に住む45歳の女性ですが、医者から、「右胸に2個のしこりが有る。すぐ手術しなさい。」と言われたそうです。しかし、組織検査など他の検査も無く、手術してみれば内容が分かるので、すぐ準備しなさいということで、医療技術など不安が多く、日本で治療したいと希望していますが、可能でしょうか?。知人の私を通しての以来ですが、私には判断できませんので、よろしくお願いいたします。現在、乳核内消液という漢方薬を飲まされているそうです。どうかよろしくお願いいたします。

日本の健康保険が適応となる人ならば、日本での治療は可能だと思います。健康保険が使えずに全額自費で行う場合は、手術だけでもかなり高額になります。術式によっても異なりますが、乳房温存術+センチネルリンパ節生検で16万円、胸筋温存乳房切除術+腋窩リンパ節郭清で27万1千円となります。このほか検査料や入院費用などがかかるので、よほど裕福な家庭でなければ自費診療は難しいと思います。(文責 千島)

 

No.5774-1】  06年09月19日   IMN
補助療法再考

ご多用の折、申し訳ございません。ご助言を頂戴できましたら幸いです。
38歳、閉経前。DCISとの診断で、2004年3月に温存手術、5月に健側も含め全摘、再建、その後、hormonal治療を開始しました。2006年に患側に局所再発、再手術を受けました。主治医は前回手術の取り残しの可能性が高く、tamoをAIに変更するよう勧めてくださいましたが、chemoに切り替えるべきか、迷っております。以下は病理です。@が再発の検体、最初の手術検体に立ち戻るのはロジカルではございませんが、Aが1度目の病理です。Aについては、二つの医療機関の見解が若干分かれておりますので、両方記します。

@
検体:左乳腺(additional resection: 2.5×1×0.5cm, skin 2.5×1cm).
核異型スコア1、核分裂スコア1(1個/10HPF)、核グレード1、ER(Allred PS4 IS2 IS2 TS6 ) , PgR(Allred PS2 IS2 TS4)、HER2/neu : HercepTest (score 0 ;プレパラート#3,4 強陽性部0%, 中等度陽性部0%,弱陽性部0%)、ductal spread- , EIC- , daughter nodule- , comedo-, calcification-, lymphocyte infiltrate+, neuroendocrime markers: synaptophysin(-),chromogranin A (-).
#2-5の皮下脂肪組織から筋組織中に腫瘍を認めます。産生する粘液中に腺腔形成を示して浮遊する腫瘍で、mucinous carcinomaの所見です。検索範囲内で通常型のinvasive ductal carcinomaや乳管内病変は見られないことより、pure typeのmucinous carcinomaです。皮膚への浸潤は認めません。#2-5で深部断端にmucinous carcinomaが至近です。前回手術検体と同様の組織像で再発として矛盾しません。

A−1
再発の病理も腫瘍径:最大2.4x2x0.9cm(pT2)
DCISを含めた広がり:10x7x1cm
組織型:mucinous carcinoma,pure type,with extensive intraductal components
大小の粘液湖中に小腺管状、小乳頭状の腫瘍細胞巣が浮遊するpure typeのmucinous carcinomaを認める。最大の浸潤結節はA領域に存在し、2.4x2x0.9cm。その他の部分にmicinの漏出を認める。ACE領域の広い範囲に乳管内を主にcribriform patternで増生するDCISを認め、ごく一部で微小浸潤巣を認める。浸潤度:g(+),f(+)、核異型:score2、核分裂:score1(2個/10HPF),nuclear grade 1、extensive intraductal component:(++)、intraductal spread:(+++)、daughter nodule:(-)、リンパ管浸潤:ly3、静脈浸潤:v0、comedo pattern:(+)、calcification:(+)、周囲リンパ球浸潤:(+)、断端:(+, 1pointで深部断端にmucinous carcinomaを認める。3pointで深部断端にmucinous carcinomaが至近、2pointで深部断端にDCISが至近)
ER:(+),PGR:(++)、HER2/neu:HercepTest(score0)、リンパ節:Sentinel(1/1,15x10x6mm 8分割),levelT(0/10),levelU(0/1),total(1/12,pN1)、
Neuroenducrine marker:synaptophysin(-),chromograninA(+/-)
非腫瘍部の乳腺組織には、adenosis,fibroadenomatous lesion,アポクリン化生などによるmastopathyを認める。

A−2
Mucinous carcinoma,mixed type
Papillotubular carcinoma with mucinous invasionとすべきか否か、判断に迷う所見であるが、腫瘤を形成するような明確なmucinous invasionが大部分を占めることから、Mucinous carcinomaが適当と考える。さらにごくわずかながらinvasive ductal carcinomaが認められ(切片26のみ、範囲1mm径程度)、上記診断を考えたい。核異型度は中等度で、分裂像も中等度である。12,13,15,18,27,30,31,34,39では上記腫瘍細胞のリンパ管侵襲が見られるが、そのほとんどはMucinous carcinomaの成分と了解される細胞集塊からなる。明らかな血管侵潤は指摘できない。DCIS成分が7割、浸潤癌成分が3割程度(上記のごとく、そのほとんどはMucinous carcinoma)であり、EIC+と判断される。腫瘍細胞に関する免疫染色の結果は、HER-2 O,ER1+,PgR2+、synaptophysin陰性、chromogranin陰性である。

よろしくお願い申し上げます。

病理結果から推察するに、やはり初回手術時の断端からの再発を考えます。局所再発なので手術によって治癒している可能性もありますが、今回は筋肉内にも浸潤しているようなので全身転移に対する注意が必要だと思います。初回手術時の標本ではリンパ管侵襲が強く、リンパ節転移も陽性であったようなので、このときに術後化学療法を受けていないようならば、今回化学療法を追加しておくことも一つの選択肢だと思います。また、胸壁に対する放射線照射も選択肢の一つになると思います。タモキシフェンをアロマターゼ阻害剤へ変更するためには、血中エストラジオールやFSHを測って、卵巣機能が完全に抑制されていることを確認する必要があります。(文責 千島)

 

No.5774-2】  06年09月23日   IMN
補助療法再考(2)

ありがとうございます。確認をさせていただけましたら幸いでございます。ご趣旨は、chemo+radiation+hormonalでございますか? それとも、chemo or radiation or hormonalと考えてよろしいのでしょうか。この選択について、mucinousであるということが影響しないのでしょうか。それともinvasiveの可能性を考慮して判断すべきでしょうか。radiationについては、胸にシリコンを挿入しており、治療を受ける場合は、それを手術によって取り出さなくてはならず、大変難しい状況です。主治医は取りきったので必要ないとおっしゃいますが、万が一取り残しがあった場合、それをchemoやhormonalでたたくことは不可能なのでしょうか。AIについてですが、ゾラデックスの注射を行なっているとしても、卵巣機能の残存について調べる必要があるとお考えですか。2年間のhormonal後にchemoを行なう治療効果のデメリットはあるのでしょうか。お手数をおかけしますが、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

具体的な数値は記載されていませんが、今回の切除断端でも、筋組織内に浸潤した再発腫瘍が至近距離まで認めているので、局所に関しても再々発の可能性は否定できないと思います。局所コントロールを十分に行うという意味では、胸壁への放射線照射も選択肢の一つであると考えます。「そのためにはシリコンを取り出さなければならない」というのであれば、貴女が「治療と美容」のどちらを優先させるかに係ります。「至近距離」がどの程度なのか、局所再々発の危険は無いのかについて、主治医に確認してみてはいかがでしょうか。
ホルモン療法についてですが、貴女の場合は年齢も40歳前後なので、ゾラデックスを中止すると月経が再開する可能性が高いと思います。ゾラデックスによる閉経状態というのであれば、原則的にアロマターゼ阻害剤の適応にはなりません。もし、ゾラデックス+アロマターゼ阻害剤の併用を考えているのであれば、効果や長期毒性に関するデータは不十分です。また、全身再発の予防として化学療法を用いる場合、術後できるだけ早期に開始したほうが効果は高いといわれています。「2年間のホルモン療法後」に行う化学療法が、どの程度有効かについてのデータはありません。
全身治療で化学療法とホルモン療法をどのように用いるかは、今回の再発が「局所だけに限局したもの」と捉えるか、それとも「全身転移の一症状」と捉えるかによって換わってくると思います。主治医がそのことについてどのように考えているのか、もう一度良く相談してから治療を開始するようにしてください。(文責 千島)

 

No.5773-1】  06年09月19日   M 
しこりと痛みについて

私は現在24歳で、1歳10ヶ月の子供がいます。先日、子供が私の胸あたりに抱きついてきて、痛みを感じました。自分で触ってみると、左胸の内側に小さなしこりを見つけました。心配になり、すぐに病院に行ったのですが、触診で確かにしこりは確認できると言われたものの、エコーでは何も写らなかったようで、「何の病気も疑えない」と言われてしまいました。でも触ると痛みがあり、しこりが確かにあるので、安心できず、別の病院に行きました。その病院では触診、マンモグラフィー、エコーをやってもらいましたが、「今のところ何の異常もないようですが、痛みが増したとか、しこりが大きくなったと思ったときは来てください」とのことで、何となく安心できないまま、過ごしていましたが、ある日、しこりが急に痛くなってきたので、病院で、触診、エコーをやってもらいました。前回行った時とは別の先生だったのですが、その先生も、エコーではなかなか写らないのか何回も確かめていました。そして、言われたのが、「99%乳がんではないと思います」とのことでした。エコーの写真も見せてもらいましたが、まったくしこり部分がどこなのか分からない感じでした。黒く丸く写ったりするのかなと思っていたのですが、「ここがしこりのところだよ」と先生が指したところは白く、境目が全く分かりませんでした。先生の言う話では、「脂肪が炎症を起こしてるんじゃないかな」とのことで、99%ガンではないと言われ少し安心したのですが、病名を言われたわけでもなく、不安が残ります。「だからといって、100%ガンではないとは言えないので、3ヶ月後また来てください」と経過を見るように言われました。そして最近気づいたのが、生理前、生理中にしこりが痛むこと。生理が終われば痛みがほとんどなくなることです。あと、最近そのしこりがある方の乳首から、つまむと白っぽい液体がほんの少し出るのですが大丈夫でしょうか・・・? 母乳は子供が生まれて3ヶ月で出なくなったので、もう1年と7ヶ月出ていないはずなんですが・・・。しこりの感じは平べったく、コロコロ動いているのかは分かりません。

典型的な乳腺症の所見です。生理前には体内のホルモンバランスで乳腺にうっ血(充血)が起こり、しこり様に触れて圧痛を伴うことがあります。性周期に伴って、しこりや痛みが悪化したり軽快したりを繰り返すようならば、いよいよ乳腺症の可能性が高いと思います。乳腺症は「病気」というよりは、むしろ「体質」に近い状態なので、あまり心配する必要はありません。乳頭分泌物に関しても、赤〜黒っぽい血液を含んでいるような場合には、精密検査が必要になりますが、白〜透明の分泌物であれば乳癌の心配はないので安心してください。念のため3ヵ月後の診察のときに、分泌物についても主治医に相談してみてください。(文責 千島)

 

No.5773-2】  06年10月21日   M 
エコーの見え方

先日質問させていただいたHPNo.5773です。あれから3ヵ月後に病院に行き、また触診、エコーをしてもらいました。前回の診断としては「脂肪の炎症」だったようなのですが、脂肪の炎症だとすると3ヶ月後にはしこりが消えているはずだったらしく、脂肪の炎症ではなかったようだと言われました。そして前回白っぽく見えていたエコーの画像が前とは見え方が変わり、少し黒っぽく見えると言われ不安になっています。黒く見えると何か悪いものなのでしょうか? そして結局は、また3ヶ月経過を見るようにとのことでした。生理前にしこりが大きくなり、かなり痛むことを話したのですが、そんなのはあまり聞いたことがないと言われ、乳腺症の典型的な症状だと思っていたのに、そう言われ不安です。乳腺専門の外科に行った方がいいのでしょうか。あと、脇の下が少しチクッと痛むことがあるのですが、乳腺症の場合でも痛むことはありますか?

実際に診察しないと分かりませんが、やはり乳腺症でよいのではないかと思います。脇の下が痛むこともよくあります。経過を見てまた受診してください。(文責 吉田)

 

 

No.5772-1】  06年09月19日   S 
術後の補助療法について

32歳、子ども2人。8月7日に乳癌の全摘手術をうけました。病理の結果、レベルUb、腫瘍5.1p(ただし一つ一つは1p程度)、リンパ転移0/20、悪性度3、乳頭腺管癌、ホルモンは両方10%陽性、ハーツー陽性、断片陰性、血液1、リンパ1。主治医はAC療法プラスホルモン療法とのことで、今ACを始めています。
1) リンパに転移がないことが奇跡なほど、他はすべて予後が悪い結果となりました。中リスクの因子が全部あてはまります。特に、ハーツー陽性がショック。進行がはやいんですよね。再発のリスクを教えてください。これでも10年再発しない人もいますか? 人それぞれだと思いますが。
2) 腫瘍が大きいと放射腺が適用になるという記述がありましたが、主治医は、「断片陰性だからありえない」といいます。再発予防になるなら受けたいのですが・・・。標準治療にはなっているように思うのですが、化学療法で他に追加できるものはありますか?
3) ACの途中で生理が始まりました。治療の影響はありますか?
4) ホルモンが弱いとのこと。主治医は副作用が強かったらやめてもいい、といいます。やった場合とやめてしまった場合の再発のリスクの差はどのくらいでしょうか? (なにをどのくらいやるかしっかり確認してからのほうがいいですね。)

以上です。よろしくお願いします。

1) 腫瘍径の「一つ一つは1p程度」の意味が良くわからないのですが、広い範囲の非浸潤癌に1cm程度の浸潤癌が多発していたと考えて再発率を算出することにしました。貴女の場合、今後10年間での乳癌の再発率は30%程度となります。現在受けているAC療法が終了した時点で20%程度まで減少します。
2) 乳房を全切除したのであれば、リンパ節転移も無いことから放射線治療の適応にはなりません。化学療法の追加としてはタキサン系抗癌剤を追加する場合もありますが、現状ではリンパ節転移陰性例に対するタキサン系抗癌剤効果は明らかではありません。
3) 月経が始まっても化学療法へ悪影響を与えることはないので安心してください。
4) ホルモンレセプターの陽性率が10%であるならば、ホルモン治療の効果はあまり期待できないと思います。(文責 千島)

 

No.5772-2】  06年09月24日   S 
術後の補助療法について(2)

お忙しい中、丁寧な回答、ありがとうございました。HPNo.5772です。再度質問があります。よろしくお願いします。
1) 「ハーツーが陽性」というところで、やはり気になります。ハーセプチンは再発時の薬という主治医の話ですが、ハーセプチンを初発で使用している病院もあるのでしょうか? 再発率を下げるとはいえ、目に見えない癌に対しての使用は難しいのですか? 使い始めると、ずっと続けるものなんでしょうか? ハーツーが陽性だと、抗ガン剤もホルモン療法もあまり効果がないという記述がありました。だとすると、再発率はあがるものなんでしょうか?
2) 化学療法の途中で風邪を引いてしまいました。口内炎ができてしまい、つらいです。白血球があがれば治りますか? 効果的な対処方法があれば教えてください。もし、次回投与日までに白血球があがらなければ、延期になりますか? その場合、抗ガン剤の効果は薄れてしまうのでしょうか?
3) ACの3週ごとの4クールと、4週ごとの6クールの差はなんでしょうか。量も違うのですか? 4クールというのが少ないのでは?と心配です。

以上です。お忙しい中、申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

1) 日本では、再発防止の目的での使用は、まだ認められていませんが、効果があるとの根拠が示されており、使用している病院もあります。1年間の投与です。HER2陽性は、予後不良因子の一つですから、そうでない場合に比べて再発率はあがります。
2) 白血球があがると治る場合が多いです。口内炎の治療薬がありますので、主治医に相談してください。白血球が上がらなければ延期になります。効果は下がりますが、予防治療ですから、危険を冒すことはありません。
3) 薬剤の投与量により単位時間あたりの量が変わってきますので、一概には比較できません。(文責 徳田)

 

No.5771】  06年09月19日   K 
手術の傷跡

以前、こちらで乳管内乳頭腫の疑いがあるということで相談させていただいたものです。8月に手術を受けてきました。腫瘍だけをとるのではなく、その腺を摘出しますという話でした。検査の結果も悪性ではありませんでした。ただ気になるのは傷跡です。術後1ヶ月たつのですが、0.5センチくらいのかさぶたが残っています。素人の勝手なイメージだと、手術の傷跡にかさぶたというのはなかったので、不安でしかたありません。傷がのこってしまうのではないかと・・・。お忙しい中申し訳ありませんが、相談にのっていただけると助かります。よろしくおねがいします。

傷の治り方によっては「かさぶた」が出来ることもあります。将来、創部に瘢痕が残るかどうかは診察してみないとわかりません。気になるようでしたら、一度手術していただいた先生に診察してもらうようにしてください。(文責 千島)

 

No.5770】  06年09月19日   KK
術後の補助療法について

はじめての質問です。51歳、長野県在住の主婦です。異時両側乳がんです。2001年左乳癌、全摘手術、病理は、ER(-)、PgR(-)、リンパ節転移0、Her2(-)グレード3、腫瘍2センチでした。術後フルツロン2年、ノルバデックス5年服用。ホルモンレセプターが共にマイナスだとわかったのは、病院を変えて調べていただいてからでした。前回と別の病院で今年8月2日右乳癌、乳房温存手術+センチネルリンパ節生検をしました。病理は、ER(-)、PgR(-)、リンパ節転移0、Her2(-)、グレード2、腫瘍1.2×1.2×1.2。術後すぐ化学療法を勧められたのですが、迷いがあったので、先に放射線照射を今週9月11日から25回の予定で始めました。閉経後です。今後の補助療法の選択で悩んでいます。主治医からはFEC4コースまたはUFT2年服用のどちらかを選択しなさいと言われました。先日東京の先生のセカンドオピニオンでは、AC4コースを勧められました。私としては、できれば脱毛を避けたく、作用の強くないものを希望しているのですが、なるべく再発をおさえるために有効なものをやりたいとも考えています。どのような治療がいいか、ご指導ください。
1) 私のようなリスクの場合、どのような補助療法の選択肢があると考えられますか? 先生のお勧めがあれば教えてください。
2) UFTは2004年6月(?)に有効の論文が出たと主治医はおっしゃったのですが、どのくらいの信頼度があるのでしょうか?
3) FECとACの違いはどこから来るのでしょうか?
4) FECとACは、どちらが有効でしょうか?
5) FECとACは、どちらが副作用が強いでしょうか?
6) 何もしない場合の再発率、FEC、AC、UFTをした場合の再発率がわかれば、教えてください。

主治医にはなかなか聞きにくいので、どうぞよろしくお願いします。

HER2が陰性であるので、どうしても脱毛を避けたいというのであれば、CMF療法(6回)という選択肢もあります。脱毛の程度に個人差はありますが、ACやFEC療法のような完全脱毛にはならないと思います。また、再発予防効果はAC療法(4回)と同等と考えられています。UFTに関しては、確かに日本からは有効性を示すデータが出ているのですが、CMF、ACなどのように複数の信頼できるデータが揃っていないため、欧米ではあまり使われていません。FEC(4回)というのは、あまり一般的な術後化学療法ではありません。FECに含まれてACに含まれないのは5FUという抗癌剤です。FECとACを直接比較したデータがないので、5FUの追加効果については判定が難しいところです。その他、治療効果に大きく影響する因子としては、メニューに含まれるE(エピルビシンという抗癌剤)の濃度であると言われています。副作用についても同じような因子が絡んでくるので、一概にどちらが強いとは言い切れません。貴女の乳癌について、10年以内の再発率を米国で提供されているソフトで計算すると以下のようになります。左の乳癌に関しては無治療として計算しました。
 

  無治療 AC(4回) FEC(高濃度で6回)
30%    
27%  19% 16%

            
どの治療法を選択するかについては、もう一度主治医と相談して決めるようにしてください。私たちがここで回答している内容は、あくまで参考事項でしかありません。実際に治療を担当する主治医とのコミュニケーションが、貴女にとって一番大切であることを忘れないようにしてください。(文責 千島)

 

No.5769】  06年09月19日   A.F.
しこりについて

10日前、母が早期乳がんと診断されました。その後しこりが気になり何度も触り、大きくなったかもというのですが、触らないほうがいいですか? それから進行はどれくらいするものですか?

乳がんが見つかったら、「しこり」はあまり触らないほうが良いと思います。強く触っていると炎症を起こしたり、がん細胞がリンパ管に入りやすくなったりする可能性があります。10日間で乳がんが急激に進行することはないので安心してください。(文責 千島)

 

No.5768】  06年09月19日   M.S
内視鏡補助手術(HPNo.5692-4)

来週中に一度セカンドオピニオンを伺いに行きたいのですが、都内か神奈川県で積極的に内視鏡補助手術をしてくださるところをいくつか教えていただけませんか。
あともう一点、MRIの結果、腫瘍の大きさが1.2x1.5 という結果がでました。この大きさでも内視鏡手術が可能でしょうか? 当初、超音波検査のときは7ミリに満たないということでしたのに、MRIでいきなり倍の大きさになるものでしょうか? その上、看護士には「非浸潤ガン」で 主治医からは「ステージ1」と言われており、混乱しております。この二つは両立するのですか? 私の調べたところでは「非浸潤ガン」はステージ0だと思っておりました。申し訳ありませんが、手術を控え、まだ十分な納得ができず動揺しています。お力をお借りできれば幸いです。

乳がんの内視鏡手術を行う主な機関は以下の通りです。

亀田メディカルセンター(千葉県鴨川市)(電)0470・92・2211
駿河台日大病院(東京都千代田区)(電)03・3293・1711
東京医科歯科大(東京都文京区)(電)03・3813・6111
加藤乳腺クリニック(滋賀県草津市)(電)077・566・7808
京都府立医大(京都市)(電)075・251・5111
大阪大(大阪府吹田市)(電)06・6879・5111
広島市民病院(広島市)(電)082・221・2291
川崎医大(岡山県倉敷市)(電)086・462・1111
山口大(山口県宇部市)(電)0836・22・2111
徳島大(徳島市)(電)088・631・3111
鳥取大(鳥取県米子市)(電)0859・34・8174
九州中央病院(福岡市)(電)092・541・4936

貴女の乳がんが内視鏡手術の適応になるか、どの程度の変形が生じるかについては、執刀医によっても多少異なると思いますので、セカンドオピニオンのときに聞いてみることをお勧めします。もし、貴女のがん全体が非浸潤癌であれば病期0、一部に浸潤癌があれば病期Tということになります。(文責 千島)

 

No.5767】  06年09月19日   K
抗がん剤治療について

初めてメールいたします。29歳、未婚。8月の終わりに乳がんの温存手術を受けました。10月から術後療法を受けることになっています。「ステージUA、大きさ2.2cm×1.1cm、リンパ管侵襲あり、リンパ節転移なし、grade2、ER(+)、PgR(+)、HER2(2+)」です。リスク因子が多いので、抗がん剤+ホルモン療法をしたいと考えていますが、抗がん剤による卵巣機能障害(不妊になるのではないか)を心配しています。主治医の先生からは、CMF+パクリタキセル(+タモキシフェン+リュープリン)またはAC+パクリタキセル(+タモキシフェン+リュープリン)を提案されていますが、どちらを選ぶべきか大変悩んでいます。
1) 上記の療法で私ぐらいの年代での卵巣機能障害がおこる確率のデータはありますか。また、どのくらいの確率でおこると言われていますか。
2) 他の抗がん剤の組み合わせではどうでしょうか。
3) 本やインターネットで調べても、この副作用については簡単にしか書かれていませんが、それほど神経質になる必要はないのでしょうか。

お忙しいところ申し訳ございませんが、よろしくお願いします。

20歳代に化学療法を施行した場合、一時的に月経が停止することはあっても、完全閉経になる可能性は低いと思います。比較的閉経を起こしやすいと言われている治療はCMF療法となります。30歳未満の方でCMF療法(6回)を受けると20%程度で月経が停止するとの報告があります。一方、AC療法(4回)で完全閉経する可能性はほとんどありません。パクリタキセルに関しては十分なデータがないのですが、40歳未満でAC+パクリタキセル療法を受けた場合、14〜33%程度に月経停止が起こると報告されています。卵巣機能障害を防ぐために、リュープリンを化学療法開始前から投与するという医学研究も行われていますが、化学療法の効果に与える影響や卵巣保護効果についての結果は判っていません。若年者乳がんでは再発予防効果と妊孕性(妊娠能力)維持のバランスが重要だと思います。もう一度主治医の先生とよく相談してから治療法を選択するようにしてください。(文責 千島)

 

No.5766-1】  06年09月19日    M.T
非浸潤性乳管癌について

マンモトーム生検で「非浸潤性乳管癌」と診断され、手術のために、MRIやCTを受けました。その結果、マンモグラフィには微細石灰化の残りとクリップが、超音波には微細石灰化と近いと思われる部分に腫瘤が、CTにも病変と思われる腫瘤が写りました。MRIでは病変がよくわからなかったそうです。MRIに病変が写らないこともありますか?また、超音波ではクリップは写らないものなのでしょうか?教えていただけますよう、お願いいたします。腫瘤部分は別の癌で、浸潤していることもあるのではと覚悟をしています。

通常、MRIは腫瘤描出感度が高いと考えられていますが、乳房撮影用の装置(表面コイル)によってはMRI画質が低下するため、小さな病変を描出できなくなることもあります。その場合はヘリカルCTなどの3次元画像で代用することもあります。マンモトームのときに残してきたクリップは超音波でも確認できると思います。(文責 千島)

 

No.5766-2】  06年09月28日    M.T
術後の放射線治療について

HPNo.5766では大変お世話になりありがとうございました。微細石灰化をマンモトームで調べ、非浸潤性乳管がんと診断を受けている段階なので、術後の病理を見ないと詳しいことはわからないことは承知しているのですが、術後の放射線治療の有無について教えてください。乳房温存手術を受けます。A病院では放射線治療はないかもしれないと言われ、B病院では放射線治療はすると言われています。どんな条件のときに放射線治療はカットされるのでしょうか? また、ホルモン療法の有無の条件も教えていただけると助かります。

非浸潤性乳管癌は非常に早期の乳癌であり、取りきれれば完治する可能性の高い癌ですが、一方で乳管に沿って乳房内の広範囲に進展することがあり、乳房温存手術の場合に注意が必要です。非浸潤性乳管癌に対して乳房温存手術を施行した場合、放射線照射をしないと約20%の局所再発率があり、照射により再発率が低くなることは間違いありません。手術摘出標本の詳細な病理検索により断端がしっかりとりきれていれば照射省略も可能かも知れませんが、基本的には照射することをお勧めします。タモキシフェン投与によるホルモン療法は非浸潤性乳管癌術後の局所再発、対側乳房の乳癌発生を抑える効果があると考えられ、ホルモン感受性であれば施行をお勧めします。(文責 浜口)

 

No.5765-1】  06年09月18日    S.Y.
石灰化・非浸潤ガンなのですが・・・

乳がんで調べておりましたら、こちらのHPに辿りつきました。よろしくお願い致します。
昨年夏のマンモグラフィーによる検診で要精密検査と出ました。二ヶ所の乳腺外科で受診しましたが、左胸に石灰化の粒が一粒写っていただけで、超音波でもなにも発見できず、お二人の先生とも「これは気にしなくていいです」と言われました。その後9月上旬に1年ぶりに健康診断のつもりで診察を受け、マンモグラフィーに散らばる石灰化粒が発見されました。超音波では何も写らず、針細胞診を受け、MRIをいたしました。その後8本取った針細胞診の一本からがん細胞が見つかり、12日に乳がんとの診断を受けました。昨年のことがあり、乳がんに関する知識もひと通りあったので、やっぱりと言う感じで、淡々と受け止める事が出来ました。結果、先生には左の全摘(乳首は残る)を勧められております。月末には手術可能な状態です。全摘の理由としては、1年間で派手に石灰化が広まった事、現段階なら非浸潤タイプのがんなので、全摘で根治まで持っていけるとの事でした。また、右にもMRIで怪しい部分が有るとの事、こちらは要観察になりました。「手術中にセンチネルリンパ節生検を行い、その反応で郭清の有無を決める。術後の治療に関しては、患部を詳しく病理で検査してから決める。」という事です。私はテニスの草トーナメントプレーヤーで、月間で4〜5試合出場しております。もちろんプロではありませんが、術後もなるべく早く復帰したいと思っております。テニスでは、サーブの際のトスの時に左腕を高く上げるので、リンパ郭清は大事なことになってまいります。先生は、「リハビリ次第で腕は上げられるようになるから心配ない」とおっしゃいます。乳房再建に関しても、「今後もスポーツをするなら、筋肉を傷つけたくないので、2年後に人工物での再建を勧めます」と言われています。私のような石灰化、非浸潤タイプの場合、全摘は当り前なのでしょうか。石灰化の範囲にもよるのではないかと思いますが、温存しても下3分の1とおっしゃっています。温存後の転移のリスクを考えると、やはり全摘とのことです。また、乳がんの手術後、テニスはできるようになりますでしょうか。術後どのくらいで始められますでしょうか。
46歳夫有り、20歳長女、15歳次女有りです。診断は夫と長女で受けました。次女にはまだ何も話しておりません。この二人は来年夏より、それぞれUKとUSに留学が決まっております。彼女達のためにも、早く治療方針をはっきりさせなければと思っております。現在ハッキリしている情報のみを書きました。セカンドオピニオンも考えております。どうぞよろしくお願い致します。

マンモグラフィとMRIの所見を見ないと、温存術が出来るか否かの判断は難しいのですが、「広い範囲にわたる石灰化」ということであれば、乳腺全摘±乳房再建というのが標準的な選択だと思います。非浸潤癌の範囲が5cmを超える場合や、マンモグラフィで壊死型石灰化を認める場合は、微小浸潤癌が隠れている可能性もあるので、センチネルリンパ節生検を行うことが推奨されています。センチネルリンパ節生検だけで郭清を行わない場合は、リンパ浮腫などの合併症の確率は低下します。乳腺全摘であれば手術後に前胸部違和感が残りますが、数週間から数ヶ月で症状は軽快してきます。どの程度の「テニスの質」を期待するかにもよりますが、リハビリテーションで腕が挙上できればテニスのプレーは再開できると思います。いずれにしても、セカンドオピニオンを聞いて、自分が納得できる手術術式を選択するのが良いと思います。(文責 千島)
 

No.5765-2】  06年11月19日    S.Y.
術後無治療

HPNo.5765で質問させていただきましたが、その後10月13日オペにより一部組織採取とセンチネルリンパ節生検、その結果リンパ転移は無し、非浸潤ガンが見られるとの事で、10月27日左乳房単純切除術を受けました。11月14日に病理結果が出て、0期の非浸潤ガンのみ約6pの病巣との事でしたが、「病巣は取りきった。非浸潤ガンのみだったために、転移・局所再発の可能性は考えなくてもいいでしょう。」と言われ、術後治療は一切無し、今後は3ヶ月後の検査。乳房再建は半年後以降に考えましょうとのことでした。主治医は非浸潤ガンの初期とのことで、最初から術後治療は無しの可能性をおっしゃっていました。実際術後治療が無い人と言うのはあまり聞きませんが、割合的には結構いらっしゃるものなのでしょうか? 

日本における非浸潤癌は、非浸潤性乳管癌と非浸潤性小葉癌をあわせて7%前後というところだと思います。また、浸潤癌の中にも、リスク分類でLow risk であれば無治療という選択肢があるグループもあります。(文責 片山)

 

No.5764】  06年09月18日    R.I
抗がん剤の副作用について(HPNo.5492-3)

HPNo.5492で妻の乳がんについて相談したものです。フランス在住です。またご相談したくMailしました。宜しくお願いします。現在、術前化学療法を実施し、4回目が終了しました。Epirubicine(140mg) Cyclophsphamide(1300mg) 体表面積1.78m 2、3週おき投与。次回からTaxotereを4回にわたり投与予定です。Taxotereの主な副作用を教えてください。
1) マニキュアを塗るように指示を受けたのですが、爪が悪くなるのですか?
2) 投与前にSolupredとAZANTACを飲むように指示を受けました? はれ防止の薬のようですが、どのような目的で飲むのでしょうか? 筋肉についての症状を言われたのですが、フランス語で十分理解できませんでした。
3) その他、主な副作用について教えてください。
4) 日本では80mg/mが投与上限と聞いていますが、海外では100mg/mと聞きました。副作用が強く発生する確率が高くなるのでしょうか?
5) Taxotereと一緒にHerceptinを使用する予定でしたが、HER2陰性のため使用しないことになりました。HER2というホルモン受容体は何の指標なのでしょうか?「陰性なので薬の必要がない」なら良いのですが、「陰性のため薬が効かない」のであれば、ほかの方法を探す必要があるかと思いますが、いかがでしょうか?

長くなりましたが、宜しくアドバイス願います。

1) 現時点ですでに爪が褐色に変わっているかもしれませんが、タキソテールを使うと更に爪の変色・変形が強くなり、ひどい場合は爪が抜けてしまうこともあります。爪の変色が気になるようならば、マニュキアでカバーすることもあります。
2) SolupredとAZANTACはフランスで発売されている商品名のようです。日本の薬では、Solupredはステロイドホルモン剤(プレドニン)、AZANTACはH2ブロッカー(ザンタック)に相当するようです。いずれもタキソテールによるアレルギー反応を予防するために投与される薬と考えられます。
3) 患者さん本人にとって辛い副作用は、脱毛、全身倦怠感、むくみ、味覚異常、手指のしびれ感、爪の変形、口内炎などです。医学的には白血球減少とそれに伴う発熱(肺炎、扁桃炎など)に十分気をつける必要があります。
4) 確かに副作用はかなり強く出ることが予想されます。ただし、80mg/m2に比べて100mg/m2のほうが治療効果も高い可能性があります。日本でも一部の施設で100mg/m2の投与が行われるようになってきました。
5) HER2はホルモン受容体ではありません。血中の細胞増殖因子に対する受容体です。HER2が発現している乳癌は、一般に悪性度が高いと考えられています。HER2レセプターが陰性の乳癌に対してHerceptinを投与しても効果は期待できません。もし奥様の乳癌でホルモン受容体が陽性の場合は、化学療法終了後にホルモン治療を追加します。(文責 千島)

 

No.5763-1】  06年09月18日    Y.Y.
術後のホルモン療法について

初めてご相談します。私は44歳、未婚です。今年の春頃に右乳房下側に固いものを感じ、外科を受診しました。細胞診の結果、乳ガンと診断され、6月15日に全摘手術を受けました。病理組織検査の結果は、乳ガンの大きさは3p+α、リンパ節転移は5/13、リスク分類はHighリスク、ホルモン感受性+、現在は抗ガン剤治療をしています。CEF療法で、6クール中4回目が終了しました。副作用は白血球の減少と脱毛が主です。抗ガン剤治療後はホルモン治療を予定しています。ホルモン治療の詳しい内容は聞いていないのですが、私の場合どんな治療が効果的なのでしょうか? また、私の生存率はどの位なのでしょうか? 主治医にはステージU期Bと言われていますが・・・。私の主治医には「何でも不安な事は聞いて下さい。」と言われており、信頼していますが、地方の病院なので中央の医療よりは遅れているのかな・・・と少し不安なのです。よろしくお願いいたします。

抗癌剤で月経が止まった場合、タモキシフェンというホルモン剤を5年間内服します。月経が残っているときにはタモキシフェンに加えて注射剤(ゾラデックス、リュープリンなど)を追加する場合もあります。月経が止まったまま2〜3年経過した場合、タモキシフェンをアロマターゼ阻害剤(アリミデックス、フェマーラ、アロマシン)へ変更する場合もあります。現在、貴女の受けている治療が「中央」から遅れているものではないので安心してください。貴女の主治医は「何でも不安な事は聞いて下さい」とおっしゃってくださっているようなので、この先生を信頼して治療していけば問題ないと思います。乳がんの治療で大切なことは、「地方か中央か」の問題ではなく、「主治医と信頼関係が築けるかどうか」が問題となります。これからも頑張って治療を進めてください。(文責 千島)

 

No.5763-2】  06年11月19日    Y.Y.
今後の治療について

先日はありがとうございました。さて、10月末でCEF療法6クールが終了し、白血球の数値が安定したのでホルモン療法が始まりました。毎日タスオミン錠20mgを1錠、5年間服用します。その間、定期的に血液検査・CT・骨シンチ検査をするそうです。化学療法に比べたら気持ちの上で楽なのですが、毎日1錠の薬で「大丈夫なのかな?」と少し不安もあります(私はHighリスクの癌だったので)。前回も質問いたしましたが、私の生存率はどのくらいなのでしょう? また再発の可能性はどのくらいなのでしょうか? よろしくお願いいたします。

StageUの乳癌症例の5年生存率はおおむね80%前後と考えられます。さまざまな臨床研究から、そこにCMFという化学療法を行うと再発を24%くらい減らしてくれる(つまり20%くらい再発するところを、その1/4の5%減らし、5年生存率を85%くらいに持ち上げてくれる)とされ、あなたが受けたようなアントラサイクリン系の薬剤を用いた化学療法を行うと、さらに12-3%再発を減ずる(つまり残った15%の12-3%で1.8%くらい再発を減らし、5年生存率を86-87%くらいにしてくれる)と考えます。(文責 片山)

 

No.5763-3】  07年03月08日    Y.Y.
リンパ浮腫について

5763・6052でご回答をいただきました。昨年10月末にCEF療法が終了し、11月末からタスオミン錠20mgを毎日1錠ずつ服用しています。昨年末の血液検査で、「腫瘍マーカー・腎機能・肝機能」正常でしたが、ここ2〜3日手術した右側の腕がだるく、右胸の(全摘していますが)感覚が変なのです。麻痺している感じが強くなったような気がします。右側の肋骨下部も痛いのです(腕を伸ばした時に、引きつるような痛み)。リンパ浮腫の可能性があるでしょうか? 最近、新聞でリンパ浮腫の記事を読んだので気になりました。それとも骨転移の可能性があるのでしょうか? よろしくお願いいたします。

リンパ浮腫は腕や上肢が太くなってきますが、そのような事はありますか? 骨転移については可能性がないとは言えませんので、主治医にご相談し、骨シンチ・CT・MRI等の検査をした方がよいと思います。不安を解消する為にも、早めに主治医の診察を受けることをお勧めいたします。(文責 須田)

 

No.5763-4】  07年03月18日    Y.Y.
癌の悪性度について

先日は、ご回答ありがとうございました(6419 6052 5763)。肋骨下部の痛みは、やはり心配で診察を受けました。特に異常はなく、痛み止めの湿布を何日か使い、痛みも無くなってきました。今回は、私の病理組織診断名についてお伺いいたします。今まで、あまり気にしていなかったのですが、生命保険用の診断書を見ましたら、病理組織診断名が「硬癌」とありました。「硬癌」とはどういうものなのでしょう?悪性度が高いのでしょうか? 悪性度が高いと、再発・転移の可能性は確率が高いのでしょうか? あの辛い抗ガン剤治療を二度と受けたくないのです。よろしくお願いいたします。

一般に乳癌で最も多い組織型が硬癌と言われています。胃癌の硬癌に比べると再発しやすいということはありません。ただし他の乳頭腺管癌や充実腺管癌に比べると少し再発の可能性が高いと言われていますが、リンパ節転移陽性などのリスクの方が非常に高くなります。(文責 石山)

 

No.5763-5】  08年09月03日    Y.Y.
ホルモン療法の副作用でしょうか?

いつも、参考にさせて頂いています。今回で5回目のご相談です。
2006年6月15日右側全摘手術を受け、抗ガン剤CFFを6クール後、現在タスオミン錠20mgを毎日1錠服用しています。生理は2006年7月の抗ガン剤投与時から一度もありません。不正出血等も全くありません。年に一度のCT及び骨シンチでは、再発・転移はありませんでした。体調もいたって良いのですが、先日職場で受けた健康診断で「中性脂肪」の数値がホルモン療法を受ける前より、約3倍になっていたのです(88→248)。体重も増加しています。これも、ホルモン療法の副作用でしょうか? タスオミン錠の服用は、あと3年です。よろしくお願いいたします。

添付文書によれば、頻度は少ない(先発品のノルバデックスで0.1%未満)ですが、副作用として高トリグリセライド血症があり、その可能性はあると思います。(文責 片山)

 

No.5762-1】  06年09月18日    Y.A.
ステージWの乳癌

このような相談メールはこの場にしてよいのかどうかわかりませんが、投稿させていただきました。先日末、乳癌の告知を受けました。しこりには昨年から気づいておりましたが、まさかと思いつつ、なかなか決心がつかず、放置した結果が、乳癌 ステージW リンパ節はもちろん肺転移も多数あり・・・。血液、骨シンチの結果はまだですが、これから抗がん剤治療に入ります。進行がんの場合、ネットでもいろいろな本でも調べましたが、生存率、延命という言葉しかありません。希望や可能性は全くないのでしょうか。年齢は28です。よろしくお願いいたします。

年齢もお若いですし、これから乳がん治療を始めなくてはならない心労をお察しいたします。でも貴女の場合は、今までいくつもの治療を重ねて転移が残っているという状態ではなく、新たに発見された「未治療の乳がん」なので、これから行う抗がん剤やホルモン剤にもよく反応するものと思います。画像に写っているがんが消失する可能性も十分に考えられます。仮にがんが消失しなかった場合でも、大きくさえならなければ治療効果があると考えられます。別に体の中にがん細胞が残っていても、がん細胞自体が毒素を出すわけではないので、がんが大きくなって肺などの機能を悪化させない限り、日常生活に影響はありません。乳がんの治療は急激に進歩しています。実はここ15年位で、10種類以上の乳がん治療薬が開発されてきています。最近は、今までの抗がん剤とは全く異なる作用機序を持つ薬が、次々と臨床の場で試されるようになってきています。近い将来、貴女のがんを根治できる新しい薬と出合う可能性も十分にあると思います。乳がんは急激に悪化することは少ない病気ですが、その分治療期間が長くなります。乳がん治療に臨むにあたって重要なことは、貴女が一人で乳がんと戦う必要はないということです。治療法やそれに伴う弊害については、医師、看護師などの医療者がいつでも貴女の相談に乗ってくれるはずです。また、生活面では家族、友人などが支えてくれるのではないでしょうか。一人で頑張りすぎると疲れてしまい、良い考えも浮かんできません。困ったとき、悩んだときには医師、看護師、家族に相談するように心掛けましょう。必要であれば、いつでもこのホームページに相談してください。多少なりともお力になれることと思います。(文責 千島)

 

No.5762-2】  06年12月11日    Y.A.
今後について

以前にもこちらに相談させていただきました(HPNo.5762)。今回は今後の治療について意見をいただきたく、メール致しました。肺転移、リンパにも広く転移、胸骨にも疑いありの状況により、抗がん剤とホルモン療法の併用になりました。これまでにCEF療法3クールにゾラ3回受けています。薬で肝機能数値が上がるために、エンドキサンは様子をみながら処方され、ノルバも3週間ほど服用し、現在は中止しています。結果、3クール目を終えて、しこりは当初12センチもあったものが、なんとか7.5センチになりました。もう1クール行う予定です。ただ、今の薬ではここまでが限界ではないかという判断がありました。今週受けるCTの結果次第では、手術も可能になると思われるということで、選択が2つあると聞きました。4クール目のあと手術をするか、ただ皮膚移植が必要になる。もしくは、薬を変えてもう4クールして様子を見て、しこりの縮小があれば皮膚移植はしなくてすむ可能性もある。まだCTの結果次第ですが、この選択はどちらが懸命だと思われますか? 正直移植は避けたい気持ちがありますが、薬を変えて効果がみられなかった場合のことを考えると、決断できません。長々とすいませんが、ご意見をいただければ幸いです。よろしくお願いします。

手術をする目的は何でしょうか? 本当に今手術が必要でしょうか? 肺やリンパ節にあるガンはどうなったのでしょうか? 転移のあるガンの治療の基本方針は、“如何にガンと共存しながら、QOLを維持しつつ延命すること”だと言われています。今手術する理由があるとすれば、貴女にとって、しこりがあることがとても気になってしょうがない(精神的なQOLの低下を招いている)ので、是非とって欲しいと言った場合だけだと思います。私は、もう少ししっかり全身治療をするべきだと思います。肺転移等の状況、病理結果等が判らないのですが、可能であれば、内分泌療法と化学療法は分けて行うことをお勧めします。(文責 清水)

 

No.5761】  06年09月18日    S.T
石灰化について

マンモグラフィで石灰化が見つかり、鎖状になっていたので、3ヵ月後に再度マンモグラフィで検査したところ、同じ場所に石灰化がなく、乳房全体に散らばっていました。主治医からは「マンモグラフィの撮り方によるのもので、問題なし」といただきましたが、石灰化したものは移動するのですか。

マンモグラフィの石灰化が移動することはありません。初めのマンモグラフィと3ヵ月後のマンモグラフィの所見があまりにも違いすぎるような印象を受けます。もう一度主治医に納得のいく説明を受けるようにしてください。(文責 千島)

 

No.5760】  06年09月18日    ruru
パジェット病でしょうか?

現在19歳で、もうすぐ20歳になりますが、乳頭がかさつき、両方の乳頭にかさぶたのようなものが出来ています。結構厚く、皮膚が硬くなっているような感じです。じくじくしていたり、湿潤といった感じではなく、ただかさついている感じで、痒みや乳頭からの分泌液はありません。しばらくすると段々と浮いてきて剥がれます。その後乳頭はかさつき、薄く皮膚がはがれたりもするのですが、しばらくするとまた出来てしまい、その繰り返しです。乳頭のほぼ中央にできたり、すこしずれたり、位置はまちまちです。手にもよく湿疹ができたりするので、その類かと思っていましたが、パジェット病を知り、乳頭からできるという点などが一致しており、不安になりましてメールさせて頂きました。どうかお返事宜しくお願いします。

年齢、両側乳頭ということからパジェット病ではないと思います。お話の内容からは、知らない間に乳頭から出てきた分泌物が固まって、かさぶたのようなものを作っているのではないでしょうか。また、アトピー性皮膚炎などを持っている方では、乳頭部分の皮がむけたり、痒みを生じたりする場合があります。心配ならば、一度検診を兼ねて専門医の診察を受けるようにしてください。(文責 千島)

 

No.5759】  06年09月18日    T.S.
今後の検診について

48歳、今年2月に右乳房温存手術(しこり2.3cm)、腋窩リンパ節転移陰性、他の臓器に転移なし、ホルモン感受性陽性。放射線治療25回終了、その後ホルモン療法を2カ月程受けましたが、副作用がひどく治療を中止しました(しこりの大きさが気になりましたが、再発率10〜20%という数字が副作用と比較して高いと思えず・・・)。今後も定期的に病院に行くことになっていますが、私のような何も治療を受けない患者の場合、今後どのような検査が必要になるのでしょうか。病院によってそれぞれ違うと思いますが、一般的に行う検査を教えて頂ければ幸いです。また、「リンパ浮腫」のことも心配しております。乳癌のリンパ浮腫の場合、前兆といったものがあるのでしょうか。手術して7カ月経つのですが、脇の下にボールが挟まっている感じで、腕をまっすぐ降ろせないで、いつも腕を曲げています。リンパ浮腫と関係があるのでしょうか。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

術後検査の有用性については、学会でも話題になることが多いのですが、アメリカの基準を参考にするならば、3〜6ヶ月毎の診察と1年毎に反対側(非手術側)の乳房撮影(マンモグラフィ)を行うだけとなります。しかし、日本では国民皆保険制度が導入されており、いくつかの検査は保険適応となるため、これらに加えて採血やX線、CT、骨シンチグラムなどを追加する施設もあります。平均的な検査スケジュールは、@:3〜6ヶ月毎の診察・採血、A:1年毎の乳房撮影、B:1〜2年毎のCT、骨シンチグラム。これらを5年目まで行い、5年目以降は6ヶ月毎の診察と1〜2年毎のマンモグラフィといったところではないでしょうか。
貴女がセンチネルリンパ節生検術を受けているならば、リンパ浮腫のリスクは低いので、手術前と同じ生活をしていて良いと思います。もし、リンパ節郭清術を受けているならば、潜在性リンパ浮腫の状態にあるので、以下の点に注意しながら日常生活を行ってください。
1.虫刺されなどの外傷を避けるため、手袋、長袖シャツ、ズボンなどを着用する
2.庭仕事、土いじりの時は、ケガをしないように十分注意する
3.爪周囲の清潔に心がける
4.手指に白癬(水虫)があれば治療する
5.傷などを作った場合は薬用石鹸を使用する
6.腕がだるくなるような過度の運動は避ける

リンパ浮腫は、一度悪化してしまうと治癒は難しいと考えられています。悪化させないための予防が大切になります。腕が伸ばせないのとリンパ浮腫は関係ありません。むしろ「術後7ヶ月目で腕が伸ばせない」というのは、リハビリテーションが不良と言わざるを得ません。主治医に相談してリハビリテーション科を受診してみてはいかがでしょうか。(文責 千島)

 

No.5758】  06年09月18日    P
乳癌と妊娠

29才独身です。左胸に2センチ強のしこりを見つけ、先日検査してきました。検査結果はまだなのですが、滑らかではなく、動きもないし、悪性の可能性が多いと言われました。子宮内膜症の手術をしたばかりで、将来の子供のことも気になっていたのですが、悪性だった場合、子供は無理なのでしょうか?

まだ乳癌が確定したわけではないので、結果を聞くまではあまり心配しないようにしてください。仮に乳癌であったとしても、十分な治療が終了すれば、妊娠・出産も可能です。詳しい結果が出て、心配なことがあるようでしたら、いつでも相談してください。(文責 千島)

 

No.5757】  06年09月17日    N 
ホルモン剤の副作用について

8年前に右乳房温存手術しました。38歳独身です。去年、腰椎への骨転移が発覚し、現在ゾメタとアリミデックスで治療中です。なお今年5月に両卵巣の摘出手術をしています。質問ですが、1ヶ月ほど前から両手の親指に違和感があります。骨転移を疑って単純X線を撮りましたが、結果は大丈夫でした。CTは撮っていません。アリミデックスの副作用に稀に「関節痛」とありますが、これは副作用でしょうか? 今のところ日常生活に大きな不都合はありませんが、最初は右手だけだったのが左手もひどくなってきて、日常の細かい動作も苦痛になるときがあります。主治医に相談したところ、「ホルモンの副作用だから慣れるしかない、時間がたてば気にならなくなる」と言われました。しばらく仕事をやめていたのですが、これから新しく仕事を再開する予定もあり、この痛みが心配です。薬をやめずに、この痛みを軽減する方法はないのでしょうか? 以上、すみませんがよろしくお願い致します。

アリミデックスの副作用である「関節痛」は決して稀ではありません。むしろ、「関節のこわばり」などの軽い症状を含めれば、服用患者さんの多くが経験する症状です。しばらく服用していると軽快することもありますが、症状が悪化すると「ばね指」などの整形外科的な病状を呈してきます。しばらくは鎮痛剤で対応する場合もありますが、日常生活に支障をきたすようならば薬剤変更等も考慮する必要があります。痛みが強いようならば、一度主治医に相談してみてください。(文責 千島)

 

No.5756】  06年09月17日    b b  
術後の治療について

初めて質問させていただきます。37歳です。左乳房の癌で、今年4月に乳房温存手術を受けました。病理結果は1.5センチの非浸潤癌と1.5センチの粘液癌が近い場所にあり、1つのものの可能性も有りでした。センチネルリンパ生検でリンパ転移なし。ごく小さいもので非浸潤癌1個の断端陽性でした。ステージU。ホルモンセレプターは陽性です。術後放射線治療を受け、現在ノルバデックスのみです。再発などが心配なので、LH-RHアゴニスト製剤や抗がん剤の治療を受けた方がいいのではないかと不安に思っています。また、今から抗がん剤を受けることができるのでしょうか。ご意見をお聞かせください。

乳癌の病期を決める約束として、非浸潤癌の大きさは考慮しないことになっています。貴女の場合、粘液癌の大きさが1.5cmでリンパ節転移を認めなかったようなので、術後の病期診断はステージTになります。一般に粘液癌は比較的予後が良好であることから、大きさが1.5cmであれば化学療法を施行しない場合が多いと思います。術後ホルモン治療については、タモキシフェン単独とLH-RHアゴニスト+タモキシフェンで行った臨床試験がないため、LH-RHアゴニストを追加するべきか難しいところです。しかし、再発乳癌の治療ではLH-RHアゴニストとタモキシフェンの併用療法が推奨されているので、術後補助療法でも両薬剤を併用して使っている場合が多いようです。貴女も追加治療を希望するならば、化学療法よりはむしろLH-RHアゴニストを併用するほうが良いと思います。しかし、副作用として更年期症状が強く出る場合もあるので、「利益と弊害」についてよく理解したうえで治療を開始してください。(文責 千島)

 

No.5755】  06年09月17日    A.I
乳首のしこり・痛み

30歳、現在8ヶ月の子を授乳しています。2〜3ヶ月前に左乳首に痛みがあり、授乳のためにできた痛みだと思い、左乳であまりあげないでいたら痛みがなくなりました。最近も1週間前からまた痛みがでてきて、様子を見てもなかなか治らず、乳首の一部分が硬くなり、しこりみたいな感じになってしまいました。痛みもあります。膿などの液はでていません。夏にエコーで乳がん検査をしましたが、異常無しでした。しこりと痛みがあるので心配になってしまい、乳首の刺激で癌化したりするものなのか、教えていただければと思います。

授乳刺激が原因で乳癌が発生することはありません。貴女の場合、授乳により乳頭に傷が出来て炎症を起こしているのではないでしょうか。この場合、痛みを感じたり、硬いしこりを触れたりする場合があります。しばらく経過観察をしても症状が改善しないようならば、かかりつけの産科、助産師に相談してみてください。(文責 千島)

 

No.5754-1】  06年09月17日    S.S
不正出血

現在40歳です。昨年8月に乳房温存手術を受けました。リンパに転移なし、硬がん、1.4cm、悪性度1、ホルモン感受性陽性。1月に化学治療ACを終え、放射線治療30回の後、現在タモキシフェンを服用しています。昨年の11月から生理は止まっていましたが、先日2日ほど出血がありました。子宮の細胞をとって検査しましたが、体癌ではなく、生理の出血でもないとのことでした。もう一度出血があったら今度は子宮内をカメラで検査するということなのですが、このままタモキシフェンを服用していて大丈夫なのでしょうか? FSHは28でした。出血の原因は化学療法でストップしていた機能が再び正常に戻ろうとしている為という説明なのですが、他の原因は何か考えられるのでしょうか? 海外の病院で治療を受けているので心配です。回答よろしくお願いいたします。

タモキシフェンは子宮内膜増殖作用があるため、時々不正性器出血を起こす場合があります。確かにFSHの値が28ということを考慮すると、正常な性周期が回復してきている可能性も否定できません。細胞診で子宮体癌が否定的ならば経過観察でもよろしいと思います。定期的な婦人科(子宮体癌)検診を受けていれば、タモキシフェンの服用を継続して良いと思います。(文責 千島)

 

No.5754-2】  06年09月24日    S.S
不正出血(2)

HPNo.5754で質問いたしました。回答ありがとうございました。
1) 回答してくださった中で、「FSHの値が28ということを考慮すると、正常な性周期が回復してきている可能性も否定できない」というのは、再び月経が起こる可能性があるということでしょうか?(FSH値20以上で閉経する場合が多いと聞いたのですが)
2) 次に出血があった場合にはHysteroscopy(子宮鏡手術?)で子宮内を検査するということなのですが、その前に、生理の出血かタモキシフェンの副作用による出血か判断する手立てというのはないのでしょうか?
3) タモキシフェンの副作用である子宮内膜増殖作用というのは、ただ子宮内の膜が厚くなるということですか、それともポリープができたりすることでしょうか? 
4) 不性器出血というのは何度かおこる場合もあるのでしょうか?

いろいろと細かくて申し訳ありませんが、どうぞ回答よろしくお願いいたします。

1) そのとおりです。月経再開の可能性があります。
2) 生理であれば問題ないわけで、タモキシフェンの副作用として、子宮内膜の増殖による不正出血を否定する必要があるのです。
3) 子宮体癌の可能性も否定する必要があります。
4) 子宮内膜の増殖によるとすれば繰り返すこともあります。(文責 徳田)

 

No.5753-1】  06年09月17日    S.T
乳ガンの可能性について教えてください

ガンの可能性について教えてください。宜しくお願い致します。
30歳0ヶ月、未婚、授乳経験なし、近親に乳ガン患者も確かいません。7月終わりに左胸のしこりに気づき、8月中旬に婦人科へ行ったところ、エコーで1cm弱四方の腫瘤が確認され、精密検査をしようとなりましたが、総合病院は時間がかかるのでと、とりあえずマンモグラフィのある放射線科を紹介され、そこでの検査結果を持ち帰った所、やはり総合病院で検査をしようという事になりました。先週行ってきまして、視触診・再度のマンモグラフィ・MRI・細胞診を受け、現在結果待ちです。痛み・出血・分泌物・ひきつれや陥没もありません。しこりは可動性ありです。これだけでは何とも言い難いかもしれませんが、宜しくお願い致します。

これだけの情報ではなんともいえません。一般に検診で「要精密検査」といわれた場合、最終結果が乳癌である確率は3〜10%程度くらいと考えてください。(文責 千島)

 

No.5753-2】  06年09月20日    S.T
術後療法について

HPNo.5753。先日は不十分な情報での相談でしたのに、お返事下さりありがとうございました。術後療法に関して相談させて下さい。副作用に不安があるのですが、30歳という年齢から、再発率が低下するのなら厳しい内容でも行いたいと思っています。細胞診とMRIでの検査結果、クラス3b・転移無しで、ステージ1という診断でした。ガンになれば必ず抗がん剤を使うのだと思っていたのですが、ホルモンレセプターが陽性ならホルモン療法と放射線療法の組み合わせで良い、抗がん剤療法はしないというお話だったのですが、これは一般的な治療方法なのでしょうか。また、ホルモン療法後の出産は可能でしょうか。陰性の場合、おそらくFEC100を使用するが、内服という選択肢もあり、こちらは副作用が比較的やさしいと説明を頂いたのですが、再発防止にはやはり通常の抗がん剤治療を行った方が良いのでしょうか。宜しくお願い致します。

ステージ1であれば、全身療法としてホルモン療法単独の場合もあります。ホルモンレセプターや、組織学的悪性度、HER2タンパクの有無などの結果がでてから、主治医とじっくり相談しましょう。抗がん剤投与により不妊になることもありますので、そのリスクや対策も確認してください。乳癌術後の妊娠は、予後に影響ないとされています。1種類の内服の抗がん剤を再発予防に使うのは、標準的ではありません。(文責 徳田)

 

No.5752】  06年09月17日    j
超音波ガイド下乳房腫瘤針生検について(HPNo.5629-2)

回答ありがとうございました。勇気を出して病院の乳腺外来へ(市立)行ってきました。両胸のしこりを触った結果「特にしこりのようなものはありません」とのこと、念のため検査し、マンモグラフィーと乳腺超音波(エコー)をしました。その結果、私が感じていたしこりは「乳腺症」であると診断され安心しました。が、今回のエコーで偶然新たに両胸におよそ6mmのしこりがあることが分かり、右胸の形が癌の特徴に似ているとのことで新たに「超音波ガイド下乳房腫瘤針生検」を受けることにしました。結果、しこりが6mmと小さかったため、細胞を取ることが不可能でした。そのため3ヵ月後エコーをし、以前のエコー写真と見比べ、形が大きくなっている場合や形が変わっている場合は、もう一度大きめの針で「超音波ガイド下乳房腫瘤針生検」をしましょうと言われました。不安は募る一方です。3ヶ月後たとえばですが、「超音波ガイド下乳房腫瘤針生検」をする場合、また細胞をとるのが不可能の可能生はありますか? 今回受けた検査以外で調べる方法はあるのでしょうか? 市立病院であったため、いつも病院へ行く度、先生が入れかわり、不安です。

「しこり」の質的診断には細い針による細胞診、または太い針による針生検で病理学的診断を行うことが必要です。しかし、最近は検診精度の上昇に伴い「小さな腫瘤」が発見される場合が多く、細胞、組織の採取が困難であることも少なくありません。病理診断が困難な場合、MRIを用いることで、ある程度「しこり」の質を推定できることがあります。MRIを行って「悪性の可能性」が高い場合は、もう一度病理学的検査を試みるか、必要ならば手術による摘出を考慮します。もし貴女が3ヶ月間の経過観察に不安を感じるのであれば、MRIによる検査をお願いしてみてはいかがでしょうか。(文責 千島)
 

 

No.5751】  06年09月17日    U
術前化学療法について(HPNo.5695-2)  

先日は、ご回答ありがとうございました。治療のことで、ご相談致します。精密検査の結果リンパ節への転移以外は無しとのことで、とりあえず安心しましたが、リンパ節転移は今後の生存率を大きく左右すると聞きました。ご相談ですが、術前化学療法を提案されていますが、術後化学療法と比べてデメリットはありますか? リンパ節に転移しているので早急に取ったほうがいいのでしょうか? 術前化学療法で抗ガン剤がきかない場合は、どうなるのでしょうか。手遅れになってしまうこともあるのでしょうか? お手数ですが、ご回答お願いいたします。

最近は、術後に化学療法を行う必要がある場合は、手術の前に化学療法を行う施設も多くなっています。術前化学療法を行うことの利点としては、@貴女の乳癌細胞に対して、どの抗癌剤の効果があるかどうか判定できる。A化学療法の効果が高い場合は、乳房の縮小手術が可能になる。B完全に癌が消失した場合は、再発転移の可能性が少ないことが予想される、などが考えられます。一方、欠点としては、@20%程度で化学療法の効かない乳癌があり、この場合は手術のタイミングが遅くなる。A癌細胞が体内に残っていることで精神的に負担となる、などが考えられます。最近の医学研究では、いずれの治療法を選択しても、生存率には差が見られないことが判っています。術後化学療法では、抗癌剤の最終的な効果判定は「10年後にも再発がないこと」を確認するまで先送りにされていましたが、術前化学療法では結果が数ヶ月以内に判明し、「将来の病状」を予想することができます。つまり、結果がよければ「安心」が保障されますが、結果が悪いときには「不安」が付きまとうことになります。どちらの治療法が自分に適しているか、もう一度主治医と相談しながら決定するようにしてください。(文責 千島)

 

No.5750】  06年09月17日    S.K 
診断の方法等について

初めて相談させていだきます。40歳、未婚、妊娠経験なしです。8月初旬に乳腺専門のクリニックで検診(マンモグラフィ、エコー)を受け、右乳房に2つ腫瘤がみつかりました。細胞診では判定できず、針生検を受け良性(線維腺腫)との結果でした。しかし、医師から「1つは画像上も良性と思われるが、もう1つは可変性ありとなっているし、画像上の形がいびつで悪性の可能性がある。切り取って調べてはどうか」と言われ、大学病院を紹介されました。自覚症状はなく、大学病院で触診された際も、「しこりがわかりにくい。触っただけでは場所もはっきりしないし、クリニックから来た写真でもわかりにくい」とのことで、マンモグラフィ、エコーの再検査をしました。その結果「左右両乳房に腫瘤が多発している。全部は手術できないので、形がいびつで、一番大きい(2.2p)ものを取って調べる。手術前に位置を記録しておくためのMRIを撮る。悪性だったときに元のものを取ってしまっていると、後でどこまで切ればいいのかわからなくなるので」と言われました。しかし、その後MRIをとらないうちに「病院の都合で手術ができなくなったので、他の病院を紹介する」と言われました。この大学病院は通院に多少不便な場所なため、元々、悪性だったら治療は別の病院でしたいという希望でしたので、転院はかまわないのですが、以下の点が心配です。
1) 「取ってしまうと、後でどこまで切ればいいのかわからなくなる」という医師の言葉が気になります。切除したことによって治療法が制限されてしまうこと(例えば術前化学療法などができなくなり、温存ができない等)は、ないのでしょうか。もしそのような可能性があるなら、手術前に再度マンモトームなどをしてみたいのですが。
2) 診断がつきにくいもののようですし、悪性だった場合の治療のことも考え、専門性の高い医療機関に転院したいのですが、そういうところは待ち時間も長くなると思います。最初に腫瘤がみつかってからすでに1ヶ月が経っていますが、この後さらに時間がかかることで、悪影響はどの程度あるでしょうか。
3) 腫瘤が多発というのは、どういうものなのでしょうか。今回調べるものが良性だったとしても、今後悪性のものが出てくる可能性が高いのでしょうか。
4) 短期間にマンモグラフィを2度受けました。もし転院後また受けるようなことになると、被爆が心配です。

ご回答よろしくお願い致します。

貴女がおっしゃるように、一番怪しい腫瘤をマンモトームや針生検で組織型を確認するというのは良い方法だと思います。もし、良性腫瘤であることが確認できれば、不必要な手術(切開)を避けることが出来ます。悪性であった場合は改めて切除術を受ければよいのではないでしょうか。現時点では画像上明らかな悪性所見は認めないようなので、専門施設へ改めて紹介していただいても「治療が手遅れになる」ということはないと思います。マンモグラフィの被爆量はきわめて微量であるため、短期間で繰り返し検査を受けても全身へ影響が出ることはありません。もし心配ならば、紹介状と共にマンモグラフィを貸し出してもらうことも可能だと思います。良性疾患が乳房内に多発するような場合は、乳癌の発生リスクは2倍程度に上昇するので、今回の最終結果が良性所見であったとしても定期検診・精査は続けるようにしてください。(文責 千島)

 

No.5749-1】  06年09月17日    K
手術方法について迷いがあります

43歳、8月26日に左にしこりを感じ、29日にレントゲン、超音波、細胞を取る検査を行い、9月1日、悪性と診断されました。同日CTを行い、それまでの結果、大きさ1.5mm、浸潤している、粘液ガン(ただし、ガンはだるまのような形をしていて、たまたま細胞が取れた部位が粘液ガンで、超音波上は薄いグレーに映っている。他の部位は黒く濃く映っているので性質が違うかもしれないとの事)、CTで見る限りリンパ、他臓器への転移はなさそうです。先生は、手術は乳房温存術でいける範囲と言われ、温存術で手術中にセンチネルリンパ節生検を行う事を提案して下さいました。しかし、実家の母が24年前に早期乳ガンを経験した際、乳房全切除し、リンパも取って、その後再発も転移もなく無事に過ごしている事から、実家の家族は全部とったらどうかと心配してくれています。患者である私の一番の不安も再発・転移です。本等で、温存術が可能な場合、温存術+放射線療法と乳房切断術とで治療成績に差がないと知りましたが、以下の点が不安です。
1) 私の場合、温存術+放射線療法と乳房切断術で予後に差はないでしょうか? (今後、手術までの間に他臓器のレントゲン検査を行う予定です。現段階で分かっている事が少なく、回答し難いかも知れませんが、お願いいたします。)
2) センチネルリンパ節生検の結果、幸いにもガン細胞が見つからなかったとして、温存術+術後の治療を行った場合、どの程度安心出来るのでしょうか。センチネルリンパ節生検の精度は95%程度と聞いています。
3) CT上、しこりがある側のリンパが5mm、ない側はもっと小さかった。この5mmの意味は何でしょうか? 先生は、「転移はなさそう。9mmだと転移だけどね。」というようなことをおっしゃっていました。

以上、よろしくお願いいたします。 

今までの医学研究の結果からは、比較的小さな乳癌に対して乳房温存術(手術+放射線照射)を行っても、乳房全切除術を行っても生存率に差はないことが分かっています。ただし、放射線照射を行った場合でも、温存した左の乳房にもう一度乳癌が生えてくる可能性は5%程度残ります。今回の癌が治癒しても、また新しい癌が出来てくる可能性があるからです。右の乳房についても、生涯10%程度の確率で乳癌が生える可能性があるので、それを考えれば決して大きな確率ではないと思います。この事実さえ納得でき
れば、貴女の場合は十分に乳房温存術の適応があると思います。センチネルリンパ節生検は、まだ医学研究の途中なので、貴女自身が十分に「利益と弊害」を理解したうえで選択する必要があります。大きさ1.5cmの乳癌が腋窩リンパ節転移をしている可能性は20%程度と考えられます。このうち95%が診断できる、逆に考えると5%を見落とすということになるので、20% x 5%=1%の確率でリンパ節に癌が取り残されるという計算になります。また、リンパ節転移が発見できなかったことで、乳癌の進行度が過小評価されてしまい、術後の治療が不十分になる可能性も残ります。この1%の「見落とし」が、生存率に影響を与えるかどうかについてはまだ分かっていません。
以上のことを踏まえた上で、主治医の先生とよく相談して術式を選択するようにしてください。(文責 千島)

 

No.5749-2】  06年10月25日    K
術後の補助療法について

HPNo.5749です。先日は、ご回答ありがとうございました。再度相談お願いします。9月27日乳房温存手術を終え、以下の病理結果が出ました。「センチネルリンパ節生検陰性0/1、浸潤ガン、顕微鏡での大きさ1.4cm、断端陰性、脈管侵潤なし、核異型度グレード1、ホルモン感受性陽性、HER2スコア0」の結果より、抗がん剤の必要なしと主治医から告げられました。また、「術後補助療法として、ガンの広がりがあまりなく、取り切れたと考えられる事から、放射線治療は必須ではない。もしかけるとしたら、5週間乳房全体に照射する。ホルモン療法としてタモキシフェン5年間服用、ZD9393 3.6mgデポを2年間投与」との事です。再発、転移への不安から、以下、相談室の先生のご意見を伺いたい次第です。
1) 抗がん剤は不要、でよいのでしょうか? (正直なところ、センチネルリンパ節を1つしか取ってないので、陰性と言われても不安です)
2) 私の場合、放射線治療はどの程度有効と考えられますか? ガイドラインにて、乳房温存術を受けた患者は放射線治療が必要、断端陰性でも安易に省略すべきではないと読みました。主治医は、「温存術と言っても一概にくくれない、あなたの場合は広がりがあまりなかったので必須ではない」と言われました。
3) 少しでも有効性があるのなら放射線治療を受けたいとも考えます。その場合、5週間乳房全体への照射という方法は適当なのでしょうか。

主治医とよく話し合い、治療方法を決めていきたいと思いますが、以上について、アドバイスよろしくお願い致します。

私の意見を述べさせていただきます。
1) 相談内容にある病理結果でしたら、抗がん剤投与よりはホルモン療法をお勧めします。
2)3) あなた自身が放射線治療を受ける方がよいのか、受けない方がよいのかは分かりません。ガイドラインに従うのが一般的でしょうが、最近では(非浸潤癌などに対して)Van Nuys Prognostic Index(VNPIスコア)というものを参考に、放射線照射の省略を試みている先生もいらっしゃるようです。そういうスコアも参考にはなるのでしょうが、放射線照射を“しない”ことに強い不安があるようでしたら、受けてみられてはいかがでしょうか。(文責 河原)

 

No.5749-3】  06年11月04日    K
ジェネリック医薬品について

いつもご多忙中ご回答ありがとうございます。ホルモン療法で、ゾラテックスの他にタモキシフェン20mgを5年間服用すべく開始しました。主治医は、「先発品よりも安価、有効成分は変わらない」との理由からジェネリックを処方され、当院では同医薬品を服用している患者のほとんどがジェネリックを利用しているとの事から、突然でたいした予備知識のなかった私も大勢にならってジェネリックを服用し始めました。が、以下の不安事由が生じましたので、できることなら相談室の先生の御意見を伺いたく思います。
『薬局で購入後持ち帰り、薬袋を棚に保管、服用時に取り出し、パッケージ裏面を押し破って1錠出したところ、パッケージ中で4つに割れていた。4つの破片を合わせても全形(20mg)にならない。購入時から服用まで通常以外の取り扱いはしていない。購入時に取り扱いに関する注意などは聞いていない。』薬局に問い合わせたところ、「先発品とは添加物が異なる、そもそも脆いのでノルバテックスは添加物で表面を硬くするコーティングがなされているが、ジェネリックにはそれがない。今回のような割れた事例は初めて聞くが、卓上にこぼれていた少量の水分に触れて溶けてしまったという例を知っている。」との事でした。有効成分は変わらないとしても、通常の取り扱いによって破損するような薬は、品質に問題があるといえるのではないかと思います。医師によっては、先発品とジェネリックを比較して有効成分上は同じでも完全に同一とはいい切れない等の理由からジェネリックは使用しない方もいらっしゃると聞きます。価格は安価なほうがいいのですが、品質を最も大切に考えたいと思います。ジェネリックは信用して服用できるのでしょうか。ご回答頂ければ幸いです。

ジェネリック商品(後発品)は先発品と全く同じではありません。主成分は同じでも、製造方法も異なり、剤形やコーティングなどが違うので、効き目が大きく変わっている可能性があります。先発品は再審査などでいろいろなデータ、ノウハウを蓄積し、使用経験を重ねているので、安全性・効果に対する安心感はあります。(文責 石川)

 

No.5748】  06年09月17日    R
両胸の間のしこり

最近両胸の間、ブラをしたときにワイヤーが当たる場所に、直径1センチくらいのしこりができました。強く押すと痛いです。ずっと前にも同じような場所に、今のより小さいしこりができていて、そのときは自然と消えていったのですが・・・。病院行った方がいいのでしょうか? すみませんが、アドバイスよろしくお願いいたします。25歳女性、未婚です。

「しこり」の位置にもよりますが、左右の乳房の間には乳腺組織が少ないので、乳腺由来の腫瘤は出来にくいところです。「しこり」の真ん中にくぼみを認めるようであれば、粉瘤という皮膚由来の「出来物」の可能性があります。症状としては、しこり全体が赤くなったり、痛みを感じたりすることがあります。大きくなった場合には、中から「オカラ粕」のような悪臭を伴う内容物が出てきます。皮膚科、形成外科、外科などを受診して診察してもらうようにしてください。(文責 千島)

 

No.5747-1】  06年09月14日    M 
ホルモン療法中のサプリメントについて

ホルモン療法中の44歳です。母や友人にサプリメントを薦められています。ローヤルゼリーや植物発酵食品は摂取しても差し支えないのでしょうか? ホルモン療法中に使用してはいけないサプリメントがあれば教えてください。よろしくお願いします。

市販の健康食品は、安全性を十分に確認していないものも含まれています。また現在使用しているお薬との相互作用がある可能性は否定できません。化学療法をやっているときは避けたほうが無難だと思います。ローヤルゼリーなどは問題なかろうとは思いますが、体調が悪くなるようならやめてください。
大豆イソフラボンは女性ホルモンと似た作用を示すことが知られています。ホルモン療法に影響を与える可能性もありますので、ホルモン療法中は避けたほうがよいと思います。(文責 俵矢)

 

No.5747-2】  06年09月20日    M 
ホルモン療法中のサプリメントについて(2)

HPNo.5747で相談した者です。大豆イソフラボンはホルモン療法中は避けた方が良いとの回答をいただきましたが、大豆製品も控えた方が良いのでしょうか? 納豆や豆乳の摂取も影響がありますか? 出来る限り再発のリスクを減らしたいと思っています。よろしくお願いします。

食物より抽出したイソフラボンなど、大量に服用するのが問題なので、食物から通常摂取する量では問題ないと思います。(文責 徳田)

 

No.5746-1】  06年09月14日    M.K. 
乳がん?

34歳です。双子の姉が7月に左乳房全摘をして、不安になり検診をしたところ、私にも左右にのう胞とマンモに石灰化が見つかりました。検査は半年後と言われており、今はただ待つだけの状態です。のう胞も石灰化も良性だから半年後なのでしょうか? 3ヵ月後くらいで他の病院でみてもらったほうがよいのか考えてしまいますが・・・。今の医師のいう通り、半年後の再検査まで待つのがよいのか、どうしたらよいでしょうか?

写真をみていないのでなんとも言えません。おそらく主治医の先生は良性の可能性が高いと考えていらっしゃるのでしょう。不安な気持ちで待っているよりは、現在の主治医の先生を早めに再診して、説明を求めてみてください。もしそれでも不安ならば、セカンドオピニオンをうけられるとよいでしょう。その場合も勝手にほかの病院にいくよりも、今の病院でお話して紹介状をもらって写真をお借りするとよいです。遠慮しなくて大丈夫ですよ。(文責 俵矢)

 

No.5746-2】  06年09月18日    M.K. 
乳がん?(2)

追加で質問ですが、現在の主治医を再診したときに、どんなふうにまとめて質問(マンモの画像についてやのう胞についてたくさんあるので)すればいいのか教えてください。

1.超音波で、のう胞は何個くらいあるのか。内部に癌を思わせる隆起を認めるのか。
2.マンモグラフィで認める石灰化は、どのような形状、分布で、悪性の確率は何%程度なのか。

このようなことについて聞いてみてください。悪性を疑うような所見があるならば、細胞診等を行いながら3〜6ヶ月毎の診察が必要ですし、良性と考えるならば、6〜12ヶ月
毎の検診で良いと思います。(文責 千島)

 

No.5745】  06年09月14日    T.S. 
婦人科治療(ダイホルモンの皮下注射)の乳がん術後ホルモン療法への影響について

44歳(閉経前)、既婚、31歳で出産、一児の母です。表題につきましてのご相談よろしくお願いたします。下記の術後病理診断結果で、8/28からホルモン治療を開始しました。

     ER(+)100%    PgR(+)100%   HER2(-)

     病変a@1                              リンパ節  
     占拠部位   rtA      rtA      rtD       1a+1b:0/24
     大きさ   8mm    12mm    9mm         1c:0/7
     肉眼型  浸潤性   浸潤性   浸潤性         2:0/12
     組織型  硬癌     硬癌     硬癌         計/0/43
     核異型  NAN1     NAN1    NAN1
     分裂像  5以下    5以下    5以下
     間質型  scirrhous  scirrhous  scirrhous
     組織波及 f        f       f
     リンパ節転移 n0
     遠隔転移
     リンパ管侵襲 ly0    ly0      ly0
     静脈侵襲   v0    v0      v0
     乳管内伸展 中等度
     断端     陰性
     術式     乳切

ホルモン療法開始5日前の8/23に婦人科を受診しました。普段5日ほどで終わる生理が10日間を過ぎても少量の出血があったためです。以前より掛かりつけの産婦人科で診察を受け、乳がんの術後であることとホルモン治療を始める予定であることを伝え、がん治療に影響の無いことを確認し、ダイホルモンの皮下注射を受けました。出血は2日後に止まりました。8/28予定通り、リュープリンの皮下注射とタスオミン錠の処方を受け、その後、気になり、ダイホルモンについて調べてみると、禁忌症として乳がん既往症のある患者とありました。このままにしておいて大丈夫なものでしょうか? また、ダイホルモンとリュープリンは体の中でどのような影響を与えているのでしょうか? 今のところホルモン療法で現れる「ほてり」などの更年期症状は何も出ていませんが、ホルモン治療の薬の効果が出ていないということなのでしょうか? 2つの薬が影響しあって効果が出ていないのでしょうか? よろしくお願いします。

リュープリンは、卵巣でのエストロゲン合成を抑制するお薬です。
ダイホルモンというお薬についてはあまり詳しくないですが、更年期障害などに使われるお薬で、エストロゲンを含んでいるようですので、ホルモン感受性のある乳癌の患者さんには使わないほうがよいお薬です。婦人科の主治医の先生と、乳腺の主治医の先生にお話して、ダイホルモンを中止してもらったほうがよいと思います。(文責 俵矢)

 

No.5744】  06年09月14日    K 
乳癌の可能性は?

先日、片側の乳房に痛みがあり、乳腺科を受診いたしました。結果は、痛みのある乳房とは反対側の乳房に異常があると診断され、MRI検査をすすめられました。ただ、マンモでは全く異常が見られず、エコーの画像に気になるものがあるということでした。もし、癌であっても急を要する癌ではないし(おとなしいタイプの癌と先生はおっしゃっていました)、8〜9割は癌ではないと思うと診断されました。MRIの検査も、1ヶ月先まで私の都合がつかないため、来月行う事になっています。私は、自分でも想像つかないものにアレルギー反応を起こす事があります。先日は、病院で処方された風邪薬でじんましんを起こし、8年前は点滴でけいれんを起こし、血圧が低下し、意識が混濁したことがあります。そのため、MRIの造影剤に対してのアレルギー反応を懸念しています。一般的に、乳癌検診では触診とマンモが行われますが、そのマンモで異常が見られなかった場合でも、乳癌の疑いはあるのでしょうか? また、私のような状況で、MRI検査の必要性はどのくらいなのでしょうか? 造影剤のリスクを考えると、なるべくでしたら、MRI以外での検査で今回の疑いを解明できたらと思います。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします

マンモグフラフィーや視触診で異常がなく、エコーで影が見えるタイプの乳癌もあります。その場合MRIは診断の助けになるでしょう。またエコーで影がみえているようなので、エコー画像をたよりに針を刺して細胞診や針生検も可能かもしれません。MRIが不安な理由を先生にお話してみてはどうでしょう。「癌であっても急を要する癌ではない」と言われているのならば、納得されてから検査を受けるようにしたほうがよいと思います。(文責 俵矢)

 

No.5743】  06年09月14日    S 
全摘以外に方法は無いでしょうか?

3週間ほど前に右わきの下にしこりがあることに気づき、乳腺科で検査を受けました。触診の段階で乳がんと診断され、マンモグラフィ、エコー、注射針による細胞採取をしました。まず間違いなく乳がんだということで、来週主人を連れて来院するよう言われております。「リンパを取り、右胸にはしこりは無いけれど影が広く散らばって見えるので全部摘出する手術をしましょう」ということです。全摘以外に方法は無いでしょうか? 別の診察を受けた方が良いでしょうか?お教え願います。

ひろく散らばっているようなので、全摘をしたほうがよい症例なのかもしれません。主治医の先生によくお話を聞いてください。全摘しても、お乳のふくらみを再建することはできます。もし全摘しなくてはいけないようなら、相談してみてください。もちろんセカンドオピニオンとして他の先生の意見をお聞きになってもよいと思いますよ。(文責 俵矢)

 

No.5742】  06年09月14日    MS
乳癌の内視鏡手術について(HPNo.5692-3)

ご返事有難うございました。一言一句大事に言葉を選んでご返事くださる事に、心から感謝しております。今はただただホルモン検査の結果が陽性になることを祈るばかりです。厚かましいお願いついでに、もう一点ご質問させて頂きたいのですが、いろいろ調べていく内に、「乳癌の内視鏡手術の安全性が確立されつつあり、今後増えてくるであろう」という情報を耳にしました。私のガンは超音波検査の結果では6〜9ミリとの診断でしたが(右胸12時の位置、大きさは見え方によって違うとの事、また、MRIの結果待ちなので広がりはわかりません)、これは内視鏡手術の適応内でしょうか? 私の胸は昔から小さく、今予定されている円状部分切除術が行われるとなると、ほとんど上部が陥没する可能性が高いと想像します。手術による傷口は5センチ程度になるとの事でした。もし神奈川県又は東京都内で内視鏡手術に力を入れて実績をあげている病院があれば教えてください(現在私がかかっている病院では内視鏡手術は行っていない様です)。手術までの2週間、セカンドオピニオンとして意見を求める価値があるのなら、何でもトライしてみたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

内視鏡補助下手術でも通常の手術でも、乳腺の切除量はほぼ同じです。ですから、「へこみ」の大きさは同じになります。内視鏡補助下手術では傷口の大きさを小さく、また目立たない場所につくることができるということが利点となります。セカンドオピニオンもよろしいかと思います。主治医の先生に「内視鏡補助下手術を受けてみたい」という旨をお話になって、ご紹介いただくのが一番よいと思います。(文責 俵矢)

 

No.5741】  06年09月14日    w 
放射線治療について (HPNo.5669-3)

先日は、お返事ありがとうございました。なかなか自分で納得のいく治療法を決められなくて、今日に至っております。左乳房に残存しているものが病理検査で悪性と確定診断されないと、乳房の切除等の手術は出来ないと言われてしまい、前回の手術で全摘しなかったことを後悔しています。私の場合ホルモンレセプターが陰性で、しかも非浸潤癌なので抗がん剤の効果もあまりないらしく、残された治療方針は放射線療法をするか、しないで経過観察のみのどちらかということでした。放射線科の先生の説明で、通常25回のところを、残っているので、できたら30回するとのことでした。ただ乳房温存手術後の乳腺の配置は手術前と後とではかなり変わってしまうので、部分照射は難しいかもしれないと言われました。今の状態では生検もできないので、ただ何もしないでいるより、もう1つが良性であることを願って、放射線療法を受けようと思います。そこで放射線の副作用についてお尋ねします。30回すると放射線肺炎になるのではと心配しています。私の病院ではCTを用いて正常の部分には当たらないようになるべくしているそうですが、どういう場合に放射線肺炎になりますか。また、なってしまった時の治療法についても教えてくださいますようお願いします。あと放射線を当てた乳房は硬くなってしまい、乳癌のしこりを見つけにくくなるのではと心配しています。放射線治療後の乳癌の再発の兆候はどういう風に現れるのか教えてください。ご多忙中すみませんが、どうぞ宜しくお願いします。

放射線照射後にCTをとると、わずかに肺炎の影がある人はかなりの頻度でいらっしゃいますが、実際に咳や発熱などの症状を伴う方は少ないです。放射線照射後の副作用については、放射線科を受診した際、放射線科の専門の先生がよく説明してくださると思います。
放射線照射後の再発の症状としては、「しこり」や「乳房全体が硬くなる」、「皮膚が赤くなってくる」などがあります。確かに放射線照射後は乳房が硬くなってわかりづらいことがありますが、エコー検査やマンモグラフィも併用して検査します。(文責 俵矢)

 

No.5740】  06年09月14日    Y.U. 
乳頭からの出血(HPNo.5476-2)

6月30日にご相談した、7歳と2歳になったばかりの子がいる主婦です。前回は、妊娠中に乳頭からの血性の分泌物にクラスVがでた事でご相談しました。お返事いただき、ありがとうございました。
現在年に一度の検診を大学病院でしている最中です。7日にエコーとマンモグラフィーを受けました。11、12、13日に両側の乳汁を保存液のようなものの入った試験管にいれて14日に提出し、21日に結果をすべて聞く予定です。一年前に第二子の断乳をしていますが、まだ白や透明、透明にオレンジやクリーム色が混じった分泌物がでています。第一子の断乳後からずっと透明、オレンジ、クリーム色の分泌物がでていました。結婚する前から乳首に白いかすがついていることもありました。今日入浴時、左側をしぼってみたところ、一箇所からはっきりした出血がありました。以前クラスVがでたのは右です。7日に病院で絞ったときは、透明にオレンジからクリーム色のものが混ざったものが出ていました。他のところからは、両側とも白や透明、透明にオレンジやクリーム色が混じった分泌物がでています。5月に自治体の保健センターでエコーを受けた時は異常ありませんでした。
以前インターネットで、「妊娠後期や出産前後に、母乳は血液からできているので血性の分泌物がでることがある」とみたことがあるのですが、この出血もそれと同じと考えていてよいのか、悪いものの可能性が高いと覚悟しておいたほうがよいのか、今とてもショックを受けています。まだ小さな子供たちのことを思うと、いてもたってもいられません。二週間あとに一応結果がでるのですが、心構えとしてどうしたらよいのかと、思わずすがるような気持ちでメールしました。お忙しいところ大変恐縮ですが、よろしくお願いします。

血液の混じった乳頭分泌液が出る場合は、乳癌も鑑別診断しなくてはなりませんが、必ずしも乳がんというわけではありません。良性の病変の場合も多いのです。検査結果をみないことには悪性の疑いがどの程度あるのかはわかりません。先走ってあれこれ不安に思わず、平静な気持ちで結果を待っていただくのがよいと思います。(文責 俵矢)

 

No.5739】  06年09月13日    E.M. 
健康食品「酵素」について

52才の主婦です。2005年1/27に温存手術を受け、センチネル生検で転移がなかったので、リンパ節は廓清せずに済みました。すでに閉経しておりましたので、術後は放射線に通い、ずっとアリミデックスを飲んでおります。現在、健康食品で「酵素」が大変人気で、癌の手術後の方で愛用している方も多くいらっしゃいます。私も勧められているのですが、アリミデックスはアロマターゼという「酵素」の阻害剤ですので、乳癌治療中の人が酵素食品を引用するのは危険ではないのかと思うのですが、大丈夫なのでしょうか? どうぞよろしくお願い申し上げます。

酵素は、化学反応を触媒する物質のことを指し、いろいろなものがあります。健康食品でいう「酵素」が何なのかわかりません。また健康食品がアリミデックスの作用を強めたり弱めたりするかも正直いってわかりません。医薬品は厚生労働省の販売許可を得るために患者さんに投与したときの安全性や副作用の内容などを検証することを義務付けられていますが、サプリメントや健康食品ではそのような検証は義務付けられていません。ですから、「危険か危険でないか」も厳密にいうとわからないので大丈夫とはいえません。少なくとも健康食品には、「がんを治す」効果はないと考えられますので、気が進まないものを無理に飲む必要はないのでは。(文責 俵矢)

 

No.5738】  06年09月13日    S.M
脇の下のしこりについて 

わたしは、23歳の未婚の女性です。右脇にこりこりした小さなしこりがあるのに気づきました。見た目は発疹も何もでていないのですが、触ると、にきびが皮膚の中でうんでいるような感じの痛みがあります。つまんでみると、皮膚と一緒にこりこりしたものがくっついている感じです。リンパ腺や乳がんには関係ないのでしょうか? 心配です。

文面だけからみると「粉瘤」というもので乳がんではないように思いますが、診察しないとわからないので一度診察をうけにいってみてください。(文責 俵矢)

 

No.5737】  06年09月13日    M.T. 
術後の治療方法について

私は、乳がんの部分切除手術を18.6.28に終え、放射線治療(25回)を先日終えたものです。今後の治療方針について相談させてください。私は40歳で、1人息子(現在14歳)をもち、閉経前の主婦です。乳がんの診断結果は次のようになっています。
<以下医師から言われたとおり書きます>
1.ステージ:1 
2.しこりの大きさ:2cm  
3.ER: + (100%)
4.PgR: +(20%)
5.mo(リンパ転移なし)
6.グレード: 2(医師の話では1.5くらいかなといっていました)
7.HER2: −
8.Ig1vo(意味がよくわからないです。教えてください)

このような診断結果のもとで、次の2通りの治療方法を提案されています。
1) ホルモン療法のみ   @リュープリン(2年間、3月おきに注射)+Aタモキシフェン(5年間服用)
2) 抗がん剤とホルモン療法の併用  @CEF100(6サイクル 6月間)+Aタモキシフェン(5年間服用)

医師からは、それぞれの利点欠点を次のように聞いております。
1) ホルモン療法のみの場合 ・生存率 約90% ・治療期間が長い ・更年期障害になりやすい
2) 抗がん剤とホルモン療法の併用の場合: ・生存率 約92〜93%(ただし2〜3%の部分は医師の長年の経験からそう思うということで臨床例が少なく、はっきりとはわからないとのことです。) ・治療期間が短い ・脱毛する ・だるさ、はきけ ・費用がかかる

このような状況の中で、生存率2〜3%アップのため、つらい抗がん剤治療を選択すべきか、悩んでいます。医師は、ホルモン療法のみを提案してくれていますが、一度こちらの相談室に聞いてみてはとアドバイスしてくださったので、ご相談させていただきます。

8番の「Ig1vo」 はおそらく相談者さんが、つづりを間違っていると思います。静脈侵襲とリンパ管侵襲のことだろうと思いますが、この記載ではそれがあるのかないのかがはっきりしないです。ただいずれにせよ、この場合はホルモン療法単独あるいは、抗がん剤を終了後ホルモン療法を行うことが推奨されます。
この「相談室」はあくまでメールの文面だけから、「一般的な」回答を行っています。実際の治療は、患者さんを実際に診察して、病状や併存疾患、生活状況なども加味しながら行うものです。ですから主治医の先生と、今一度よくお話して決めてください。あなたがどちらを選ぶか決められなければ、セカンドオピニオンを希望されて、他の医師にも会ってお話してみてはいかがでしょうか。(文責 俵矢)

 

No.5736】  06年09月13日    O.M. 
石灰化の経過観察

33歳、2児の母です。今年5月、自分でしこりに気づき、病院でマンモグラフィ・超音波検査を受けました。結果、しこりは乳腺ではないところにあるので心配ないとのことでした。ただマンモグラフィに細かい石灰化が集まった箇所がみられたので、4ヶ月後にもう一度検査することになりました。昨日、再度検査を受けてきたのですが、4ヶ月前とほとんど変化がなかったので、今度は6ヶ月後に受けるよう指示を受けました。細かい石灰化が集まっている場合は乳癌の可能性が高いと聞いたことがあるので、さらに精密検査ができないか尋ねたところ、「石灰化はしこりなどがないので検査が難しい」との回答でした。本にマンモトームという装置で石灰化でもがんかどうか調べられると書かれていたので、一度マンモトームが受けられる病院で話を聞いてみたいという思いもあります(今、受診している病院にはありません)。4ヶ月で変化がなかったのだから、そこまでする必要はないでしょうか? 6ヶ月間様子をみていて心配ないでしょうか?

しこりを作らずマンモグラフィの石灰化のみから発見される乳がんは早期のものが多く、数ヶ月で急に進むということはあまりありません。しかし、不安な気持ちで経過観察しているのなら、早めに主治医の先生に「マンモトーム」はどうですか?と聞いてみてはいかがでしょう。紹介状を書いてもらってマンモトームのある施設を受診して、マンモトームをやるべきかどうか診察してもらったらいいと思います。(文責 俵矢)

 

No.5735-1】  06年09月13日    H.S. 
術後化学療法の5-FUについて

46才の主婦です。ステージVbの浸潤性小葉癌で、6月末に全摘の手術を受けました。リンパ節への転移は13個中1個だけでした。術後化学療法として5−FU750mgを1週間に1度中心静脈より点滴しています。3週連続して1週休むという方法です。治療期間は約1年と言われています。この抗がん剤は副作用も少ないと聞いているのですが、私の場合吐き気と食欲不振、倦怠感が続いていて、思うように仕事も出来ません。併用してノルバテックスも服用しています。担当医は、「癌が大きかったから再発転移予防のため」と説明をしてくれましたが、これが1年続くのだと思うと精神的にも参ってしまいます。もし治療の間隔をあけた場合、化学療法の効果はどうなのでしょうか? 私の場合、転移再発のリスクは高いのでしょうか? 以上、よろしくお願いいたします。

リンパ節転移があったそうなので、術後補助化学療法が薦められます。ホルモン受容体陽性ならば、ホルモン療法も追加したほうがいいと思います。現在の治療法は通常の乳がんの術後補助化学療法としては、あまり一般的ではないように思います。また、通常ノルバデックスは化学療法がすべて終了してから行うほうがよいとされています。
治療の内容について今一度主治医の先生とお話になって、場合によってはセカンドオピニオンにいかれるのもよいかもしれません。(文責 俵矢)

 

No.5735-2】  06年10月18日    H.S. 
セカンドオピニオンについて

前回は丁寧なご回答をいただき、ありがとうございました。主治医に病理の結果を聞いたところ、浸潤性小葉癌、ステージVb、大きさは5cm、悪性度は低い、リンパ節転移は13個中1個、ホルモンレセプター(+)、HER2(−)ということでした。大きな癌で悪性度が低い癌は、すぐには再発をしないが先々で悪さをすることがあるため長期の治療が必要だと説明をされました。今の私の治療法は一般的ではないと以前相談した時にご指摘をいただきました(5−FU750mgを中心静脈より点滴、3W連続で1W休み、ノルバッテクスも服用中)。私が今かかっている病院は県下でもトップクラスの乳癌手術数と生存率の高さを誇っていますが、私のような症例はどのような治療法が一般的なのでしょうか? また再発率、生存率など統計的なものでいいので教えていただければと思います。来年の秋以降に新しい事業をする予定です。将来的な見通しをつけたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

前回の回答にもありましたように、リンパ節転移が認められますと、術後補助化学療法が薦められます。そのときには、アドリアマイシン系とタキサン系を含む治療を行う事が多いです。しかし、病理結果や合併症や年齢などを考慮して術後補助化学療法の薬剤を選択します。
再発率、生存率ですが、リンパ節転移が少ないと再発する可能性は低いと思われますが、組織型やその他の因子も含めて考慮されます。将来的な事もお考えのようですので、やはり一度主治医の先生と具体的にお話しされるのがよろしいかと思います。お大事になさって下さい。(文責 藤田)

 

No.5734-1】  06年09月13日    M.M.
手術後の治療について

初めてご相談いたします。65歳の主婦です。10年前より乳頭変形があり、専門医に受診しました。良性腫瘍と診断をうけ安心致しておりましたが、検診にて右側に乳がんがみつかり、2005・1月に乳がんの全摘を受けました。腋下リンパ節を切除し、病理検査の結果印環細胞癌と診断をうけ、「腫瘍が3センチ以上でリンパに転移なしだが、癌細胞が悪性のため化学治療をしましょう」と言われ、同年5月よりアドリアシン90mgとエンドキサン900mg4週に一度の4回受けました(白血球が1100ぐらいまで下がるため)。一年後、大腸・胃・その他全部検査した結果、転移してないようです。手術後よりアロマシン25mgをずっと服用しておりました。副作用は何もなかったのですが、2〜3ヶ月前より手術した方の手の先端中指が痺れて感覚が無くなってきました。主治医に相談しましたら整形外科の受診を薦められましたが、納得できなくご相談いたしました。乳がんの治療をしている人から副作用ではと聞き不安になりました。
1)アロマシンの副作用と代わりの薬がありますか?
2)印鑑細胞癌の再発状況(全国で37例しかないと聞いております)

以上2点の返信をよろしくお願いします。

アロマシンなどのアロマターゼ阻害剤には副作用として関節痛が起こることがあります。両側で全部の指が痛い場合は、アロマシンの副作用の可能性も高いと考えられます。あなたの場合は片方のしかも中指だけなので、薬剤などの影響よりは、指そのものの関節や筋肉、神経など局所的な原因によるものの可能性のほうが高いと考えられるので、まず整形外科をお勧めされたのだと思います。薬剤にはよい作用がある反面、ある程度の副作用は必ずあるものです。副作用が出ることが問題ではなく、副作用が「耐えうる」ものかが問題なのです。もし耐えうる範囲以上の副作用が出た場合は、代わりのお薬としては他のアロマターゼ阻害剤(アリミデックス、フェマーラ)、あるいはタモキシフェン(ノルバデックス、タスオミン)が選択肢となると思います。
印鑑細胞癌は、まれな組織型で、私も実際の症例を経験したことはありません。文献的には他の組織型よりやや予後不良の傾向はあるようですが、症例数が少ないのではっきりしたことはいえません。(文責 俵矢)

 

No.5734-2】  06年09月30日    M.M.
印鑑細胞癌の情報について

先日ご指導頂いたM.M.と申します。ご指導頂いた様に両手の先端がしびれて麻痺してまいりましたので、主治医の先生にもう一度症状を詳しくお伝えして、薬をアリミデックスに変更して頂きました。先生は快く変更して下さり、心配して頂いています。現在、大阪の端、京都に近いところに住んでいまして、病院も中ぐらいで外科の診療を受けております。印鑑細胞癌の症例も少なく不安な部分もあり、困っております。DRに関しては、とても良い先生で何でも相談出来、頼りにしています。現在症例が少ないため、今後どのようになるのか、何年生存できるか、不安ばかり先立ちます。何か情報をお知りでしたら、ご返答いただけたら幸いです。お忙しい折、申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

やはり症例数が少なく通常の乳癌と違い十分なデータの蓄積がないのが現状です。消化管や卵巣などに転移することが通常の乳癌に比較して多いとの報告もありますので、定期的な検査でフォローアップされるとよいのではないでしょうか。(文責 浜口)

 

No.5733-1】  06年09月13日    M 
術後のスケジュールについて

今月末の9月26日に温存で右乳の乳癌摘出手術を受けるものです。腫瘍は1センチより小さく、恐らく8ミリ程度という事です。仕事を中心の生活をしておりまして、復帰のことが気になっております。入院数は3泊4日、退院後自宅療養として5日を確保して、10月4日に職場復帰するスケジュールにしております。この予定に無理はないでしょうか? また、11月12日から1週間ほど海外出張の予定が入っておりますので、放射線治療は帰国後という事になっています。 放射線治療は手術後7週間もあいてしまいますが、治療結果に影響はありますか? また、放射線治療に入るまでに、化学治療又はホルモン治療を行うという治療計画を先生からアドバイスいただいておりますが、それらの副作用によって海外で体調が悪化する可能性は高いですか? 先生は「副作用はそれほど強くないから大丈夫」とおっしゃってくださっていますが、HPからいろいろな情報収集をしますと、かなりの高い確率で強い副作用がでると読みました。今回の出張は数人のお客様を随行する出張なので、現地で寝込むようなことがあったら大変、 最初から同僚にかわってもらうべきか悩んでいます(できればあまり職場に迷惑をかけたくないので、本当は自分で行きたいです)。 大変厚かましいご相談と思いますが、先生のアドバイスを伺えれば是非参考にさせていただきたく、お願いいたします。どれも経験したことがないことばかりなので、どれくらいのマージンを取って仕事と治療を両立させたらいいのか戸惑っております。長い治療になると思いますが、仕事をしないと治療費も払えないので両立はMUSTなのです。

おそらく通常は大丈夫なスケジュールだと思いますが、術後の体力の回復には個人差があり、また仕事がどのくらいハードなのかにもよると思います。海外出張についてはホルモン療法を行っているだけであれば、問題なさそうです。がしかしこれも個人差があって、ホルモン療法の副作用として更年期障害のような症状が多かれ少なかれ出ますが、これがかなりつらいという人もいるにはいます。また化学療法を行っている最中だと化学療法の内容にもよりますが、海外で調子を崩すことも十分考えられます。
治療法にはいろいろな選択肢があり、病状と個人のライフスタイル、体力などを鑑みて決定します。ただし、術後療法は「再発予防」の治療としては大変重要であり、術後の今の時期に適切に行っておくことで効果を最大限に発揮します。ですから、今の時期は多少仕事を融通しても、治療優先でスケジュールを組み立てていくほうが、結局長く仕事を続けていけることにもなると思います。主治医の先生とよくお話になって、いまのあなたの病状と状況で何がベストかを、よく考えて決めてください。
仕事をどう調整するか考えるにあたっては、化学療法も行う場合とホルモン療法単独の場合では当座の状況がまったく異なってきますので、とりあえず術後補助療法の内容が決まるまで余裕をもっておくほうがよいかと思います。(文責 俵矢)

 

No.5733-2】  06年09月18日    M 
腫瘍の大きさと今後の治療について

当初エコーで診断された結果は7ミリということでしたのに、先日MRIの検査結果後、腫瘍の大きさは1.5センチ位と言われました。エコーとMRIではそんなに大きさが違って見えるものなのでしょうか? 7ミリと1.5センチは倍ですから、大きな違いがあると素人的には思います。心理的印象もかなり違うので落ち込んでいます。最初の診断を疑うわけではありませんが、急に乳癌が成長することはないとこのHPで学んだものの、一方で検査の度にどんどん腫瘍のサイズが大きくなって、当初は、「本当に初期だから99%大丈夫よ」、なんて簡単に安心させるようなことを言われながらも、病院に行き検査が進むたびに大きさが大きくなっていき、化学治療の可能性の話などがでてくると、実態はもっと深刻なのではと思ってしまいます。なんだか落ち込みが激しく、実際のところは私はどのステージなの?と、心が休まるときがありません。先生、教えてください。1.5センチの腫瘍のリンパ転移率はどれくらいですか?(7ミリの時は10%と言われました) 手術前にセンチネルを行う予定にはなっています。とても怖いです。それから、今の段階で心構えをしておきたいので教えてください。ホルモン療法と化学治療の両方を行わなくてはならない場合、その化学療法の内容というのは、化学療法だけを受けていらっしゃるホルモンレセプターが陰性の方が受ける化学治療と同じ内容になりますか? 最後に、77ミリと1.5ミリの腫瘍の大きさの違いは医学的に見て予後が大きく違ってくるものですか? 先生のお返事を支えにしています。どうぞよろしくお願いいたします。

乳房温存術を行う場合、乳管内進展や多発病変がないかを調べるためにMRI検査を行うことがあります。乳管内進展とは乳癌のしこりが周囲に根を張っている部分と考えてください。この根の部分は超音波で発見できることもありますが、見えにくい場合も少なくありません。その点、MRIのほうが感度は高いので、超音波では分からなかったしこりの周囲に根が写ってくることがあります。ただし、感度が良すぎるという欠点もあり、時々前癌病変の部分(癌になりきっていない部分)も感知してしまうことがあります。もう少し専門的に言うと、しこりの部分を浸潤癌、根の部分を非浸潤癌、前癌病変の部分を異型乳管過形成といいます。手術で完全に切除する必要があるのは浸潤癌と非浸潤癌の部分です。最終的な進行度(病期)は、手術標本の中で浸潤癌の占める大きさで決定します。術後治療は病期(腫瘤の大きさ)、リンパ節転移、ホルモン感受性の有無などで選択するため、現時点で、どの術後補助療法になるかの推定は難しいと思います。大きさ7mmの浸潤癌ならば腋窩リンパ節転移の可能性は10%以下です。1.5cmであれば20%程度と考えられます。もし、全体が非浸潤癌であればリンパ節転移は1%以下になります。
化学療法を行う場合は、ホルモン感受性がない人に使う抗癌剤と同じ薬剤になると思います。その場合、11月の海外出張から帰って治療を開始するか、治療を早めに開始して海外出張を他の人に代わってもらうかの、いずれかを選択することになると思います。「両立すべきMUST」の中でも、貴女にとって何が一番重要であるのか、主治医と相談しながら順位付けをして治療に臨むようにしてください。(文責 千島)
 

 

No.5732】  06年09月13日    C.H. 
リスク因子

リスク因子についてお伺いします。ホルモン感受性は、癌の発生から不変なものなのでしょうか? 細胞には元々女性ホルモンがあるが、細胞分裂が進むとなくなる、だからホルモン感受性がないということは、異型で悪性度が高いという話を聞いたのですが…。「ホルモン感受性がない」ことが再発のリスク因子になっているのは、どのような理由なのでしょうか? また「35歳以下」もリスク因子に挙げられていますが、なぜでしょうか?

ホルモン依存性は変化することもあります。最初はホルモン依存性があって(ホルモン受容体陽性)も、乳がんの進行と共にホルモン非依存性(受容体が陰性)になって、ホルモン療法が効きにくくなることもあります。
リンパ節転移の数が多い、ホルモン受容体が陰性(感受性がない)、腫瘍の大きさが大きい、発症年齢が若い症例は、そうでない症例に比べ、乳がんが再発する確率が高いことが知られています。そこでこのような因子を「再発のリスク因子」としています。リスク因子には、そのほかHER2タンパクの過剰発現や組織学的異型度などが上げられています。(文責 俵矢)

 

No.5731】  06年09月13日    K.S.
今後の治療方法について(2)(HPNo.5605-2)

8月7日(HPNo.5605)、丁寧なご回答ありがとうございました。前向きに治療に取り組もうと思います。お忙しいところ恐縮ですが、更に質問させてください。その後、リンパ郭清レベルIIまでの手術を行いましたが、新しく転移は見られませんでした。それで、センチネル二つのうち一つに1ミリ以下の微小転移ひとつを念頭において治療を始めることになりました。来月早々より化学治療(多分CEF)が始まる予定です。また、別のところで職場の定期検診をうけたところ、側湾症、および白血球低下(約3000)と指摘されまして心配しております。この結果つきましては、手術(7月)後すぐだったので、仕方ないことなのでしょうか。或いは骨転移かなにか進行している可能性があるのでしょうか。背中にこりのような鈍痛があります。ご教示いただけましたら幸いです。

側湾症はおそらくもともとあったのでしょう。手術の前におそらく骨の検査もしているでしょうから、骨転移は考えにくいかと思います。白血球3000は化学療法前にしては少し低目ではありますが、許容範囲内だと思います。治療前でもありますので、上記のことは主治医の先生にきちんとお話してくださいね。(文責 俵矢)

 

No.5730】  06年09月13日    S.K.
線維腺腫

20歳の大学生です。高校3年の時に3cmほどの良性の線維腺腫が見つかったのですが、受験もあったのでしばらく様子見し、結局約6cmになって、全身麻酔で除去しました。2年ほど経つのですが、手術した方とそうでないほうの胸の大きさが、あまりに違ってきているので悩んでいます。執刀の先生には「若いから元に戻る」と言われましたが・・・。腫瘍を取り除いたことによって、乳房の成長って変わってくるものなのでしょうか? もう2度と胸を切りたくない・・・と思うと、不安で悲しくなってきます。検査にも術後一度も行っていません(行かなきゃ、とはわかってはいるのですが・・・)。線維腺腫は再びできることも、ままあると聞きました。乳がんとは無縁でしょうか? 怖いです。2年前は「原因もはっきりしていないから予防もできない」と言われました。状況は変わっていないのでしょうか? たくさん尋ねてしまいました。ご返信、待っております。

たしかに線維腺腫が多発することもよくあります。乳癌と線維腺腫はあまり関係がないので安心してください。大きさが違うということですが、またできたのでは?と悩んでいるよりは、早めに受診してみることをお勧めします。(文責 俵矢)

 

No.5729】  06年09月13日    M 
膠原病と胸の痛みとの関係は?

36歳、1児の母です。昨年の12月にシェーグレン症候群(膠原病)と診断されました。今は漢方薬を飲んでいます。その病と関係しているのか気になり連絡させて頂きました。この一週間くらい前から、右胸の痛みというより乳首の痛み、乳輪の痛み・腫れがヒドイのです。痛くて乳首に触る事もできません。今まで気にしていませんでしたが、両方の乳輪に出来物があります。前に少し痒かった気がします。今は痒みなどはなく、何個か少し色が茶色っぽいです。もうじき生理になります。ホルモンのバランスなら良いのですが・・・。こんな症状は初めてなので、もしかして病がリンパ腫に合併したのか不安になり、こちらのサイトに出会えました。今は2ヶ月に1回、膠原病内科に通っています。検査するなら、何科にかかればよいのでしょうか?アドバイスを宜しくお願い致します。

乳頭のただれで発症するPaget病という特殊なタイプの乳癌もありますが、あなたの場合は年齢がお若いのと両方にできているとのことなので、どちらかというと「がん」は否定的かなと思います。乳頭乳輪の腫れとのことで、乳頭部の皮膚炎か、乳輪下膿瘍といった炎症を起こしてくる病気を考えます。「外科」で乳腺外来を設けているところ、あるいは「乳腺科」を受診されることをお勧めします。まず現在かかっている主治医に相談してみて、どこを受診すればよいか相談なさって、主治医の紹介状をもって受診なさるとよりよいと思います。(文責 俵矢)

 

No.5728-1】  06年09月13日    M 
ホルモン治療と閉経について

妻は44歳です。4月に乳癌の摘出手術を受け、温存治療で左乳の1/4位とリンパにも微量に転移していたと言う事で、2〜3本のリンパ腺を取ったとのことです。術後4回の抗癌治療と5週間の放射線治療を受け、この後、「ホルモン治療」を5年間受けていくというスケジュールでしたが、妻が閉経状態になった為、ホルモン治療一端中止という判断がくだされました。妻も私も治療の一つができない状態になったのだから「良くないことになったのでは?」と心配しております。どういう風に判断、心構えをすればよろしいのでしょうか、お教えください。よろしくお願いします。

44歳女性でホルモン療法5年間ということであれば、タモキシフェン(商品名;ノルバデックス、タスオミン)を内服していたのでしょうか。ホルモン療法は、閉経前、閉経後に合わせた治療があります。治療を一旦停止して他の薬に切り替えるということなのでしょうか。文面からは判断つきかねる部分があります。奥様もご主人も状況がよく理解できていないようなので、主治医に説明を求めたらよいと思います。ご自分の治療のことなのですから、遠慮はしないで主治医に質問してみてください。(文責 俵矢)

 

No.5728-2】  06年09月18日    M 
ホルモン治療と閉経について(2)

返信ありがとうございました。治療を一端停止とか薬を変えるとかではなく、するはずだったホルモン治療が閉経状態なので、今できなくなったと言う事です。この状況が悪い事なのではないかと心配しています。担当の先生に聞くのも何だか結果が恐くて聞けないでいます。それで、メールさせていただきました。どうか懲りずにお返事ください。

まず、リンパ節にも転移があったようなので、ホルモン剤治療を継続するほうが良いと思います。通常、閉経状態で使用できなくなるホルモン剤というのは、注射によるホルモン治療(ゾラデックス、リュープリン)のことだと思います。抗癌剤治療で一時的な閉経状態になった場合、注射のホルモン剤は一時中止して、内服のホルモン剤(タモキシフェンなど)を使用する場合が多いと考えます。しばらくして月経が再開すれば注射剤を再開することもあります。決して「状況が悪くなった」ということではないので、安心して主治医に相談してみるのが良いでしょう。(文責 千島)

 

No.5727-1】  06年09月13日    Y.K
粘液癌の再発治療について

宜しくお願いします。
2001、2月、右全摘、ホルモンレセプターマイナス、リンパ節転移無し、粘液癌。術前、術後にタキソール投与しました。
2005、4月、右肺(胸膜?)転移、胸水を抜いて、ファルモルビシン、エンドキサン投与を12回、上がっていたマーカーCEAが基準値になったのと、癌はやや小さくなった事、抗癌剤の許容範囲もあり、一時休薬しました、3ヵ月後胸水が急激に溜まり、又抜きました。次の抗癌剤をTS−1ということで始めましたが、副作用が強く半分しか飲めません(一日50mg)。他に使える抗癌剤はナベルビンと言うことです。出来るなら今の抗癌剤を試したいと思います。抗癌剤が効きにくい癌、タキソールが使えない(効かなかったので再発した)と言われましたので、TS−1に期待しています。量を半分にして、胸水が溜まるようでも効果が有ると判断出来るには、どのくらいの投与期間でみなしたら良いでしょうか? 後、ナベルビン以外に使える抗癌剤は有るのでしょうか? 肺の回りに癌が有ると言われましたが、放射線、手術などは出来ないのでしょうか? 以上の事、宜しくお願いします。

他に使える抗がん剤としては、ゼローダ、タキソテールなどがあります。また術後タキソールを使用してから4年経過しているので、タキソールをもう一回というのも選択肢にはいってくると思います。抗がん剤の効果は1−2ヶ月みて、どんどん胸水が増えてくるなら、あまりないと判断されるでしょう。この状況では手術療法はあまり効果がないかもしれません。放射線療法は場合によっては適応となることもありますが、胸水がたまってくる現在の状況では、病変は肺をとってすむものではありませんので、薬物治療を優先させるほうがよいでしょう。ここで述べているのはあくまでも文面だけから判断して一般的なことをのべているに過ぎません。特にがんの再発の治療は、個々の症例によってかなり異なってきますので、主治医の先生にもよくお話を聞いてみてください。(文責 俵矢)

 

No.5727-2】  06年09月19日    Y.K
再発後の無治療について

先日HPNo.5727でご回答頂きました。ありがとうございます。又お聞きしたいことがあり、宜しくお願いします。先日診察しました所、3週間で同じように胸水が溜まっていて抜きました。TS−1が全部飲めず、10錠残してしまった事を申したら、決まった量を飲まなければ効果がわからないとの事で、昨日から2回目(2週飲んで1週休み)を飲み始めました、今回これが飲めない、あるいは効果が無いなら、ナベルビン+ゼローダで最後の治療だそうです。他の患者さんのお話だと、(その方は初めから転移があったようですけど)術前1年抗癌剤治療(アドリアマイシンの動注もやったそうです)をして、術後すぐ転移したそうですけど、タキソールがだめならタキソテールとあらゆる抗癌剤プラス放射線をやり尽くし、今はハーセプチンのみだそうです(3年治療しているそうです)。同じ病院で、なんで私は3種類の抗癌剤で終わりなのか?(放射線はだめだそうです) 粘液癌は、やっても無駄だからなのでしょうか? タキソールをもう一度と言うのは可能性が低いとも言われましたが(希望するならやってもらえるそうです)、タキソテールは話にも出てきません。再発しても何年も治療している方は、薬が効くタイプの癌だからなのでしょうか? こんなに早く治療を打ち切ってしまって良いのか、あるいは効果が無い治療はすべきでないか。主治医以外の先生のご意見をお聞きしたく、宜しくお願いします。

非常に難しいところです。一般に抗癌剤を投与する場合は、今まで使ったものとは異なる作用機序のものを選びます。主治医はタキソール(パクリタキセル)とタキソテール(ドセタキセル)は、非常に近いタイプの抗癌剤なので選択肢からはずしたものと思います。しかし、タキソールで効果が無い症例でもタキソテールに反応する場合もあるので、全身状態が良好であればタキソテールを試してみるのも選択肢だと思います。ただし、ナベルビンやゼローダと比較して、タキソテール(特に高容量)では副作用が強く出るので注意が必要です。ハーセプチンの使用に関しては、HER2が強陽性であることが条件となります。もう一度主治医にHER2の結果を確認してみてはいかがでしょうか。(文責 千島)

 

No.5726】  06年09月13日    H.W. 
再受診の必要性

43歳です。13歳と8歳の二人の子供がいます。7月初め、町の検診(マンモグラフィー)を受けました。約2週間後、精密検査を受けるよう連絡がありました。それから約2週間後、近くの医大病院を受診しました。マンモグラフィーと超音波検査を受けました。マンモグラフィーで、左の乳房の上側に丸い影が確認できるものの、超音波では確認できなかったので、癌ではないでしょうとのことで、「半年後、もう一度検査しましょう」ということになりました。その時は、ほっとしたのですが、1週間くらい経ったとき、左の胸が筋肉痛のように痛くなることがありました。そういえば何ヶ月か前、同じような痛みがあったなぁと、その時思い出しました。最近、左の乳房が張っているように感じますし、大きさも左のほうが大きくなっています。医大を受診してから、3週間しか経っていませんが、受診したほうがいいのでしょうか?それとも、もう少し様子をみたほうがいいのでしょうか?

受診したときより、左のほうが大きくなっているということでしたら、もう一度、受診されている医大病院へ受診してみたほうがいいと思います。その結果大丈夫かもしれませんが、不安な気持ちでいるよりも遠慮せず受診してみてください。(文責 俵矢)

 

No.5725】  06年09月13日    S.S.(アメリカ在住)
ホルモン療法

約1年ほど前に温存手術をして、4クールの化学療法(AC)、放射線治療を終えて、今タモキシフェンを服用して約半年になります。3回目の化学療法の後から止まっていた月経が突然また始まったのですが、ホルモン療法中でも(エストロゲンの生産をおさえていても)排卵は起こるのでしょうか? 年齢は今年の6月に40歳になったところです。腫瘍の大きさは1.5cmで、リンパ転移はありませんでしたが、母親が乳がんで早く亡くなっているので、なるべく有効な治療がしたいと思っています。タモキシフェンではなく、LH−RHアルゴニスト製剤などの閉経前に有効なホルモン剤に変更したほうが再発の可能性が低くなるでしょうか? 回答お待ちしています。

まずタモキシフェンはエストロゲンの生産を抑える薬ではありません。タモキシフェンはエストロゲンとすこし似た構造をしていて、乳がん細胞のエストロゲン受容体にエストロゲンが結合するのを邪魔して効果を発揮します。おそらくあなたの場合は、ACによって卵巣機能が抑制されて無月経となっていたのが、ACが終了してしばらくたって卵巣機能が復活してまた月経が再開したものと思われます。変更するというより、LH−RHアゴニスト製剤(エストロゲンの合成を抑える)を追加したらよろしいかと思います。主治医の先生と相談なさってください。(文責 俵矢)

 

No.5724-1】  06年09月13日    K.H. 
乳首近くのしこり

先日、ステージT、大きさ1.3cmの乳癌が見つかりました。場所が乳首の真後ろにあるために、主治医は乳房全摘との診断でした。脇のリンパに転移している可能性は低いので、センチネルリンパ生検で行うとの事でした。念のために他の病院でセカンドオピニオンを受けたら、「乳首は取らないといけないが、胸のふくらみは残せる」との事でした。生存率は温存でしても全摘にしても変わらないとの事です。病院は全摘しか方法がないので、セカンドオピニオンの意見はまったく聞き入れないし、治療方針を変える事は絶対にないと言われました。どちらの意見が正しいのでしょうか? 温存した場合は、かなり大きさは小さくなりますか? また、乳首の再建について詳しく教えていただけないでしょうか?

どちらが「正しい」というのは難しいですが、乳頭の真後ろにあって1.3cmということなので、私もセカンドオピニオンの意見と同じ意見です。治療方針について食い違いが見られた場合、もとの病院の先生の意見に納得できず、セカンドオピニオンの病院の方針のほうがよいとあなた自身が思ったならば、納得できる治療方針を提示した病院で治療をうけるのがよいと思います。
乳頭の再建については、反対の側の乳首や、股の付け根の色のついた皮膚を移植する方法や、刺青のように色素をいれる方法などがあります。施設によって得意な方法があると思うので、治療をお受けになる病院でもよくお話を聞いてください。(文責 俵矢)

 

No.5724-2】  06年09月18日    K.H. 
しこりの痛み

先日ご相談にのっていただき有り難うございました。8月初めに乳ガンと診断されて転院したため、手術が10月の予定になっております。ずっとしこりに痛みがあり、脇にもたびたび痛みがあります。検査結果では、リンパに転移している可能性は少ないとの事ですが、不安です。病院では「精神的な部分もあり、薬もないから我慢するしかない」と言われました。毎日大きくならないか不安です。それと、5月にクラミジアで産婦人科にかかり、最近またおりものが黄色くなっているので病院で診てもらいたいのですが、手術前にクラミジアの薬を飲んだらだめでしょうか? どうぞご意見宜しくお願いします。

乳癌の診断を受けた後、「乳房から脇にかけて痛みを感じるようになった」とおっしゃる方は少なくありません。大きなリンパ節転移がない限り、ほとんどが「気の持ちよう」で感じる痛みだと思います。あまりひどい痛みならば、鎮痛剤を試してみても良いと思いますが、多くの場合は経過観察で大丈夫です。クラミジアの薬(おそらく抗生物質)は術前に服用しても問題ありません。(文責 千島)

 

No.5723】  06年09月13日    M 
術後療法の選択について

8月4日に乳房温存手術を受けました。病理の結果に基づいて術後の治療を選択するようにとのことです。「放射線治療+ホルモン治療」か、これに抗ガン剤治療もプラスしたほうがよいのか、迷っています。抗ガン剤治療をプラスした場合の再発、転移の確率とホルモン治療のみの確率を教えてください。年齢は48歳、閉経前です。
病理の結果 :
1)Macroscropic type: localized type  size: 20×13o  locus:rt A 
2)Histological type: Invasive carcinoma  Histolozical subtype: Scirrhouse carcinoma f(+) s(-) p(-) w(-) ly(-) v(-) ductal spread:positive 
surgical margin: negative
3)Histological Grade2 degree of architectual grade:2  degree of nuclear grade:2 degree of mitotic figures:1(low:<5/10HPF)
4)Node involvement:n(-),total 0/12 right axillary nodes(-) 0/12
5)Related lesion:mastopathy with fibrosis,cysts and duct papillomatosis
6)Other findingd:not found
7)Comment:一部で腺管形成を伴う不規則な充実性胞巣を形成するcarcinomaで、周囲にcarcinoma patternを示すductal spreadを伴っています。場所によってはscirrhhouse patternを示す浸潤部を認めます。Solid-tubular carcinomaとの鑑別を要する部分も認めますが、周囲に浸潤性増殖をしめしており、既存の組織亜型にあてはめるのがやや困難な病変でありますが、ここでは上記とします。病変中心部では瘢痕形成をしめす部分がやや広く認められます。HER-2(-) 内分泌反応性 

まず、数字はあくまで目安でしかないことをご理解いただきたいと思います。この場合再発率というと、10年で考えると15−20%程度と思われます。ホルモン療法をすることにより再発する確率は7−8%くらい確率が下がり、化学療法を追加することにより4−5%くらいといったところだろうと思います。化学療法をしたから絶対に再発しないというわけではありません。数%の確率を上げるためなら少しでもがんばろうと思われるか、それとも数%の確率のためにつらい思いをしたくないか、個人によってそれぞれ考え方が違うと思います。ですから主治医の先生とよくお話になって、あなたが最もよいと思われる方法を選んでください。(文責 俵矢)

 

No.5722-1】  06年09月13日    IY 
咳がひどいのですが、肺転移?

今日、がんセンターへ行きました。1年ほど前から咳がひどく、喘息か、アレルギーによるものと思っていましたが、胸に5センチのしこりが・・・。エコーの時に気がついたのですが、腋の下にもしこりがあります。しこりに気づいたのは3週間程前でした。乳癌かもというだけでもパニックなのに、すでに末期なのでは? 頭が真っ白です。マンモグラフィーをし、しこりの中に石灰化が認められます。痛みもあるので、とても不安です。針生検、骨シンチなどはこれからです。咳がひどいと肺転移なのでしょうか? 不安でたまりません。検査に日にちがかかり、確実な結果が出るまで2週間かかります。わかる範囲で教えていただければと思います。手術できる範囲なのでしょうか。年齢は59歳です。

咳が出たからといって必ずしも肺転移というわけではありません。喘息やアレルギー性の咳という場合も多いでしょう。ただ胸にしこりもあるので、しっかり調べておく必要はあります。癌か癌でないか、手術で治療するのがいいのか、肺転移があるのかについては、検査結果をみて判断することになります。不安なお気持ちは大変よくわかるのですが、がんセンターできっと十分な検査が組まれているでしょうから、検査結果が出るのを待ってくださいね。(文責 俵矢)

 

No.5722-2】  06年09月22日    IY 
手術か、術前化学療法か?

前回、HP5722で相談さていただきました。59歳、閉経しました。検査の結果、硬がん。腫瘍は左胸乳首に近く、4.8センチ。腋リンパ節転移あり、臓器への転移はなし、グレード2、ハーツー2+、ER 2、PGR3。「ホルモン療法・ハーセプチンはあまり効果なし。術前化学療法をしても、しなくても乳首に近いので全摘、リンパ節郭清をした方がよい」と言われました。
1) 「術前化学療法で腫瘍を小さくし、リンパ節転移した物も小さく?なってから手術した方が、手術後の後遺症が楽なのでは?」と聞いた所、「この位だと、先に切ってしまう人の方が多いですよ。全摘した方が再発の心配も少ないです。先に抗がん剤をするか、術後にするかの違いです。」と言われたので、手術を希望したのですが、自分の中でなんとなく受け入れられません。年齢も59歳なので、術前化学療法は、結局全摘ならやっても無意味なのでしょうか? 腫瘍も大きいので、全摘は仕方がないとは思いますが、リンパ郭清をして、術後のリンパ浮腫などの後遺症が心配です。術後の後遺症が少ないのは、術前化学療法・手術どちらなのでしょうか?
2) また、先生がセンチネルリンパ生検の事も、少し話していたようですが、腋転移が濃厚な場合には、必要ないのでしょうか? リンパ節をどのくらい郭清するのかは手術してみないと分からないのでしょうか?
3) 術後抗がん剤治療はするようですが、放射線治療はしない様です。癌の状態によってする・しないがあるのですか?

よろしくお願いします。

1) 術前化学療法の効果によっては、温存の可能性もあります。リンパ節郭清については、術前に転移が考えられる場合には、術前化学療法をしても通常は行います。術後の後遺症は同じです。
2) 術前化学療法後のセンチネルリンパ節生検は、まだ確立していませんので、郭清するのが標準です。郭清の範囲は、術中、転移が疑われるリンパ節がないかどうかで判断します。
3) 全摘でも、腋窩リンパ節転移が4個以上あると胸壁やリンパ節に放射線をあてるのが標準です。(文責 徳田)

 

No.5722-3】  06年10月21日    IY 
術後療法について

HPNo.5722でご相談させていただき、10月5日に左乳房全摘出しました。丁寧なご回答、ありがとうございました。術後療法についてお聞きしたいので、よろしくお願い致します。
病理組織診断
Left Upper−inner−quadrant of breast,operation:
    Invasive ductal carcinoma,scirrhous carcinoma 「c502 m8141/3]   
Left Lymph nodes of axilla or arm,operation:
    Metastatic carcinoma [c773 m8010/6]
<所見> 
小凹凸状、毛羽立ち状の辺縁を示すが、境界明瞭な腫瘍結節が形成されている。同部では、クロマチンの増加と中型〜肥大した核小体、大小不同傾向を示す腫大した卵円形〜括れを持つ核と多辺形のやや豊富な好酸性胞体を持つ腫瘍細胞が壊死物、石灰物を囲む大小の円形胞巣や小腺腔、索状様配列を含む歪な島状胞巣、小胞巣を形成しながら蜜に増殖している。核分裂像が安易に認められる(27個/10HPF)。
間質の増生、硝子化を伴っており、程度の強いところでは、胞巣の小型化、解離を示す。
脂肪織への湿潤、脈管内しん侵襲を伴っている。部分的に周囲に管内進展が見られる。

[Lymp node]
(Level−T):1/2,Tumor size/LN size=2.2x1.8cm/2.4x1.8cm
(Level−T):0/10
合計(1/12)
operation:mastectomy、 Location: Left,A、 size:1.5x3.5cm、 
Histological type: invasive carcinoma,scirrhous carcinoma>papillo−tubular carcinoma
Intraductal Component:(+), Cribriform   Ductal spread:(+),focal,Comedo
Invasion: g,f    Lymphatic permeation: ly2     Venous permeation: v1

Lymph node metastasis: (+), 1/12
Nuclear atypia: 2 Mitosis: 3 Nuclear grade: 3
HER-2 score: 3+
ER(PS): 0 ER(IS): 0 ER(TS): 0
PgR(PS): 0 PgR(IS): 0 PgR(TS): 0
という結果でした。

英語のところはよく意味がわからないのですが、ホルモン感受性が全くなく、グレード3、HER-2 3+で、予後が最悪の癌なのでは・・・と、心配しております。主治医の先生は、「アントラサイクリン系3週間に1度4回、タキサン系3週間に1度4回」の抗癌剤を行うという説明でした。
そこで質問なのですが、
1) ハーセプチンは再発乳癌に適用と言われたのですが、効果があるなら再発前に試したいのですが可能ですか? 保険適用外だそうですが、金額はいくらくらいかかるのでしょうか? すべての医療施設でハーセプチン術後療法は可能ですか?
2) ハーセプチンを使った場合、どの抗癌剤との組み合わせが良いのでしょうか? その組み合わせをどのくらいの量、どのくらいの頻度で投与すれば効果が高いのでしょうか?
3) もしハーセプチンを再発前に使用した場合、再発後には使えないのでしょうか?
4) 病院で制吐剤PALOの治験(第3相試験)カイトリルとの比較をお願いされたのですが、どうなのでしょうか?

再発だけは避けたいと思っています。10月23日に治療方針の話があるので、先生方もお忙しいでしょうが、それまでにご回答いただければうれしいです。よろしくお願い致します。

1)  ハーセプチンは再発乳癌で使用するものですが、最近ではリンパ節転移が多数存在する進行例でも行われることがあるようです。あなたの場合、リンパ節陽性個数は1個ですので無理だと思います。自費では一回7万位でしょう。
2)  通常タキサン系の薬剤やビノレルビンと併用いたします。再発に使用しますので毎週2mg/kg可能な限り行います。どの位使用したら良いというデーターはありません。
3)  そんなことはありません。
4)  カトリルは標準的な制吐剤で、それと比べ新しい制吐剤の効果が優れているかの試験ですので、説明を受けて納得ができたら積極的に参加してください。(文責 吉田)

 

No.5722-4】  06年11月06日    IY 
ハーセプチンの治療について

HPNo.5722-3で相談いたしました。丁寧なご回答、毎回ありがとうございます。術後化学療法にハーセプチンを使う事になりました。ただいま、CEF3週間に1度4回の治療中です〔1回目終了〕。その後、タキサン系3週間に1度4回の抗癌剤を予定しております。ハーセプチンは抗癌剤治療終了後、1年間毎週投与するとのことです。
1) ハーセプチンはタキサン系と併用すると効果が高いと本で読みましが、抗癌剤終了後で良いといわれました。併用と単独投与は、どちらが優れているのですか? また、どちらが一般的なのでしょうか?
2) ハーセプチン治療をするのには、タキサン系抗癌剤〔タキソール、タキソテール〕は、どちらが良いのでしょうか?
3) タキサン系抗癌剤は3週間に1度より、1週間に1度の方が副作用は少なくすむと言われたのですが、治療的にはどちらが効果的なのでしょうか?

自分でも、これからの治療を頑張って行きたいと思います。副作用の事もあるとは思いますが、一番効果の高い抗癌剤治療の仕方を教えていただければと思います。お忙しいとは思いますが、よろしくお願いします。

1) ハーセプチンはタキサン系抗癌剤と併用すると確かに効果は高く、併用されることの方が多いようですが、抗癌剤終了後も単独で投与されています。最近の傾向として、同時にではなくて順次投与することも行われています。
2) タキソール、タキソテールに明らかな優劣はないと思います。
3) こちらも明らかな差はなく、同等と考えられます。

有効な抗癌剤と投与の方法は、個々によって異なります。実際に施行してみないとわからない一面もあります。(文責 石川)

 

No.5721】  06年09月13日    M
乳癌検診について

28歳女性ですが、乳癌検診を受けたいと思っています。特にしこり等の自覚症状はありません。検診の種類は、視触診やエコー、マンモグラフィーと様々ですが、年齢によって適した検診方法があるのでしょうか。人間ドックに行く時に受けたいと思っていますが、複数の検査を併用したほうがよいのかも迷っています。ご意見、よろしくお願いします。

20歳代ということなので、エコー検査かマンモグラフィか、どちらかひとつを選ぶ場合はエコーを選んだほうがよいと思います。もし両方を選べるのならばマンモグラフィも一度受けてみてはいかがでしょうか。(文責 俵矢)

 

No.5720】  06年09月13日    H,H
乳首から茶色いねとねとした分泌物

29歳既婚。出産経験はありません。現在妊娠の可能性も有りません。18歳の頃から、乳房から白い(少し透明な液も混じった)分泌物が出ます。初めはブラジャーの内側に小さなシミがあることで気づきました。痛みなどは無く、絞らなければ出ない程度のようだったので、最近まで気にせずにいました(たまに絞ってみると『あ、まだ出るんだ』という感じでした)。ここ1〜2年の間に、左乳房の分泌物に茶色い液体が混じることがあるようになりました。婦人科を受診。プロラクチン値は正常範囲でした。お医者様が絞る時は出なかったのですが、帰宅後自分で乳首を絞ると出ました。ずっと血だと思っていたのですが、今日よく見てみたら、ねとねとしていました。指で触ると伸びてついてきます。乳房を触診していただいた感じでは、しこりなどはないとのことでしたが、乳癌の症状でしょうか。茶色い液体が出てくる場所は決まっているように見えます。

必ずしも乳がんであるとは思いませんが、可能性は否定できません。乳腺外来に受診していただいて一度診察受けてみてください。(文責 俵矢)

 

No.5719-1】  06年09月13日    k子 
術後の治療について

初めて相談させていただきます。57歳女性(閉経52歳)。入浴時しこりに気づき受診、乳がんとの診断で8/9日左乳房全摘、リンパ節郭清術をしました。浸潤性乳頭腺管癌、リンパ節転移なし。pT2pN0M0 stage UAと診断されました。化学療法の適応についておたずねいたします。
病理所見:
乳がん病巣:1個 左2c、 最大径:2.5*1.5*2.0cm、肉眼分類:浸潤型 papillo tubular carcinoma > scirrhous carcinoma、浸潤度:g(+)f(+)S(−)p(−)、t分類:t2 娘結節(−) リンパ管浸潤:ly2、 血管浸潤:X1、断端浸潤:(−)、核異型度:G2 核分裂像数G2  Nuclear grade 2、リンパ節転移:n0/20 level1 0/19 levelU subpect :0/1 levelU interpect:0/0
ホルモン感受性 ER:90%以上の核に強く(+)、PR:80%以上の核に強く(+)、cerB2:細胞膜に(+)、HER 2検査中。

主治医に、「ホルモン感受性があるため、アロマデックス内服5年間で化学療法はあえて行わない」と言われ、現在内服中ですが、ガイドラインによるとリスクカテゴリーの中間リスクの3項目も該当し、非常に心配しています。私としては少しでも転移の可能性を減らせるなら、副作用覚悟で化学療法も受けたいと思っています。化学療法の適用についてと、ホルモン療法のみと化学療法併用の場合の再発予防の可能性について教えてください。 以上、よろしくお願いします。

リンパ節転移はありませんが、脈管浸襲があり、腫瘍径2.5cmですので、化学療法とホルモン療法の両方を行ってもよいとは思います。化学療法を追加することで、再発のリスクは減らすことができます。しかし化学療法は副作用の比較的大きい治療なので、どのような治療を選択するかは最終的には個々の患者さんのお考えや、体力、併存疾患も考慮して選択することになります。主治医の先生に、少しでもリスクを減らせるのなら化学療法を受けてみたいという旨をお伝えになってご相談されるのがよいと思います。現在HER2は結果待ちとのことですが、HER2の情報は重要な因子ですので、結果を待ってから考えてもよさそうです。(文責 俵矢)

 

No.5719-2】  06年09月24日    k子 
術後の補助療法について

HPNo.5719で、術後の化学療法適応についてご相談したものです。適切な助言、ありがとうございました。HER2が重要因子なのでHER 2結果により考えたらとのことでしたが、本日結果が出て、(3+)と言われました。主治医より、@ホルモン療法のみ A化学療法→ホルモン療法 を自分で選択するようにといわれました。ホルモン感受性があるため、アリミデックス現在内服中です。HER2 陽性3+と分かった時点で
1) 化学療法の適用があるか。何療法が適切か。
2) ホルモン療法のみと化学療法併用の場合の再発率について
3) アリミデックス内服約28日後から化学療法開始について問題があるか。
4) ハーセプチンが使用できるか。(現在遠隔転移はないとのことです)

以上、お聞きしたいと思います。お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

1) アンスラサイクリンとタキサンの順次投与をおすすめします。
2) ホルモン療法のみの10年の再発率20%、併用のそれは12%。
3) 問題はないと考えます。同時投与と順次投与の検討結果はありません。
4) 担当医によりますが、個人的には使用すべきと考えます。(文責 徳田)

 

No.5718】  06年09月13日    T.S.
今後の治療について

参考にさせていただいております。母は2年前乳癌とわかり、治療を受けております。手術はできないとのことですので、診断を受けましてからまずタキソールを行いまして、その後ハーセプチンを行ってきました(途中効果がでたため、6ヶ月ほど治療はお休みしたこともあります)。今年になり効果がうすくなってきたようなので、ナベルビン+ハーセプチンで現在治療を行っています。もし今後ナベルビン+ハーセプチンに効果が見られなくなった場合に、次の治療法として、どのようなものがあげられますでしょうか? また現在は3ヶ月に一度MRIで検査を受けておりますが、検査期間としては妥当なものなのでしょうか?

ハーセプチンの併用療法としては、タキソール、ナベルビンのほかにタキソテールなどの薬剤も効果があると言われています。またハーセプチンとの同時併用は、心機能障害の副作用を増強することからあまりお勧めできませんが、ハーセプチンを一旦休んで、ACやECといった抗がん剤を使用することもできると思います。そのほかには、ゼローダ、TS−1といった経口抗がん剤も乳がんに効果があると言われています。乳がんのお薬はたくさんあるので、そのときのお母様の体力や病状を考慮して、治療を組み立てていくことになると思います。画像の検査間隔は、病状などによって異なりますので一概には言えません。(文責 俵矢)

 

No.5717】  06年09月09日    M.I. 
乳がん術後のリンパ液について

初めて質問させていただきます。7月19日に左乳房の癌にて温存手術を行ないました。その際リンパも切除しましたが、ドレーンを抜いた後でもリンパ液が止まらず、現在1日おき、週3日、通院で液を抜いています。1回の量が20CC前後です。この状態が1ヶ月以上続き、最近は熱を持って炎症してきたので、抗生剤が出されて服薬しています。もともと血小板が少ないほうです。このリンパ液はとまるのでしょうか?とても心配です。よろしくお願いします。

今炎症があるということなので、それを治すことが先決ですね。リンパ漏が止まらないときに、わざと炎症を起こすお薬を注入して炎症を起こして癒着させて止めるという方法もあるので、今ある炎症が治まった頃にはリンパ漏もとまるのではないかと思います。ご心配でしょうが、いつかはちゃんと止まるので、気長に待ってあげてください。(文責 俵矢)

 

No.5716】  06年09月09日    Y・N
肺転移?

いつも拝見させていただいています。現在51歳。昨年8月右乳房温存手術を受けました。リンパ節郭清しましたが、リンパに転移なし、硬がん、2センチ未満、悪性度1、ホルモン感受性陽性。放射線治療25回の後、現在アリミデックス内服中です。先月1年めの検査を受ける前に甲状腺がんがみつかり、1週間前に摘出手術を受けました。その術前の検査で肺に1センチ程の影がみつかりました。甲状腺外科の先生は、甲状腺の転移は考えにくいとのことで、乳腺外科で精査してもらうよう(別の病院でしたので)資料を渡されています。昨日退院しましたが、入院中もそのことばかりが気がかりでした。近日中に乳腺外科に受診するつもりですが、どうかよろしくお願いします。乳がんの転移の可能性は高いですか(肺の影は右下の気管から最も遠い場所だそうです)? もしそうなら、アリミデックスは効果なかったということですか? 何の転移か原発かわかるのは、今後どんな検査になりますか? よろしくお願いいたします。

もし転移性の腫瘍であるとすると、甲状腺がんの肺転移より乳癌の肺転移のほうが頻度が高いので、そのように言われたのでしょう。画像診断では何の転移か、原発か、その他の病変か確定診断をするのは難しいと思います。PET検査も助けになることはありますが、小さい病変なので決め手にはならないかもしれません。今の時点で確定診断をするには針生検や切除生検をすることになります。あるいは経過観察をして、増えたり大きくなるかどうかみる方法があります。乳腺外科の先生に相談なさってください。(文責 俵矢)

 

No.5715】  06年09月09日    M
胸の腫れについて

初めてメール差し上げます。26歳の女性です。2ヶ月ほど前から、右胸の(特に生理前に強く)腫れと痛みがあり、右胸自体が左胸と比べ大きくなりました。しこりがある、という感覚がよくわかりませんが、どちらかというと、乳腺全体が腫れているような、成長時のものに近い感じです。日常生活に支障があるほど痛いわけではないのですが、このまま放っておいてもいいものでしょうか? 1年くらい前まで生理不順で治療を受けていましたが、現在は生理が安定してきた所です。ホルモンの影響なのかな、とも考えたのですが・・。もともと胸も小さいほうでしたので。よろしくお願いいたします。

生理の前にお乳が張って痛いのは、病気のためではなく正常のホルモンの働きによるものです。「成長時に近い」という感じならば、おそらく心配なさそうです。しかし右乳房>左乳房ということなので、一度診てもらったらよいかと思います。(文責 俵矢)

 

No.5714】  06年09月07日    M・S
ホルモン療法の副作用

はじめてご相談させていただきます。49歳です。4月12日、硬癌と非浸潤乳管癌で左全摘出しました。センチネルリンパ生検でリンパ転移なし。硬癌の検査結果は18×15×10ミリ、核異型度 中、悪性度 中、HER2 −、ホルモン両方とも+でした。2月28日からリュープリンとノルバデックスを開始しました。3月は生理が少しあり、4月から止まっております。ホルモン療法を始めてすぐ、かかりつけの婦人科で診察を受けたところ、以前からあった子宮筋腫はかなり小さくなってきており、体癌も大丈夫でした。7月下旬から腰に違和感(生理痛のような感じ)があり、子宮がキューと締め付けられるような感じが時々起こり、硬いしこりを感じるようになりました。婦人科を8月に受けたところ、筋腫が以前の大きさ(10センチくらい)に戻っていました。子宮にはつらい治療と言われました。現在もにぶい痛みが続き、長く立っていられないことがあります。なんとなく毎日筋腫が大きくなっている気がします。仰向けになると硬い筋腫がポコッと出ます。立っていてもおなかが出た感じです。できるだけ現在の治療を続けたいのですが、痛みがある時はめげてしまいます。
1) ノルバデックスの代わりのお薬はありますか?
2) リュープリンだけの治療にした場合の生存率はどのくらいになりますか?
3) 今までは特にさしつかえなく生活できていたので手術せず閉経を待っていましたが、治療をどうしても続ける場合は手術もやむなしと思っています。その場合、卵巣も同時に取ったほうが乳癌のためにはよいのでしょうか?

お返事よろしくお願いします。

1) ノルバデックス(タモキシフェン)の副作用に子宮筋腫があり、貴女の場合ノルバデックス服用により子宮筋腫が再燃してきた可能性が強いと考えられます。しかし、ノルバデックスに変わる薬といったものはありません。
2) リュープリンだけの治療にした場合の生存率、といったデータはありませんが、貴女の病理結果等より考えて生存率は90%前後ではないかと思います。
3) もし子宮摘出するのであれば、同時に卵巣も摘出していただくのは効果的であると考えます。(文責 谷)

 

No.5713】  06年09月07日    s.m.y
ホルモン剤の切り替えについて

妻(現在44歳)のホルモン剤の服用について相談します。右乳房に乳ガン(浸潤性乳管ガン)が見つかり、リンパ節にも転移(28個中5個)しているということで、平成16年5月、右乳房、リンパ節の摘出手術を受けました。ステージはVでした。ホルモンレセプターは+で、術後半年間、抗ガン剤の投与を受けた後、引き続きホルモン剤の投与に移り、ソシゲーンを1年9ヶ月服用しています。副作用としては、関節痛、火照り、頭痛、気分の落ち込みなどで、寝込むまでひどくなったのは数度です。ソシゲーンが一番弱いホルモン剤ということで、効き目の点から他のホルモン剤について担当医と相談したところ、フェマーラ(新薬)、アリミラックス、アロマシンなどが現状より効き目が見込めるものとして提示があり、薬を変えるかどうかで悩んでいます。副作用がこれ以上強くなるのは抵抗があるようですが、再発率が大きく下がるなどの効果が見込めるのであれば、試しに変えてみるのも一つの方法かと考えます。担当医師からは薬を変えれば再発率が14%下がると言われましたが、その後再発もなく、素人考えとしてソシゲーンとの相性がいいのかなという気もしています。また妻は、ソシゲーンを服用することに伴う子宮ガンの発症率の高さも懸念しています。薬を変えた時の効果の程度と副作用の影響について、具体的なご助言をお願いします。
ご多忙中お世話になりますが、よろしくお願いします。

まず重要なことは奥様が閉経の状態にあるかどうかです。フェマーラ、アリミデックス、アロマシンはいずれもアロマターゼ阻害剤という種類の薬剤で、閉経後の方の治療薬です。奥様は44歳とまだ若くていらっしゃるので、もししばらく生理がないとしても女性ホルモン(E2,FSHなど)の値を調べて、ホルモン学的にも閉経状態であるかを調べた方がよいかもしれません。閉経後であったとすると、ソシゲ−ン(タモキシフェン)からアロマターゼ阻害剤への切り替えが推奨されることになります。
副作用については、基本的に似ている部分が多いと思いますが、重篤なものとしてソシゲーンが子宮体癌、血栓症にややなりやすいのに対し、アロマターゼ阻害剤は骨粗しょう症にややなりやすいといわれております。(文責 谷)

 

No.5712】  06年09月07日    M.S.
化学療法の必要性(HPNo.5692-2

返信を頂き、ありがとうございました。私は事情があって今の病気を家族に話すことはできません。家族は大変仲が良いのですが (私は近くで一人暮らしをしております)、今年に入って身内に大きな不幸があって以来、老いた両親が精神的に相当まいっており、私のことをとても話せる状況ではありません。私が今後、手術そして長い治療を行っていくことは、せめて両親が生きている間は何がなんでも隠さなければなりません。そこで質問なのですが、私の場合、早期乳癌とはいえ、乳房温存手術を受けたあと放射線治療および化学治療/ホルモン治療を受ける必要があると思います。私の悩みは化学療法による脱毛です。私のような早期乳癌の場合でも脱毛するような強い薬の化学療法を受けなくてはならない可能性は高いでしょうか。
仕事もしており、できるだけ周りに病気の事を気づかれずに過ごしたいと思います。脱毛を避けられるような治療を考慮に入れる余地は私にはあるでしょうか? ホルモンレセプターが陽性か陰性かにもよって術後治療の方針は違ってくるということは承知しておりますが、一般的な例をお示しいただきたく、よろしくお願いいたします。まだまだ自力で納得解決しなくてはならないことがあり、お力添えを頂ければ幸いです。

色々とお調べになっておられますのでご存知かと思いますが、乳癌は化学療法(抗癌剤使用)や放射線療法の効きやすい癌であること、また手術の後これらをうまく使用することで再発率の低下や生存率の増加などが証明されているため、手術の後、乳癌の進行度合いに合わせて、補助療法と称してこれらの治療を行うケースが多くあります。現在乳癌で使用することの多い抗癌剤で、アンスラサイクリン系の薬剤(アドリアマイシン、ファルモルビシンなど)や、タキサン系の薬剤(タキソール、タキソテール)は、脱毛の副作用が生じることが多く、これらを使用することになると治療中であることを他人に知られないようにすることは困難であるように思います。ただ貴女の場合は乳癌も初期で抗癌剤を使用する必要のない程度かもしれませんので、やはり術後の病理検査やホルモン検査の結果などがそろった上で相談することになります。いずれにせよ、これらの補助療法は絶対的なものではなく、主治医の先生とよく相談のうえ施行の是非や内容を決めてゆくものですので、まずは手術をお受けになって、そののちお考えになられて遅くないと思います。(文責 谷)

 

No.5711】  06年09月07日    K.S
抗ガン剤開始時期

42歳です(閉経前)です。8月の始めに右乳房温存手術をしました。病理検査結果は、大きさ1.5センチ、リンパ節転移16個中2個、ER陽性、pgR陰性30%、HER2陰性1+、脈管(リンパ管・血管)への進襲あり、中リスクでした。治療法はCEF三週間に一度4サイクルのあとタキソールかタキソテール、タキサン系に入る前か全部やってから放射線治療。ホルモン剤はあまり効かないが使う予定とのことです。抗ガン剤の投与開始時期なのですが、10月中旬に大事な仕事があり(それに向けての準備も今月から始めなければならない)、9月中に一度投与して、2回目を少し間を空けて10月中旬以降にするかで迷っています。
1) 投与開始自体を延ばすのと、間を長く取るのでは、間が空いても一回目を早めにやった方がいいのでしょうか?
2) 自分としては、副作用で仕事(来月の仕事に向けての準備)が出来なくなると困るので、問題がないようなら開始自体を延ばしたいのですが、私の検査結果もふまえ手術から2ヶ月半も先にして大丈夫でしょうか? 医者は「4、5ヶ月もあとなら遅いけど、そのくらいなら大丈夫」と言っていて、私が決める事になってるのですが、正直迷っています。月曜には返事しなければなりません。
3) タキサン系はタキソールかタキソテールのどちらかというのですが、どちらでもいいのですか? タキソールの方が早く終わるし、吐き気も軽いというので、そちらがいいと思っていますが、どちらか決まってないあたり不安です。どちらの方がいいというのはありますか?

よろしくお願い致します。

1) 正確な根拠(エビデンス)はないと思いますが、効果の点だけで考えれば1回目だけでも早めにやった方がいくらか効果が期待できる気がします。
2) 抗癌剤投与や放射線治療に期限は特にありませんが、8月の初めに手術をお受けになっておられますので、可及的に早く抗癌剤療法を開始するのがよいと思います。しかし、1〜2ヶ月施行が遅れたからといって効果が極端に悪くなることはないと考えます。
3) タキソールとタキソテールに効果の差は認められておりませんが、投与法、副作用などいくらか異なりますので、主治医の先生に決定していただくのがよろしいかと思います。(文責 谷)

 

No.5710】   06年09月04日   H
非浸潤性がん(追加報告):断片陰性のはずが・・・(HPNo.5607-2)

HPNo.5607で相談いたしましたHです。前回相談にのってもらって返事を頂いた時には、すでに局所の追加切除を決めて入院手続きをした後でした。ぎりぎりのところで腫瘍をとっていたことが気になり(主治医にどちらか選ぶようにといわれたので)、放射線よりも局所切除を選んだのです。放射線ではそのものを検査に出してもう一度結果を得るということができなかったから、私は切除して検査して、もうないですよという安心を得たかったのです。そういう答えを頑張って探し、決めました。そのときに主治医に、心配性の私は 「局所切除のあと放射線治療を」とお願いしましたが、その必要はないとのことでした。今回追加切除の結果は黒でした(主治医は切りとってよかったですねとおっしゃっていました)。切り取った組織に非浸潤性のがんがありました(安心の為の私の保険のつもりでした)。今回も断片は陰性ということでした。病理から最終的な報告があってから放射線治療をするかしないか判断するとのことでしたが、取り残しがあるとは考えられないのでしょうか? まず組織そのものをとってしまうことが必要なのではないでしょうか? 取り残しがあるかどうかはわからないものでしょうか? 調べる手段はないのでしょうか? マンモでも、31という年齢からう写らないのでしょうか? どうしても気持ちが悪くて、このまま治療をうけることが出来なくて、大きな病院に移ろうと思っています。もう一度ご意見をお聞かせ下さい。

非浸潤癌の拡がりについてはなかなか評価が難しく、貴女のケースのように切除断端陰性であっても実際に残りうることはあるとされております。それを何かの検査で示すことができればよいのですが、実際にはなかなかそのような検査はありません。乳癌診療ガイドラインでも温存術後の放射線照射を標準としており、今回の病理結果の内容は問わず放射線照射施行はするべきであると考えます。もし他の施設でのご意見をお聞きになりたいのなら、セカンドオピニオンを希望する旨を主治医の先生に話して、資料を用意していただくことも可能かと思います。是非貴女自身の納得いく治療をお受けになってください。(文責 谷)

 

No.5709-1】   06年09月04日   E.O.
手術後の治療について

初めて相談させていただきます。49歳、閉経前、子宮筋腫治療中。センチネルリンパ節生検、乳房温存手術をしました。腫瘍経1.5×1.5×1.0センチ、乳管内の広がり 最大経 2.6センチ、センチネルリンパ節2個転移なし、細胞の悪性度2、ホルモン感受性 陽性、ハーセプテスト 陰性、病期1。「再発する可能性は、何もしない 5〜10%、ホルモン療法 3〜7%、化学療法 3〜5.6%ぐらいか? 放射線治療はしますが、他にどの治療をするか自分で決めるように」と言われました。ホルモン療法はしてもいいのですが、化学療法はどうするか悩んでいます。主治医はもともと再発する可能性が低いし、つらい抗ガン治療をしても1,2%しか下がらないので、あまり勧めないと言われました。数字だけで見るとどれもあまり変わらず、何もしないという選択もあるかもしれませんが・・・。
1.この数字は再発する可能性が低いと考えていいのでしょうか。
2.もう少し詳しいことを調べてくださるそうなので、その結果を聞いてから決定しますが、現時点では化学療法はどうしたらいいでしょうか。
3.グレード1では化学療法をしなくてもよく、3だったらしたほうがいいのでしょうか。
4.現在通院している病院が遠いので、放射線治療は近くの病院でしても大丈夫でしょうか。

以上、よろしくお願いします。

1) 「脈管侵襲」についての記載がありませんが、それ以外の項目では細胞の悪性度が2であるという点以外はすべてよい条件を示しており、再発する可能性は低いといえると思います。
2) 主治医の先生が仰っておられる通り、ご自身の考え方で決定すべき内容であると思います。主治医の先生がお示しの通り化学療法で免れる再発の可能性は数%ということができ、これを更になくすために化学療法を施行することの是非をよくご検討ください。
3) もし脈管侵襲がなく、かつgrade1であったなら、化学療法は推奨されないことになります。
4) 通常あまり問題ないと思われますが、主治医の先生とよくご相談ください。(文責 谷)

 

No.5709-2】   06年09月13日   E.O.
手術後の治療について(2)

先日手術後の治療についてHPNo.5709で相談した者です。早速の回答、ありがとうございました。今後の治療について詳しい説明をもう一度聞いてきました。脈管侵襲は「リンパ管侵襲あり、静脈はなし」でした。
10年後の再発について
何も治療しない・・73.6%再発しない、24.8%再発する、1.6%死亡
ホルモン療法(5年)のみ・・・82.6%再発しない
化学療法のみ・・・・・・・・・85%再発しない
化学療法+ホルモン療法・・・・90%再発しない

化学療法はCE+タキサン療法です。主治医には化学療法、ホルモン療法共やったほうがいいのではと言われました。私自身も抗ガン剤の副作用も怖いですが、治療に半年、脱毛してまた髪が戻るのに半年と考えて、1年頑張れば後再発を恐れずに生活できるのなら、両方ともやったほうがいいかと思っています。化学療法をしてから放射線治療とホルモン療法をするそうです。
1)CE(4回)とドセタキセル(4回)は標準的な治療なのでしょうか。
2)CMF(6回)は脱毛する人が一部でCEと同じ効果であると聞いたことがあるのですが、主治医にはCMFはホルモン療法と同じ効果であると言われました。CMFよりCEのほうが効果があるのでしょうか。
3)テレビの番組で抗ガン治療はあまり適切にやられていないというようなことをいっていました。病院によって差があるということでしょうか? 抗ガン治療専門医に治療してもらえば副作用も少なく楽に治療できるそうなのですが、そんな方法があればぜひやりたいのですが。実際のところどうなのでしょうか? 全国に47人しかいないそうなのですが・・・。

すみません、もう一つ主治医に聞き難いので相談したいのですが、前回の説明では抗ガン剤を使用しても数%しか再発率が下がらないのであまり勧めないと言われたのですが、その時私がやりたくないと言えば抗ガン剤は使わない方向で行ってしまったのかと思うと少し納得いかないのですが・・・。

前回ご相談いただいた時点では、脈管浸襲のデータが出ておらず、そのあとで判明したので主治医の先生がそのようにおっしゃったのだと思います。脈管浸襲のありなしは、予後に影響する予後因子のひとつで、ないより、あったほうが再発する確率が高くなります。ホルモン受容体陽性の患者さんに限ると、CMFはホルモン療法(LH−RHアゴニスト+タモキシフェン)と同等といわれています。CMFとCE療法はほぼ同じような効果であると思われます。主治医の先生の提示されたCE−ドセタキセルは、CE療法にさらにドセタキセルを追加する治療で、CE療法単独より効果があると考えられます。
乳癌の治療は抗がん剤を抜きにしては成り立ちません。われわれ乳癌を専門としている医師も、抗がん剤の副作用を軽くする方法や効果的な使用法についてはよく勉強しているので、少なくとも乳がん治療に標準的に使われる化学療法については安全に、副作用を最小限にして行うことができると思います。主治医の先生にも抗がん剤について納得できるまでお話をお聞きになるとよいと思います。(文責 俵矢)

 

No.5709-3】   07年03月03日   E.O.
術後の化学療法について

以前術後の化学療法について相談させていただいたのもです(HPNo.5709)。ご親切な回答ありがとうございました。
去年9月の終りから化学療法を始め、CEを3週間ごとに4回、ドセタキセルが3回終わったところです。副作用は、脱毛以外は吐き気もなく、軽い味覚障害ぐらいでしたが、ドセタキセルを2回目後2週間ぐらいから、まぶた、目の下がピクピクけいれんするようになりました。3回目後も1週間ぐらい続きましたが、だんだんよくなってきています。主治医には副作用であろうと言われました。
1) 副作用の説明には、このようなまぶたのけいれんについてはありませんでした。あまり一般的な副作用ではないのでしょうか。
2) 2月21日にドセタキセル4回目をする予定ですが、けいれんが続くようでしたら1週間延期になるかもしれません。これが最後なのですが、もともと再発する可能性が低いので(ホルモン療法のみ82.6%、ホルモン+化学療法90%再発しない)、止めてしまってもいいのではないかと思いますが、どうでしょうか。最後の1回を止めても再発率がぐっと高くなるとも思えないのですが、それとも最後までやったほうがいいのか悩んでいます。よろしくお願いします。

1) 添付文書のその他の副作用に神経・筋症状5%未満の頻度として筋肉痛などと共に<痙攣>の文字はあります。投与後増悪し、終了後徐々に改善するということから副作用と考えた方が良いでしょう。
2) 再発したのであれば画像などで効果を確認できますが、術後補助療法の場合は、今までのデータからの推測になります。最後の1クールを中止することによって82.6%〜90%の無再発のどの位置に入るのかは不明です。後は個々の考え方になりますので、やはり主治医とよくご相談下さい。(文責 阿部)

 

No.5708-1】   06年09月04日   M 
今後の補助治療について

34歳専業主婦です。右乳頭下部分にしこりをみつけ、今年5月30日に乳癌の温存手術をうけました。腫瘍は0.9cm、リンパ節には20個中1個の転移、端片は3ケ所癌細胞がみつかりました。その後放射線治療を乳房全体25回と局部5回の計30回が終了。同時にホルモン治療・ノルバテックスDと4週に1度ゾラデックスを3度うけています。(生理がとまりました。) 主治医からは、分岐点でホルモン治療2年間以上、又は、再発を防ぐ為に追加でCAFの抗がん剤を6クール+ホルモン治療2年間以上…のどちらかを自主選択するように言われています。今後妊娠を希望しているので、ホルモン治療のみでもという見方もあったり、再発を考えると抗がん剤をお守りにしてもいいようにも思いますが、今後の補助治療についてご意見をお聞かせください。よろしくお願いします。

HER2・脈管侵襲の結果によっても若干意見が変わってきますが、34歳と若年で、1個とはいえ腋窩リンパ節転移があったということになりますので、私見では抗癌剤治療を推奨したいと考えます。しかし、ホルモン剤だけであれば、治療が終了すれば90%以上の方が卵巣機能の回復が期待できますが、CAF施行すると、30才代で10〜25%の方が閉経となると言われております。この結果も踏まえ主治医の先生と再度よくご相談なさってください。(文責 谷)

 

No.5708-2】   06年09月22日   M 
今後の補助治療について(2)

ありがとうございました。結局、抗がん剤6回を開始することにしました。その後、主治医からはホルモン治療を2年間と言われているのですが、私としては、一度流産を経験しているので、どうしても子供が欲しい気持ちが大きく、できれば抗がん剤終了後〜1年くらい採血などで様子を見ながら、一度子供をつくる事は可能でしょうか? 出産後にホルモン治療再開などできないでしょうか? 主治医にはまだ、この件は話ししていないのですが、どう思われますか?

妊娠・出産は、予後に影響ないとされていますので、抗がん剤後、生理・排卵があれば可能です。抗がん剤により、閉経になることもあるので、抗がん剤を始める前に主治医に相談してください。出産後のホルモン治療再開は可能ですが、効果については、データはありません。(文責 徳田)

 

No.5708-3】   06年12月02日   M 
今後の補助治療について(3)

いつもお世話になっています。早速ですが、現在CEFの抗がん剤を4回受けました。残り2回を来年1月に終了予定です。その後ホルモン治療を2年間と、主治医からは言われていますが、ホルモン治療を中止し、妊娠したいと希望が大きいのですが、CEFのみの再発率と抗がん剤とホルモン治療の場合と、再発の可能性はどのくらい違うのでしょうか?よろしくお願いいたします。

がん細胞のGradeが不明ですが、Adjuvant on lineという米国のDataを基にした再発リスクに当てはめると、あなたと同じかたが100名存在したとして、無治療では、そのうち30名が再発・死亡する可能性があります。ホルモン療法のみ単独療法をおこなうと、無治療で死亡する30名のうちの8.5名を救うことが出来、また化学療法単独では同様に8名のかたを救うことが出来ます。両方の治療を行うと30名のうち14.2名と、約半数のかたを救うことが出来ます。これはあくまで米国のデータをもとに計算した指標です。以上を踏まえて、基本的には前任の谷先生、徳田先生のご指摘の如く、「主治医」によくご相談されることが大事と思います。(文責 首藤)

 

No.5707】   06年09月04日   T 
サプリメントについて

初めての質問です。宜しくお願いいたします。2月17日に温存手術、放射線治療を終え、ホルモン療法(アリミデックス)を服用中です。もともとあった喘息が、季節と共に悪くなりつつあります。以前、ビール酵母を飲み続け、ずーっと楽になっておりましたが、アリミデックスの服用と共にやめてしまいました。大豆製品のサプリメントは、女性ホルモンに関係があるので控えたほうがいいと言われます。ビール酵母は飲んでも差し支えないと思うのですが、いかがでしょうか?

サプリメントに関しては、われわれは直接扱う機会がないため詳しくは知りませんが、ご指摘の通り大豆製品のサプリメントは植物性エストロゲン(イソフラボン)を含んでいるため、乳癌や子宮体癌の方には好ましくないことが言われております。しかし、ビール酵母が特に乳がんに関して何か作用するといった情報は私は得たことがありません。(文責 谷)

 

No.5706】   06年09月04日   M.G
ハ−セプチン+FECの使用(HPNo.4886-3)

前回【No.5347】でお世話になりました。お返事ありがとうございました。大変参考になりました。ハーセプチン+タキソテールを1年弱しましたが、新たに肺に見つかったため、抗がん剤を次から変えてみようと言われています。次はハーセプチン+FECを考えているそうなのですが、ハーセプチンもFECも心毒性があるため禁忌と書いてある記事をみました、その一方で、他のインターネットとかでは普通にハーセプチン+FECという療法もすすめられていて、よく分かりません。実のところどうなのでしょうか? 治療が始まる前に一度循環器内科に見てもらってからのほうがいいのかなとも思っています。もしこの療法が始まった場合の標準的なクール(一投3休?とか)、どれくらい続ければいいものでしょうか? いろいろ聞いてすみませんが、よろしくお願いいたします。

お母様の病状に対し、とてもよく勉強なさっておられることに敬服いたします。ご指摘の通り、ハーセプチンもFEC(に含まれるエピルビシン)もそれぞれ心機能障害をきたしやすい薬剤であり、同時に使用するのは心不全のリスクがかなり生じることになります。しかし、お母様の病状にとってこれらが必要であれば、慎重に投与してゆくことになります。もちろん今までにもハーセプチンを1年近く投与されておりますので、いずれにせよ現段階で一度心機能の評価を是非お受けになるべきと考えますし、FEC+ハーセプチンの治療を施行してゆくのであれば、特に症状がなくても3〜6カ月毎の心機能評価は必須と考えます。またFECは3〜4週間を1クールとし、4〜6クール施行するのが一般的とされております。(文責 谷)

 

No.5705】   06年09月03日   N
乳頭からの分泌物

37歳の女性です。4、5日前(生理が終わった頃)から乳頭から透明の分泌物が出ることに気づきました。量は少なく下着が濡れたり汚れることもありません。乳房を押しても出ないのですが、乳頭の周りを押したりつまんだりすると2箇所から出てきます。自分で触ってみた感じではしこりも無いと思います。来週診察を受ける予定なのですが、それまで気になって仕方ないので投稿しました。診察を受けてみないと判らないと思うのですが、このような症状が出る病例等を教えていただけないでしょうか。よろしくお願いします。

透明でかつ少量の乳頭分泌のようですので、まず特に病的な変化がなくても生じることがあると思います。一般に乳頭分泌をきたす疾患としては、乳癌、乳管内乳頭腫、乳管拡張症、高プロラクチン血症などが有名ですが、乳頭分泌の色、量など少し異なることが多いように思います。しかし、やはり実際に診察をお受けになっていただくのがよろしいかと思います。(文責 谷)

 

No.5704】   06年09月03日   R  
術後の補助療法について

術後の補助療法について、ご意見をお聞かせ頂きたく存じます。44歳未婚、右胸筋温存乳房全摘(2006年2月8日手術済み)、浸潤性乳管癌/硬癌、大きさ20〜30mm、リンパ節転移3/24(Max6.8mm)、ホルモン受容体陽性、Her2増幅なし、補助療法として@FEC3週毎×6回+タキソテール3週毎×4回 Aホルモン療法・タモキシフェン5年/ゾラデックス2年 B放射線療法5回/週×5。現在はタキソテール加療中ですが、Bの放射線療法について悩んでおります。主治医から頂きました治療方針は、リンパ節転移が3個という理由から、当初よりBを( )くくりとしておりまして、私の意思を尊重したいお考えのようです。しかしながら、私の知識では、治療と効果のバランスを考えるにも、中々決断に至らずにおります。(リンパ節転移4個以上ですと放射線療法は標準治療と認識しております…) 少しでも確率が上がる方法を選ぶか、抗癌剤までの治療をして後は運命に任せるかは、個人の人生感によって決めるべきものとは理解してはおりますが、是非、先生方のご意見もお伺いしたいと思います。照射による利益の方が大きいとお考えになられますでしょうか…。ご回答、宜しくお願い申し上げます。

乳癌の全摘手術後において、一般的に腋窩リンパ節転移4個以上またはT3(腫瘤径5.1cm以上)の場合、術後胸壁再発の可能性が高いという理由で胸壁への放射線照射が推奨されております。乳癌診療ガイドラインでも、腋窩リンパ節4個以上の症例に術後放射線照射を施行することで、胸壁再発の減少と生存率の上昇の可能性を示唆しております。しかし貴女の場合腋窩リンパ節転移3個、腫瘤径2.0〜3.0cm(T2)とこれらの条件に満たないので、単純に考えれば照射は必要なしということになると思います。もちろん転移4個は絶対照射必要、転移3個は照射絶対必要なし、と区切るのにもやや抵抗があるかと思いますがーーー。また欧米に比べ日本では全摘後の照射率が低く、術後胸壁再発の可能性が実際にはもう少し低いためと唱えている先生もいらっしゃいます。いずれにせよ貴女が仰るとおり、最終的には貴女の人生観で照射を施行するか否か決定なさってください。まだまだ治療中で大変なことと存じますが、是非頑張ってください。(文責 谷)

 

No.5703】   06年09月03日   M 
内視鏡手術

現在、術前化学療法中のものです。今後手術を予定していますが、内視鏡を使った手術が気になり、ご助言いただけると幸いです。全国でもまだ普及していないみたいですが、内視鏡手術を行っている病院の先生に聞いたのですが、内視鏡は温存に比べて取り残しが少ないと言われていますとのことでした。傷口も小さく済み体の負担が少ないので考えているところです。実際は内視鏡での手術の成果は現状どうなのでしょうか。

私の勤務する病院では乳癌の内視鏡手術は施行しておらず、私自身いままでにまったく経験がありませんが、内視鏡手術の経験を多く持っている施設では、通常の手術と比較して術後の再発率・生存率等においてほとんど変わりないようです。ただ乳癌の程度や部位によっては内視鏡によるメリットを受けにくい場合もあるように思います。また特殊な術式であり、経験が色々な面で左右する可能性が高いように思います。これらをふまえ、一度内視鏡手術を行っておられる施設の先生に診察していただいてから決定されるのがよろしいかと思います。(文責 谷)

 

No.5702】   06年09月03日    K 
今後の治療について(HPNo.5201-3)

以前HPNo.5458でお世話になり、有り難うございます。ゼローダを開始して2クールでCEAは上昇。先生は、「ナベルビン、TSー1ではなく、ホルモン陽性なのでホルモン剤の内服と注射を同時にする方法に変更しましょうか?」と言われました。若いので癌細胞も活発なので抗癌剤が効かないのかもと・・・。「ホルモン剤では癌は小さくならないが、大きくならないかもしれないので、やってみましょうか。」と言われました。肝臓の腫瘍は5cm以上にもなっているのに、こんな事をしていてもいいのでしょうか? 私は抗癌剤の方が良いと思うのですが、アドバイス宜しくお願いします。 

多くの抗癌剤を使用し、頑張ってこられたことにまず敬意を表したいと思います。しかし、あなたが期待されたほどの効果が上がらず、残念な思いでおられることが伝わってまいります。貴女の場合、FEC、タキソール、ハーセプチン、タキソテール、ゼローダと、多くの抗癌剤を使用してきており、なおかつ現在5センチ以上の肝転移を認めるとのことです。TS−1,ナベルビンなどがまだ使用していない抗癌剤ということになりますが、今まであまり効果が上がらなかったことなどを考えあわせると、主治医の先生が仰るとおり一度ホルモン剤使用してみるのも一法かと思います。ときにホルモン剤(おそらくTAM+LH−RHアゴニストの組み合わせのことだと思います)も期待以上の効果を示してくれることがあり、また抗癌剤に比べ副作用は低いことが多いので、試してみる価値は高いように思います。再度主治医の先生とよくご相談なさって是非頑張ってください。(文責 谷)

 

No.5701】   06年09月03日    C.K
術後の治療について

初めて相談させていただきます。36才、既婚、妊娠・出産経験なし。今年1月、しこりを自覚し受診、乳癌と診断されました。しこりは28_、乳管内浸潤合わせると最大53_ でした。術前抗がん剤 CEF4 ク−ル+タキソテ−ル4ク−ル受け、8月右乳房温存術+リンパ節郭清術を受けました。病理の結果、乳頭腺管癌、大きさ13×10×15_、核異型度2、リンパ管+、血管−、切除断端−、センチネル1/1、レベル1:3/15、レベル2:0/4、レベル3:0/2、ER+、PGR+、HER2 2+、FISH−、でした。
相談ですが、術後さらに抗がん剤を受けた方がよいか迷っています。主治医はタキソ−ルを考えていたようですが、アルコールがダメだった事を言うと、抗がん剤無しか、タキソテ−ルをするか、どちらでもと言っています。どのような治療が望ましいかご指導ください。

これは難しい選択です。術前にCEF4クール+タキソテール4クールと、しっかりと抗癌剤治療をお受けになっておられますので、術後はタモキシフェン5年+LH−RHアゴニスト2年の組み合わせで、最初から抗癌剤を使わずに診てゆくのも充分にバランスの取れたよい治療法と思われます。また、これらのホルモン治療の前にさらにタキソテールを何クールか加えるのも、さらに効果的に働く可能性はあるように思います。結局はあなた自身にタキソテールをさらに行う精神的、身体的余力があれば、タキソテール治療を頑張っていただき、ちょっと厳しいと判断されれば、ホルモン剤のみで開始してよいのではないでしょうか?(文責 谷)

 

 

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